アノ映画日和

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「来る」感想 怖くないけど面白い!超絶キャラバトルエンターテイメント!

 

かの偉人、陣内栄は言った。

いちばんいけないのは、お腹が空いていること。

なるほど、そうかもしれない。
それで言うと、最近の僕は本当にいけない。

完全に飢えている!

何に飢えてるかって

Jホラーに飢えている!

そこそこ面白いJホラーはあるけれど、本格派Jホラーと言える作品には久しく出会えていません。

記憶を辿れば、1番最近で「残穢」じゃないでしょうか?結構、前の作品ですよね。
お腹が空いてるどころじゃなく、このままじゃ餓死です。

そこにホラー小説大賞を受賞した「ぼぎわんが、来る」が映画化。そしてレンタル開始。
腹ペコの僕は迅る気持ちをそのままにTUTAYAへダッシュ。
即、鑑賞
が、
何だこりゃ?

全ッッッたく怖くない、
こんなのはJホラーでもなんでもない!

期待してた分、怒りに満ちあふれ…

なかったのです。

不思議とお腹は満たされていたのです。
だってこの映画…


2018年/日本
監督:中島哲也
出演:岡田准一、黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡、柴田理恵、ほか
上映時間:134分

f:id:hagane-mk:20190729035028j:image80点

 ざっくりあらすじ

『がごぜ』『がんこ』『ぼぎわん』
アレはその土地土地で呼ばれ方が変わる
アレは目をつけた者を山に連れさらうという
アレは人の声や形を真似る狡猾さを持つ
アレは妖怪なのか神なのか、さらわれた者はどうなるのか?
それは誰も知らない。只の都市伝説の様なものなのかもしれない。

しかし田原は怯えていた。
遠い昔の記憶、アレに呼ばれ本当に消えた少女が最後に残した言葉

「あんたもいつか呼ばれるで…」

思い出さずにはいられなかった。
子供を授かって以来、次々と起こる怪奇現象

アレか…アレなのか…アレが本当に…
そしてアレは

来る。

Oooh きっと来る きっと来る 季節は白く

Oooh 限りない 輝きを あなたに贈る

クドイようですが この映画はJホラーではありません
じゃあJホラーとはなんぞや?と言われると

物語の怖さ

だと僕は認識しています。
殺人鬼やモンスターが出て来て

ギャーーーーー

という絵面勝負のハリウッドスタイルではなく
怨念?怨霊?
そういったおぞましきモノが作品の中心にあって
話が進むにつれ、それが何処からやってきて何をやろうとしているのかが分かりだす。

つまりミステリー(謎解き)要素が重要視され
「分からない恐怖」から「分かる恐怖」へと
じわ〜〜〜と移行する様、お話を魅せる
これがJホラーです
※ミステリー映画ではないので全てを解決させない後味の悪さ、モヤリ感も重要

で、この映画
それを全否定するかの様に謎解き要素を一切排除。

分からんものは分からん、
分かる必要もない

と言わんばかりにバッサリ!
それよりもキャラクターや!
とドンドン強キャラが登場。

魅力的なキャラを適材適所に配置すれば話は勝手に転ぶってやつ?
う〜ん、王道少年ジャンプ漫画のようだ

ということで、この映画の魅力は あらすじを追うより主要登場人物を紹介した方が伝わると判断しました。
つきましては、ネタバレがジャンジャカ出て来ますので、未見で知りたくない方は読まない方が吉です

では登場順で紹介していきます。

 

まず第1幕の主演、

・田原秀樹(妻夫木聡)

ぶっきー良いですよね、大好きです。
個性はあるのに癖はない。
善人も悪人も聡明もバカも純粋も不純もどんな役も違和感なく見せます。
これは演技の上手い下手ではなく、彼自身の見た目や雰囲気にある気がします。
凄くニュートラルな存在だからどんな器(役)を用意されてもハマる。

限りなく液体に近い俳優

僕はそう評しています。
そんなポカリ夫木聡が今回演じたのは

エセイクメンクソ夫

嫌いやわ〜〜〜

家族ファースト、奥様ファースト、子供ファースト、とか言いながら
こいつが気にしているのは

自分が周りにどう見られてるか?
世間体 ONLY

ブログでは理想のイクメンをアピールしておきながら、実は全て奥さんの負担にしかなっていない。
まだ何もしないパパの方がマシ。
育児放棄野郎の癖に、本やネットで聞きかじった育児論をママに押し付ける。
この偽りと真実の差に

ゾッとしました。

怖いとかそういう事でなく、これは

嫌悪感

当然、こんな状態ですから家庭には不協和音が響きまくります。

そこにアレが目をつけます

田原を狙い、狡猾に周りから攻めて来ます。
何の関係もない会社の後輩や、身の回りに犠牲者が出る中
自然と幼い頃から耳にしていたアレの存在を思い出し怯える田原。

エセイクメンクソ夫ではありますが、
妻と我が子を守りたいという気持ちだけは本当の様で
彼は彼なりにアレと闘います。
が、

DEAD!

