不気味おすすめアニメランキング 71

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79.9 1 不気味アニメランキング1位
寄生獣 セイの格率(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1616)
7773人が棚に入れました
ある日、空から多数の正体不明の生物が飛来してきた。その生物は鼻腔や耳介から人間の頭に侵入し、脳に寄生して全身を支配し、他の人間を捕食するという性質を持っていた。寄生後も見た目は人間そっくりに擬態する、彼ら「パラサイト」は、高い学習能力から急速に知識や言葉を獲得し、人間社会に紛れ込んでいった。
平凡な高校生である泉新一は、一匹のパラサイトの襲撃を受ける。間一髪で脳の乗っ取りは免れたものの、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化してしまう。右手にちなんで「ミギー」と自ら名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活の幕開けである。

声優・キャラクター
平野綾、島﨑信長、花澤香菜、沢城みゆき、安野希世乃、前田玲奈、田中敦子、吉野裕行、KENN、芹澤優、鈴木琢磨、村瀬歩、石田彰、水島裕、二又一成、井上和彦、青柳尊哉、浪川大輔
ネタバレ

ユキオウ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ある日人間でも化け物でもない僕の戦いが始まる。

原作既読、20年以上前の作品のアニメ化になります。
現代に合わせた時代設定、キャラデザの一新など新規ファンにも受け入れやすい点が多く見られます。
※グロ描写が苦手な方は視聴をオススメしません。

■あらすじ
どこにでもいる高校生の泉新一はある日宇宙から来た謎の寄生生物に右手を寄生されることから始まる。
『人間』・『寄生生物』・『新一とミギー』と大まかにこの三者との間に物語は進行する。

■作品紹介
この物語は特殊な主人公がリアルな日常でSFサスペンスの世界に引き込まれてしまったらどうなるのか!?といった感じです。
主人公の新一が人間代表だと思いきやミギーという秘密兵器を所持しある意味最初からラスボス的な立ち位置なのが面白いです。
規模が大きくなってしまう物語が多いなか、主な場面は一つや二つの市内で行われる話なので登場人物の心理描写がとても丁寧ですし何よりも魅力的に感じると思います。

■OP、ED評価
{netabare}
OP ☆2.5
♫Fear, and Loathing in Las Vegas/Let Me Hear
現時代的で派手なロックバンドの音楽。
マッドハウスのアニメとFear, and Loathing in Las Vegasは相性が良い。
アニメの構成は曲と合うようにスタイリッシュなんですがビジュアル的に普通な人が多いのでクールな演出がアンバランスになっている印象。
新一がアメコミヒーローみたいなのも残念です。

ED ☆4.5
♫三浦 大知/IT'S THE RIGHT TIME
OPと反して白を基調とした良い浄化ENDです、これを見て泣く回もあっていいと思います。
定番といえば定番な感じですが平穏な日常を淡々と映し出すこのシンプルさが素晴らしい。
{/netabare}

■各話あらすじとレビュー

【第1話】
{netabare}
『変身』
新一と寄生生物の出会い。
各地で寄生生物が活動し始める。(全国ニュースで残酷な殺人事件のニュースが話題に)
宇宙から来た生物であると右手が説明、新一の血液を養分に生きている為、共生することになる。
登校中、仲間がいると右手は察知する。
そこには飼い犬に寄生した生物と戦いを繰り広げる。
右手は生物の心臓をもぎ取り、勝利する。

右手の生物の声に違和感、見ていけば慣れるとは思いますが…よく言えばキャラっぽさが増した感じはするので親しみはあるのかなと。
☆3.5
{/netabare}

【第2話】
{netabare}
『肉体の悪魔』
不良に絡まれる女性、助けた男性は寄生生物だった。
言語を覚え、右手に寄生した生物は自らを“ミギー”と称する。
ここまで地球の社会を研究し悪魔に一番近いのは人間だと言うミギー、寄生生物によって凶悪事件が発生するなか、人間のために戦いたいと決意する
新一であった。
街中で寄生獣と遭遇、人気のない空き地で対決。
ミギーは敵の誘導を無視し、撃退する。
新一と村野さんがデート。(村野さんは真一の異変を感じる?)
暗闇の一室で向き合う裸体の男女(男性はアバンで登場した寄生生物)

右手の生物にめでたく名前がつきました!覚えやすい!
グロい戦闘が続く中、臆せず戦う新一は勇敢ですが脳を侵食されてはいはいないもののミギーの影響は受けているようです。
村野さんとデート中に絡まれた不良を食ってやるぞと鬼気迫る表情でひれ伏せます、新一どうなってしまうんだ…
最後に登場した男女はただものではないですね。
一人は寄生獣確定なこともあって新一が学校で散々ミギーにいじられた生殖機能のことが伏線になってたようです。
シリアスな中にギャグっぽい要素も入っているのでただグロを当てつけられているわけではない気がします。
☆3.5
{/netabare}

【第3話】
{netabare}
『饗宴』
満員電車の車内で痴漢に気づいた妊娠中の女性は停車した駅で常人の力ではない勢いで車外に痴漢を突き飛ばす。(前回の最後に現れた女性である)
その女性は3年3組の副担任(村野さんのクラス)に配属されることとなる名前は田宮良子。
ミギーは人間社会に溶け込んでいるため、公の中で殺意はないと推測する。
放課後、田宮に呼び出され詳しい話を外でしたいとのこと。
喫茶店でA(寄生生物)と言う男と現れる田宮、生殖行為をしたものの、人間の子が生まれることがわかり私達は生物なのか何なのか気になると述べる田宮。
Aは新一を生かしておくと危険であると言いその場を去る。
翌日に白昼堂々新一の学校に侵入するA。
皆が避難するなか、Aに向かう新一。
ミギーは我々の違いは何かと問い、新一に一緒に効果的に戦えと指示する。
そこにAが登場。(新一が廊下に設置した机のバリケードは役に立たず、窓ガラスを突き破って外から侵入される)

新キャラの田宮良子は今後のキーパーソンになりそうです。(寄生生物にしては物事を論理的に考えてます)
彼女と一応協力関係になりますが展開次第で敵対することになることでしょう。
寄生獣にもそれぞれ性格の違いがあるようです。
次回はAとの戦闘が始めから繰り広げられると予想されるので序盤の重要な回になるかもしれないです。
☆3.5
{/netabare}

【第4話】
{netabare}
『みだれ髪』
戦うミギー。
ミギーは我々ができるのは分業だと言う。
机の足をAに刺すミギー、重傷を負い移動し身体を変えようとするA。
ガスボンベを爆発させAを殺した田宮。
教員としての居場所に限界を感じ田宮良子を辞めると言う田宮。
人間を食べるのは何かしらの命令を受けているのだと言い、この種(人間)を食い殺せと命令されたとも言う田宮。
そんな田宮は子供は産むと宣言。
新一が僅かに混じっていると察する田宮。
田宮の実母にバレる田宮。
分離していられるのは3分だと実験するミギー。(理屈では頭から頭へ移動できると解釈)
両親に悩み事があると感づかれる新一。
母親と幼少期の新一(回想)
キッチンで新一をかばい、火傷する母の姿を思い出す。
食卓で涙するお母さん、秘密が言えないので嘘をつく新一。
旅行に行く父母。

家族の絆を描いた回でしたがやはり寄生獣と合い対する場面での精神的な怖さがあまり伝わってこないのが残念です。
蛇足ですが原作の意味不明なものへの恐怖感というかジャパニーズホラーの冷たい恐怖というよりアメリカンホラーっぽい感じで作り手の「どうだ怖いだろ!」って見せられている感じがイマイチです。
ホラー苦手な人に対してはこの作品の表現はより大衆向けだと思いますので、多くの人が見るのには支障は来さないレベルではあるので見易いとも言える点なのかもしれません。
☆3.5
{/netabare}

【第5話】
{netabare}
『異邦人』
夜ドライブ中の男女(女は寄生生物)、事故に会い男に頭への移動を試みる寄生生物。
脳に変化がありそうな新一。
長井をボコボコにする不良グループ。
ミギーには献身の心が特にわからないという。
新一をボコボコにする不良リーダー(ミツオ)。
新一の狂気に気づく不良グループ女の子加奈。
最近幅を利かしていると話す上条。
放課後またミツオ達に絡まれる新一と村野さん。
勝ち目のない戦いを避けろと助言するミギー。
一方的に殴打される新一だが上条と長井達が大勢連れて参上。
新一と村野さんのニヤニヤするシーン。
村野さんを見送る新一の背後に加奈が現れる。
村野さんより感覚が鋭い加奈。
―旅行先の両親、母が寄生生物に殺される。
重傷の父が公衆電話から化物が母を…と言う。
新一は寄生生物のことだと察する。
夜が明け、母さんかと思ったら寄生生物だった。
ショックで気が動転する新一に母(寄生生物)は胸を貫く!!

君嶋加奈が登場、重要なキャラになりそうである。
カーチャン…
人間と寄生生物に対しての新一の葛藤による苦しみがひしひしと伝わる回でした。
最後のシーンのBGMががっかり過ぎる、序盤はいいんだけど音数が増えて電子音が多くなっていくとくクオリティの高い作画と声優の演技をぶち壊してる気がしてならないです。というかむしろ無音にしてもよかったのでは。
☆4.0
{/netabare}

【第6話】
{netabare}
『日はまた昇る』
倒れる新一、去っていく母。(寄生生物)
心臓と同化を試みるミギー。
学校では新一の心配をする村野さん達。(新一がモテモテ)
新一を看病するミギー、目覚める新一。
母が寄生生物になったことが事実だと意気消沈する新一。
桜崎病院から電話があり父がいると連絡が入り向かう新一。
警察から事情聴取をされる父。
父と対面する新一。
化物に殺されたのは夢だと意地を張る父。
病院のすぐ裏の民宿に宿泊する新一。
新一の修復でミギーの体質が変わり一日のうち4時間完全に眠ることとなる。
新一ここでも民宿の娘にモテる。
寄生生物を察知し、浜辺で発見する新一。

新一がモテモテ過ぎて羨ましいですね。
ミギーが眠っていたのでより新一の一人語りが多い回でした。作画の休憩といったところかもしれませんが要所での原作を意識した作画のカットが印象に残ります。
☆3.5
{/netabare}

【第7話】
{netabare}
『暗夜行路』
脳が生き残っている人(寄生生物)に会う。(口に寄生、寄生生物の声がミギーのようにかわいい)
崖から飛び降り自殺をしようとした宇田守に寄生するパラサイト。(宇田さんはいい人そうです、良かったね新一)
心臓の治癒でミギーの30%が全身に散っていることを新一は知る。
流れない涙にそのことを実感する新一。
寄生獣が現れたと電話する宇田さん。
向かう新一、刃物に変化し眠ってしまうミギー。
新一母に会ってしまう宇田さん、あっさりとやられる。
新一登場!(タイミングが遅かった!)
人間離れの動きをする新一。(寄生生物30%配合されているだけはある)
トドメを刺す宇田さん、新一は母に寄生した寄生生物を倒す。
家に帰る新一と父。

宇田さんが登場しました。彼も寄生獣に身体の一部分だけ寄生された人間、涙もろく人情味溢れる存在です。
テレビで言葉を覚えたパラサイトは声が荒っぽくどこかかわいい(笑)
新一に母を殺させないよう手を下す宇田さんに人間らしさを感じます。
帰ってきた新一がイメチェンしてました。
新一の変化と今後の展開に拍車をかける回。
☆4.0
{/netabare}

【第8話】
{netabare}
『氷点』
田宮と食人中の謎の寄生生物、新一を監視しろと言う田宮。
新一が気になる加奈、新一にいちゃもんつけるミツオ。
対マンで楽勝になった新一。(雰囲気がずいぶんと変わってしまった)
新一を不信に思う村野さん。
飲んだくれの父。
涙が出なくなり人として何かを失ったという新一。(聴覚が鋭くなる)
助けを呼ぶ声、事故により瀕死で車道に横たわる犬だった。
ゴミ箱に犬を捨てる新一(無慈悲)とガチ引きの村野さん。
校舎内でミギーは田宮以外の寄生生物を察知。
島田秀雄と名乗る。
田宮は別の名前になっており、寄生生物でも人間として生活していると語る島田。
新一を待っていたら島田に捕まる新一。
テレパシーを感じるという加奈。
島田に惚れる裕子。
やはり女を食べていた島田。
飲んだくれの父。(Part.2)

島田秀雄が登場、自分は人を襲わないと言っていますが田宮より信用できなさ過ぎです。
新一がどんどん化け物になっていってます、自分が否定していた寄生生物になりつつあるのでしょうか。
村野さんもショックが大きいようです。
加奈の方は新一に運命を感じているようですが島田に捕まえられそうになるなど危なっかしい印象。
☆3.5
{/netabare}

【第9話】
{netabare}
『善悪の彼岸』
島田につけられる加奈、そこにミツオが登場。
公園のトイレで島田にボコボコにされるミツオ。(いつも殴られてる)
家で警察と話をする新一の父。(寄生生物の似顔絵を描いたスケッチ)
寄生生物は何のために生きているのか探していると語る田宮改め田村。
警察の兄に人相を聞く裕子。
島田に殺意があると察知するミギー。
新一の力にビビる矢野さん。
前と変わった新一にショックな村野さん。
生物として進化した新一。
顔を変える島田を目撃する裕子。
兄にスケッチの件を聞くが自分が見た光景について言わない裕子。
直接島田と話して聞いてみようとする裕子は理科室に島田を呼び出しまんまと引っ掛かる。
島田の殺意に気づき、席から立ち上がる新一。

裕子回ですね、島田を探って成果が出ましたが事態は悪い方向に。
最後の島田の変身シーンに良い意味で恐怖しました、なぜAはあぁならなかったのか残念です。(ここの音楽は良かったです。)
☆4.0
{/netabare}

【第10話】
{netabare}
『発狂した宇宙』
裕子を襲う島田は裕子に酸を掛けられる。
裕子の決死のダイブ。
顔を潰され感覚が狂う島田は無差別に人を襲う。
3階では人が沢山惨殺されていた。
一瞬人間としての感覚が戻る新一。
無事だった村野さん、島田に瞬殺されてしまうクラスメイト2名。
村野さんを学校から救い出す新一。(リアル超人)
警察に発砲されながら徘徊する島田。
向かいのビルから屋上に立つ島田に石を遠投し倒す新一たちであった。(正確すぎるコントロール)
毎度のように悩む新一。
島田がされる解剖。
考える筋肉だと言う研究者。
政府は公表しなかったが髪の毛を抜きあう挨拶を影で情報操作した。

案外だけれど裕子の予防策もあってか島田は割とあっさりやられてしまった。
村野さんと話せるようになった新一。
ようやく政府が寄生生物を認識し、国家規模での対策が始まりました。
もともとこの世界の日本の治安は悪かったようでだいぶ被害者が出てからの開始になった気がします。
対応の遅さは本物の政府っぽさが出てますね。
☆4.0
{/netabare}

【第11話】
{netabare}
『青い鳥』
髪の毛の挨拶でバレて人を食べる寄生生物。(無慈悲)
化物に襲われ、新一に助けられる夢を見る加奈。(なかなかロマンチスト)
新一の髪の毛を抜いてみるが何も起こらない。
加奈と話す村野さん。
ヤクザの事務所に乗り込むタンクトップの寄生生物、いとも簡単に構成員達を倒していく。(笑顔に恐怖を感じます)
拳銃や刃物を持った人間とどこまで相手にできるか実験するためだった。
ボスと話す先ほどの寄生生物。(新たなグループの登場)
新一と村野さんのデート。(微笑ましい。)
ところどころ新一に悲壮感を感じる。
キスする新一と村野さん。
村野さんへの想いで人間としての自分を感じる新一に対して、以前と違う新一を悲観し涙する村野さん。(こっちが切なくなる)
加奈に呼び出される新一は選挙活動をする寄生生物達と出くわす。

戦闘がないと話がもっさりした感じなのが否めません、少しテンポが悪いなぁとか思います。
政界に進出する寄生生物が現れました、人間社会を理解して成長していることはなかなかの脅威です。
☆3.5
{/netabare}

【第12話】
{netabare}
『こころ』
前話と同じ夢を見る加奈。
情報を把握するために政治家になろうとしていると話す新一とミギー。
寄生生物の成長を探す新一とミギー。
加奈と出くわし自分以外に反応する者はいるのかと聞く新一。
ミツオ登場。
加奈への情で俺を殺すなと言うミギー。
―夜、寄生生物を察知する加奈。
加奈にミギーの秘密を打ち明ける新一。
新一だけを嗅ぎ分けられるという加奈。
寄生生物の選挙候補者(広川)が当選する。
ストーカー化する加奈。(こええ)
本物のストーカーっぽいミツオ。(こええ)
加奈の能力が強まり寄生生物が探知する信号を放つようになったと言うミギー。
加奈のヤンデレ化が深刻というかこの娘完全にストーカーじゃねーか。
電話スルーの加奈。
廃墟で寄生生物を見つける加奈。
新一が来た瞬間、胸を貫く。
新一無双…したものの、加奈は亡くなる。
悔やむミツオ、人間じゃねぇと言うミツオ。
人間じゃねぇよと返す新一。

人間で新一の理解者になるかもしれなかった加奈が亡くなってしまいました。
今後新一の味方となってくれる人が出てきてほしいですね、最後のミツオとの場面は前半のベストシーンだと思います。
☆4.5
{/netabare}

【第13話】
{netabare}
『悲しみよこんにちは』
学校の帰り道に新一と村野さんをつける謎の男性。(田村が手配した探偵だった、名は倉森)
田宮良子=(田村玲子)達、寄生生物グループの会議。(新一の件は私に任せろと言う田村)
いつの間にか子供を産んでいた田村。
加奈の事件の件で噂になっている新一、村野さんの不信感が増す。
探偵に新一の変化を聞く田村。
村野さんにした行動などがようやく普通じゃない行動だと気づく新一。
ずっとつける倉森探偵。
新一は事件現場に向かう。(人間としての悲しみを思い出し、忘れずにいるためだった)
倉森探偵に撮られる新一とミギー。
新一は人間としてミギーの倉森探偵の殺害を阻止する。
倉森探偵の正体がつかめずピンチになる新一とミギー。
村野さんと話をするため夜の公園に呼び出す新一。
新一の心を心配する村野さん。(可哀そう)

神回でした、新一の葛藤と何も知らない村野さんとの悲しいやりとりが胸に刺さります。
寄生獣の奥深さを表しているというか…主人公の肉体は一つなんですが同時に二つの異なった生命を宿していて片方には感情がない。
感情を捨てる世界で人はどうなるのかといったらある意味これは戦争に赴く兵士なのでしょう。新一のたった一人の孤独な戦いのようでただ悲しい。
☆5.0
{/netabare}

【第14話】
{netabare}
『悲しみよこんにちは』
村野さんに別れを告げる新一。
敵は案外小規模だと言うミギー。
宇田さんに協力を頼む新一。
宇田さんは自分に寄生している生物の名をパラサイトからジョーに変える。
田村と話す倉森探偵、新一の右手の異変に気づく。
笑う田村。(気持ち悪い)
帰宅する倉森探偵(夜中にうなされたりと結構精神的ダメージがきてる)
世間をアッと言わせると妻に話し意気込む倉森探偵。
新一達は倉森探偵を捕まえる。
話を聞き落ち着く倉森探偵だが、あまりに不可解で懐疑的にはなる様子。
ミギーが珍しく倉森探偵を人道的に諭す。
お前は寄生生物(田村玲子)に依頼されたのだと言うミギー。
大学で講義を受ける田村。
愛のように思えるのは利己的遺伝子、しかしこの説は例外もあると講義する大学教授。
寄生生物は闇雲に人を殺さず共存する予定だと言う新一。
子供を実験材料にしようとする田村。
占い師にアドバイスされるがその相手は殺したと言う新一。(表情がこええ)

新一達はようやく倉森探偵とまともに話します。
田村は人間を少しずつ理解し成長はしているもののあくまで自分の存続のためだであり、寄生生物側である。
新一は人間側のためにどう動くのか気になる回でした。
☆4.0
{/netabare}

【第15話】
{netabare}
『何かが道をやって来る』
田村と外から出てきた寄生生物をつける倉森部下。
地下駐車場で殺害されていた女、捕まる倉森部下。
力を貸してほしいと言う倉森探偵。
女性が寄生生物の胸を貫かれる。
広川(市長)によって組織的に人食いが行われているのを知る。
寄生生物をまじまじと見て戦意をなくす倉森探偵。
普通の人間じゃないと言われる新一。
1匹ずつ倒そうと考える新一。(1人でも人間を救いたいと考える)
広川らは新一の殺害を決議する。
後藤と三木が登場。
夢で寄生生物から鏡で自分の姿を見せられる。(鏡の新一は化け物)
学校で3匹を察知する新一達。
眠ってしまうミギー、タクシーに乗り逃げる新一。
寄生生物に狙われる新一。
3匹の寄生生物で構成される三木との戦闘になる。

倉森探偵の協力も借りられず結局一人で戦うことになる新一。
倉森さん新一達にプラスになりそうにないなぁ。
三木は今までの敵よりも強そうなので次回が楽しみな展開。
☆4.0
{/netabare}

【第16話】
{netabare}
『幸福な家庭』
家族を寄生生物に殺害される倉森探偵。
三木との戦闘に入る新一とミギー。(がっかり戦闘BGM、生死分けた戦いで軽
過ぎる)
刃の多さに苦戦する新一達、寄生範囲の広さが気になると言うミギー。
寄生部分は頭と両腕部分だけではなかった。
頭が他部分を統率しているため頭が弱点だとわかったミギー。
頭を切断したが本当は5匹宿っていたことがわかる。
5匹を統率していたのは後藤だった。
トラックに乗り逃げる新一、足を変形させ追いかける後藤。
対向車線のトラックと衝突させ後藤から逃げることに成功する新一。
警察と面会する倉森探偵。
生き抜くことを理由に泥棒するミギー。(新一は食事と服を購入)
家から逃げろと父に頼み了承する父。
警察に敵を田村だと密告する倉森探偵。
前話を合わせて夢で16回新一と会い会話するミギー。(意味深である)
―寄生生物グループのアジト
倉森探偵を殺さず家族だけ殺した男女(寄生生物)を田村はミスだと指摘する。
田村を本当の仲間か疑い、危険視する男女。
新一を心配する村野さん。(定期)
田村を狙う倉森探偵。
味方の殺意、敵意を察知し3匹の寄生生物に囲まれる田村。

前半の三木との戦闘はなかなかスリリングで迫力のある作画が印象的でした。特に三木の首を刈るシーンは見どころ。
三木は3体ではなく、本当は5体編成で統率を取るのは後藤なのは驚くポイントですね。(名前でネタばれ感は否めませんが)
家族を殺され復讐する倉森探偵はどこまでも普通の人間だなぁと思いました。寄生生物に関わってしまった彼はどうなるのでしょうか。
また、窮地に立たされた田村、今後も寄生生物との戦いを控える新一、自宅から逃げることを余儀なくされる父、新一をけなげに待つ村野さんと登場人物の運命やいかに。
☆4.5
{/netabare}

【第17話】
{netabare}
『瀕死の探偵』
広川や後藤とは違う田村を囲った寄生生物達。
寄生生物にも性格や能力の個体差があることを実感する田村。
半分を分離し攻撃する田村、1匹を誘導する。
2匹を倒し、寄生生物の殺意を利用し誘導した1匹も倒す田村。
帰宅する田村は倉森探偵に子供を誘拐されたことを知る。
(幼児用ベッドに貼り紙“お母さまへ 明日午後5時 ひかり第一公園 名探偵ホームズ”)
人間と寄生生物の中間にいる新一に渡したいものがあるので午後5時20分、ひかり第一公園へ来てほしいという田村。(新一の家から電話)
新一の家の前で田村と話すいつものように待っていた村野さん。
田村の家へ潜入する警察は貼り紙を見る。
―翌日、ひかり第一公園
田村の子を抱える倉森探偵と田村。
田村の波長を察知するがこれまでと違うと言うミギー。
倉森探偵が子供を高台から落とすのを阻止し倒す田村。(子供に対する愛が芽生え始める)
田村を追う村野さんも公園に来た模様。
倉森探偵を見つけた警察。
新一達のことを秘密にして亡くなる倉森探偵(あんた名探偵だよ)
田村と会う新一。

倉森探偵はどこまでも普通な人でした、死に際に名探偵になったのはある意味彼としては大往生なのかもしれない。
田村にこれまでなかった感情が生まれてきているようです、今のところ寄生生物として一番進化している印象。
次回田村が新一に渡すものは何か、警察といよいよ顔を合わせるのかと面白い展開。
☆4.5
{/netabare}

【第18話】
{netabare}
『人間以上』
人間を38人殺したという田村。(寄生生物の中では希少な数字)
寄生生物は必ずしも人を殺さずに生きていけると話す田村。
我々は人間の子供だ、一つの家族だと言う田村。
後藤とは戦うなと言う田村。
笑う田村。
平間さん(警察)に囲まれる新一と田村。
発砲する平間さん、部下の警官も発砲する。
子供を守る田村。
この世に何のために生まれてきたのか今まで考えてきたと言う田村。
新一にありがとうと言い戦わず死ぬ田村。
母の死に泣く子供。
久しぶりに涙を流す新一、以前の新一が帰ってきたと言う村野さん。
囚人の浦上が登場、面会室で新一と対面し他の人間との違いに気づく。
「俺の目を真っ直ぐ見ろ。」と言う浦上。

田村がここでこの世を去ります、他の寄生生物の中では最も好奇心旺盛だった印象です。それ故、寄生生物であることに疑問が多かったのであるしある意味感情を持つ人間に憧れたんだと思います。
新一も顔を母に変えてまで訴える田村に心を開き、人間の感情をまた思い出すことに至ったのでしょう。
浦上は新一の正体を知るのでしょうか、というかなかなか声が合ってる。
☆5.0
{/netabare}

【第19話】
{netabare}
『冷血』
浦上を見て人間だとわかる新一、眠るミギー。
浦上は人間と寄生生物を見分けられる。(今まで犯した殺人などで人間の品質を理解できるため)
他の生物と同様、多種と同種を見分けられる能力がある。(野生の勘)
新一を紛らわしいと言う浦上。(目の奥に何か潜んでいると疑う)
警察の実動部隊の指揮を取る山岸が登場。
害虫駆除をすると言う山岸。(完全に殺る気である)
―話す広川と後藤。
新一帰宅を狙って校門で待つ平間さん。
実動部隊の会議で話す新一と山岸。(火炎放射機が効果的だと話すミギー)
市役所で寄生生物をあぶり出す実動部隊。
ミギーは新一に寄生生物が相当な数潜んでいると言う。

浦上が良いキャラしてますね。(畜生だけど)
敵の本部に突入といったところでしょうか、話数的にもそろそろ人間と寄生生物の決戦が始まります、新一とミギーはどうなるのか!
☆4.0
{/netabare}

【第20話】
{netabare}
『罪と罰』
寄生生物を1匹射殺する実動部隊、浦上を使えと指示する平間さん。
2階に市民がいるからと逃げる広川達(寄生生物)。
装置が破壊され人間と寄生生物の差が分からなくなり人間にも被害者が。
敵の殲滅が目的だった為、次々寄生生物を倒す実動部隊。(市民にも被害)
後藤を見て逃げる浦上。(そりゃ怖い)
散弾で蜂の巣になっても血が出ない後藤は吸収した散弾を跳ね返し実動部隊を射殺する。(レベルが違い過ぎる)
議会場に立つ広川を実働部隊は発見する!

装置が破壊されました、予想はできた方も多いと思います。
実動部隊と寄生生物との戦いで市役所が血みどろに…全話で村野さんが言ってたなぁ。
後藤と広川が満を持して登場、圧倒的な力に人間側はどうなるんだ!
…新一とミギーの出番少なかったね。
☆4.5
{/netabare}

【第21話】
{netabare}
『性と聖』
広川を駆除しろと指示する山岸。
今回は君たちの勝ちだ、間引きしろ、人間は多過ぎるのでピラミッドの上に立つのは寄生生物だと言う広川。
「人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!…いや、寄生獣か。」と言う広川。
射殺された広川は人間だった。
計画は全て終わったと言う後藤。
刑事を打つ浦上。(逃げようとする魂胆)
戦いこそ目的だと言う後藤。
役目は終わったと言うミギー。
その気になれば人間の勝ちだと言うミギー。(新一は何か変だと言う)
後藤無双。(ここはヤツの巣だと解説する山岸)
部下を倒した後藤と一対一になる山岸。
単なる野生生物だと語る後藤、山岸を倒す。
お前を殺すと言い逃げていく後藤。
新一にまだ何か隠しているだろと言う平間さん。
別れを決意する新一、街中でミギーが眠るのに恐怖する新一。
村野さんを抱きしめる新一。(つらそう)
どこか逃げようか考える新一。
夜の公園で新一会う村野さん。
結ばれる二人。
生きようと決意する新一。

なんと広川は人間でした、あとタイトルの意味が明かされます。
タイトルの意味は始め原作を読んだときなど寄生虫と人間が混ざったような敵が出てくるからだろって思ってたんですけど劇中の人物のセリフで出してきたのはビックリですよね。
新一に関しては散々の恐怖の中でも村野さんへの愛は変わらない、愛する人のために生きようとするあたり人間って悪くないよねって思います。
☆5.0
{/netabare}

【第22話】
{netabare}
『静と醒』
後藤の気配を察知するミギー。(ミギーが車を運転して新一達は逃げる)
一か八かの方法を思いつくミギー、崖から車を突き落とすが後藤は生きており失敗する。
戦は勝機だと打ち合わせするミギー。
後藤の頭を切り離せと指示するミギー。
作戦を失敗する新一とミギー、ミギーが死ぬ。
山で見ず知らずのお婆さん(美津代)に会う。
助けてくれる美津代さん、不法投棄が深刻だと現場を見せる。
新一の夢でミギーは生きていると言うミギーの細胞。
最近妙なことが起きていると言い美津代さんの家に来る住民達。
地元の警察が現場検証する。
美津代さんに俺の責任だと言う新一。
軽々しく命を使うとか言うなと諭す美津代さん。
できるだけ多くのことを考えろ、決して諦めず臨機応変にと最後に言う美津代さん。
鉈を持っていく新一。

ここまで一緒にやってきたミギーと別れ、新一は参ってしまいますが山で美津代さんに会ったことで後藤と無謀でも戦う決意をするんですね。
後藤強い、純粋に戦いを楽しんでいる彼が生物の究極体(身体のみ)みたいに思えます。
ミギーは夢で生きていました、また再会はあるのでしょうか。
☆4.5
{/netabare}

【第23話】
{netabare}
『生と誓』
暗闇の中、五感が研ぎ澄まされる新一は後藤の寝込みを襲う。
考えを巡らせる新一は木の上から木の枝を刺そうとするが失敗する。
後藤にブッ飛ばされ生死の境で弱点に気づく新一。
不法投棄現場にあったゴミを後藤に突き刺す。
後藤の攻撃をガードした瞬間、後藤の中に吸収されたミギーが蘇生する。
後藤の体内にいた三木や他の寄生生物の反乱を促すことに成功する。
後藤はこの種を食い殺す怒りで戦闘マシーンと化したのだと解説するミギー。
ゴミにシアン化水素が含まれていたのが勝因だそう。(猛毒)
天に任せると言いその場を去る新一。
地球のためにと言う人間が嫌いだというミギー。
後藤に対し君は悪くないと言いやっぱり倒す新一。
帰ろう…新一は街へ帰る。

ミギーは生きてました、良かった!後藤戦一番面白い話だと思います。
新一が後藤に手を下すシーンは人間でいる以上、同種の敵は倒さねばならないという生物としての運命を感じました。
まだ彼には守らなけらばならないものがあるからでしょう。
☆5.0
{/netabare}

【第24話】
{netabare}
『寄生獣』
序々に人間社会と溶け込んでいた寄生生物達。
夢の中で永眠すると新一に話すミギー。
起きたら自分のことは忘れて欲しいと去り際に言う。
目覚めた新一は忘れるわけないだろ!!馬鹿野郎!!と一喝。
―新一、村野さんとデート
新一の意見。(ここはこの作品のテーマを話してると思います)
浦上を街で見掛ける新一、村野さんが捕まる。
―ビルの屋上
人間と寄生生物が混ざった中間の立場の新一に意見を聞こうとする浦上。
浦上を化物以上の化物だと言い放つ村野さん。
浦上を制し、ビルから落ちる村野さんを救おうとする。
失敗かと思いきや村野さんを救出。(おそらくミギーのおかげ)

エピローグ回、ラスボスは寄生生物の後藤ではなく人間の浦上というのが面白い。
新一の悟りを開いたような話にこの作品を通しての岩明均先生の考えを聞いているようでした。
最後の最後で村野さんが新一への答えを出していたりと終わり方としては申し分ないと思います。
☆5.0
{/netabare}

■総評
{netabare}
―重複しますが原作、新規ファンにも入りやすいキャラクターデザイン。
・原作ファンには違和感があるかと思いますが設定が現代に変更されている点や実際のアニメの作画から見て個人的には納得のいくレベルでした。
時折見せる原作のシーンをそのまま抜き取ったような演出は嬉しかったです。

―ミギーの声優の方が女性なのは意外でした。
・生まれて間もない生物ですしマスコット的な立場ではありますが、能力的に乏しい主人公を冷静に諭しながら戦っていくポジションなので落ち着いた大人な男性の声にして欲しかったのが個人的に正直な思い。
・プロデューサー中谷敏夫氏のインタビュー記事にこの件が書いてありました、周囲をわかっていたようでの配役みたいです。
・平野 綾さんの演技は良かったと思います。

―原作とストーリーはほぼ一緒なので安定して楽しめました。
・しかしながら原作の力が大きく、アニメとしての出来(構成、演出など)はもう少しどうにかなったのではないかと思ってしまいます。

―戦闘シーンの緊迫感がいまいち湧かない箇所がある。
・音楽のKen Arai氏の楽曲にエレクトロの要素が強く合ってない箇所が見られるのが残念、音楽プロデューサー・音響監督にはがっかり。
・どんな傑作でも音響は重要なんだと示してくれる作品だと思います。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

原作読んだ?

 全24話。マンガ原作。原作既読。

 この作品に限った話ではありませんが、私はもともとアニメ派ではなくて、マンガ派です。マンガ版寄生獣にももちろん注目していました。マンガ版寄生獣は、連載物の宿命か右往左往してしまったところはあるんですが、それでもマンガとしての完成度は極めて高いです。構成力は素晴らしく、無駄なコマもありません。歴史に残る一作と言っても決して過言ではないと思います。

 アニメを見るようになって痛感するのは、やはりマンガとアニメはメディアとして違うということ。マンガとしての面白さが、アニメとしての面白さにリンクしないところがある。その点では、私は必ずしも寄生獣のアニメ化を期待していたわけではありません。実写映画化もしかりです。
 ただ、映像化権が米国にあり、どんなキワモノが出てくるのか分からなかった期間を考えると…。時を経て日本に権利が戻り、実写映画化され、メディアミックスとしてアニメ化されたこの現状の方が良いのかもしれないな、なんてことも思いますけどね。

 以下、長文になってしまったので、お暇なときにどうぞ。


環境問題?:{netabare}
 寄生獣が環境問題への警鐘からスタートした話であることは間違いありません。そして、「人間と自然」という対比を用意し、自然側に寄生生物を置いていたことにも異論はないでしょう。ですが、最後までこの主題が継続されていたという指摘には強い疑念があります。

 マンガ版寄生獣の最終巻、作者のあとがきでこのような指摘がされています。後藤の最期についてです。
 作者は、後藤を「『美しき野生』『偉大なる大自然』の代表選手」とした上で、当初後藤は「死ぬ予定ではなかった」と述べています。後藤の敗北後、「新一はあのままスタスタ帰ってしまう」のだそうです。
 また、その後の後藤についての当初案も書かれています。「完全復活したものの、汚染された日本を嫌い、(中略)美しい自然をめざし飛び去ってゆく」という案。そして、「完全に復活できず、人間に無害の別の生き物として山の中でひっそり生き続ける」という案です。
 両案のいずれにも共通するのは、「偉大なる大自然」が存在し続けているということです。これなら「人間と自然」の対比は生きていますし、「自然が人間から乖離してしまう」第一案も「自然が人間のせいで変容してしまう」第二案も、環境問題への警鐘に対する答えとしての合理性は担保されます。

 ですが、作者は最終的に、新一の手によって後藤が殺されるという結末を選択しました。果たして、これが環境問題への警鐘として成立していると言えるのでしょうか?
{/netabare}

人間とは似て非なるもの:{netabare}
 寄生獣における「人間と寄生生物」の関係で、「人間と自然」の対比以外にもう一つ重要なことがあります。それは、寄生生物が「人間とは似て非なるもの」として存在しており、「人間と人間とは似て非なるもの」という対比がなされているということです。

 このような対比をさせる作品は数多くあります。対比先は、アンドロイドや宇宙人など様々です。これらの作品は、「人間とは似て非なるもの」を観察することで物語が進みますが、これらを明らかにすることを着地点としていることは、まずありません。そのほとんどは、「人間」との同異点を探ることで「人間」を明らかにすることを目指しています。

 寄生獣も最終的にはこちらの話にスライドしました。
 「人間と寄生生物」の対比が「人間と自然」であったのなら、自然の代表である後藤を殺すことは出来ません。それは対比の否定につながり、論理破綻を来すからです。作者が用意していた当初案のような結論にならざるを得ません。
 ですが、「人間と寄生生物」の対比が「人間と人間とは似て非なるもの」であったのなら、それは可能になります。観察さえ終了してしまえば、「人間」を明らかにするのに、「人間とは似て非なるもの」の存否が影響しないからです。

 この結末変更について作者は、このように述べています。
 寄生獣の開始時は「『愚かな人間どもよ』という人間が滅多やたらにはいなかった」が、「世の大多数の人が同じようなことを言い始めてくると」「作品内で復唱するのが何やら気恥ずかしいのだ」。「ともかく次には『愚かな人間どもよ』と人間が言うなよ、と言いたくなってくる」。
 つまり、寄生獣という作品は、環境問題への警鐘としてスタートしたものの、ここへの安易な着地を嫌い、「人間が言うなよ」との主張に変化したのです。その結果が、「人間」を語る作品へのシフトとして現れました。

 このシフトは、二つの示唆をもたらします。
 一つ目は、「人間と自然」の対比が終わることで、「自然」としての寄生生物の正体については、追及されなくなるということです。事実、寄生生物の卵やヘビのような幼生体などには、最後まで説明が加えられませんでした。「人間」を明らかにする作品においては、それが意味を持たないからです。
 二つ目は、「人間とは何か」を改めて語る必要が出てきたということです。

 この二つ目の論点を進めるために登場した人物がいます。彼が寄生獣という作品を締めくくりました。
 「人間」の浦上です。
{/netabare}

人間:{netabare}
 「人間」について考えるというのは、目指すべき人間像を探ることに同じです。「良い人間とは何か」「理想的な人間とは何か」などのようなものです。この説明の仕方に作者の特性が強く出ていました。
 原作者の岩明均(敬称略、以下同じ)は、対比を用意することで物語を説明していくタイプの作家です。このレビューもこれに準じて書いています。そして、岩明均は、対比の両側を説明しないという特性を持ちます。「裏側を書くから表側は考えてね」というスタンスです。

 「人間」について考えるとき、「良い人間と悪い人間」または「理想的な人間と現実的な人間」という対比が想定されますが、「良い人間」や「理想的な人間」を直接には描こうとしないのです。最後に描かれたのは、「悪い人間」と「現実的な人間」です。すなわち、「悪い人間がもたらす忍び寄る現実」、ここを浦上が担っていました。「人間」を明らかにする作品になったからこそ、その裏側にいる浦上が物語を締めくくることになったのです。
 そして、「良い人間」と「理想的な人間」への説明というのは、最終的には欠落されます。これが読者への問題提起として残るということです。

 なお、この作者の特性は、人物配置にも色濃く表れています。
 強い思想を打ち出した登場人物には、寄生生物としては田村や後藤、人間としては広川や浦上がいます。これらを対比先に置くことで、新一とミギーの立ち位置が定まっていました。
 ですが、どこを見ても表れない人物像があります。「共存を願う人間」です。主人公やヒロインですら共存への奔走を見せませんでした。この最後まで隠された部分、これが原作者の思いとしてあるのかもしれません。もちろん、単なる綺麗事嫌いの可能性もありますけどね。
{/netabare}

 ここまでが前提の話です。
 寄生獣では、対比のシフトが行われ、「人間」の話にスライドしました。そして、その過程において、「生物とは何か」にまで踏み込みが行われています。
 このシフトの起因と踏み込みの原因というのは、同じところに答えがあります。それが、第三部の主題となっていた「母子関係」です。


四部構成:{netabare}
 寄生獣の構成を検討してみると、四部構成であることが分かると思います。

 第一部は、マンガ版第3話/アニメ版第2話までに該当します。作者も「わずか三回にして終わるところが…」と述べていますから、とりあえずの結末を迎えていることが見て取れます。
 ここまでの話が骨子となり、ここを繰り返すことで後の物語が展開しているのも分かると思います。例えば、子ネコを助ける話は、子イヌを助ける話として再登場しています。バトルを通して新一とミギーが変化していくという定型が作られたのもここです。

