「レイプ・カルチャー」とは、性的暴力が普通のことと考えられていて、レイプしないよう教えられるのではなく、レイプ「されない」よう教えられる文化を指す。1970年代にフェミニストが初めて用いた用語だが、近年、自らの体験を語るレイプのサバイバーが増えるにつれ、よく使用されるようになった。
以下は、レイプ・カルチャーの主要な要素がわかる入門ガイドだ。
「普通の男性」も、レイプする可能性がある。
レイプ・カルチャーといえば、茂みに隠れていた見知らぬ者に、女性が無差別に襲われるというような状況を思い浮かべるかもしれない。実際にそういう事件は起きているが、レイプのシチュエーションはそれだけではない。そうした話によって、レイプが起きる他の多くの状況がわかりにくくなるおそれがある。
ローリー・ペニーは「インディペンデント」紙で、レイプ文化を以下のように要約している。
私たちは文化として、ほとんどのレイプが、普通の男性によって行われていることをまだ認めようとしない。つまり、友人や家族がいて、場合によっては、人生において偉業や立派な行いをしてきた男性たちのことだ。感じのいい男性がレイプすること、それも何度もレイプすることを認めようとしない。その理由は、一つには、じっくり考えるとつらいからだ。邪悪な男性だけがレイプする。暴力的で、精神的に異常な男性だけが、パントマイムの悪役のような口ひげを生やしてナイフ片手に路地に潜んでいる、と信じ続けるほうが、普通の男性がレイプすると考えるよりも、はるかに楽だ。友人や同僚、尊敬している男性が、レイプするかもしれないとは考えたくないのだ。
「グレーゾーンのレイプ」
コスモポリタン誌が定義したように、「グレーゾーンのレイプ」とは、「同意されたわけでも拒否されたわけでもなく」、「双方がそれぞれの望みをよくわかっていない」性的関係を指す。たいていの場合は、何をもって同意とするのか、知識が不足しているために起きる。
14~25歳を対象とした英国での調査によると、生徒や学生の3分の1近くは、性教育に関する必修授業において、同意について学んでいないという。
アジア6カ国でのレイプに対する姿勢について、国連報告書で解説を書いたジョンズ・ホプキンズ大学のマイケル・デッカー教授は、「レイプは、女性の頭に銃を突きつけて行われるとは限らない」と語る。国連報告書によると、男性は、法的にレイプと定義される行動(同意なしでの女性とのセックス)を描写したとしても、「レイプ」という言葉は使用しないという。
「人々はレイプを、自分ではない、他人が行う行為と考えがちだ」とデッカー教授は指摘する。
「嫌よ嫌よも好きのうち」
「言い寄る」というのは、古い恋愛観だ。テレビや音楽、映画など男女間の関係が行ったり来たりするのは、もちろんロマンチックなこともある。それに、たとえば、『ブラード・ラインズ(Blurred Lines)』や『ベイビー、イッツ・コールド・アウトサイド(Baby, It's Cold Outside)』のような曲は、もともと悪意があるようには見えないかもしれない。だが、レイプ・カルチャーに取り組むうえでは、個人の空間と意志決定の重要性を認めることも重要だ。
「嫌よ嫌よも好きのうち」というのは、そう単純に割り切れる話ではない。たとえば、BDSM――Bondage(ボンデージ、拘束) 、Discipline(ディシプリン、懲罰) 、Sadism(サディズム、加虐)、Masochism(マゾヒズム、被虐)といった嗜虐的な性的嗜好――を愛するコミュニティであれば、「ノー」は「イエス」を意味しうる。だが、ジェシカ・ヴァレンティが「ネーション」紙に書いているように、問題は、同意すると決まっているわけではないことだ。
米国の文化と法が、セックスへの同意はプロアクティブに(積極的に明示的に)行われるべきものと規定するまで、レイプ被害者にとって正義は存在しないだろう。米国はそろそろ、性的暴行を理解するにあたって、「『ノー』は拒否を意味する」モデルを捨て、「『イエス』のみが同意を意味する」モデルに焦点を合わせるべきだ。
被害者へのバッシング
