狂乱の兵庫県知事選 斎藤前知事を立花候補や一部県民が熱烈支持
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斎藤元彦・前知事の再選可能性が高まりつつあるなか、兵庫県内の市長の有志22人が14日、前尼崎市長の稲村和美候補支持を表明した。有志を代表して蓬莱務・小野市長ら7市長が会見に臨み、「今回の選挙ではデマが飛び交っており、県民の誤解を招くことがあってはならない」(蓬莱市長)と訴えたのだ。
選挙で中立の立場を取ることが多い市長が、特定候補への支持を一斉に表明するのは異例の事態だが、その理由については、「選挙戦で誹謗中傷や誤解が広がっており、正しい情報が伝わっていないという懸念が生じた」と説明。県知事選中であることもあってメデイアが沈黙するなか、斎藤氏擁護のネット情報が溢れ返っていることも問題視したのだ。
テレビや新聞ではほとんど報道されないが、いまや兵庫県知事選は無法地帯のようなカオス状態にある。本来なら県庁内で厳重に管理すべき元県民局長の個人情報が、県議を介して「NHKから国民を守る会」代表の立花孝志候補に漏洩、それを立花氏が街頭演説や政見放送、ネット上で広めている。県庁職員の守秘義務違反や個人情報保護法違反の疑いがある情報を使った選挙活動が横行しているのだ。
立花氏は亡くなった元県民局長の個人情報を暴露しながら「斎藤前知事のせいで自殺したわけではない」「斎藤前知事は悪くない」と強調しているが、文書問題をまるで理解していない暴論にしか見えない。
14日午後0時30分公開の本サイト記事「兵庫知事選 斎藤前知事がまさかの再選可能性」でも紹介したが、不信任決議案可決で失職した斎藤元彦・前知事とその側近幹部は、公益通報者保護法に明らかに違反していると言っても過言ではない。本来なら保護されるべき内部告発者の特定をした上、元県民局長の押収パソコンから個人情報を抜き出して県議らに広め、死に追い込んだからだ。「暴力団の組長を守るために直系幹部が敵対的告発者の弱みを握って死に追い込んだのに、組長が知らんぷりして居座っているようなもの」(9月11日の知事会見)と斎藤氏を問い質したのはこのためだ。
要するに、いま立花氏が流布している個人情報は、内部告発者の口封じのために知事側近幹部が押収パソコンから抜き出し、県議らに漏洩していたものだ。百条委員会での証言を阻止するために、「内部告発したら個人情報をリークするぞ」と脅していたともいえるが、厳重に管理すべき個人情報を側近幹部が守秘義務違反をして県議に漏れ、それが県議を介して立花氏に知らされたのは間違いない。法律違反によって外部に漏れた個人情報を立花氏が街宣などで話すのは、斎藤前知事らの罪深さを物語るものであっても、斎藤前知事を免罪するものではない。「黒を白」「カラスは白い」というような錯綜したペテン論法なのだ。
しかし「兵庫県知事選」(11月17日投開票)が10月31日に告示されたためか、メディアは百条委員会での審議や知事会見の内容に照らして、立花氏の主張がいかに荒唐無稽であるかを指摘していない。その結果、立花氏をはじめ高橋洋一氏や須田慎一郎氏らラウドスピーカーが続々と登場、ネット空間に斎藤氏擁護論が溢れ返ることになったようなのだ。
百条委員会では、維新の掘井健智衆院議員(兵庫10区で落選して比例復活)が加古川駅前での辻立ちの際、話しかけてきた一般人に個人情報を漏らしていたことが問題になり、維新の藤田幹事長から厳重注意を受けることになった。この一件は、集英社オンラインやアエラドットで報じられることになったが、それをケタ違いに上回る規模の個人情報漏洩を立花氏が県内各地で行っているのに、大手メディアは沈黙したままなのだ。
デマや暴論が飛び交うなか、稲村氏を斎藤氏が猛追する兵庫県知事選の投開票結果が注目される。
【ジャーナリスト/横田一】
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