 第二部は、母親の敵討ちである伊豆の一件が終わるまでです。マンガ版第16話/アニメ版第7話までです。この一件で、新一とミギーはその一部が融合することになりました。
 新一とミギーは、人間と寄生生物の間にいたわけですが、これ以前の話では「分離した状態」にありました。この伊豆の一件を経て、「融合した状態」で語り始めることになります。人間と寄生生物の境界があいまいになり、二人の思考が相手側に寄っていく決定打となりました。

 第三部は、田村との公園のシーンまでです。マンガ版第17話/アニメ版第8話からマンガ版第48話/アニメ版第18話途中までに該当します。マンガ版では第17話よりも第18話の方がより大きな意味を持ちます。

 第四部は、作品全体のエンディングです。浦上が登場し、後藤との決着がつき、「生物とは何か」が言及され、再度浦上登場することで幕が引かれました。

 以下では、第三部だけを見ていきます。
{/netabare}

第三部のオープニング:{netabare}
 第三部のスタート時、新一は大きな問題を抱えていました。それは、母親を亡くしているのに泣けないということ。
 胸に開いた穴を埋めるために新一とミギーは融合したわけですが、身体の穴が埋まる代償として、心の穴を抱えることになってしまったのです。この「心と身体」の対比に基づくのが、第三部の主題である「胸の穴」の問題です。ベンチマークには「涙」が採用されました。

 この第三部のスタート(マンガ版第18話)では、「胸の穴」に関する論理的な整理が行われています。第三部の問題提起であり、第三部のエンディングへのフラグ立てでもあります。これを確認してみます。

 マンガ版第18話は、新一が「涙」を流すところから始まります。泣けないと言う新一は、田村との公園での一件の前に、実は泣いているのです。もちろん「心の涙」ではありません。目にゴミが入ったから反射的に「涙」が出たという「身体の涙」です。つまり、泣けないことは身体の問題ではない、心の問題だ、という説明がされているのです。この描写に1ページ以上も割きました。通常では考えられないほどに強調されています。

 そして、心の問題と言えども心の全てに及ぶのではない、という説明が入ります。
 聴覚の鋭くなった新一が市井の音に耳を傾けるのですが、その過程で村野の心音を聞くことになります。3コマも使って村野の胸元を順にアップするという強調がなされ、その後に新一の照れる表情が1コマ入ります。
 つまり、新一が、少女の胸元に注目してしまう一般の男子高校性であることと、恋愛においては非情になっていないことが説明されているのです。変わらぬ心があることの説明です。

 最後に、変わってしまった心の説明がされています。ここで、第一部をリフレインする子イヌが登場します。子ネコを虐待から助けていた新一が、子イヌの死を「肉の塊」と表現しました。これにより、心の問題が「死」の一点に収束していくことになります。子イヌの話の重要性は言わずもがなでしょう。

 このような三段階の説明がなされたことで、新一の抱えていた問題が心の問題であり、その中でもとりわけ「死」への態度であることが明らかにされました。
{/netabare}

第三部のエンディング:{netabare}
 第三部のエンディングは、田村との公園のシーンです。新一が田村の「死」に触れることで、「心と身体」の問題が解決され、「涙」に至りました。ここで用いられたのが「母子関係」です。

 「母子関係」には、「田村→田村ベイビー」と「新一ママ→新一」の二つがあります。田村が新一ママの姿を取ることで、この二つの母子関係が混ざり合います。そして、「田村→新一」という疑似母子関係が成立しました。これによって、新一が体験した母子関係の喪失が疑似的ながらも回復し、新一の心の「胸の穴」が回復します。さらに、田村ベイビーの涙、すなわち、子供側の涙に触れることで、子供である新一もまた母親の死を許容し「涙」を流すことができました。
 これが第三部のエンディングの内容です。


 では、前述した「人間」を明らかにする作品へシフトした起因と「生物とは何か」にまで踏み込めた原因としての「母子関係」について話を進めていきます。

 この第三部で、「母子関係」が広がりを獲得しました。なぜなら、「田村→新一」という非血縁に基づく母子関係の成立を許容したからです。起因と原因になっていたのは、この「広がりを持った母子関係」のことです。

 「人間と寄生生物」における「人間と自然」の対比は、両者の対立構造です。田村はこの対立構造から離れ、寄生生物を弱者に置きました。人間と寄生生物の間に、庇護と被庇護の関係が生まれたのです。ここには「広がりを持った母子関係」が成立していますから、「人間と寄生生物」の関係は、対立構造から「母子関係」へと置き換わります。
 つまり、第三部で「母子関係」の成立を準備したからこそ、「人間と自然」の対比が持つ意味を減退させることができ、「人間」の話へとシフトさせることができたのです。

 ここで用いられた「強者であると認識していたものが弱者でもあった」という論理展開は、「人間」にも同様に機能します。例え「人間」が寄生生物の親であったとしても、また別のものの子である可能性があるのです。この論理展開は、他の生物にも同様に連鎖をしていき、すべての生物が親であり子である可能性を持つことになります。
 ここで、タイトル回収がされます。寄生獣とは、序盤では「寄生生物」のことです。中盤では「人間」のことです。最後には、寄生し寄生される「すべての生物」、親であり子である「すべての生物」、寄り添い合い生きる「すべての生物」、となりました。「生物とは何か」、それは「寄生獣」であるという結論です。
 「母子関係」なくして、「生物とは何か」にまで踏み込めなかったということです。
{/netabare}

おわりにかえて:{netabare}
 なぜ私が第三部のオープニングの話を詳しく書いたのかを、もう少しだけ説明させてください。

 おそらく、多くのアニメ版視聴者は、「母親が死んだ事実」と「涙が出ない事実」の間を「心の問題である」とごく自然に解釈したことと思います。ですが、それが主観に基づいていることを理解して欲しいのです。
 もし、「寄生生物は泣かない」のであり、「寄生生物と融合したから泣けない」のであれば、それは「身体の問題」になるはずなのです。作者はその可能性を理解していたからこそ、わざわざマンガ版第18話を用意して、「死に対する心の問題であること」を丁寧に説明してくれたのです。そしてこれが、「他の生物の死を悲しめるほどに、心に余裕がある生物」との人間賛美となり、「『愚かな人間どもよ』と人間が言うなよ」という主張につながるのです。

 ですが、アニメ版ではマンガ版第18話の再現を盛大にやらかしてしまいました。
 目にゴミが入り涙が出るシーンはカットされています。「心の問題なのかな」という新一の独白に頼っているだけです。客観的な説明なくして、なぜ身体の問題であることを否定できるのか、はなはだ疑問が残ります。
 胸元に照れる新一の表情もカットされてしまいました。トラック音に驚いた後の照れる表情だけがあります。これでは胸元に注目していたことへの照れ隠しではなくて、トラック音に驚いたことへの照れ隠しになってしまいます。それが、一体どれほど重要なのでしょうか?

 作品内での客観的な説明がなければ、視聴者は主観的な判断をするしかありません。それは当然のことですから、私には視聴者を責める気など微塵もありません。責めるべきは、作品への理解が乏しかった監督に他なりません。

 マンガ版第18話のサブタイトルは「人間」です。「寄生獣」という作品において、なぜここが「人間」というサブタイトルを冠しているのか、そこにある原作者の意図を汲むべきだったと思います。理解が及ばなかったのなら、忠実な再現を目指すべきでした。アニメ版寄生獣は、表面上は上手くなぞりましたが、作品全体への理解に懸念を感じてしまいます。少なくとも、原作マンガをきちんと読めているとは思えませんでした。
 私が第三部のエンディングとして整理している田村との公園でのシーンについて、Aパートで終わらせているアニメ版は構成としておかしい、と指摘している方がいらっしゃいます。そのような指摘も極めて妥当なものだと思います。

 もちろんこれらの論理性の欠如だけをもって、アニメ版が駄作であるなどというつもりはありません。良いところももちろんありました。特に、細かな象徴物はかなり機能しています。携帯電話とか髪の毛とか洋服などのデザイン文字とかですね。それぞれに意味を持った良改変だったと思います。

 ただ、アニメ版を視聴した際に、少し残念に思ったのは確かです。マンガ版はおそらく歴史的な一作としての地位を獲得しているものと思います。環境問題への警鐘としてではなく、マンガとしての質の高さゆえです。ですが、それほどの価値をアニメ版からは感じることができませんでした。メディアとしての違いなのか、論理性の欠如のためなのかは別論に譲りますが、マンガ版の良さを再認する結果となってしまったと感じています。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 14
ネタバレ

ラ ム ネ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

生物として人間は何が普通なのだろうか。人間として生物は何が普通なのだろうか。

 内容は至ってシンプルである。感想はひと言で「なんか普通」である。傲慢じゃない。「なんか普通」だから、面白いとも思えない。純粋な物足りなさ。しかし実写映画化にアニメ化とは、急に流行り始めたものだと思う。まるで生態系の崩壊が”急に”来るように。

 つまり、(と言って要約に入る。)…しかし要約する必要性はない。全て作中で語られるから。 ああ、じゃあ何も書かなくていいのか。

以降はネタバレです。

要するに…、{netabare}

 生態系には天秤があり、それは環境資源に比して均等に保たれようとする力が働いている。つまり、バランスを保とうとする力がある。一つの生物が偏って増大すると、その生物は下位の食糧(肉食動物は草食動物、草食動物は植物など)を食らいつくし、結局食べるものがなくなって、自らの種も激減し、食らい尽くした食糧が回復するまで、その生物種も増えることはない。
 北米で実際にあった捕食者のいなくなった鹿が好例である。狼が絶滅し、捕食者のいなくなった鹿は増大し、木の皮や若木などの食糧を食い尽くし、食べるものがなくなって激減し、山原は荒れ果て、他生物にも危害を与え、自然の回復には多くの時間を費やした。   
 人類も全く同様で、近代化に伴って人口は増大し、凡庸な欲に生物資源を使い潰し疲弊することによって、やがて膨大な需要に生態系からの供給が行き届かず、人類側が激減する、というシナリオだ。歴史的に見ても、どうやら現代のここらが古き良き時代であることがわかる。

 一つの生物種数が偏って変化すると(然も、人類という規模の違う並半端な偏り方である)、バランスを保とうとする生態系側から種数を変化させないようにに規制が掛かる。しかし人類は、農作を覚え食糧を備蓄するようになり種数を増やし、産業革命やエネルギー革命やらを起こし種数を増やし、何段階かに分けて種数を増やしてきた。必ずしも右肩上がりが平均ではなく、革命や発展があって、そこから種数をぐっと増やして来たのである。つまり、生物資源からより効率的なエネルギー供給を得られる技術を、段階的に確立させ、それに伴って人々の生活は裕福になり、人口爆発が起こった。端的に言えば、人類は生物資源を濫用することで発展して来たのである。
 段階的に増えたので、技術革新前は人口グラフが横棒だったのである。人類もまた一生物でしかないことがわかる。
 寄生虫(パラサイト)の出現は、自然界側からの人類種数増幅の規制であると見て取れる。しかしそれは、作中に見られるように、人類にとっては撃滅可能なパラサイトという小さな規制である。それは新型ウイルスなどと全く変わるものではない。バランスが偏ることで、環境や人体に変化が生じることで、今まで見過ごせてきたもの見過ごせなくなったり、見えなかったものが見えるようになったり、現れなかったものが現れるようになっただけの話である。
 そして、本作品の物語を物語たらしめる(面白くする)要素は、主人公の人間とその右腕に寄生したパラサイトとのコミュニケーションだが、第一に上記からわかるように、パラサイトの出現が未来の人類激減による混乱期を示唆するという点である。パラサイトは人間の脳に寄生し、四肢を支配することで、コミュニケーションをとることも出来るのである。しかも、知能まで高めることができるので、「我々パラサイトは何の為に生まれたのだ?」「我々パラサイトはなぜ人間を食らうのか」などと、本来は意志の疎通ができないはずの人間種数を規制する自然界側を見取ることができるのである。つまりは、ウイルスと話しているようなものである。まあ、こういう環境破壊風刺モノは、自然界側の発言者と人類側の発言者の対話、という構図がわかりやすいのだろうと思う。本来、話せないものと話せる、ということがこの物語のいい要素だ。
 第二に、人間視点として、虫が寄生した人間が、寄生されてない人間を食べることで、いつもは搾取側の人間が、搾取される側になったのであることだ。搾取される側になったという問題が現前にある人間模様が物語となったのである。 (編集ここまで、以降だらだらと)

第二のこれを掘り下げると、
 まず、「人間を殺すなんて!人の命は尊いんだよ!」と主人公が叫ぶシーンがあるのだけれど、誰が「人の命は尊い」だなんて決めたのでしょう。「人権」でしょうね(民主主義の一角として)。「人の命は尊ぶべき」なんて、民主主義思想を創造した昔の西欧の賢人たちが、「これって人類の普遍性にしちゃっていいんじゃね?」と定めたものでしかないんです(注意、ニュアンスは違うかも知れないけど)。「人間を殺すな!」って言っているわりには、人間は他の生き物を殺しまくってる。人類によって、過去にない圧倒的スピードで生物種は絶滅していっています。それで、人間を殺すな、とかまだ言うの?つか早く殺させてくれる?というパラサイト側からの提言は通用しますよね。いや、通用はしてほしくないのか苦笑 ありえるよね。
 産んだ子が死んで、悲しむのは人間。だけど、アフリカのどこかの先住民は、ある話で、死んでも産まれても、それを何年も育てることになっても、別に劇的な出来事ではないそうです。だって、周りに共存している野生動物だって、みんな同じ、よく死んだり、よく産まれたり、育てたり巣立って行ったり、日常的にやっている。産まれた、だから育てる。病気で死んだ、悲しいけど、よくあることだ。驚くほどのことかい?と先進国の旅人に訊いたそうです。この発展し成熟した社会の下では、無いように見えますが、本来、死生というものは日常的にありふれていて普通のことなんです。
 話しを戻すと、こうしたところから、本来の死生観というものに考えさせられるところがあります。人間というのは、偏っていて、偏っていることすら知らないことが結構多くあるのです。理解していると思い込んである観念に縛られて生きていると、不条理なことってありますよね。理に適っていなくて、考えないから、不幸なんでしょうけど。

 本作が物語になったのは、上に書いたように、パラサイト側の人間理解にもあるでしょうね。
「人間社会というのが、ひとつの生命体だ」みたいな台詞もありました。
 まあ、これもシンプルで、一匹では無力で何もできないから、弱さを補い、なお効率化を図って、群れた。群れて社会ができた。蟻一匹じゃしょぼいけど、数百万だったら森ぐらい呑み込めるよね(グンタイアリ)、と大まかに同じ。
「パラサイトと人間はひとつだ。我々(パラサイト)は弱い、だからいじめるな」みたいなのもあったかな。
 これは、人間は無意識の内に生物とは単体だと思い込んでいるのが、全ては繋がっていて、生命という全体性の内に内包されているのだ、ということ。
 生態系の崩壊が急に来ると書いたのはここから押し広げられます。蜂が絶滅したら、花は受粉できなくなって…みたいに。そしたらもう連鎖的に襲われるでしょうね。

 無敵のパラサイトを手こずって倒して、とどめを刺そうかと迷う主人公は、守りたい大切な人たちを思い出し、「それでも人間は生きたいんだよ」と、そのパラサイトを殺すことを決意します。

 もっと突き詰めて意味深いこと描けないかと思うけど、それは傲慢かも知れませんね。それでは世間に伝わりにくいだろうし。実際、環境汚染やら気候変動やら生物多様性減少の課題とかの中から、個人のパーソナリティーに訴えかけるべき倫理道徳って、はなはだ単純なもので、警報としてはこのくらいが丁度いいのかも知れません。作品価値を上げるなら、濃い内容でもいいかもしれないけれど、もしそれが世間に伝わりにくいからってやらないのは、制作段階で作品の未熟を認めつつ見過ごす行為だから、未熟でしょ。まあ、風の谷のナウシカの原作を読んでしまったら、ねえ。うん、警報としていいかもしれません。

 良作ではあるけれど、ピンとこない。市長が人間だったところが、一番よかったです。「おおー」ってなります。

 実写版の方が迫力はありますかね。内容は削られていますが、荒削りではないし、原作を映画二編に収めたのだから多少は仕様がありません。役者さんとアニメだと、やっぱり響き方として実写がいいです。原作は、台詞の伝わり方がいまいちでした。

 論理的をやめて、今回はちょっとだらだら書いてみました(編集で最初の方は推敲しましたが)。だらだらしていられるのも今の内、なんでしょうかね。…なんて諦観しているわけじゃありませんよ。なんとかなると言って誰かに任せっきりで何もしないのは、違う気がしますからね。器量がなくても草の根活動ぐらいできるんじゃないんですかね。どうにもならないから、はじケル?野性生物の人類は、端的に言えば、理性生物に進化できればいいのですよね。できなかったとしても、幕には下り方ってもんがあるでしょう。何が格好良いのでしょうかね。カジュアルスタイルが格好良いんでしょうかね。化粧に香水にキャメルのコートで恥じらい隠して、同じようなイントネーションで話していれば格好良いんですかね。
 要するに、この物語を見て、風刺を理解し、自分のこととして身に据えれば、「そんなことしてる暇なんかあるの?」とグサリと刺されることになるんでしょう。それでも弁償したい人は、例えば「それでも人間は生きていたいんだよ」の台詞に勝手な救いを求める。でも、その台詞は文脈の意味合いがそもそも違いますよね。ギリシア哲学に於ける「善」の定義とは、自分にとって都合のいい選択のことなんです。そろそろ、人間は善悪判断(倫理観)の範囲を、人間界から生物界へと広げなくてはなりませんね。だって、それができなきゃ滅ぶんだから。
 全ての生きとし生けるものに包括された一つの種としての人間、その人間にとって、一体何が格好良いんでしょうね。 {/netabare}

以上、今日は気分が悪くて皮肉屋でした笑 ほら、不条理なことが、ね。わかるでしょ?私情を持ち出すなんて未熟者ですね、人類は。※責任転嫁(笑)

2015/5/14「生物として人間は何が普通なのだろうか。人間として生物は何が普通なのだろうか。」投稿。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7

69.6 2 不気味アニメランキング2位
KUBO/クボ 二本の弦の秘密(アニメ映画)

2017年11月18日
★★★★☆ 3.8 (28)
111人が棚に入れました
 三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという不思議な力を持つ少年・クボ。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父に狙われ、助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、更なる闇の刺客によって母さえも失くしてしまう。 追手である闇の魔力から逃れながら、父母の仇を討つ準備を進めるクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知る―。

声優・キャラクター
アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

日本へのリスペクトは物凄く伝わる

この作品は、トラヴィス・ナイトが
初監督を務めたストップモーション・アニメ映画である。
封建時代の日本が舞台になっている。

おおまかなあらすじとしてはこんな感じ。
主人公のクボは、三味線で折り紙に命を宿し、思いのままに
扱うことが出来る特殊能力を持っていた。幼い頃、闇に
取りつかれた祖父に襲われたことがあり、父は彼を守るために
命を落としてしまう。その時に片目になったクボは、母と遠い
場所で暮らしていたのだが、祖父からの刺客に目を付けられ
母さえも亡くしてしまう。両親の仇を取るため、仲間になった
サルとクワガタと共に旅をするのだが…。

良いと思ったのは、ストップモーションアニメとCGによる映像美。
これは、ストップモーションなのかと一瞬疑ったほど。細部にまで
徹底した滑らかな動きに見とれてしまう人もかなり多かったのでは。

アクションシーンもかなり気合が入っており、緊張感を生み出す
ことに成功している。
個人的には、巨大な骸骨との戦闘がお気に入り。でも、
倒し方は結構呆気なかったような。
まあ、敵キャラの中では一番好きだったので、そこが
強く記憶に残っているだけなのだが。

だが、ストーリー構成は卓越したものではない。普通なのだ。
よく言えば王道だが、悪く言えば捻りがない。
後半に進むにつれて、尺が足りなくなってくる点は否めない。

特に終盤。主人公が黒幕と対峙するシーンは、かなり急展開だと感じた。
その際、主人公は「瞬きすら、してはならぬ」と言っていた
ような気がするが、あの結末では瞬きする人が出ても
不思議ではない。むしろ、瞬きしていない人を探す方が難しい気がする。
その上、全体的にテンポよく進まないので、退屈だと感じる可能性が高い。

劇中において、魅力的なキャラクターがいなかったのもきつい。
主人公は良くも悪くも普通な少年。要は、大衆にはない特殊能力を
持っているだけに過ぎない。
終盤においては、主人公の折り紙と三味線を組み合わせた
特殊能力が強すぎて、剣の存在が掠れてしまうほど。恐らく、
あの剣はサルとクワガタが、クボを守るための武器として配慮
されたのではないかと推察される。

サルとクワガタの正体も、勘がいい人ならすぐに気づきそうだ。
クワガタに関しては、一瞬「あれ?」と思ったがよくよく
考えれば拍子抜けするほどでもない。サルに至っては、丁寧
な前振りがついてくる有様。
気づていない人がいたら、それこそ瞬きしてしまいそうな
心境に陥るだろう。

黒幕の存在が、予想していたよりも薄っぺらいものに見えてしまった。
なぜ、悪の道に進んできたのかの説明が不十分なので、特に
記憶に残らないのだ。
異形の化け物に変身する場面が、一番の見所だという印象が強い。
道中で出てきた、巨大な骸骨や一つ目の化け物の方が感情が
見えない分、身震いしそうになる程怖い。彼らと比較しても
全てにおいて完璧に負けている。
彼に関してはもう少し描写すべきだった。本当に勿体ない。

映像に関しては、文句なしと言えるレベルで素晴らしかったのだが、
それにストーリーが追い付いていない作品だと感じた。
内容重視の方は、無視してみる必要はないだろう。
個人的には良作だと思う。

※2019年3月下旬に公開されたバンブルビーを
劇場で視聴したので、それに関する追記を。
トランスフォーマーシリーズの一つであり、ベイ・ハムでお馴染みの
マイケル・ベイが監督を務めたトランスフォーマーのスピンオフに
当たる。
バンブルビーを視聴済みの方なら、既にお気づきであろうが
バンブルビーの監督は、このアニメ「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」
と同じトラヴィス・ナイトなのだ。

意外とハートフルな作風になっており、伏線回収もされていた
良作であった。迫力溢れる爆発やカーチェイスの描写に定評がある
破壊大帝ベイトロンとは違い、トラヴィス・ナイトは
キャラクターの心情に焦点を当てていたように思う。
他のアニメ映画に例えるとアイアンジャイアントが一番近いと思われる。
アイアンジャイアントを視聴済みの方なら、ピンと来るかも?

ベイトロン版トランスフォーマーだと、終始、トランスフォーマー
が満員電車レベルの終結具合になり、ぐっちゃぐちゃな戦闘シーン
が多いのだが、トラヴィス版トランスフォーマーでは、中盤以降
無闇に主要ではないトランスフォーマーのキャラは出ておらず、
凄い見やすかった印象がある。

デザインがアニメに忠実だったのも大きなポイントだ。
物心ついた時に、80年代のトランスフォーマをよく見ていた方なら
直に引き込まれるであろう。私も見ていてオオッとなったのは事実だし。
只、ベイトロン版トランスフォーマーのデザインが嫌いという訳ではない。
かなり、ディティールに凝ったデザインではあるが、それはそれで
味があるという考えだ。

メガトロンや、ショックウェーブ、サウンドウェーブといった
ディセプティコンのデザインは今でもお気に入りだ。定期的に
見直したくなる程である。(但し、ベイトロン版の映画そのものを
支持しているという訳ではないので、そこは勘違いしないように)

雰囲気が80年代の映画に近いという意見を見て納得した。
実際、劇中でよく80年代の音楽流れるし。まあ、これに関しては、
自分が好む映画に80年代の作品が多いからというのも一つの理由だが。

少なくとも、今までのトランスフォーマー映画の中では一番出来のいい
良作であることに変わりない。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密が好きな方は勿論の事
従来のトランスフォーマーファンなら見る価値はある。
機会があれば是非。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

世界最高峰のコマ撮りアニメスタジオが制作、日本を舞台にした長編アニメ映画

という触れ込みに興味が出たので、東京国際映画祭で一足先に観てきました。

制作会社はLAIKA
アメリカのコマ撮りアニメーションスタジオで、コープスブライドの制作にも関わったそうです。

観るにあたって、アメリカの会社が何故日本を舞台にしたのか、どのようなイメージ感を持たせているのか、アカデミー賞にノミネートされるに値する、魅力はどこか等、気になっていましたが、上映終了後のスタッフトークショーを含めておおむね納得できました。

注目点①
何故日本を舞台にしたのだろう。
スタッフのトークショーより、企画者の友人にクボという相性の日本人がいるそうです。直接の要因は語られていませんでしたが、そのご友人のおかげで親近感を抱いてくれたのだとしたら、嬉しいですね。
商業的には2014年のベイマックスのヒットも要因となっているのかも。
2015年に公開されたリトルプリンスでは、和紙を使ったコマ撮りアニメが話題になっていましたし、意外と人形劇と和モノって合うのかもしれませんね。

注目点②
日本に対してのイメージは如何様なものだろう。
例えばベイマックスは、架空の町のようで、端の方に日本らしさを感じる侘寂のような趣がありました。日本らしさを前面に出している訳ではないけれど、日本人スタッフ総動員で行うリサーチの徹底ぶりで流石ディズニー、コレジャナイ感を全く感じることはありませんでしたが、やはりアメリカ映画では、未だに?(其方の方が面白いから?)日本に対するプロトタイプな見方が主流ですよね。
別にそれが嫌という訳ではありません。制作体制に日本人がいなかったのかなとか、日本に対しどのようなイメージ感を持っているのか、いろいろ推測するのも楽しいです。
それでは、この作品は何方なのでしょうか。
小物系は日本っぽいのですが、建物の配置がどうもファンタジーっぽい感じがしました。
クボのおじいちゃんが豊臣秀吉風だったり、灯篭流しがあったり、かなりリサーチをしている雰囲気はありましたが、微妙にニュアンスが違うのが違和感であり、面白いなと思いました。

注目点③
アカデミー賞にノミネートされるほどの魅力はどこ?
けれはもう、映像の凄さでしょう。
このコマ撮りアニメ、バトルシーンが沢山あるんですよ。
アクションシーンは黒澤明監督作品を参考にしたという話が、トークショーの最中にありましたが、迫力ある映像でした。(恥ずかしながら黒澤明監督作品観たこと無いので比較しようがありませんが)これを一コマ一コマ撮っているのかと思うとこちらまで気が遠くなりそうです!


娯楽と言うより芸術作品なのかなと思います。
楽しいかどうかは、感性次第でしょう。話はシンプルで分かりやすいです。感動的なシーンもあります。しかし、私は泣いたり、笑ったりという気分にはなれませんでした。
ただ、上でも申した通り、コマ撮りの技術を観るという点において申し分ない完成度だと思いました。コマ撮りでここまでのアクションは観たこと無いので、良い物を観れたな、と視聴後の満足度は高いです。充分おススメ出来る作品だと思いました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人形、細工に魂を宿す

吹き替え版を配信レンタル視聴。

海外制作会社がストップモーションで構築した
封建時代の和風ファンタジー世界を舞台にした冒険活劇。


西洋人が好奇の目で日本を面白おかしく取り上げた
軽薄な諸作品とは一線を画した良品だと感心しました。

万物には魂が宿っている。意志を込めれば物に命を吹き込むこともできる。
日本という対象を咀嚼し、その精神性の深い所まで掘り下げて行く。
それらを、人形やセットを多角的に、丹念に一コマ一コマ撮影して映像化することで、
キャラクターや世界観を躍動させる撮影技術の根幹と共鳴させる。

こうして始まった折り紙に三味線の音色で紙細工としての命を与える少年の冒険譚。
結果、実現した映像美には目を見張る物がありました。
人形劇の弱点である表情描写も多彩なパーツで見事に表現されていて驚かされました。
あまりにも緻密で、時々、最近の海外CGアニメは綺麗だなぁ~といった感じで、
本作がストップモーション・アニメであることを忘れてしまう程ですw


永遠は完璧で不変だが冷淡。命は不完全で有限だけど温かい。
命は尽きても、他者の思い出となって継承されていく。
物語はいつか終る。けれどキチンと締めくくることで新たな物語が始まる。

物にも命を宿すことで、去りゆく存在の形見となり得る。
灯籠に願いを込めれば、刹那、死者との再開の夢も垣間見えるだろう。
ただ、それすらも永遠ではない。形ある物はいつかは壊れる。
だが、そこからまた新しい物が生まれ、魂が宿り、想いは連綿と続いていく。
かの地では魂を持った有限の万物が語り出すことで、物語が動き始めるのだ。

本作の撮影もまた、被写体となった多数の人形、道具が、
各々受け継いだ役割を完遂し、次にバトンタッチしていく
果てしない物語のリレーにより成立しています。
こうした部分でもストップモーションと日本が
共有する精神性が伝わり、感嘆の溜息が出ました。
特にEDアニメーションにて、一つの物が次々と変化し物語を紡いで行く演出に、
その真髄が表現されていたと思います。

決してネタに困窮して、奇をてらって日本に手を出したのではない。
ストップモーションの心技を極めた先に
万物に神が宿る日本の精神性と鉢合わせた。
日本である必然性を終始感じた有意義な鑑賞でした。


私も精神を疎外し、能率を優先する現代物質文明に毒され、
墓参りとかネット墓地でいいんじゃないか?
などと自堕落な戯言をのたまう今日この頃ですがw
本作を観ていると、やっぱり命ある物は大事にしないといけないな。
祖先には感謝しなければならないな。
と日本人として正気に戻った気分になります。

1週間の平均制作尺3.31秒。制作期間94週。途方もない時間を費やしたことで、
人形やセットに取り憑いた魂が、日本人の心の琴線にも触れる逸品です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 16

70.7 3 不気味アニメランキング3位
妄想代理人(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (803)
4202人が棚に入れました
『妄想代理人』(もうそうだいりにん)は、マッドハウス製作の今敏監督によるアニメ作品。
疲れた現代社会を癒す人気キャラクター「マロミ」をデザインした鷺月子は、ある夜、通り魔少年バットに襲われた。
突如世間に現れた少年バットは次々と人々を襲いはじめ、市井の人々を恐怖へと陥れていく。しかし、幾人も被害者が出、多くの目撃者がいるにも関わらず、少年バットは一向に捕まりそうになかった。刑事猪狩慶一と馬庭光弘は捜査を進める中、被害者の持つ不思議な共通項に辿り着くのだが…。


声優・キャラクター
能登麻美子、桃井はるこ、阪口大助、飯塚昭三、関俊彦、槐柳二、京田尚子、内海賢二、陶山章央、山口眞弓、中嶋聡彦、水樹奈々、藤原啓治、三石琴乃、津村まこと、郷里大輔
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

今敏監督唯一のテレビシリーズ

 初見でした。全13話。
 今敏監督らしさとらしくなさの入り混じった作品でした。
 私は今敏監督をかなり高く評価していますが、この作品に関しては少し冗長な感じがあったと思います。今敏監督が作る映画は、2時間でも到底終わらないような分量を90分ほどに押し込めることで、圧倒的な密度を持っています。この作品ではいろいろなパターンの話がありますので、全編を通して密度が高いというわけではありませんでした。明らかに話数を維持するための話もありましたからね。だから悪い、というわけではないんですけど。
 ただ、映画とテレビシリーズはメディアが違いますから、映画では出来ない各話の継続性や連続性みたいなものは、かなり意識的に作られていましたのだとは感じました。
 最初の2話と最後の2話は非常に良かったです。


月子のエロさ(全ての元凶)※ネタバレ要注意:{netabare}
 第一話を見たときから思っていたのですが、月子ってなんかエロくないですか? 体や性格が女っぽいというのではなくて、なんとなくエロい。ここに同意を得られるのかは分かりませんが、私は全ての元凶を知った時にその理由が分かったような気がしました。

 すべては月子の狂言が始まりだったのですが、その狂言の原因とも言えるのが「腹痛により愛犬のリードを手放し、愛犬を事故死させてしまったこと」です。
 月子は、父子家庭において厳しくしつけられて育った子です。そのため、父親に真相を打ち明けることができず、架空の犯人をこしらえてしまいました。一体何が打ち明けられなかった真相なのか?

 月子が打ち明けられなかったのは、「自分の不注意で愛犬を事故死させてしまったこと」ではありません。その不注意の原因である「自分に腹痛が起こったこと」です。
 千と千尋のレビューでも触れているのですが、「思春期に入りたての少女の腹痛」というのは「初潮・生理」を記号化して描いたものです。月子は初潮を迎え、そのために腹痛が起こったのです。そして、その痛みからリードを手放してしまいました。父親に「自分の不注意で」リードを手放したことを打ち明けると、なぜ不注意が起こったのかを説明しなければなりません。月子は「生理が来たから」とは言い出せないために、「あいつのせいで」リードを手放したことにしてしまったのです。

 「思春期に入りたての少女の腹痛」だけでも、「初潮・生理」の記号として十分機能するのですが、今敏監督はこの腹痛が「生理」であることをきちんと説明しています。愛犬マロミの血が流れるシーンです。
 このシーンでは、血が縦方向に流れています。あたかも壁を這う血のようにも見えるのですが、事故の現場は開けた大通りですから、周囲に壁はありません。「道路に沿って横に流れる血」をわざわざ「縦に流れている血」のように見せたのだと感じました。これは、「月子から流れ出る血」である「生理」とリンクするための描写だったのだと思います。

 つまり、全ての元凶というのは、「愛犬マロミの事故死」ではなく、「月子の初潮とそれを言い出せない父子関係」にあったのです。今敏監督が月子を女として描いていたから、エロく見えたのかもしれないな、と思いました。
{/netabare}

「ア=?」「アニ?」:{netabare}
 最後の記号の羅列に関して、どのような見解があるのかを調べてみたのですが、ループ説を採る「ア=?」派とメタフィクション説を採る「アニ?」派があるようですね。私としては、どちらか一方ではなく、両方が正解だと思っています。

 この記号の羅列を数式として見ると、第一話で登場したものと全く同じものですから、第一話へのループを描いたという「ア=?」派の見解は正しいものだと思います。そもそも第13話の次回予告が妄想代理人の全話に係るものですからね。否定のしようがないでしょう。

 ですが、「ア=?」だからといって、「アニ?」すなわち「アニメ」が否定されるとは思えません。そもそも今敏監督は、分かりやすいエンディングの解答を用意する方ではありません。これはどの作品を見ても同じです。「ア=?」を明らかにした以上、それを隠れ蓑にした別の解釈も用意していたと考えるのがいいように思えます。

 アニメ制作回に「鰐淵良宏」なる演出家(だっけ?)が出てきます。この人物は、第2話の絵コンテを担当者としてもスタッフロールに出てきています。つまり、アニメ内の架空の登場人物が、現実の妄想代理人のスタッフとして名前を連ねていたということです。
 この「鰐淵良宏」なる人物について、妄想代理人のwikiには、「2話の絵コンテ担当の鰐淵良宏は実在の人物ではなく、10話「マロミまどろみ」に登場する架空のアニメスタッフの名前。実際は今が担当していた(DVD6巻収録コメンタリー「妄想ラジオ」より)。」と書いてあります。つまり、今敏監督がアニメ内に登場していたということ。これは、劇中の製作者が妄想代理人の製作者でもあったというメタフィクションの要素です。

 また、フィギュアオタクの人が出てきますが、彼は当初、作中作のフィギュアを愛でていました。その後、妄想代理人の登場人物のフィギュアを制作しているシーンが出てきます。こちらも、作中の視聴者が妄想代理人の視聴者でもあったというメタフィンクションの要素です。

 つまり、どちらもアニメの世界と現実の世界のリンクを描いたメタフィクションになっていたということです。したがって、この作品が「アニ?」すなわち「アニメ」であるという解釈は、これらがフラグとなっていると考えれば、メタフィクションの締めとしては合理性のあるものだと思われます。

 この作品は、他の今敏監督作品よりも社会風刺的な部分が色濃いですが、風刺を作品内で見せるにとどまらず、現実とのリンクをメタフィクションとして見せることでより説得性を持たせようとしていたのだと私は考えています。
{/netabare}

 というのが、当初書いていたレビューの抜粋です。長いので大半を削りましたが、「千と千尋で書いた」という文言だけを加筆しておきました。妄想代理人も他の今敏監督作品と同時期(去年の夏から秋ごろ)に視聴して、レビューも用意していたのですが、当時は映画のレビュー以外載せる気が無かったので掲載していませんでした。まぁお蔵入りさせたまま忘れていたわけですが…。
 で、最近「KON'S TONE」という今敏監督のオフィシャルサイトを発見したのですが、その中で今敏監督自身から大変興味深い指摘がなされていたので、それについて一部をご紹介したいと思います。
 このレビューでは主に月子についてのみ触れます。全て引用ですが、※だけは私のコメントです。


妄想の十三終わり無き最終回。-その11-:{netabare}
 大雑把にまとめてしまえば、「幼い月子は不注意からマロミの手綱を放し、そのせいでマロミは車に轢かれて死んでしまい、それを自分のせいだと認めたくない月子はその内部から少年バットを生んだ」ということになる。
 それまでの少年バットやボンドによってもたらされた被害に比べてひどく小さな出来事であり、そのギャップは意図したところ。馬庭が解説してくれた真相と何も変わらないが、この回想で大きな要素が付け加えられる。初潮である。

 この発端となる女性を仮に、“月子”と名付ける。取りたてて深い意味はないが、妄想代理人を生み出した彼女の背景には女性特有の苦しみがあったことにしたい。「生理」については私は実感をもって考えることは出来ないが、大変な苦痛を伴う女性もいるようだし、狂言を演じてしまった、あるいは演じざるを得なかった月子の事情としても考えられよう。「生む」というイメージには血もつきまとう。

※やはり「初潮」が描かれていましたね。そして、「月経」「月のもの」という「生理」の言い換えから「月子」と名付けられたようです。


 初潮の訪れは「子供時代の終わり」(そう単純化してもいけないが)と考えられるし、つまりは「子供の死」である、と考えた。マロミという「子犬」の死も同様である。死には「血」のイメージも付帯する。タラリと血が流れるカットは、「初潮」と同時に「子(犬)の死」も表したつもりである。
 轢かれて死んだマロミは「子供の月子」と言い換えて差し支えない。その死んだ筈のマロミがぬいぐるみのマロミとして、月子主観では「生き残った」ということは、子供のままの月子が生き残った、ということだと考えていた。月子の「不思議ちゃん」「社会性の欠如」はこの生き残った子供の月子であり、大人への通過儀礼をうまく通り抜けられなかった、というイメージである。
 また「初潮=子供の死」は同時に「生む」機能が整ったということも意味している。そのイメージが「少年バットが生まれる」ことに繋がっていると思う。シナリオでは幼い月子のすぐそばに少年バットが立っている、というイメージだったが、もっと直接的に「月子から生まれた」ことを絵にしたかったので、幼い月子の影が少年バットのシルエットになっている、とした。理屈がどうこういう問題ではなく、言語によらないイメージとしての説得力が得られたと思う。

※「初潮」は「子供が終わること」と「大人になること」を意味しますが、月子は子供(マロミ)を抱えたまま大人になり、さらに少年バットという子を産んでしまった、ということのようです。なるほど。
{/netabare}

妄想の十三終わり無き最終回。-その12-:{netabare}
※回想シーンの絵コンテが掲載され、今敏監督による解説が加えられています。

「ほらぁ〜もう行くよ、マロミィ」
 能都さんの甘ったれた感じの声が非常にいい感じだった。キャプションにもあるように、ここでの月子は「わざとらしく困って」みせている。子供が動物に接する際、動物を「子供扱い」する態度はよく見られると思うが、この月子も同様で、つまりは「お母さんごっこ」である。お母さんごっこをしていたら、本当にお母さんになるための準備が来てしまった、という皮肉が重ねてある。

 ここの月子を描くにあたっては「肉」を大切にしたつもりである。特にふくらはぎ。腿に圧迫されて平たく潰れた感じのふくらはぎ、ここに「肉」を表そうとしてみた。月子の背後に見える公園のスツールが赤色なのは無論「血」の象徴。
 血と肉から逃れられない、という感じを重ねてみた。さらに次のカットでマロミが車に轢かれて死ぬ、という繋がりで「血」「肉」は「死」から逃れられないことも暗示したかったが、したかっただけに終わっているかもしれない(笑)

「あいつが来たんだもん!!」という「あいつ」とは無論「少年バット」と「血」のダブルミーニング。

※血が流れるシーンについて、絵コンテには「車道と歩道の段差の部分、血が流れ落ちる。マロミの血です。月の死者の象徴でもある、と。」と書いてありました。実際に縦に流れるところで縦に流れていたようです。私のレビューは間違っていましたね、恥ずかしい(笑)。
 なお、エンディングの記号式に関しては、私が確認した中では触れられていませんでした。
{/netabare}