2012年1月8日深夜、ミズーリ州に住む14歳の少女が、酔って意識を失った後、メアリービル高校のフットボール選手にレイプされたとされている。
2012年8月12日深夜、ウェストバージニア州に住む16歳の少女が、酔って意識を失った後、スチューベンビル高校のフットボール選手2人にレイプされた。
どちらの事件も、全米メディアの注目を集めたものの、有罪判決が下されたのはスチューベンビルの事件だけだった。メアリービルの事件では、被害者のデイジー・コールマンが自分の名前を出すことに決めた。2人の少女は両方とも、(a)酒に酔い、(b)自分が属しているわけではない、緊密な地域社会に住む少年を訴えた(コールマンは事件の直前にメアリービルに越してきた。スチューベンビルの少女は違う州に住んでいた)。そして、2人の少女の事件が特によく似ていたのは、彼女たちに対する社会の扱いだった。
どちらの事件でも、直後に、少年の友人たちがソーシャルメディアで被害者を侮辱した。彼らの話が全米に広まると、少女たちへの敵意は強まる一方となり、加害者とされる少年よりも、どういう点で少女たちのほうが悪かったかということに注目が集まった。
「ビッチ」扱い
暴行か否かに関係なく、公の場での性行為を撮った写真がウェブに流出し、口コミで広まる例は、たくさんある。上の左の写真は、オハイオ大学の同窓会中に、人通りの多い街角で起きたとされる性的暴行の現場写真だ。通行人は、無視したり、警察に電話したりする代わりに、インスタグラムやVineに写真を投稿した。
右の写真は、ラッパー「エミネム」のコンサートで10代のアイルランド人に起きた同様の事件の写真だ。写真がFacebookに投稿されるとすぐに、彼女は「#Slanegirl」という名前でミームになった。ガーディアン紙のエバ・ワイズマンの説明によると、#Slanegirlの件は極端だが、こんな風に女性を公の場で辱める例は、悲しいことに、今では国際規模で起きているという。
ストリート・ハラスメント
ストリート・ハラスメント、つまり、街で女性が性的なヤジを受けることは、女性たちにとって日常的にあり得ることだ。暴力的なムードを助長し、女性の非力さを強調したりするこの行為は、レイプ・カルチャーを強めるものだ。Stop Street Harassment(SSH)は、公共の場で男性が見知らぬ女性に対して一方的かつ気軽に性的誘いかけを行う世界は、男性が気軽にレイプできる世界と同じだと説明している。SSHは説明の中で、フィードラ・スターリングの記事「Schrödinger's Rapist」を次のように引用している。
「性的ではない状況で、女性の『ノー』という拒否の言葉を無視する男性は、性的な状況でも、『ノー』という言葉を無視する可能性が高い」とスターリングは書いている。「女性が打ち切ろうとしている会話を男性が続けようとするのは、『話したいという自分の欲求が、放っておいてほしいという女性の権利に勝る』というメッセージを送っていることになる」
レイプ防止の神話
レイプをめぐる多くの会話は、女性が控えるべき行動や服装、外出を避ける時間帯のような、予防行為に焦点が当てられている。だが、この論理でいくと、加害者には責任が一切ないことになる。挑発的な服装の女性は、夜にドアの鍵を閉めない家主と同じ、という古いたとえがある。だが、この論拠は、女性をモノ扱いして、レイプを防ぐ責任を負うよう求めているに過ぎない。
以下は、「Shakesville」のレイプ・カルチャーに関する優れた説明だ。
レイプ・カルチャーは、年齢を問わず女性に対して、様々なことに注意するよう教えている。服装や着こなし、振る舞い、歩く場所やタイミング、一緒に歩く相手、信用する相手、行動、行動を行う場所や相手、飲む物や飲む量、目を合わせるかどうか、1人でいる場合、見知らぬ者と一緒の場合、グループでいる場合、見知らぬ者のグループにいる場合、外が暗くなった場合、馴染みのない場所にいる場合、何かを携帯している場合、それをどのように携帯しているか、走らなければならない場合に履いている靴の種類、持つバッグのタイプ、身につける宝飾品、時間帯、通り、環境、寝ている人数や相手、どういう友人か、電話番号を教える相手、配達員が来たときに周りにいる人、アパートの部屋は、見られる前にドアの前にいる相手を見ることができるようになっているか、配達員にドアを開ける前のチェック、犬を飼ったり、犬の鳴き声がする機器を所有したりする、ルームメートを見つける、自衛する、常に警戒し、注意を払い、後ろを見て、周囲に気を付け、性的暴行を受けないように一瞬でも気を緩めない等だ。一瞬でも隙を見せて、これらのルールのどれかを破れば、レイプされても自業自得、というわけだ。