ツェペリンさん状態になって

DEAD!

第1幕終幕でございます。
が、ぶっきーファンの方、ご安心下さい。
2幕以降も出番はあります。
なかなかインパクトのある登場をするので楽しみにして下さい。

母は来まし~い~た〜 今日も来た~

・田原香奈(黒木華)

第2幕の主演です。
黒木華、最近よく見ますね。
ファンの方に先に謝っておきますね、ごめんなさい

こんな素うどんみたいな子、なぜ人気なんだろう?

僕はずっと思ってました。
決してブスではないけど、さして可愛くもない、特徴もない。
そんな彼女が演じるのはエセイクメンクソ夫の奥さん

第1幕では同情しまくりでした。
こんな奴と結婚したばっかりに...
育児ノイローゼになるし、バケモンには狙われるし...
でもこの一言から あれ?てなりました。

「私は秀樹が死んで...嬉しかった」

え?え?どうゆうこと?
まぁ、あんな旦那やし、そう思われても...
え?不倫してたん?旦那が生きてるうちから?しかも相手は旦那の親友...
現在もその関係は継続中、子供が邪魔....
ほーほーほー

下衆女やん!

またもや嫌悪感

特に壊れてからの下衆女っぷりは男の僕から見れば
ゾッとさせるに十分な迫力でした。
なるほど、元が素うどんなだけにトッピングは自由
乗せれば乗せるほど下衆度が増すという

これはナイスキャスティング

彼女の人気が何となく分かる気がしてきました。

しかし、ここから完全育児放棄で男に走ると思いきや
最後は母親の顔が蘇ります。
我が子を抱きしめ必死にあれから逃げます。
が、

DEAD!

母は強し、されどアレは更に強し

可哀想に2人の子供であるチサちゃんは両親を亡くして1人になってしまいました。
黒木華ファンの皆さん、残念ここで彼女の出番は終了です。

 

・野崎和浩(岡田准一)

お待たせしました!
今作の主役、我らがひらパー兄さんこと岡田准一さんです。

田原の親友のツテで依頼を受けたオカルトライター
ヒゲをたくわえ、タバコを咥え、皮のジャケットをまとったやさぐれ姿、

超カッケェ!

当然チラシやポスター、DVDのジャケでもセンターにでーん。
岡田くん目当てで鑑賞した方も多いでしょう。
彼が主役としてどんな活躍をするかというと

特に何もしません。

色んな人のつなぎ役。パン粉的存在。
正直この役は岡田くんじゃなくても良いし、なんだったらいなくても映画は成立してたような...
ラプラスの魔女の櫻井翔、略してラプライ翔状態です。

岡田くん自身もきっと
こ、これほんまに俺主役か?全然オイシイとこないんやけど...
と嘆いたことでしょう。

どんまい岡田くん!
君がいたことで映画に華が咲いたし、進展も分り易かったよ

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 ・比嘉真琴(小松菜奈)

ピンクの髪のキャバ嬢兼霊媒師
野崎から頼まれ田原家を救う為にアレと戦う

小松菜奈、あんまり好きじゃなかったんですよ。
でもこの役には完全にヤラレましたね。

登場シーン
岡田准一に「起きろブス」と蹴られ怠そうに目を覚ます
映るのは小松菜奈の
白よりも白いスラッとした脚、小さなお尻をそのまま形にしたパンツ、透けを拒まない薄いキャミソール、当然肩にはズレ下がったブラ紐。

エッロ!エロエロ!

これには僕の股間がぼぎわんです(意味不)

またキャラがいいんですよ。
霊媒師の血を引くものの、生まれ持った才はなく独自で能力を磨いてきた彼女。
その弱い力では到底アレには及びません。
遂には田原が死に、それを自分に力が足りないせいだと嘆き落ち込みます。
それでもなんとかチサちゃんだけはと、我が身を犠牲にしても守ろうとします。

野崎からは
他人の子どもの事だ もう手を引け
と諭されますが、

だから何?私チサちゃんが可愛い!絶対守る!
と1歩も引きません。

実は子供の産めない体の真琴は、いつしかチサちゃんを我が子の様に思い始めていたのです。
だらしない姿とは裏腹に熱い心と悲しい性をもつ女。

確実に岡田くんよりも主役より

しかし、想いと努力だけではどうにもならない事があります。
アレにやられ、チサちゃんはさらわれます...

