報道発表資料
本件については、環境庁、神奈川県及び藤沢市が連絡調整会議を設置し、一連の行政調査等の結果に基づき汚染原因の解明、今後の汚染防止対策等について検討してきたが、5月31日の第4回会議で、次のとおり調査検討の結果をとりまとめ、行政対応の方針を決定した。これを受けて、神奈川県知事及び藤沢市長から(株)荏原製作所に対し、勧告を行った。
1 汚染の原因等
(1) | 引地川水系稲荷雨水幹線の高濃度ダイオキシン類汚染の原因は、(株)荏原製作所藤沢工場に設置された廃棄物焼却炉(流動床炉)のスクラバー(廃ガス洗浄施設)排水が、未処理のまま雨水管を通じて排出されていたことによる。 |
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(2) | 当該流動床炉は平成4年に設置されたが、その際の工事で汚水の受入施設(油水分離槽)が工場内の雨水管に誤接続され、翌5年7月にスクラバーの設置・運転が開始されるに伴い、その排水が油水分離槽、雨水管を経由して稲荷雨水幹線に排出されるに至ったもの。 |
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(3) | この流動床炉の運転が始まった平成4年11月から、これが停止された本年3月までの7年5ヶ月の間に、同工場から環境中に排出されたダイオキシン類の総量は、水系に3.0g-TEQ、大気に1.4g-TEQの合計4.4g-TEQと推計される。 |
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(4) | また、今回の一連の調査結果から、同工場内には他にも排水系統の誤接続が認められたほか、総合排水処理施設の能力が不足しているなどの排水管理上の問題があることが判明した。 |
2 周辺環境調査の結果
(1) | 周辺環境調査の結果や利水実態等から判断して、周辺地域での日常生活、周辺海域での海水浴等のレジャー活動及び周辺海域で水揚げされる魚介類の摂取によって、健康に影響が生じるおそれはないものと判断される。ただし、引地川の魚類は比較的高濃度のダイオキシン類が検出されていることから、食用に供さないことが望ましい。 |
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(2) | 3月23日の流動床炉の運転停止以降、稲荷雨水幹線及び引地川のダイオキシン類濃度は改善されてきたが、なお水質環境基準を超える状況にあること等から、引き続き環境調査を実施し、状況の推移を把握することとした。 |
3 事業者に対する行政措置
以上の調査結果を踏まえ、また、本件事件の重大性に鑑み、(株)荏原製作所に対しては、関係法令を施行する神奈川県知事及び藤沢市長から、本日、次の事項を主たる内容とする勧告を行った。
[1] | ダイオキシン類対策特別措置法等に基づく水質排出基準を確実に遵守するよう速やかに排水処理施設を改善・整備すること |
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[2] | すべての施設、建屋等について、雨水と汚水を完全に分離するとともに、すべての汚水が排水処理施設に集水されそれが確実に処理されることとなるよう措置すること |
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[3] | 公共用水域に排出するすべての排水及び汚泥埋立地周辺の地下水質の監視測定を行うこと |
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[4] | 社を挙げて排水及び廃棄物の管理体制を抜本的に見直し、改善・強化すること |
4 今後の行政対応
(1) | 神奈川県及び藤沢市は、前述の勧告に基づき事業者が行う措置の履行状況について点検を行うほか、今後とも環境モニタリング等を実施し、その結果を踏まえてさらなる汚染対策の必要性について検討を行うこととする。また、連絡調整会議も必要に応じて開催し、協議・調整に当たるものとする。 |
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(2) | 神奈川県及び藤沢市においては、それぞれ設置している対策本部を当面存続させ、引き続き地域住民等への的確な情報提供に努めるとともに、相談に応ずることとする。 |
添付資料
- 連絡先
- 環境庁引地川水系ダイオキシン汚染事件対策連絡調整会議
(環境庁水質保全局水質規制課)
課 長 :吉田 徳久(6640)
課長補佐 :川端 毅生(6643)
(環境庁水質保全局水質管理課)
課 長 :小沢 典夫(6630)
課長補佐 :内藤 克彦(6631)