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徹底レビュー『地球壊滅的B級カノジョ』(後編)プロのパチスロプレイヤーにスロットRPGの感想を聞いてみた

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徹底レビュー『地球壊滅的B級カノジョ』(前編)では、自分が今まで様々なソーシャルゲームをプレイしてきた経験から、『地球壊滅的B級カノジョ』があまりよくない、ということを書いた。
しかし、おそらくパチスロ系のユーザーがターゲットになっていると思われ、自分はそのターゲットではない。

ということで、後編はパチスロのプロの目線からこのゲームの感想をいただく。
ある意味答え合わせ編といってもいいのかもしれない。
今回はこのゲームがパチスロ層を狙っているとしたら、という前提でソーシャルゲームを通じて知り合ったパチスロのプロ、Sさんにゲームを見てもらうことになった。

−まずはSさんのプロフィ−ルをお願いします。
2年ほどパチスロ店の社員として働いた後、パチスロのプロとして生活してきました。
ソーシャルゲームはパズドラ、パズドラ系と言われるゲーム、あとはミリオンアーサーなどいわゆるポチポチゲーも過去はかなりやりましたね。


−ソーシャルゲームをかなりプレイされてますね。
パチスロをプレイしていると店内に必然的に長くいることになるので、スロットを回しながらできる娯楽を探すわけです。
ガラケー時代からパチスロシミュレーターがあったのですが、スマホの性能が上がって、パチスロのシミュレーターの質が良くなったので携帯がゲーム機として認識されて、ゲームにハマるという流れがあったと思います。

ポチポチはスロットと相性が良かったんですよ。
スロットを回しながらできるから。


−え、スロットは回しながらゲームできるんですか?
基本的には片手でできるし、慣れると音や演出でわかるので画面をあまり見ないでプレイするんですよ。
ちらっと見ますけども、プレイ中の7割ぐらいはスロットを見ていないんじゃないですかね。
しかも、見る時間の大部分は設定判別(※当たりやすい台を探す作業)や大当たりとかの時に集中しているので、それ以外の時はほぼ見ていないといってもいいです。
そこで、他のゲームをやる余地が生まれます。


−Sさんはソーシャルゲームを結構プレイされているようですが、実際他のスロットプレイヤーの方もソーシャルゲームをプレイするのでしょうか。
パチスロというのは、台を決めると長い時間そこに座っているので、慣れてくると周囲のプレイヤーと顔なじみになって、会話が生まれるんですね。
で、会話以外の娯楽として先ほど言った通り携帯でゲームというのがある。
1人のプレイヤーが始めると仲良くなったグル−プが「俺も俺も」とみんなで始めて、ソーシャルゲームが流行り易いんです。

会話しながらみんなでプレイしているし、招待する相手も沢山いるので普通の方よりスムーズにゲームが進んで楽しめる環境も手伝っているかもしれませんね。
みんなで農園系とかポチポチとか手伝いながらプレイしていますよ。
私が知る限りパチスロ店常連の8割ぐらいの方がソーシャルゲームをプレイしていて、普及率は非常に高いと思います。


−AppStoreで見ると、パチンコ・パチスロアプリが安定して上位にいるのが印象的なのですが、実際パチスロのプレイヤーはそういったアプリをどう見ているのでしょうか。
AppStoreで1000円は高いとか聞きましたが、パチスロユーザーにとって1000円は数分で消えるものなので…。
ゲームセンターで言うワンコインですか。
なので、それでシミュレーターが買えると聞けば別に高くないわけです。
パチスロのユーザーから見ると1000円は安いので、それでシミュレーターが購入できるなら「おお、俺もやる」と購入する感じですね。


−なるほど、では、B級彼女についてお話を聞いて行きたいと思います。
記事を拝見しましたが、まずパチスロユーザーがターゲットになっている前提で、その層が金を持っているかというところで言えば、なくても金を落とす特別な環境ですね。
1000円ワンコインの感覚なのでお金の最低使用単位が1000円からですし、前日にスロットで5万負けたあとで翌日5万勝って「今日は儲かったから金使うわ」と課金するような感覚の方もそこそこいて、一般よりも財布の紐が緩い環境なんです。

そういう意味で600円が高い安いの議論をしている層を相手にするよりは売れるのかもしれないですね。


−パチスロユーザーがターゲットになっている、というところについてはどうでしょうか。
少なくとも告知を見る限りパチンコ・スロット店を露骨に意識していることは間違いないですね。
また、スタート時の告知「金塊1億円分」のキャンペーンも、現実に直すと金塊120万個をログインしているプレイヤーに分配します、ということで最近のゲームでは別に気前がいいというほどではないんですね。
7/1までということでプレイヤー1人あたり5個程度。
大きな数字を見せることで凄そうにするパチンコ・スロット店でよく使われるテクニックです。
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▲B級カノジョの告知


