今年もアツいA24&NEONホラー!小栗旬出演作も来る?最新注目作

今年もアメリカの2大インディペンデント・スタジオ、A24とNEONのホラー映画が元気だ。本国で話題を呼んでいる日本公開前の期待作を紹介する。(小林真里)
まずA24。日本では今年、ミア・ゴス主演の『X エックス』トリロジー最終章、『MaXXXine マキシーン』(2024)が6月に封切られたが、今後も2本の新作の公開が決定している。
一本は、ローズ・グラス監督の『愛はステロイド』(8月29日公開)。クリステン・スチュワート主演、エド・ハリス共演のクライム・スリラーでありラヴストーリーだが、意表を突くボディ・ホラー的要素もある非常にユニークでクレバーなジャンル映画だ。もう一本が、ジェーン・シェーンブルン監督の『テレビの中に入りたい』(9月26日公開)。ミステリアスな深夜ホラーテレビ番組に夢中だった2人の若者を巡るシュールでメランコリックなアート・ホラーだが、フィービー・ブリジャーズやスネイル・メイルのリンジー・ジョーダンといった人気インディ・ロック・ミュージシャンが出演しており、ロックファンにも必見の作品。スコアはニューアルバム「Headlights」をリリースしたばかりの人気シンガーソングライター、アレックスGが担当している。

北米では『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』(2022)のフィリッポウ兄弟が監督した最新作『ブリング・ハー・バック(原題) / Bring Her Back』が5月に封切られた。異父兄妹が預けられた怪しい養母は実はオカルトの儀式に夢中の恐ろしい人物でした、という前作とはうって代わって強烈なゴア描写も炸裂するエクストリームなトラウマホラー。北米では2,000万ドル(約30億円)近い興行収入を上げた。

7月18日にはアリ・アスターの新作『エディントン(原題) / Eddington』が公開に。COVIDパンデミック真っ只中のニューメキシコ州の小さな町で、マスク着用を拒否する保安官代理をホアキン・フェニックスが演じるクライムスリラーであり、ブラックコメディだ。ホラー色は薄いがクライマックスのパワフルなアクション・シーンは新機軸。両作品とも来年には日本公開されるだろうか?
今後の期待作だが、まずアダム・ウィンガード(『ゴジラxコング 新たなる帝国』『サプライズ』) の新作『オンスロート(原題) / Onslaught』。トレイラー・パークに住む女性が主人公のアクションホラーで、ウィンガードと相棒のサイモン・バレットが共同で脚本を執筆。ダン・スティーヴンス、レベッカ・ホールが出演している。
ルーベン・オストルンド監督(『逆転のトライアングル』)の『ジ・エンターテインメント・システム・イズ・ダウン(原題) / The Entertainment System is Down』も、A24が全米配給権を獲得した。キアヌ・リーヴス、キルスティン・ダンスト主演の風刺ブラックコメディだが、長時間のフライトで機内のエンターテインメント・システムが故障し、乗客たちが死ぬほど退屈な状態に陥る恐怖を描く(そして暴力沙汰の恐ろしい事件が発生するという展開だろうか?)。
最後にもう一本、ジェレミー・ソルニエ監督(『グリーンルーム』『ブルー・リベンジ』)の最新作『オクトーバー(原題) / October』もA24が製作。ストーリーはベールに包まれているが、ハロウィンの日を舞台にしたホラー・スリラーだという。主演はコリー・マイケル・スミス(『Famous』)。

続いて、NEON。今年はまず、北米で2月に封切られた、スティーヴン・キング原作、オズ・パーキンス監督の『THE MONKEY/ザ・モンキー』がNEON史上歴代3位となる世界興行収入6,850万ドル(約100億円)を記録する大ヒットに。テオ・ジェームズ、タチアナ・マスラニー主演の同作は日本で9月19日に公開となる。
今後の期待作だが、今年のサンダンス映画祭でお披露目され、激しい争奪戦が繰り広げられ最終的にNEONが北米配給権を獲得した『トゥギャザー(原題) / Together』が、7月30日に北米で封切られる。デイヴ・フランコとアリソン・ブリーの実生活のカップルが主演を務め、謎の洞窟の水を飲んだカップルの身体的変容と恐怖を描いたセンセーショナルなボディ・ホラーだ。

マイク・フラナガン製作総指揮、クリス・スタックマン監督のミステリー・ホラー『シェルビー・オークス(原題) / Shelby Oaks』は、北米で10月3日に公開。行方不明の姉を長年に渡って探し続ける女性は、子供の頃の空想上の悪魔が実は本物だったのではないかと気づき……というミステリー・ホラー。クラウドファンディングで、なんと139万ドル(約2億円)を集め製作された話題作。主演はカミール・サリヴァン。オズ・パーキンス監督とタチアナ・マスラニーが再タッグを組んだ『キーパー(原題) / Keeper』も、北米で11月14日公開。恐ろしい秘密が隠された田舎の山小屋を舞台にしたホラーだ。
三池崇史監督の『バッド・ルーテナント:Tokyo(原題) / Bad Lieutenant: Tokyo』もNEONが北米で配給を手掛ける。アベル・フェラーラ監督の『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』(1992)の続編と なるアクションスリラーで、主演は小栗旬、リリー・ジェームズ(『ベイビー・ドライバー』)、リヴ・モーガン。プロデューサーはジェレミー・トーマス(『ラスト・エンペラー』『十三人の刺客』)。アメリカ・イギリス・日本の合作だが、来年のメジャーな国際映画祭でお披露目になるのではないだろうか。
ホラーではないが、パク・チャヌク監督の最新作『ノー・アザー・チョイス(英題) / No Other Choice』もNEONが北米 配給。ドナルド・E・ウェストレイクの小説「斧」をベースにした同作は、イ・ビョンホン、ソン・イェジン主演のブラックコメディであり、クライムスリラーだ。今年のベネチア映画祭かトロント国際映画祭でお披露目となる、個人的には今、一番楽しみにしている作品なので、公開が待ち遠しい。(1ドル150円計算)