 具体的なページについては失念してしまいましたが、「100の完成品を作るためには、200から300のアイデアを出す」というようなことも書いてありました。今敏監督作品の密度の高さが理解できたように思います。
 文章量が多いので「KON'S TONE」はまだほとんど読めていませんが、製作者の意図に触れられたり、こだわりを垣間見れたりできる貴重な情報源ですからね。継続して読み進めたいと思っています。
 今敏監督が亡くなっているのを知ったのは、確か去年の今時分で、パプリカとパーフェクトブルーを初視聴した直後だったかと記憶しています。この時期にまた今敏監督作品のレビューを引っ張り出すことになるとは露程も思っていませんでしたが、なんにせよこのレビューが8月24日に間に合ってよかったです!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11
ネタバレ

lll1 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

鷺猪馬蛙鯛牛蝶蛭狐…

 これでようやく今敏監督作品を全て見る事が出来た。

 ダーレン・アロノフスキー、クリストファー・ノーランなどなど、今敏の影響を受けた映画監督は多くいることでしょう。
 実に誇らしいことであり、今敏の偉大さを批評家や業界人のみならず、我々一般人も後世に伝え続けることをしなければならない。
 死後何年も経ちますが、いまだに悔しい気持ちでいっぱいです。もっとたくさんの作品を作ってほしかった。


 では本編の方を。率直に言って傑作でした。ただ、全体として見るか、1話1話を見るかで、ちょっと評価が変わる。
 1話1話全て面白いんですよ、でも全体として見ると、やや霞むんですよね。これが正直なところです。これが正直なところなんだけど、そんな霞むところは無視してこれからこの作品を褒めちぎるレビューを書きます。
 嘘はつきたくないというだけです。


 まず〈第1話〉。
 "間(ま)"が完璧だったんですよね。鷺月子が、パソコンに向かって仕事をしているときに鳩村が話しかけるシーンがある。ここの話しかけるまでの"間"が完璧で、私はこのシーンで『妄想代理人』に掴まれた。テレビの安っぽい演出ではなく、まさしく映画の演出だった。

 「神は細部に宿る」という言葉がありますけど、その言葉通り細部へのこだわりが実に素晴らしい。

 音楽はあまり流れないけど、自然音や生活音を「これでもか!」と言わんばかりに充実させている。音が物凄く豊かなんです。一気に作品のリアリティも増すし、ランクも上がります。
 
 そして音にこだわりがあるからこそ、音楽の使用に関しても注目することが出来る。鷺月子の心情が揺れ動くときにしか音楽が使われていないんです。音楽を使用するときに意味を持たせることによって、より視聴者は深いところまで入り込むことが出来る。
 ただ流しているだけとでは訳が違う。

 続いて作画。もう「映画かよ」って思いました。調べたら実際映画だったんですけど。一部の原画を『東京ゴッドファーザーズ』から拝借したそうです。だからあんなにも横断歩道を渡る歩行者が豊かに活きている訳だ。
 絵コンテも完璧でしたしね。

 映像によって与える、視聴者の心境の変化。美しい映像を素直に美しいと思ったり、怖い映像を怖いと思ったり、不快なものを不快に感じたり。そういった部分がしっかりと効果的に描けていたことに感動した。
 最近ないから、ストーリーではあっても映像ではなかなかないから。

 キャラクターも良かった。少ない描写で、キャラクターの個性や性格を見事に表現している。鷺月子も猪狩も馬庭も川津も。
 心の声の使用は控えてるし、脚本、ストーリー共にあっぱれ。もちろん、キャスティングと演技指導も。

 
 ここまで完成度の高い"第1話"を初めて見たし、全てが完璧だったと思います。
 と、ここまでが第1話の感想です。長くなります。
 以下はカスタムタグを用いていますが、特にネタバレはしてませんのでご安心を。ぐちゃぐちゃっとなってしまうので、すっきりさせたかっただけです。


 〈第2話~第4話〉{netabare}
 全話好き。作品全体としてデヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ』の影響を受けている印象を感じるけど {netabare}、第3話は特にそれが顕著でした。{/netabare}
 是非『ファイト・クラブ』を見てください。順番はどちらが先でも良いので、見てください。ちなみに今敏監督作は必ず見るように。
 4話のあのシーンはカメラワークがイカしてて最高。
{/netabare}

 〈第5話〉〈第10話〉{netabare}
 〈第5話〉はそんなに好きじゃない。脚本も水上清資が書いておらず、吉野智美が担当されてます。 あと特徴的なのは〈第10話〉ですが、この回も吉野智美です。後は全話水上清資が書いてます。
 ついでなので、ここで〈第10話〉について書きますが、マロミに解説させるという、「それはどうなの?」と言いたくなる演出をしてますが、そこは置いておき、結構このエピソードは好きです。
 少年バットを、アニメ制作現場という混沌の中に、かなり喜劇的に取り入れていた。


 そしてもう一つ言いたいのが、『SHIROBAKO』です。
 ずっと前から思ってたことですけど、『SHIROBAKO』は褒めるべき作品じゃなかった。
 「なんて非効率で、過負荷な労働でアニメを作ってるんだ、馬鹿じゃないか!」という意見の方が目立つべきだった。悪く言えば叩かれるべきだった。業界全体のためにも。

 友人にアニメーターの方がいるので、制作現場の話を聞きますが、本当に悲惨なものです。第10話の主人公の猿田と『SHIROBAKO』の宮森は制作進行という同じ仕事ですけど、この人たちは本当に休みがないです。
 原画を取りに行くということが私にはムダにしか思えない。問題は多くあります。会社がアニメーターの生活を保障せず、フリーで活動されることが多い事であったりと。
 『SHIROBAKO』はそれをカーチェイスで見せてましたからね、もう、ほんとに、、、。
 分業が出来たらいいなと思います。人が足りないけど。
 
 TRIGGERの桝本和也著の『アニメを仕事に!』という制作進行について書かれた本があるので、是非読んでみてください。1時間~2時間ぐらいで読めます。「おかしくね?」って思うことを当然のように書いてます。
 この本の頭に「キツイ!しんどい!でもムチャクチャおもしろい!!」と書いてありますが、このキツイ、しんどいを無くして、余裕を持たせることも大切だろと思います。
 TRIGGERは制作現場の様子をYOUTUBEなどで上げてますので、そちらも。


 話しが逸れましたけど、このエピソードが好きなのは全然、現実視点の方ではないので、前に書いた少年バットと制作現場の混沌と喜劇の方ですので。{/netabare}

 〈第6話〉~〈第9話〉。{netabare}
 〈第7話〉はあまり印象にないです。ただ一番何回も見て、咀嚼するエピソードだとも思います。たぶん1,2を争うレベルで作品全体として重要かなと。だけど、特には書きません。

 この第6、8、9話ですけど、第1話~第4話のような形に返ったかのような話で、好きです。
 正直言うと、こういった面白くも奇妙でクセのある話しを、1話完結でずっとやって行った方が私としては楽しめたと思う。
 "結末"や"答え"よりも、"過程"を楽しむタイプなので。{/netabare}

 〈第11話〉~〈第13話〉は特に触れません。


 あと平沢進の音楽は最高です。

 
 最終評価は 8 / 10点です。


 観終わったすぐは7点にしようかと思ってました。最初に書いた"霞む"と言った部分が原因です。
 でも思い返してみると、「めちゃくちゃ面白かったな」という思いが、どんどん強くなっていった。
 視聴中の1週間~2週間ぐらい、ずっと頭の中が『妄想代理人』で埋め尽くされてました。『妄想代理人』の事以外を考えられないぐらいにいっぱいでした。なかなかアニメでは味わえない体験です。

 「神は細部に宿る」ですけど、ジョージ・R・R・マーティンは「細部多ければ、悪魔もまた多し」と言っています。面白い。
 
 最近とても良いアニメを観れているので近い内にオールタイムベストを作るかも。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

現実逃避する前に、自分と素直に向き合おう。

本作は、惜しまれながら早逝された今敏監督(映画『パプリカ』、『千年女優』など)による全13話のテレビアニメ作品。

本作のストーリーは、作中で大人気となっているゆるキャラ「マロミ」のキャラクターデザイナーである月子が、会社からの帰宅途中に、通り魔と遭遇する。もっとも、目撃者もおらず月子の証言も曖昧であったため、マロミに続くキャラクターのアイデアに煮詰まって現実から逃げたかった月子の狂言と思われた。しかし、同様の手口の事件が相次いで起こり、いつしか犯人は「少年バット」といわれるように…

これらの事件の被害者の共通点は(以下、核心に至らない程度でネタバレ有り)、{netabare} 月子と同様に生きるのが辛くなるような悩みを抱え、現実逃避したいという願望(=妄想)があったこと。それゆえ、被害者は、少年バットに金属バットで殴られ入院するような重傷を負いながら、辛い日常から逃避できた(「妄想」が少年バットという「代理人」によって現実となった)ため、一様に安堵の表情を浮かべるというちょっとおかしな状況になっている(おそらく、「少年バット」では伝わりにくいので、「妄想代理人」というタイトルになったと思われる。)。 {/netabare}

本作は(諸説ありそうだが…)、「少年バット」の正体を突きとめるミステリー(謎解き)もので、それだけで最後まで物語を引っ張るだけの魅力がある。もっとも、本作も、他の今敏監督作品と同様に、ストーリーの進行とともに妄想が現実を次第に侵食していく不思議な世界観とともに、単なる謎解きではなく、その過程で、どう悩みと向き合うべきかといった人生論や社会問題みたいなものを含んでいる。

本作は、悩み事を抱え、その悩みを解消するのがしんどくて、現実逃避したいと思っているあなたに、そこから救われるための糸口を与えてくれるかもしれない作品となっていると思う。

(正直なところ、入口は一般受けしやすい身近な話題で、ユーモアもあって深刻になりすぎていないものの、現実と妄想が混在していく点がわかりにくく、フィギュア化できそうなキャラデザでもないので(あえていうなら「マロミ」くらい?)、いい意味で、よくこれテレビアニメ化したなあというのが率直な感想。もっとも、全体が醸し出す唯一無二の独自性という点でクリエイターの評価が高いのも頷ける。)


【以下、ネタバレありの感想】
本作のアイデアに一番近いのは、「トイレの花子さん」といった都市伝説や怪談話の類だと思われます(入口が一般受けしやすいと感じた理由の一つ)。

どういうことかというと(以下、核心に至らない程度でネタバレ有り)、{netabare} はじめは他愛もない嘘だったものが、それを信じる者が現れ、ネットや団地のおばちゃんたちの噂など、多くの人の口の端に上るうちに伝言ゲームのように尾ひれが付いて、「怪物」になる。

そして、本作は、「現実と妄想」を混在させることで、いるはずのない「怪物」が社会に広がり、あたかも実在するかのごとく影響を及ぼしているということを表現しているのでしょう。

これが適切な例とはいえないかもしれませんが、日本の年金制度は、多くの国民が国がやっているので破綻することがないと思っている。しかし、自分が支払った年金を後からもらうというのは建前で、現役世代が受給世代を支えているのが実態なので、少子高齢化が進行している以上、このままだと、どこかで破綻する。
国がやっているので破綻しないというのは、実は根拠がない妄想の類なのに、(薄々気づいてはいるものの)国民はこれを信じて年金を支払い続けるという行為に影響を与えている。{/netabare}


本作のテーマは、おそらく11話の美佐江の少年バットに対するセリフ。
{netabare} 「あなたは現実から逃れようとする人たちを見境なく襲っているそうですね。
それでその人たちを楽にしてあげているとでも。
救済のつもりだと言いたいのですか。
人間はアナタが考えているほど弱くも浅ましくもないということを話してあげます。

どんなに辛くてもその現実に立ち向かうことが出来るのです。
アナタにはそれが分からない。人間でないアナタには。
ただ苦しんでいる人を傷つけ、殺め、それで楽してあげたつもりでいる。
小賢しい。あなたはそんなことで悦に入るのがせいぜいなのでしょう。
アナタは存在そのものがまやかしなのです。
そう。その場限りの安らぎで人を惑わすこのマロミとやらと同じなのです。」

本作では、いるはずのない怪物である「少年バット」は、人々が辛い現実から逃避したいという妄想を実現する代理人として実在する。
そして、本作の月子の場合は、新キャラクターのアイデアを生み出すために必要な才能という現実に立ち向かわなければならなかったのに、「少年バット」が実在することで、より現実逃避しやすくなった。
しかし、現実逃避は、悩みを根本から解決するものではありません。

そうすると、本作は、美佐江の台詞にある「どんなに辛くてもその現実に立ち向かうことが出来る」なんかを見ると、悩みを解消するために現実から目を背けず正面突破しろ!(頑張って勉強してアイデアを出せるようになれ!)といっているようにも思えます(もちろん、これも解決策の一つ。)。

しかし、本作は、現実に立ち向かうために、まず、悩みの原因となっている「現実を直視せよ」と言っているように思うのです。そのうえで、正面突破するのか回避するのか。

例えば、月子は、「マロミ」級の新キャラのアイデアが出ずに悩んでいますが、おそらく彼女にそれを正面突破するだけの才能はない。なぜなら、「マロミ」のアイデアは、かつて飼っていた犬の「マロミ」の実体験に由来しており、他に同様の経験が彼女にない以上、同じ着想で新キャラクターを生み出すことはできないからです。
おそらく彼女自身も、それに薄々気づいてはいるものの、周囲の期待もあって、それを認めたくないという葛藤から、現実逃避したいという願望を強く抱くに至っている。

しかし、本作のラストで、月子は、自らの才能に率直に向き合い、その限界を認めたので、キャラクターデザイナーを辞めて普通のOLに転職した、つまり、正面突破せずに回避したのでしょう。
転職した彼女の顔は、髪を短くし晴れ晴れとしたものでした。


他にも、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)のはるみも、マリアという別の人格を認めたくないという葛藤から、現実逃避したいという願望を抱いていました。しかし、この障害に対する治療法は確立していないようですが、各人格を統合できない場合は、各人格を否定するのではなく、その存在を率直に認めたうえで各人格間で協調するよう人格を調整していくことが必要なようです。この場合も人格を統合して一つにすること(正面突破)だけが解決策ではありません。


本作のように、悩みの原因を正面突破しようとして、そのハードルのあまりの高さに尻込みして現実逃避を選択する前に、自分と素直に向き合うことが糸口になるかもしれませんね。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

78.3 4 不気味アニメランキング4位
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (743)
3611人が棚に入れました
エジプトでの宿敵DIOとの死闘から11年後。
1999年、空条承太郎は祖父ジョセフ・ジョースターの隠し子、東方仗助に会うため、
日本のM県S市、杜王町にやってきた。
しかし発見した仗助は承太郎と同じ特殊能力、「スタンド」を持っていた。
そして、承太郎の来訪を皮切りにまるで引かれ合うように、新たな「スタンド使い」達が動き始める。
「この町には何かがある…」
生まれ育った杜王町を守るため、仗助は立ちあがる――

声優・キャラクター
小野友樹、梶裕貴、高木渉、櫻井孝宏、小野大輔
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

グレートでスよ こいつは!

真紅のロマンホラー、長編漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第4部のアニメ化作品。

絵柄の緻密さというか、画風がこれまでのシリーズと比べて変わりましたが、これは原作準拠だと言えると思います。漫画原作を読んだ事のある私も、3部ラストあたりから4部オープニングにかけての画風の変化に少なからぬ違和感を感じた覚えが有ります。肉体の表現がより流線型を帯び、硬さが減りしなやかになった様な感じです。背景の描き方も前シリーズまでに良く見られたゴチャゴチャした(私は結構気に入っていた)暗い感じが少なくなりさっぱりとした印象があります。

上記も踏まえ、テレビ版ジョジョシリーズ全てを通して言える事ですが、これよりも完成度の高いアニメ化は望めなかったのではないかと思われる程に、この作品も素晴らしい出来栄えのアニメになっていたのではないでしょうか? ファントムブラッドのアニメ化を契機にジョジョ人気がさらに高まり、一躍メジャーなアニメ(漫画)タイトルになったのも頷けます。

ファンタジーでありながらリアルな設定を詰め込んだ、本当の様な嘘の話。独特の台詞回しやジョジョ立ちと呼び習わされているキャラの美しい?ポーズなどに魅了されたファンは古くからいたはず。でもそんな誰もが「忠実なアニメ化は困難では?」とする※風潮が有る中で、まさかのテレビアニメ化の下りとなりました。疑念は見事に裏切られました。

主題歌はシリーズ毎にかなり異なる色合いを忠実に再現している雰囲気ですし、エンディングテーマについても、最初私は製作スタッフが洋楽好きの荒木先生の趣向を汲んで選曲されたものかと思ってましたが、なんと荒木先生御自身が選ばれているそうで、作中世界観との親和性がばっちりで流石でした。

それまでのシリーズに登場したキャラクターを原作者の荒木先生は神話の中の人物みたいなものと評価している様ですが、この4部では一変して私達の身近にいそうな人たち、未完成、未成熟なキャラクターが多く登場します。主人公の仗助を始め、康一くんや億泰の様な親近感の湧いてくる様なキャラがその代表格です。一方でスタンド使いとしても、人格者としても、既に完成された趣きのある前シリーズの主人公承太郎をメインキャラの一人として登場させる事により、承太郎を通して彼等の未熟さに対して寛容さが持てる構図になっている点も巧みです。未熟なキャラ達の失敗を温かい目で見守る事が出来、彼等の成長に期待せずにはいられない気持ちにもさせられます。

3部に続き、個人的に好きなエピソード満載の4部なので、展開は熟知しているつもりですが毎週楽しみです。


以下は各話の感想。

8、9話 山岸由花子は恋をする
{netabare}
山岸由花子さんのエピソードはスティーヴン・キングのミザリーを思わせ、ジョジョ絵も相まってホラーっぽくも見えますが、康一くんと由花子さんを脳内で萌えキャラに変換して見てみると、ラブコメとかのギャグ描写に見えなくもないのが不思議。子供時代はそんな事考えた事もありませんでしたが‥。英単語カードのフレークとかアスパラの英語辞書巻きとかは昔でも大笑いしてた記憶があります。
{/netabare}
10話 イタリア料理を食べに行こう
{netabare}
トニオさんの回。やっぱりこのエピソードも億泰の反応とかトニオさんの薬用石鹸とかに笑かされました。ネタ知ってるのに‥。アニメ版では億泰の声(高木渉さんの声)も相まって漫画版以上に面白かったです。個人的に主人公トリオ(仗助、康一、億泰)の声はかなり良いキャスティングだと思ってます。

作中に登場したモッツァレッラチーズとトマトのサラダ(カプレーゼ)は手軽に作れる上にたまらなく美味しいです。少し大味になりますが、さっぱりとしたモッツァレッラチーズが無い場合、フライパンで炒って少し油を抜いた、半量以下の他のチーズを使っても美味かと‥。
{/netabare}
13話 やばいものを拾ったっス!
{netabare}
ストレスを受けると透明になってしまう赤ちゃん登場。こんな赤ちゃんがいたら大変だ! 奇妙な赤ちゃん相手に右往左往する凸凹コンビ、仗助&ジョセフの奔走振りにまたまた笑かさせて頂きました。

ギャグ色調の強い回である一方で、10年振りの発動? 「ハーミットパープル!」には痺れました。そして、命を賭した最終場面。やっぱりジョセフはジョセフでした。さすが人類を救った英雄、やる事が違います。そして続く台詞「かっこつけたかったんじゃよ、お前の前で」‥‥グレートですよ。このお人は‥。

見終わって。下らぬ事をいつも考えてしまうブリキ男は透明になるって何かの暗喩なのではと思ってしまいました。ストレス過多で怒っている人の思考って良く分からない。泣いてばかりの赤ちゃんも、どうして欲しいのか分かりづらい。そんな人たちのストレスが、いつまでも解消されないで、ずっとそのままだったら、スタンド使いじゃなくっても本当に透明な存在になってしまうんじゃないかなぁと思ってしまうのでした。

笑える所もあり、考えさせられる所もあり、心温まるエピソードでした。
{/netabare}
16話 「狩り(ハンティング)」に行こう!
{netabare}
今回の目的はハンティング。最強のスタンド使いである承太郎とそれに順ずる実力者、仗助を相手に回し、終始圧倒的優位な立場を維持し続けた"虫食い"の知恵と狡猾さは、原作連載時より私にとって脅威の的でした。

作中にも引用がありますが、「シートン動物記」は全人類が読んでも良いと思える程の良書です。人間を食ったかの様な狡知を働かす本編の"虫食い"に勝るとも劣らぬ驚異を垣間見る事が出来る事でしょう。野生動物の知恵と胆力、運動能力というものはまっこと優れたものです。白土三平先生の漫画も合わせてお読みになるとよろしいかと‥。

恐ろしくなる描写も多々有りましたが、ファンタジーを交えた知力と策略の絡み合い。良い回でした。
{/netabare}
18、19話 「重ちー」の収穫(ハーヴェスト)
{netabare}
重ちー登場のお話。小学生の頃とか、私も道端とかにビニールテープでくくって捨ててある小説とか漫画とか拾って古本屋に売って小遣い稼ぎしてました。雨ざらしになっていたり、燃えるゴミとして捨ててあったりする事もあって、色々と拾いました。自覚も無しに現在のリサイクル業やっている人と似たような事やっていたんですねぇ‥。拾ったもの大半は読んだ後売却して、手に入れたお金でプラモとか古本とか駄菓子につぎ込んで後には何も残りませんでしたが‥。当時の友達とかとも戦利品について自慢しあったり‥。まぁまぁ愉快な思い出です。

ハーヴェスト使える人はそういうの探すのも一興かと‥。冗談です(笑)
{/netabare}
20話 山岸由花子はシンデレラに憧れる
{netabare}
由花子さんと康一くん、そしてシンデレラに登場する魔法使いに憧れるエステティシャンの人、辻彩が登場するお話。

漫画読んだ時は子供だったので、恋愛なんてヨクワカラナクテ印象の薄いお話でしたが、今の目で見るとそれなりに理解。でも由花子さん、ちょっと反応がストレート過ぎやしないかい‥? 「私を見て‥」とか真顔で言える女性がいたら結構スゴい。ちょっと尊敬してしまうかも‥。

エステについては男なので、大人なのに全くワカラナイです。まぁ表層だけで人を好きになっちゃいけない事はよ~く分かります。見てくれがカッコいいからカワイイからと付き合い始めたり、極端なケースでは結婚してしまったりしたら十中八九後悔します。少年少女でも、大人の男女でも、相手の内面を見据えた上で一歩を踏み出す事が肝要と思われます。

康一くんはナイスガイなので、そういう所をちゃんと見ています。作中冒頭でも康一くんは由花子さんが浮かない表情をしていたのに気付いていましたし(この時点で両思いなんじゃ‥)、由花子さんが顔を失った時も、すぐに見抜いてしまいました。

そのままにしていても二人は仲良くなれたかも知れません。もしかしたら魔法使いなんかいらなかったのではとも思えましたが、それでも雨降って地が固まるとでも申しましょうか、由花子さんが顔を見られたくないのなら、自分の目を傷付けて見えなくしてしまっても良いとする康一くんの決意を聞いて、由花子さんは康一くんの内面をより深く知る事が出来たのではないでしょうか?

最後にはお互いの心を確かめ合えた様でヨカッタ、ヨカッタ‥。

めでたしめでたし。
{/netabare}
21話 吉良吉影は静かに暮らしたい その1
{netabare}
吉良吉影の一端の見える回。

重ちーのサンドイッチの入った紙袋と吉良の女性の手が入った紙袋が入れ替わってしまう。これもスタンド使い同士が引かれ合う必然? 重ちーに持ち去られた袋を取り戻そうと、学校に潜入し体育倉庫の跳び箱の中に隠れる吉良の姿は妙にシュールでした。ハンガーを使って跳び箱の中から袋を引き寄せようとする様も‥。‥でもこの一触即発の状況、真面目に想像するとかなり怖い。そして、ついに重ちーは見てしまいます。

吉良の肉体の一部を愛でるという行為、好きなものを何らかの形に残して保存しておく(写真とか彫刻とか)という考えは解るのですが、対象の一部(しかもヒトの生身)を所持して愉悦に浸るという感性は未だ私には理解出来ていません。(出来たらヤバイかも‥)手の形状を美しいと感じるのか、生体としての面は排除している様で、血や腐臭を吉良は気にしている様です。憶測の域を出ませんが、手に人格の様なものを与えて優しく話しかける吉良の姿は、人形遊びをしている女の子を思わせました。吉良は"手"に自分の分身を探しているのでしょうか?

吉良という人物が荒木先生による全くの創作物だとしたら、それはそれとして受け止められそうですが、妙に生々しく、リアリティがあるので、いつも理解に苦められる人物です。合理的思考の持ち主に見えて、先の※ネクロフィリア的な印象に加え、自分の爪の伸び率で運勢を測るなど占いじみた事もするので、全くを持って整合性の見出せない人物なのです。結局の所、いびつ過ぎて不可解な事、そこら辺が吉良の怖さの源かも知れないと思い至りながらも、ちょっとでも理解出来ればなぁと思ってしまうブリキ男なのでした。危険ですね‥深淵もまた等しくわたしを見返すのだから‥。

※:死体嗜好の事。
{/netabare}
22話 吉良吉影は静かに暮らしたい その2
{netabare}
金に意地汚く心変わりの激しい重ちーですが、両親の事を思い、邪悪を憎み、最後の最後まで諦めず、吉良を打倒する一手を打った姿には感動させられました。命を賭した重ちーのこの行動が無ければ、多分誰も吉良に辿り着く事は出来なかったと思います。それでも仮に、スタンド使い同士が引かれ合う不思議な因果によって、いつか吉良との邂逅を果たす者がいたとしても、吉良が"敵のスタンド使いがいる"という認識を既に得ている一方で、仗助達はまだ殺人鬼=スタンド使いという確たる認識を持っていないという図式になるので、情報面の優位性を手に入れた吉良はさらに危険な存在になっていた事でしょう。

それにしても血だらけの重ちーを見て、声を掛けただけで助けようともせず、キモチワルイと言って去っていった女子達、無情過ぎる。道端で亡くなっている子供を見ても平気でその脇を通り過ぎて行く某国の非情な人々を思い出してしまいました。

続く後半パート、重ちーの残した手がかりを"つて"に追跡を開始する承太郎(と多分スピードワゴン財団)。

靴屋の店主の「お客様の名前は全て覚えていますよ‥」は専門家にありがちな虚勢をリアリティのある台詞で表していて面白かったです。でも吉良という苗字を読めないのはあるまじき、もといあり得ない事、少しだけ不自然でした。ここであっさりと吉良の名が靴屋の店主の声になっていれば、後の困難は回避出来たかも知れないのに‥。

でも吉良と対峙した人が承太郎で良かった。殺人鬼との予期せぬ遭遇にも拘らず、冷静さを失わない鋭い観察のおかげで瞬殺を回避出来ました。

お話は刃の上を渡る様な緊張感を含んだまま次回に続きます。
{/netabare}
23、24話 シアーハートアタック
{netabare}
康一くんの高慢から生じた危機、吉良のスタンドの一部"シアーハートアタック"の攻撃から康一くんをかばう為に大怪我をしてしまった承太郎。

大人視点から見ると、後悔を通して急激に精神的成長を遂げていく康一くんがとても頼もしく見えました。仗助の様な一見して分かる強さは持っていないけれど、逆境に挫けない勇気と不屈さを持つジョジョ4部の真の主人公と言えるかも知れません。

子供の頃は康一さえいなければ承太郎がやっつけてくれたのに‥とか単純に疎ましく思っていましたが‥。(おばか)

後悔を乗り越えた康一くんの機転によって、一旦はシアーハートアタックを退けたものの、忘れた頃にやってきた誤算によって状況は一転、戦いの舞台は靴のムカデ屋から路地に移ります。

最後まで吉良に屈しない康一くんの態度、言動、とても立派でした。死を目の前にしてあの様に振舞える人間というのが英雄というものなのでしょう。

そして承太郎! 超人的タフさですね。このお人は‥。承太郎&スタープラチナはやっぱり最強? 満身創痍でありながら、無傷の吉良に対してスピードと"ザ・ワールド"で圧倒、キラークイーンの指先はスタープラチナに触れる事さえ出来ませんでした。スゲェ‥。

正真正銘のバトル回ですが、ジョジョは策略、言葉、心の揺らぎを欠かさず描いているので、ガッツで勝つバトルものとは一線を画した魅力があります。

それにしてもシアーハートアタックの頑丈さは異常でした。スタープラチナのラッシュ何回も食らってるのに本体の吉良は涼しい顔。でも康一くんのアクト3の攻撃で重くなった途端、急に本体に影響が出たのは昔も今もちょっと不自然に感じます。重さというならラッシュでも受けていたはずという理屈から‥。それこそ地面にめり込むほどの‥。

手負いの吉良がシンデレラで別人になる話も子供時代の自分の視点からもかなり強引感じられました。

色々と指摘したくなる所もありますが、今回ばかりは概ね無視。絶望転じて希望となる4部最高のバトル回だと評価したいです。
{/netabare}
25話 アトム・ハート・ファーザー
{netabare}
吉良の実家で手がかりを探す承太郎、仗助、億泰、康一くんの4人。またしても未熟な少年達の心の弱さが事態を悪化させてしまい、承太郎の冷静さに救われるという展開。

流石承太郎としか言いようが無い‥。相手の迂闊な言動を聴き逃さず、吉良の父親"吉廣(よしひろ)"のスタンドの弱点を即座に分析、ポラロイドカメラのシャッターを切るだけの動作で戦闘を終了させてしまいました。

スタープラチナが強いのはオマケみたいなもので(とてつもなく豪華なオマケですが)、こういった知性の閃きが承太郎の最大の魅力であると私は感じます。

3部の高校生時代から決して人のミスを責める様な事をしなかった承太郎ですが、4部でもそのスタイルは変わらず、むしろより洗練されており、無言の中に秘める彼なりの優しさ、時は不可逆という事をよくよく理解している大人としての冷静さを示す事で、少年達の導き手としての役割を完璧に演じ切っています。"神話の中の人"という荒木先生の評価にも納得‥。

後半は川尻浩作に成り代わった吉良のお話。外見が同じでも、もし身近な人の中身が入れ替わったとしたら、かなり早い段階で別人と気付けそうなものですが、妻のしのぶにはまだ正体が分かりません。(中身が別人なんて突拍子も無い事なので仕様が無い気もしますが)夫婦であるにも拘らず、それ程までに浩作としのぶは互いに無関心だったという事なのでしょうか‥そんな印象を受けました。

これについては子供の頃は全然深く考えませんでしたが、大人になると人の内面を読み取るのが少しは上手くなるので、そんな風に思った次第。
{/netabare}
26話 ジャンケン小僧がやって来る!
{netabare}
"ジャンケン小僧"大柳賢君のお話。

ジャンケンは運の要素が非常に強いゲームですが、人の表情を読み取るゲームでもあります。そんな所はポーカーとちょっと似ています。次の手がグーなのかチョキなのかパーなのか、人の表情から読み取るのは非常に困難で、それぞれの手に対する各人のイメージ、それに付随する表情の表れ方を結び付けなければ、手を読み取る事は不可能と言っても言い過ぎでは無いでしょう。

賢君は露伴先生の表情と手をたった2回の勝負の中で結び付けていたのかも知れません。確かに赤ちゃんとか子供は直感に優れます。動物とかも‥。こういう事は大人よりも柔軟な思考を持つ子供の方が圧倒的に上手く、延いては脳梁が太くコミュニケーション能力が優れているとされる女性、特に女の子の方が人の表情を読み取る能力に長けていて、ジャンケンが強い傾向にあると言えるのかも知れません。

冷静さを失うと人の感情は表情に表れるもの、それを読み取る術に長けた者がジャンケン名人となれるのでしょう。露伴先生が2連敗(本当は3連敗)したのも焦燥から生じた表情を賢君に読まれていたのが原因であるという可能性も十分にあり得ます。結局は大人の狡猾さで辛くも勝利を収めた露伴先生でしたが、もし相手がジャンケン少女だったら惨敗してたかも知れませんね(笑)

最後に運勢という言葉について、私はこの言葉に否定的な意見を持っていて、ガラスのシャワーとか風で張り付いた写真の為に車が避けて通る現象とかは昔も今も信じられません。ガラスも風も無機物で、知性や意志が無いので、人ごときの運勢にその運動が左右されるとは思えないのです。(超能力者とかフォースの使い手とかなら別ですが)

見所もありますが疑問も残るお話、今回も理屈が抜けている事には評価を与えられない唐変木なブリキ男のレビューでした。運勢について道理の通る説明が出来る人がいたら無知な私に教えて欲しい。
{/netabare}
27話 ぼくは宇宙人
{netabare}
ミキタカ登場回。登場シーンのあの起き上がり方、漫画版みたいに正面に近いアングルの方が不気味さがあってびっくりさせられたかも知れません。その後の展開は子供時代の私も仗助と億泰とほぼ同じ反応で笑い転げていた記憶があります。胃腸薬についてはトニオさんの薬用石鹸を越えるインパクトがありました(笑)

後半はチンチロリン。高校生って3万も持ってないと夏休み乗り切れないんだろうか? とか子供の頃思ってましたが、自分が高校生になってもまるで使わず‥。ブランド物に興味を示すミーハーな所とか、妙に金に執着のある所とか、仗助って意外と主人公らしくないキャラなのかも知れません。どちらかと言うと脇役タイプ?

私はゲーム好きなので3部のダービー回のグラスにコインを入れていくゲームとか、今回のチンチロリンとか、当時の友人達と大抵はおもちゃのチップとかで、まれに10円をチップ代わりにして真似してやっていました。まぁ、10円賭けでも100円以上の金額が動く事もありますので、強く希望する輩がいないとやりませんでしたが‥。まぁ、その経験から、賭け事は自分が負けても相手を負かしても後で気分が悪くなるものなのでやらぬ方が良いと子供時代に学ばせて頂いた次第。荒木先生に感謝ですね(笑)
{/netabare}
28話 ハイウェイ・スター その1
{netabare}
前半はチンチロリンの続き、後半は新手のスタンド使いのお話。

チンチロリンの結末については連載時にも拍子抜けで残念だった(悪態をついていた)のを覚えています。露伴先生がイカサマを見破る展開を期待していたのですが、最後は露伴先生が仗助に一方的にプレッシャーをかけるだけ‥。下らない横槍で物語終了。見も蓋も無い話でした。偶然を装った必然には心踊らされるものがありますが、作為的に組み立てられた必然にはリアリティがなく、夢中になる事が出来ないものです。イカサマの種が見えている上でのギャンブル描写というのも、やはり面白さに欠ける要因です。3部のダービー兄弟のお話もイカサマを含みますが、あちらは最終局面で種が明かされる点で大きく異なります。

後半について、矢によってスタンド使いが生まれるのは設定上の必然だとしても、結果生まれるスタンド使い達が吉良の父親が望む様に、吉影を追跡する者達に敵対するというのも、上記の様な作為的な必然に当たります。杜王町の多くの人達が吉良吉影という犯罪者を憎むならば、吉良の敵を増やす確率の方が高そうな気がするからです。

こういった次から次へと物語の本筋と脈絡無く敵が登場する、バトルもの特有の流れはちょっと残念ですね。
{/netabare}
29話 ハイウェイ・スター その2
{netabare}
仗助、「問題ない」連発してましたね(汗)子供の頃は漫画の所為か(こんなに言ってたっけ)あまり気にならなかったのですが、今の目で見ると台詞回しの工夫の無さとか違和感とかが目立ちます。あと仗助、通行人から掠め取った携帯電話、ちゃんと返すのかな‥? せめて二つも取らないで、一つ目をクレイジーダイヤモンドで直せば良いのに‥(汗)

他に疑問だったのは前回に出てたトンネル内の部屋、あれは一体何だったのか? 原作コミックが既に手元に無いので確認出来ないのが残念ですが、多分子供時代から今まで私は未だに理解出来ていません。ハイウェイスターの能力の一部として想像で補完するしかなさそうです。(対象が興味を示す光景を見せるとか)

吉良の親父様の口調もギャグっぽさが増してきてやだなぁ‥
{/netabare}
30話 猫は吉良吉影が好き
{netabare}
川尻家の話。ねこは可愛いし、草は美しいけど、猫草は気味が悪いですね。よくよく考えてみると4部ってミキタカとか猫草とかスタンドとは無関係に奇妙な生命体がいます。ファンタジーとは言えルールが不明瞭になると、世界観が曖昧になってしまう印象‥。

自分の父親が別人だったらという想像、父親があまり家にいなかった所為か、あるいは洋画の「ボディスナッチャー」とか「スペースインベーダー」とか、小学生時分に見た事があった所為か、私も抱いた事があります。悪夢が現実に取って代わる様な恐ろしさ、早人君の気持ちが何とな~く分かってしまいました。

最近酷評気味のレビューばかり書いていますが、ジョジョ原作読んでいた時もシアーハートアタックの回をピークに、以降あまり楽しんでいなかった様な‥(汗)
{/netabare}
31~34話 7月15日(木)1~4
{netabare}
今回から、原作では別々に描かれていた「鉄塔に住もう」「エニグマの少年」「チープトリック」のエピソードが同時進行するという構成。

「鉄塔に住もう」
最近レビュー内で度々引用させて頂いている「宇宙船とカヌー」という本がありますが、今回のお話に登場する鋼田一豊大(かねだいちとよひろ)は上記の本に登場する※ジョージ・ダイソンがモデルなのでは? とか思いました。でも鋼田一の場合、樹上じゃなくて鉄塔。小屋も建てずに生活している所に異常さが際立っています。吹きっさらしでは、もし雨とか雪とか降ったら危険かも知れません‥。杜王町のモデルって仙台市らしいので‥。

エネルギー保存の法則については、鉄塔がしっかりひしゃげているし、熱も加わっているはずだから、余剰のパワーにびっくり! という風にも見えますが、ファンタジーなのでそういうものだと見流すのが大人というもの‥でもクレイジー・ダイヤモンドのエネルギーを元あった場所に戻すって、能力の解釈が飛躍し過ぎてやしないかいとか思ったり‥細かい事はうっちゃって見るのが正解なのでしょう(笑)


1話完結のお話を、そのまま1話ずつ描くと冗長な印象になってしまうのでタイトルを「7月15日(木)」として、原作を再構成したのは英断であったと思います。展開のスピード感が増して最終回へと繋ぐ架け橋になるのではないでしょうか?

