黒人活動家にSNSで「恐ろしい」中傷、英王室関係者の発言公表後

動画説明, 「本当はどこから来たの」 英王室関係者に再三聞かれた黒人活動家「暴力だと感じた」

英国王室の集まりで、王室関係者から何度も「本当は」どこから来たのかとたずねられたイギリス出身の黒人慈善活動家が、この件を公表した後、ソーシャルメディアで「恐ろしい」中傷に苦しんでいると語った。

ンゴジ・フラニ氏は、家族も大きな重圧にさらされていると語った一方で、支持の声に励まされていると述べた。

慈善団体「シスタ・スペース」の代表を務めるフラニ氏は11月29日、バッキンガム宮殿のチャリティー・イベントに招かれた際、故エリザベス女王の側近だったレディ・スーザン・ハッシー(83)から「あなたの国籍は?」、「あなたは本当はどこから来たの?」、「あなたはいつここに来たの」などと繰り返し質問されたことを、ツイッターで明らかにした。

また、その場で自分はイギリスで生まれ育ったと説明したものの、ハッシー氏による再三の質問は「尋問」のようで、暴力だと感じたと話した。

ハッシー氏はその後、王室の名誉職から退いている。

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Presentational white space

フラニ氏は声明の中で、この出来事を明らかにしてから「感情の渦」のような経験したと述べた。

「先週1週間は、私たち『シスタ・スペース』の全員にとって非常に苦しい時間だった」

「私のチームや家族、そして私自身が大きな重圧にさらされ、ソーシャルメディアで恐ろしい中傷を受けた」

「一方で、この間に受け取った多くの支援に励まされている」

また、ハッシー氏から受けた質問について、「このようなことが日常茶飯事として起こっていることは、悲しいことだが、よく知られている」と語った。

「このような事件は、当事者に精神的苦痛を与えるだけでなく、コミュニティーにも広く影響を及ぼす」

「黒人女性が逆境に直面し、それを報告するためにさらなる障壁を乗り越えなければならないとき、何が起こるかを私は直接体験した」

Lady Hussey, by the side of the late Queen

画像提供, PA Media

画像説明, ハッシー氏(右)は何十年にもわたり、女王をはじめ王族を間近で補佐する側近の1人だった

ハッシー氏は故エリザベス女王の女官として、長年にわたり重要な役割を果たしてきた。ウィリアム皇太子のゴッドマザー(後見人、実の親に次いで親に代わり子供の面倒を見る人の意味)でもある。

しかし、フラニ氏と会話したこのイベントが、王室での最後の仕事となった。

フラニ氏によると、ハッシー氏はフラニ氏の髪を手で動かして名札を確認したあと、「どこから来たのか」と再三質問した。

フラニ氏が自分はイギリスで生まれ育ち、イギリス国籍だと説明しても、国籍や出身地、さらにはアフリカのどの地域からやって来たのか尋ねたという。

その後、フラニ氏が自分はアフリカにルーツがあり、両親は1950年代にカリブ海地域からイギリスに来たと話すと、「ああやっと、いつかはたどりつくと思ってましたよ! そこから来たのね」と返されたという。

BBCは、ハッシー氏がもし可能なら直接フラニ氏に謝罪したいと述べていることを、取材でつかんでいる。

ウィリアム皇太子の報道官は、「我々の社会に人種差別の入る余地はない」と述べた。

「この発言は容認できないものであり、発言者が即刻身を引くことは正しいことだ」

(英語記事 Charity boss in Palace race row faces online abuse)