新型コロナウイルスでイタリア人神父、少なくとも50人死亡

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新型コロナウイルスによる感染被害が厳しいイタリアで、少なくとも50人の司祭が死亡している。そうした中、自分より若い患者にと人工呼吸器を譲った72歳の神父が亡くなったという話がソーシャルメディアなどで広く共有されていたが、神父の友人たちは、死亡した神父が人工呼吸器を譲った事実はないと情報を否定した。
ジュゼッペ・ベラルデッリ神父は、イタリア北部ロンバルディア州ベルガモ司教区にあるカスニーゴの町で司祭長を務めていた。以前から呼吸器系の病気を患っており、ローヴェレの病院で亡くなったという。
25日までの現地報道などで、ベラルデッリ神父に信者たちが人工呼吸器を寄付し、神父がこの呼吸器を若い患者に譲ったと伝えられ、BBCもこれを引用して報道した。しかし、カスニーゴ司教区でベラルデッリ神父の同僚だったジュゼッペ・フォレスティ氏は、神父が若者に呼吸器を譲ったという話は「フェイク」だとして、神父は基礎疾患のために重症化して亡くなったのだと述べた。
また、カトリック・ニュース通信は、ベルガモ司教区のジュリオ・デッラヴィーテ事務局長が「寄付された人工呼吸器はない」と話したと伝えている。
イタリアでは少なくとも50人の司祭が、新型コロナウイルスによって死亡したとされる。
ローマ教皇庁の教皇フランシスコは24日、亡くなった医師や司祭のための祈りを先導し、「病める者に尽くすことで英雄的な手本となったことを神に感謝」すると述べた。
カトリック教会イエズス会のアメリカ人神父ジェイムズ・マーティン司祭はツイッターで、「(信者たちが自分のために買ってくれた)人工呼吸器を自分より若い患者に(知らない相手に)譲った72歳のベラルデッリ神父が、亡くなった」と書き、「友のために命を投げ出すほど大きい愛はない」という新約聖書のヨハネによる福音書の言葉を引用していた。

ロンバルディア州は、イタリアでも特に感染被害の厳しい地域。3月8日以来、外出禁止令など行動制限が実施されており、さらに21日からは1人で屋外で運動することも禁止するなど、厳しい制限が追加されている。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間25日午前の時点で、全世界で確認された感染者42万人超のうち、イタリアは6万9000人超。イタリアの死者は6820人に上る。ロンバルディア州によると、24日までに州内で3万人以上の感染が確認され、4000人以上が死亡した。

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全国的に厳しい行動制限が続くなか、24日までに3日連続して感染者の増え幅が縮小したものの、今も1日600人以上が死亡している。
また、イタリア市民保護局のアンジェロ・ボレッリ局長は同日、地元紙ラ・レプッブリカに対して、実際の感染者数は確認されている人数の10倍はいるだろうと述べた。
世界保健機関(WHO)も、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は「加速している」と警告している。
新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」が最初に報告されてから感染者が10万人に達するまでには67日間かかったが、次の10万人が確認されたのはその11日後、さらに次の10万人はわずか4日間で増えたという。


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