寛大なるマイクロソフト様が、われわれGizmodo編集部に、少しの間Zuneを実際に触ってみるチャンスをくださいました。
以下、「続きを読む」クリック後に、詳細なレビューを掲載します。
外観はゴム引きのプラスティック。ケースではなく中身をペイントしているようで、これによってZuneが2色遣いのデザインに見えるという工夫がなされています。見た目も良く、触り心地もグーです。
角が少し光っているように見えるのは「ダブルショット・エフェクト」といって、内側の半径と外側の半径を微妙に違えることによって生まれる効果だそうです。
さて、ここでビッグニュースがあります。「Zuneは、その中身をどんどんアップグレードしていくことができる」そうです。どうやってかって? 以下に説明しましょう。
マイクロソフトがZuneに仕込んだWi-Fi機能、今現在は特に注目されていませんが、これこそが、Zuneの様々な可能性、つまり「インターネット経由での曲の共有」「ワイヤレスでコンピューターと同期」「音楽やビデオを他のデバイスにストリーム」などなどの機能を実現するキーとなるのです。Zune内部のソフトウェアをアップグレードすることによって、可能性を広げる。そのために、Zune自体はシンプルで直感的に扱えるようなデザインにしておく。マイクロソフトはそのように考えているようです。
ユーザーインターフェイスはなかなか軽快でした。ナビゲーションには、ズームやスライドなどの、さまざまな視覚効果が、操作の邪魔にならない程度に使われています。クリックパッドは悪くはない出来です。ただ、iPodのようなタッチセンシティブホイールのほうがいいかな。「ファイルを送る」「画像を送る」といった、コミュニティ系のオプションメニューが、あちこちで見受けられます。「send」メニューを使うと、いま聞いている曲を近くのZuneに送ることができます。総じてユーザーインターフェイスはよくできていて、iPodユーザーがZuneに乗り換えたとしても、まごつくことはないでしょう。
Zuneの画面は明るく、屋外でも充分使用できます。反射もほとんどありません。映画や画像の再生もスムーズでした。ユーザーがスライドショーやムービーを再生すると、自動的に画面が横向きモードに切り替わります。画像を大きく表示すると、自動的にトリミングされます。また、友だちにWi-Fiで画像を送ると、自動的に画像が縮小されます。Zuneは縦でも横でも、たいへん持ちやすいです。
Zuneには、2つの新しいコンセプトが導入されています。「Inbox」と「Flagging」です。「Inbox」とは、他のZuneから受け取った画像や曲が保管される場所です。受け取った曲はそこから再生することになります。パソコンのInboxへ転送することもできます。「Flagging」は、曲に付箋をつける感覚でチェックしておける機能です。Flaggingした曲は、パソコンと同期を取ると、パソコン上ですぐにそれと判るようになっています。たとえばこんな時に使います。「電車の中でシャッフルで聞いてたとき、5番目に流れたのは何だっけ?」「そうそうフラグしといたよな」。Zune Marketplaceでは、iTunesのような「recettly played(最近聞いた曲リスト)」がないので、この機能が使われることは多いように思います。
ZuneにとってのiTunes+ITMS、「Zune Marketplace」もじっくり偵察してきました。ZuneはMarketplaceのみで使えるような仕様となっています。つまりナップスターなどのサードパーティーの音楽サービスは使えないということです。しかしZune Marketplaceはシンプルで、必要最低限のアイコンやリンクですべきことができるようになっています。たぶんiTunesを相当調べあげ、問題点を改良したのでしょう。
ところで、今まであまり語られていない機能として、「Guesting」があります。これは、自分のZune Marketplaceに、友だちのZune Marketplaceのアカウントを、2人または5人分まで登録できる機能です。友だち登録されたZuneのアカウントは、期間・回数の制限ナシで、無制限に音楽をコピーできるようです。
Zune Marketplaceの値付けは、Xboxのマーケットプレイス・ポイントと同じものになるようです。1曲79ポイント(1ドル)というのを見かけました。また、$15/月でコンテンツをリースするというプランもあります。ただ、マイクロソフトは、会費制のプランはあまり宣伝しないでしょう。ですので、Zune Marketplaceで曲を購入する際には、いちど現金をポイントに変える必要があります。360のサイトではポイント制度は幅広く受け入れられていると書いてありますが、個人的な感想としては、とてもそうとは思えません…いちいちポイントを購入する必要があることに対する不満は、何度も耳にしたことがあります。マイクロソフト側は「400万人もの方がご購入されているので、さまざまな方がいらっしゃいます」と言っていますが…そりゃあ、ポイントがないと何も買えないのだから、しかたなくポイントは使いますよね。
iTunesにはないクールな機能は「pre-rated」または「community rankings」でしょうか。Zune Marketplaceで買った曲は、既に5つ星でランク付けがされています。この青い星は他の人のつけたランク付け(曲の人気度、記事のランキング)をアルゴリズム処理して付けられているそうです。そして、もしあなたのZune Marketplaceのライブラリーが、Zune本体の容量を超えていたら、Zune suiteでを使うと、ランキングに基づいて、Zuneに登録する楽曲の優先順位をつけてくれます。iTunesのスマートプレイリスト機能も好きだですが、たいていの人は3000曲の全てを採点なんてできないだろうから、スマートプレイリストみたいな機能が実現されてなくても、文句はありません。
また、マイクロソフトは有名な音楽業界の人たちに、Zune Marketplace向けの音楽記事を書いてもらうそうです。アルバムのレビューだとか、曲のランキングだとか、アーティスト紹介だとか、そういったものだと思います。
検索機能はなかなか軽快。インターフェイスがライブラリー側とStore側で統一されているのが使いやすいです。Zuneではこれを「community」と呼んでいる様子。例えば、自分のライブラリーで、とあるアーティストを探すとします。もし自分のライブラリーになければ、マーケットプレイスの該当アーティストのリンクが表示されるという仕組み。もうひとつの便利機能はアルバムやフォルダの表示方法。なんというかCDを積み重ねたような形の表示なので、この下に何枚入ってるか一目瞭然です。
その他:ムービーストアはまだありません。Zune Marketplaceは、iTunesのようにWindows Media Playerと完全統合されてオールインワンパッケージになることはないでしょう。ZuneのソフトからXbox 360にデータを流すことは可能。ただしオプションメニューで設定が必要。またはZuneと360を直接USB接続もできます。電話機能は今のところナシ。
総評としては、なかなか期待できるないようだと思いました。Zune本体にもMarketplaceにも、特に「ちょっと待ってよ。なんでそんなことするの?」と突っ込みたくなるようなダメステップは見当たりません。ハード自体もなかなか魅力的で触った感じもグー。重すぎもしません。早くもっといじりたいなー。