※:16歳で家を出て、19歳で樹上に家を建てたジョージはそこで生活していたそうです。ロープ以外の材料は全て拾い物から調達したという逞しさ。地上約30メートルの高さまで、梯子と枝を使ってスルスルと巧みに登り、降りる時はロープを使い、樹液で手を汚さずに、野生動物の様に昇り降り出来たそうです‥。さすがにお金は必要で、バイトや手伝いをしていて、自給自足までは達成出来ていなかった様ですが(笑)

「エニグマの少年」
宮本輝之輔、落ち着きのある言動と心の弱みに付け込む能力、小林玉美とか、3部のダービー兄弟を髣髴させる能力です。

原作でもそうだったと思いますが、突如敵として表れ、吉良吉廣に協力する動機が不明瞭だった様に思えます。それに杜王グランドホテルに行く過程にしても、承太郎の人柄とか能力とか聞かされていたら、ちょっと臆病気味のこの人の性格からして、勝ち目が薄いと悟って戦うのを嫌煙したはず‥。あるいは割と自信過剰な人なので勝てると思っていたとか‥? 吉廣に騙されていたのかも知れません(汗)

結局のところエニグマの少年、余計な事言っちゃって墓穴を掘る所とか、小者らしいキャラでした。ジョジョのキャラは戦いに負けると何故かゲームキャラの様にへぼくなってしまいます(性格とか身長とかが変わったり‥)。これがゲームバランスと言うものなのか(笑)

「チープトリック」
露伴先生、小難しい事しないでブリッジしてスパイダーウォークで横断歩道渡ったら面白かったのに‥(笑)

3部の時点では幽波紋と書いてスタンドと読んでいたので、スタンドに抱くイメージは「うしろの百太郎」みたいな守護霊のイメージでしたが、今回のお話で、スタンドと幽霊の明確な区別が付いた気がします。

個人の持つ力のイメージ、精神エネルギーとも表現されていたスタンドですが、それが「スタンドの魂」とどう違うのか、細かいニュアンスがよく分かりません。似たものだと思えるけれど、その様なルールに‥。多分後付設定だから仕方ないのだと思いますが‥。

後半は吉良のお話。早人君に正体がばれてしまいます。お風呂のシーンは恐過ぎました‥。でもこういう場面を見るとシアーハートアタックの回に吉良と康一君が対峙した時の場面を思い出し、吉良が1部や2部で登場したディオやカーズの様な超越的な存在とは一線を画し、人間的な弱さを多分に持った小者である事が明確になります。4部では主人公勢にもその様な弱さがありますが、絵柄が一新された事もさる事ながら、それで、それ以前のシリーズとは作風が変わった印象を受ける気がします。

かと言って3部から続投のキャラ、ジョセフ(ちょっとぼけてるけど)、承太郎などは依然として英雄然とした人物として描かれていますので、年若い主人公達と彼らの対比が面白いシリーズでもあります。

次回から物語はクライマックスへと進んでいきます。
{/netabare}
35・36話 アナザーワン バイツァ・ダスト 1、2
{netabare}
もし自分が小学生で、早人君と同じ立場だったら?と考えると怖さ倍増なお話です。

子供の頃、ホラー映画見た後とか、自分の親がエイリアンとかロボットだったらどうしようとか思って、怯えたまま眠った事ありましたが、過去のそんな体験の所為で、大人になった今でもある程度早人君に近い気持ちになって視聴する事が出来ました(汗)

早人君だったらという立場ですが、私だったら1度や2度バイツァ・ダストの説明を聞いても、俄かには信じられないだろうし、理解出来ないだろうという気がします。あまりにも現実離れした能力なので‥。でも早人君は賢い! わずか4周目で猫草を用いた打開策を思い付いてしまいました。勇気もあるし只者じゃない‥。

ゲームで言う所のリセットボタンに近い能力のバイツァ・ダストを吉良が身に付けたのは、彼が安心を求め続けた故の必然の結果とも取れますが、余りにも強大過ぎる能力なので、漫画を読んでいた当時は興ざめしてしまったのを思い出します。

続く5部以降、もっととんでもない能力が登場しますが、スケールが大き過ぎたり、突拍子が無さ過ぎたり、ジョジョらしい親しみやすさが感じられず、私は段々付いて行けなくなりました(汗)
{/netabare}
37・38話 クレイジー・D(ダイヤモンド)は砕けない1、2
{netabare}
バイツァ・ダストは前回のレビューでリセットボタンみたいな能力としましたが、発動タイミングを任意に選べない事を踏まえると無限にリスタートが出来るゲームという表現の方が近いですね。

1.発動=スタート:バイツァ・ダストを任意の人物に仕掛ける。
2.起爆=ゲームオーバー:追跡者を爆殺、運命が定められスタート直後に戻る。
3.解除=セーブ:既に起こった事実が確定して定められた運命は消える。

バイツァ・ダストの不明な点はスタート地点がどこに設定されているのか明確で無い事です。2回目以降の発動では7月16日の朝がスタート地点ですが、1回目の発動はいつ? 7月15日の夜、早人君が死んだ後に発現した能力なので、発動以前の過去にも戻れなければなりません。起爆方法も以後の方法とは異なります。

そうすると"発動=スタート"という解釈は間違っている様にも思えますが、37話冒頭で吉良は早人君に「お前をこれ以上この朝に戻らせるのは危ない事だ‥」と言ってバイツァ・ダストの解除を予告するシーンもあります。これはスタート地点を危難を乗り越えた後に定める事を示しているのだと思われます。以上を踏まえるとバイツァ・ダストは‥

1.起爆手段は一通りではない。
2.発動前の過去にも戻る事が出来る。
3.能力の解除、再発動によってスタート地点を任意に定める事が出来る。

という性質がある事が分かります。こんなのいんちきじゃないか(汗)と言いたい所ですが、1と2は吉良自身でコントロール出来ていないみたいなので、作中の様な吉良にとって危ういドラマが生まれるのでしょう。

猫草をキラークイーンの中に取り込むとか、空気弾が"キラークイーンの能力に固定された"という良く分からない理由で割れないとか、クレイジーDで体に刺さった破片を戻して体ごと移動とか、血の誘導弾とか、付け足しルール他、かなり強引なご都合展開が目立ちましたが、自身の傷を治せない仗助が主役(元々主役だけど)という事もあって非常に緊迫感のあるバトル回でもありました。

後半の家屋内にいる仗助の位置を知る吉良の空気弾攻撃の不気味さや、それを可視化するための煙幕作戦、意表をついたトリック、その種明かしのシーンなどは、因果関係を明確にしている、推理物の性質を帯びた心踊るシーンで、正にジョジョの魅力そのものと言えるのでは無いでしょうか?

でも早人君全編に渡って喋り過ぎとか、空気弾遅過ぎとか、億安も喋り過ぎ(笑)とか演出面にも気になる所が多々あって(漫画だとあまり気になりませんでしたが)時間の流れが一定のアニメで原作漫画の台詞がほぼそのまま再現されるというのは、荒木先生リスペクト故なのでしょうが、かなり不自然な光景に見えてしまいました(汗

ループ物の起源とされる物語はあれこれありますが、それよりかは、原作漫画の表紙裏のカバー部分-何巻のものかは失念(汗)-に荒木先生の好きなものベストというのがあって、それの中にテレビゲームのバイオハザードが入っていたのを思い出すブリキ男なのでした。
{/netabare}
39話 さよなら杜王町-黄金の心
{netabare}
吉良との戦いも決着し、杜王町は少しだけ平穏を取り戻しました。

「傷の痛みが深く表れてくるのはこれからなのだろう‥一体この痛みはどうやって癒せば良いのだろう。」康一君のモノローグにあるこの言葉は自分の一部とも言える家族や恋人、近しい友人を失った者にとって、繰り返し心を苛む疑問です。

もし心の欠けた部分を補ってくれるものがあるとしたら、それは同じく"人"か、緩慢な癒ししか与えてくれないけれど"時間"と答える事しか私には出来ません。でもいくら補ってもそれは決して元通りにはならず、つらい記憶は時折古傷が痛み出す様に疼く事があるものです‥。

吉良の行為は他者の平穏を奪い、自らの平穏を得るというもの、吉良のスタンド能力の第二、第三の爆弾はそれを自動的に行なうもの。この様な罪悪感も自覚も無く人殺しを遂行するものを見ると、私は戦争に使用されるミサイルだのリモコン爆撃機だのを思い出します。殺す者の罪の意識が明らかに薄い‥。吉良は天性の異常者なので、別の理由から罪の意識など感じていないのかも知れませんが、先に挙げたスタンドの性質はその様な吉良の冷酷さの象徴であるかの様にも私には思えました。

我々生物は他者の平穏を壊さなければ生きていけませんが、奪ったものの価値を見つめるという義務を怠った時、他者の痛みに鈍感になります。また命を殺める行為は当然の事として、心を傷付ける事も他者の平穏を壊す行為に当たると言う事も忘れてはなりません。

吉良の様な殺人鬼にも、心を苛む悪人にも出来る事なら会いたくないものですが、もしその様な輩と遭遇してしまったら、彼等の平穏を壊し自らの平穏を守り抜く覚悟は必要になるのかも知れません。それは戦いとも言うけれど、勇気とも言うもので、ジョセフ・ジョースターが黄金の精神と呼ぶものなのではないでしょうか?

町を見守る少女の霊は天に消えて、人々はまた元の生活へと戻っていく。

失われた命が戻ってくる事は決して無いけれど、人は支え合って生きていく。未来への希望が感じられる見事な最終回でした。

※:バイツァ・ダストの能力について、発動時に1時間くらい時間が蒔き戻るらしいです。原作熟知していると思っていましたが今回の早人君の台詞聞くまですっかり忘れてました(原作にそういう説明あったっけ?)
{/netabare}

自分がイタリア料理、延いては料理全般に興味を持つきっかけになった、トニオさんの回ほか珠玉のエピソード満載で綴る"ジョジョ"を創出された原作者の荒木飛呂彦先生にこの場を借りて心から感謝の気持ちを述べたいです。


※:自分の周りにいた友人は口を揃えてそんな事言ってましたが、世間的にはどうだったのだろう? 過去にOVA版あり、悪く無い出来だとは思いますが、個人的には原作漫画の雰囲気を再現しているとは言いがたい印象でした。


以下は本作品と殆ど関係無く、イタリア料理についての豆知識。
{netabare}
[豆知識1 にんにくは絶対に焦がしてはならない]
イタリア料理において、またその他の国の料理においても、にんにくを焦がす事は最大の禁忌です。日本では焦がしにんにくとか普通に有りますが、風味も味も台無しになっているので私は好きではありません。この点を厳守するだけで全てのイタリア料理が格段に美味しくなります。最弱の火でじっくりと柔らかくするのがコツです。

[豆知識2 トマトは少なくても実は美味しい]
400g入りのホールトマト缶はイタリアントマト6~7個分位の容量が有ります。トマトソースのパスタ一人前につきトマト1個で十分なので、単純計算すれば一缶で6~7人前作れる事になります。味についてもその方が生トマトで作った時のトマトパスタに近いものになります。それでも一缶全て使い切ってもそれはそれで美味しいので気分によって量の加減をすると良いと思います。

[豆知識3 茹で汁は捨てないで]
パスタをゆでた後の茹で汁は塩分たっぷりうまみたっぷりなので、これでそのまま肉などを煮て胡椒で味を調えれば立派なスープになります。ブイヨンや野菜などを加えてもとても美味しい。お好み焼きの溶き水、煮込みや麻婆豆腐を作る時、パンを捏ねる時、ピラフやパエリヤを炊く時(この場合は出来るだけ上澄みを使いましょう)など何にでも使えます。

[豆知識4 実はゆでられる。短時間で!]
パスタの茹で時間は大体7分以上になりますが、実はその時間を半分以下に短縮出来る裏ワザが有ります。パスタを予め1時間以上水に浸けとくと良いのです。そうしてからそのままそれを火にかけると、パスタの太さ、形状にもよりますが、沸騰してから1~2分くらいで茹で上がります。グニャグニャになるイメージを持たれる知れませんが、しっかりとアルデンテの食感になります。沸騰後1分過ぎたあたりでパスタの食感を確かめましょう。やはり茹で過ぎは良くないです。

{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 53

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ド変態の吉良吉影さん

今作は仙台をモデルにした杜王町が舞台。
しかも、この町の外に出ることは一切ないというジョジョの中ではちょっと変わった作品。
シリーズの中では個人的に一番好き。

ジョセフジョースターの隠し子東方仗助が主人公。過去から続くディオとの因縁はスタンド能力を覚醒させるか死んでしまうかの矢だけ。

最初はレッチリのような色々な敵が襲って来つつ、仲間を増やしていく展開
ラスボス吉良吉影とのバトルが特に後半のメインになっていく。
質問を質問で返すなあは秀逸な名言だと思う。汎用性高い?やっぱり使うところないです。
女性の手だけ手に入れて溺愛する変態ぶり。彼の際立った個性が面白い。
ラストのれろれろも衝撃しかない。森川智之の放つ勃起がたまらんぜよ。勃起、勃起と気合いが入っている。なんでこんなんで静かに生きいけると思ったん??覚悟しといてよね。

前半もそれはそれで面白い。モテモテな康一とメンヘラな由花子などなど。透明なベビーのお世話で金使いすぎ問題とか。イタリア料理も気が抜ける感じで好き。後半の吉良吉影メインで進みつつも時折、色んなスタンド使いを絡ませるの印象的。宇宙人は違うけど。
が、やはり兎に角キャラクターが濃い吉良吉影あってこそだと思う。しげちーもしれっと良い味出してたし。なんで死なせてしまったん?猫もしれっと活用されて笑う。


OP
Crazy Noisy Bizarre Town THE DU
Crazy Noisy Bizarre Town 〜EDM arrange Ver.〜 THE DU
chase batta
Great Days 青木カレン・ハセガワダイスケ
ED
I Want You Savage Garden
Great Days -Units Ver.- JO☆UNITED(富永TOMMY弘明、Coda、橋本仁、城田純、和田泰右、Jeity、ホシノ
Crazy Noisy Bizarre Townの作詞がこだまさおりさんか。EDでもよさげ。chaseは曲名通り仗助たちが杜王町に潜む殺人鬼・吉良吉影を追跡していく映像だけど、あんまし印象にない。Great Daysのほうがとても印象に残っている。歌詞もアニメにぴったり。36話以降は川尻浩作に成りすました吉良の髪型が変更、38話では効果音。36・37話では曲の終盤が使用され、吉良が「バイツァ・ダスト」で時間を巻き戻す能力を反映するかのような逆再生した映像を織り交ぜつつ再編集。なんか面白い演出だった。ロックな感じが好きでドラムのリズムがたまらん。
I Want Youの映像は登場人物たちのいる杜王町を映す。ストーリーの進行具合に合わせ登場キャラクター追加。作者のリクエストなのかな。作品にぴったりの歌詞とは言い難いけど、選曲は良き。


名言
このヘアースタイルがサザエさんみてェーだとォ?(東方仗助)
あばあちゃんのスージーQが結婚45年目にして怒りの頂点てやつだぜ(承太郎)
うちのおふくろ、気が強い女なんだけど…ジョセフ・ジョースターのことまだ愛してるみたいで思い出すと泣くんですよ。承太郎さんの顔、一発で孫だってバレますぜ(仗助)
人間は何かを破壊して生きているといってもいい生物だ。その中でおまえの能力はこの世のどんなことよりもやさしい」(承太郎が仗助に)
おまえは1枚のCDを聞き終わったら、キチッとケースにしまってから次のCDを聞くだろう?誰だってそーする。おれもそーする(形兆)
「なぜオレを助けたのか聞きてえ!!」「深い理由なんかねえよ。“なにも死ぬこたあねー”さっきはそー思っただけだよ」(億泰と仗助)
俺の『クレイジーダイヤモンド』は自分の傷は治せないんだよ。世の中…都合のいい事だらけじゃあねえってことだな」(仗助)
グレートだぜ…億泰!(仗助)
このまま『海を真っ二つに裂いて紅海を渡ったっつうモーゼ』のように…この軍隊を突破して本体のおめーをブッ叩いてやるっスよーっ!(仗助)
『ボヨヨン岬の行き方』…地元の漁師に「ボヨヨン岬」ってどこ?と聞くと、その人が親切なら船で連れてってくれる(作者解説)
お前も飲んでみろ!なんつーか気品に満ちた水っつーか、例えるとアルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味っつーか、スゲーさわやかなんだよ…3日間砂漠をうろついて初めて飲む水っつーかよぉーっ(億泰)
ウンまああ~いっ!こっこれは~っ!この味わあぁ~っ!サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分がからみつくうまさだ!!チーズがトマトを!トマトがチーズを引き立てるッ!“ハーモニー”っつーんですかあ~、“味の調和”っつーんですか~っ!例えるならサイモンとガーファンクルのデュエット!ウッチャンに対するナンチャン!高森朝雄の原作に対するちばてつやの“あしたのジョー”!」
スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う!(仗助)
仗助くん。わし…これから死ぬかも知れんから、その時は…君の母さんに…よろしく伝えといておくれよな…(ジョセフ)
この岸辺露伴が金やちやほやされるためにマンガを描いてると思っていたのかァーッ!!(露伴)
なぜ!30分なの…?どうして『30分』だけなのよォオオ~ッ!!(山岸由花子)
このケツ穴女ッ!顔を元どおりにしてッ!(由花子)
スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃…(仗助)
下痢腹かかえて公衆トイレ捜しているほうがズッと幸せ(康一)
公衆の面前で「赤っ恥のコキッ恥」をかかされたこの気分がおさまらん(吉良が康一に)
おまえはバカ丸出しだッ!あの世でおまえが来るのを楽しみに待っててやるぞッ!(広瀬康一)
(康一の靴下が裏返し)ええい!やはり気になる。ちゃんと履きなおせ…靴も…これで落ちつく(吉良吉影)
こいつらは、クソッたれ仗助に、あほの億泰…それにプッツン由花子だ…(岸辺露伴)
『少年ジャンプ』に描いてる漫画家のくせに子供を殴るなんてひどいヤツだ!(大柳 賢)
もっとも『むずかしい事』は!『自分を乗り越える事』さ!ぼくは自分の『運』をこれから乗り越える!!(岸辺露伴)
おまえは自分の「強運」だけを頼った。ぼくは自分の力で運を変えた…自分を乗り越えるってのはそーいうことなんだぜ(岸辺露伴)
わたしの名は『ヌ・ミキタカゾ・ンシ』といいます。年齢は216歳です(宇宙人)
“手”、治させろッ!コラア!(仗助、露伴に)
だが断る(岸辺露伴)この岸辺露伴が最も好きな事のひとつは 自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやる事だ…
スゲーッ爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ~ッ(仗助)
ギャース!(猫草)
康一かもしれないという可能性が1%でもあるなら…!助けねえわけにはいかねえだろう。ワナだと分かっていてもよ~!(仗助)
噴上裕也、おめえ…なんか、ちょっぴりカッコイイじゃあねーかよ…(仗助)
質問を質問で返すなあーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?わたしが“名前”はと聞いているんだッ!(吉良=川尻)
やった!間に合った!「運命」に勝った!(早人)
激しい「喜び」はいらない…そのかわり深い「絶望」もない…「植物の心」のような人生を…そんな「平穏な生活」こそわたしの目標だったのに…(吉良=川尻)
ぼくが触ればいいんだッ!」(早人)
おめ~のそのブッ飛んでる根性…まじに小学生かよ…小僧~!!(仗助)
億泰とは気が合うんだ…おめーにはわかんねーだろうが、こいつはオレの友達なんだ…(仗助)
やかましい!生きてんならよォ~さっさと目を醒ませ~コラァ~ッ!!(仗助)
フウウウウウウ〜〜〜わたしは…子供のころ レオナルド・ダ・ビンチの「モナリザ」ってありますよね……あの絵…画集で見た時ですね
あの「モナリザ」がヒザのところで組んでいる「手」…あれ……初めて見た時……なんていうか……その…下品なんですが…フフ……勃起……しちゃいましてね………
ぼくも…パパが…帰ってから一緒に食べるよ…
“正義”の輝きの中にあるという『黄金の精神』を…わしは仗助の中に見たよ…(ジョセフ)


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
エジプトでの宿敵DIOとの死闘から11年後。1999年、空条承太郎は祖父ジョセフ・ジョースターの隠し子、東方仗助に会うため、日本のM県S市、杜王町にやってきた。しかし発見した仗助は承太郎と同じ特殊能力、「スタンド」を持っていた。そして、承太郎の来訪を皮切りにまるで引かれ合うように、新たな「スタンド使い」達が動き始める。「この町には何かがある…」生まれ育った杜王町を守るため、仗助は立ちあがる――。


1. 空条承太郎!東方仗助に会う!
1999年、4月―。東方と言う姓の人物探して日本のS市杜王町にやってきた空条承太郎は、駅前で不良に囲まれた一人の少年に遭遇する。亀を傷つける不良に対して、怒りもせず、頭を下げて謝るその少年の姿に不快感を抱く承太郎だったが、次の瞬間、衝撃の言葉を耳にする。その少年の名前は、東方仗助。彼こそ承太郎が探していた人物だった―。

2. 東方仗助!アンジェロに会う
杜王町に潜む凶悪殺人犯、アンジェロのスタンドを目撃した仗助は、その件を承太郎に報告する。何らかの方法で人間の体内に入ってくるタイプのスタンドだと考えた承太郎は、自分が行くまで物を一切口にするな、水場に近づくなと仗助に注意するが、まさにその時、コーヒーを介して仗助の母・朋子の体内にスタンドが侵入してしまう!仗助は慌てることなく、ある行動に出るのだが―。

3. 虹村兄弟 その1
アンジェロのスタンド能力は、謎の弓と矢によって引き出されたものだった。しかも、その弓と矢にはどうやらDIOも関わりがあるらしい―!アンジェロを倒したところでこの町の危機が去ったとは考えられない仗助と承太郎は、弓と矢の行方を追うことを決意する。それから数日後、仗助とともに帰宅をしていた康一は、仗助の家の前の空き家に人影を見かける―。

4. 虹村兄弟 その2
弓と矢で射られ瀕死の重傷を負った康一を助けるため、虹村邸の中へと歩を進める仗助。その彼を天井の闇の中から無数の光が攻撃してきた。仗助は間一髪でかわすも、攻撃を受けた億泰の顔面には無数の穴が!仗助は形兆のスタンドの正体を話せば傷を治してやると億泰に持ちかける。しかし、それでもしゃべろうとしない億泰に対して、仗助は驚きの行動に出る!

5. 虹村兄弟 その3
形兆を打ち破った仗助と康一。これ以上被害者が出ないよう、弓と矢を探して破壊することにした2人は、屋根裏部屋の奥でそれを発見する。だが、薄暗い部屋の奥からは何かをひっかくような音と奇妙な叫び声が!意を決した仗助が部屋の中へ飛び込もうとしたその瞬間、怪物のような手が康一の足をつかみ―。

6. 広瀬康一(エコーズ)
自転車で学校へ向かう途中、康一は袋に入った猫をひいてしまった。あまりの事に慌てふためく康一。そこへ小林玉美という男が現れる。事故にも関わらず、猫を埋葬してやるから金を出せと言い始める玉美。訳が分からずあっけにとられる康一を、猫をひき殺してタダで立ち去るのかと責め立てる。罪悪感にかられた康一の胸に錠前が現れて―!

7. 間田敏和(サーフィス)
玉美からぶどうヶ丘高校の間田敏和が、スタンド使いかもしれないと聞いた仗助と康一は、それが本当か学校内を調べ始める。間田のロッカーの中を調べる仗助だったが、その中には不思議な木製の人形が入っている以外、特に変わったところは見当たらない。しかしその時、人形は見る間に仗助そっくりの姿に変身し、二人に攻撃を仕掛けてきて―!

8. 山岸由花子は恋をする その1
同級生の山岸由花子から好きだと告白された康一。はじめは告白に嬉しさを隠せなかったが、突然キレたり、しおらしくなったりする由花子の姿に引いてしまう…。さらに翌日には、1日で編んだという手編みのセーターや手作り弁当などを用意してきて、康一はそんな彼女の好意に異常さを感じ始める。思い込みの激しい由花子の行動はますますエスカレート。ついにとんでもない行動に出る。

9. 山岸由花子は恋をする その2
どんどんエスカレートしていく監禁生活に耐えきれなくなった康一は脱出を試みる。由花子との会話からどこかに電話があると考えエコーズを使って周囲を捜索、公衆電話を発見した康一は仗助たちに連絡をとろうとするが、その考えは由花子に読まれていた。作戦を見透かされ絶望する康一。余裕の由花子は食材を仕入るため公衆電話へ向かうが、そこで予期せぬ出来事が起こる!

10. イタリア料理を食べに行こう
杜王町に新しくできたイタリア料理店にやってきた仗助と億泰。この店はお客からのオーダーに応えるのではなく、シェフのトニオが客を見て料理を決めるという変わった料理店だった。トニオは億泰を快適な気持ちにするための料理として、まず水を提供すると、一口飲んだ億泰はあまりのうまさに大感動!感動で次々と涙があふれてくるのだが、次第に体が異常な反応を見せ始めて―。

11. レッド・ホット・チリ・ペッパー その1
レッド・ホット・チリ・ペッパーがついに仗助の前に姿を現す。承太郎以上とも思えるパワーを発揮し、電気の通るところであればどこでも移動ができ、そしてそのパワーを持ちながら遠隔操作もできるということに仗助も改めて脅威を感じるのだった。翌日、承太郎に呼び出された仗助たちは、ある人物が杜王町に向かっていると知らされる―。

12. レッド・ホット・チリ・ペッパー その2
ジョセフ・ジョースターの命を狙うレッド・ホット・チリ・ペッパーを倒すべく、仗助たちは港に集まっていた。バッテリーのついたものでジョセフの船へと乗り込むであろうと考えた承太郎は、仗助と康一を港に残し、何かが飛び立ったら本体を探して撃退するよう命じる。ジョセフに対する複雑な気持ちを抱く仗助の前に、勝利を確信したレッド・ホット・チリ・ペッパーの本体が姿を現す!

13. やばいものを拾ったっス!
音石明を捕まえ、弓と矢を無事に回収することができた仗助たち。事件は無事解決し杜王町には平和が戻るが、仗助には大きな問題が―。未だに打ち解けられない父、ジョセフとの関係だ。遠くから母を見るだけという条件で自宅まで連れて行こうとするのだが、耳は遠いわ、勝手に違う方向へ向かうバスに乗ろうとするわと振りまわされてばかり。しかもジョセフは、近くにスタンド使いがいると言いだして―。

14. 漫画家のうちへ遊びに行こう その1
大人気漫画「ピンクダークの少年」の作者、岸辺露伴が杜王町に住んでいると知って自宅にサインをもらいに行く康一と間田。中から出てきた露伴はサインすることを快諾してくれただけでなく、仕事場を見学するよう家の中へと招き入れてくれて康一たちは大興奮!しかしリアリティを追及する露伴の度を超えた行動に、康一は次第に恐怖を覚えはじめ―。

15. 漫画家のうちへ遊びに行こう その2
いつの間にか露伴の自宅前にやってきていた康一がおそるおそる家の中に入ると、そこにはものすごいスピードで漫画を描く露伴の姿があった。昨日、康一の体験を読んだことで創作意欲が掻き立てられ、漫画を描きたくて描きたくてしょうがないというのだ。ヘブンズ・ドアーの能力でまたも康一を本に変えた露伴が、ページを破り取ろうとしたその時、玄関に予期せぬ人物が現れる!

16. 「狩り(ハンティング)」に行こう!
突然、承太郎からハンティングに誘われた仗助。その目的は、音石明によってスタンド能力を身に付けた「ネズミ」を狩りに行くというものだった。仗助たちが、ネズミが射られた用水路にやってくると、そこには煮こごりのような状態で固められた何十匹ものネズミの異様な死体が!自分たちが追っているネズミの仕業と考え排水溝の先へと進むと、それは農家の下水へとつながっていて…。

17. 岸辺露伴の冒険
康一と露伴は奇妙な光景を目にしていた。目の前に、地図にはない謎の小道があるのだ。この道がいったいどこへ続くのか…ふたりが進んでみるとそこは空き家や電気の切れた自動販売機、地図に載っていない曲がり角や道が広がっていた。不思議に思う康一たちだが、そこで更なる異変に気づく。何度やっても3度しか曲がっていないのに最初の場所に戻ってきてしまうのだ。露伴は何者かにスタンド攻撃を受けているのではと考えるのだが―。

18. 「重ちー」の収穫(ハーヴェスト) その1
貯金がなくなり頭を抱える仗助の前に1円玉を持った小型のスタンドが現れた。驚いた仗助がその後を追いかけていくと、そこには新たなスタンド使い、矢安宮重清(重ちー)の姿が!自身のスタンド、ハーヴェストを使って町中に落ちている小銭を集めているという重ちーの行動に感心した仗助は、ハーヴェストを使ったあることを思いつく。

19. 「重ちー」の収穫(ハーヴェスト) その2
500万円の当選宝くじを手に入れ銀行へ換金にやってきた仗助たちだったが、その当選くじが本当に仗助たちのものか行員に怪しまれてしまう。自分たちで買ったとしらを切る仗助だが、宝くじの裏には仗助たちとは別の人物の名前と電話番号が書いてあると指摘され、さらに行員はその番号に電話をかけ始めた!言い逃れできない状況に追い込まれた仗助は、ある行動に出るのだが―。

20. 山岸由花子はシンデレラに憧れる
康一にまったく振り向いてもらえないことに落ち込んでいた由花子は、とある店の前で足を止める。エステ「シンデレラ」、その店は普通のエステとは違い「幸福の顔」を作るという変わった店だった。エステティシャンの辻彩に「愛と出会う顔」にしてもらった由花子が町に出ると、さっそく康一に遭遇。しかも、いつもと様子が違ってとてもいい委囲気に…。これまでの人生で最高の幸せを感じる由花子だったが、その効果は30分しか持たず…。

21. 吉良吉影は静かに暮らしたい その1
行きかう人々で賑わう昼時の町中、吉良吉影は女子社員の誘いを断ってパン屋でサンドイッチを買うと公園で1人、ランチを楽しんでいた。そこへ通りかかった重ちーは誤って自分のサンドイッチと吉良のサンドイッチの袋を取り違えてしまう。それに気づき、血相を変え重ちーを追いかける吉良。実は、吉良の袋の中にはサンドイッチではない別のものが入っていて―。

22. 吉良吉影は静かに暮らしたい その2
吉良吉影は杜王町に潜んでいた殺人鬼であり、そしてスタンド使いでもあった。自身の秘密を知った重ちーを消そうとする吉良にハーヴェストで応戦する重ちーだったが、吉良のスタンド、キラークイーンの特殊能力により瀕死の重傷を負ってしまう。一瞬の隙をつき、吉良の前から逃げることに成功した重ちーはクレイジー・ダイヤモンドに傷を治してもらうため、そして吉良の脅威を知らせるため仗助の元へ向かう。

23. シアーハートアタック その1
ボタンの持ち主を探していた承太郎と康一は靴のムカデ屋で殺人鬼・吉良吉影のスタンドが放つ第2の爆弾「シアーハートアタック」に遭遇する。康一は逃げる吉良を追おうとするが、承太郎はそれよりも再び攻撃する隙を狙っているであろうシアーハートアタックを警戒するよう促す。まずは犯人を確保すべきと考えた康一は慎重な行動をとる承太郎に納得がいかない。しかし、次の瞬間、シアーハートアタックが康一に取り付き―!

24. シアーハートアタック その2
進化したエコーズACT3の能力でシアーハートアタックを重くし、なんとか難を逃れた康一だったが、そこへ殺人鬼・吉良吉影が姿を現す!ついに目の前に現れた殺人鬼に強い怒りを感じた康一はACT3で吉良に対抗するが、まったく歯が立たない。公衆の面前で恥をかかされたことに気がおさまらない吉良は、康一に容赦ない攻撃を浴びせるのだが…。

25. アトム・ハート・ファーザー
吉良吉影の手がかりを得るため、かつて吉良が住んでいた家を調査する仗助たち。それといった特徴のない吉良だが、承太郎は家の中の物から高い知能と能力を隠すため、わざと自分の長所や短所を人前に出さない男だと分析する。それと同時に、長年切った爪とそのデータを机の引き出しに保管しているのを発見。仗助たちは平凡な男の異常な趣味を目の当たりにし、不気味さを感じていた。すると、ふいに机上にあるポラロイドがひとりでにシャッターを切って…。

26. ジャンケン小僧がやって来る!
弓と矢を奪い仗助たちの元から逃走した吉良吉廣は、息子の吉影を守るため味方となるスタンド使いを探していた。矢に射抜きたいものを選べと告げると、矢はある人物を差す―。その頃、吉良吉影を追う露伴は杜王駅前で通勤中の会社員の写真を撮影していた。吉良が誰かとすり替わったのであればそいつとして通勤していると考えたのだ。吉良がその家族を消し去る前に見つけたいと願う露伴。そこに突然、少年がジャンケンをしてほしいと声をかけてきた。

27. ぼくは宇宙人
顔を奪い、川尻浩作として生活を始めた吉良だが、自分の本性を隠したまま生活をすることにいらだちを覚え始めていた。道行く女性を見ては自分の本性を打ち明けたい、その細い首を絞め殺してみたい…という衝動を懸命に抑える吉良。しかし、川尻の妻・しのぶの首筋を見た瞬間、殺人衝動に駆られて―!一方、仗助たちは杜王町の外れの麦畑でミステリー・サークルに倒れた不思議な男を発見する。

28. ハイウェイ・スター その1
チンチロリン勝負でイカサマがおこなわれていると感じた露伴は自身の小指にペンを突き立てる!次の勝負で仗助のイカサマを見破れなければ、200万円でクレイジー・ダイヤモンドに治療を頼んでやるが、イカサマの正体を見つけたときは、仗助の小指を貰うという露伴。さらに、取り立て人として玉美を呼び出し、心の錠前で、仗助がイカサマをしないという逃げ道も封じる!!

29. ハイウェイ・スター その2
露伴に窮地を救われた仗助は、謎の足跡型スタンドの本体を探す。どこまでも追ってくるスタンドをバイクで振り切り、康一に電話をしてエコーズで敵本体を探してもらおうと考えるが、仗助の匂いを覚えたスタンドは大まかな位置をつかんで仗助の傍へ現れるため、時速60キロ以下に減速する事すらできない。何とか携帯電話を入手し康一へ連絡を取ることに成功するが、気が付くと目の前には海が迫っていて―!

30. 猫は吉良吉影が好き
ある朝、しのぶから地下室で喉に大きな穴が開いたブリティッシュ・ブルー種の猫を見つけたという話を聞いた川尻。あの『矢』で射抜かれた猫なのではないかと考えた川尻が地下室へ様子を見に行くと、そこには死んだ猫の姿があった。猫に恐怖したしのぶがホウキを振り回した際に倒したビンの破片で喉を切って死んでしまったようだ。川尻は家の庭に猫を埋葬してやるのだが、翌日、猫を埋めた場所からは怪しげな植物が生えて…。

31. 7月15日(木) その1
行方不明となった吉良吉影の姿を探していた吉廣は川尻浩作を発見する。間違いなく息子の吉影だと確信した吉廣は川尻に近づこうとするが、その後ろには川尻をビデオで隠し撮りする早人の姿が!露伴や承太郎たちも吉影を捜索している中、このままでは見つかってしまうと考えた吉廣はある行動に出る。一方、登校中の仗助と億泰は道端で双眼鏡に変身した未起隆に遭遇。使われていない鉄塔を見てくれと言われ、双眼鏡を覗くと、そこには鉄塔の上で生活する男がいた!

32. 7月15日(木) その2
火事の修理と見積もりのため、露伴の家に一級建築士の乙雅三がやってきた。露伴は家の中に乙を招き入れるが、乙のとる奇怪な行動に興味を惹かれる。その頃、仗助は鉄塔に捕らわれてしまった未起隆を助けるため、再び鉄塔内で鋼田一と対峙していた。しかし、鉄塔の構造を熟知した鋼田一は仗助の攻撃を余裕でかわすと、今度は思いもよらぬ攻撃を仕掛けてきて…。

33. 7月15日(木) その3
乙雅三の背中を見たことで露伴はスタンドのチープ・トリックに取り憑かれてしまった。チープ・トリックへの攻撃はそのまま本体である露伴自身に返ってきてしまうため、むやみに攻撃することもできず、露伴は窮地に立たされる。そして、康一を探していた仗助と噴上の前にあらゆるものを紙にして閉じ込めるスタンド・エニグマを持つ少年が現れる。エニグマの少年がポケットから取り出した紙にはあるものが隠されていて…。

34. 7月15日(木) その4
チープ・トリックの攻撃に困り果て、自宅に康一を呼び出し助けを求める露伴だったが、スタンドが取り憑いた背中をどうしても見せようとしない露伴の姿に、康一はからかわれているのではないかと不信感を抱き、怒って帰ってしまう。チープ・トリックに屈辱を味わわされ怒りに震える露伴は、意を決して自宅を出て杜王グランドホテルに向かうことにする。しかし、それは背中を見られる危険性のある過酷なものだった!

35. アナザーワン バイツァ・ダスト その1
追い詰められた川尻浩作は、早人を手にかけてしまった。事故に見えるよう早人を殺害したが、露伴たちが早人の存在に気づき、明日にも川尻家を調べに来ようとしているという最悪のタイミングだった。このままでは、正体がバレる、捕まってしまう―!絶望の淵に追い詰められた川尻だったが、突如、吉廣の持っていた矢が川尻を突き刺して―!

36. アナザーワン バイツァ・ダスト その2
キラークイーン第3の能力「バイツァ・ダスト」によって岸辺露伴を爆破し、同じ朝に戻ってきたということを聞かされた早人は、キラ・ヨシカゲを倒せるのは露伴のような「能力を持つ者」だけだと思い、露伴を死なせずにキラのことを伝えようとする。しかし、一度起こった運命の結果は変わらない。早人が露伴に会わなくても露伴は爆発してしまう。キラ・ヨシカゲを倒せないのかと苦しむ早人の目の前に、さらなる人物が現れ…。

37. クレイジー・D(ダイアモンド)は砕けない その1
ストレイ・キャットの空気弾で吉良を殺そうとした早人の作戦は失敗に終わった。早人が何度も同じ朝を往復していると察した吉良は、露伴の他にも何人かを吹き飛ばしている、そしてこれ以上同じ朝に早人を戻らせることは危険だと思い、今回でバイツァ・ダストを解除しようと考える。「運命は」自分に味方してくれていると確信した吉良だったが、そこにある人物が現れた。

38. クレイジー・D(ダイアモンド)は砕けない その2
キラークイーンとストレイ・キャットの攻撃によって追い詰められた仗助と早人は接近戦に持ち込むため近くの民家に逃げ込むが、そこへ空気弾が壁をすり抜け入り込んできた。灰皿の灰をまき、空気弾を視認できる状況にすることでかわそうとする仗助だったが、なぜか空気弾は仗助を追いかけてくる!外から見えるはずがないのに確実に仗助を狙っている空気弾に仗助と早人は動揺する―。

39. さよなら杜王町 黄金の心
ついに仗助たちは吉良を追い詰めた!承太郎たちも集まり、絶望の淵に立たされた吉良だったが、それでもなお、助けにやってきた救急隊員の女性にバイツァ・ダストを仕掛け、時間を吹き飛ばそうする。自ら女性に自分の正体を明かすことでバイツァ・ダストの発動条件を満たした吉良は、キラークイーンのスイッチを押す!杜王町の未来をかけた最終決戦、いよいよ決着―!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

思いっきりやってくれたアニメスタッフに感謝

2016年4月~2016年12月放送のTVアニメ。全39話。

放送前に書いた通り、思いっきりやっちゃって欲しいと思っていたら、本当に思い切ったやり方になってました!

脚本は常に安定していて、スムーズに尺に収め原作で描かれなかった部分を補完するよう、細かな部分がカット・改変されています。
それでも尺の振り分けには苦労したようで、思いきった手法を取ったのが31話から34話。本編に関係無いけど面白いシーンがなくなっていたりするのはかなり勿体無いですが、一つの方法として面白いと思います。

原作でも感じていた事ですが、第4部は杜王町の至る所で一見繋がりの無い事件が起こりその全てがテーマを様々な角度から浮き彫りにしていく構造。ラスボスが登場してからの盛り上がりは本当に見事です。

改変に関してはキャラクター同士の関係性の補強などは特によく出来ていて、仗助と億泰と康一の仲の良さ、康一と由花子の恋の発展はかなりわかりやすくなっています。
キャラクターそのものも原作後半準拠で綺麗に整えられて、仗助は原作4部中盤以降の親しみやすい人物像に、承太郎は6部からの設定を反映して大人の貫禄をより強く感じる落ち着いた雰囲気に統一。細かな印象の変化は数えきれず、原作との比較が実に楽しかったです。

個人的にはBGM作曲者が3部と同じで、地続き感が良いなと思う反面、雰囲気が似てしまう時があってちょっと勿体無いと思いました。音楽の使い方も、ホラーのシーンではもう少し無音の部分を増やして欲しかったですね。

作画はアニメーターの個性がよく出ていて楽しかったですが不安定な時もあり、連続3クールはかなり大変だったようでした。本当にお疲れ様でした。


【ヴィジュアル面・演出面】
{netabare}
西位輝実さんのキャラクターデザイン原作に比べ大分シンプルに仕上がっていて賛否ありましたが、私はイメージが固定しすぎない良い絵柄だと思います。4部のエピソードはシリアスからギャグ、気味悪いものから感動するものまで振り幅の大きさが魅力ですが、キャラデザもまた、シリアスにもコミカルにも、濃くもすっきりも見せられる自由度の高さが素晴らしい。
描く人・描き方によって個性的に仕上がり、西位さん自身もBDジャケットのようにしっかり描き込んだ濃い絵も仕上げたりしていて、個人的には非常に楽しく堪能させていただきました。
欲を言えば、第一弾PVやOPのような柔らかい動きをもっと見たかったかも。表情の変化は濃さも残しつつ、優しい印象のシーンが増えましたね。

おなじみの効果音表記は、康一のスタンド演出を目立たせるために全体的に控えめに。
色変えはさらにビビッドになり、テクスチャは漫画のカケアミやスクリーントーンのようなイメージの模様が多く使われています。

演出では画面切り替えにかなり凝っていて、1エピソードをコンパクトにまとめなければならない時、場面を印象強く繋げる際に多用されています。このやり方、効果的かつ挑戦的で新鮮でした。{/netabare}


【4部のテーマは普遍的】
{netabare}
原作で一貫している「日常の中の非日常」は時代が変わっても共通する根源的かつ身近な問題です。
日常は守らなければ続かないもの。それは例えば「プリキュア」などにも共通する要素があると思うのですが、プリキュアも10年以上続いているように、ジョジョ以前からも似たテーマを扱った作品があったように、古びないテーマであると感じています。

アニメの演出面でもそのことに非常に気を配っていると感じました。平和なラジオに載せて吉良の日常(切り取った手)を映すのはその筆頭ですし、悲惨な虹村家のエピソードのラストに明るくちょっとおバカな億泰を持ってくるなんて、日常に引き戻しコミカルに物語を閉じるとても効果的な演出です。
だから実は、トニオさん回みたいな日常回がとても力が入っているんですよね。エピソードカットはせずシーンのカットのみできつい尺に合わせたのは大変だったと思いますし、尺がぎりぎりで勿体無いエピソードもありましたが、日常回を削ってしまうと4部の魅力は少なからず損なわれてしまいますから良い判断だったと思います。

荒木先生の杜王町の描き方はご自身の故郷がモデルですからリアルな部分や身近な感覚がありますね。
アニメでも丹念な町づくりをしつつ、特徴的な画面作りによって非現実感が強くなっています。

リアリティを感じない色使い、閉塞感を感じるような背景は独特。遠くに映る海と山が外界との繋がりを視覚的に阻む杜王町は、劇の舞台のように、幕を閉じるまで出られない「箱庭」です。ディレクターの津田さんが雑誌で「箱庭感を出したい」という内容の発言をされていたと思います。
最終回で承太郎とジョセフが船で杜王町を出るまで、町から生きた人間が出る描写がないのは象徴的でした。

ネットで視聴感想を見ていると、形兆と父親の関係を現実の様々な問題に照らし合わせている人が多かったり、それ以外でも、誰もが自由に感情移入できる間口の広さを本作では改めて実感しました。
誇張こそされていても、荒木先生の人間描写には身近さを感じ、憎たらしいのに愛されるキャラクターもいれば、批判されるべきなのにその境遇に涙せざるを得ないキャラクターもいる。品行方正ないい人は杜王町に存在しません。主人公の仗助だってお金が絡むとちょっとゲスになりますしw
善悪で割り切れない人間がこんなに愛される描かれ方になったのは4部からじゃないかと思います。一度顔を合わせ内面を知れば、彼らは同じ町に住む隣人となりますが、一概に「味方」とは言えないのが面倒で面白い所ですね。

例外はアンジェロ、音石、吉良といった自分のために何も知らない人を踏みにじる存在です。彼らは家族や友人といった「大切なもの」の描写が一切無い。
自分だけが良ければそれで良いという者とは共に生きられないことは、鼠の一件で承太郎が語ったとおりですが、そんな存在が町のどこにいるのか解らないというのは現実でも遭遇する恐怖です。

顔の見えない隣人の恐怖はむしろ原作執筆当時よりも作中の1999年よりも、情報化社会である現代ほうがよほど切迫した問題となっているように感じます。
当時のジャンプでこのテーマを掲げた荒木先生は凄いなと思いますが、アニメスタッフは4部をよく理解し、時代性も加味して若干のアレンジを加えてストーリーと映像に落とし込んでいます。
だからこそ古い作品が原作でありながら斬新で、改変していながら根底に流れるテーマ性が変わらない。
原作を尊重しながら、アニメスタッフの個性と一貫した方向性が見出せる、素晴らしい作品に仕上がっていると感じます。{/netabare}
(2016.12.31)


【以下初回感想】
{netabare}
初回だけ感想を書こうかと思います。

全体的なイメージはぴったりでした。脚本の細かな変更点、演出意図などは合理的で、今後の方向性も感じられました。
ただ、色彩がきつすぎるとは思います。4部の奇妙さは色で出すということですかね?日常描写が多いから、むしろ地味になるかなって思ってた時期が私にもありましたw
ビジュアル面ではソエジマヤスフミさんがクレジットされてないのが気になるところですが…

作画は予想通り大変そうでしたが、自分としてはそういうところまで含めてなんだか好きです。表情の豊かさ柔らかさを大切にするというスタッフの意思は受け取った!
{netabare}
仗助は原作序盤のヤンキーっぽさはナシ。小野友樹さんの演技もとても良かったです。
PVでも感じましたが、原作と違い最初から「見た目はアレだけど普通の高校生」のイメージで来ましたね。年頃の男子らしく小さな意地を張るシーンもあり、これから成長するキャラクターとして描写していると感じます。
完璧系だった承太郎との差別化も出来ますし、良い方向性だと思います。
康一との会話で「不穏なことに首を突っ込む気は無い」「自分の今の生活にそれなりに満足している」という趣旨のセリフが追加されていて、ここから「守ろうとしなければ平穏は続かない」と気付く流れがより自然になるだろうなと感じました。小林靖子さんやっぱりベテランなだけあって上手ですよね。
{/netabare}
続きが楽しみです。好きな方向性なのでこのまま行って欲しいな。
(2016.4.4)
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31

83.7 5 不気味アニメランキング5位
Re:ゼロから始める異世界生活(第2期)(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (710)
3281人が棚に入れました
コンビニからの帰り道、突如として異世界へと召喚されてしまった少年、菜月昴。頼れるものなど何一つない異世界で、無力な少年が手にした唯一の力……それは死して時間を巻き戻す《死に戻り》の力だった。大切な人たちを守るため、そして確かにあったかけがえのない時間を取り戻すため、少年は絶望に抗い、過酷な運命に立ち向かっていく。​

声優・キャラクター
小林裕介、高橋李依、内山夕実、水瀬いのり、村川梨衣、新井里美、子安武人、赤﨑千夏、中村悠一、井口裕香、堀江由衣、堀内賢雄、植田佳奈、江口拓也、田村ゆかり、藤原啓治、能登麻美子、松岡禎丞、天﨑滉平
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

「観終わった」でいいのか?

