
大手事務所での経験と企業内弁護士として培った知見が強み〜企業のビジョン実現を支えるパートナー
ベンチャーへの転職で企業が抱える悩みを実感
ーー弁護士を目指された経緯から教えてください。
弁護士を目指すモチベーションをかきたてられたような、特別な出来事があったわけではありません。子どもの頃から「難しいものに挑戦したい」と考える性格だったので、日本で一番難しいとされる司法試験に合格したいという気持ちが大きかったのだと思います。
大学を卒業して法科大学院に進学し、その後、司法試験に合格しました。司法試験は勉強する科目が多いのですが、新たな知識を幅広く、かつ深掘りして吸収していける実感がありました。難しいものに挑みたい自分に合っていたのか、勉強はそれほど苦にならなかったですね。
ーー弁護士登録してから現在までのキャリア形成についてお聞かせください。
2017年に弁護士登録をして、大手法律事務所に入所しました。企業法務の取り扱いが多い事務所でM&Aや企業間の訴訟を多く手掛けました。その後、法律事務所を退所して企業に就職しました。
法律事務所で働いていたときは、自分のアドバイスによって、その企業がどのように成長したか、社会にどんな影響を与えていくかを見届けられない歯がゆさを感じていました。案件の根幹を深く理解し、事業が形になったり、企業が目指すゴールが見えたりする段階まで関わりたいと思うようになり、企業内弁護士として働くことにしたのです。
伸びている企業・業界に入って専門性を磨きたいと思い、ECや電子取引で成長しているベンチャー企業に入社しました。現在は私を含め弁護士2人体制で、社内の法律相談や契約業務、株主総会などの機関法務まで幅広く対応しています。
ーー企業内弁護士の活動を通じて得られたものはありますか。
出来上がったサービスやビジネスについて法務関係のチェックをするのではなく、まだ事業として形になっていない段階から関われたことは貴重な経験でした。企業が何を求め、考えているのかを内部の立場から理解できるようになりました。
また、企業の法務担当者が何に悩み、どのように対処しようとしているのかを知れたことも大きいですね。相談に対して、当事者目線で考え、アドバイスできるようになりました。
自分を頼って来てくれた依頼者のために、徹底的に戦う
ーー企業内弁護士として働きながら法律事務所を設立しています。
共同代表の堀弁護士は私と同じ時期に法律事務所から企業に転職しており、以前から親交があったことから、企業法務の悩みについて互いに相談し合っていました。
そのなかで気づいたのは、企業の法務担当者がつまずく部分は似通っているということです。問題が起きた際に、法律の専門書を参考に対処しようとしても、具体的にどうすればよいのかわからず悩んでしまう場面が多くあります。
2人で事務所を始めて、法律事務所で培った知見と企業内弁護士としての実務経験を活かせば、企業の法務担当者がつまずきやすい部分に対処できるサービスを提供できるのではないかーー。そう考えて事務所を設立しました。
ーー企業での仕事を継続しながら、法律事務所でサービスを提供するのは大変ではないですか。
平日は勤務先の企業の仕事を行い、夜間や土日の時間を使って法律事務所の業務をおこなっています。2人とも自分の時間を削って対応しているのが正直なところです。もっとも、最初にいた事務所が必要ならば朝まで働く事務所だったので、それほど苦ではないのですが(笑)。
ーー事務所で扱っている案件はどのようなものが多いのでしょうか。
ベンチャー企業の顧問業務や契約書レビュー、M&Aなどに力を入れています。
企業案件をメインとしていますが、離婚や相続など個人案件も取り扱っています。知人から法律問題で相談を受けたときに「企業案件専門なので個人案件はできません」と断ったりすることがないように、日頃から個人案件も取り扱い、対応できるようにしています。
個人でも企業でも、自分を頼って来てくれた人の困りごとには誠心誠意取り組み、解決したいと思っています。
ーー案件に取り組む際に心がけていることはありますか。
最初に入った事務所は「依頼者がしたいことを全部する」という方針を掲げていました。証拠を見逃すようなことは絶対に許されず、依頼者の希望を叶えるために、証拠の調査や確認、書面作成も細かいところまで注意を払いました。書面の文章を1行作るのに数人で1時間討論して決めたこともあります。
前の事務所で学んだ徹底的に証拠を見る姿勢や、訴訟において徹底的に戦う姿勢は、依頼者の利益のために必要なことだと思います。ですから、いまも継続してその姿勢を貫いています。
フランクに相談できる相手として活用してほしい
ーープライベートについてもお聞きします。お休みの日は何をされていますか。
最近は司法修習時代の友人とゴルフに行きます。サーフィンも好きで、一人で海に出かけて、波に乗れた瞬間の気持ちよさを味わっています。身体を動かすことでオンとオフの切り替えができ、いいリフレッシュになります。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
法律事務所を運営する立場としては、事務所の規模を拡大して、クライアントに提供できるサービスの質を向上させたいと思っています。
企業の抱える問題を実態に即して解決し、ビジネスを一歩前に進めるような提案をしていきたいですね。何かやりたいと言われたときに「こういう障壁があるからNGですよ」と止めるのではなく、どうすれば課題をクリアできるかという点も具体的に提案して、ビジネスに寄与できればと思っています。
個人案件も引き続き取り扱い、依頼者が最大限に満足できる結果を導くために、質の高いリーガルサービスを提供していきたいです。
ーー法律問題を弁護士に相談するメリットは何でしょう。
例えば、相続や離婚は、人生でそう何度も経験することではないと思います。しかし弁護士は数多くの事例を見ていますので、経験をもとに妥当性を判断して方針を決められます。
案件に着手して進めていく場合も情報の取捨選択が重要になりますが、多種多様な案件を見ている弁護士だから判断できることがあります。自分だけの判断で決めるのではなく、知識と経験のある専門家の助言を受けて、最善の解決を目指せることがメリットだと思います。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて弁護士に相談しようかと思っている人へメッセージをお願いします。
弁護士は敷居が高いと思っている人が多いようですが、実際は、意外とフランクに話せる相手だと思います。
相談後に、「思っていたよりも話しやすい」「敷居が高いと思ったけど実はそうでもなかった」と言われることもよくあります。
あまり身構えず、「悩みを解決するためのアドバイスを聞きにいく」という程度に考えてもらえればと思います。友人に話すような感覚で、気軽にご相談ください。