第3章 焦点となった法案への対応
13 建築物省エネ法案
不十分な義務化
建築物断熱の遅れ
日本の建築物は、断熱が法律上義務付けられていないため、諸外国に比べ断熱性能が低く、エネルギー損失も大きい。特に、住宅は4割が未だに無断熱であり、夏や冬の健康リスクを増大させている。また、日本の住宅のアルミサッシを全て樹脂サッシに変えた場合、年間1億トンの二酸化炭素削減(原発停止に伴う火力発電焚き増し分、日本の二酸化炭素排出量の8%に相当)が可能であるとの指摘もあり、早期の断熱強化・義務化が求められていた。
政府提出法案の問題点と民主党の政策
政府提出の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」は、断熱を建築確認と連動させ義務化した点は評価できるが、既に新築の97%が省エネ性能を満たす大規模・非住宅の建物に義務対象を限定しているほか、建物の性能表示や購入・賃借時の説明も義務化されておらず、断熱性能・省エネ性能で建物を選択できない等の問題があった。
民主党では、エネルギー環境総合調査会と国土交通部門を中心に検討した結果、全ての建築物について断熱基準強化と義務化を行い、健康で快適な暮らしと省エネの両立を図るべきであり、政府案では不十分との結論となった。そこで、賃貸物件所有者への断熱化インセンティブの付与等、民主党の考え方を附帯決議に盛り込むことで、法案に賛成し、成立させた。今後は、民主党の考え方に沿った法改正の可能性について検討を進めていく。