4話までの感想{netabare}
これ面白い?
1期の王都編、特に王候補を相手にした1度目の交渉が失敗に終わったのは、スバルが自分のことばかりで周囲に無関心だったせいだと解釈してるのだが。
それを反省して周囲に気を配るようになって「成長したなぁ」ってのが1期の話だと思ったら、今期3話エキドナ相手に再び無関心な対応をして「あれ?」。
そして4話、とっくに吹っ切れたことだと思ったらまだそんなところなの?とビックリ。
元の世界に帰りたいとか今まで一言も言ってないのにこんなん見せられてもちょっと…。
同期の“ムヒョとロージー二期”と似たような展開・成長したと思ったら前に戻っちゃった感じの展開で正直困惑。
主人公がクズなのは構わないんだ、“鉄のラインバレル”や“リヴィジョンズ”だって平気で観れる。
けど、成長したと思わせて成長してないのはどうにも…。{/netabare}

5話感想{netabare}
目的って何だっけ?
エミリアを王様にする?魔女教を撃退する?グゼのトモガラに存在を食われた(“灼眼のシャナ”ネタ)レムを取り戻す?
「聖域からの脱出」がこれらのどれにも繋がってない感じ、ゲームでいえば寄り道イベントみたい、どうでもいいことにグダグダ時間を割いてるだけのような…。
そのうちどうせ繋がるんだろうけど、意図して勝ち得たのではなく偶然舞い込んできただけにしかならなそうでなんか全然ワクワクしない。
まぁ死亡ルートをどう回避するかがこの作品のウリだろうし、現段階は死亡ルートの説明シーンってことなのかな?{/netabare}

6話感想{netabare}
えええ、そんなん?
死に戻りがウリの作品だし5話までは一周目の話で2周目以降違った側面を見せるのだろう、ということで気にしてなかったんだけど…あれ?
具体的には4話のスバルが両親と対面する話。
1周目は薄ら寒い「よかった話」の体だったけど、2周目以降はガラっと態度が変わってスバルは知りたくもない両親の真実を叩きつけられるんだろう、と思ってたんだけど…。
セーブポイントがそれより後ろになってやんのw
あっれー?
さ、作者やスタッフはあれをよかった話だと思ってるってこと?
まぁ、うん、確かSAO2期のマザーズロザリオ編だかその前になるんだか、アスナが母親と和解するシーンも「それでいいの?」と思ったモンで、そういうものなんですかね。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
多分私が見方を把握してないんだと思うけど…。
今後「解決編」があるんだろうという前提で、解決編が始まれば面白いんじゃね?と耐えてる状態。
現段階はは解決編に向けての前フリ・ヒント出しなのだろう、と思って見ていて、「早く解決編始まらないかなぁ」って気持ちが先走ってあんまり面白くない。

ロードマップが見えないというか、主人公がなにがしたいのか分からない。
問題Aがあってそれを解決しようと行動すると別の問題Bが発生して、じゃあ問題Bを解決しようと行動すると問題Cが発生して、じゃあ問題Cを解決しようとすると…というのが繰り返され、そもそも問題Aはどうなったん?がおざなりになってる印象。
途中の問題が何も解決してないのがこれまた辛い。
桶屋を儲けさせようと思ったらネズミが居ない、ネズミを増やそうと思ったらネコが邪魔、ネコを狩る三味線屋を増やそうと思ったら風が吹かない、よし風を吹かそう、みたいな。
「で、桶屋はどうなったん?」とか「桶屋がネズミ対策するんじゃね?」とか「目を患った人が増えた段階でネコを繁殖する業者が現れるんじゃね?(減るどころか増えるんじゃね?)」とか、色々気になって物語に入っていけない。
また、次から次に「問題」が発生するせいで試せることが多すぎる、そのせいで行き詰まり感・手詰まり感が無い。
「やれることは全てやった、なのに解決できない、一体どうしたら…」ってトコまで追い込まれたところで「たった一つの冴えたやり方」を閃く系の話ではない?
そうでなくてはならないとは言わないが、やっぱり盛り上がりに欠ける様な?
あと個々の問題ごとの因果関係も希薄で、問題解決に向けたカズマの行動も目先のことばかり。
顕著なのはキーパーソンに対する質問の内容で「え、今そこ?もっと聞くことあるんじゃ?」というのばかり。
具体的にはロズワールへの質問にはベアトリスのことだけ、エキドナを通して折角会えたダフネへの質問は大兎のことだけで、本来の目的って何だっけ?と話の筋を忘れかける。
ぶっちゃけウサギが発生するのは絶対確実なの?まずそこから分からないw

まぁ解決編では個々の問題が一本の線に繋がってピタゴラスイッチ的にポンポンと片付くんだろう、きっとそう。
但しそれでもイヤ~な予感がして…ガーフをどうやって味方につけるのか?は「解決すべき問題」だと思ったら、最新話で都合よく協力することに「なってくれた」。
あくまで魔女(ないし魔女教)を嫌ってるだけでソイツとは敵対関係であると示せばいいってのは理屈では分かるけど、結局それは都合よく魔女が現れてくれたお陰なだけでカズマの閃きや行動の結果ではない。
向こうから答えを摺り合せて来てくれたというか棚ボタというか…世界が勝手に正解を用意してくれた感じ。
これが続くようだとちとキツいかも。

一方で、前回オットーが死んだ時点で「くそう、また死に戻りしなきゃなんねーじゃねーか」と怒ればいいのにそうではなく、ウサギに食われてギャーギャー。
見せるトコロ違うんじゃね?そんなにヒッチコックの“鳥”が好きなの?と思ったら、最新話で残機数を気にしてる描写があって納得、そういや前期も死に戻りの回数気にしてたっけか。
後付け臭いけどねー、それでもいいのでこんな感じで納得のできる顛末にして欲しいトコロ、頼むよマジで…。


それはそうとキャラデザに坂Q使ったのかよ~く分かる最新話でした。
前からソレっぽい気は感じてたけど、3人中2人ねぇ…ふーん。
因みにこの作品を面白くない人はなにが面白いのか教えて欲しいという意見があったので、同じ坂Q繋がりで“ゾイドジェネシス”なんてどうでしょ?
意地悪とか腹が立ったとかじゃなくてね。
主人公に一番果たしたい目的があって、それとは別の目的が発生して、さぁどうしよう?と逡巡する話とかあるよ。
但しそれ見るんだったらその前に“機甲界ガリアン”を見ておくともっと面白いんだけど…ハードル高いかな?{/netabare}

11話までの感想{netabare}
ネームドキャラの誰かが死ぬたび「あーハイハイ死に戻り確定ね」と思ってしまうし、レムの件からセーブポイントが変わったらヤバいので「早く死なないとアカンちゃうん?」と主人公のモタモタっぷりに違和感。
更にはいちいち激高するのがウザいなぁと思ってたら11話でロズから「驚きはある、義憤はある。けど悲しみは無い」って…いや、そこが描けてないなぁって思ってたのだけど…。
セリフで「そういうこと」だと強引に説き伏せようとしてるみたいで、う~ん。
ってか数話前までは「死に戻りの回数を気にしてた」として納得してたのに「エキドナに残機数無限だと教えてもらった」ことから何も変わってない。
死ぬ時いつも酷い目に遭わせることで「時の歌奏でるのとは訳が違うんだぜ、死に戻りも楽じゃないんだぜ」というのを強調してるキライは感じるが、如何せんウザい。
ってかこれ続けられると「痛い思いをして死ぬのはこりごりでゴザルよニンニン」ってことで怒ってるみたい。
ってかそれこそ主人公に言わせればいいじゃない、「あーまた戻んなきゃいけなくなった、面倒くせぇ」とかさ。
なんか…描写が押し付けがましい。{/netabare}

評価は後半へ持ち越し{netabare}
一応ここまでの感想としては、何ができて何ができなくて、何が解決すべき問題なのか分からない。
全体が「わからない」ものを何処が分からないのか説明するのって難しいのだけど、例えば大ウサギは退治する必要性はあるの?それともいつの間にか解決してる?それすら分からない、そんな感じ。
よく「絶望が絶望が」と聞くけど、やれることがまだ沢山あって(可能性がありすぎて「○○すればいいじゃん」とさえ言えない)手詰まりを感じないので絶望を感じない。
もし絶望感があるとすればサレンダーできないになるけど、そのためには「エミリアなんてどうでもいい」って心境に至らなければならず、果たしてそれは選択できるかね??作者が。
これ言うと自己啓発本みたいでアレなんだけど、壮大な目標あったとしてもそれに向かう実現しやすい小目標を立てて一歩一歩達成をしてくようにしないと途中で挫ける。
前進した感じがしない、と言ってもいいだろう。
これは正にそれ、いやぁ参ったね。
更に危惧するのは目標に含まれてなかったのに、他の目標を達成してるウチに都合よく解決できちゃう「瓢箪から駒」系。
それ自体は上手く描けば“はめふら”みたいに面白くなるけど、「都合の良さ加減」は一歩間違えるとご都合主義がキツくなるので塩梅が難しい。
なんかこれにはそれを踏み外してしまいような危なっかしさを感じる、実際どうなるかは続きをやってくれないことにはナンともだけど。
とりあえず魔女のお茶会?あれは“イセスマ”の神様の茶の間と同じであんまやらん方がいいと思う。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

残機99のバルスと七人の魔女。

スバルが少しずつ手がかりを集めながらああでもないこうでもないと試行錯誤するところは相変わらず。

ラムもレムも好きだけど、エミリア推し
パックとレムがいないとこの作品の癒し成分がだいぶ失われますね。

分割2クールの前半が終わっただけなので、まだまだこれから
回を追うごとに真相が解明されるどころか、謎がどんどん増えていくばかりで前半を見終えても謎だらけのままだけどとても面白かった

{netabare}
まるでアドベンチャーゲームだ
ゲームオーバーになったから違う選択肢を選んでみたら
今度は新たな事実の判明とともに新たな脅威が発覚する。
その新たな事実を頼りに違う行動を起こしたらまた違う問題が判明する。
こうやって視聴者はスバルの目を通して、実は一歩間違えばいつでもゲームオーバーになるような火薬庫の中に放り込まれているということに気づく
一期から続く面白いポイントだと思う。

1クールつかってフラグ埋めだけ進んで実は何も解決していない、
実際には何も進んでいなくても、確実に解決には向かっているのだとは思いますが
登場人物も七つの大罪の魔女が一気に出てきてそれぞれ思惑が違って、頭ぐちゃぐちゃ
それぞれのキャラクターには隠し持った力とか事情とか色々あって、それがスバルを通して断片的に、少しずつしか開示されていかないから疑問点はどんどん増えていく。
それを面白いととらえるか、モヤモヤしてストレスととらえるかで評価分かれそう。

スバルは今までの事件を解決する過程で、自分が死ぬことを前提とした動きをすることが何度かありました。
しかし、エキドナに会い、死に戻りの回数制限が恐らくないことを知ったスバルはその傾向がさらに顕著になりました。
そんなスバルに対し、スバルが死んだあとも世界は続く。
残された人たちがスバルの死をどう思うのか考えてという色欲の魔女からのメッセージはマンネリ打破という意味でもいいスパイスになったと思う。

ロズワールはスバルの様子を見て「ラムが死んだのにそんなに悲しんでいないように見える」というコメント。
スバルはやり直し前提でも仲間の死を避けようと奮闘していますが、やはりどこかに「どうせやり直すのだから」という気持ちがあるのでしょうね。
後半では恐らく「死に戻り前提からの脱却」が一つの鍵になると思われます。

よくウザいウザい言われるスバルですが、確かにウザいところは結構ありますね。
大事な人を助けるために一生懸命なのは好感が持てますが、スバルの悪いところは、大事な人を助けることに一生懸命になりだすと、周りが見えなくなるところ。
結構無関係な人にも当たり散らすので、そこがスバルの残念なところです。

「うるさいバルス、少し黙ってろよ」って私なら絶対そう言って喧嘩になるだろうな
でもラムが私のかわりにバルスを罵倒してくれるのでかなりスカッとします。
いいぞ、もっとやれ!
※私は別にスバルが嫌いなわけではありません

{/netabare}

重要そうなことの自分用メモ、まとめ
※2期は新キャラ多すぎて後半戦が始まる頃に忘れていそうなので、自分用のまとめと勝手に印象や考察を書いてます。

{netabare}
ベアトリス エキドナによって作られた精霊。書庫を守っている。開放されたい。もしくは殺してくれる人を待っている。待ち人が誰なのかは定められてない?
ガーフィール 死に戻りするたびにスバルへの友好度や行動が大きく変化する沸点低い獣人。フレデリカの弟。
スバルの指摘通り、何か怒るには条件があるのでしょうね。

スバルが聖域の開放のために積極的に動いている時は敵対的になり、聖域の開放がうまくいってない状況では友好的なようです。
それ以外にもあるかもしれませんが。
ということは、聖域を開放させようとしているのはフェイクで、実は開放を阻止したいという事です。
外に出たいというのは嘘ということでしょうか?
中に留まりたい理由があるのか、それとも外に出るのが嫌なのか。
外に出るつもりがないのなら、どうして聖域の開放をさせようとするフリをする必要があるのでしょうか?
そのへんは後半で明らかになるのでしょう

ロズワール 死に戻りのことを知ってる。スバルを覚醒させるため?エルザに屋敷を襲撃するよう依頼。こちらは自分がこの世界線で犠牲になろうが、別の世界線の自分が野望を果たせれば良いというかなりイカレた思想を持っていることが判明。
どうせやり直すなら終わった世界線は捨て駒のような動きをするスバルとはある意味似たもの同士。
この立ち位置はいかにも最終的に対立するポジションだけど、どうなることやら。

リューズ 大量にクローンがいる。なんかの魔女と関係がある(詳細忘れた)スバルの命令にも従う。
クローン最初の4体は特別な存在だと思われます。
「明日以降に同じ質問をもう一度わしにしてくれ」というリューズのセリフの意味するところは、
たぶん、自分ではない別の最初の4体のうちの誰かに同じ質問をすれば何か重要な手がかりが得られるという暗示。
ということは、その4体はそれぞれ別の自我を持っているということになるのではないでしょうか?
たぶん、この聖域編の特別な鍵の一つなんでしょう

魔女因子 ベテルギウスを殺したことでスバルに怠惰の魔女因子が移動?そもそも魔女因子ってなに? たぶん最重要ワード

クルシュとレム 記憶喪失状態。 レムはさらにスバル以外の全員から存在を忘れられている。スバルにだけきかない理由は魔女因子のせいかな?

ペトラ 新人メイド。たぶんこの先も何度も何度も犠牲になりそうなかわいそうなポジションの子。

フレデリカ 先輩メイド。ガーフィールの姉。一人で味方守るために戦いそうなイメージのキャラ

パック 何故か聖域に来る前から姿を消す。貴重な癒し枠。早く戻ってきて。

魔女の皆さん。
とりあえず現時点では人知を超えた存在なので戦うとかなさそうだけど
シリーズが続けばいずれ戦うこともあるのでしょうか?

嫉妬の魔女サテラ 魔女教徒が信奉している魔女とは彼女のこと。他の魔女たちを滅ぼした。エミリアに外見が似てる?スバルに死に戻りの能力を与えた?なんかやばい影をばら撒く。スバルを溺愛している?
エミリアとなんらかの関係はあるとおもう

強欲の魔女エキドナ 知識欲の権化。白髪で黒ずくめの美少女。
ベアトリスの生みの親。 ロズワールはエキドナと深い関係があるみたい
知識欲を満たすためにはどんな犠牲でもいとわない。嘘はつかないけど、あえて言わずに隠す。
たぶんスバルを何かと利用してくるだろうけど、敵対はしなさそう。

憤怒の魔女ミネルヴァ 金髪サイドポニテ 癒しの力を持ち、傷ついた人を見つけると治療する。争いや痛みをなくしたい。
何をそんなにイライラしているのか不明。ツンデレ?
暴走して失敗した後、優しくされて味方になっちゃう感じのキャラ

暴食の魔女ダフネ アイアンメイデンのような状態になってるかなりヤバそうな魔女。 常に猛烈な飢餓状態であり、食欲を満たすため??、白鯨や多兎?や黒蛇の三大魔獣を生み出す。スバルには一応協力的?
エキドナは、触れるな、拘束を解くな、目を見るなと警告していた。
どうみてもそのうち誰かが拘束を解いてえらいことになるフラグが立ってる。

傲慢の魔女テュフォン ロリ。純粋無垢な少女だけど、悪人を断罪することがすべてで、良心の呵責とかなさそう。こういうのが一番ヤバいやつ。
悪人だと痛みを感じる。罪の意識があると身体をバラバラにされる。
こういう人は大抵ラスボスのちょっと前に出てくる四天王。
敵に回るフラグが立ちまくってますね

怠惰の魔女セクメト いつもけだるげに寝転がっている人。ペテルギウスは彼女の魔女因子を持っていた? 
こういう人は、不真面目そうに見えて実はまとも。
スバルの協力者になるかも。暴走とかしなさそう。

色欲の魔女カーミラ ピンクの髪で純白の巫女様のような衣装。
彼女の姿は相手が見たいと思っている者の姿に見える能力がある。
さらに、見とれると呼吸も忘れて死んでしまうのだとか。
いかにも魔女って感じの能力。スバルも一回くらい死ぬパターンあるかも。

{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 35
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

前半は話がほんとに進まない

魔女たち(主にエキドナ)やガーフィールとその姉フレデリカが登場して、エミリアやスバルが聖域で試練をしている間に策略がっていうのをずっと繰り返しているだけでちっとも話が進まない。

凄くモヤモヤして続きが気になる終わり方をしたのみ。

{netabare}ロズワールは本当に胸糞悪い奴っていうとだけはわかる。死んだと思われていたけど、死んでいなかったエルザを屋敷に送り込む。次どう対処していくのか。そして、ベアトリスが実は死にたがり。{/netabare}


OP
Realize 鈴木このみ
ED
Memento nonoc

今期も鈴木このみのOPでテンション爆上げ。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
第26話 それぞれの誓い
幾多の死を繰り返しながら、ついに白鯨の討伐を成功に導き、暗躍する魔女教大罪司教「怠惰」担当ペテルギウス・ロマネコンティを打ち破ったスバル。辛い決別を乗り越え、ようやく最愛の少女・エミリアとの再会を果たしたのも束の間、スバルはこの世界からレムの存在が消え去ってしまっていることを知る。死のループの中で白鯨に襲われたときに起きた《存在の消失》。白鯨を倒した今、起こり得るはずのない事態がスバルたちを襲う。

第27話 次なる場所
クルシュとの話し合いを終え、ロズワールに事態の報告と相談を行うため、アーラム村へと帰ってきたスバルたち。しかし、アーラム村に人影はなく、どうやら魔女教徒の襲撃に備えて、ラムと共に「聖域」へと避難した村人たちがまだ戻ってきていないらしい。「聖域」の情報を集めるため、ロズワールの屋敷にやってきたスバルたちを出迎えたのは、過去にロズワールの屋敷でメイドとして働いていたフレデリカという女性だった。

第28話 待ちかねた再会
「聖域」へと向かう途中、意図せずして魔女の茶会に招かれてしまったスバルは、自らを「強欲の魔女」と名乗る少女・エキドナと出会う。警戒するスバルに対して、エキドナはお茶が冷める前に早く席について欲しいと告げる。エキドナとの会話を終え、どうにか外に出ることができたスバルが目にしたものは、ぼろぼろになって地面に倒れているオットーの姿だった。事態を飲み込む暇もなく、スバルは何者かの襲撃を受ける。

第29話 親子
それは見慣れたはずのいつもの部屋のはずだった。しかし、ずっと暮らしてきたはずの自室にも関わらず、どこかつきまとう違和感。言いようのない焦燥感に駆られるスバルだったが、そんな不安は父親である菜月賢一の腕挫十字固めによって吹き飛ばれてしまう。悶絶するスバルだったが、負けじと反撃し、プロレス技の応酬が繰り返される中、母親の菜月菜穂子がそろそろお腹が空いたから、朝ご飯が食べたいとやって来る。

第30話 踏み出した一歩
もう戻ることのできない場所。どれだけたくさんのものを与えられていたのかを改めて知ったスバルだったが、もう何も返すことはできない。やらなければならないことを全て思い出したスバルは、賢一、そして菜穂子と別れ、学校へと向かう。意を決して教室の扉を開けると、そこには制服姿のエキドナがスバルを待っていた。思ったよりずいぶんと早く着いたと話すエキドナに対して、スバルは制服姿がよく似合っていると返す。

第31話 少女の福音
ロズワールの屋敷でスバルを襲ったエルザの凶刃。命を奪われてしまったスバルは墓所の中で目を覚ます。過去と向き合うという一つ目の試練を突破した直後へと戻ったスバルは、最初に目覚めたときと同じように横たわるエミリアを抱き起こし、リューズたちの元へ戻る。そこでスバルは自分が試練を突破したことを話し、エミリアの代わって残りの試練に挑んではどうかと提案するが、その提案はガーフィールによって反対されてしまう。

第32話 ユージン
例え終わる世界であってもレムだけは傷つけさせないとドアに手をかけたスバル。しかし目の前に広がったのはベアトリスがいる禁書庫だった。エルザの襲撃に対して沈黙を貫いていたベアトリスに間一髪というところで命を救われたスバル。しかしスバルはベアトリスになぜ皆が殺されてしまう前に助けてくれなかったのかと叫ぶ。口論しながら揉み合いになるスバルとベアトリス。そんな中、見覚えのある一冊の本がスバルの視界に入る。

第33話 命の価値
ガーフィールに捕まり、監禁されていたスバルを救い出したオットー。エミリアが試練に挑んでいる間、ガーフィールは墓所を離れることができない。今こそ結界の外に逃げるチャンスだと言うオットーに対して否定的なスバル。しかし、ラムが協力者として力を貸してくれることを知り、さらにラムのスバルへの手助けがロズワールからの指示だったことを聞かされたスバルは、逃げることを一旦止めて、ロズワールの元へ向かう。

第34話 らぶらぶらぶらぶらぶらぶゆー
兎の姿をした得体の知れない何かの群れに食い殺されてしまったスバル。半狂乱で目を覚まし、横たわるエミリアの傍で硬い石の床に額を何度も打ちつけるうちに、スバルは再び魔女の茶会へと招かれる。そこでスバルはエキドナに今まで口にしたくとも決して話すことの出来なかった死に戻りの能力を語る。スバルの話を聞き終えたエキドナは、スバルに力を与え、苦難を歩ませた存在である嫉妬の魔女について話し始める。

第35話 地獄なら知っている
墓所から外に出たスバルが目にしたものは、辺り一面を覆い尽くす黒い影だった。突如として現れた嫉妬の魔女によって、何もかもが黒く飲み込まれていく。スバルは駆けつけたガーフィールによってどうにか難を逃れるが、嫉妬の魔女は執拗にスバルたちの後を追う。自らを囮に使えと言うスバルを遮って、追いかけてきた嫉妬の魔女を迎え撃つガーフィール。しかし、嫉妬の魔女が相手では為す術もなく、黒い影は全てを飲み込んでしまう。

第36話 死の味
ロズワールの屋敷でいったい何が起きているのか。事態を見極め、対処法を見つけるため、ロズワールの屋敷へと戻ったスバル。エルザの襲撃に備えて、フレデリカたちをアーラム村に避難させたスバルは、ベアトリスのいる禁書庫へ向かう。スバルはベアトリスを禁書庫から連れ出そうとするが、ベアトリスの願いはスバルの思惑とは別にところにあり、会話は平行線を辿る。そして入れるはずのない禁書庫にエルザが姿を現す。

第37話 魔女たちの茶会
墓所で目を覚ましたスバルは横たわるエミリアを見て、エミリアだけでなく、聖域やロズワールの屋敷を襲う脅威の全てを退け、誰も彼も皆を救ってみせると決意を新たにする。ロズワールは、自らの目的を果たすためなら、スバルの力を使って無理やりにでもやり直しをする覚悟を持って行動している。果たして何がロズワールにそこまでさせるのか。様々な謎への答えを求めて、スバルは再びエキドナの元へと向かう。

第38話 泣きたくなる音
二つ目の試練の中で様々な出来事を垣間見たスバル。擦り切れてしまいそうになったスバルを動かしたのは、スバルのことを誰よりも愛してくれて、そして誰よりも厳しい人だった。目を覚ましたスバルは、力を貸そうと手を差し伸べるエキドナに、その手を取ることはないと告げる。そのとき闇のヴェールを纏った嫉妬の魔女が姿を現し、彼女もまたスバルに手を差し伸べる。その手を拒絶したスバルは誰の手も借りず自らの力だけで全てを解決すると叫ぶ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7

78.1 6 不気味アニメランキング6位
PERFECT BLUE -パーフェクトブルー(アニメ映画)

1998年2月28日
★★★★☆ 3.9 (656)
3056人が棚に入れました
アイドルグループのチャムに所属する霧越未麻(きりごえ みま)は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させ(つつも事務所の方針に流されるままに)、ドラマ出演でレイプシーンを演じる。さらにはヘアヌードのオファーが来るなど、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく未麻。しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

こんな怖いアニメがあるとは

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 80分の作品。初見だと思って見ていたのですが、いくつか見覚えのあるシーンがありました。TV(WOWOW?)でやってたのかもしれませんし、どこかでトレーラーを見たのかもしれません。ちゃんと見たのは初めてです。

 いわゆるサイコサスペンスに属する作品です。ショッキングなシーンも多いし、音楽も怖いしで、いろいろと大変でした。でも、おばけ的な超常現象を扱っているわけではないので、ホラーってわけではないのかな。まぁ幻想をおばけと捉えればホラーと言えなくもないけど、謎解き要素が強いのでやっぱりサスペンスのがしっくり来るように思えます。この辺のジャンル分けは人によるかも。
 この作品の楽しみの一つに、いくつか発生する事件の犯人を探し当てることがあるのですが、現実の世界と妄想の世界と劇中劇という三つの世界を使うことによって、あの手この手でミスリードを誘ってきます。最終的には犯人が明らかになりますし、劇中劇が一部事件の解説をしてくれているので、最後まで見ても分からないということはないでしょう。今敏監督作品を見たことがない人は、この作品から入っていくのがいいかもしれません。客観を排して主観に傾倒した今敏監督の特徴そのままに、分かりやすいストーリーになっています。

印象に残ったシーン:{netabare}
 レイプシーンの直後の、メイク室で鏡台の電気を消すシーンが印象に残りました。この作品には2種類の光の描写があって、一つは普通の光、もう一つはスポットライトの光です。この鏡台のシーンでは、スポットライトからの延長で光が使われています。つまり、アイドルの光。この光をミマ自身が消して、ため息をつき、その後に長い静止が描かれていました。「あ、アイドルのミマは死んだんだな」って、ストンと気持ちが落ちてしまいました。「死んだ」というよりは「ミマ自身が殺してしまった」というほうが正しいかもしれません。ルミにとっての「アイドルのミマ」が死んだシーンでは、ルミがたくさんの涙を流していましたからね。それとの対比で描かれた静かな死にやられてしまいました。その後の展開に関わる重要なきっかけとなったシーンでした。{/netabare}

エンディングについて:
 今敏監督作品の特徴は、エンディングにあると思うんですよ。私が今まで見てきた「千年女優」や「パプリカ」は、エンディングで明かす内容に違いはありますけど、最後に一気に収束する手法は同じだと思いました。パーフェクトブルーも同様なのですが、パーフェクトブルーとこれらの作品を比較すると、エンディングでのカタルシスは少し弱いように感じました。これは、事件の犯人探しに注視してしまう視聴者側の心理が影響しているのだと思います。犯人が分かり、事件が終息した段階で、こちらの気持ちが一段落してしまうので、エンディングまで緊張感を維持しておくことが結構難しいんですよね。一方で、この作品はサイコものですので、エンディングでの一言は、異様なぞくぞく感がありました。
{netabare}
 エンディングの最後のセリフは「私は本物だよ」でした。このシーンを見たとき、正直に言って意味が分かりませんでした。結局このシーンだけ繰り返すハメに。。。
 今敏監督のもう一つの特徴として、「嘘がない」ことが挙げらえると思います。登場人物たちは、基本的に本当のことしか言わず、その真意を隠すために映像表現を使っている、という印象を私は持っています。登場人物も嘘を言い、映像でも煙に巻くとなると、もう作品として成立しませんから、この感覚はおそらく正しいと思われます。つまり、上記のセリフは、裏読みさせるための「偽物」を言いたかったのではなく、やっぱり「本物」であることを言いたかったのだと思います。作品自体でなく、監督の傾向から作品の解釈を進めるのはいささか卑怯な感じもしますが、さすがに3作品目なので勘弁願います。

 問題となるのは「何が本物」だったのか、です。一応、エンディングに至る流れを確認しておきます。
 ミマは、アイドルのミマに化けたルミをトラック事故から助けます。そして、病院のシーンに移って見舞いをし、車に乗るところで先のセリフに至ります。これが一連の流れです。

 トラックのシーンで重要なのは、ミマが助けたのはルミではなく、「アイドルのミマ」だということです。ルミがトラックの前に出る直前は、化けたルミでした。そして助けられた後も化けたルミです、しかし、ミマが助けた瞬間は、スポットライトを浴びた「アイドルのミマ」として描かれています。ミマが見たのが化けたルミであれば、トラックから助けなかったかもしれません。しかし、ミマは「アイドルのミマ」を見てしまいました。だからこそ助けたのだと思われます。
 「アイドルのミマ」は、女優を目指すために穢れてしまったミマを非難する存在として描かれてきていました。つまり、暗黒の現在に対する栄光の過去の象徴です。彼女を救うための直接的な要因には乏しいので、なんらかの意図があったと考えるべきでしょう。この描写は、現在のミマが過去のミマを救った、すなわち、現在と過去が対立から共存へと軸を移したことを表現していたのだと思います。

 次に病院のシーンです。このシーンで重要なのは時の経過です。病院より前のシーンでは、髪の毛は肩までですが、病院のシーンでは胸元近くまで髪が伸びています。この時間の経過で描かれているのは、「ミマの出世」です。どれほどの時間が経過しているのかは明らかではありませんが、少なくとも劇中劇が成功裏に終わったのだと思われます。医師と看護師のセリフから、ミマが女優として成功したことが分かります。
 もう一つ重要なのは、ミマのセリフです。「もう会えないのは分かっているんです。でも、あの人のおかげで今の私があるんですから」と言っています。このセリフをルミに宛てたのは当然ですが、アイドル化したルミに宛てているということは、「アイドルのミマ」に宛てたことと同じであることに注意しなければなりません。アイドルの自分に戻ることは出来ないけれど、アイドル時代があったから女優として成功した今の自分が存在している、と読めます。ここでも、過去の自分に対しての対立ではなく、共存または許容が描かれています。

 最後にエンディングのセリフのシーンです。このセリフを発しているのはバックミラーに写った「アイドルのミマ」です。現実のミマは茶髪になっていますから、バックミラーに写った黒髪のミマは現実のミマでないことは明らかです。話しているのはあくまでも「鏡の中」のミマです。つまり、「アイドルのミマ」が「私は本物」であると言っているのです。これを乗っ取られた的な発想で見てしまうのはミスリードで、トラック事故と病院のシーンから続く共存・許容の先にあるものであることを踏まえなければいけません。したがって、幻想であったアイドルのミマが、現在のミマにとっては「本物」と同格になったということです。二人のミマの対立が、二人のミマの共存に至り、一人のミマとして消化・融合されたということなのだと思います。もちろんこの結論に至るためには女優としての成功、つまり新しい自分の居場所が確立されることが不可欠でした。

 この最後のシーンを見て、「あ、そういう話だったのか」とキョトンとしてしまったのですが、現実に置き換えて考えると非常に分かりやすいテーマなんですよね。高校や大学への進学、就職や転職の際に、想像していた生活と現実の生活のギャップに苦しみ、時には過去を美化してしまうというのは往々にしてあることだと思います。この乖離がもたらす自己喪失が、作中では「私は誰なの?」というセリフでたびたび繰り返されています。そして、幻想のミマも「あの光の中には戻れない」と言っていました。このギャップを乗り越えるためには、エンディングでミマが言うとおり、「過去には戻れないけど、過去があるから今がある」という一定の割り切りが必要になるということなんだと思います。ちょっとチープな表現ですが、五月病とかホームシックの乗り越え方と変わらないわけです。そう思えば、少し見やすくな…らないですねwそこに至るまでが怖すぎますw
 テーマは新社会での自立ですので、別人格などの表現はテーマを描くための手段に過ぎなかったのだと思います。そうは言ってもインパクトは大きいですけどね。このような手段とテーマの使い分けは、エンディングを踏まえて考えれば、「千年女優」よりは「パプリカ」に近いように思えます。エログロ部分は置いておいて、この作品における表現の部分が気に入った方は、「パプリカ」も好まれるのではないでしょうか。{/netabare}

対象年齢:
 R15であることは前提としても、人を選ぶような気がします。エログロとそれに関する暴力描写が苦手な人は極力避けた方がいいと思います。もし、視聴するのであれば、自分のメンタルケアができる準備をしておいた方がいいでしょう。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 18
ネタバレ

Tuna560 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

『PERFECT BLUE』作品紹介と総評+考察「自己の確立と乖離」

今敏監督が初監督を務めた作品。
「アイドル」「ホラー」「熱狂的なファン」の3本柱から展開されるサイコスリラー作品です。

(あらすじ)
アイドルグループのチャムに所属する霧越未麻は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させつつも事務所の方針に流されるままに、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく。
しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。本当の自分の姿なのか。自分が望んだことなのか。そんな疑問を抱く中、何とかインターネットに接続して見たホームページに自分の行動が本人の記憶以上に詳しく描写されていることに気づく。未麻はストーカーに監視されていたのだった。また、未麻の周辺で関係者が次々と殺される事件が発生する。(wikipedia参照)

まず初めに…「よくこれをアニメでやろうと考えたな!」という感想しか思い浮かびませんでした。過激な描写と内容の連続で、視聴にはそれなりの覚悟を要すると思われます。いやはや、「R-15指定」というレーティングをされているだけの事はあります。

物語としては”主人公視点の思考を体感するサイコホラー”とでも言いましょうか。”現実の自分”と”なりたかった自分”の乖離が引き起こしたストレスにより陥った不安定な思考が描かれ、視聴者に対しても”現実と非現実”が混同する感覚を引き起こさせます。この事もあり、最後の展開はなかなかスリリングなものに仕上がっていると思います。

作画もセル画主体ですが、全体的に綺麗に描かれています。ただ、キャラデザで敬遠される方もいるでしょうね。登場人物の大半が目が離れている(いわゆる”インスマス面”)のため、不気味に感じる方も多いと思います。しかし、この不気味なキャラデザがさらに物語自体を引き立てていると思うので、個人的には違和感なく観る事が出来ました。

さて、いろいろと考察が出来る本作ですが、ここからは心理学的な考察をしたいと思います。
テーマは本作のキーでもある「自己乖離」についてです。


{netabare}・自己の確立と乖離
まず、自己乖離の「自己」とは何かという事について説明したいと思います。
”自己(自我)”とは”自己意識”のこと。つまり、「自分は何者か」という事を意識する事です。この意識をしっかりと確立することを”自己同一性(アイデンティティ)”と呼びます。

この事について、心理学の祖でもあるドイツの哲学者カール・ヤスパースは以下の様に定義しています。

・アイデンティティ確立の4つの指標
1.能動性自我意識=自分が考え、感じ、行動しているという意識。
2.単一性自我意識=自分は単一の存在であって、複数ではないという意識。
3.同一性自我意識=過去と現在の自分が同一人であるという意識。
4.限界性自我意識=外界や他人に対する自我の意識。

上記の4つが全て揃って自己は確立されますが、1つでも損なわれれば自己は喪失されます。
これが”自己乖離(自己喪失)”と呼ばれるものです。

自己乖離に陥れば、自分が自分であるという感覚や意識が失われ、解離性障害などの精神疾患を引き起こす原因にもなります。
私の考えでは、未麻はこの状況に陥ったのではないかと思われます。


・未麻の症状(内因性精神疾患)
未麻はアイドルから女優に転向する事で、自らのスキルアップを目指しました。しかし、来る仕事は思っていたものとは違い、その事が苦痛となりストレスを感じる様になります。そして、自身のファンが制作したホームページを見た事がきっかけで、アイドル時代に戻りたいという願望を抱き始めます。

これは”現実の自分(辛い女優業)”と”なりたかった自分(充実していたアイドル業)”の乖離を引き起こし、自身のアイデンティティが失われたこと(自己乖離)だと言えます。「4つの指標」で言えば、3つ目が喪失しているという事ですね。

この結果、自身のアイドル時代の幻覚を見たり、自身と自身が演じる役との混同などの精神疾患的症状が現れます。

「何が現実で、何が非現実か」という区別がつかず、自分自身を信じられなくなっていきます。物語自体が彼女の視点で描かれているため、必然的に視聴者も同じ感覚に陥ってしまうのです。しかし、本作のストーリーがややこしいのにはもう一つの要因があります。”自己乖離”に陥ったのは彼女だけではないからです。


