Yahoo! JAPANが、「まとめサイト」などを含む5900件の広告配信を停止したことを明らかにした。
アドフラウド(不正広告)撲滅に向け、情報の信頼性などを条件としたガイドライン厳格化を受けた措置だ。

4月19日の発表によると、配信が停止されたのは全ドメイン数(同じサイトでも、PCとスマートフォンへの配信があれば2とカウント)1万7000のうち、35%近く。
停止先としては、以下のようなサイトが一例として挙げられている。
- 掲示板サイトの情報をまとめたサイト(まとめサイト)
- 個人運営のゲームなどの攻略サイト
同社では、「実体不明なメディアを排除するため」として、2018年10月に運営者の条件に関するガイドラインを厳格化。
▽運営者にメディアとしての知名度や実績があること▽情報の信頼性があること、が運営者の満たすべき条件となった。
この際には、あわせて「誤クリック・誤タップによる収益を狙った不正」を防止するガイドラインも制定されている。
同社は今後も「日本インタラクティブ広告協会(JIAA)」やアメリカの「The IAB Technology Laboratory(IAB Tech Lab)」などの外部団体と連携しながら、「広告配信面の審査・パトロールの強化、サイト運営者確認の厳格化など、不正排除と検知精度向上に取り組んでまいります」としている。
広告収入目的の「まとめサイト」

「まとめサイト」をめぐっては、個人情報の漏洩や叩き行為、さらには誤情報やフェイクニュースの拡散などに対する批判があがっている。
まとめサイトの中には、広告収入を目的として運営されているものが多いと見られている。
一人で中堅規模のまとめサイトを運営している男性はBuzzFeed Newsの取材に月100万円の収入があると語った。
一方、裁判も起きている。
例えば「保守速報」は昨年、その差別的な内容によって名誉を毀損されたとして在日朝鮮人の女性に訴えられ、損害賠償の支払いを命じる確定判決を受けた。
保守速報についての判決は、ネット上の書き込みを「まとめる」行為は独立した表現であると指摘し、それによる不法行為が成り立つという判断を下した。
こうした判例を受け、エプソンなどの企業が「保守速報」への広告出稿を取りやめたり、アフィリエイトサービスの提携を解除したりする動きも出ている。
「まとめサイト」ではないが、SNS中心の戦略などで共通点があるニュースサイト「netgeek」に対しても、名誉毀損を訴える集団訴訟が始まった。原告のひとりは提訴会見の際、こう語っている。
「サイトを閉鎖して欲しい。人を炎上させてビューを集めて広告費を稼いでいる。ネットリンチで稼ぐことが許されていいのか」
ヤフーは20億円の減収
日経新聞によると、Yahoo! Japanの今回の配信停止は、20億円超の減収要因となったという。
一大プラットフォームによる大きな判断が、今後どのような影響を及ぼすのか注目される。