案じているだけよりも...。
アップルのCEO、スティーブ・ジョブズが療養生活に入ることが発表されました。アップルのこともジョブズのこともとても心配ではありますが、この機会に彼がいかに神であるかを振り返りつつ、今後の良いニュースを待ちたいと思います。
これからいくつかの記事で、ジョブズにまつわるストーリーを幼少期から時系列でまとめていきます。
・はじめに(長いです)今回この記事を書くにあたり、以下に挙げる書籍やWebサイトを参考にしました。中にはお互いに矛盾する内容のものもあったので、多少の事実誤認や抜け漏れも含まれているものと思われます。このタイムラインはアルファ版のつもりなので、間違いなどがあれば、信頼できる情報ソースとともに教えていただけるとありがたいです。
ビル・ゲイツが引退したとき、ギズモードでは盛大にパーティをして、今後の彼の慈善活動がうまくいくことを祈りました。でもジョブズに関しては、アップルを出たり入ったり、休業したりといろいろありましたが、いずれもそんなお祭り気分ではありませんでした。この数年彼は病気を抱えていましたが、アップルはそれを軽く見せようとし、また会社においてジョブズがさほど重要でなく、仮に彼が引退したとしても問題ないように見せようと努めています。でも実際は、彼が重要でないと思うような人はいないのです。彼の人生、そしてその仕事が歴史に刻んだものを考えると、そんなはずはありません。
現在、あのアップルの共同創業者が、コンピューティングにおけるその30年間の伝説を次世代に明け渡しつつあるのです。これはビル・ゲイツの引退のときのように、もっとレスペクトされていいことですが、ほとんどのニュースは、そういう文脈では書かれていません。
そこで、そんな文脈作りの素材となるスティーブ・ジョブズのストーリーを探してみました。でもそれで気づいたのですが、ジョブズの人生について、さまざまな逸話をすべて参照できるようなリファレンスがないんです。そんな逸話は本や雑誌記事が多く、Webには少ないので、オンラインでリファレンスを見つけるのが難しかったのです。
そのため、いろいろなソースから集めたストーリーをオンラインの記事にしました。僕が調べたところでは、この一連の記事が、オンラインでは一番まとまっています。
・出典さて、本題に入る前に、この記事のソースになった書籍や雑誌記事へのリンクをここにまとめておきます。いずれも充実した内容なので、興味のある方はチェックされるだけの価値があると思います。
特におすすめを3冊挙げるとすれば、まずオーウェン・リンツメイヤーの『Apple Confidential 2.0』(日本語訳は『アップル・コンフィデンシャル2.5J』で、原書の内容に翻訳までの期間分が加筆されたもの)、これは日付や時間なども含めて詳細に記録されていますが、ただジョブズ個人の生活に関しての記述は少ないです。
次に、ベンチャー・キャピタリストで前のTime誌のシリコンバレー担当記者であったマイケル・モリッツの『The Little Kingdom』(日本語訳『スティーブ・ジョブズの王国 ― アップルはいかにして世界を変えたか? 』)です。これはアメリカではすでに絶版になっています。
最後に、Macのクリエイターの一人であるアンディ・ハーツフェルドの『Revolution in the Valley』(日本語訳『レボリューション・イン・ザ・バレー ―開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏』、英語版はfolklore.orgでも読めます)ですが、これはMacの開発に関して100人くらいから集めた個人的な逸話集で、まるでその場に一緒にいるかのようにリアルに読めます。
他のものも含め、以下が今回の記事の出典元となったものです。
書籍:・『Apple Confidential 2.0』オーウェン・リンツメイヤー著(日本語訳『アップル・コンフィデンシャル2.5J』
・『The Little Kingdom』マイケル・モリッツ著(日本語訳『スティーブ・ジョブズの王国 ― アップルはいかにして世界を変えたか? 』)
・『Revolution in the Valley』アンディ・ハーツフェルド著(日本語訳『レボリューション・イン・ザ・バレー ―開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏』
・『Inside Steve's Brain』リーアンダー・ケイニー著(日本語訳『スティーブ・ジョブズの流儀』)
・『iCon Steve Jobs: The Greatest Second Act in the History of Business』ジェフリー・ヤング著(日本語訳『スティーブ・ジョブズ-偶像復活』)
・『The Perfect Thing』スティーブン・レヴィ著(日本語訳『iPodは何を変えたのか? 』)
・『The Journey is the Reward』ジェフリー・ヤング著(日本語訳『スティーブ・ジョブズ―パーソナル・コンピュータを創った男』)
・『West of Eden: The End of Innocence at Apple Computer』フランク・ローズ著(日本語訳『エデンの西-アップル・コンピュータの野望と相剋』)
Webサイト(英語です):・CNetのApple Turns 30 Timeline
・WikipediaのLisa、Mac、Steve Jobsの記事
・YouTubeのSteve Jobs Stanford Commencement Speech 2005
・ニューヨークタイムズ紙、NeXT時代のジョブズへのインタビュー
・Businessweek、1988年のスティーブ・ジョブズのプロフィール記事
前置きが長くなりましたが、本題に入ります。
1955年1955年2月24日、スティーブン・ポール・ジョブズは生まれました。彼はポール・ジョブズとその妻クララの養子となり、サンフランシスコの45th Avenueに住むこととなりました。彼の父は「立派な行い」で知られる人物で、債権回収の仕事に就く前は沿岸警備隊のエンジン室の機関士でした。彼は自動車の改造もして収入を得ていました。
スティーブは非常に活発な子供でした。子供の頃、彼はアリ退治用の薬品を飲んでしまい、病院にかつぎこまれたこともあります。養子になったことについては、彼は後年次のように言っています。「私の性格や特徴がどこからきたものだろうか? とみなさんが興味を抱くのはごく自然なことです」と。「でも全般に、私は環境による影響を重視しています。どう育ったかとか、価値観、だいたいの世界観というのは、自分の成長してきた過程で生まれてくるものだと思います。」
1963年スティーブはうっすらと自信をにじませつつ、小学校低学年時代の自分についてこう振り返っています。「小学校3年生のときの私たちを見てほしかったな。」「先生なんてこてんぱんだった。」
1965年10歳にして、スティーブのエレクトロニクスへの興味は両親の目にも明らかになりつつありました。彼はヘアピンを壁の電気ソケットに突っ込んで感電してしまったこともあります。父ポールは債権回収の仕事の規模を広げるため、家族を連れてパロアルトに引越しました。そこはシリコンバレーとして知られる、成長著しいエリアでした。
シリコンバレーで少年期を迎えることとなったスティーブは、その後どのように成長していったのでしょうか? 続きます!
Brian Lam(原文/miho)
イラスト寄稿 Sam Spratt(ポートフォリオ・Facebookファンページ)
・【ジョブズ半生記 Vol.1】スティーブはどのように生まれたか
・【ジョブズ半生記 Vol.2】悪ダチとつるみ、インドで荒修行を経て、偉大なるアップル創業までの知られざる至極のエピソード
・【ジョブズ半生記 Vol.4】ついに!初代Macが発売されました。
・【ジョブズ半生記 Vol.5】Appleを追い出され、ルーカス監督を助け、遺伝子に思いを馳せる30才のジョブズ
・【ジョブズ半生記 Vol.6】楽園追放中に運命の恋、結婚。アップル暗黒時代
・【ジョブズ半生記 Vol.7】Appleに復帰! iPodにiPad、iPhoneが登場。病気と戦いながらもジョブズ節を発揮!