レイプ対策グッズの着用
上の写真の左側は、女性が体のなかに装着する、内側にトゲが付いた「アンチ・レイプ・コンドーム」。右側は、女性が夜に身につけるための「毛深いストッキング」だ(レギンス姿でいても、男性から見た女性の性的魅力を低下させる製品だ)。こうした製品は、女性の個人的・性的な境界線を尊重するように気を付けよう、と男性に対して呼びかけるのではなく、女性が自衛するべきだというメッセージを送っている。
「グローブ・アンド・メール」紙のエマ・ウーリーは、レイプ対策グッズの悲しい現状について報じ、次のように書いている。「一部の女性は、性的暴行は避けがたいと不本意ながら完全に認め、防犯用にレイプ対策グッズに頼っている。結局のところ、こうした現状を直視する必要がある」
レイプ絡みのジョーク
レイプ絡みのジョークが笑えるかどうかをめぐる論争の背景には、性的暴力の概念を社会が笑うのが健全かどうかという、もっと大きな問題がある。
リンディー・ウェスト記者は、「レイプ絡みのジョークを言う方法」という記事を書いた。レイプ絡みのジョークは、性的暴行が正常なことで、問題ないように思わせるような力関係を助長するものでしかない、と訴えている。
「誰も、レイプについて話してはいけないと言っているのではない。ただ、レイプについてまともな態度を身につけた人間になるべきだ。そうでないと、モラルの高い考え方を捨て、世界がもっと悪くなっても大丈夫ということになる」
友達ゾーン
「友達ゾーン」という概念では、「いい人」とは、恋人とは女性から思われず、セックス関係のない友達を指す。「友達ゾーン」の体験談では、「いい人」でいる見返りとしてセックスが語られがちだ。
しかし、「全米強姦・虐待・近親相姦ネットワーク」(RAINN)によれば、レイプ加害者の約3分の2が被害者の知人だという。この事実と結びつけると、「少女を密かに思いながらも、その個人的な境界線を尊重できない友達」という概念は、急にロマンチックとは思えなくなる。
ブロガーのケビン・バーンは、友達ゾーンがどういうかたちでレイプ・カルチャーにつながるのかについて、すばらしい分析を行っている。
友達ゾーンの神話は危険で失礼だ。なぜなら、「いい人」でいるご褒美や見返りとして女性を見る風潮を永続させるからだ。街でセクハラ的な声をかけるよりも微妙なかたちで、女性を非人間的に扱っている。だから、多くの人がそれに騙される。私も若いときに騙された。
現代のナンパ師の動向をみると、女性は手に入る性的な対象であるだけでなく、手に入れるプロセスは一種のテクニックであり、ゲーム感覚で行えると信じられている。上の動画では、YouTubeで人気のナンパ師が、大学のキャンパスで、知らない女性を抱き上げている。
Kickstarterは2013年6月、ケン・ホインスキーという男性による「ナンパ入門」をアクセス禁止にした。女性に男性とのセックスを強要する方法を事実上説明しているのをユーザーが発見したからだ。
翌月、「XoJane」のS・E・スミスは、ナンパテクニックの核心となる問題を指摘した。
もちろん、ナンパテクニックに関する情報を読んだからといって、レイプ犯になるわけではない。ナンパ師を自称し、セックスの相手を求めてそうしたテクニックを利用したからといって、レイプするとは限らない。それでも彼らは、女性をモノ扱いして媚びを売る文化、女性を人間ではなく、勝ち取るべき賞品のように扱う、非常にセクシスト的な文化に属していると私は考える。
通報することへの恐怖
