「ジャニー喜多川氏から性虐待」 元アイドルが会見で訴え

ニコラス・ヨン、BBCニュース、シンガポール

Former J-pop artiste Kauan Okamoto

画像提供, EPA

画像説明, 性的虐待の被害を訴えたカウアン・オカモト氏

日本で多大な影響力をもっていた音楽プロデューサー、ジャニー喜多川氏(2019年死去)に性的虐待を受けたと、また別の日本ポップス界の元スターが12日、日本外国特派員協会での記者会見で証言した。

日系ブラジル人の親をもち、現在はシンガーソングライターとして活動するカウアン・オカモト氏(26)。喜多川氏が創業したジャニーズ事務所に2012年に15歳で入った。そのころから2016年にかけ、最大20回ほど虐待を受けたという。

虐待被害を受けた少年は100人ほどに上るとの考えを述べた。

Presentational grey line
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喜多川氏は生前、すべての告発を否定し、起訴されることはなかった。BBCは先月のドキュメンタリー「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」(The Secret Scandal of J-Pop)で、被害に遭ったとする複数の人々の訴えを詳しく伝えた。

それら告発者たちは、喜多川氏の意向を拒めば、自らのキャリアが損なわれることを恐れたと語った。

喜多川氏は日本の音楽業界で最も影響力がある1人とみなされていた。4年前に87歳で死去した際には、Jポップアイドル文化の立役者として大きな遺産を残したと称賛された。

しかし、喜多川氏が10代のアーティストを手なずけ、性的虐待をしていたという疑惑は1999年から浮上していた。「週刊文春」は同年、元アイドル6人の証言を記事にした。

だが、日本メディアのほとんどはこの疑惑を取り上げなかった。その後長年にわたって、業界による隠蔽(いんぺい)だとの非難を呼んできた。

動画説明, BBC、故ジャニー喜多川氏の加害について取材 言葉を詰まらせる元ジュニア

12日の証言によると、オカモト氏は東京にあった喜多川氏の自宅マンションで15~20回ほど虐待被害に遭った。

喜多川氏が夜、ベッドにやってきて、オカモト氏の服を脱がせてオーラルセックスをした。虐待されている間、オカモト氏は眠ったふりをしていたという。

虐待を我慢しなければ成功しないと喜多川氏に明確に言われたことはないが、「ジャニーさんの一言ですべてが決まる」と当時の状況を振り返った。

オカモト氏はまた、喜多川氏の自宅に泊まった少年を少なくとも100人知っており、その全員が虐待を受けていたと思うと述べた。

「全員が出てきた方がいい」

ジャニーズ事務所はオカモト氏の会見の後、「ガバナンス体制の強化」などに取り組んでいるとする声明を発表した。

オカモト氏の訴えには触れず、喜多川氏への言及もなかった。

オカモト氏は、ジャニーズ事務所に対して法的措置を取ることは考えていないと述べた。

その代わり、自らの話をすることで、多くの被害者が声を上げるようになることを願っていると述べた。

また、ものすごい数の被害者がいるとし、「僕の願いだけど、(被害に遭った)全員が出てきた方がいい」と主張。

「ジャニーさんが当時15歳の僕やその他のジュニアに対して性的行為を行ったことは悪いことだと思っている」と話した。

オカモト氏は、先月のBBCドキュメンタリーの公開を受け、証言する気持ちを固めたと説明した。

まず今月5日に週刊文春に自らの訴えを詳しく述べ、この日、東京の日本外国特派員協会に招待されるかたちで記者会見に臨んだ。

「日本のメディアではおそらく報じないだろう。BBCのように外国のメディアならば取り上げてくれるのではと言われ、この記者会見を受けることにしました」とオカモト氏は話した。

(英語記事 Former J-pop idol alleges abuse by famed producer)