むかしむかし
西欧諸国でのこと、女性たちは水を沸かし、衣類を洗濯するのに無数の時間をかけていました。そして20世紀初頭のある日、匿名の英雄が洗濯機を発明しました。それと共に、人類に自由と進歩が訪れたのです。決してふざけてるわけじゃありません。
電気洗濯機は女性たちに直接影響を与え、その他の全ての人達にも影響を与えました。女性たちはハードで退屈な仕事から解放されることによって、空き時間を自分や子供や社会に自分の力を役立てるために使えるようになりました。それによって、この地球はよりよい世界になったんです。
そんな洗濯機バンザイ! 説をレクチャーしている世界健康と統計の専門家Hans Rosling氏の講演をご覧ください。面白いですよー。
私が4歳の時でした。母が初めて洗濯機をまわしたのを見たのは。それは、母にとって素晴らしい日でした。両親はその洗濯機を買うために何年も何年も貯金していたんです。洗濯機を初めて使う日、祖母も招待されました。祖母は両親以上に興奮していました。祖母はそれまでの人生、薪でお湯を沸かし、手で7人の子供と夫と自分の洗濯をしていたんです。でも、洗濯機があれば、眺めているだけで代わりに仕事をしてくれるんですから。
母は慎重に洗濯機の蓋を開け、洗濯物を中に入れました。こんな風にね。そして、母が蓋を閉めようとすると、祖母が「ちょっとちょっとちょっと、私にボタンを押させて」と言いました。そして、祖母がスタートボタンを押すと、彼女は「素晴らしい! ちゃんと見たいわ! 椅子をちょうだい椅子を!」と言って洗濯機の前に座り、全ての工程を見届けました。祖母にとって洗濯機は奇跡でした。
そして今、スェーデンに限らず世界では、さまざまな電化製品が使われています。沢山ありすぎて、名前が分からないものすらあります。それに旅行に行く時には空飛ぶ機会(飛行機)が目的地まで送り届けてくれます。その一方、世界には今でも火でお湯を沸かして洗濯したり食事を作ったりしていたり、十分な食べ物すら無い人達も沢山います。1日2ドル以下で生活している貧困ライン以下の人が20億人。一番裕福な暮らしをしている、Air line(私が命名した)に属する人達は10億人、彼らは1日に約80ドル以上消費しています。
世界には70億人ぐらい存在していますから、残りの40億人は貧困ラインとAir lineの間で生活しています。彼らは電気が使えますが、そのうち何人が洗濯機を持っているでしょう? 統計を調べてみたところ、そのうち10億人が洗濯機を持つWahs lineであることが分かりました。このラインの人達は1日に40ドル以上の消費をしています。ということは20億人が洗濯機を持つことができていますが、残りの50億人は、どうやって洗濯しているんでしょう?
このように、手で洗っています。ハードで時間のかかる労働です。自分たちのために毎週やらなければいけません。人によっては水を遠くから運んでこなければならなかったり、洗濯物を川まで持っていかなければならなかったりします。彼らは洗濯機が欲しいんです。彼らは人生の時間を洗濯物に費やしたくはないんです。これは、私の祖母の写真です2世代前のスェーデン人と同じ事をしています。費用対効果が低すぎます。彼女たちも同じように洗濯機が欲しいんです。
ただ、私がこの事を環境問題を心配している学生にレクチャーすると、「皆が車や洗濯機を持つことはできないよ」と言います。でも、こんな風に大変な労働をしている彼女たちに、洗濯機をつかっちゃダメなんて言えないですよね? そして、過去2年間、私は学生たちに質問してきたことがあります。まずは、車を持ってない人は? すると少し手があがります。次は、本当にタフな質問をします。この中であなたのジーンズやシーツを手で洗ってる人は何人いますか? と。一人も手をあげませんでした。強硬派な環境保護運動をしている人達ですら、洗濯機を使っていました。
なぜ? 自分たち皆が使っているものを、他の人には使ってはダメだという考えがでてくるんでしょうか? 世界で使われてる電気ネネルギーについて分析しなくてはなりませんでした。ライン分けされた70億人が見えますね? 右からAir people、Wahs people、bulb people、fire peopleです。
この四角はエネルギー単位で、石油、石炭、ガスといったものが含まれています。そして世界では12ユニットが使われていると考えた時、一番リッチな層は6ユニット使用しています。次の層は2ユニット、その次は10億人で1ユニットづつ、そして貧困層は1ユニット以下です。ここで、環境問題を心配している人達のメインの心配ごとが発生します。そうです。彼らの言うように未来が心配なんです。私たちは2050年について分析してみました。すると電気消費の拡大の理由として2つの要因が出てきました。1つは人口増、もうひとつは経済成長です。
貧困層では人口増加するでしょう。でも、消費電力は少ししか増えないので、あまり問題はありません。ただ、経済成長により、Wash lineにいる人達がAir lineにジャンプアップすると消費電力は一気に上がります。bulb lineの人達も洗濯機が欲しいので、ラインを飛び越え1ステップ上がり消費電力は2倍に。そしてfire lineの人達も電気が使いたいですから、bulb lineを乗り越え、人口増加が減ってきます。それでも2010年に世界で12ユニットだったのが、2050年には22ユニットになります。そんな中でも富裕層が一番電力を消費しています。そんな状況の中で、私たちは何をすればいいんでしょう? 異常気象のリスクはリアルです。
最も電力を消費している富裕層が、効率的に電力を使用できるようになったり、意識を変えて節電したり、グリーンエネルギーを使用しはじめるということもあるでしょう。でも、同等なエネルギー消費が出来るようになるまで、他の人が何をしてよいか? 悪いかのアドバイスをすることなんてできないですよね?
このように、もっとグリーンエネルギーを増やしていけたらと思ってはいます。これは、未来へ向けての本当のチャレンジです。
ただ、この貧困ラインにいる彼女が洗濯機を欲しがるかは確かじゃありませんが、民主主義国であれば洗濯機が欲しいとDilma Rousseffに投票するでしょう。
さて、この洗濯機が起こす魔法とは? 洗濯機が家に来た日、母が言いました。「洗濯機が仕事をしてくれているから、図書館に行けるね。」そうです。お母さんは子供に本を読んであげる時間、英語や違う言葉を子供に学ばせる時間、自分自身も外国語を学んだり本を読んで知識を増やす時間ができるんです。
私と私の母が言った言葉は、工業化にありがとう! 製鋼所ありがとう!発電所ありがとう! 私たちに本を読む時間をくれた化学処理業界にありがとう! でした。
電力供給の問題、環境の問題もありますけど、洗濯機確かに貢献してる気がします! 電気の力に感謝ですね。
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(junjun)