辛い食べ物、好きですか? 大好きでーす!
なんで辛い食べ物ってあんなに美味しいのでしょうか。ヒィヒィ言いながら食べても、もっともっと食べたくなる。唐辛子の辛さの主成分、カプサイシン。我々をヒィヒィ言わせてるのはコイツです。この成分によって私達はまさに舌が焼けるような体験をしているのです。
なぜ辛い食べ物がこうも美味しいのか、科学者達はなぜだろうと日々考えているわけです。辛い食べ物は血圧を下げたり、時に体の痛みを和らげたり、体内の微生物をやっつけるのを助けてくれたりと、お料理のスパイスとしてだけでなく実にいろんな働きをしています。唐辛子の栽培記録は実に紀元前4000年からあるのだそうです。そんなにずっと昔から辛さに魅了され続けているわりに、我々人間は辛さと体の関係をしっかり理解しているわけではありません。
ある科学者は、我々人間は痛みにたいして惹かれる奇妙なところがあるのでは、と考えています。ペンシルベニア大学のPaul Rozin氏の最近の研究によりますと、だんだん辛さのレベルがアップする食べ物を何種か被験者に食べてもらい、どれが好きだった? ときくと、ギリギリに我慢できるくらいの辛さのレベルのものを選ぶ人が多いとのこと。つまり、舌が焼けるような体験を好んでいる、ということです。もしかして、これはスリルを楽しんでいると言う事でしょうか? Rozin氏曰く「体より意識が先にきているんです。(あまりの辛さで)体がもうダメだ、と思っても、意識ではちゃんと大丈夫だって思っているということです。」
辛いのが好きというのは、人間ならではの特質なのでしょうか? イェール大学の心理学者Paul Bloom氏は「タバスコを好む動物は人間だけだ。」と言い切ります。タバスコなんてまだまだ序の口。もっと辛いソースはそれこそ無数にあります。米国ではこの辛いソースは大きなビジネス市場。スーパーに行けば多種多様な辛ソースを手にすることができます。さらにこの辛いブームはスナック菓子からコジャレたレストランまで幅広くで見られます。
さて、大人気な激辛フードビジネスはひとまず置いておいて、動物が避けて通る辛い食べ物。辛い食べ物を楽しむことがない動物達。なぜ人間だけ辛いものに魅了されるのでしょうねぇ。
科学者の研究によりますと、毒蜘蛛が身を守るために敵を毒をもって刺すのと同じように、唐辛子は辛さでもって敵からかじられないようにしているのだそうです。ところがどっこい、人間はその辛さをよろこびすっかり虜になってしまいました。人間ってひねくれた動物なのでしょうか? 人間は火を扱える唯一の動物、と同じように人間は辛さに魅力を見いだせる唯一の動物なのでしょうな。辛いものが好きってことはより動物として人間らしいってことなのかな? さて、寒くなってきたから火鍋なんて食べたいねぇ。
Photo by Tambako the Jaguar
Sam Biddle(原文/そうこ)