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1970年代以降の高等学校工業科の実習

制度と実態・担当教員養成

1970年代以降の高等学校工業科の実習

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著者 長谷川 雅康 編著
ジャンル 教育学
出版年月日 2024/12/20
ISBN 9784762033858
判型・ページ数 A5・468ページ
定価 9,900円(本体9,000円+税)
在庫 在庫あり
40年余りの期間における高等学校工業科の変遷を教育課程と実習内容の調査結果について総括。
工業科教員の養成制度の課題も検討し、工業科の発展の方策を考察。

本書では、1975年から40年間工業科の実習教育の実態、即ち教育課程と実習、工業基礎、課題研究等のテーマ・内容について全国規模の調査結果を総括。工業科の目標転換による具体的な影響を分析している。
高等学校学習指導要領の変遷を高等学校の現場がどのように受け止め、教育内容を編成して実践に取り組んだか。
さらに、工業科発展の方策について、実習の教育的意義の考察を踏まえ、実習担当教員の養成制度などの課題を検討。
日本の高校工業教育の歴史的変遷を教育内容という断面から概観するこれまでにない教育史料。

【執筆者】
丸山剛史、佐藤史人、辰巳育男、荻野和俊、坂田桂一、竹谷尚人、疋田祥人、内田 徹、稲森龍一、石田正治
序 章
 1.新制高等学校70年余りの推移
 2.実習内容調査の経緯と概要
 3.学校における実習の歩み
 4.本書の構成

第1章 高校教育と工業科,その中での実習
 第1節 戦後の高校教育政策と工業科
  1-1 新制高等学校発足期
  (1)新制高等学校の発足,特に旧学校教育法第41条への注目
   / (2)普通科と職業学科との区別の始まりと工業学科 / (3)「工業高等学校」という呼称
   / (4)産業教育振興法の制定
  1-2 学科の多様化,普通科との分離傾向
  (1)コースの細分化,学科の多様化の始まり
   / (2)「国民所得倍増計画」による工業高校の増設,高等学校専門制度創設
   / (3)「能力・適性に応じた教育」と学科の多様化
  1-3 「専門高校」化の中の工業科
  (1)コース制の拡大,総合技術高校,総合学科等の登場
   / (2)「職業高校」から「専門高校」へ,中等教育学校制度創設,産振法改正
 第2節 高校工業科の教育課程,(特に)実習の位置づけ
  2-1 高校工業教育の形成期
  2-2 中堅技術者の育成を掲げて
  2-3 工業高校卒業生の位置づけの変化:中堅技術者から技能工へ
  2-4 代替科目の拡大による専門教育の希薄化
 第3節 産業教育振興法改正による国庫補助の廃止
  3-1 三位一体の改革と国庫補助負担金削減改革
  3-2 2005年の法改正
  3-3 2006年法改正
  3-4 安全・安心な学校づくり交付金交付要綱による国庫補助
  3-5 若干の考察
  (1)国庫補助廃止の意味 / (2)地方分権と助成制度

