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【能登半島地震・被災地の様子】輪島「朝市通り」周辺で200棟焼ける 一夜明け、被害実態が明らかに

2024年1月2日 09時49分 (1月3日 06時16分更新)
 石川県能登地方で最大震度7の地震が起きてから一夜明けた2日午前、被害の実態が少しずつ明らかになってきた。
 輪島市の観光名所「輪島朝市通り」周辺では大規模な火災が発生し、約200棟が燃えた。同市でビルが倒壊するなど各自治体で建物の崩壊が起き、取り残された人がいるとの情報もある。

焼失した朝市通り周辺=石川県輪島市、本社ヘリ「わかづる」から

地面は大きく割れ、漁船も多数転覆 上空から見た被災地

 港町は焼かれ、道路は巨岩や土砂に覆われていた―。震度7の能登半島地震から一夜明けた2日、甚大な被害が出た石川県北部の奥能登上空を本社ヘリで朝と昼の2回飛んだ。

焼失した石川県輪島市の朝市通り周辺

 午前8時半、穴水町上空から、約20キロ北で白煙が立ち上っているのが見えた。「輪島朝市」で知られる朝市通り周辺だ。1日夕から延焼し続け、数百メートル四方が焼け野原に。近づくと、まだ炎も見え、骨組みだけの建物もあった。近くの7階建てビルは根こそぎ折れ曲がっており、煙の中で立ち尽くす人たちもいた。
 能登半島を周回する「奥能登の大動脈」の国道249号は、地割れなどで寸断。輪島市町野(まちの)町付近では、数十メートルにわたって土砂が覆い、直径10メートル以上の巨岩が幾つも見える。のり面からは滝のように水が流れていた。午後2時に改めて見ると、近くの倒壊した民家で、消防隊員による救助活動が行われていた。

建物が崩れ、車がつぶれた被災地=石川県穴水町(読者提供)

 支援や救助を訴える人々の姿もあった。珠洲市蛸島(たこじま)町の市営野球場では、白い大きな字で「水食品」と書かれていた。折しも長野県警のヘリが着陸し、人々が駆け寄っていた。輪島市町野町の野球場には白い字で「SOS」と書かれ、男性がこちらに向けて両手を振っていた。

のり面が崩れて倒壊した住宅=金沢市田上新町

 珠洲のシンボルともいえる珠洲市宝立町の観光名所「見附島(みつけじま)」の両側には、崩れた土砂が積もった。対岸は泥で茶色く染まり、漁船が乗り上げ、がれきが海に流出していた。雪が積もった白い山肌には、あちこちで引っかき傷のような土砂崩れの跡が残っていた。
 (鈴木凜平)

地割れした道路=石川県志賀町

 津波は地震発生直後から2日にかけ、北海道から九州の日本海側の広い範囲で観測された。

津波の影響で座礁、転覆した漁船

建物が崩れ、車がつぶれた被災地=石川県穴水町(読者提供)


地割れした道路=石川県志賀町


津波で流されたとみられる車両やタイヤ=石川県能登町


地震で崩れた後に出火した木材加工会社の工場=石川県七尾市

石川県南部のスーパーでも水など求め混雑

水などを買い求める客で混雑した店内=石川県川北町の「PLANT-3川北店」

 石川県川北町の総合ディスカウントストア「PLANT(プラント)―3 川北店」では、2日午前9時の開店直後から水や非常食などを買い求める客が殺到し、レジには長蛇の列ができた。約600ケースの在庫があった24本入りの水は1家族3ケースまでの購入制限をかけたが、わずか1時間ほどで品薄となった。
 地震の影響で、同店では酒の瓶が割れるなどしたため、1日は地震から約30分後に閉店。従業員が夜中に復旧作業をし、2日の開店に間に合わせた。予定していた新春イベントは中止となり、泉田功太店長は「普段のお正月ならありえない光景。提供できる物をできる限り届けられるよう努めたい」と話した。
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