・”犯人”の症状(解離性同一性障害)
殺人を実行した当人も未麻と同じく”自己乖離”を引き起こし、精神疾患的症状に陥いってしまいます。

未麻の熱狂的なファンである犯人も彼女と同様に”現実の彼女(女優)”と”理想の彼女(アイドル)”の乖離を引き起こし、自己乖離を引き起こします。ただ、未麻と違うところは”理想の彼女”を自身に投影してしまった事。この事により、自身と”理想の彼女”との混同に陥り、もう一つの人格を形成してしまった。それが”解離性同一性障害”です。

解離性同一性障害とは簡単にいえば多重人格症状のことです。投影された人格が一人歩きをし、彼女を女優業へと誘った人物達に復讐を加えるだけでなく、最終的に”現実の未麻”をも否定するまでに至ってしまったのです。

”恋は盲目”という諺がありますが、熱狂的過ぎるファンも同じ心情だったのではないかと思います。


・熱狂的ファンは盲目
この犯人の心情(理想への盲目的な愛)に近いと感じてしまった出来事があります。(実際に私が経験したわけではないですが…)
それは”2次元キャラへの熱狂的ファン”です。

よく耳にする謳い文句に「〜は俺の嫁!」というものがあります。ようは「私の最も好きなキャラは〜です」と同義ですね。しかし、この発言に対してそう感じたのではなく、この事を”実際に行動として起こす現象”の話を聞いて異常と感じてしまいました。

例えば、過去に『ラブプラス』という恋愛ゲームが流行りましたが、ゲームの中の彼女と実際に宿をとって旅行に行ったという話があります。また、好きなキャラとともに誕生日やクリスマスを祝うという話もありますね。キャラの画像と対面してケーキを食べるそうですね。

この様な行動や現象も”自己乖離”ではないかと私は考えます。
自分の”理想の彼女”と同じく自身を2次元キャラに投影し、あたかも自身が二次元世界にいるかの様な錯覚を起こしているのではないか。”リアル”と”ヴァーチャル”の境が見えなくなるという話をよく聞きますが、まさにその典型的事例に思います。

”萌え”というのは、所詮幻想に過ぎず、現実にあらず。
私が”キャラを愛でる”という事を理解出来ないのは、この考え方のためですかね。

この作品は、現代の”この様な事態”を予見していたのかもしれないですね。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31
ネタバレ

アイコン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「パーフェクトブルー」意味は察してください。

原作未読。

といっても、
原作とはかなり違う仕上げに
なっているようです。
ざっくりとした原作のテーマだけを
並べて題材にした作品のようで、
原作はあってもないようなものです。
なのでまぁかなりオマージュを加えた
原作派生のオリジナル映画として
受け取って頂ければと。
その原作者様からも
「好きにつくってくれ」と
言われたそうです(笑)
本当は実写化の予定だったとか。
なので、
「パーフェクトブルー」という
今作のタイトルはあまり意味を
成していないようです(笑)

そんな今作、今敏さんの監督としての
処女作だそうで。
実はこの人の作品は妄想代理人しか
見ておらず、個人的に言ってしまうと
妄想代理人が面白くなかったので
名作と謳われる今作もそんなに
期待していませんでした。
そんな状態で見させていただきました。

それでは、今作の感想を述べていきます。

まずは物語や舞台設定から。

この作品のスゴいところは
皆さんが語っているように
90年代の映画とは思えない
現代的で斬新なテーマを
取り扱ったものだと言うこと。
それは他の方が説明してくれているので
ここでは省きます。
なので当時この作品を見た方は衝撃を
受けたのでしょうね。
元アイドル女優という設定も上手く活用され、
良くできていたと思います。
この間、インランドエンパイアという
これと似たような洋画を見たのですが、
もしかして今作の影響を受けているのでは?
という気がしています。
このパーフェクトブルーを元にした
「ブラック・スワン」という
映画も作られたそうですし、
とあるシーンのために版権を取った作品も
あるようで、この映画がかなりの人に
影響を及ぼしたことが伺えます。

ただ……演出がちょっと。

シリアスギャグや次シーンへのシフト、
そして表情や動きの描き方、
それはすごくよかったと思います。
かなり人間的にキャラが動いて
人間臭さを覚えるほどだし
あのファックス音からのBGMへのシフト、
すごく印象に残ってます。
アニメ的でとてもよかったと思います。

でも、無駄にエロいシーン、無駄にグロいシーン。
多々ありました。グロい描写はまぁ
出てくるタイミングや設定的にも
処理できるのでまだ良いのですが
エロいシーンはちょっと……。
突起物どころか、下の毛まで写す始末(笑)
ホントクソありがとうございましたm(__)m

正直、あんなに過激でなくても
もっと不条理を描けたのではないのでしょうか。
多分監督の自己満足も入ってるのでは(笑)
だって、女性のあれやこれやが写るわりには
男性の描写はほとんど隠れてるんですよね。
まるで監督の「男のモノなんぞ見たかねぇから、
全部隠しちまえ」みたいな思惑が
所々伝わってくる感じで(笑)
今敏監督、もっと欲抑えようぜ(笑)

あと、ホワイトアウト→開眼ッ!!
がちょっとくどかったかな(--;)
ああいったオチならもっと
減らしてもいいような気がします。
作品のテンポを悪くしていました。

{netabare}そして個人的に、
少しルミさんについて言わせてもらうと、
ルミさんはあくまで
「アイドルとしてのミマ」を
自分の中に具現化しただけのはずです。
それなのに邪魔だからといってそうも
簡単に人を殺せてしまうのでしょうか。
解離性同一障害だからといって、
人格が変わったら平気で
人を殺してしまうものなのでしょうか?
サイコパスとしか思えません。
つか、あれがミマを具現化したというなら
あんたはミマの何を見たんだと(笑)
そんな風に思ってしまいました(笑)
アニメ的に表現した、これはサイコホラーだ、
と言ってしまえばそれまでなのですが、すいません。
私はどうも受け入れられませんでした。
まぁ、「催眠」というどこかの日本映画のように
多重人格サイコホラーだからといってラストが
ギャグになってしまうようなものではなかったので
よかったです、いい具合のシリアスギャグでした(笑){/netabare}

作画は昔の作品としてはかなりいいです。
音楽もよく、劇中でかなり
不安を煽ってきてくれました。
声優さんも皆上手く、
潤子さんの演技は主役さながらの
演技を見せつけてくれていました。

でも、その声の中に
まさかサトシがいるとは(笑)

ホラー要素については、
ホラー映画やアニメをよく見る方なら
平気でしょうが、耐性がないと
+エログロ描写もあるのできついかと。
なのでよく考えてから見てください。

でも、深いとこに突っ込まなければよく
出来ていたなぁと思います。
自身や人間関係での悩みは必ずしも
その自身の周りだけの問題ではなく、
社会にも影響してくるものだと思います。
そして、その社会自体が本当は
主な問題の原因だったり……。
そしてそれがまた、人間関係の
すれ違いを起こす原因となったり。
これは、それに気づかない人たちの、
視野の狭い偏見的な考えや思い込み、
そんな人間の心理の恐ろしさを
描いた作品だと思います。
そしてその上で、
ミマの自分自身への葛藤や不安を描くという
ストーリー的な部分もあり、
所々ミマ以外の心理描写は
詰めが甘い気もしますが、
(わざとあまり描かないようにしてるのかも)
かなり作り込まれているなあと
私は思いました。
しかも80分強でこのクオリティ。
かなり上手く詰め込まれた気がします。
万人が見れる作品ではありませんが、
見ても損はしないと思います。
個人的にものすごく面白い!
というわけではないんですが、
かなりテーマ性に長けた作品です。
是非ご視聴を。


今度は東京ゴッドファーザーズやパプリカも
見てみようと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

73.8 7 不気味アニメランキング7位
見える子ちゃん(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (385)
1247人が棚に入れました
見えるはずのないものが見えたとき見てはいけないものを見たときあなたならどうしますか……?そんなものが語りかけてきたらこちらに向かってきたらあなたはどうしますか……?一目散に逃走する?あやしげな術を学び、もしくは霊媒師を頼り、戦う?女子高生・四谷みこの取った行動は――徹底的にスルー!なんにも見えていない、気づいていない!これは、鋼の精神とスルースキルを駆使して女子高生が異形な“ヤバい"やつらを回避するお話……見えていないだけで、そいつらはあなたの隣にも、ほら……
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

尻上がりに面白くなるのがいい。名作ではないですが佳作と言えます。

 面白かったと思います。見えるだけ、の話から主体的なかかわりも出てきましたし、ほろっとする話やちゃんと過去からの因縁や家族みたいな原因もストーリーに組み込まれていました。

 あの狐…なんでしょうか。2人組。あれがもっと見たかった。あの風船の子供に使っちゃったのは話としてもったいなかったですね。夢オチ的なシーンがありましたが…あれはなんでしょうか。続きが見たいところです。

 霊がテーマの話っていくらでも広げられますからね。その意味でセンスや話作りの力量が問われるところですが、本作については大変良かったです。一話一話のエピソード、キャラ作り、ギャグとシリアスの混ざり具合、エロ要素。エンターテイメントしてしてかなりの出来でしょう。
 中心キャラは3人のヒロイン、占い師、弟、先生、スキンヘッド…くらいしかいなかったのに、飽きませんでした。
  
 なにより尻上がりに面白くなってゆくのが、良かったです。尻つぼみが最悪ですからね。

 テーマ性は…まあ、無いという事でいいでしょう。エンタメに振っていると思ったほうがこの作品の評価を間違えないと思います。

 名作、傑作ではないですが佳作、秀作ですね。この水準のアニメが沢山あると選択の楽しみが生まれてきます。オール4がぴったりの評価だと思います。

 作画も演出も良かったので、ぜひ続きがアニメで見たいです。2期をお願いします。




6話 先週登場の新キャラ展開でいくと思ったら、来ましたね。すごいのが。で、最後何か言ってましたね。
 つまり今後なんかあるということでしょう。楽しみです。


5話です。 {netabare}まあ、とりあえず新キャラ出すしかないですよね。設定は無視しないとひどい目に合うというので固定なのかなあ、と思ってたら、ちょっとだけ違う要素がありましたね。
 で、ごめんなさい。エロシーンを楽しみにしていた自分に気が付きました。{/netabare}


4話見ました。そろそろ筋が通った何かが欲しいところです。
{netabare}今回の話はなかなかぞっとさせてもらいました。そう来ましたか。まあ、古典的なんでしょうけど、上手でしたね。また、ED後に「なるほど」を持ってくる構成は良かったです。
 裸が多いですが、絵柄の関係かまあやらしくはないのでコメディとしていいと思います。が、弟くんって5年でしたね?距離感やばくないですか。お風呂で背中を流してもらうとかもそうですけど、冒頭シーンはほとんど夜這い…よくあれで悲鳴あげませんよね。

 さて、そろそろ一本筋が通った何かが欲しいですね。謎とか、解決すべきやばい霊とか、体質改善とか、意思疎通できるとか。見える恐怖だけだと限界があるでしょう。現状なかなか良くできているだけに、飽きさせるのはもったいないですね。{/netabare}


 2話まで見ました。ちょいエロ日常怪奇系?出落ちでなければ面白いかも。1話で怪奇現象が全然起きないし、起きたら起きたでただ見えるだけなので大丈夫かなあと思っていたら、2話は結構面白かったと思います。

{netabare}  この娘は結局スマホの怪奇現象でビックリしてスマホを落としていましたが、あれで怪奇現象が見えるようになったということでしょうか。それにしては、バス亭のところで落ち着いていましたね。
 ですが、1話前半の鏡のところで、手の跡がついていても怪奇現象に気が付かなかったですが、後半では気が付いていましたのでそういうことなんでしょう。
 なお19分50秒くらいのシーンですが、ここの鏡に映っているヒロインの作画がカメラのアングルからいってかなりおかしかったのは怪奇現象?それとも作画ミス?
 本作はホラーの演出として鏡を多用しているように見えます。これを手書き作画でやるのは恐らくかなり難易度が高いことは想像できますし、非常にチャレンジングで素晴らしいと思いますが、だからこそここは丁寧にやるべきだったと思います。

 ちょっとエロい感じと日常の怪奇現象を楽しむ話なのでしょうか。新ジャンルといえば新ジャンルだし、怪奇映画はなぜかエロシーンがあるので伝統ともいえます。「伯方の塩」(作中は彼方の塩と表記)って瀬戸内海方面でかなり有名なCMの塩らしいですが、これがギャグなのか真面目なのかわからないところが味なのでしょう。
 アルコールとかちょっと笑ってしまいましたし、猫の話も悪くないと思います。まあ、一気見はつらいですが、2話くらいなら面白く見られました。

 出落ちじゃなければいいのですが。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 26
ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

観るつもりはなくても、つい、"見"ちゃいます → 結局、必ず"見"ちゃうぐらい面白かったです。

■ 2021.11.13 4話目視聴時 ■

1話目を観たとき、確かにコンセプトは面白いと思いました。
ヤバいやつらが"見えちゃう"とか、そいつらを"ガン無視"貫いてギャグにするとか。
でも、自分は、怖いの苦手だし、夜怖いし、ヤバいやつら気持ち悪いし・・・。
それに、このワンパターンな展開で12話まで引っ張られてもねぇ~って感じで。
早い話、1話で"ガン無視"しました(切りました)。

しかし、日中の明るい時に30分ぐらい時間を持て余すと・・・、
つい、"見えちゃう"、もとい、"見"ちゃうんです。

そこまで観たい作品でもないのですが、これは、何なんでしょう・・・。
"怖いもの見たさ"でしょうか・・・。
その後、主人公がどうなっちゃうのか気になってしまうんでしょうね。

話が進むと展開もワンパターンではなく、少しずつ変化があることも分かります。
ヤバいやつらの中には、逆に見えてよかったと思えるやつらもいます。
また、ヤバいやつらに対抗するヤバいやつらもいます。

自分は、基本的に一気観派ですが、この作品は、一気観は辛いかも。
気づいたときに、ふと"見えちゃう"ぐらいが丁度良い気がします。

ちなみに夏アニメでやった方がよかったのでは?と思ったりします。



■ 2021.12.22 最終回視聴済 ■

結局、毎週、必ず"見"ちゃうぐらい面白かったです。

やはり、漫画原作は、外れが少ない気がします。
今年だったら、メイドラゴン、シャドーハウス。
やはり、絵と物語について、読者の厳しい評価をくぐってきているだけあります。
漫画とは、ある意味これ以上のものは無いぐらい、最高の絵コンテなわけです。
そして、その絵コンテを既に万人が評価していますから。

主人公「みこ」を守護するおかっぱのお稲荷さんズが妙に可愛く見えてしまいました。

また、何よりもその「みこ」を演じる雨宮天さんがよかったです。
いつのまにか隣にいるヤバいやつに対峙する時の演技は、さすがでした。

KADOKAWA公式のデジタルコミックでは、「みこ」を種﨑敦美さんが演じています。
こちらも結構良かったです。
もし興味がありましたら、下記YouTubeをご覧になってください。
『【公式】『見える子ちゃん』第1・2・6話(試し読み動画)ボイスあり』


物語の最後は、いろいろ伏線を残しまくりで終わってしまいました。
これでは、続きが気になって仕方がありませんね。

それでも、最後にみこが大切なメッセージも残して締めてくれたので良かったです。
それは、「見て見ぬふりをしてきたものにちゃんと向き合おう」と言うことでした。
結構、はっとさせられました。



【余談】自分の"見えちゃった"体験
{netabare}
自分は、霊感がある方ではないと思いますが、中学生のときの話です。
自分は、いつも通り一人で和室の畳の上に布団を敷いて寝ていました。
ある夜、金縛りに遭いました。
それだけならよいのですが、枕元、頭の後ろに誰か立っている気配がしたのです。
てっきり弟が真っ暗闇の中で立っているのかと思いました。
「勝手に入ってくるな!」と怒ろうとしました。
しかし、声がかすれて出ないのです。
何度も何度も声を出そうとしましたができませんでした。
枕元に気配があるのは確かなので、手で掴もうとしましたが、もちろん動きません。
ふと視線をブラウン管テレビにやると・・・。
ぼんやりと浮かぶ白い影がガラス面に反射して"見え"ました・・・。
部屋は真っ暗ですし、枕元で何か光っているわけではありません。
でも、なぜかブラウン管には、縦長の白いもやもやした光が写り込んでいたのです。
その後のことは覚えていませんが、気づいたら朝でした。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 30
ネタバレ

ぬるま湯 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

原作の良さがわからずに各担当が好き放題してホラー寄りなのかギャグ寄りなのか定まらずエロだけが目立つ変態アニメになりそうだったけど軌道修正したっぽい

原作既読。
原作は主人公が霊に遭遇するたびに青ざめながらもポーカーフェイスを装いひたすら見えないフリをしてやり過ごし、後で涙目になるってところが魅力だと思っている。

序盤が酷くて中盤から持ち直した感じ。満足とまではいかなかったけど中盤以降は及第点。1期を反省した上で2期やるんなら見たい。


第5話時点でのレビュー
{netabare}第1話でボロクソに書いたけど良くなってきた。無駄なエロもなくなった。というか原作の良さがわかってきて普通に原作に合わせるようにしたんだと思う。最初からやってくれ。
父親とプリン、傷だらけで強面な猫好き、金庫の暗証番号、といった良いエピソードを変なことしないで普通にやってくれたおかげで視聴意欲が復活した。でも暗証番号の男性はネクタイが特徴的だったから翌日見かけたときに判別できたのにアニメではそれがなく、どこで判別したのか伝わらなかったのが残念。
ユリアが絡んで面白くなってきた。ユリアとの認識のずれが面白いので今後に期待。{/netabare}


第1話時点でのボロクソレビュー
{netabare}物語。まず最初15分何も起きない。イミワカラン。無駄になーんかホラーな空気を出してるだけ。あと無駄なエロ。トイレのシーン要る?ホラー展開につながるわけでもなくただトイレで用を足しただけ。変態アニメなの?教卓の下に落ちたものを拾うのに横の狭いとこから取ろうとして四つん這いのまま手こずってるのを尻から描写するシーン要る?黒板側から一瞬で取れるだろ。ローアングルも多いし。原作知らなければ「この主人公は視聴者にエロを提供する女子高生」っていう第一印象になるのでは?すごく不愉快。アニメにエロがあること自体は全否定はしないけど使いどころが雑なのはイヤ。冒頭述べた主人公の魅力を出す前にエロを見せるとか論外。
そしてようやくのホラーシーンがスマホがバグる幻覚(?)。ナニコレ?霊関係ないじゃん。原作にないアニメオリジナルを最初のホラーシーンにもってくる無神経さ。なんなの?世にも奇妙な物語でもやりたいの?この時点でアニメ製作者が「ぼくのかんがえたこわいあにめ(原作なんて知らん)」をコンセプトにしてるんだろうなと感じてイライラした。原作者かわいそう。
それでついに霊に遭遇するんだけど主人公の表情変わらず。って違うじゃん!主人公は確かに表情の変化に乏しいキャラだけど無変化ではない。無になって固まったりちょっと青ざめたりしています。霊に遭遇するたびに必ず主人公の表情が描かれています。その瞬間こそ視聴者が主人公に共感する瞬間でもあり笑う瞬間でもあり作品の面白さであるのにそれが無い。はっきり言ってセンス皆無です。次回以降が不安です。

声優。主人公の声が自分のイメージと違っていたけど元々無口なほうだし淡々としゃべるキャラだから可もなく不可もない。

キャラ。上述したように主人公の魅力を消してエロを売りにしてる感じが最悪。

作画。霊遭遇時の表情の変化が描かれていない。顔がビミョ~に可愛くない時があった。

音楽。音楽だけじゃないけどここで書く。OP本編の雰囲気と違い過ぎ。OPって視聴者に本編の雰囲気や魅力を伝えるものじゃないの?原作の雰囲気もアニメ本編の雰囲気もなく完全に独立してる。これも原作なんて知らんって担当者が好き勝手に自分の趣味で作った印象。チグハグ。

まとめ。各クリエイターが己の個性をアピールするために原作を無視した結果、バラバラでまとまりのないアニメになってしまった感が否めない。とりあえず原作1巻の表紙を見れば雰囲気の違いが感じられると思います。{/netabare}


いやホント原作読んでなかったら1話切りしてたね。マジで。制作陣は反省してほしい。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13

69.3 8 不気味アニメランキング8位
バビロン(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (370)
1137人が棚に入れました
「その啓示は、静かにそっと訪れる―」東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社の不正事件を追ううちに、一枚の奇妙な書面を発見する。そこに残されていたのは、毛や皮膚のまじった異様な血痕と、紙一面を埋め尽くすアルファベットの『F』の文字。捜査線上に浮かんだ参考人のもとを訪ねる正崎だが、そこには信じがたい光景が広がっていた。時を同じくして、東京都西部には『新域』と呼ばれる新たな独立自治体が誕生しようとしていた。正崎が事件の謎を追い求めるうちに、次第に巨大な陰謀が見え始め――?

声優・キャラクター
中村悠一、櫻井孝宏、小野賢章、M・A・O、堀内賢雄、興津和幸、宝亀克寿、置鮎龍太郎
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

萌えと怪事件

【2020/03/12 末尾に追記】


怪事件を巡り、架空の政治的特別区で、生と死や、正義と悪を揺るがす政治的/法的闘争が開始される。

といった展開を予期させる冒頭の数話だが、「重そうな」要素は、サスペンスの設定のために効果的にそう見せかけるための装置に見えるので、あまり本質的ではない「哲学」への拒絶感で視聴を遠ざけるのは筋が違う気がする。

政治特区や検察特捜部などの「道具立て」がリアリズム的な効果を期待されながら、現実の「特区」は首相や有力閣僚のお友達に利権を分配する装置になっているとか、現実のアメリカ大統領は知性や熟慮とは100パーセント無縁の人物であるといった、作中のリアリズムが「現実」に減殺されてしまうような事態は、本作のせいではないので少しばかり気の毒だ。
が、必ずしも作中の「フィクション」性と「現実」が分離しきれていないところが、同情だけしてはいられない視聴感をもたらす。(後述)


なぜ人を殺してはいけないのか、という難問が中二病的な空想の産物に過ぎないように、なぜ自殺はいけないのか、という問いも、現代の視聴者が感じるほどの「深さ」はない。

文明との接触が限定的な狩猟採集の伝統社会においては、嬰児殺し=子殺しが広く観察されていることはよく知られた事実だ。
が、入手可能な食料の総量と人口とのバランス調整の手段は、「子供を減らす」に限ったことではなく、「高齢者の自殺」という形でも行われている。
そうした社会では、老人が自主的に自殺していく、あるいは老人の自殺の幇助は、自然な決断や称賛されるべき名誉ある行為とされているらしい。

伝統社会で観察されるという事は、人類史において、広範な範囲にわたって「名誉ある自殺」(と幇助)が存在していたことが推察できる。
日本の「姥捨て山」のお話にしても、老母を「殺す」というよりも、老人の「自殺の幇助」という習慣であるとも見ることが可能だ。

状況によって評価が変わる行為が「深く」見えるのは、問い自体の「深さ」というよりも、語りの「レトリック」の問題だろう。
相対的に「評価」される行為を、絶対的な「善悪」の価値と結びつける「レトリック」は、もう一方では「絶対的」な価値を「相対的」に引きずり落とすレトリックでもある。



{netabare}世界には、「正義」も「悪」もない。すべては相対的なのだ。
とは、中学二年生が言いそうなセリフだが、いい年した大人でも、どうかすると口走る。

中二であれば、人生でこうした考えに一度は向き合うことも大切だと思えるが、大人で口にする者が、得てしてブラック経営するIT成金だったりするところに、どっちもどっち論の幼さや無根拠性が表れている。


たとえば、虹の7色と言われるが、実際の虹はスペクトルであって、境目のないアナログな連続体であることはよく知られている。

ためしに赤色から橙色へ変化を追うとき、境目を見出すことはできない。
特定の波長を設定して、それより長いものは「赤」、短いものは「橙」と「定義」することはできるし、そうされてもいるが、それは光や色について取り扱う利便のために設定された「方便」であって、境界線のすぐ両側の「色」を見比べても違いを指摘することは困難だ。

「設定」は恣意的なものであり、「赤」と「橙」を区別する絶対的な境界線はない。
が、だからと言って、「赤と橙には違いは無い」、さらには「色の区別は不可能」といったことにはならない。

「境界線」の両側では、確かに違いを識別できない。
しかし、誰でも、「明らかに〈赤〉としか見えない」色や、「どうしても〈橙〉にしか見えない」色があることは「疑えない」。

「これは明らかに〈赤〉だ/〈橙〉だ」という直観(直感、ではない)、両者の区別の根拠はこれだと現象学は主張する。
「赤」を見たときに感じられる「あの感じ」。「橙」とは異なる「あの感じ」が現れることが、「赤」という直観を支える本質だ。
本質洞察されたこの直観によって、「赤」と「橙」の両者は峻別されるし、この区別=違いが直観されて不可擬であるからこそ、事後的に「区別」できない領域という疑惑が生じる。
論理的に、最初に区別が「ある」という確信があるからこそ、区別は「無い」かもしれない=「ある」は誤りかもしれない、という懐疑が生じるのであって、逆はあり得ない。
「境界線」、「定義」、の発想自体が、「ある」の確信の上にしか生まれないのも明らかだろう。

境界線の付近ではどちらの色か決定が困難に、あるいは不可能になるが、それは「ここでは決定できない」という「明確な」判断が下されるのであって、区別の原理的な不可能や、ましてや一切の決定不可能性を意味するものではない。

「正義」と「悪」にも、まったく同じことが言える。上記の「赤」と「橙」に、正義と悪を代入すればいい。
「色」も含め、あらゆる知覚像が人間にはアナログなものとして現れることが、人間にとって世界がアナログとして存在する根拠であり、「正義」と「悪」もアナログなスペクトルとして現れ出る理由だ。
取扱いの「利便」のために「境界線」が引かれるが、境界の設定や曖昧性は、正義や悪という区分の存在の不可擬性を脅かすわけではないし、善と悪の区別が一切不可能であると証明するものでもない。

中二病の患者が主張するように、「正義」も「悪」も存在しないのではない。直観に対する懐疑と再確認が「世界」での人間の振る舞いの実質だが、中学二年生はその経験を重ねる途上にいるだけだ。
中二じみた言動をする大人は、いい年して直観と本質洞察に無自覚なだけか、自覚しているなら意図的に「ウソ」を吐いているという事で、どちらにせよ真に受ける必要がない。


ついでに、作中の「政治」要素についても記しておこう。

哲学や倫理といった根本原理が、物語る設定のために意図的に「法律」という「利便」のための道具に重ねわされているように、政治もまた、本作内では変形している。

「正義」が「法律」という「方便」と二重化されているように、作中では「政治」は「多数決」という「方便」と一体視されている。

作中の「日本」は民主主義の「政治」体制だが、選挙=多数決の「多い意見を集める」ことは、国民が国民自身を支配する民主主義「政治」を具体的に運営する「制度」=「道具」に過ぎない。
何らかの方法で何が「国民の意思」かを可視化しなければならないし、意思が複数存在するならどれかに決めなければならい。
が、それは「利便」の手段、あるいは運用上の「限界」=「制約」であって、本質である「国民による支配」そのものではない。

選挙の投票率が著しく低い、あるいは意見投票がしばしば「どちらでもない」が多数になることがあるように、多数決=選挙が、そもそも投票者=主権者の「意思」=本質を反映できていない事態は当たり前に存在する。
そもそも「選択肢」から選ぶという選挙=多数決は「デジタル」であって、「アナログ」の本質は原理的に再現できない。
少数意見を切り捨てずに議論するというのは、せめて「選択肢」を精緻化して少しでもアナログの再現度を向上させる「実利的」な方法論であって、綺麗事のタテマエ論ではないのだ。

民主「政治」が「多数決」と同一視されるのは、今のところ「本質」を具体化する「道具」がほかに考案されずにいるからに過ぎない。

本作内での「政治」が、「本質」から離れた「多数決」の言い換えなのは、言うまでもなくサスペンスドラマの設定がパワーゲームの要素を必要としているからだ。
本作内の「政治」は、本質的な意味での政治とはかかわりのない、「ゲーム」の「ルール」の一部をなしているだけに過ぎないし、それゆえ作中で「政治」を問うことは見せかけに過ぎない。

作中の「政治」という言葉は、全て「架空の数取りゲーム」と置換して構わない。


作中で主人公が追い求める「正義」が揺らぐように見えるのは、「法律」の本質がまさに「利便」のための「境界線」であって、「正義」の本質とは異なるという食い違いによる。
「正義」が揺らいでいるのは見せかけで、揺らぎは「正義」と「法」の、本質の範疇的な違いが生み出している。

「正義」と「法」の範疇が混淆するのは、主人公の職業意識が反映されているからであり、サスペンス性を主人公視点で演出するからだ。
だが、終幕に至って、所属組織を離れ、職業上の立場を離脱してもなお、主人公の思考と価値基準が変化しないことで、サスペンス性が急速に拡散してしまう。

「サスペンス」は、怪事件が「捜査」され「真相」を追うことで発生していた。
だが、終幕では、「捜査」は放棄され、主人公は「職場」を離れる。

職場=捜査を離れることで、サスペンスを発生させる支点=視点の特権的な「立場」が喪失されているにも拘らず、行動の核である「職業的」信念が変化しない主人公は、中二病の自問自答じみた空虚な詭弁の狂言回しのように迷走し、「サスペンス」は決定的に喪失される。



それにしても、原作は小説のようだが、事件のキーパーソンの曲世という女性の造形は、まるでアニメ化のために創られたかのようだ。

いっさいの作為なく、対面する男の性的な欲動を(強制的に)挑発する、とは所謂「萌え絵」(の概念)をキャラクター設定にしているとも云えるだろう。

「乳袋」に代表されるような、現実からは不自然な衣服の張り付きや、皺の強調。
殊更にまくり上げられたスカート、しかし下着を描かない「はいてない」。
あるいは身体のひねりや指の微妙な曲線、「乳揺れ」、などなどなど。

描かれている(女性)キャラには挑発する作為などないと見せかけるイイワケを担保しつつ、性的な印象を喚起する「萌え絵」の技法。
こうした技法の数々に支えられる「萌え絵」の概念が、そのまま彼女のキャラクター設定に重なる。
と同時に、アニメ化に際して、こうした「萌え絵」の技法をなぞった描写をすることによって、このキーパーソンの特異「能力」を、最小限の説明で視聴者に納得させることが可能になる。

「意図的に」この「異能」で事件を操作する曲世愛というキャラクターは、まさに「萌えキャラ」構造の可視化という事になるかもしれない。
作為は無いという暗黙のイイワケを投げ捨て、「キャラ」「自身」が「自覚的」に「萌え」るビジュアルを誇示してきたならば、男子オタクは能天気に「萌え」つづける事はできるのだろうか。
彼女に「犯された」という同級生男子たちの証言は示唆的だ。

こうしたところが、本作が「アニメらしくない」物語ではなく、アニメならではのものだと思わせる。


バタイユの有名なエロティシズム論では、エロティシズムは、禁止によって規定されている人間存在が、規定された「禁止」線を「侵犯」することで立ち現れるのだという。

正義と悪の境界線=「禁止」の境界線を揺さぶり、混乱させる「犯人」=曲世が、性的イメージを喚起する「萌え絵」の化身のようなキャラクターであるのは必然だろう。

だが、アニメやマンガに投げかけられる「エロい」が「エロティック」のカジュアルな短縮形であるように、「萌え絵」の「エロ」は、バタイユ流の「死にまで至る生の称揚」である「エロティック」に比べれば貧弱で弱々しく、言葉同様に内実もカジュアルに薄弱化しているようだ。

挑発はしていません、という「言い訳」で性的要素がないかのように見せかける「萌え絵」の概念。
大人の目を盗んで「怒られ」無いようコッソリと逸脱を楽しもうとする子供のような態度を思わせる「萌え絵」の「エロ」が、死にまで至る生命の燃焼を求めて「禁止」を正面から「侵犯」するバタイユの「エロティック」に到底及ばないのは当然かもしれない。

何かの拍子にたまたま「萌え絵」が公共の場に出て、批判的な意見に曝されたとき、まるで発狂したような勢いで批判者に罵言が集中して、なんとしても批判者の口を塞ごうとありとあらゆる屁理屈が並べ立てられるのは、どうしてでも「こっそり」侵犯している姑息な「仕掛け」を隠蔽したいからなのだろうか。

禁止線をめぐる「境界線」の問題を、表現や自由などの「絶対性」に結び付けて一切の批判を一挙に無効化させたいという自堕落な欲望は、まさしく正義や悪を持ち出して「境界線」を「絶対」化しようとする曲世=「萌え絵」キャラの欲望と共鳴している。

こうした騒動は主にネット上での「炎上」という形で現れ、様々な「論客」とやらが「議論」をかわしている、とみられているが、ネットの掲示板やSNSには、「議論」など無い。
掲示板の書き込みやSNSのつぶやきは、交互に書き込むことで「対話」や「議論」が行われているように見せかけられてはいるが、実質的には単に自分の「意見」を書きこんでいるだけに過ぎない。

現実に対面しているもの同士の会話では、おのずから「意味」が立ち上がり、交換され、それによって「議論」や「決着」も導かれる。
一方的に、相手の「意見」を無視して「議論」が成立することは、原理的にできない。

言語の「原理」とは、「意味」が発生していると相互に不可擬な間主観的信憑が発生する、という現象学の本質洞察であって、言語哲学者の「言語は定義できない」は転倒した錯誤に過ぎない。
だが、掲示板上では、間主観的な不可擬性の信憑がなくとも、一方的な書き込みで「議論」の形式を見かけ上捏造することができる。
論客とやらの「論破」「オレの勝ち」の勝利宣言は、要するに独り言の書き込みと本質的に変わりはない、端的に無意味だ。


アニメの感想にこんなことが浮かんでくるのは、本作のラスト数話で繰り広げられる「議論」や「思索」が感じさせる空虚感、空想性、空回り感が、まさにこうした「形式上」の形を整えただけの無意味感と同じ感触を感じさせてくるからだ。

日常的な会話では、「よい」は、「良い」「善い」「好い」「正義」「優れている」「悪くない」などなどの多様な意味の中から、その都度使用する人間たちの間主観的信憑において「意味」を相互了解しながら使われている。
「よい」という言葉を使っているという「形式」だけで、善悪という根源的審級における「よい」、法律上「よい」、政治的に「よい」、などなど、本質の異なる諸要素を同一平面において混淆してしまう形式主義の言葉遊びが、本作ラストの空虚さを支え、ネット「議論」を連想させる。

あるいは、意図的な「詐術」として形式化を利用しているのではなく、作者や製作者の中では「本気で」先入観のない幅広い思索を試みていると自覚されているのだろうか。
掲示板で「勝利宣言」する「論客」が、ともすれば自覚的に詭弁を弄しているのではなく、本気で「勝った」気になっているように見受けられるように。
だが、上述したような、正義についての本質洞察の確信を把握する普通の視聴者には、本作の「議論」も、ネット論客の「勝利宣言」のように、独り相撲のつぶやきにしか感じ取れないだろう。


作者や製作者が形式主義を自覚できず、詭弁の空論を「本気」で捉えているのかもしれないと疑ってしまうのは、掲示板やSNSのみならず、形式主義が現実に浸透しているような日常感覚があるからだ。

この数年、首相を始めとする有力政治家が、論理的には明らかに不法行為を行っていると推察されるのに、一向に追及が効力を発揮できない事態は、ネット同様に他者の意見や言葉の意味を一切受け止めることなく、一方的に妄言を並べたてる態度を、「議論」とみなしてしまう「形式主義」の呪縛にある。

「形式」上、議論であるかのような体裁があれば、本質を顧みることなく事実的な「議論」として取り扱ってしまう「形式主義」

昔話では、「王様は裸だ」と言えば下らない欺瞞は霧散した。
が、「奴は嘘つきだ」という単純な真実を言えなくする「形式主義」の呪縛が、際限なく空論を繰り返す下らない「議論」を無限生産する。

こうした「現実」が、ネット同様、本作のようなアニメにも浸透して、サスペンスが空論に落ち込む事態を招いたのかもしれない。
「性的な挑発はしていません」という「形式」主義の産物である「萌え絵」を体現したキャラの姿で幕を閉じるラストは、象徴的だ。



【追記】

萌え絵を愛好することは、別に悪いことではない。
いや、むしろ「萌え絵」の魅力は性的な要素があってこそなのだろうし、それを間接的な仕方で匂わせる処に「萌え絵」の技術性があるのだろうと考えている。

だが、「炎上」で不毛な「論争」が爆発するのは、擁護したい者が、自分は「エロいから」この絵が好きだ、という明らかな「事実」を否認=隠蔽したまま「擁護」しようとするために、「擁護」の立脚点が架空の「論点」の上に築かれざるを得ないからだ。
「架空」の土台上に重ねられる言葉に、間主観的な「意味」の共有が生じないのは当たり前で、再反論もどこまでも空論へ流されていくのは、これまた当然だ。

「萌え絵は性的な挑発をしている(だから好き)」と事実を認めるだけで、不毛な議論の大多数はたちどころに消滅するだろう。
「形式」的な「議論」(の体裁)にこだわって、どう見ても明らかな「事実」を無いことにする歪みが、不毛な言説の氾濫となって「炎上」は繰り返される。

本作では、「曲世愛」が、(作品内の「現実」では)「事実」として他者の思考や情動に影響を与える「能力」があることはどう見ても明らかであるのに、法律上の構成要件に該当するかどうかという「形式」にこだわり、危険な異能という「事実」性を基礎に置かないために実効的な対応が取れない。

終幕の「空論」の空転感を底で支えているのが、「事実」を見ないことにして「形式」上の体裁に縛られる形式主義であり、中心点である曲世愛が「萌え絵」(概念)を象徴するキャラであることは、やはり必然だと思う。

その意味では、時代と現実を反映していると云えるのかもしれないが、触発的に告発しているというよりも、単に時代に「取り込まれ」て呪縛されてしまっているだけという印象しかないのは、作者や製作者の自覚的な内省や能力の問題だろうか。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

生きることは善いこと

この作品の原作は未読です。
ここのところ、ツインエンジンさん制作の作品は面白いのが多いので、視聴を楽しみにしていました。
「甲鉄上のカバネリ」にはじまり、「クズの本懐」「ゴールデンカムイ」「からくりサーカス」「どろろ」など。
直近放送された「ヴィンランド・サガ」もツインエンジンさん制作の作品です。
このラインナップを見たら期待せずにはいられません。

この作品は全部で3章構成になっています。


第1章「一滴の毒」
その啓示は、静かにそっと訪れる―
東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社の不正事件を追ううちに、一枚の奇妙な書面を発見する。
そこに残されていたのは、毛や皮膚のまじった異様な血痕と、
紙一面を埋め尽くすアルファベットの『F』の文字。
捜査線上に浮かんだ参考人のもとを訪ねる正崎だが、そこには信じがたい光景が広がっていた。

時を同じくして、東京都西部には『新域』と呼ばれる新たな独立自治体が誕生しようとしていた。
正崎が事件の謎を追い求めるうちに、次第に巨大な陰謀が見え始め――?


第2章「選ばれた死」
人々に拡散し始める、死への誘惑─
新域域長・齋開化による『自殺法』宣言と、64人の同時飛び降り自殺。
日本を震撼させる事件の真相と、暴走する齋の行方を追うため、正崎は捜査に動き出す。
後任の検察事務官として瀬黒陽麻も加わり、法務省・検察庁・警視庁をまたいだ機密捜査班が組織される。
さらに、事件の鍵を握る女・曲世愛に関する調査も進める正崎だが、その先にはさらなる絶望が待っていた——


第3章「曲がる世界」
絶望の先に辿り着く、「悪とは何か」の答えとは――
公開討論の末に域議選挙が行われ、新域では自殺法の運用が本格的に始まろうとしていた。
齋拉致計画の一件で捜査班全員の死に直面した正崎は、依然として絶望の淵に立っていた。

憎むべき人間はただ一人。“最悪の女”曲世愛を正崎は再び追う。
正義、そして悪とは何かを、己に問い続けながら——


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

レビューのタイトルでも触れていますが、本作品は人間の生死と善悪を結び付けて扱う作品です。
「善いこととは?」「悪いこととは?」「生きるとは?」「死ぬとは?」
キーワードはたったこの4つだけ…
でも、この4つのキーワードは如何様にも組み合わせることができるのが、物語をややこしくすると同時に、心の軋む元凶たり得るんです。

当たり前の様に生活を送っているので、普段こんなことは考えたりしないと思います。
だから真面目に考えてみると、答えを導き出すのが結構難しかったり…

でも完走して振り返ってみると、疑問点が二つばかり…
まず一つが登場人物の死について、こんなにも凄惨に描かなければいけなかったのか、という点です。
人に限らず、生物には必ず死が訪れます。
これは確実で不変的な事象で例外はありません。
そしてその生きている時間を決めるのは決して他の生物ではあってはならないと思います。

私はこれが世の中の一般常識だと思ってきました。
ですが、この作品ではその常識を根底から否定するんです。
しかも想定の範疇を軽々と凌駕する描写で視聴者に襲い掛かってくるのだから堪りません。

個人的には主人公の東京地検特捜部で検察官を務める「正崎 善」の部下として奔走していた彼女の死が一番痛ましく、視聴を続けるのが正直しんどかったかな…
よくもまぁ、そんな事が考えられると思ったと同時に、その愚行に及んだ犯人を心底憎いと思いました。
リアルでもそこまで憎いと思える人なんていないのに…

そしてもう一つが恐らく巷を騒がせているであろう最終回の展開です。
投げっ放しという感覚は無いのですが、あまりにも情報量が少なすぎるという印象です。
サミット会場の屋上では2発の弾丸が発砲されました。
ですが、その顛末が描かれているのがCパートのほんの一瞬で、そこには凡そ存在しないであろう人物が笑っていたのですから…
そしてその展開は最終回に相応しいとはとても思えなかったので、思わずネットをググっちゃいましたよ。
そしたら、原作は小説と漫画があるようですが、どちらも未だ続いていたんですね。
しかし、この消化不良感、何とかならないのかなぁ…
齋開化の件だって中途半端感が拭えませんし…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は各章ごとに使い分けられていました。
第1章が「Live and let die」
第2章が「イノチ食ム魂」
第3章が「The next new world that no one knows(blood stained ver.)」
あまり気付きませんでしたが、一応歌詞と歌はあったみたいです^^;

1クール全12話の物語でした。
本当に壮絶な戦いが繰り広げられるのは、寧ろこれからなのかもしれません。
でも、人間は勝てるのでしょうか…?
最終話で明かされた「善いこと」を貫くだけでは、きっと彼女には届かないと思います。
今は彼女に勝利するためのピースが欠けているのでしょう。
それが何なのかは分かりませんけれど…
だって、曲世 愛の能力が正崎 善に効いていないのか、或いは曲世は正崎に対して能力を発動させていないのか、それすら私たちは分からないのですから…
続編の制作が待ち遠しいところですが、それには原作のストックが足りないのかもしれません。
寝て待つことしかできないのかな…?