第2章 実習内容の歴史的変遷
 第1節 調査対象校の教育課程
  1-1 本調査の教育課程の集計結果
  1-2 教育課程の事例
  1-3 工業教科の実習関係科目の単位数実施状況
  (1)実 習 / (2)工業基礎・工業技術基礎 / (3)課題研究 / (4)製 図
  1-4 第5回の結果について
  (1)普通教科及び専門教科 / (2)工業技術基礎・工業基礎 / (3)実 習 / (4)課題研究
   / (5)製 図
 第2節 機械科・系の実習
  2-1 機械科・系の「実習」単位の変遷
  2-2 機械科・系の実験・実習内容の変遷
  (1)実習的分野の変遷 / (2)実験的分野の変遷 / (3)実習的分野と実験的分野の配分
   / (4)実習的分野の分類ごとの実施状況 / (5)実験的分野の分類ごとの実施状況
   / (6)代表的なテーマ
  2-3 考  察
  (1)実習の量的変化 / (2)実習の質的変容 / (3)原則履修科目導入の影響
 第3節 電気科・系における実験・実習の変化
  3-1 電気科における実験・実習の特徴について
  3-2 電気科における実験・実習の単位数の変化
  3-3 電気科における実験・実習の内容の変化
  (1)減少傾向にある分野 / (2)増加傾向にある分野 / (3)あまり変化がみられない分野
  3-4 電気科における実験・実習の重点的なテーマ
 第4節 電子科・系における実験・実習の変化
  4-1 電子科における実験・実習の単位数の変化
  4-2 電子科のテーマ数の変化
  4-3 電子科における実験・実習の内容の変化
  (1)減少傾向にある分野 / (2)増加傾向にある分野
  4-4 電子科における実験・実習の重点的なテーマ
  (1)全調査で5割を超えたテーマ / (2)実施率が回を追うごとに増加しているテーマ
   / (3)以前は高い実施率だったが急激に減少したテーマ
 第5節 建築科・系の実習
  5-1 建築科の実験・実習内容の変遷
 第6節 土木科・系の実習
  6-1 土木科の実験・実習内容の変遷
 第7節 化学系学科の実験・実習
  7-1 化学系学科の「実習」関係科目の単位の推移
  7-2 化学系学科の実験・実習内容の変遷
  7-3 課題研究
  7-4 考  察
 第8節 情報技術科の実習
  8-1 実験・実習の単位数
  8-2 実験・実習の内容
  (1)減少傾向にある分野 / (2)増加傾向にある分野 / (3)変化が少ない分野
 第9節 電子機械科の実習
  9-1 実習の単位数
  9-2 実習のテーマ数と具体的なテーマの実施状況
  (1) 増加・維持傾向にある実習分類 / (2) 減少傾向にある実習分類
  9-3 電子機械科の実習のまとめ
 第10節 工業基礎・工業技術基礎の変遷
  10-1 戦後の工業教育の流れ―指導要領における目標の変遷を中心に―
  10-2 実習内容調査における工業基礎・工業技術基礎
  10-3 工業基礎・工業技術基礎の変遷
  (1)工業基礎の新設 / (2)1987年調査結果に基づく工業基礎の実態
   / (3)その後の工業基礎・工業技術基礎 / (4)調査結果のまとめ / (5)考 察
 第11 節 「工業基礎」など原則履修科目導入の実習への影響
  11-1 影響が認められる学科・系について
  (1)機械科・系 / (2)土木科・系 / (3)化学系学科
  11-2 影響が認めにくい学科・系
  (1)電気科・系 / (2)電子科・系 / (3)建築科・系 / (4)情報技術科
   / (5)電子機械科

第3章 実習の実際:事例研究
 第1節 東京工業大学附属科学技術高等学校機械システム分野
   ・旧工学部附属工業高等学校機械科における実習の変遷
  1-1 機械科,機械システム分野の教育課程の変遷
  (1)第1期 / (2)第2期 / (3)第3期
  1-2 機械実習等の変遷とその特徴
  (1)第1期 / (2)第2期 / (3)第3期
  1-3 当校の課題研究
  1-4 実習を支える諸条件
  1-5 考  察
 第2節 大阪府立今宮工業高等学校機械科の実習教育
  2-1 機械科の教育課程の変遷
  (1)昭和27年度 / (2)昭和36年度 / (3)昭和39年度 / (4)昭和53年度
   / (5)昭和60年度 / (6)平成6年度 / (7)平成15年度
  2-2 機械実習の変遷と実習改革の特徴
  (1) 昭和30年代から昭和50年代まで / (2)昭和60年代から平成6年度―昭和53年指導要領改訂への対応
  2-3 考  察
 第3節 教材用スターリングエンジンの開発と展開
  3-1 スターリングエンジン教材化への動機
  3-2 1号機誕生まで
  3-3 2号機以降の製作とその経験
  3-4 この教材を使った授業と生徒の変化
  3-5 「課題研究」やものつくりの題材として
  3-6 学校外での広がり
  3-7 67号機まで続く教材研究
  3-8 教材用「スターリングエンジン」の開発がもたらした変化
  3-9 これからこの教材を作ろうとする方へ
  3-10 教材用スターリングエンジンの開発と展開を支えた要因
 第4節 工業技術基礎の旋盤実習における授業内容と実習指導の留意点
  4-1 工業技術基礎の目標と内容,教育課程編成
  4-2 愛知県立豊川工科高等学校の工業技術基礎のショップと学習テーマ
  4-3 工業技術基礎の旋盤ショップの授業のシラバス
  (1)前期第1週目 機械加工の基礎(1) / (2)前期第2週目 機械加工の基礎(2)
   / (3)後期第1週目 段付丸棒の製作(1) / (4)後期第2週目 段付丸棒の製作(2)
   / (5)後期第3週目 段付丸棒の製作(3)
  4-4 旋盤実習における指導の留意点と実技指導の勘どころ
  (1)図面の読み方 / (2)段取りと加工手順 / (3)測定器の測定方法に関する指導
   / (4)旋盤操作の基本についての指導

