米漫画「ディルバート」作者が人種差別発言、ワシントン・ポストなどが掲載取りやめ

Scott Adams and his comic character Dilbert. File photo

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画像説明, スコット・アダムス氏(写真)が手掛ける、エンジニアのディルバートを主人公にした漫画は、オフィスを舞台とした風刺的なユーモアで知られる

アメリカで長年親しまれてきた漫画「ディルバート」について、ワシントン・ポストなど多くの新聞が掲載を取りやめにした。作者が人種差別的発言をしたことを受けてのもの。

「ディルバート」の作者で白人のスコット・アダムス氏(65)はユーチューブに投稿された動画の中で、アメリカの黒人は「ヘイト(憎悪)グループ」の一部であり、白人は黒人から「とっとと離れる」べきだなどと語った。

このコメントは、米世論調査会社ラスムセン・レポートが行った調査で、「It's OK to be white」(白人であることに問題はない)というフレーズに賛成か反対かを問われた際に発したもの。

このフレーズは、2017年にインターネット上の荒らし行為の中で浮上し、以降、白人至上主義者が使用していると考えられている。

同世論調査によると、黒人の回答者の53%がこの言葉に同意したが、26%が反対。その他の人はよくわからないと回答した。

アダムス氏は、同意しない者は「ヘイトグループ」の一員だと主張。「現在の状況を踏まえて言いたい。私が白人に対してできる最善のアドバイスは、黒人からとっとと離れることだ。(中略)なぜなら、これは直らないことなので」と述べた。

アダムス氏はその後、この一件がきっかけで自身のキャリアが台無しになったことを認めた。来週までに収入のほとんどを失うとしている。

「ディルバート」は1989年の初掲載からこれまで、アメリカの新聞の漫画欄の主力作品となっていた。

「人種差別を助長する」発言と

アダムス氏の発言を受け、数十の新聞を運営するUSAトゥデイ・ネットワークやロサンゼルス・タイムズなどが掲載を取りやめた。

ワシントン・ポストは、アダムス氏の発言は人種差別を助長するものだと指摘した。

2019年にアメリカの優れた報道などに贈られるピュリツァー賞を受賞した、黒人の漫画家ダリン・ベル氏は、アダムス氏は恥ずべき人物だと評した。

(英語記事 US media drop Dilbert comics over racist tirade)