上方落語家・桂ざこばさん(昨年6月死去、享年76)の弟子で、3月に同時襲名披露する桂ひろば、桂ちょうば、桂そうばの3人が15日、大阪市北区の報知新聞大阪本社を報告のために訪れた。
ひろば(2000年入門)は「2代目桂力造(りきぞう)」、ちょうば(01年入門)は「4代目桂米之助(よねのすけ)」、そうば(05年入門)は「2代目桂惣兵衛(そうべえ)」を、それぞれ襲名する。
「力造」は落語家で「桂」を名乗った始祖・桂文治(ぶんじ、1773~1815年)さんの弟子で、約200年ぶりの名跡(みょうせき)復活となる。「惣兵衛」は、その文治さんの本名。先代の「米之助」は、ざこばさんの師匠の人間国宝・桂米朝さん(15年死去、享年89)の兄弟子にあたる。
キャリア最長のひろば改め力造は「披露公演には師匠も出ていただく予定だったので本当に残念。『落語は“気ぃ”や!』という言葉が印象に残っています」と、大きな体格にピッタリの芸名に気合を込めるつもりだ。
ちょうば改め米之助は「先代のご家族が『いつまでも空き名跡にしていられない。縁のある方に継いでもらいたい』とおっしゃられ、タイミングが合いました。師匠には『人生にムダは一つもない。失敗もプラスになる』と教えられた」と日々挑戦の気持ちも受け継ぐ。
そうば改め惣兵衛は「『―ば』で、ざこばの弟子とすぐ分かる。その“焼き印”がなくなるのはさびしいですが、よく言われた『空気の読める落語家』になりたい」と、それぞれ師匠からの学びを高座で表現していく。
3人は入門の年は違うが、偶然にも同じ1978年生まれの46歳。
所属する米朝事務所を代表して、後見人として桂南光、ざこばさんの筆頭弟子・桂塩鯛(しおだい)も来社した。南光は「襲名は2年以上前から、ざこば兄さんと相談していました。それぞれの個性があるので、継ぐ名前は本人たちに任せた。兄さんのイズムが根底にあるので、いい落語家になるのは間違いない」と、さらなる向上を期待した。
兄弟子・塩鯛は「一門で名前を変えたのは僕だけだったので、めでたい。一丸となって前進していきたい」と喜んだ。
襲名披露公演は3月20日、米朝一門の“本拠地”のサンケイホールブリーゼ(大阪・梅田)で開催され、桂米団治、上方落語協会会長・笑福亭仁智も口上に並ぶ。