大学のキャンパスでは、5人に1人の女性が暴行されているが、通報するのは8人に1人だけだ。それは、大学生ぐらいの年齢の被害者の場合、多くは「事件の悪質さや重要さについて、通報に足りるとは見なしていない」あるいは、「家族やほかの人たちに知られたくないと思っている」からだ。
アメリカ国立司法研究所(NIJ)が2000年に発表した調査結果[PDFファイル]によると、彼女たちは、「証拠不足」や「加害者による報復への恐れ、警察から敵意を持って扱われることへの恐れ」、あるいは、「警察は事件をさほど重要視しないだろう、こんな事件にかまいたがらないだろうという思い込み」による拘束を感じているという。
最終的には被害者が警察を通じて事件を訴えることになったとしても、加害者が有罪になる保証はない。レイプキット(性的暴行を証明するための証拠収集キット)は、全米各地に千単位で溜まっている。先日発表されたホワイトハウスのレポートにも示されているように、「逮捕が行われた場合でさえ、検察はしばしば、レイプや性的暴行事件を捜査することを嫌がる」のだ。
アメリカ国防総省(DoD)が行った調査によると、軍隊では3人に1人の女性が仲間の軍人によって暴行されているが、いわゆる「指揮系統」が通報に対する恐怖をいっそう強めているという。そしてその調査から、暴行を通報した女性の62%が、それに対する報復を受けたことがわかっている。ドキュメンタリー『Invisible War』のなかで明らかにされた調査結果によると、女性兵士の33%が、「報告する相手が、レイプ犯の友人である」ことを理由に被害を報告しないのだという。また、25%は、「報告する相手がまさにそのレイプ犯である」ことを理由に被害を報告していないという。
強姦・虐待・近親相姦に反対する全国ネットワーク(RAINN)によれば、実刑を言い渡されるレイプ犯は約3%にすぎず、『Invisible War』によると、軍隊で有罪になるレイプ犯は2%だけだという。
「偽レイプ」
全米各地の警官が、被害者を脅して、「自分自身でレイプ事件をでっちあげた」と認めさせようとしたとして、告発されている。こうした行為は珍しいことではなく、「偽レイプ」の件数を増加させてきた。
「偽レイプ」は、しばしば男性人権活動家によって持ち出される。彼らは概して、女性が復讐や、あるいはおそらく男と寝たことに対する後悔に駆られたら、陪審の同情を利用して、男性にレイプの濡れ衣を着せるかもしれないことを恐れている。だが、こうした思考は男性人権活動家に限られたものではない。大学アメリカンフットボールで活躍した選手に送られるハイズマン賞を受賞したジェイミス・ウィンストンから暴行を受けたとされる被害者は、フロリダ州立大学コミュニティーの一部から、ウィンストンのキャリアを台無しにしようとしたとして非難された。
しかし、「偽レイプ」告発に関する現実は明確だ。自身が受けた暴行について法執行機関に嘘をつく女性は、統計的に見て少なく、立証も難しい。FBIも、あるひとつのデータに基づいて偽レイプをまとめようとする試みは無意味だと言っている。偽レイプ告発の公式記録は存在しない。実際に起こることではあるが、それほどの頻度ではない。
セレブの影響力
ディラン・ファロー(ウディ・アレンとミア・ファローの養女)は先日、『The New York Times』で書簡を公開した。7歳のときに、養父であるアレンに暴行されたことについての書簡だ。反応はおおむね支持的だが、その一方で、彼女の言葉を信じない、あるいは信じたくないとする声も多い。
アレンへの疑惑に対する反応は、詳細こそ大きく異なるものの、2003年に起きたコービー・ブライアント(バスケットボール選手)のレイプスキャンダルに対するそれと、さほど変わらない。ブライアントも広く尊敬を集めるセレブであり、彼のファンの多くがすぐさま、被害者とされる女性の言葉は信ずるに値しないとした。それから10年以上が経過した現在、ブライアントをめぐるこのスキャンダルについて話す者は誰もいない。ビル・コスビーやR・ケリーの虐待疑惑についても同様だ。長い歳月が流れたいま、何かで思い出させられるまで、我々がそのことについて語ることはない。当時でさえ、そうした話題が再燃するのは短期間だけだった。
