プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」が4月1日のエイプリルフールに合わせて、男性選手同士の熱愛が発覚したという、うその週刊誌面を公式Twitterに投稿し、物議を醸している。
同性愛や、本人の同意なしにセクシュアリティを暴露する「アウティング」をネタにするべきではないと批判されたなか、当事者からは「腫れ物扱いしないでほしい」と冗談を受け入れる声も上がっている。
男性選手同士の「熱愛発覚」をネタに
問題となったツイートは4月1日、レバンガ北海道のエイプリルフール企画の一環として、公式Twitterに投稿された。
週刊誌の誌面を模した画像には、同チームの多嶋朝飛選手と関野剛平選手がプライベートで手を繋ぐ様子を激写したような写真とともに、「多嶋・関野、熱愛発覚!」という見出しの架空の記事を掲載。
クラブの見解として、「一部週刊誌に報道されました件につきまして、両選手からは『相手は仲の良い友人の一人』と聞いておりますことをご報告いたします」と、うそのコメントも書かれていた。
他にも、選手がストレスで激太りした、女優風のロングヘアにイメチェンした、帰国子女なのに英語教室に通っていることが発覚した…など計7種類のうそを、同じように週刊誌面風にして投稿した。
ネタにしてもいいのか?賛否両論
「熱愛発覚」の投稿には、男性同士の恋愛や、本人が公にしていないセクシュアリティを勝手に暴露する「アウティング」の行為を、エイプリルフールのネタにすることに対して、さまざまな批判が寄せられた。
「私たちのようなゲイは、エイプリルフールのネタにされる存在なのでしょうか…」
「同性愛が『ありそうもない』ネタとして消費されることで、同性愛を否定するという暗黙のメッセージを伴ってしまう」
「同性愛を隠して生きなければならない人がほとんどである今の社会で、これをネタとしてやるのは全然笑えない」
「同性愛を笑い者にし、アウティングを助長している」
「現役選手やBリーグを目指して頑張っている中高生に同性愛者が何人もいること、想像できなかったの?」
一方で、当事者などの中には「ネタが差別的だと過剰に批判されることの方が傷つく」「腫れ物にして欲しくない」など、問題視する必要はないという意見も多く見られた。
「俺、ゲイだけど、これ、すごく好印象。むしろゲイに差別感ないってことだと思う」
「『ホモフォビアだ!同性愛差別だ!』って過剰反応される方がよっぽど傷つく」
「過剰に反応しすぎていることが、もっとLGBTを孤立させる気がしてしまいます」
「腫れ物や常に気を使わなければならない存在には、なりたくない」
チーム広報「誰かを傷つける意図はなかった」
こうした意見を受け、レバンガ北海道の広報はBuzzFeed Newsの取材に、「誰かを傷つける意図は全くなかったので、ファンの方々に楽しんでもらうために時間と情熱を注いだ企画で傷ついた方がいたことは、こちらとしても本当に残念です」と話した。
もともと今回の企画は、チームに所属する選手13人が全員登場できて、かつ、一つのストーリーにまとめる方法はないかと考えた結果、「週刊誌風」にする案にたどり着いたという。
その中でも、同じ大学の先輩後輩である多嶋選手と関野選手をセットにして、「レバンガの選手はプレー中もプレー外でも仲がいいのがいいよねとファンの方に言っていただいているので、その仲の良さを表現する延長」として、考えたと話す。
「男性選手しかいないチームなので、その中でこの2人がカップルだったら…と企画を作っただけで、同性愛だから異性愛だからということは考えていません。仮に男女混合のチームで、ファンの方が喜んでくれるなら、そんな企画もあり得たと思います」
「外に向けて表現する以上、否定的な意見は必ず出ると思います。目にした人100人中100人が傷ついたら良くないと思いますが、今回はファンの方から『面白かった』という声をTwitterや試合会場でもらうことができました」
「試合以外でもファンの方に楽しんでいただきたいという気持ちは、概ね伝わったのかなと考えています」
現状では、ツイートを削除するなどの対応は考えていないという。
【UPDATE】
BuzzFeed Japanでは、性的マイノリティに対するものに限らず、あらゆる差別や偏見は許されないと考え、これまでも多様なキャンペーンを実施し、さまざまな立場の当事者を取材したコンテンツを掲載してきました。
本記事においても、議論が起きている事象について広く意見を問うために投票フォームを掲載していますが、差別を助長、容認する意図は一切ありません。
また、こうしたサイト上のアンケートは、無作為に抽出された回答者の意見を集計した「世論調査」とは異なり、社会の実態を反映することを目的としたものではありません。
さらにBuzzFeed Japanでは、アンケート結果の内容に関わらず、LGBTに対する差別は許されるものではないと考えています。
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