久しぶりにシングルCDを購入した。3曲入りのマキシシングルで、

1. シングル曲
2. カップリング曲
3. シングル曲のinstrumental

という内容であった。
さて、今さらながら疑問に思ったのだが、3曲目に収録されている“instrumental”って何のためにあるのだろう?

ご存知だろうが、instrumentalとは楽曲のボーカルが入っていないバージョンのことである。8センチCD時代(短冊CD時代)は、「Original Karaoke」というカラオケ練習用のバージョンが収録されていたが、それとinstrumentalは違うのだろうか?

株式会社ワーナーミュージック・ジャパンの広報担当者に聞いてみた。

「正直、instrmentalとOriginal Karaokeに違いはありません。呼び方を変えているだけで、収録している意図も同じです」とのこと。

なるほど、つまりinstrumentalもカラオケの練習用ということか。では、その必要性はどうなのだろう? 空前のカラオケブームが去った今でも、カラオケ用のinstrumentalは必要と考えているのであろうか?

「instrumentalが必要か必要でないかは、作品を担当するディレクターの判断となります。アーティストのイメージや、作品の傾向など、色々なことを検討した結果、収録するかを決めています」と(株)ワーナーミュージック・ジャパンの担当者。

(株)ワーナーミュージック・ジャパンでは、「ある種、先鋭的なアーティストには、カラオケ用のinstrumentalは似合わない」と考えているようだ。ワーナー所属アーティストで例えると、コーネリアスの作品にカラオケ用のinstrumentalはあまり必要ではないといった感じらしい。逆に、「世代・時代を超えてカラオケの需要がある」と判断された場合は、instrumentalは収録される。同じくワーナー所属アーティストで例えると、竹内まりやなどがそれにあたる。

やたらめったらinstrumentalを入れているわけではなく、必要であると判断したものにだけ収録しているようだ。

また、ヒップホップやR&Bなどのバックトラックがある楽曲の場合、instrumentalはカラオケ以外の需要があると聞いた。

知り合いのトラックメイカー(バックトラックを作る人)はこう語る。
「ヒップホップファンの中にはトラックだけ、つまりラップが入っていないinstrumentalを楽しみたいっていう人が多くいるんです。また、作っているほうとしてもトラックだけを聞いてほしいっていうのは正直ありますね」とのこと。

さらに、
「シングル盤に入っているinstrumentalは、『これを使って好きにラップしてもいいよ』っていう意味もあると思います。ラップをやり初めの頃はトラックを作る機材とかも持ってませんからね、シングルに入っているinstrumentalは結構貴重なんですよ」だそうだ。他にもレゲエなどでは、シングルのB面に「ヴァージョン」という、ボーカルを抜いた楽曲を収録することが多いとか。

“シングルの3曲目”という指定席にしっかりと居座るinstrumental。その存在を必要としている人たちは結構いるみたいです。
(ドープたつま/studio woofoo)

※マキシシングルでも「instrumental」ではなく「Original Karaoke」などという表記をしている作品もあります
編集部おすすめ