今年の中央競馬の総決算、グランプリGⅠ「有馬記念」(中山・芝2500メートル)は、圧倒的1番人気のドウデュースが右前肢ハ行によるまさかの出走回避という大波乱が起きた。
では当サイトでおなじみ、関東在住の馬券師ライターT氏は、どんな馬券戦略を立てるのか。
「ご存じ、有馬は2500メートルという非根幹距離。ここだけを勝った馬が種牡馬として成功しない理由は、そこにある。そして同じく非根幹距離である2200メートルのレースで強い馬が、有馬を激走する。それは長年、変わっていません。宝塚記念でドウデュースに先着したブローザホーン、べラジオオペラ、ローシャムパークは2200メートルが得意ですが、ブローザホーンはこの秋、あまりに調子が悪すぎると判断して、今回は買いません。それならば菊花賞を叩き台にしたダノンデサイルは、斤量の軽い3歳馬で有利だし、エリザベス女王杯(2200メートル)を制して絶好調のスタニングローズにはジェラルディーナ(2022年3着)と同じ匂いがしますね」
馬券師の狙いはスタニングローズ、ダノンデサイル、べラジオオペラ、ローシャムパークの四つ巴ボックスか…と思いきや「実はもう1頭いる」と声高に語り始めた。
「2019年に断然人気のアーモンドアイを一蹴したリスグラシューと同じく、スタミナ重視の豪州GⅠレース『コックスプレート』から参戦するプログノーシスです。6歳馬で人気の盲点となりそうですが、デビューが遅く、6歳ながらまだキャリア16戦。しかも全レースで掲示板に載っている(5着以内)。4月の香港で地元最強馬(ロマンチックウォーリアー)の2着、先日の豪州では先行して粘って2着と、スタミナは抜群。ドウデュースとは過去に一度対戦して先着しているように、『影の最強馬』と言っても過言ではない。個人的には本命に推したい馬ですね。ここから先に挙げた4頭に買いましょう」
プログノーシスには歴代最多タイとなる、ディープインパクト産駒の14年連続GⅠ制覇の夢が託されている。JRAの合言葉は「HERO IS COMING」だが、年末のグランプリで「歴代最強ヒーロー」の魂が蘇る可能性は低くないのだ。
(宮村仁)