報道発表資料

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2024年12月02日
  • 水・土壌

プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第5回政府間交渉委員会の結果概要

 2024年11月25日から同年12月1日まで、大韓民国(韓国)の釜山において、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第5回政府間交渉委員会(INC5)が開催されたところ、会合の概要は以下のとおりです。
 この会合には、177か国の国連加盟国、関係国際機関、NGO等約3800人が参加登録をし、日本からは、外務省(中村 和彦地球規模課題審議官他)、経済産業省(田尻 貴裕GXグループ審議官他)、環境省(松澤 裕地球環境審議官、小川 眞佐子特別国際交渉官他)、農林水産省から構成される政府代表団が出席しました。

■会合概要

(1) 2022年に採択された国連環境総会決議においては、プラスチック汚染に関する条約の策定について、2024年末までに作業完了を目指すとされており、今回のINC5において、精力的な交渉が行われました。

(2) 今回のINC5では、INC議長が非公式に提示した条文案を元に、INC4で作成された統合条約案を参照しつつ、前文から最終規定に至るまで条約全体の案文について、交渉が行われました。11月29日には、それまでの議論を踏まえて改めて議長から条文案が提示され、更に交渉が行われました。
 この過程において、
 ① 目的(第1条)、製品設計(第5条)、放出・流出(第7条)、廃棄物管理(第8条)、既存のプラスチック汚染(第9条)、公正な移行(第10条)、履行・遵守(第13条)、国別行動計画(第14条)等については、具体的な文言交渉を通じて条文案の最終化に向けた議論が進展しました。
 ② 他方で、プラスチック製品(第3条)、供給(第6条)、資金(第11条)等については、各国間の意見の懸隔が大きく、意見集約は行われませんでした。

(3) この結果、最終日の12月1日には、それまでの議論を踏まえてINC議長から条文案が再度提示されましたが、合意には至りませんでした。このため、今後、再開会合を開催し交渉を継続することとし、議長の条文案を同再開会合における交渉の「出発点」とすること、また、条文案全体が引き続き交渉対象であることが確認されました。

(4) 日本からは、今回の会合において、
 ① プラスチックのライフサイクル全体での取組の促進、
 ② プラスチック製品及びプラスチック製品に使われる化学物質に関する共通基準の明確化、
 ③ 各国におけるプラスチック資源循環の促進、
 ④ 環境に配慮した製品設計、リデュース・リユース・リサイクルの促進、
 ⑤ 適正な廃棄物管理(拡大生産者責任(EPR)制度を含む)にかかる各国の義務、
 ⑥ 国別行動計画の作成・更新、報告及びレビュー、
 ⑦ 全ての資金源からの資源動員
 等の重要性について指摘しつつ、積極的に条約交渉に関与しました。また、再開会合においても、引き続き、積極的に貢献していく旨述べました。
 また、会合期間中、小野洋環境省参与が、アジア太平洋地域の代表理事(副議長)として定期的に地域会合を主催しました。

【参考1】プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書策定に向けた政府間交渉委員会(INC)の概要

  2022年3月の第5回国連環境総会再開セッションにおいて、「プラスチック汚染を終わらせる:法的拘束力のある国際約束に向けて」が採択され、INCを設置することを決定しました。

 INCは、2022年11月から2024年末までに5回開催され、国際文書(条約)の策定に係る作業の完了を目指すこととしていました。INC5までに、2022年11月にウルグアイ東方共和国でINC1が、2023年5月にフランス共和国でINC2が、同年11月にケニア共和国でINC3が、2024年4月にカナダでINC4が、それぞれ開催されました。

【参考2】代表理事(副議長)

 INCでは、各地域(アジア太平洋、アフリカ、中南米、西欧・その他、東欧、小島嶼国)から計10名の代表理事(副議長)が選出され、議長と共に委員会の運営等の役割を担当。我が国からは、小野洋環境省参与がアジア太平洋地域の代表理事(副議長)を務めています。

【参考3】INC5において提出した日本のナショナルステートメント(英語)(PDF)

連絡先

環境省水・大気環境局海洋環境課
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8304
課長
水谷 好洋
交渉官
小林 豪
水・大気環境局海洋環境課 海洋プラスチック汚染対策室
直通
03-6205-4934
室長
中山 直樹
室長補佐
長谷 代子
室長補佐
市川 智子
係長
宮﨑 一騎