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瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく対策

瀬戸内海の環境保全対策については、 瀬戸内海環境保全特別措置法及び瀬戸内海環境保全基本計画に基づく各種の施策を講じており、 その概要は次のとおりである。

─瀬戸内海環境保全特別措置法の概要─

瀬戸内海環境保全臨時措置法(昭和48.10.2 公布、昭和48.11.2 施行)
瀬戸内海環境保全特別措置法(※最新の改正法 令和3.6.9 公布、令和4.4.1 施行)

瀬戸内海は、古くからすぐれた自然の景勝地であるとともに貴重な漁業資源の宝庫であるという恵まれた自然条件を有している。しかし、その周辺に産業や人口が集中した昭和40年代に水質の汚濁等が急速に進行したことなどを背景に、水質保全対策等を強力に推進することが要請された。このため、昭和48年に瀬戸内海環境保全臨時措置法が制定され、瀬戸内海の環境保全に取り組んできた。その後、継続的な取組みの必要性から、昭和53年には、瀬戸内海環境保全特別措置法が制定された。瀬戸内海の有する価値や機能が最大限に発揮された「豊かな海」とする考え方が明確にされ、瀬戸内海の環境保全に関する基本理念の新設、具体的施策の追加等の措置を講ずることとされた。また、中央環境審議会においては、「きれいで豊かな瀬戸内海の確保」に向けた科学的知見の整理や各種課題への対応方策等が令和2年3月に答申として取りまとめられ、さらに、制度の見直しの方向性を示した意見具申が令和3年1月に取りまとめられた。これらを踏まえ、令和3年6月に改正法が成立・公布され、令和4年4月に施行された。

  1. 1.瀬戸内海の環境の保全に関する基本となるべき計画(法第3~4条)
    政府は瀬戸内海の環境保全に関する基本計画を策定し、関係府県知事は第二条の二の基本理念にのっとり、かつ、基本計画に基づき府県計画を定めることとされている。これまで、昭和53年に基本計画が策定され、令和4年に変更された。
  2. 2.特定施設の設置及び変更の許可制度(法第5~10条)
    特定施設を設置しようとする者は、府県知事又は政令市長の許可を受けなければならないこととされている。
  3. 3.指定物質に係る削減指導(法12条の3)
    りんについて昭和54年以降、窒素について平成8年以降、削減指導を実施してきた。現在の第9次水質総量削減では、CODに加えて窒素、りんについても汚濁負荷の削減を図っている。
  4. 4.栄養塩類管理制度(法第12条の6~11)
    栄養塩類の不足等によるノリの色落ち等の問題が一部海域で生じていることを受け、関係府県知事が栄養塩類の管理に関する計画を策定し、これに基づき周辺環境の保全と調和した形で特定の海域への栄養塩類供給を可能とする栄養塩類管理制度を創設した。これにより、栄養塩類について海域ごと、季節ごとのきめ細かな管理を順応的に行うことで、水環境の保全を図りつつ、生物多様性、生物生産性(将来にわたる多様な水産資源の確保)に貢献することを目指している。
  5. 5.自然海浜保全地区(法第12条の13,14)
    府県が条例に基づき自然海浜保全地区を指定することとされている。(令和5年8月末現在91地区)
  6. 6.埋立てについての特別の配慮(法13条)
    公有水面の埋立ての免許について、府県知事は、第2条の2第1項の瀬戸内海の特殊性につき十分配慮しなければならないものとされている。
  7. 7.その他
    ①下水道及び廃棄物の処理施設の整備の促進(法第14条)
    ②漂流ごみ等の除去・発生抑制等の対策の連携(法第16条の2)
    ③海難等による油の排出防止(法第17条)
    ④環境保全技術開発等の促進(法第18条)
    ⑤赤潮等による漁業被害者の救済(法第19条)

注)瀬戸内海関係府県:京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、大分県(2府11県)

瀬戸内海環境保全基本計画

瀬戸内海環境保全基本計画


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