報道発表資料
平成25年3月に開催予定の絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)第16回締約国会議(COP16)において、附属書IIへのリュウキュウヤマガメの掲載を提案することとしました。
ワシントン条約事務局に対して、提案書を提出したのでお知らせします。
1.概要
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)では、締約国会議において国際取引の規制対象となる種を掲げた附属書の改正を行っています(条約の概要は参考資料参照)。
平成25年3月にタイのバンコクで開催される予定の第16回締約国会議(COP16)において、我が国からリュウキュウヤマガメの附属書IIへの掲載を提案することとし、ワシントン条約事務局(ジュネーブ)に提案書(英語)を提出しました。
なお、本提案について9月10日から9月25日までパブリックコメントを行ったところ、計2件の御意見をいただきました。御意見の内容は、附属書IIへの掲載に賛成する御意見が1件、附属書Iへの掲載にすべきとの御意見が1件でした。
2.提案内容の概要
沖縄諸島の沖縄島、渡嘉敷島、久米島の限定的な地域のみに分布する我が国固有のリュウキュウヤマガメをCITES附属書IIに掲載を提案します。
本種は、自然度の高い森林内やその周辺を主要な生息場所としており、これらの生息場所となる湿潤な森林の縮小や林床の乾燥化の影響により、生息域の縮小、生息密度の低下が懸念されています。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストではEndangered、日本の環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に分類されています。
本種は、国の天然記念物として文化財保護法により捕獲や移動等が規制されており、商業目的での利用は原則認められていません。一方で、海外で同種が販売されていることがIUCNやトラフィック等の国際機関の調査によって確認され、これらの国際取引が同種の違法捕獲を誘発している可能性が高いことが指摘されています。このため、本種の保護のために、本種の国際取引の規制と監視が必要です。
なお、本種は人工繁殖も不可能ではないことから、捕獲規制がかかる1975年以前の日本産個体及びその個体から繁殖した個体が、日本を除く国際市場で流通することも想定されます。これらの合法的な繁殖個体のみが適切に国際取引され、国際取引が野生下の同種の存続に影響を与えないことが重要であるため、本種を附属書IIに掲載し、違法な取引を締約国の協力により効果的に排除するとともに、生息国以外での国同士による商業目的での繁殖個体の合法的な取引が存在するのであれば、そのモニタリングを可能にすることを提案します。
野生個体の商業目的の取引の割当量はゼロとします。また日本からは飼育繁殖個体についても商業目的での輸出割当量はゼロとします。
3.今後の予定
各国から提出された提案書は順次、ワシントン条約事務局のホームページに掲載される予定です。提案書の内容は、平成25年3月3日から14日にかけてタイのバンコクで開催されるCOP16で議論されることとなります。
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課
(直通:03-5521-8283)
課長 :中島 慶二 (内:6460)
課長補佐:山本 麻衣 (内:6475)
担当 :荒牧 まりさ (内:6462)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成24年9月10日
- ワシントン条約附属書への掲載提案に対する意見の募集について(お知らせ)