「必要なのはPCR検査じゃない。自由だ」
「フェイクニュースはたくさんだ」
27日夜、サッカー・ワールドカップ(W杯)の日本対コスタリカ戦が終わって間もないころ、北京市内の河畔に、そんな声が響いた。
中国政府がこだわる「ゼロコロナ」政策に対し、中国各地の住民が一斉に異議を唱えたデモは、首都の中心部と言って良いこの地域にも波及した。社会の安定を最優先し、厳しい統制を敷く習近平(シーチンピン)指導部の下では極めて異例の事態だ。処分されるリスクも冒して集まった人たちは、何に憤り、何を訴えようとしたのか。
北京の抗議活動の舞台になったのは、国連機関の駐在事務所や日米など主要国の大使館も集まる朝陽区亮馬橋地区だ。そこを流れる小さな川は近年、散策コースとして整備され、市民の憩いの場になっている。11月に入り再び強まったゼロコロナ対策で市内の公園が軒並み閉園となるなか、この日の昼間も多くの市民が足を運んでいた。
午後6時ごろには訴えの声が上がったという証言もあるが、最初のグループが本格的に声を上げ始めたのは、現地時間の夜9時ごろだったとみられる。まもなく警察が駆けつけてやめさせ、散策路には警戒線が張られて封鎖された。
友人からのSNSで活動を知っ…