−なるほど、年齢層についてはいかがでしょうか。
20代〜50代がタ−ゲットと記事で書いてらっしゃいましたが、実際のパチンコ・パチスロ店は60代ぐらいまでの方もかなりいらっしゃいます。
ただし、パチスロを打つ方は20代〜40代がメインなので舞台設定やボスキャラはやや上を狙いすぎている気がしました。
あとは先に言いました通り、パチスロシミュレーターをプレイするという流れで、比較的高年齢層の方でも、パチンコ・スロットをプレイされている方はスマホに切り替えている方が多く、スマホゲームでタ−ゲットにするのはなくはないと思いましたね。


−パチスロユーザーは、スマホに関しては先進的なんですね。それでは、イラストについては?
パチスロの萌えを切り開いた“RIO”というキャラクタ−を押し出したシリ−ズがあるのですが、登場時はこのゲームに近いイラストの塗りでした。
当時の業界としては衝撃的に萌えに寄っていたのと、独自のシステムで新境地を切り開いて人気を博した経緯があり、そういう意味ではナシではありません。


−おお!自分の中では「最近の人は無理ではないか?」という思いがあったのですが、ありだったんですね。
シリーズを重ねるに連れてRIOもアニメ的な近代の萌えイラストに近づいてきました。
後続のお色気系であるマジカルハロウィンなども近代的な萌え絵やお色気の台で、こんな渋い感じのイラストの機種は最近あまり見ません。
パチスロで言えば「昔はありだったけど、売れ線ではないの作られなくなった」といったところでしょうか。

私は萌えとは思いませんが、お色気系のイラストとして違和感・拒否感を感じません。


−では、受け入れられる土壌はある感じですね。
はい。
ただし、ちょっと流行は追えてないという感じですね。
このテイストを好きな人自体は多くはないのかなとは思います。
今、この絵をメインにパチスロ台を企画したら、ニッチを狙う企画としてしか通らない気はします。


−では、ゲーム部分についてお願いします。ゲーム部分の感想はいかがでしょうか。
ソーシャルプレイヤーとして気になるところもありますが、今回はスロット・パチスロの観点だけで回答させていただきます。
まず、リールの動きがぶつ切れたり、効果音がぶつ切れだったり、スロットアプリとしてイマイチなところが気になりました。

そして、ゲーム部分を語るに当ってはこれが「パチスロなのか?」というところから考えて行かないといけませんね。
ゲームキャストさんでは、ボタンを押して止めたる要素があるのでパチスロ、という考え方のようですが、私はこれをスロット的だと考えています。


−自分はリーチ演出があったり、ボタンを押して止める要素がある簡易化されたパチスロと感じたのですが…。
様々な機種があって、プレイヤーの介入度合いが小さいものもあるので、ゲームキャストさんの定義も決して間違いではないと思います。

これは私の考えですが、パチスロの人気の秘訣はプレイしている感覚というか、止めるタイミングなどプレイヤーが介入している感覚があるというところなのではないか、と思っています。
一概に言えませんが、期待度の高い演出がくると演出と合わせて押すこともあり、これはある意味タイミングゲームのような映像とボタンによるエンターテイメントですよね。
金をかけている部分が大きいですが、それでもそういった仕掛けがあることでより面白くなるわけです。

そう思ってこのゲームを見ると、このゲームのスロットは西洋式のスロットに近いんですね。
西洋式のスロットはコインをかけたら自動で止まって、プレイヤーが介入する余地はないんです。
あとは止まるのを眺めるだけ。

リーチ演出がくるとパチスロのようにボタンを押すタイミングが来るので完全に西洋式のスロットとも言い難いのですが…。
基本的にはプレイヤーの技術介入の余地がないように見え、パチスロ的な演出が少なく、ボタンを押す楽しさはないので西洋的と言ってもいいと思います。
西洋的スロットというと、日本で生き延びているのはゲームセンタ−のメダルコーナーぐらいで、人気が高いとは言い難いですね。

西洋的なスロットということは現実においての面白さの軸は「金が入るかもしれない」という興奮感で、くじ引きの面白さのみになるのだと思いますね。
記事にあった通りそのクジで当たるものがショボイので面白くないんだと思います。


−それでは、パチスロ層を狙えないということでしょうか?
いえ、スロットという名前がついていて豪華そうならばパチスロユーザーは目に付けばとりあえず落とし起動してくれると思います。
自分もそれで落としたので。
あとは面白ければジャンル関係なくある程度可能性はあると思います。


−結局、そこに落ち着くんですね。もっと煽るような演出を強化していけば面白くなるかもしれない、ということでしょうか。
演出の面白さの強化も確かに大きいと思います。
が、基本的な所で行くとこのゲームに最初に必要なのは説明を丁寧にすることじゃないでしょうか。
このゲームは非常に説明が不親切なんですよ。


−たしかにそれは感じました。ゲーム中、スロットがどんな役割を果たしているかわかりづらいですよね。
特に大きいのがコインボーナスだと思います。
コインが一定以上溜まった状態でステ−ジをクリアすると特別な報酬があるんですね。
そこで射幸心的なものを煽っている。

でも、それがちゃんと説明されてないからほとんどの人は777が揃っても「ボーナスが貰える」ではなくて「ステージで勝てる」以上のことは思わないのではないでしょうか。
単にクリアしてもまったく嬉しくないので、くじ引きがもっと面白くなくなってしまっている。
多分、これを理解してひたすらに回している方の中には楽しめている方もいらっしゃると思います。

