テレビをつけると、たまにやってる「国会中継」。
国会中継。冬の時期とか、たまにテレビでやってますよね。
私は政治に詳しくないのですが、あの中継を見る限り、政治家の人たちが集まって、激しく議論を重ねているようです。
実は、国会中継を見るたびに、思うことがあります。
なんだか、ヤジ、すごすぎません?
人が話してる声を遮って「おかしいだろーー!!!!」って絶叫してる人いますよね?
ヤジもすごいんですけど、そもそもみんな喋り方が激しくないですか?
例えば「その発言はおかしいのではないでしょうか!!!!!」みたいな感じで、語尾にすごいビックリマークつけますよね。
学校の委員会でも、会社の会議でも、あんなに激しく議論したことってないような気がします。
正直、国会みたいに議論するのって、むちゃくちゃ大変なのでは……?
そもそも、あんなにすごいテンションで会議して、物事って決まるの……?
ちょっと、やってみたくない……?
ということで、実際に国会風に会議をしてみようと思います。
会社で暇そうにしていた人たちに声をかけ、無理やり会議室に集めました。
議題は「今日のお昼ご飯について」。
国の予算のような難しい議論は困難だと思ったので、議題を「今日のお昼ご飯について」にしました。
カレーを食べたい人たちと、ラーメンを食べたい人たちで話し合ってもらいます。
これくらい簡単な話題なら、きっと良い議論になることでしょう。
それでは、スタート!
委員長による開会の一声で、委員会が始まります。
「ただいまから、本日の昼メシ決定特別委員会を開会いたします」
委員長の役は上司に頼みました。かなり堂に入っています。
普段はソファで眠っていることが多い上司も、ちゃんとすればお堅い雰囲気になるのだなと知りました。
まずは、ラーメン党の雄 籏智議員がマイクの前に立ちます。
ラーメンを食べたいラーメン党の登場です。
「瀬谷総理は本日、お昼ご飯にカレーを食べたいとおっしゃっていますが、なぜそこまでカレーにこだわるのか、その真意を教えてください!」
「もう一点、瀬谷総理は、今週この五日間で、何回カレーを食べたのでしょうか。お答えください!」
しっかりと役を作り込んできたのでしょう、なんとも議員らしい質問です。
質問に対し、もっともな顔で“カレーライス”の説明を始める総理。
カレーが食べたい政府の代表、瀬谷総理がマイクの前で悠々と話し始めます。
「まず、カレーライスの本質でありますが、まず皆さんもご存知の通り、カレーライスは我が国の国民食でございます。その歴史を辿ると、古くは明治時代に……」
「そんなこと聞いてねえんだよ!」さっそくヤジを飛ばす野党席。
カレーの歴史について語る総理に「早く質問に答えろ!!」「答えになってねーじゃねえか!!」と野党席から鋭いヤジが飛びます。
皆、初めてとは思えないくらいヤジが上手です。
「ちょっと、野党のみなさん静かにしていただけますか。これから、きちんと答えさせていただきますよ」
いや別に今言おうとしてました〜〜〜という空気を作りながら、総理が野党に鋭い視線を向けます。
「私がカレーライスをお勧めする理由は、すなわち、それは……」
「コクがあるからでございます」
思わぬ総理の発言に、ざわめく野党席。
「いや、コクってなんだよ…」「どういうこと…?」「は…?」「さすがにコクはないでしょ…」
意味不明な答弁じゃないですか!とキレる籏智議員。
「コクがどうこうや、歴史なんぞは伺っておりません。総理は質問にお答えになっていない!これは国民を愚弄してるのと同じですよ!!」と責め立てる籏智議員。
「そうだ!」「ちゃんと答えろ!」と野党席から援護の声が飛ぶ中、籏智議員が更に声を荒げます。
「総理、もう一度質問にきちんとお答えください。カレーにこだわる真意と、回数であります」
それに対し、なんかそれっぽい言葉でサラサラ〜っと答える総理。
「もし私がラーメンの方が好きだという証拠があるならば、責任を取りますよ!」
満面のドヤ顔です。
「だから!!!!何も答えていないじゃないですか!!! あなたはカレー評論家じゃないんですよ!!!! 責任者なんです!!!!!」
怒りのあまり、画面から見切れる籏智議員。
彼は普段、とっても温厚なニュース記者なのですが、今日は鬼のような形相で机を叩いています。見てはいけないものを見ている気分です。
さらに総理を追い詰めたいラーメン党が、新人議員を投入してきました。
新進気鋭の若手、吉田議員です。
「単刀直入に、瀬谷総理に伺います。あなたは、カレーとラーメンどっちが好きなんですか!!!!!」
「さきほどから申しております通り、カレーでございます」
「なるほど、カレーですか……」
総理の言葉を聞き、邪悪な笑みをうかべながらパネルを取り出す吉田議員。
「今日は証拠を持っているんですよ。これは総理、あなたのツイッターですね?」
ざわめく野党席「食ってんじゃねえか!!!」
「じゃあ今日もラーメンで良いだろ!」「証拠だろこれが!」「バリカタ〜?」「ラーメン好きなんだろ!!!!」
おいしそうなとんこつラーメンのツイートに、野党席が沸き立ちます。
委員長「静粛に、静粛に」
ひとり冷静な委員長が平坦な声で場をなだめます。
決定的な証拠を掴んで、嬉しさが隠しきれない吉田議員。
「総理はカレーがいい、カレーがいいと言っておきながら、隠れてラーメンを食べている!どういうことなんですか?きちんと説明してください!」
吉田議員、役を作り込み過ぎたのか、議員を通り越してヴィランズ(ディズニーの悪役)のような立ち振る舞いになってきました。
コソコソコソ……
総理をかばうように、髭面の大臣が出てきました。
「私が代わりにお答えします。このツイートをした際は、カレー屋が大変混み合っておりまして、近隣にあるラーメン屋へと行かざるを得ない状況であったのであります。これは決して、総理がラーメンに浮気したということではございません」
飄々と説明するライス大臣。野党から飛んでくる「なんでだよ!」「総理に聞いてんだ!」「総理だせ総理!」というヤジが聞こえていないかのように涼しい顔をしています。
野党をものともしないこの笑顔。恐ろしい大臣です。
しかも、よく見てみると、サンダルを履いています。
この会議をする前日に「明日は国会風会議なので、政治家っぽい格好で来てくださいね」と声をかけたのにもかかわらず、この格好です。
「どうせ足元は映らないだろう」という、狡猾な考えが見て取れます。
そんなこんなで、その後も会議は続き……
聞いてもないのに他の大臣が代わりに答えたり……
熱が入りすぎて会議が止まったり……
思わず煽りすぎちゃったり……
速記(書記みたいなやつ)がまったく読めなかったり……
そば党の独自情報網によって、総理が「そば」を食べていることが暴かれたりしました。
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結局、会議は結論がでないまま終わりました。
国会風に会議をしてみて、わかったことがあります。
相手を徹底的に追求するためにパネルまで用意したり、仲間たちに助け舟を出してもらったり、ちょっと怒りながらヤジを飛ばしたり、思わず笑っちゃったり…。
お昼ご飯を決めるだけの簡単な会議だというのに、なんだかとっても疲れました。
本当の国会では、もっと難しい問題が議論されています。言葉が命である政治家の人たちはもちろん、準備に奔走する官僚の人たちも、今回の会議とは比にならないくらい大変なんだろうなと思いました。
大変だったけど、たくさん学びのあった国会風会議。
ぜひ皆さんも、やってみてくださいね!
(ちなみに…ヤジって…飛ばしてみると、意外と楽しいそうですよ…!)