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

Fとか‥‥

5話までの感想{netabare}
やっぱりどうしても、“正解するカド”を知ってるとどうしても…ねぇ?
見る前から「この原作者の作品はクソだ」と決めて掛かることはないけど、警戒はしちゃいますw
栗T着た異方少女サラカちゃんが出てきやしないかヒヤヒヤ。
ヤンホモを殺すビデオレターが飛び出すんじゃないかヒヤヒヤ。

と思ってたらその片鱗らしきものが…。
曲瀬愛…一瞬で男を惑わす魔性の女…えええ、超常現象に頼っちゃう?そうしちゃう?
な、なんだろうな、しっかりした展開を望む気持ちとドッチラケで終わるのを期待する気持ちが混在してる自分に気付いた。
ある意味今後の展開に目が離せません、こんな楽しみ方で良いのか?{/netabare}

6話感想{netabare}
討論番組は“ダンスインザヴァンパイアバンド”の1話を彷彿とさせますね、あっちは作者本人がパネラー役やってたっけか。
少年の父親は「行方が分からない」と「誰だか分からない」とでは全然別だよね?
「父親とは連絡が取れておりませんが~」って、本当に存在するかどうかも不明なモノ(名前すら知らなかったんでしょ?)に勇み足が過ぎるなぁ、と。
まぁいいか。
野丸が少年を擁立させて当選を狙うって…元々齋開花を談合で当選させて傀儡にしようとしてたんだよね?
まんまと飼い犬に手を噛まれた形なのに、再び傀儡にしまっせオーラを隠そうともせずにぬけしゃあしゃあと懲りないねぇ…と思ってしまったので、親父の正体明かされても「ああやっぱり」って感じ。
まぁいいか。

「まぁいいか」として流しにくいのが、やっぱり誰にでも選挙権があるのが奇妙で…それこそ高校生総理大臣を笑えない。
とはいえ、それくらい現実離れした世界でないとこの作品のテーマが描けなかった…のかも?規制だなんだで。
但し、そうだったらそうでそれに見合ったリアリティはちと欲しい気が…感情論を語るなら、自分は子供に選挙権あるのはアカンと感情が動くぞw
自殺法の是非で討論番組開くなら、その前に子供の選挙権の是非で討論(※)してくれないとついていけない…前提から覆されて、そもそも論でちゃぶ台返しされた気分。


この作品でそれをやっても「自殺法を回避するために子供に選挙権は与えるべきではない」と循環論法になりそうではあるけどw{/netabare}

最終回までの感想(これだけ読めばいいかも){netabare}
人間の法律で裁けない化け物が超能力を使って人類を混乱させた──なんだい?パニックムービーになるのか?
繰り返し提起された善だー悪だーは、人間の間で考えるから人外は黙ってくれんかってノリで、本題になり切れなかった感じ。
そうさねぇ、マガセを人間だと捉えずに、見た目エイリアンやスピーシーズみたいなのに置き換えて考えれば通じるかな?自分はもうそうとしてしか見てなかった。
「どんな悪魔的な考えを持ってるヤツでも所詮は人間さ」とか「どんなに強力な化け物でも人間と共通の弱い部分を持っててそこを突かれて退治される」とかいった系ではない。
“ヴィンランドサガ”で実際に北欧の神サマが登場したら多分台無しになると思うのだけど、こっちではそれをやっちゃった感じ。
要はまぁ…マガセが万能すぎてそれ以外が茶番になってしまった。

一応まやかしのテーマ(善だー悪だーワオー)に沿って考えると…自殺法の是非より子供の参政権の方がよっぽど危なく感じて絵空事感が最後まで拭えなかった。
そして「よく考える」ってあーた…。
「良い」と「良く」は被ってる部分はあるものの意味としては別モノで、そこら辺混同させて煙に巻いただけ。
この手法、「少年の父親と連絡がとれない」を「行方が分からない」と「誰だか分からない」とで混同(バカには気付かれないようにそっと入れ替え)させたのと一緒で「またかよ」と。
殺人を敗北死だ救済(ポア)だと言い張るどっかのアレと同じで、そういう言葉遊びというか詐欺紛いの誤魔化しは止めてくれんかな。
と思ったら“正解するカド”も交渉官の主人公が最大の活躍をした交渉が性交渉というオチだったのを思い出した…そういうのが持ち味の作家なのん?落語家?
カドでは「ホモ死ね」、バビロンでは「生涯独身死ね」で一貫してるっちゃあしてるのかも知れんが、命を繋ぐを主軸に化け物が人類に干渉する作品なら“BEM”の方が数段上だったような…。
で、斎開花ってナンだったの?大統領夫人ってナンだったの?とかいう投げっ放しも持ち味として看過せにゃならんのかな?

最後のオチも…即座にマガセと対決しろやっつけろとまでは言わんが、正崎がマガセを追い詰めるのに「繋がる」ヒントやカギを何も残してないのってどうなんかね。
結局「続ける=継承する=繋げる」も放り出しちゃってブレッブレにしか思えなかった。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 24

86.3 9 不気味アニメランキング9位
東京喰種(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (2779)
15696人が棚に入れました
人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人・喰種が蔓延る東京。ある青年「カネキ」は喰種に襲われ瀕死となるが、喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう。それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることになる―――・

監督に本年度米アカデミー賞ノミネートの森田修平を迎え、前代未聞のスタッフ陣によって彩られる「東京喰種」の新たな世界に乞うご期待!

声優・キャラクター
花江夏樹、雨宮天、花澤香菜、宮野真守、菅生隆之、諸星すみれ、小西克幸、中村悠一、豊永利行、浅沼晋太郎、櫻井孝宏、伊藤健太郎、梶裕貴、浪川大輔、速水奨、立花慎之介、津田健次郎、土井美加、仲野裕、釘宮理恵
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

おし…え…てよ おしぃえ…てよ…、この…魅力を…。。。

2014年7月放送。
全12話。


【前置き】

ヤングジャンプで連載されている人気漫画のアニメ化ということで、放送前から話題になっていた作品でしたね。
原作未読の私としては、知名度の高い人気漫画なだけに差異の生じかねないうメディアミックスから入ることに少々躊躇いはあったものの、
「アニメだし、実写よりはキッチリ原作再現してくれるでしょ!」
という淡い期待の元、視聴しました。

さて、結果としてこの選択は正しかったのでしょうか…。
おし…え…てよ、おしぃえ…てよ…。



【あらすじ】

人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人『喰種(グール)』が蔓延る東京。

平凡な大学生『金木 研(かねき けん)』は、好意を寄せていた少女『リゼ』との初デートで、彼女が喰種であることを知ります。
襲われ瀕死の重傷を負った金木ですが、直後にリゼが鉄骨落下事故に巻き込まれ即死状態となるのでした。

病院に搬送された後、医師の判断で金木に喰種であるリゼの臓器を移植したことで、彼は『半喰種』となってしまいます。
それ以来、金木の人間と喰種との間で揺れ動く苦悩と恐怖に満ちた日々が始まります…。


※※※
『カニバリズム(食肉の風習)』を表現する作品は、どうしても内容を説明するに辺り視覚的なグロテスク描写を含みます。
こちらに関しては、ホント人それぞれの許容量の問題なので、見る前に御自身で御判断下さい。



【語ってみる】
{netabare}
まず、見る前と見た後では内容のギャップに驚きましたね。
『半喰種』という主人公の立ち位置も魅力的でしたが、喰種の持つ「赫子(かぐね)」と呼ばれる背中から出る捕食器官に関しては、異能バトルをする上での特殊能力そのものに思えましたので。
しっかり、ヤングジャンプの層をとらえた、バトルを想定した作品だったわけですね。
徹底的に人を喰う葛藤を重厚に描き抜いてくれるのかと思っていたので、そこは少~し残念な気もしましたが…、まぁ売れないよねそれじゃ…。


まず第一話での、その衝撃的展開を彩る作画の気合いの入りようには驚きましたね。
中盤のバトルは、前半と終盤に比べると少し息切れした感もありましたが、それでも常に一定以上のクオリティーを維持したように思います。
ただ、その内容からTV放送にあたっては黒塗りで表現された部分が圧倒的に多く、内容ありきのグロが魅力の一つであろう本作にとっては、残念で仕方ありませんでしたね。
絶妙な隠し具合で、何がどうなっているかは理解出来ない程ではないので、話についていけなくなることはありませんでしたが。

演出面において記憶に残ったのは、オープニング曲「unravel」の絶妙なかかり具合でしたね。
第1話の終わり、そして最終話での終わりでもそうでしたが、あの「おし…え…てよ、おしぃえ…てよ…」から始まる歌詞は勿論、凛として時雨ボーカルのか細い声色の演出が、作中の金木君の内心と非常にマッチングしており、まさに主題歌と呼ぶに相応しい曲だったのではないでしょうか。
曲としてはエンディング曲の「聖者たち」の方が好きですが、アニメ版「東京喰種トーキョーグール」と言えば、この「unravel」ナシでは語れないとさえ思いました。



ただ、そのストーリー展開としては、まさに目まぐるしいと表現するのが一番正しかったように思います。
原作ファンの方は特に声を大にして訴えていたようでしたが、原作の丁寧な感情描写をスッパ抜いて展開が早過ぎるといった具合だったようで…。

原作未読の私からすると、毎回衝撃的な展開が続きヒキも非常に上手いので、毎週見たくはなりました。
ですが、最終話まで見て結果的に面白かったかと問われると、少し疑問が残ります。
なんというか、キャラクターを好きになるタイミングが掴みづらかったといった感じでしょうか…。

本作に限っては、原作漫画を先に見た方が良かったのもしれませんね…。
だとするとアニメ版の本作に、更に不満を言いたくなったのかもしれませんが…。
ストーリーとしては、ある程度魅力的なのは自分の中では間違いなく、それぞれのキャラクターの葛藤も片手間では見れない吸引力がありましたので、いつかゆっくり原作を熟読したいと思います。


人物の葛藤の中でも、とりわけ記憶に焼きついたのは、喰種でありながら平和に暮らしていた母娘

『笛口(ふえぐち) リョーコ』(←美人)と『笛口 雛実(ふえぐち ひなみ)』(←可愛い)

でしたね。
いや…決して双方見映えが良いからとか、そういう邪な気持ちが働いたワケではなく…。

喰種だからと言って、誰もが好きで人を襲って食しているわけじゃないんですね…。
ただ…人間の言う美味しいものを食べても、全く喉を通らない…、吐き出してしまう…。
そういう風に生まれてしまったばっかりに人目を避けなければならず、娘(←可愛い)を小学校にも行かせてやれない母親(←美人)の気持ち。
何も悪いことをしていないその彼女達(←美人母娘)は、人間が組織した喰種対策局により、一方的な制裁を受けることになります。

社会としては喰種は全員駆逐すべきという考えが一般的なようですが、それでもそういった喰種もいるのだと世論が学んだ時、この社会が考えを改める機会がくると良いですね。
決して邪な気持ちによる同情とかではなく。

作中でも、人間と喰種の対比の表現として、ヒロインの『霧嶋 董香(きりしま とうか)』がこう言う場面がありました。

『ねぇ、ケーキっと本当はどんな味なの?

 吐くほど不味いから分かんないんだけどさ、アレ…人間は美味しそうに食べるじゃない。』

「自分がもしそうなってしまったらどうする?」という問題提起を孕んだ本作。
この状況で主人公のように、目の前にある食肉に手を伸ばす自分を律せられるような『人を見失わない人』は、果たしてどれくらいいるのでしょうか…。
平和に暮らしても殺されるかもしれない、この世界で………。



作中で金木は、「あんていく」と呼ばれる初老の喰種が営む喫茶店に身をおき、以降生活をしていきます。
自殺者等を回収し、比較的罪を犯さず食肉を得られる環境を整えた本店は、この区での喰種の生活の支えとなっていたんですね。
当初は「自殺者の数だけで何人も十分に養えるの?」なんて考えておりましたが、日本の自殺者数や行方不明者数を換算して都心部の人口で割り当てた場合、結構まかり通る数なのだそうで…。
日本コワイ…。

金木はそこで、臓器を移植した大喰いの喰種『リゼ』の片鱗を見せながらも、喰種として少しずつ生活に馴染みをみせ始めるのですが…。
喰種対策局や別の区の喰種が、その生活を脅かします。

そして最終話、カタの外れた喰種による度重なる拷問で、『人を見失わない人』であった金木も、遂に『リゼ』の心に耳を傾けるのです。


『間違っているのは僕じゃない、

 間違っているのは…、この世界だ!』


『それでいいのよ金木君…、生きるというのは他者を喰らうこと…。』


ここから白髮と化した金木が魅せた、これまたカタの外れた…というより足首の骨を外した圧倒的な戦闘能力は、気合十分の作画も含めて物語のターニングポイントに感じ惹きつけられましたね。
そこから何の後日談も予告も無く終わってしまうのもこれまた衝撃的でしたが、まぁ…2期はしてくれるでしょうし、ゆっくり通知を待とうと思います。
{/netabare}



【人を喰ったような発言を繰り返す、美食家月山の魅力】
{netabare}
さて、急速な場面展開からも今ひとつ心象に欠けるキャラクターが多い中、それでもやはり異彩を放つ奴が一人。
それが、喰種対策局から「美食家(グルメ)」と呼称される『月山 習(つきやま しゅう)』でしたね。
はぁ…どーしてまたこういうキャラ好きになっちゃうかなぁ…。。。
でも、原作者の石田スイ先生も彼がお気に入りだとか…。
ですよねぇ、キャラの当て方に愛が感じられますもの。

はてさて、そんな月山という男。
見た感じはモデルを思わせる端正な顔立ちで、言葉の節々に英語や音楽用語を用い艶めかしく話すキャラクターです。
呼称としては他にも「20区の厄介モン」「気持ち悪いキザ野郎」「(ストレートに)変態」等多数。
うん、やっぱり愛を感じます。(愛の表し方は、人それぞれです。)


実際、彼は金木君に共通の話題である本を用いて近付くのですが、その本心はまさに彼を食すことであり、彼の血が付いたハンカチーフを鼻に擦りつけて


『柔らかな甘みと、芳醇なハーモニー。

 ああああああぁぁぁ、新しいごちそうの発見はっ!

 人の幸福にとって、星の発見以上のものだ!!!』


と迷言を吐き散らす、まさに変態野郎でしたね。
声を担当された「宮野真守さん」はまさにハマリ役で、「DEATH NOTEの夜神月」等の冷静沈着タイプから「STEINS;GATEの鳳凰院 凶真」といった厨二病キャラまで突き抜けてこなせる宮野さんだからこそ、存分に魅力を見出せたように感じました。


第5話で月山は、金木君をどうやって食べようかと試行錯誤した末、

『金木くぅんンがっ!! 食べながら

 金木くぅんうおっ!! 食べたい!!!』

という奇想天外な発想に辿り着き、人質をとって彼に迫ります。
ここで金木君から「変態」発言が飛び出るのですが、彼は侵害だと返しながらも「そうさせたのは君なのだから責任をとれ」と責任転嫁する天晴ぶり。
中の人繋がりで言うと、まさに「駄目だこいつ…、早くなんとかしないと…」状態でしたね。

ただ、実際に董香が割って入り彼を制止するも、「美食家」を名乗るだけあって良い物ばかりを食してきた月山は、食事が戦闘能力に直結する喰種の中でも、抜群の実力を持っていました。
そこで奇策として、董香が金木を食すことになるのですが、それを見た月山の

『僕のだぞっっ!!!』

発言には、シリアスな場面展開にもかかわらず笑ってしまいましたよ。
きっとそういう方も多いのではないでしょうか。


そんな彼も、金木くんが攫われた終盤では、

『アモーレ!! heartbreak…。

 無二の友人である金木君が…、ワケの分からない連中の手によって危険な目にあってるなんて…

 No kidding!!』

と言い放ち、「あんていく」と共に、彼を助けに?向かいます。
この月山が本作において、こういう味方とも敵とも呼べない立ち位置のキャラになったわけですね、にくい構成でした。
彼の言動を全て「お前が言うな!」で収めてしまうのは簡単ですが、皆さんもどうか彼を温かい目で見て愛でてみませんか?


そうそう、少し余談となりますが。
TV放送のCMを飛ばさない方はご存知かと思いますが、金木君と月山が行なうBlu-rayの販促CMは面白かったですね。

金木「月山さん、イベント抽選券付きBlu-rayが発売ですよ!」

月山「チュレェヴィアアアアァン!!

   イベントと言うことは、皆に祝福されながら、僕達が一緒になる日が遂にやってくるんだね!!?」

金木「人を喰ったような発言はやめて下さい…。」

最期の金木君の冷静なツッコミが良いですね。
これが聴きたくてCMは毎回飛ばしませんでしたよ、私は。
{/netabare}



【総評】

作品として魅力に感じる部分は大いにありましたが、その原作をアニメで100%活かしきれなかったように感じます。
原作未読の私から見ても、全12話で表現しようとするシナリオ構成の幅に、若干無理が掛かったように見受けられました。

それでも、内容として手を抜いた作品では決して無く、演出面にも秀でておりグイグイ見させるだけの吸引力はしっかり兼ね備えておりました。
全般的にシリアスな内容ではありますが、その分Cパートで小ネタを挟み楽しませてくれますしね。
次に見る機会があれは、ちょっと恐いですが黒塗りが無い完全版で是非見たいですね。

2期はやるのか…いつになるのか…。
今現在まだ噂の粋を出た情報はありませんが、どうせなら熱が冷めない内に放送してほしいですね。
展開が早かった分、視聴者の熱が冷めるのも早い気がしますし。

その時は、また作中にハマったを主題歌だと尚嬉しいですね。


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『月山 習』声 - 宮野真守さん

◇一番可愛いキャラクター◇
『笛口 雛実』声 - 諸星すみれさん



以下、カニバリズム(食肉文化)について。
(途中から妄想に突入してしまったので、〆ます。)
{netabare}

ちなみに私は恥ずかしながら、正直なところまだ一度もカニバリズムを体験したことがありません。
偏見を持たず多種多様な食文化に触れることは、人生観を広げる意味でも重要だと私は感じておりますので、ここは偏食なぞせずに、いつか体験しなければいけないなと考えております。

しかし、現代の日本において、そんな「ハンニバル•レクター」みたいな真似が出来る状況は早々ありません。
やはりここでも、『東京喰種トーキョーグール』の世界に妄想を抱くことで、脳内体験するのが社会人として果たすべき選択となるでしょう。


まぁ…どーせ喰べるなら、私好みの『チュレェヴィアアアアァン!!』な人間を捜すことにしましょう。

おっ、かなり好みの人間を発見!!
早速、声をかけてみましょう。


「あっ、お嬢ちゃん可愛いねぇ。

 ヒナミちゃんって言うんだぁ…。

 うんうん、髪型が(私好みな)ショートカットで似合うねぇ。(グヘヘ)

 へぇ、字のお勉強してるんだ、偉いなぁ。

 それならお兄さんが、こっちで詳しく教えてあげるよ。

 さぁ、おいでおいで!!(ゴクリ)」



……さて、数分後。
細切れになった私は、彼女の胃の中にいたワケですが…。

こんな可愛い美少女になら、喰われる側というのもまた乙なものでした。

でも、ちゃんと「ごちそうさま」って言おうね、ヒナミちゃん。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 61
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

喰べたら「ごちそうさま」するまでが作品なのに

人を喰らう正体不明の怪人・喰種。
主人公カネキは喰種に襲われ瀕死となるが
喰種の臓器を移植されたことで半喰種となってしまう。
それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることに…。


凄惨な食事現場で始まり、凄惨な食事現場で終わった一話だったが
その課程には実に多彩だった。
Aパート開始時は安らぎや暖かさを感じさせつつも
黄色い道をゆっくりと歩む美女の姿が「迫る注意」「迫る非日常」を感じさせ
そこから緩急を織り交ぜ喜びから恐怖、救済に戸惑い、葛藤に絶望と
「赤い日常」へと変貌する様を流れるように観せてくれた。
この一話だけでジェットコースター一周分の感情を体感できる様な内容で
すぐにおかわりが欲しくなってしまった。
掴みとしては今期一番良いかも。今後も期待が高まってしまう。

考え過ぎかも知れないが、カネキが半喰種になる課程も単なる偶然とは思えず
どこか作為めいたものも感じている。
医者もグル(グール)かな?…とか、ミステリー好きの血も少々騒ぐ。

またこの世界での半喰種の存在意義がどうなるかにも注目している。
既存のグールなら自我を持っていないので、
その間に当たる半喰種には無条件で価値が生まれるが
この作品の喰種は既に自我や規律すら持ち合わせている模様で
半喰種との違いがどう現れるか気になる。
カネキの葛藤は半喰種ならではのものでずっと続いてしまうのだろうか?

※2話感想{netabare}
ヒデを救うためグールの力を借りグールの力に飲まれヒデを襲う衝動に駆られる…。
泥沼の葛藤が更なる深みへとハマっています。

それでも「人」の事「グール」の事、そして「自分」の事を知ろうとして
向き合う姿は立派でした。
ヒデも勘がいいので判っているご様子。良い友達じゃないか。
血の臭いだけでなく感動の匂いもしてきました。

あと触手を絡めた戦闘シーンもかなり上等で衝撃的でした。
そしてこの作品「目力」がハンパない! 夢に出そう…。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
アンティークを中心に活動するグールの生活が覗けた回。
どうやら安定区と掛けてあるようでグールの中でも穏やかに
生活する者が集まっている様子。
食事も自殺者を確保している様で納得できた。…ここまでは。

でも、他の区に多数の凶暴なグールが居るとなると
描かれている平穏無事で危機感の無い人間社会に疑問が湧く。
グールの数が多すぎる。

設定通り、毎月グールの人数と同じだけの人間が殺されるとなると相当な被害で
もはや警察が事件としてどうこうでは無く
軍が出来て対応していたり半分以上グールとの戦争の状態に成っていておかしくない。
…というか成っていて普通、それくらいの危機だと思える。
面白そうな作品なだけにバランスも考えて練って欲しかったと思ってしまう。

ちょっとケチが付いたが今後の展開で
グールの繁殖方法やジェイソンみたいな奴の素性や存在意義が明かされれば
もう少しは納得行くかも知れない。
【予想】{netabare}グールは元々政府が作り出しているが隠蔽されている{/netabare}
みたいな話なら判らなくもない。期待はしている。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
美食家、月山の裏の顔が見られた回。

人と仲良くしようとして無理矢理不味いモノを食べる霧嶋さんとは対照的に
美食を謳歌する月山。
狂った様に映るけどグールとしてはこちらが正常なのかな。
グールの味覚に着目したこの作品ならではの存在は面白く、次回以降も注目です。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
早くも月山の食指がカネキに迫り、錦の切ない過去も露わに。

前回に続き月山の個性が圧倒的。颯爽登場!宮野真守無双。
狂気の中、生き生きしていてキャラ的にはみんなを喰ってたと思う。

錦もイイ話で単なる憎まれ役から脇役レギュラーへと躍進したかな。
でも、錦自身は内蔵の九割方破損した所から復帰したのに
姉さんは一般人相手に呆気なく死亡。(詳細不明)
そう言えば路地裏でカネキと最初に会ったグールも蹴り一発で死んでたし、
グールの耐久力に差がありすぎてご都合感が出ている。

美味しく質の良い餌を食べると即効でパワーアップ!
ってキノコマリオみたいな事を急に言い出してるし
話が進むにつれ、設定の詰めの甘さが見えて来てちょっと残念にも感じる。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
何とか危機を脱したカネキ達。そして改めて浮き彫りになったグールと人との距離。

グールも人と同様に心があり愛があり家族があり。
「お母さん!」と言うヒナミの叫びがとても痛々しく突き刺さる。
同情できる話で何とかしてやりたいのだが、
「人喰い」…いや「人しか喰えない」と言う生態は致命的で
言葉や理屈が通じ心があるとしても相容れない存在になってしまうよなぁ…。

カネキの存在がグールと人との心の橋渡しになるかも知れないけど心が繋がったとして
約定作って「人を襲わない代わりに故人の体を提供する」って訳にも行かないし…。
設定上では既に詰んでいる…と言える落とし所のない問題にどう挑むのか
見物だと思うけど、ホントどうするんだろう?
バトルで何となく解決した風には成らないで欲しいけどな。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
人にもグールにも義はある。それ故に復讐と憎しみの連鎖は止まらない。

カネキが到着するもヒナミのお母さんを助けられず悲しい結末になりました。
ヒナミにとっては本当に最悪の結末。
でも、母の表情から察するに復讐は望んではいない筈。
それは幼いヒナミに伝わっているのか?理解できるのか?
葛藤の中、芳村さんの道か薫香の道か何を選択するのか
この作品の肝になりそうで興味深いです。

真戸さんはグールにとって脅威だけど人側から観ると逞しい。
彼処まで出来る様になるには相当な修羅場と仲間や知人の死を経験しているのだろう。
グールに情をかけて殺された者もいそうだし、少々壊れてなきゃ務まらない。
悪っぽく描かれているけど背景を察していくと憎めないキャラだと思う。

一人殺されたとはいえ亜門達は何とかクインケ無しで対抗してましたが
身体能力考えると全員瞬殺されて当然なレベルで無理がある気がします。
せめて刃物弾くって設定無くしてくれないと人に勝ち目がなくないかな?
グールって設定自体矛盾だらけなので小さい事は寛容には観てるけど、
バランス感覚がちょっと悪いなって気がします。

次回は真戸と薫香の戦いが更に激しくなりそうで、
そして復讐に走る薫香をカネキはどう見るのかも楽しみです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
真戸さん亡くなってしまいました…。
良い悪役だっただけにちょっと寂しくもありますが復讐に囚われた者の末路として
意義を投げかけてくれました。

一方ヒナミは復讐に囚われず深い悲しみの中から「生きる」ことを決意。
溢れる涙が心に響きます。強く生きて欲しいですね。

カネキは不戦を貫き悲しみと復讐の連鎖を断ち
グールと人とを繋ぐ希望になって行きそうですが6話感想の懸念が個人的に引っかかる。
共生目指すならグール用の食料開発出来ないものかな?
{/netabare}

※9.10話感想{netabare}
悲しみを乗り越え日常を取り戻そうとするアンティークの面々、
そして新体制でグール対策に当たる捜査官達。

近隣の11区が騒がしく嫌な予感がしていたらやっぱり飛び火です。
捜査官も絡んできてなんだか仁義なき抗争モノの雰囲気が強くなってきましたね。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
人とグールが入り乱れた抗争、そして拷問と血生臭く暴力の砦と化しています。
覚醒しつつある亜門くんをいつの間にやら応援しちゃってます。
現状アンティークの敵ですが何れ手を組む事もありそうですよね。

カネキくんから新たなカネキくんが生まれそうですし、
屋上には何やら怪物が…ってあれまさかマスターなのか!?
次回も気になります。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
心身共に死よりも凄惨な地獄の様な苦しみ中、今までの全て否定し
生まれてしまったダークカネキくん。
これからこの作品はドコへ向かうのか?…って所で最終回!

せめて…せめて外での戦いにケリ付けてくれないと投げっぱなしにも程があるし
痛々しい拷問が最終回ってのも後味が悪すぎる。
この終わりならアニメ化しなくても良いんじゃない?って気さえします。
{/netabare}


【総評】
心理描写や戦闘描写は良く描けているしキャラも立っている。
そして設定上袋小路になっている人とグールの関係がどうなって行くのか
どういう結末になるのか期待と興味を持って観てこれたがとにかく後味が最悪でした。

人として生まれそしてグールとして再生して価値観や感性などを培い
積み上げたモノを最終回に全否定させて結論出さずにハイ退場!!

結局、1話で身体を失い、最終話で心を失った可哀想な青年の怪談のような話で終幕。
闇芝居なら三分で終わるわッ!
中身は投げっぱなしでブッツリ終わるアニメの中でも指折りの作品になってしまいました。
続きやるのですかね? やらない事には話にならないし観る意味もない作品です。
事情があるにせよ、この終わりを平気で観せる制作側の神経を疑います。
期待と観て来た時間までも全否定されるこの終わり方は許容できません。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 64
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

嫌われたっていいじゃないか 人喰いだもの

2018.08.17記


原作既読。いや、アニメ観てから原作揃えた人。
もともと職場の子から原作を薦められてたんだけど、その時スルーしてたのを後悔するはめに・・・


マンガはけっこうな売れ行きで、アニメも海外含め評価が高く、そのあと実写化までした大ヒット作です。
なにせ人を喰うおどろおどろしいバケモノの話なので、実写映画版では出演女優さんの一人が良心の呵責を覚えてなのか出家してしまうという騒ぎを起こしたほどです。
タイトルだけ見たら、人間視点でバケモノとの闘いを描いたバトルものか、グロ主体のホラーみたいなのを想像しがちです。そう、頑張れ人間!

 嫌われたっていいじゃないか 人喰いだもの

はいこれミスリードです。
ん?みんなもう知ってるって?

スプラッタホラーか超絶バトルものはちょっと、、、という先入観で本作を避けてしまうのはもったいないと思われ、むしろその先入観、この際棄ててもらってかまいません。

人間と喰種を分かつもの、それはたまたま人しか喰えない種族としてこの世に生を受けたか?そうではないか? 細かいところを除けば一点それだけ、この作品の基本設定です。

時には人間、時には喰種側の視点で
何が正しくて、何が間違っていて
勝利も敗北もないまま 孤独なレースは続いていきます

{netabare}8話戦闘シーンでの言葉の応酬に端的に表れてます。

亜門VS金木戦での亜門
『罪のない人々を平気で殺め…己の欲望のまま喰らう』『親を殺された子供たち…残された者の悲しみ…孤独…』『貴様はそれを考えた事があるか?』

真戸VS董香戦での董香
『訳もなく命を狙われる恐怖 あんたにわかる?』『大切な人が虫けらのように殺される あんたにこの気持ちわかる?』{/netabare}

単純に視点をどちらか一方のサイドに寄せて、というわけではない極めてドラマ性の高い作品といってよいでしょう。グロやバトルは作品を飾る要素として欠かせませんが、メインはあくまで人間?ドラマです。


そして人間でも喰種でも多少の個体差はあれ自分サイドの視点しか持ち合わせてません。
そこに{netabare}「もとは人間、今は半分人間半分喰種の」{/netabare}主人公金木研くんがどう割って入っていくかが作品の見どころとなってます。

{netabare}『自分の意思と無関係に、自身の体に改造がなされる。』
このへんは初代仮面ライダーみたいです。世の少年少女たちが心躍らせる伝統芸と言えるでしょう。
昭和の本郷猛はいかついあんちゃんでしたが、平成の金木研はナイーヴ優男である、というのも時代の流れでしょうか。{/netabare}


OP『unravel』は物語にドはまりしてる秀曲です。ムービー含めてインパクトがあり、カラオケのアニソンランクでも上位に食い込んでます。ただし、これ原キーで歌いきれる人っているんだろうか??
OPに隠れてますが、EDもクールダウンにちょうど良い曲です。ED後の巻末4コマ的なショートアニメもほっこりできますよ。


キャラは喰種も人間も多士多彩で登場人物多めです。
1期1クール12話で全員掘り下げきれるわけにもいきません。2期待ちか必要最低限か、私は掘り下げ不足を理由に感情移入できないといったことはありませんでした。

声優さんもキャラの多さに合わせて人数多めです。回によってはEDクレジットで3カット分使うほど用意してました。そして無駄に豪華です(褒め言葉)。
{netabare}
※印象深い演者さん
■金木研:花江夏樹
悲鳴に近い絶叫を担当するのに適任でした。梶さん(今回はアヤトの役)の絶叫も捨てがたいがよりナイーヴな感じを出すには花江さんじゃなきゃ無理かな。
■ウタ;櫻井孝宏、月山習:宮野真守
ハマってることはハマってるんだけど逆も見てみたい。
■エト:坂本真綾
ただ私が好きなだけです。
■真戸呉緒:大川透
マジキチぶりが伝わる好演。 病気からの復帰おめでとうございます。(2018年8月現在)
■鈴屋什造:釘宮理恵
意外な組み合わせ。什造を女性声優でというのはすごいアリ。什造の「見た目は青年中身は子供」感がよく出てました。
{/netabare}


※以下ネタバレタグは本当にネタバレ

引き込み充分な第一話。
{netabare}リゼを媒介におどろおどろしい喰種をまずは視聴者に印象づけます。そうですよね、人を喰うんですから我々人類の敵ですよ。
それで喰種の生態やら人間と喰種の関係性など適度にレクチャーが入るので初見殺しにはならない設計。Bパートからは半喰種になってしまったカネキ君の苦悩です。そしてクール通じてカネキ君は悩みに悩みます。{/netabare}
第二話アバンで物語のコア部分に触れるので、ノリが合わなさそうなら撤退を視野に入れてOK!
{netabare}
金木「僕は人間だ。お前らバケモンとは違うんだ。」
董香「どう?あたしがバケモノならあんたはなんなんだよ?」
金木「お願いします。教えてください。僕はどうしたらいいんですか?あの日から全てが最悪なんです。」
董香「最悪か?あたしだって教えてほしいよ。」
  「ねぇ?ケーキって本当はどんな味なの?吐くほど不味いから分かんないんだけどさ、あれ、人間がおいしそうに食べるじゃない?」
  「平和な生活はどうだった?CCGやグールに怯える必要のない日々は?
全てが最悪?ざけんなよ!」
  「だったらあたしは生まれた時から最悪ってわけ?なああんた!教えろよぉぉぉ!!」

・・・からの『おっしぃえってよっ』unravelインですからねぇ。カッコよすぎです。
{/netabare}
序盤に世界観の提示がなされるので、そこに抵抗がないなら最終話までいけるでしょう。無駄回無かったと思いますよ。1期の区切りもあの箇所までだったら納得です。


グロですか?

カレー食べながら観ることができましたので平気です。
そのへんは所詮アニメーションということで実物の映像とは違いますし、規制も効いてることから血しぶき+α程度のグロです。
{netabare}ただし画よりも音が嫌だということはあると思います。11話12話の拷問シーンでの悲鳴絶叫はきつい人にはきついでしょう。画はそうでもありません。{/netabare}
受け入れる視聴者側も、進撃の巨人あたりがこのへん切り拓いてくれたおかげで、出来上がった土台に乗りやすかったかもしれません。


さてさて金木くんは葛藤の末、どういった結論を出していくんでしょうか?

 しあ○せはいつも じぶんのこ○ろがきめる

最後に一つの結論を出します。共感するもしないもそういう物語なのでね。


続きは2期で!



-----
2019.06.28追記
《配点を修正》


視聴時期:2017年11月

シリーズは2018年秋クールまでの全48話をもって完結しました。
金木くんやトーカちゃんをはじめ、1期ではまだ子供っぽさの残る登場人物らが次第に深みを増していきます。
残念なことにあにこれでは期を重ねるごとに評価を落としていきましたが、私は好きですね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 36

78.8 10 不気味アニメランキング10位
七つの大罪(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1471)
8714人が棚に入れました
いまだ人と、人ならざるものの世界が、分かれてはいなかった時代。絶大なる魔力を有し、人々から敬われ、時に恐れられる存在<聖騎士>に守られた『リオネス王国』。王国の王女エリザベスは、たった一人国を離れ、
ある者たちを探す旅に出ていた。それは最強最悪の騎士団として恐れられ、国を裏切り、全聖騎士を敵に回した罪人たち──<七つの大罪>。たどり着いた一軒の酒場で、エリザベスは店主を名乗る少年・メリオダスに出会う。それは、彼女と<七つの大罪>たち、そして世界の命運を一変させるとびきりの冒険の始まりであった――!
ネタバレ

kazunyanzu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

侮りがたし日5|ョ∀・´)…感動スペクタクル大作!!!

◆原作コミック 全24話 原作未読
◆ジャンル アクション ファンタジー


絶大なる"魔力"を有し、人々から敬われ、時には恐れられる
存在(聖騎士)に守られた国「リオネス王国」
王国の王女『エリザベス』はたった一人国を離れ、ある物たちを探す旅に出ていた!
それは最強最悪の騎士団として恐れられ、国を裏切り、
全騎士団を敵に回した罪人たち―〈七つの大罪〉
たどり着いた一軒の酒場で、『エリザベス』は
店主を名乗る一人の少年『メリオダス』に出会う!
それは彼女と〈七つの大罪〉たち、そして世界の命運を一変させる
"とびきりの冒険"の始まりであった― (あらすじ公式サイト引用)


簡単な相関図_((Ф(・ω・`)コンナカンジカナァ!???w
スマホだと変なんなるかも´・ω・)ω・`):

          
           凸リオネス王国凸
     
       【§聖騎士§】(甲冑着た強いヒト達)
        (民衆から敬われ、恐れられる存在)
   探してる                 魔神の力を利用!?
    ↙                         ↘
 王国王女        ↑↑↑         〈∮魔神族∮〉(滅びた!?)
『エリザベス』      【VS】     不思議な魔力を有した怪物?
  探してる       ↓↓↓          ↗
(一緒に旅をする) ↘            魔神の力と関係あり!?
            【†七つの大罪†】       
         かつて王国を裏切った!? 者たち   
       『メリオダス』『ディアンヌ』『バン』
      『キング』『ゴーセル』他 +『ホーク』(豚)



14年10月~15年3月まで放送された王道アクションファンタジー
作品ですが私も毎週楽しみに視聴させて頂きました!!

というかここ最近のこの日曜5時枠作品は侮りがたしΣヾ(゚Д゚;)ノ

中々の超感動スペクタクル大作に仕上っており
私大変夢中になってしまいました(๑→‿ฺ←๑) ♪

どこか中世ヨーロッパの景観を描いた様な世界観に
魔力や、魔法などのファンタジー要素が加わって
コレぞ王道たる魅力の所以と言いますか…

そこに息をもつかせぬ熱いバトルアクションに
それぞれのキャラの想いが重なって
この戦いは負けられない!! 仲間を救う!!
大切な…大切な存在(ヒト)の為に…

そう…その幾多となくおとずれる感動秘話に胸熱必死!!!
なのであります。゚(゚´ω`゚)゚。


そんな中でも私がとても胸熱で大好きになったキャラ、及び彼(彼女)らの
エピソードをまじえてBEST③形式で書きしるしてみました!!



*・゚゚・*ヽ(*゚∀゚)ノ*【このキャラ良かったよ!! BEST③】*ヘ(゚∀゚*)ノ*・゚゚・*:

―第③位―

『ディアンヌ』

巨人族の『ディアンヌ』はその可愛らしい容姿と気取らない
真っ直ぐな性格が好印象✩
だけども、と、とても体が、その… で、でっかい(*/ω\*) でも~
それがまたいい味出していて、ホント、ピュア(嫉妬深いw)で魅力的な女のコ♡
CV:悠木碧さんの声、演技もピッタリでした♪
彼女の優しさとういか人柄の良さには多くの方が共鳴したことと思います!

なんといってもあの{netabare} 『キーラ』の弟さん(子ども)を助けるシーンは
とても胸熱、名シーンでお涙必死かと…。゚(゚´Д`゚)゚。!!

そこから、『キーラ』&『ハウザー』が聖騎士を裏切り
『ディアンヌ』を助ける胸熱展開も大変良い(*>ω<)bイイ!!
『キング』との幼い頃の素敵なエピソードも、微笑ましくとっても◎ {/netabare}



―第②位― 

『キング』

妖精王 ハーレクインこと『キング』はその純心で一途な性格と
見てくれが変化するギャップや、常に眠たげな表情で枕を抱いて宙に浮いている
癒し系な雰囲気もさることながら、やはりその優しすぎる彼の
魅力にコレまた夢中になった方も多勢いらっしゃる事かと思います!!

