死刑制度について考えるシンポジウム「響かせあおう 死刑廃止の声2016~死刑と憲法~」 (主催:死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90)が10月15日、東京都内で開催された。死刑廃止議員連盟副会長の福島みずほ参議院議員、憲法に詳しい伊藤真弁護士、刑法学者の平川宗信・名古屋大学名誉教授、2014年に再審開始が決定された「袴田事件」弁護団の小川秀世弁護士が登壇し、日本の死刑制度について憲法の観点から議論を交わした。
福島議員は、「国家による殺人は戦争と死刑執行の2つ。政府は強大な権限を持っているが、人の命を奪うことはできないはず。戦争はできないと定めているのが憲法9条。戦争と同じように人の命を国家が奪う死刑も、違憲と言えるのではないか」と話した。
伊藤弁護士は、「死刑は人の命を奪うという最大の人権侵害。天皇主権の時代は天皇の名で(死刑)判決が出たが、今は国民主権なので、国民の名で死刑判決が出るといえる。主権者である国民が、国家による殺人を正当化している」と語った。
平川名誉教授は、「死刑制度は国の制度。国の制度は憲法の上に考えられなければならない」と指摘。憲法の理念や原理に基づけば、「どう考えても死刑は憲法に反すると言わざるを得ない」と述べた。
小川弁護士は、日本弁護士連合会が死刑廃止宣言を採択した10月7日の人権擁護大会で、反対派の弁護士から「死刑の問題は価値観の問題」「価値観の強要は思想信条の自由に反する」という意見が出たと指摘。「死刑は法制度の問題なのだから、まず、憲法に適合するのかを議論すべき」と述べ、憲法をベースとした議論を呼びかけた。