この辺りを前面に出して、射幸心的なものを煽る仕組みがあったら面白くなる気がします。


−確かに、自分もそこに気づくまで時間がかかりました。で、理解してからは少しだけ面白くなった気がします。
目の前に餌をぶら下げて、図柄が揃うのを待たせるのがスロットですからね。
面白い仕組みがあっても、それに気付けないというのは不幸だと思います。

あとは本当に普通の説明ですね。
スロットを回してどんな仕組みで敵に攻撃しているか、実は私はわかってません。
あれ、どうなっているんでしょうかね。
属性の説明もよくわからなかったですし、全体的に説明不足だと感じました。


−同感です。さて、ここまでは西洋的スロットの演出を強化という流れでしたが、パチスロ的にするという方向性はあるのでしょうか。
それはまた微妙で、アプリのパチスロはオートでずっと流して、面白い演出が来るのを待つ長期スパンで遊ぶゲームなのです。
短時間で遊ぶゲームに組み込むのは難しいと思います。

すると、西洋スロットのようにレバー1回で決まる方がゲームには向いているのではないかと。
また、パチスロ層を狙うとしたら本物のパチスロの方が演出がいいわけなので、そういった意味でも西洋式がいいと思います。

−西洋式の面白さを突き詰める…つまり究極のくじ引きの面白さですか?
そうも言えるのですが…お金がかからない以上、単なるくじ引きだけじゃもう面白く無いですよね。
また、究極のくじ引きとはそのものずばりレアガチャなので、通常プレイはそれと差異をつけなければいけません。

報酬がショボイ上にプレイが完全に運だけで決まるのであれば、時間がかかって実入りも少ない面倒なくじ引きですよね。
だから、くじ引きの良さと「ゲームである強み」を混合するのがいいのかもしれません。

スロットの結果に応じて何か技が出るようなデッキ構築の楽しさとかでプレイしている感覚を出していくとか。
西洋スロットと、パチスロの演出のいいところを取って、さらにゲーム部分で「カードが欲しい」という欲求を掻き立てる方向性が見いだせればいいのかな、と思います。

ゲーム製作者ではないのであくまで素人意見ですが。


−プレイしている感覚というといわゆる“目押し”とか、でしょうか?
目押しはあまり良くないと思います。
デジタルスロットの目押しは、平面の画面を見ないといけないので現実の目押しよりも難易度が高いのです。
また、普通の人が目押しをしようとするとリールの並び順を覚えたり、回ってくるタイミングを覚える作業があります。
そんなハードな作業を毎回したいかというとしたくないですよね。

パチスロの目押しは大抵すごく緩いんですけども、それでも目押しできない人がいて、そういった人たちは永遠にふるい落とされてしまうので。

あとは、属性があるから狙う敵を決められるという意見はよく聞きますが『神狩デモンズトリガー』というゲームがまさにそれで、敵を狙えるスロットだけどいまいち面白く無いんです。
この辺りは、プロのゲーム屋さんなら自分には考えつかないアイデアで直してくれるのかなと思います。
こんなトコロでしょうか。


−ありがとうございます。お話していてすごくしっかり見てらっしゃって驚きました。
ありがとうございます。
そう思っていただけるとしたらスロットを分析して回して、まじめに向かい合うからなのかもしれませんね。
スロットと真面目に向き合うということは「なぜ、この機種が儲かるのか」「この店はどんな癖で台の設定を入れるか」考えるわけです。
店で働いていたので客層と人気のある機種の分析する癖がついていて「なぜ、この機種が人気で面白いと感じるのか」まで考えてしまう。
新台が面白いか、人気が出るか見極めて配置するのが業績に影響しましたから。

その派生でソーシャルゲームのことも仲間内で議論したり研究したりします(笑)
職業病みたいなものですね。


−ゲームに対して最後に何か一言ありますか?
『地球壊滅的B級カノジョ』についてはインタビューを振られてこのゲームに愛着が湧いたのでプレイしているのですが、いいところはイラストのクオリティが高いぐらいなので、ゲームは早急に修正して欲しいですね。

あとは、私は家では普通のゲームをしたいですけど、パチスロやりながらみんなで楽しめるゲームもやっぱり娯楽として楽しんでいるので、もっと面白くて片手間にできるゲームがいろいろ出てくれるといいと思います。

パチスロをやっている身からすると、先に言った通り店の人間は課金的に宝の山だと思いますから。
パチスロで大きく勝った日に、さっと万単位で課金してくれたりする人とかいますし(笑)

−ありがとうございました。


ということで、告知などを見る限りパチスロなどのプレイヤーを大きく狙っているのは間違いなさそう。
ゲーム好きとして自分の視点から見ても、スロットプレイヤーから見ても現時点では面白くないが、ゲーム自体は修正の方向性もありそうだ。
レベルファイブと言えば、家庭用で名を馳せたゲームメーカーなので、この辺りはプロの意地でプレイヤー側が想像していないような面白いゲームに修正してくれることを願うのみ。
Sさん、ありがとうございました。


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