記者会見で大規模PCR検査の意義を話す湯崎知事

 新型コロナウイルス対策で広島県が2月上旬の開始を目指している大規模PCR検査を巡り、湯崎英彦知事は19日の記者会見で「感染拡大を止めるため、大規模検査が唯一残る方法だ」と意義を強調した。無症状の感染者を発見でき、抑え込みに有効と説明。検査期間は1~2カ月かかると見通した。

【ポイント表】広島県の80万人PCR検査を巡る湯崎知事の発言

 湯崎知事は、保健所による調査や身近な医院での検査態勢の整備で感染者の早期発見を図ったものの、市で感染者の急増を防げなかった点を課題視した。追加対策として大規模検査が有効だと主張。検査期間は「1カ月、場合によっては2カ月かかる」と述べた。

 見つかる感染者は多くが無症状で、療養者向けのホテルでの受け入れが基本になるとした。ただ、人数が増えれば自宅療養もあり得ると言及。家庭内感染の不安には「検査しなければ知らずに行動しており、家族に感染させる可能性は、より高い」と理解を求めた。

 実施方法は検討中と繰り返した。身近な医院で実施する場合は患者との動線の区分けが、検査キットを送る手法では世帯人数の把握が難しいと分析。会場を設ける場合は大規模施設か、数多くの拠点を用意する必要があるとした。費用の抑制策も重視するという。

 任意、無料の検査の対象は、中、東、南、西の4区の住民と働く人で最大約80万人となる。中止の可能性については「感染が完全に収束したら、別途判断する」と述べるにとどめた。

 県はこの日の県議会生活福祉保健委員会で、昨年12月下旬から2週間の新規感染者の分析で、4区が市全体の半分以上を占めていたと報告した。県議からは「本当にやるべきなのかも含めて検討してほしい」「広島市全体を抑え込むというのであれば、市全域にした方が分かりやすい」などの意見が出た。(岡田浩平、宮野史康)