29歳の棋士・吉田正和五段と、51歳のかるた女王・渡辺令恵さんの「22歳年の差婚」が話題になっている。吉田さんは姓を渡辺に変えて、入籍も11月に済ませたが、新婚夫婦は思わぬトラブルを抱えているようだ。
週刊文春のインタビューで、正和さんは「実は妻の弟家族を相手に、裁判を起こさざるを得なくなったんです」と打ち明けている。正和さんによると、両親を亡くした令恵さんは、弟家族と同居していた。現在は、一軒家の1階に令恵さん、2階に弟夫婦とその子どもたちが住んでおり、家の権利は令恵さんと弟が半分ずつ持っているそうだ。
しかし、結婚を機に、正和さんが令恵さんと同居しようとしたところ、弟夫婦から猛反対に遭ってしまい、一緒に部屋にいると「なぜここにいるんだ!」と怒鳴られてしまったというのだ。
正和さんは、このまま二世帯住宅で同居するのは現実的ではないため、裁判所に共有物分割の手続を進める考えを明らかにしている。「おそらく調停が入り、建物を物理的に半分に分けることはできませんから、妻の保有する権利を買い取ってもらって私たちはどこか別の場所で住もうと考えています。100%勝てると思います」と話している。
ここで問題になっている「共有物分割」とは、どのような手続なのだろうか。山岸陽平弁護士に聞いた。
●共有地分割の3つのパターン
「民法では、それぞれの共有者はいつでも、共有物の分割を請求することができるとされています。共有者の間で、分割についての話がつかないときは、裁判所に共有物分割の請求をすることができます」
山岸弁護士はこう話す。
「共有物の分割と言っても、いくつかバリエーションがあります。
一つ目は、不動産を持分に応じて、区切ってしまうような分け方です。
二つ目は、不動産を売却して、その代金を分けるという方法です。
三つ目は、不動産を共有者の一部の人が取得して、取得した人が手放した人に対価を支払うという方法です」
今回のケースをどうとらえればいいのか。
「原則的には、不動産の共有持分を有している人の権利として、共有物分割の訴えは認められることになります。
その場合、当事者のどちらか一方が、対価を払っても相手方の持分を取得したいと申し出るようなことがあれば、対価の額が決まったときに和解が成立する可能性があります。
しかし、たとえば、過去に両親を含めた話し合いがあり、共有を崩さずに持ち続けるという合意がなされていたなど、共有に至った経緯によっては、すぐには共有物の分割を請求することができないと判断される可能性もあります。
親族間であっても、いろいろなことをきっかけに法律的な問題に発展することがあるので、不動産を共有する場合には、将来的なリスクを考えたほうがいいでしょう」
山岸弁護士はこのように話していた。