社会科学入門2024後期12研究方法(6)モデル分析と歴史分析

12研究方法(6)モデル分析と歴史分析
■モデルとは何か
経済学の基本モデル(『マンキュー入門経済学』第3版より)


怖じ気づいてはいけない。2つの変数の関係(つまり関係は1つ)を考えているだけ。

■モデル分析とは何か

ワイスバーグによるとモデルには3種類ある。
(1)具象モデル(実物の縮小模型、モデル生物)
(2)数理モデル(解釈された数学的構造)
(3)数値計算モデル(計量モデル)
→シミュレーション(現実に起こりうることをなるべく)
南海トラフ地震のシミュレーション

理論モデルは変数を少なくし理想化することで現実からの乖離する。乖離することで思考を自由にできる。暫定的。役に立てばよし。
計量モデルと数理モデルの関係。
追加すると
(4)図表モデル
(5)言葉のモデル
■概念図
パーソンズ




ガルトゥングの「暴力、平和、平和研究」論文(「構造的暴力」という概念の提案)

では、なぜヨーロッパ生まれの近代科学はこのように迂回して考えるのか?
それを100年前に歴史分析で解明したのがマックス・ウェーバー。

■歴史分析
固有性と複雑性をそのままに。個性記述的。
時間の流れには逆らえない。
マックス・ウェーバー(ヴェーバー)
方法化の習慣、方法の自立、いったん事実から離れる。
遠近法や平均律のように。
ウェーバーの合理化論
 そもそも近代西欧においてのみ生じた特殊なことがある。それは独特の〈合理化〉である。「西欧に特有の合理化」
 ウェーバーは『宗教社会学論集』の有名な「序言」のなかで、つぎのように問うている。要約すると「なぜヨーロッパ以外の地では、科学・芸術・国家・経済の発展が、西欧に特有の合理化の道をたどらなかったのか」ウェーバーは、この西欧に特有な合理化」の結果生まれたものとして、つぎのようなものをあげている。

経済における資本主義的企業――形式的に自由な労働・合理的経営形態・家政と経営の分離・合理的な簿記
行政における官僚制組織
国家における議会制度・憲法・合理的法体系
学問における近代自然科学――数学的な表現と基礎づけ・実験による検証・組織的研究の場としての大学
芸術における市場向け生産物――文学出版物・雑誌・新聞・劇場・美術館
絵画における遠近法
音楽における和声音楽[対位法・和音和声法]

例として西欧音楽の合理化
ウェーバー「音楽の合理的社会学的基礎」(通称「音楽社会学」)
西欧音楽独自の音組織。
合理的和声と調性。
和声音楽はトニック・ドミナント・サブドミナントの三つの三和音の組み合わせによって構成される。これは近代西欧音楽独特のものである。これを可能にするのはオクターブ空間の均質的な構成である。つまり十二平均律である。これがあってはじめて自在な転調が可能になり、和声音楽の表現力は飛躍的に高まる。ところが、じつは自然に聞こえる和音にもとづいて調律すると、オクターブがあわないのである。音響物理学ではこれを「ピュタゴラス・コンマの問題」と呼ぶ。
このさい近代西欧音楽は聴覚上の調和よりも十二音の間隔の均一化を選択する。つまり、よく響くが音楽的ダイナミズムに欠ける純正律ではなく、聴覚上若干の不協和があるが自在な音楽表現を保証する平均律を選ぶのである。J・ï¼³・バッハの「平均律クラヴィーア集」(第一集)は、その転換点を刻印する作品だった。
 第一にあげなければならないのは記譜法の成立である。西欧以外の伝統的音楽はいずれも精密な楽譜を発達させなかった。五線符に音楽をく書く記譜法は、もっぱら〈演奏する〉活動だった音楽を「書く芸術」に変化させた。ここではじめて作曲家と演奏家が分離し、〈音楽を書く人〉としての「作曲家」が誕生することになる。
 第二に、楽器とくにピアノにいたる鍵盤楽器の発達が関係する。鍵盤楽器が他の諸楽器と異なるのは、調律を固定しなければならないことである。とりわけピアノは純正律から平均律への転換に大きな役割を果たした。

西欧近代特有の合理化の典型が近代科学。くせが強い。直感を許さない。禁欲的人間像。いったん単純にして理想化したモデルを組み立てて複雑な対象に取り組む。
文化が異なると、当初はなかなか受け入れられない。
ウェーバー『世界宗教の経済倫理』
キリスト教、イスラム教、儒教、ヒンドゥー教、仏教

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