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「べらぼう」歌麿に妻がいた説を採用した理由 藤並CP「幸せになってほしいと思ったから」

第38回より、歌麿(染谷将太)が見た幻か……きよ(藤間爽子)
第38回より、歌麿(染谷将太)が見た幻か……きよ(藤間爽子) - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で蔦重の“相棒”であり、良き理解者として描かれている浮世絵師・喜多川歌麿(染谷将太)。本作では歌麿の過酷な生い立ちが描かれ、ようやくつかんだ妻きよ(藤間爽子)との幸せはあっけなく奪われた。制作統括の藤並英樹チーフプロデューサーによると「実は東洲斎写楽よりも謎とも言われている」といい、歌麿に妻がいたのかどうかも定かではない。なぜ本作では妻がいる設定にしたのか? その理由を藤並CPが語った(※ネタバレあり。第38回の詳細に触れています)。

【画像】変わり果てたきよ…さらなる残酷展開

 歌麿といえば、5月11日放送・第18回で描かれた、痛ましい生い立ちが注目を浴びた。歌麿(幼名:唐丸)は、母は夜鷹(街娼)で望まれずに生まれた子であり、人別(戸籍)もなく、七つを過ぎると客を取らされていた。こうした設定を取り入れたことについて、藤並CPはこう語る。

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 「実は歌麿のことはほぼわかっていなくて、歳もわかってないんです。蔦重と同い年ぐらいだっていう説もあれば、このドラマのように蔦重より一回り以上年下である説もある。今回の近世美術史考証に入っていらっしゃる松嶋雅人先生によると、写楽よりも謎だと。なので、ほとんど森下(佳子)先生の創作です。過去について、妻の存在についても。過去を描いたのは、時代を描く意図もあると思います。貧困の中で子供や立場の弱い者が搾取されるというのは、いつの時代にもあることで。格差、貧困を描いていく中で、歌麿に枷を負わせたということだと思います」

 蔦重と再会してからは彼のもとで絵を描きつつ、蔦重がさまざまな試練に見舞われるたびに寄り添っていた歌麿。その様子は視聴者の間でまるで「妻のよう」とも噂されていたが、蔦重が本屋の娘であるてい(橋本愛)と夫婦になったことで複雑な心境に。しかし、その歌麿に運命的な出会いが訪れる。それが、かつて歌麿が蔦重からの依頼により笑い絵(春画)に挑み、スランプに陥った際に出会ったきよ(藤間爽子)。耳が聞こえず、洗濯女として、時に客を取って暮らしている彼女に創作欲を掻き立てられた歌麿は、きよと夫婦になる決意をする。こうした展開にした理由について、藤並CPは「何よりも、歌麿にも幸せになってほしいと思ったから」と語る。

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 「このドラマの歌麿は辛い過去を持っていたりしますが、歌麿にも幸せな時期があった方がいいなと思ったので。もちろん、歌麿が美人画、女性を描いていくきっかけになるようなミューズとの出会いという意図もありますが、何よりも、歌麿にも幸せになってほしいと思った。歌麿にとってきよがなくてはならない存在になった一番の理由は、やはり描きたいと思ったからなのではないか。これまではどちらかというと蔦重にこれ描け、あれ描けと言われ続けてきたと思うんです。自分から描くようになったのは、おそらく鳥山石燕(片岡鶴太郎)のもとに身を寄せてから。自分が心を動かされたモノとして、虫や花の絵を描いていましたが、初めて人に対してそう思えたのがきよだった。きよを見続けたい、描き留めたいと思えたんじゃないかなと思います」

 なお、きよの「耳が聞こえない」設定への見解については「歌麿の絵心や人生に大きく作用する設定に思えた」という。

 「森下先生からその設定を聞いていいなと思ったのが、言葉がないからこそ、相手を思ったり、観察したり見たりすることがこの二人にとって大事なことになっていくんじゃないかと思えたところ。鳥山石燕が歌麿に“三つ目の者にしか見えぬモノがあろうに”と言っていましたが、歌麿が聴覚や言葉に頼らないアプローチをすることで、ひょっとしたら何かが生まれるきっかけになるのかもしれないという風に思いました。結果として。決して物語を劇的に盛り上げるために登場人物の設定を作ったわけではなく、きよの設定が歌麿の絵心だったり人生だったりに何か大きく作用するんじゃないかなと思えたので、受け入れられたという感じです」

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病に倒れたきよと、必死に看病する歌麿

 きよとの満ち足りた幸福な日々も束の間で、第38回ではきよが当時治療法のなかったそう毒(梅毒)を患い、歌麿の献身的な看病もむなしくあっけなくこの世を去ってしまう。これまでも蔦重と瀬川花魁(小芝風花)、田沼意知(宮沢氷魚)と誰袖花魁(福原遥)、新之助(井之脇海)とふく(小野花梨)など、登場人物が幸福の絶頂を迎えた後に突然の悲劇に見舞われる展開は多くあり、「鬼脚本」とも言われていたが……。

 「このドラマは1話、1年ぐらいのスパンの話なので、描かれていないところではきっと、きよと充実した日々を送っていたと思います。歌麿にとってきよは蔦重から離れてからよりどころとなる存在でもあった。彼が美人画の絵師として大成していくうえで重要な人物だったと思います」

 あらためて、本作で歌麿にとって蔦重はどんな存在なのかを問うと、「森下先生がおっしゃっているのですが“ヒロイン”という言葉がピッタリだと思います」と藤並CP。「つよ(蔦重の母/高岡早紀)が戻ってきましたけど、蔦重も歌麿も幼いころから苦労をして、互いになくてはならない存在になった。特に歌麿にとっては蔦重しかいなかったわけで。歌麿から見ている蔦重と、蔦重から見ている歌麿というのは、やや違う気はするんですけども、唯一無二の存在。ビジネスパートナーであり、兄弟であり、伴侶であり……いろんな関係があると思います」

 第38回でようやく巡り合ったミューズを亡くした歌麿。きよの亡骸の側を離れず、彼女を描き続ける姿は涙なしに観られないが、今後歌麿がどのようにしてこの哀しみを乗り越えていくのか。亀裂が走った蔦重との関係と共に、その行く末を見守りたい。(編集部・石井百合子)

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