そこに第3幕、遂にあの女の登場です。

今日から1番 カッコイイのだ
バリバリ最強No.1

・比嘉琴子(松たか子)

で、で、出たー最強キャラ!!!!

真琴の姉、妹より遥かに強い力を持つ日本最強の霊媒師
仏だろうが神だろうが科学だろうが使えるものは何でも使う。
国家権力でさえ顎で使い
ファブリーズさえ除霊に使う。
退治した魔物の数は体に刻まれた無数の傷が物語る。

何?この超中二キャラ!
現代の安倍晴明?孔雀王?
チート過ぎるやん!
好きになるに決まってるやん!

オファー受けた時、松たか子は

美味しい!この役超美味しい!

てガッツポーズをとったでしょうね。
ノリノリで演じてましたもん。
相手がジャニーズだろうがグーパン入れてましたもんw

もう彼女の事は説明不要、観れば分かる。
でも、でもですね、彼女より僕の心を掴んだキャラがいたんです。
それが、


・逢坂セツ子(柴田理恵)

この映画を観た人の99%が言うはずです。

「柴田理恵が凄かった」
「柴田理恵がカッコ良かった」

それほどカッコイイんです。

第1幕から登場
多忙で行けない琴子の代わりに遣わされたTVで有名なタレント霊媒師。
胡散臭いを絵で描いた様な存在です。

大丈夫か?この人で...

田原も野崎も不安になります。
そこにひと言

「来ます...」

うろたえる二人の前で落ち着いて構える柴田理恵。

が、瞬殺
アレに腕を噛み千切られ、1発退場w

普通はここで終わりですが、その心折れず
第3幕で再び登場

タレント霊媒師改め、
隻腕の霊媒師、逢坂セツ子

まずは死んだ事に気付かずこの世に留まる田原秀樹を成仏させます。
そして再びアレと対峙し いざリベンジ

「そろそろ行きましょうか?琴子ちゃん」

片腕で切る陰陽印

カッケーーーー!!!!

血反吐を吐きながらも止めない祈祷

超カッケーーーー!!!!

マジでここだけでも観て欲しいです。

主演ではなく助演の助演という立ち位置ですが
間違いなく今作No.1の強キャラです。

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ということで、登場人物を紹介しながらぼんやりと全体像が見えるように感想を書いてみました。
全然伝わってなかったらすみません。

第1幕、第2幕ではアレの起こす怪奇現象とその恐ろしさを感じさせながら、本質は毒親の二面性にゾッとするストーリーでした。
こういう嫌悪感や胸糞を感じさせる映画は大好物なので、これはこれで楽しめました。

で、第三幕の松たか子率いる

霊媒師軍団vsアレ

監督の狙いとは逸れるかもしれませんが

ワクワクした

というのが適切な表現になるかと思います。
何でも有りの

除霊フェスwww

最高でした。
決して怖くはなかったけど。

なのでこれはやっぱりJホラーではありません。

人から最近観たこわい映画は?
と聞かれても、ちょっとこの映画はお勧め出来ません。
でも
最近観た面白い邦画は?
と聞かれたなら
自信を持ってお勧めします。

「来る」ですね、かなりイケてますよ。
こわくないけど、
面白いから、観て下さい。

と、

でもこれだけ怖くない、面白いと言っても
やっぱりホラー苦手だから観れそうにない
ホラーNG
という人がいそうですね
そんなあなたの為に再び
かの偉人、陣内栄の言葉を置いて終わります。


諦めなさんな、諦めない事が肝心だよ。

あんたなら出来る。出来るって。


長文、お付き合い頂き有難うございました。
※陣内栄が分からない方はサマーウォーズ名言でググって下さい。

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追伸、
この物語を文字だけにしたらどんなペラペラな本になるのだろう?と気になり、原作も買って読みました。

だいぶ違いますねw

原作では『ぼぎわん』とは何か?いつ生まれ、何をしてきたか、そしてなぜ田原家を襲うのか?
ちゃんと踏み込んだ謎解きがありました。

怖かったし面白かったです。

これを先に読んでた人は改変のエグさにとまどったでしょうね。
先に映画を観て気に入った僕としては改変であっても改悪ではないと思うんだけど…
どうでしょう?これは

実写化失敗、映画化成功?
映画化失敗、実写化成功?

どちらにせよ片方だけでも成功なら御の字じゃないでしょうか?

実写化失敗、映画化失敗

なんて映画が腐るほどあるんですから。 

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。

・カルト
・哭声
・イット・フォローズ