「私たちの未来を守るために残された時間は、あと4年」ーー。
そんなかけ声のもと、若者たちが6月10日、再生可能エネルギーのさらなる推進と脱原発・脱石炭火力発電を呼びかける計27万筆の署名と要望書を、日本政府に提出。迅速な対応を求めました。
「あと4年」ってどういう意味?若者たちがそんなに焦ってる理由ってーー?
声をあげる人たちを取材しました。
今回の署名や呼びかけを主宰したのは生活クラブ生協と「あと4年、未来を守れるのは今(ATO4NEN)」。「あと4年」は、日本各地の約240の環境NGOや若者団体が参加する市民ネットワークです。
特に今後4年間での温室効果ガス削減に向けた対応が重要になってくるとして、警鐘を鳴らしています。
イギリスで6月11日から開かれるG7サミット(主要7カ国首脳会議)に合わせ、約半年かけて集まった計27万筆の署名と要望書を10日、環境省や内閣府の担当者らに手渡しました。
要望書は、菅義偉首相や小泉進次郎・環境大臣らに、以下のようなことを求めました。
1・次期エネルギー基本計画で、2030年の再生可能エネルギー電力目標を60%以上、2050年は100%とすること
2・巨大なリスクを抱える原子力発電は即刻廃止し、石炭火力発電は段階的に2030年までに廃止すること
3・脱炭素社会に向けて、再生可能エネルギーを協力に推進する政策への転換を急速に進めること
「私たちは気候変動を止められる最後の世代」
気候変動問題に取り組む若者のグループで、今回のキャンペーンの賛同団体である「Fridays For Future」で新潟県を拠点に活動する三島のどかさんは、署名提出に際して、このように呼びかけました。
「わたしは、地元の新潟で気候変動を五感で感じてきました。雪が全く降らない日と、災害級のドカ雪が降る日があります。日本のどこかで大規模災害が発生していて、『異常気象』『記録的な暑さ』というニュースを耳にするようになっています」
「気候危機は遠い未来の話でもなく、遠い国の話でもありません。今、この国で起きていることです。日本でも、異常気象による犠牲者がでています」
三島さんは「私たちは気候変動を止められる最後の世代」として、こう語りました。
「気候危機にはタイムリミットがあり、ゲームオーバーが近づいています。持続可能な社会へのシステムチェンジを求めます」
「あと4年が勝負。そして、2030年までの対策が私たちの未来を決めます」
「あと4年」ってどういうこと?急がなければいけない理由
市民ネットワークの名前にもなっている「あと4年」とは、詳しくはどういうことなのでしょうか。
ネットワークは、こう説明します。
「気候危機による壊滅的な影響を回避するために必要な、1.5度の気温上昇を抑えるためには、2030年には2010年比で温室効果ガスを半減させなければなりません」
「そのためには世界全体で、2020年から10年間の場合、毎年7.6%の削減が必要ですが、2025年から5年間の場合、毎年15.4%の削減が必要となり、これはほぼ不可能と言われています。つまり、私たちに残された時間はあと4年ほどしかありません」
今回、ネットワークの名前を考案し、署名キャンペーン中に「Peaceful Climate Strike」というアクションを起こし気候危機を訴えてきたeriさんは、こう話します。
「科学者の人たちが『もう危ない』と言っていて、平等にタイムリミットが設けられている。それに対し私たちは行動していかないといけません。それに関して共通認識を持ちたいと思い『あと4年』という名前をつけました」
「あと4年しかなくて、リミットを超えると私たち大人が未来を奪うということが分かっているのに、それを止めないというのはおかしいと思います。止められるない理由があるとして、私たちの未来と人の命を天秤にかけたときに、そっちの方が本当に大切ですか?と問いかけたい。この声を無視しないでください」
この日は、日本各地122箇所で、自治体の役所前などで、プラカードなどを持って訴えるスタンディングの行動を行いました。
署名と要望書提出のあとには、国会前でも抗議が行われ、様々な立場にある人たちが、それぞれの思いを語りました。
小学生の参加者は「私が将来、自分の夢を叶える時、地球はどうなっている?」と問いかけ、ウィンタースポーツのプレーヤーは「地球には冬が必要だ」とのプラカードを掲げました。