世界中で非難の声が上がるミャンマー国軍によるクーデターとアウンサンスーチー氏の拘束。ところが、日本在住のミャンマー人が抗議集会を開いたところ、ネットでは誹謗(ひぼう)中傷混じりの批判が起きた。これに心を痛めた一人のミャンマー人女性が日本語でメッセージをつづると、今度は好意的な反響となってツイッターで拡散した。反発を応援へと変えてみせた、メッセージに込めた思いとは――。
「日本に迷惑かけるな。全員帰国しろ」「ミャンマーの問題なので自分たちで解決してください」
日本在住のミャンマー人が東京や大阪などで抗議集会を開いたことが報道されると、ツイッターでは日本人のユーザーからこんな批判が相次いだ。新型コロナウイルス感染への心配を理由に挙げる声もあったが、単なる誹謗中傷の投稿も少なくなかった。
抗議集会に参加したミャンマーからの留学生ウィンさん(22)はこうした反応に悲しんだ。というのも、自分もミャンマーにいる家族と一時、連絡が取れなくなるなど、祖国の緊迫感を身近に感じていたからだ。国軍がSNSの利用制限や集会の妨害に乗り出していた。
「日本で暮らすミャンマー人は不安でいっぱい。人数は多くはないけれど、自分の国のためにできることをしたい」。ウィンさんは、集会に参加したそんな思いを日本人に知って欲しかった。集会では参加者がマスクの着用や消毒を徹底しており、日本人の誤解も解いておきたかった。
ウィンさんは意を決し、手書きの日本語でメッセージをつづり、ツイッターに投稿した。
コロナ禍の中、多くの人が集まったことをわびた上で、「自分の国の平和と夢のために頑張って生きるためなのです。現在、ミャンマーで起きている事件は、もはや国内では解決できない問題となっています」と訴えた。
するとネットの「風向き」は変わった。「ミャンマーだけの問題じゃないよ。国は違うけど、同じ地球のなかま、平和をねがっているよ」「皆さんが申し訳なく思うことなんてひとつもありません」
好意的な反応が寄せられるようになり、投稿は3万5千の「いいね」を集め、1万4千以上リツイートされた。
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