京都大学がHP上でボブ・ディランさんの「風に吹かれて」の一節をとりあげたことについて、「JASRAC」(日本音楽著作権協会)の浅石道夫理事長は5月24日、「JASRACは引用として判断している。(著作権使用料を)請求はしない」と明言した。発言は定例記者会見でのもの。
京都大学の山極寿一総長は、4月の入学式の式辞で「風に吹かれて」の一節を紹介。この式辞が大学HPに掲載されたことで、JASRAC側が問い合わせをしていた。
浅石理事長は、JASRACが使用料を請求したという一部報道を完全否定。歌詞の利用目的の確認は、新聞などに対しても行なっている「日常業務」で、困惑していることを強調した。
JASRAC広報によると、今回の件では、外部から京大HPでの歌詞利用について「問題ないのか」という連絡があったという。JASRACでは歌詞付き楽譜のダウンロード販売などについて使用料を徴収しており、公平性や公衆送信権(読者に対し、コピペ、拡散を推奨するものなのかどうか)の観点から、京都大学に掲載目的の確認を行なったそうだ。
●分配料は過去2番目の多さ、テレビは秒単位の分配が可能に
この日の記者会見では、2016年度の使用料の徴収・分配実績も発表された。徴収額は1118億2100万円(前年比100.1%)、分配額は過去2番目に多い1124億7600万円(前年比100.8%)だった。 分配の方が多いのは、分配期間の違いによるもの。
徴収では、コンサートでの演奏利用が好調。また、動画配信サイトなど「インタラクティブ配信」からの収益は114億4200万円(前年比116.2%)で、初めて100億円を超えた。
分配では、NHKや地方局を含む民放について、秒単位で利用を確認できるようになったことから、2016年12月分から秒単位の利用時間に応じた配分が可能になったという。
分配料の多かった楽曲に対して贈られるJASRAC賞の発表もあり、1位の金賞には、CMやカラオケ利用が多かった中島みゆきさんの『糸』が輝いた。銀賞は大野克夫さん作曲『名探偵コナンBGM』、銅賞はすぎやまこういちさん作曲『ドラゴンクエスト序曲』。流行曲のトップ3入りはならなかった。