2015 民主党国会レポート

強くしなやかな社会をつくり再び政権交代を

第2章『次の内閣』の活動

13 国土交通・沖縄北方

 国土交通部門では、2015年の189回通常国会において3月に発覚した東洋ゴム工業による免震ゴム偽装問題や、4月に発生した青函トンネルにおける発煙事故等の諸問題に当たったほか、内閣提出の8法案や、国会承認案件として「特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件」、議員立法の半島振興法改正案をそれぞれ審議した。 また、沖縄及び北方対策としては、沖縄研究会や北方対策プロジェクトチームをそれぞれ設置し、専門的な議論を進めた。

附帯決議を付した内閣提出5法案

 今国会で審議された内閣提出8法案、国会承認案件1件については、民主党はすべて賛成し成立させたが、以下の5法案については、それぞれ附帯決議を付した。
 「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案」については、新たな会社に出資するに当たって、全出資額の2分の1未満とすること、機構の適正な業務運営を確保するための第三者委員会を設置すること、採算性が確保できる会社を出資対象とすること、等の附帯決議を付した。
 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案」については、JR九州はできる限り経営努力により地方鉄道路線維持に努めること、事業展開に際して当該進出地域の振興や中小企業者への影響等に適切な配慮を図ること、等の附帯決議を付した。
 「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」については、建築物のエネルギー消費性能について、統一的かつ分かりやすい表示の方法を早期に確立すること、住宅の断熱性能の向上について実態調査を行い、その結果を公表すること、等の附帯決議を付した(詳細)。
 「独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案」については、UR都市機構の賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう留意すること、独立行政法人海技教育機構と独立行政法人航海訓練所との統合に当たっては、日本人船員の増加に資する体制の強化や支援措置の充実など万全の措置を講ずること、等の附帯決議を付した。
 「航空法の一部を改正する法律案」については、無人航空機ドローンの運用に当たり、事故等を未然に防止する方策を検討すること、飛行ルール遵守のため解りやすく丁寧な説明を行うなど十分な周知に努めること、等の附帯決議を付した。

半島振興法改正

 三方を海に囲まれる半島地域が、その孤島的な性格から、他の地域に比べ、所得の格差、人口減少、高齢化の進展など様々な課題を抱えている。1985年には、議員立法「半島振興法」が10年間の時限立法として成立し、その後、現在まで2度の期限延長が行われた。さらなる支援が必要なことから、民主党としても、189回通常国会において一部改正の上、期限をさらに10年間延長させる改正案の成立に向けて積極的に取り組み、衆議院国土交通委員長提案で成立させた。改正法では、目的として半島地域における定住の促進を追加、地域住民の足となる公共交通手段確保のための国・地方公共団体の配慮規定の追加などが新たに盛り込まれた。

免震ゴム性能偽装

 東洋ゴム工業による免震ゴムの性能偽装が3月に発覚した。これを受けて、国土交通部門では、免震材料の大臣認定不適合に該当する建築物として国土交通省が公表したうちの一つである「神奈川芸術劇場」(横浜市中区)を訪れ、国土交通省、東洋ゴム工業、神奈川県等から説明を受けた。この視察には神奈川県知事らも参加した。その後、衆参両院の国土交通委員会に東洋ゴム工業役員を参考人招致し、質疑を行った。

青函トンネル発煙事故

 4月3日、青函トンネルで「特急スーパー白鳥34号」の発煙事故が発生した。JR北海道では2013年9月の函館線貨物列車脱線事故以来、様々な事故等が続いていることもあり、国土交通部門は、JR北海道函館支社を訪れ、同社から説明受けるとともに、青函トンネル等を視察した。

その他の運輸関連事故

 189回通常国会中には、上述の青函トンネル発煙事故のほか、徳島空港の管制ミス(4月5日)、山手線支柱倒壊(4月12日)、広島空港での旅客機着陸失敗(4月14日)、那覇空港でのヘリコプター無許可離陸に伴う他の旅客機の離着陸への支障(6月3日)、調布飛行場周辺民家への小型機墜落(7月26日)、東北新幹線レール下鋼板の列車との衝突(8月9日)など、重大な事故が相次いで発生した。国土交通部門ではその都度、国土交通省をはじめ関係者との意見交換を行い、再発防止策等を議論してきた。

沖縄研究会の設置

 6月23日の慰霊の日に開催された『次の内閣』において沖縄研究会を設置した。研究会は、沖縄問題を基地問題だけでなく、歴史、経済、文化、社会構造などを含め、根本から議論するために発足させたものである。また、8月9日から2日間、沖縄北部地域を中心に視察を行った。第二次世界大戦で激戦地となった伊江島では、伊江村長の案内で慰霊碑を訪れた。今後、次期国会に向けて、沖縄南部地域の視察をはじめ、さらに議論を深めていくことにしている。

北方対策PTの設置

 ロシアにおいて、サケ・マス流し網漁を禁止する法律が成立したことを受け、7月21日の『次の内閣』において北方対策PTを設置した。PTでは、サケ・マス流し網漁の問題だけでなく、北方問題を歴史的な部分を含めて検証すべく、有識者、関係省庁、関係者等との意見交換を行った。


2015.8.9 沖縄県伊江島の慰霊碑の前で手を合わせる
2015.8.9 沖縄県伊江島の慰霊碑の前で手を合わせる

2015.3.27 免震ゴムの性能偽装問題で視察
2015.3.27 免震ゴムの性能偽装問題で視察