ディラン・ファローの書簡は、我々に新事実を教えてくれるものではなかった。彼女の主張が公にされてから20年経つが、その話題は近年も、彼女の養母ミア・ファローの『Vanity Fair』におけるプロフィールや、ゴールデングローブ賞に際したツイートのなかで再浮上している。しかしアレンは、ブライアントと同様に、何年ものあいだ、こうした疑惑を振り払うことに成功している。評論家が絶賛する自身の作品に自信を持って挑み、才能に恵まれ、大いなる尊敬を獲得している限り、レイプ犯の烙印は回避できることを証明してきたのだ。
メディアが伝える「輝かしい未来」
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前述したスチューベンビル高校のレイプ事件でトレント・メイズとマリク・リッチモンドの2人が有罪判決を受けると、CNNのポピー・ハーローは彼らのことを「前途有望な若者でした。フットボールのスター選手で、非常に優秀な学生でした。そんな彼らのまさに目の前で、人生が粉々に砕けてしまったのです」と評した。
「ニューヨーク・タイムズ」紙が、フランスの政治家ドミニク・ストロス=カーンに対する、ホテルのメイドによる告発を報じた際、近所の住民や同僚は、被害者である彼女を評して「人に迷惑をかけたことのない」「良い人」と言っていた。
ジャーナリストのジェフリー・ゴールドバーグはのちに「The Atlantic」で、なぜ自分は、被害者とされる人物のパーソナリティー(あるいは、加害者の「輝かしい未来」)について報じることが問題だと思うのかに関して、次のように書いている。「このような報道が私には理解できない。こんなことに、いったい何の意味があるのだろう? 彼女が親しみやすい人間であることは重要なのだろうか? 善人であることは重要なのだろうか? 彼女が問題を起こしたことがないという事実は重要なのだろうか? むろん、そんなことはない。レイプはレイプなのだ。被害者の個性は関係ないのだ」
男性に対するレイプ
1927年以来、つい最近まで、強姦の法的な定義は、「強制的かつ本人の意志に反した、女性との性行為」だった。FBIの「統一犯罪統計報告書(UCR)」は2012年、性的暴行の被害を受けるのは女性だけではないという事実を反映するために、強姦を再定義した。強姦は現在、法的には次のように定義されている。「被害者の同意なしに、たとえわずかであれ、肉体の一部あるいは物を、膣または肛門に貫通されること。ないしは、他者の性器を口に貫通されること」
この法的区別は重要だ。数は少ないにせよ、男性に対するレイプも実際に起きているからだ。メディアでは多くの場合、こうした男性へのレイプは、フットボールのコーチや聖職者など、権力を持つ男性が関与しているときにしか取り上げられない。その一方で、男性へのレイプのサバイバーは、女性のそれと比較すると、支援もなく、別種の汚名にも直面している。
マイノリティー集団における、レイプに対する関心の欠如
広く認知されるようになるレイプ関連のニュースには、必ずと言っていいほどストレートの白人被害者が登場する。しかしながら、RAINNによると、強姦または強姦未遂を生涯に経験するアメリカ先住民とアラスカ先住民の女性の割合は34%にのぼるという。その割合は、白人女性(17.7%)と黒人女性(18.8%)と比べて、ほぼ倍だ。3人に1人が被害に遭っている計算になり、まさに「まん延」の域に達している。
また、LGBTコミュニティーでは、強姦犯が被害者の性的指向を問題とみなし、それを「キュア(治療)」「コレクト(矯正)」するために行う「コレクティブレイプ」が新たな問題になっている。だがアメリカでは、この問題に対する注意はいまのところほとんど払われていない。
この記事は英語から翻訳されました。翻訳:矢倉美登里、阪本博希/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan