【米大統領選2016】トランプ氏は「大統領に不適格」=オバマ大統領

オバマ大統領

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オバマ米大統領は2日、今秋の大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏がイラクで戦死した兵士の家族をめぐる発言で批判されていることについて、同氏が「大統領として不適格」だと述べ、なぜ共和党が同氏を支持し続けるのか疑問を呈した。

オバマ大統領は、「もうたくさんだ、と言うべき時が来るはずではないのか」と語った。オバマ大統領は、「この共和党候補は大統領として不適格だ。彼は自ら繰り返し証明している」とし、「ひとかたならぬ犠牲を払った金星章(戦死兵家族を示す徽章)の家族を攻撃するなどというのは(中略)それはつまり大統領の職務を果たすのに、嘆かわしいほど準備不足だということだ」と述べた。

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オバマ大統領は、共和党のこれまでの大統領や大統領候補たちとは、政策的な意見の相違はあったものの、大統領の資質に欠けるとは考えたことがなかったと述べた。

一方のトランプ氏は2日午後、「オバマ大統領の指導力の失敗」を批判するコメントを文書で発表した。トランプ氏は、「我が国は海外で侮辱され、イスラム過激主義がこの国まで押し寄せている」と述べた。

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先週開かれた民主党全国大会では、2004年にイラクで戦死したフマヤン・カーン陸軍大尉の両親、キズルさんとガザーラさんが登壇し、イスラム教徒の米国入国を一時的に禁止するというトランプ氏の主張を批判。トランプ氏は逆にカーン夫妻を批判して応じたが、これには民主、共和両党から強い非難の声が上がった。

2日には、ニューヨーク州選出のリチャード・ハナ下院議員が連邦議会の共和党議員として初めて、民主党候補のヒラリー・クリントン氏への支持を表明した。トランプ氏のカーン夫妻批判が決め手になったという。

これまで多くの共和党議員がトランプ氏を支持しないと述べつつも、クリントン氏支持を表明するには至らず、第三党か別の候補を選ぶとしていた。

トランプ氏はまた、米紙ワシントン・ポストとのインタビューで、共和党有力者のポール・ライアン下院議長とジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)の再選支持を拒否した。2人は11月の選挙で再選を目指している。

トランプ氏は、ロシアによるクリミア併合を認める発言をしたことでも激しく非難されている。

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このほか選挙戦の動き

・トランプ氏はバージニア州で開かれた支持者集会で、戦傷兵に与えられる「パープル・ハート章」を元米兵の支持者から手渡され、「パープル・ハートがいつも欲しかった。この方がずっと簡単じゃないか」と発言。インターネット上で退役軍人の団体から非難の声が出ている。

・この集会でトランプ氏は、泣く赤ちゃんを連れた母親について冗談を飛ばし、「赤ちゃんに出てもらってもいいかな」と壇上から語った。

・民主党全国委員会のデビー・ワッサーマン・シュルツ委員長を含むスタッフが正式に辞任。

・トランプ氏の息子エリックさんはインタビューで、自分の姉妹のような「強く、力のある女性」はセクシュアル・ハラスメントの犠牲にはならないと発言。トランプ氏自身は、自分の娘がセクシュアル・ハラスメントの対象にされたなら別の仕事を探すよう助言するだろうと発言。2人はテレビ局フォックス・ニュースのロジャー・エイルズ最高経営責任者(CEO)がセクハラ問題で辞任したことに言及していた。

(英語記事 US election 2016: Trump unfit to be president - Obama)