観測衛星「ジオテイル」、30年のミッションを終了

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1992年に打ち上げられて以来地球の磁気圏を調べ続けてきた磁気圏尾部観測衛星「ジオテイル」は、データレコーダーが動作を停止したため、11月28日にミッションを終了した。

【2022年12月2日 JAXA宇宙科学研究所】

日米共同プロジェクトの磁気圏尾部観測衛星「ジオテイル(GEOTAIL)」は1992年7月24日に米・フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。ジオテイルが探査してきたのは地球の磁場が届く領域である地球磁気圏、とくにその磁気圏が太陽風に押されて地球(ジオ)の夜側に伸びた尻尾(テイル)の部分だ。

ジオテイル
磁気圏尾部観測衛星「ジオテイル」のイラスト(提供:JAXA)

地球磁気圏の尾部には太陽から得られたエネルギーが蓄えられていて、それがオーロラや放射線帯のエネルギーのもととなることから、天体物理学や宇宙科学上の重要な観測対象の一つになっている。磁気圏は地表から地球半径の約10倍より外側に広がり、磁気圏尾部は地球半径の200倍以上の距離まで伸びている。この広い範囲をカバーするため、ジオテイルはまず遠地点が地球半径の約220倍(約140万km)の長楕円軌道を飛行し、月へのスイングバイで何度か軌道を調整して、最終的には地球半径の9倍(約57000km)から30倍(約20万km)まで変化する楕円軌道を回っていた。

ジオテイルにはその地点の磁場、電場、および粒子などを測定する5種類の機器が搭載されていた。その観測による注目すべき成果として、地球規模でオーロラが突然明るく輝き始める原因に関わる大きな手がかりが発見されたほか、オーロラ爆発のエネルギー源となる太陽風が取り込まれる過程を明らかにした。

ジオテイルとMMS
観測を行うジオテイルとNASAの磁気圏編隊観測衛星「Magnetospheric Multiscale(MMS)」の想像図。両衛星の観測データから、オーロラ爆発のエネルギー源となる太陽風の地球磁気圏への取り込みの仕組みが解明された(提供:JAXA)

ジオテイルは当初計画されていた3年半のミッション期間を大きく超えて稼働し、運用が続けられてきた。しかし30年目を迎えた今年6月末までに、搭載されていたデータレコーダーが両系とも動作停止し、十分な観測データが取得できなくなった。そのため、11月28日に宇宙機の運用停止および停波が行われ、ミッションは終了した。今後は来年3月末までにミッションの成果がまとめられる予定だ。

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