ドゥテルテ比大統領、麻薬撲滅作戦から警察を除外

Rodrigo Duterte

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フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は12日、自身が推し進めてきた麻薬犯罪撲滅に向けた作戦の主導的役割から警察を除外すると発表した。今後は麻薬取締局が作戦を担当するという。

警察は、ドゥテルテ氏が昨年7月に大統領に就任して以来、麻薬犯罪の取り締まりで3850人以上を殺害したとしている。

ドゥテルテ大統領は今年1月にも、撲滅作戦から警察をいったん除外したが、その後元に戻している。当時は、韓国人ビジネスマンが麻薬犯罪を摘発する警官グループによって拉致され殺害された事件が明らかになり、批判の声が高まっていた。

昨年行われた大統領選で、ドゥテルテ氏は麻薬や犯罪、汚職の厳格な取り締まりを公約して、勝利した。

ドゥテルテ大統領の政策に対する国民の反発は強まっている

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「麻薬戦争」の中で裁判を経ずに犯罪者を殺害することを認めるドゥテルテ大統領の政策は、国際社会で幅広く強く非難されているほか、国内でも批判の声が上がっている。

先月には、同大統領の麻薬戦争を批判する何千もの人々がデモを行った。一方で、ドゥテルテ氏を支持する大規模デモも開かれた。

8月16日に首都マニラに近いカローカンで17歳の少年が警察によって射殺された事件には、今年の夏に起きた事件の中で最も強い批判の声が上がった。

警察は、少年が逃げようとし、その後発砲したため射殺したと説明したが、少年の両親は少年が麻薬に関わったことは全くないと主張。目撃者は警察が少年の手に銃を握らせようとしていたと証言した。また防犯カメラには警察が少年を引きずり出す様子がとらえられており、少年が逃げたとする警察の説明と食い違っている。

これを受けて、警察は1200人のマニラの警察官を再訓練し、ほかの部署に異動させると発表した。

ドゥテルテ氏は今も国民から高い支持を得ているが、先週末の最新世論調査では、大統領への信頼と満足度は就任以来の最低水準を付けている。

12日には、警察によって殺害された人物2人の親戚が最高裁判所による「麻薬戦争」の違法判断を求めて提訴した。

(英語記事 Duterte pulls police off controversial drugs crackdown)