第4章 実験・実習担当教員の問題
 第1節 工業科教員養成の制度的課題
  1-1 工業科教員養成の現状と「特例措置」
  (1)工業科教員養成を行う大学・学部 / (2)教員免許状取得者数
   / (3)工業科教員養成と「特例措置」
  1-2 「特例措置」の課題
  (1)教育学的視点から / (2)国際的な視点から / (3)教育現場の実情から
 第2節 高等学校工業科担当教員の供給源に関して―愛知県・岩手県の場合―
  2-1 調査の概要
  2-2 愛知県立豊橋工業高等学校の場合
  2-3 岩手県立工業高等学校の場合
 第3節  工業科教員養成の視点からの大学工学部の実験・実習と工業高校の実習との比較
  ―機械系学科と電気系学科について―
  3-1 大学工学部機械工学科と工業高校機械科の実習内容の比較
   1.大学機械工学科の実習内容
   (1)名城大学理工学部機械工学科の機械工学実習
    / (2)大同大学工学部機械工学科,総合機械工学科の機械製作実習
    / (3)工学院大学工学部機械工学科の「機械実習」「機械実験及演習」
    / (4)神奈川工科大学機械工学科の「機械工学プロジェクト」,「機械及び電気工学実験」
    / (5)鹿児島大学工学部機械工学科の「機械工作実習」,「機械工学実験」
   2.工業高校機械科の実習内容と授業時間数,大学の実習との比較
   (1)工業技術基礎3単位 ※全学科共通(くくり募集のため)
    / (2)2年機械実習6単位 → 3単位×2(実習A,実習B)で実施
    / (3)3年機械実習3単位
   3.実習授業時間数の比較
  3-2  大学工学部電気系学科と工業高校電気系学科の実験・実習内容の比較
   1.実験・実習の比較の範囲と内容
   2.実施状況の比較
   (1)分野ごとの未実施率の比較 / (2)各分野の代表的なテーマの比較
   3.電気主任技術者資格の認定校について
   4.実験・実習の時間数,担当教員数等

第5章 実習の教育的意義
 第1節 卒業生の工業教育内容に対する評価
  1-1 調査の概要
  1-2 調査結果の概要
  (1)学科による分類からの特徴 / (2)進路による分類からの特徴
 第2節 工業科卒業生への面接調査
  2-1 調査方法
  2-2 面接結果
 第3節 実習の教育的意義
  3-1 能動性,目的意識性の獲得
  3-2 本物の学習意欲の形成―学習観の転換―
  3-3 人・ものとのコミュニケーション
  3-4 レポート作成による言語表現の自信
  3-5 実験による学び

終 章
 (1)高等学校学習指導要領の工業の目標・各科目の再検討を
  / (2)工業科教員養成システムの現代化と工業教育所管の拡張を
  / (3)中学校教育における技術教育の充実のために / (4)すべての高校生に技術の学びを
  / (5)人間と自然―手作業の重要性

あとがき
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