「米同盟国は下僕ではない」 マクロン仏大統領、台湾めぐる発言の正当性を主張

French President Emmanuel Macron

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画像説明, エマニュエル・マクロン仏大統領

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は12日、台湾問題に関する自らの発言は正当だと主張した。マクロン氏は5~7日の中国訪問時、フランスは米中問題に巻き込まれてはいけないなどと述べ、波紋が広がっている。

マクロン氏の発言は、欧米の政治家などから批判を浴びている。

マクロン氏は12日、訪問先のオランダでの記者会見で、自らの発言の妥当性を主張。「(アメリカの)同盟国であることは下僕になることではない。(中略)自分たち自身で考える権利がないということにはならない」と語った。

また、台湾の「現状維持」を支持するフランスの立場を変えるつもりはないと言明。フランス政府は「『一つの中国』政策と、事態の平和的解決の模索を支持する」と述べた。

ドナルド・トランプ前米大統領は、マクロン氏が中国にすり寄っていると批判しているが、マクロン氏はこうしたコメントには反応しないと話した。

一方、米ホワイトハウスはマクロン氏の発言を問題視しないとし、「フランスとの素晴らしい二国間関係に満足しており、自信を持っている」と述べた。

台湾側の受け止めは

台湾の外交部(外務省)も同様の立場を取っているものの、マクロン氏の発言に「留意する」としている。

一方、台湾立法院院長(議長)の游錫堃氏は、マクロン氏の言葉に「戸惑った」と述べた。

游氏はソーシャルメディアに、フランスの国是である「『自由、平等、博愛』」はファッションなのか?」と書き込み、「憲法の一部となった時点で、これを無視していいのか? 民主主義先進国は他国の人の生き死にを無視していいのか?」と疑問を投げかけた。

マクロン氏の発言は、台湾をめぐる緊張の高まりには中国だけでなくアメリカにも責任があり、欧州連合(EU)が中国政府に強硬姿勢を取りづらくなっていることを示していると指摘するアナリストもいる。

一方、中国はマクロン氏の発言を歓迎し、批判にも驚いていないと述べた。

中国外交部の汪文斌報道官は、「他国が独立し自立することを望まず、常に他国を威圧して自分の意志に従わせようとする国もある」と語った。

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Presentational white space

台湾は自らを主権国家とみなしているが、中国は台湾を、いずれ本土と統一される分離した省とみなしている。

中国政府は、目標達成のために武力を行使する可能性を排除していない。

アメリカは外交的には、中国は一つの国家だとする中国政府の立場を認めている。だが、ジョー・バイデン大統領は、台湾が攻撃された場合には軍事介入すると述べている。

台湾の蔡英文総統は5日、アメリカを訪問し米下院のケヴィン・マカーシー議長(共和党)と会談した。これを受けて中国は、台湾を包囲する軍事演習を3日にわたって行った。

蔡総統は8日、中国からの「権威主義的な拡張主義の継続」に直面する中、台湾はアメリカや他の民主主義国家との協力を続けると述べた。

(英語記事 'An ally not a vassal': Macron defends Taiwan comments)