アメリカ大統領選で当選を確実にしたバイデン氏。漢字の読みを変えるとその本名「ジョー・バイデン」になると話題を呼んでいる熊本県山都町の梅田穣町長が、米紙ワシントンポストに登場した。
梅田町長のニュースは、ワシントンポストのみならず、ニューズウィークや英紙フィナンシャルタイムズ、さらにはドイツやフランス、スペイン、香港、スウェーデンやベトナム、クロアチアなど、各国のメディアにも取り上げられている。
町長はこれを足掛かりに、山都町の知名度向上に努めたい考えだ。

「バイデン氏には多くのできごとがあった。それは、日本のジョー・バイデン町長も同じだった」とするワシントンポストの記事は11月10日付。「中国を起源とする日本の漢字には、様々な読みがある」として、「梅田穣」(うめだ・ゆたか)の漢字の意味をそれぞれ説明。
梅田町長の「自分が選挙に勝ったような気持ち」というコメントを引用した。また、仮に両者が会うことがあった場合は「熊本のバイデン」と自己紹介すると語っている、と伝えた。
大統領選の開票が進むさなか、Twitterで「発見」され、一躍有名人になった梅田町長。多くの祝電が送られており、出張先の東京でも「名刺いらず」になったという。
自らの名前が世界を駆け巡っていることについて、BuzzFeed Newsの取材に対し、「こういう形で山都町の名前が世界中に広がっていて、びっくりしていると同時に嬉しく思っています。プレッシャーも感じている」と笑った。
「五穀豊穣」が名前の由来だが、本来の読みである「ゆたか」がわかる人は少なく、漢字も書きにくいので「親父を恨んでました」とも語る梅田町長。
「熊本のバイデン」とも呼ばれるようになったいま、今回の件は「仏前にも報告しました」。亡くなった父親に、感謝の気持ちを伝えたそうだ。
山都町を世界に

人口約1万5千人の山都町。江戸時代に作られた石造りの水道橋「通潤橋」(国の重要文化財)が有名で、その豊かな自然がアピールポイントだ。
熊本市内から車で1時間ほどとアクセスも良く、梅田町長は”バイデン効果”を町の宣伝に生かしたいと語る。
「うちは世界的にも珍しい石橋の町。持続可能な社会づくりを目指した有機農業では、日本一と自負もしている。量は少ないが海外に出している日本酒もあるし、せっかくだったらこれをチャンスに、山都町を世界に発信していきたいですね」
なお、先出のワシントンポストでは、オバマ元大統領が当選した2008年には長崎県の小浜温泉が「国際的な関心を集めた」と紹介。さらに福井県小浜市について、オバマ氏自身が「見知らぬ人とは思えない」と語ったことなどにも触れられている。
バイデン氏が同じように、山都町や梅田町長に触れる日は来るのだろうか……? ちなみに沖縄には、副大統領のカマラ・ハリス氏と同じ地名の「嘉間良」(かまら)もあるそうだ。
梅田町長が報道各社に寄せたコメントは以下の通り。
「今回、遠からぬ縁を感じたところではありますが、降って湧いたような話しで、少々困惑しています。アメリカ合衆国大統領候補者と『九州のへそ』山都町の町長と、その立場の違いはありますが、心意気は同じでしょう。住民の心穰(豊)かな幸せのために職責を果たして参ります」
(サムネイル:AFP=時事)
UPDATE
漢字の読み部分を加筆しました。