なんといっても、 {netabare} 疲弊した『ディアンヌ』を全魔力を使って防御の壁(バリア)
を使って『ヘルブラム』の攻撃から守るシーンは最高に胸熱(*>ω<)b
というか、か、カッコ良すぎます!!  コノコノォ(〃´Д`σ[キング]qw

『ディアンヌ』との…切ない…過去のエピソードや
旧友『ヘルブラム』とのエピソードも思わず涙の垂れ流し状態に。゚(゚´Д`゚)゚。{/netabare}




―第①位―

『ホーク』ちゃん (豚’`ゥ(*´(00)`)’`ゥ)

残飯処理騎士団 団長こと『ホーク』ちゃんは
本作のマスコット&イメージキャラクター トコトコトコ(((っ´(00)`)っ♪

残飯の量を増やしてもらうことに日々命をかけている―w

戦闘能力は皆無だが…
なぜか!?w 自分のコトを”最強の戦士”と思い込んでいるw
喋る豚として本作では基本ツッコミ担当!?
『バン』からはこれまたなぜか!? 師匠と仰がれる存在!!
何かと上から目線で口は粗いが全く持って憎めない、
愛嬌が抜群の魅力的キャラ♪*

ハラハラバトルの合間に終始、笑いをもたらしてくれる点も◎!!

というか、私途中まで、ずっと『ポーク』ちゃん(pork)かと思ってましたが…
『ホーク』ちゃんだったのですね(ノ∀`;)w

そんな『ホーク』ちゃんに、 {netabare}まさか…最終回前話にて
まさかの豚ちゃんにお涙頂戴させられてしまうコトになるとは…。゚(゚´Д`゚)゚。
紛れもなく彼(彼女?)は1人の勇者であり、真の漢の姿そのものでありました―!!!!

「あんな気のいい奴を… よくも… くそがーーーー!!」

途中『ホーク』と仲違いする展開になってしまっていた『バン』の
あの一言が全てを物語っていましたネ… (つω・`。){/netabare}



他キャラの皆さまも大変、個性的かつ魅力的でしたが(*>ω<)b
今回は私のツボによりハマった3名(匹)を抜粋しご紹介させて頂きました!!


ただ『団長』『バン』『ゴーセル』の3人はどこか…
不死身過ぎでw バトル中もなんだか、まだ全然本気出してない感が強く
特に『団長』&『バン』は常に余裕感(隙)が出ているというか…w
元より『バン』は不死身属性を持っているせいか…

大事なバトルシーンにてやや緊迫感が損なわれてしまった感が…・ω・*) ソーッ

ただその”強さの底を見せない”雰囲気というか…
そこが本作の特徴であり、興味を注がれる面白さであるゆえ
後々恐らく色々と解き明かされる上で大事な
要素の一つなのであろうと私は勝手に思っております✩

それでも最後の方の局面は ハラハラ|ョ゚Д゚。))))ドキドキで
最高の盛り上がりを見せてくれました!!

とにかく視聴前、私が期待していた以上に大いに楽しむことができました!!

終わり方も、続編に期待を含ませた見事な締め!!でしたので、
さらなる彼らの冒険の続きが描かれる日を心待ちにしたいと思いますヽ(*´∀`)ノ

投稿 : 2025/01/04
♥ : 52

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

この作品で経験した私の初めて・・・(//∇//)

この作品の原作は未読ですが、日曜夕方の5時半枠の作品という時点で視聴を決めていました。
この時間帯のアニメは健全に感動できる作品が多いのと、雨宮さん、悠木さん・・・といったお気に入りの声優さんが出演されるのも大きな後押しになっていたと思いますけれど・・・^^;

これは未だ人と人ならざるものの世界が分かたれてはいなかった古の物語・・・
国を護る聖騎士達は絶大なる魔力を有し、恐れ、敬われた・・・
この様な下りから物語が始まります・・・この下りは結構好きでした^^

物語の舞台はブリタリア・・・聖騎士が守る国なのですが、聖騎士が「聖戦」の開始に向けた準備を着々と進め、増加した騎士の横暴な振る舞いによって国は荒廃の一途を辿っていました。
それを憂い危機的状況であると感じた第3王女のエリザベスは、聖騎士を止め聖戦を回避できるのは10年前に国を追われた伝説の騎士団『七つの大罪』だけだと考え、彼らに助けを乞うため白を抜け出し七つの大罪を探しに旅立つのです。
こうしてエリザベスは、とある酒場に流れ着き・・・物語が動いていきます。

七つの大罪の団長・・・メリオダス
憤怒の罪を背負う彼が本作品の主人公なのですが、とにかく格好良過ぎです^^
体格は決して良くはないのですが、一度怒りを買うと一国を滅ぼしかねない・・・と噂されるほどの強者です。
特にエリザベスが絡んだ時・・・それもエリザベスを傷つける輩に対するメリオダスの強さは半端無かったですね^^;
時折、エリザベスに対して過度なスキンシップを強行していますが、それも彼なりの優しさの表れなんじゃないかと思います。
王女として城で暮らしている分には、心配も不自由もありません・・・
けれど、エリザベスにとって初めての旅は、7つの大罪と同行しているものの常に危険と隣り合わせで、時には傷つく仲間に涙したり・・・城での生活と真逆な環境に身を投じているんです・・・
張り詰めたら切れてしまう緊張の糸を緩めてあげようとするメリオダスの粋な計らい・・・として私はメリオダスとエリザベスの日常の掛け合いを見ていました^^

リオネス王国の三女・・・エリザベス
彼女には第1話から涙してしまいました(//∇//)
7つの大罪を探して聖戦を止める・・・その決意は立派ですが残念ながら決意だけでは目標は達成できないでしょう・・・
でも彼女の人柄が・・・周囲の人を巻き込んでいくのです^^
彼女の心からの感謝の意は、人の心を揺さぶります・・・
一緒に行くと決めたから、時には身を挺してでも自分の役割に対して真摯に向き合います・・・
例え倒れても前を見据えると約束したから・・・

そんなエリザベスの傍で主にツッコミを担当していた「残飯処理騎士団」の団長ホークちゃん・・・
ちょっとコミカルで、でもここぞという時に頑張る彼(彼女?)の存在は大きかったですね^^
メリオダスの友人でバンから師匠と呼ばれるホークちゃんでしたが、物語の終盤・・・「いいや、いるっ」と叫び立ち塞がったホークちゃんは、間違いなくヒーローだったと思います。
そしてその立ち振る舞いに私は涙が止まりませんでした(//∇//)
これまで色んな作品を見て涙してきましたが、豚さんに号泣したのは初めての経験です。
アニメって・・・奥が深いですね^^;

その他にも嫉妬の罪を背負ったディアンヌ(CV:悠木碧さん)や強欲の罪を背負ったバンなど7つの大罪のメンバーが徐々に判明していくのですが、今回の物語では全員が勢揃いするまでには至りませんでした。
最後に新たな展開の布石も見えましたし・・・次期に期待ですね^^

オープニングテーマ
「熱情のスペクトラム」by いきものがかり
「Seven Deadly Sins」by MAN WITH A MISSION
エンディングテーマ
「7 -seven-」by FLOW×GRANRODEO
「Season」by 瀧川ありさ
オープングの2曲はどちらもお気に入りです。エンディングは物語の余韻に浸っていてあまり覚えてなかったのですが友人がカラオケで歌っているのを聞いて気になったので、今度ちゃんと聞いてみようと思います^^

2クール全24話の作品でした・・・やはり日曜夕方5時半の作品に間違えはありませんね^^
冬アニメのベスト10には間違いなく入ると思いますが、お気に入りの棚に入れるかは少し悩みたいと思います^^
続編・・・すっごく期待しています♪

投稿 : 2025/01/04
♥ : 43
ネタバレ

雪だるま* さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

4話まで視聴(未評価)

◎ジャンル:ファンタジー、バトル
◎放送時期:2014年10月~

●原作:漫画(作・鈴木央、週刊少年マガジン連載)
●シリーズ構成:菅正太郎 ●監督:岡村天斎
●キャラクターデザイン:佐々木啓悟
●アニメーション制作:A-1 Pictures

■ストーリー■
絶大な魔力を有する「聖騎士」に守られた「リオネス帝国」。
王女・エリザベスは、10年前、国を裏切り多くの聖騎士を殺した「七つの大罪」を、とある理由で探す旅に出ていた。
その先で1人の少年と出会い、新たな冒険が始まることとなる。

■総評■
※原作未読。

(全話視聴後に更新予定)

■好きなキャラクター■

(全話視聴後に更新予定)

■各話感想■
【1話】
{netabare}エリザベスは聖騎士のクーデターを阻止するため、七つの大罪に助力を求めて旅に出た。
そして倒れた酒場で助けてくれた主人公の少年が七つの大罪の団長・メリオダスだった。
彼も他の七つの大罪を探す旅の途中らしく、情報を集めるため開いてた酒場(ホークの母の力で移動してるっぽい)の看板娘にエリザベスを誘い共に旅へ…という話。

今回襲ってきたオジサン騎士、メリオダスにやられて死んだかと思ったら生きてたw

メリオダスは何故容姿が昔のままなのか?
あの途切れた剣で何故あんなに強いのか?
その辺の秘密は後々明らかになるのかな。

まだ謎も多いが王道ファンタジー感は好きだしテンポも良かったので継続。
ホークが可愛いwCV久野ちゃん効果か^^{/netabare}

【2話】
{netabare}聖騎士ギルサンダーを怒らせたことが原因で名水(お酒の材料)を封じられた「バーニャ村」でのお話。

エリザベスの新コスチュームかわいい!
メリオダスはあの姿だから緩和されてるけど、ただのスケベ親父やw
前回からセクハラに全く気付かないエリザベスは天然どころじゃない^^;
さらにドジっ子属性もあるときたw彼女はこの先戦ったりするんだろうか?

聖騎士の剣は聖騎士にしか抜けないと言っていたけどメリオダスがすんなり抜いたし、やっぱり聖騎士と互角に戦えるのは七つの大罪だけってことなのか。

今んとこメリオダス無双って感じでイマイチ盛り上がりに欠けるけど、味方・敵共にキャラが増えると面白くなるかな。
あ、後半の槍投げ→槍投げ返しは迫力凄かった!{/netabare}

【3話】
{netabare}「白夢の森」にて七つの大罪の1人・ディアンヌが仲間入り→追ってきたギルサンダーとの戦闘回。

ギルサンダーは10年前 聖騎士長の父を殺されたことへの復讐、そして帝国最強の騎士と証明するために七つの大罪を狙ってるらしい。
けど、聖騎士長の死は七つの大罪の仕業じゃないっぽい。
回想から察するに、全ては誰かの謀略による濡れ衣かな?
メリオダスの最後の記憶『団長…すまない』の言葉の主が鍵か。

エリザベスは今回パンツ奪われてた…
どうやって気付かれないように奪ったんだろう^^;

ホークは今回も弄られ担当w
ディアンヌに火あぶりにされて暴れてるのがかわいそ可愛かった!

最後はメリオダスが負けたふりしてギルサンダーを出し抜き新情報入手。
ギルサンダー、早くもすごい小物感が…^^;

七つの大罪が聖騎士と互角にやりあえるのは、彼らも元は帝国騎士だからなのね^^{/netabare}

【4話】
{netabare}ギルサンダーから他の七つの大罪の在処を聞き出した一行。
バステ監獄に囚われてるバンを探しに出るのだが、思った以上に深手を負ったメリオダスは途中で倒れてしまい、近くの街で休むことになるも既にそこには聖騎士の手が伸びていて…という話。

メリオダス、今回も元気にエリザベスへのセクハラをはたらいてると思ったら…
やはり聖騎士の力は普通じゃないっぽい。

さらに治療のフリして毒薬を飲まされたメリオダス。
どう復活するのだろう…

それにしてもディアンヌちゃんの乙女心が可愛い。
大きい自分には団長のために戦うくらいしかできないと、それでも精一杯メリオダスに尽くそうとする健気さが良い。

今回もホークは癒しでしたw
スペアリブと肩ロースのくだりは笑わせてもらった。

メリオダスの生存を聞いて自ら脱獄したバン。
聖騎士見習いの剣を受けたと思いきや、散髪しただと!?w
杭で打たれた跡も消えてたけど、唯一消えてない傷が首に。
つけたのはメリオダスかな?{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 15

78.1 11 不気味アニメランキング11位
屍鬼[シキ](TVアニメ動画)

2010年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (1461)
7834人が棚に入れました
人口1300人の小さな集落、外場村。外部とは国道1本でしかつながっていない隔絶された地ゆえ、いまだに土葬の習慣が残されていた。

ある日、村の山入地区で3人の死体が発見された。村で唯一の医者である尾崎敏夫はこの死を不審に思っていたが、事件性はないとされ、通常通りに取り扱われた。しかし、これ以降、村人が一人、また一人と死んでいくことに…。

声優・キャラクター
内山昂輝、大川透、興津和幸、戸松遥、悠木碧、高木渉、GACKT

woa さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

限界集落という場所

2010年放送。全22話+未放送話2話。

三方を死に囲まれた限界集落に謎めいた一家が越してくると同時に、死者がよみがえる「起き上がり」という超常現象が起きるという話。ただしこの際よみがえることが出来るのは、起き上がり=屍鬼に吸血された人間に限る。

尾崎敏夫と結城夏野という二人の主人公がいるが、「小説家」の室井がこの作品に命名したように屍鬼と屍鬼と人間の分かちがたさや神に見放された人間(カインがアベルを殺さざる得なかった理由)がテーマとしてあるため、村人視点の群像劇として見るべきだろう。

この群像劇を通して知るのは、死というのは誰しも平等であるが故に恐ろしく、死をもたらすことで死を超越している存在にはより酷い死を与えたいという普遍的な人間心理なのである。

屍鬼において田舎とは反知性主義、反近代的合理主義の象徴なのだ。

未放送話で描かれた周辺人物の心理描写は、集団狂気以上に現実味があるがゆえに、恐ろしいものである。子育てに加え、舅姑の面倒を見なければならない女性が子育てに絶望した時、家に火を放つというのはこのような世の中だからこそとても生々しいのだ。

それは例えば1話では清水恵視点で「旧弊」な村を脱し、都会に出ていく象徴として夏野が描かれ、彼自身は恵に与えられた主人公としての役割に対し障子を閉めるという形で拒絶の意思を表すのである。

夏野は結果的に屍鬼ではなくその亜種である人狼になることによって、物語の表舞台から退いてしまうし、尾崎は尾崎で自ら率いた屍鬼狩りの結果(屍鬼を駆除することが村を守ることになったのか否か)については何も言わないのである。

尾崎の為したことが必然的に集団狂気(サディズム)に繋がってしまう一方、屍鬼である国広律子が取った餓死いう形での「選択」の方が屍鬼という存在、誰かを殺さねば生きていけないというルールへの批判としては徹が彼女と運命を伴にしたことから分かるように根源的批判であり、有効なアンチテーゼだと思う。

(勿論、彼女自身と彼女の犠牲に供された人物が旧知の看護師だった特殊な事情はあるにせよ)

尾崎によって真実が明らかになって以降、米屋の夫妻が米袋を運ぶように屍鬼の亡骸を運び、血液に塗れた素手で、まかないのおにぎりを食べる描写などには尾崎の嘆いた田舎の思考停止具合がよく表れている。

彼らは伝染病の危険性に対してなんらかの反応も自主的には行わないのだから。

また田舎の人情味の深さに憧れて越してきた人物の末路が示すように、田舎という、特に限界集落のような場所では相互に助け合う=監視しあわなければ生活できないという前提条件がまず最初にあるのである。

たとえば井戸端会議で親しく話しているような間柄でも都会の老人ホームがあけば、生活の不安がある現状など脱して仲間には何も告げずそちらへ行ってしまう。老人ホームとは井戸端会議とは無関係な現象だからである

このような田舎のある意味ドライな人間関係が如実に現れるのも、単純に田舎には人が少ないからに過ぎない。都会ほどの人口密度があれば、ある一つの関係性がどこにつながるかをすべて把握をするのは難しいため、ビジネスライクな形式としての関係を維持するメリットは勝さるのだ。

そして都会に憧れる清水恵が笑われていたのは、彼女が自分たち自身の心情をあまりに滑稽かつ如実に反映する存在だったからに他ならない。

砂子と室井の小説観に関しての会話に表れていることがこうした村の現状から浮世離れしており、それが故に砂子は最後の詰めで失敗するのであるが、その失敗も含めて辰巳がいう滅びの美学なのであり、室井の小説は未完に終わるだ。

最終的に桐敷沙子も求めていたものは、20世紀をさまよい続けた人としての感情の行き着く場所、それは外界から閉鎖されている洋館に表れているような「家」であり、切敷の家族であったのだが、死=滅びの上に成り立つその場所や関係性は、結局のところ滅ぶべくして滅ぶのである。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 5
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

のんのんびよりの後にコレ観るってのも、我ながら悪趣味

 20.5話と21.5話を後追いで視聴しました。
これって意図的に本編から外してたんですかね?
とすれば、作品の流れのテンポを崩さないようにと言う考えだったのでしょうから構成が巧いなと思いましたです。流石ベテラン監督と言うところでしょうか。
話の流れとしては本編で唐突に感じる部分を描いているので、あって然るべきエピソードですが、この作品の終盤の畳みかけるようなカタストロフィの一部としては流れを乱すから外したのかなと個人的には思いましたです。
個人的には20.5話はこの作品のエッセンスを凝縮した話としてとても良い出来だと思いました。
本編の一部として観るべきか、後追いで観るべきかに関しては私的にはですが後追いをお勧めしたいです。
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 予想より遥かに良かったです。
本放送の最終話を実は一部目にはしてたので、屍鬼達の凄惨な末路は知ってはいたんですけどね。
こんな複雑な余韻残すような作品とは思ってませんでした。
個人的には、ほんのちょっぴり遠藤周作の臭いする気がします。
まぁ私が無学であまり本読まないから、ちょっと宗教的な話となると遠藤周作思い出しちゃうだけなんでしょうけどねw
話しも複雑さは無いですし、全22話の中でも無駄回は無いんじゃないかなと。全体の作りもとてもバランスいいと思います。
もしかすると冷静に観ると話の筋として変なところ有るかもしれませんが、私は話にドップリ引き込まれて詮索する気はおきませんでした。

 正直、グロと言う点では近そうなテクノライズが観るのがツラくて視聴がナカナカ進まなかったのと違ってコレはサクサクと観れましたです。
テクノライズのイメージのグロと違って、コレのグロさはストレートに視覚に訴えますけど展開も含め頭で理解しやすいですし。

独自なキャラデザインで毛嫌いする方も居るかもしれませんが、コレだけの登場人物の多さですから、キャラの記号化と言う点で判り易いし結果的には良かったんではないかと。
この作品、絵を楽しむ作品では無いですしね。
まぁグロ描写とか凄惨な殺戮とかに関しては絵面的にも結構な代物でしたが(汗)

{netabare}
 終盤の室井と沙子の燃え落ちる教会での会話と恵の最期の一連の台詞がイイすよねぇ。
人を糧とする生き方しか出来なかった沙子も、神へ救いを求めるという結果的な信仰を持ち続けて生きてきた。でも、屍鬼となった時点で神の加護の範疇を逸脱する存在となってしまったのだから神は答えてくれないよ。
って会話の後で燃える教会の中での二人は死と得て救済されるのかなと思ってからのCパート。賛否両論でしょうね、コレw
私はむしろ残酷と言うか冷たい作品だなと思いましたです。
 恵も古い村社会から抜け出したいと願ってただけの女の子なのに起き上がりにされてしまって、しまいにゃあの殺され方ですしねぇ。
尾崎医師の村の存続の為に手段を選ばなかった姿と対象を為し、なんとも複雑な印象の作品だなと。
 この作品の他の方のレビュー読んでませんが、エルフェンリートでルーシーを気の毒に思えるタイプの人は好きな作品でょうが、嫌いな方はコレも受け入れがたい作品かなとは思います。なんだかんだ言っても屍鬼達は自分たちが生きる為とは言え人を散々殺してますしね。{/netabare}

私はこの作品好きですね。
グロ耐性のある方ならば、賛否は別として観といていいんじゃないかと。
ただ、え~この人もそうなっちゃうの?(汗)みたいな凄惨な作品なので、強くはお勧めは致しませんです。
//////////////////////////////////////////////////
本放送時に数話目にしてはいたので、ダークな村社会作品と言うのは知ってたんですが忘れてました。
のんのんびよりで田舎暮らしの美しさにウットリしてたのに(汗)

キャラデザインがクセ強いので若干抵抗ありますけど、数話観た感じはホラーとしてイイ感じですね。
それと何故か出てくる犬が妙にカワイイw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13

★☆零華☆★ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

死に善も悪もない。

数年ぶりに再視聴、2週目です。
いやー名作でした!そして凄くメッセージ性が強い。
2週目なのに終始集中して楽しんで観れました。
ジャンルはゾンビホラーと思われがちですが、サイコホラー(人の狂気を描いているので)です。

ホラーアニメ大好きな私は、名があるホラーアニメは全制覇しています。
(といってもここ10年で、ホラーアニメ10作品くらいしかないですけどね。笑)
需要あまり無いのかもだけど、もっとやって欲しい。

近い内にホラーアニメベスト10作る予定なのですが
屍鬼は自称ホラーアニメ専門官である、私のベスト10、上位に入れますね。


【あらすじ】
舞台は外場村という小さい村落。
村の周囲はモミの木(卒塔婆に使う木)に囲まれ、外界との交流も少なく
正に田舎の中の田舎って所。
そんな村には起き上がり(死人が蘇る)という古くからの言い伝えがあった。
物語は、こんな死に囲まれた場所で始まります。


【感想】
貴方は人殺しを悪いと思いますか?殺してはいけないと思いますか?
大半の人は悪いこと、いけないことだと言うでしょう。
何故ですか?誰が決めたのですか?
それは昔からの暗黙のルール、人が定めた罪の意識、法律があるからです。
ですが屍鬼では、そんなモノ(ルール、罪、法律)を改めて再認識させてくれる作品でした。


屍鬼(起き上がり)達は皆に自我があり、生きています。(肉体は死んでいるが)
彼等は生きる為に人を襲います。血を吸わないと死んでしまうから。
忘れがちだとは思いますが、私達ヒト(人間)も何かの命を奪って生きています。
普段は調理され、お店に並んでいる商品として接しているから気づかない。
けれど確実に命を糧として、奪い、殺し、生きています。
そう、屍鬼達も生きる為に襲っているだけなのです。
私達と何が違うのでしょうか?いいえ同じです。
寧ろ、ヒト(人間)の方が、動物、野菜、果物など、ありとあらゆる命を奪っています。
時には、理由もなく殺すこともする。
彼等(屍鬼)を悪と定めるなら、私達ヒト(人間)はそれ以上の悪であるということです。


それに何かしらの理由や、屁理屈をこねているのはヒト(人間)だけです。
ニュースとかで絶滅危惧種が、というニュースが流れれば
やれ可哀想、酷いだの何だのと騒ぎます。
じゃそれがヒト(人間)に危害を加える存在だったら?
やれ殺せ、居なくなれ何だのと騒ぎます。
実に見ていて愚かだと感じます。


【結論】
生きること、生命を全うすることにおいて、善も悪もない。
あるのは弱肉強食、食物連鎖だけです。
立場が変われば、見方が変わる。
そんなことを屍鬼は伝えたかった。
屍鬼からのメッセージだと感じました。



【豆知識・余談】
ヴァンパイア(吸血鬼)のモデルとなったのは、ワラキア公ヴラド3世(ヴラド・ツェペシュ)という
1431年頃に実在した人物です。
敵国、自国の民共に串刺しにしたことから、串刺し公という異名を持っています。

この方もそうですが、ヴァンパイアの設定によく使われる
日の光に弱いなどの設定は、先天性白皮症(アルビノ)という方達から取ったんだと思います。
髪の毛、皮膚、ありとあらゆる部分の色素がなく、真っ白です。
また紫外線を浴びると、焼け爛れてしまい。目もヴァンパイアみたく赤くなってしまう。
本当に珍しい奇病で希有です。


【PS:追記】
BGMのズンチャ!ズンチャ!ズンチャズンチャッチャッ!が凄く印象に残る(*´艸`*)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 36

81.1 12 不気味アニメランキング12位
AKIRA アキラ(アニメ映画)

1988年7月16日
★★★★☆ 4.0 (1095)
5200人が棚に入れました
1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。そして31年―東京湾上に構築されたメガロポリス=ネオ東京は、翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。2019年のある夜、ネオ東京郊外の閉鎖された高速道路に侵入するバイクの一団があった。健康優良不良少年、金田をリ一ダーとする職業訓練高校の生徒達だ。一団は無人のはずの路上で掌に26と記す奇妙な小男と遭遇、先頭を行く島鉄雄は転倒、負傷する。この26号=タカシは、アーミーと対立するゲリラが求める軍事機密=アキラとまちがわれ、軍事基地にあるラボ(研究所)から連れ出され、アーミーに追われていたのだ。あっけにとられる金田達の眼前に突如軍用ヘリが下降、26号と同じようなしわだらけの子供27号=マサルの乗るカプセルと大佐が降りて来て、26号と倒れた鉄雄をへリに収容し、飛び去った。

声優・キャラクター
岩田光央、佐々木望、小山茉美、石田太郎、玄田哲章、鈴木瑞穂、中村龍彦、伊藤福恵、神藤一弘

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

出来の悪い舎弟(友)のケツをを吹くのが兄貴の役目・・・。

大分以前に視聴したことはあったが、今般(大友克洋全集発売記念という事で某youtubeにて視聴できたのでもう一度観てみた(2021.12)。

やはり、前に観た時とはだいぶ印象が変わって観れた。
これはどんな作品にも言える事であると思うが、実際、繰り返し観ることのある作品はそれほど多くない(時間、機会、観る気等々の制約もあるしね)。

そういう意味では、今回は機会に恵まれたという事か。

作品については、思い出、内容、諸々語り始めるときりが無くなってしまうので、控え目にしておこうと思うが・・・、大友克洋の作品を観たのは友人から見せてもらった童夢だったろうか。その当時、友人は「面白い(スゴイ)漫画がある」と言っていたが、正直私にはわからなかった(感覚的な意味で)。
私は、いわゆるマンガ的な絵の方がお好みで、大友作品を観た印象は「スクリーントーンが多用してあるな〜、新しい、シャープな印象はあるが・・・なんか『白いな』」だったwww。
まったく、自身のセンスのなさにあきれるばかりだw。
その後、AKIRAも見せてもらったが、当時は斬新であった、大判で派手な装丁ばかりが記憶に残っていて、内容は難解で、きもいトッチャン坊やは出てくるし、やっぱり「白いし」で、あまり私の琴線には響かなかったものだ。

ただ、今となって振り返ってみれば、その後に続くクリエイターの多くに影響を与え、時代を変えた作家さんだったなあ、とは思うし、あの時代を知っているのは少々優越感もある。

さてこの作品、今見返して観ても80年代らしいアニメの雰囲気を随所に見る事が出来る。
何故だかわからないが、80年代アニメ作品の多くには共通した「雰囲気」があるような気がする。
長くアニメを嗜んできたきた皆さまには、なんとなくでも解っていただける点も多いのではないでしょうか。

もっとも、この「AKIRA」と言う作品は作成当時でも、その斬新で濃密な作成方法についてTVで特集が組まれたりもしていました。
一番わかりやすいのは、アニメの口の動きを実際の発声時の口の動きに合わせて動かすという、一般人にも理解しやすいポイントでしたっけね。
実際は、もっとすごい点がいくつもあったのですが、まぁ、あまり注目はされませんでしたね、わかりやすいとこばかり着目し煽るのは今も昔もTVの仕事ですわ。

で、この作品を見返して観ての簡単な感想を。

・物語自体はそれほど珍しいパターンではない。軍が怪しい研究をしていて〜、その兵器(今回は人間)が暴走して〜、ハイエンシエントなウエポンが出て来て〜、どっかいってしまってーend〜的な。

・ただ、物語のベースとなる世界観、表現方法、キャラ含めそれぞれのパーツ=大友克洋感は特徴的かつ今なお先進的。

・やはり、セル作画アニメとしては一つの到達点と言える。

・金田と鉄雄の関係はやっぱイイ。鉄雄の屈折ぶりも大人になった今なら理解ができる気がする、最後に金田に頼るのはまだガキの証拠だぜ、金田もガキだけどな・・・(コレ(アレ)が若さってもんだろうか、取り返しのつかなくなることもあるけどな)

・ただ、鉄雄の屈折~ちょっと力持った~タカビー~暴走の流れは、なんか昨今の「無敵の人」の暴走っぽくて、心がザワザワした。
自分の得た力にうぬぼれたとしても、今の私に許容できない。
アタマをゲンコツで殴ってやりたい気持ちになった。(金田に近いかw)

・金田の元気さ、怖いもんなしで舐めた感じがうらやましい。

・SFとしても世界観、造形美、エフェクトの表現が今でも通用しそうな、と言うより、今の作品も影響を残している。

・今も、昔もエセな宗教、信者は人智を越える事象をおらが神様だと錯覚し、祭り上げ、利用し、自滅する。

・女性があんましかわいくない。

・80年代のいい加減な感じを、よくぞあそこまで取り込んだものだ(主にチャラ女のセリフ)。
まぁ、男のテキトーさもそうかなw。

・ある意味、動き過ぎて気持ち悪いw

・画面からの情報量が多すぎて、疲れる・・・(歳食った証拠だなぁ(遠い目))

などなど。

まぁ、一個一個シーンを見ながらだと、ここがすごいんだよ、この表現がねぇとウンチクをたれたくなるような作品であることが今でもすごいんだけれどもねぇ。
そうだなぁ、昨今のCGをガンガン使った作品だと、すごくても、ウンチクを述べられるスピード感じゃないですよねぇ。
早すぎるというか、あん?CGならあたりまえっしょ的な「消費される感覚」が強いかなぁ。
セルの動きで、ヌルヌルもたもたしている所に、ウンチクを述べられる隙間が存在する気がしますなw。


この作品は、今となっては30年以上前の作品となります。
人も〇にますし、グロっぽいシーンもありますが、あの時代に最も挑戦的だった作品の一つでもあります。
一度は観ておいてもいい作品の一つでは?とは思います。
合う合わないはあるでしょうけどね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 17

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれ初のリアルイベント開催を祝して・・・

内容については言わずもがなな名作ですのであえて触れずにおきます
なんせ小さい頃にBS2で放送されたのを観て、約10年間トラウマ化した作品なのでw
(コレと塚本晋也監督の『鉄男』は本当に怖かったというw奇しくもテツオ繋がりw)


この度、あにこれにとって記念すべき初のリアルイベントである「懐アニ上映会 AKIRA」に参加したので記念に一筆をと思いイベントの感想を軽く書いておきます


オイラ、1988年の公開当時は物心つかぬ赤ん坊だったので当然映画館で『AKIRA』を観る機会などはこれまで無いに等しく、この貴重な体験にあにこれのイベントとして参加出来たことはありがたく思います


イベントで上映されたのは、HDCAM SRマスターの映像に5.1chデジタルPCMサラウンドの音声、ということで多分ビクター(現ジェネオン)が家庭用ソフトに向けて作ったマスターフィルムじゃないかと予想します
(イベントでは世界に2本しか無いと仰ってました)
当然無圧縮状態なので、家庭用ソフトのソレとは比べ物にならないほど鮮明な映像
それに5.1chで体感するあの音響、これが一番凄かった!
キャストの吐息、効果音、劇伴、とにかく全ての迫力が我が家で観るとでは段違い!
その素晴らしい作画と相まってまるで2015年今日の新作映画を観ているような気分にすらなりましたねb
名作は色褪せないってこのことか!と


岩田光央さんのトークショーにも参加しました
オーディションには大友克洋先生に一目会いたい、という軽い気持ちで参加されたという岩田さん
一時期は事務所の方針で声優としての仕事が無かった岩田さんに『ここはグリーンウッド』や『アンジェリーク』での起用がされたのには、金田というキャラの人気が絡んでいたんじゃないか?と仰ってました


オーストラリアに奥さんとダイビング旅行に行った時、現地人に「日本人ならAKIRA知ってるか!?アレは凄い映画だぞ!」と本人とは知らずに英語で力説されたというエピソードは笑えましたw
ラジオCMの仕事をした時にイケメンディレクターに、行きつけの美容室の美容師に、それぞれAKIRAのファンだと言われたこともあるそうな


『トップ2』の時に山賀博之さんが日本中のクリエイターが会社の垣根を超えて一致団結したのは後にも先にも『AKIRA』だけ、と仰っていたとのこと
しかし当時のアニメアワードを『トトロ』に取られた時は悔しかったそうなw
(真逆の作品ですよねwその後『トトロ』を観て素直に感動したそうですw)
取り調べ中の金田の「アハwアハアハw」という変な笑い方とリュウ達に拘束され「聞くは一時の恥って言うでしょー?」の直後の「言わない?w」は岩田さんのアドリブだそうです


プレスコでは玄田徹章さんがキャスト達のリーダーシップを取られ、共演者の演技の中では佐々木望さんの鉄雄そのまんま感が特に印象的だったらしい


『宇宙戦艦ヤマト』ファンであるから『2199』のようなリメイクには感動したが、『AKIRA』はリメイクして欲しいとは思わない、現代でも十分通用するから、とも
ちなみに【ゲーム版は無かったことに】と言ってましたね(爆)
暴力的な描写が目立つ作品ですが自分の息子には観せたい?と質問されて、自分で観たいと言うまで放っておく、とお答えしてました


若い自分の演技を暫く直視出来ず、30年近くなってやっと普通に観れるようになってきた(笑)とも
ご家庭で観るときは【DVDではなく是非BDの画質で】ともオススメしておりましたね


会場と一緒に「さんを付けろよデコ助野郎!」「やっとモーターのコイルが暖まってキタぜ!」と言ってくれたのには興奮してドキドキしました
(それと「ピーキー過ぎてオマエにゃ無理だよ」もw)


この度は一生の思い出になるとても楽しい時間を過ごせましたこと、関係者様各位には深く感謝を致しますm(__)m
またこういった楽しい機会を「あにこれの」というカタチで過ごせたら嬉しく思います
2015/11/21 新宿テアトル
2015/12/5 川口スキップシティ

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

天才的なSF発想の塊です。人間鉄雄にも注目すべきでしょう。

 金田のバイクってバックができるんですよね。モーターと言っていながらエンジン音がするのでハイブリットなのでしょうか。まず、このバイクのデザインだけでもゾクゾクします。AKIRAという映画でもっとも印象的なこのバイクは金田という男の強さの象徴でした。

 孤児院らしきところで友達になった金田と鉄雄でした。金田の側からみた鉄雄は守るべき存在であり、大切に思っていたのだと思います。一方で金田は鉄雄の憧れでありコンプレックスでもありました。鉄雄の金田のバイクに対する執着を映画ではかなり描写していましたので、これが一つの主題だと思います。力を得た鉄雄は不幸な過去を持つが故に、歪んでいったのでしょう。
 それでもカオリという彼女に対しては最後まで愛情を持ち続けていました。最後にカオリが危険になったときの鉄雄の反応は、途中でカオリが酷い目にあっているときの反応と一緒でした。
 ただ、{netabare}最後鉄雄は自分でカオリは殺してしまいます。金田は鉄雄を助けようとして、鉄雄は金田に逃げろと叫びます。{/netabare}非常に切ない話でした。コミック版よりも鉄雄自体の行動原理はわかりやすかったともいえます。

 あとはアキラの他3人の超能力者たちの因縁を映像の中だけで済ませていたのは良かったと思います。

 人間の描き方では、ケイと金田の気持ちの通じ方がちょっと急だったかなあという気がしますし、ケイも能力を貰って活躍しますが、このケイについては映画版の脚本の弱いところだったと思います。

 全体的なストーリーは、退廃した東京で、超能力者の拉致とテロ、反政府デモが絡んで鉄雄が超能力に覚醒するストーリーですが、事件そのものは鉄雄が大暴れるだけです。

 ただ、物語の密度がすごくて2時間程度の映画なのに、一つの作品世界にどっぷりつかった疲労感が半端ではないです。
 
 本作はSF的な発想と表現がすごいわけです。ネオ東京という発想、その街の風景や夜景、バイクで荒廃した高速道路を走り鉄パイプで戦う、斜めに地下深く降りて行く巨大エレベーター、老人のような少年少女、アキラを閉じ込めていた地下のパイプがうねるドーム、子供部屋のような実験施設、攻撃衛星、レーザー兵器、飛ぶ攻撃兵器などどれをとってもSF的発想のオンパレードでした。いや、発想は過去にあったかもしれませんが、デザイン、映像化したところがすごかったです。

 今や日本のあらゆるSF映像に影響を与えていると言えるでしょう。例えばどう考えてもエヴァンゲリオンは影響されていますよね。ただ、仕方ないと思います。童夢で有名ですが、超能力で飛ばされた人間が壁にぶつかって窪んでひび割れる表現を初めて発想した人です。大友克洋はビジュアル化の天才としかいいようがありません。

 また、アニメの演出なのかもしれませんが、バイクに乗って鉄パイプをアスファルトにつけて火花を散らすシーン。翌年ブラックレインが公開されますがひょっとしたら影響を与えたのかもしれません。アメリカでのAKIRA人気を考えるとあり得るでしょう。

 こういう考察をするといくら文字を重ねても語り切れませんのでこれくらいにしますが、さすがのAKIRAとしか言いようがありません。

 ただ、初見でいきなりこのアニメだとSFリテラシーの関係でポカンとなる人もいるかもしれません。SF慣れしてない人は先に原作を読むことをお勧めします。

 なお、音楽も青森ねぷたまつりのラッセラーを使うのはすごかったですね。パーカッションはエスニックで。魂の中の呪術的というかプリミティブな何かを揺さぶられるようなすごい音楽でした。

 

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9

71.2 13 不気味アニメランキング13位
地獄少女(TVアニメ動画)

2005年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (814)
5092人が棚に入れました
最近、巷に或る都市伝説めいた噂が流れていた…。
深夜0時にだけアクセスできる「地獄通信」に怨みを書き込めば、どこからともなく「地獄少女」が現れて、憎い相手を地獄に堕としてくれる。晴らせぬ怨みや世に不条理はつきもの。納得できない理由や状況に抗えぬままに悲惨な運命を辿る者は多い。
地獄少女=「閻魔あい」は彼らの悲痛な叫びを聞きとげ、依頼主に契約の証である藁人形を渡し、「地獄流し」へ至る方法を語る。ただし、「その代償として自分自身も死後は地獄で永遠に苦しむことになる」とも言う。
地獄少女は全てを見通すかの様な涼やかな瞳を相手に向け、ただ一言告げる。「あとは、あなたが決める事よ」と…。

声優・キャラクター
能登麻美子、松風雅也、本田貴子、菅生隆之
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

人の世は諸行無常

本作はスタジオディーンが3期に亙って手掛けた「地獄送り」をテーマとした作品の1期目である。
序盤6話までは同じような話で進展が全く無いが、パターンアニメではないことを留意して欲しい。6話からは話が進展してゆく。


基本的なコンセプトは『必殺シリーズ』を元に「法で裁けぬ、晴らせぬ怨みを依頼者から引き受け成敗する」というものである。
依頼方法は『ゲゲゲの鬼太郎』を彷彿させるもので、ネット上に深夜0時に怨みを持ったもののみアクセス出来る「地獄通信」に依頼者がアクセスし、
怨んでいる相手の名前を入力すると、即座に地獄少女が現れ、首に赤い糸が結ばれた「藁人形」を渡し、地獄送りの手順を説明するというものである。
本作はただ怨みを晴らして(相手を地獄送りにして)お仕舞いという安易なものでなく、
「依頼人自身も命に匹敵する代償を支払う」という本作独自の設定がある。
そうした作風について、制作側は「“人を呪わば穴二つ”の言葉の様に、依頼者の人の命を奪うという願いには、それ相応のリスクが必要である」と語っている。地獄流しに出来る相手は1人のみで、一生に一回しか使えない。

地獄流しの手順

①怨みを持つ依頼人が地獄通信へアクセス、名前を入力
②地獄少女が現れ「首に赤い糸が結ばれた黒い藁人形」を渡す
③相手は即座に地獄送りにされるが、依頼者も死後地獄へ行く旨を依頼者に伝え、依頼者の判断に任せる
④依頼者が糸を引いた場合、場合により対象者は三藁にパラレルワールドで仕打ちを受け、罪を認めるように促す。
(認めても認めなくても地獄には流される)
⑤対象者は舟で三途の川を越え、地獄へ流される

本作は観ていて不快になる回が非常に多く、怨み(他からの仕打ちを不満に思い、憤り憎むこと)ではなく憎しみ(自分に不利益をもたらすものを嫌うこと)や僻み(歪んだ考えをすること)、妬み(他人が自分より優れた状態を羨み憎むこと)による依頼も進んで引き受けている。また特筆すべきは依頼人に18歳未満が多く(15/22)、判断力に乏しい中、刹那的感情から依頼したり、安易な気持ちで依頼するケースが多く、これは必要悪の限度を越えた由々しきシステムである。
他にも、三藁によるパラレルワールドでの仕打ちが大甘なのが非常に残念。もっと厳しくやって恐怖のどん底に叩き落して欲しい。水木しげるを好んで読む私としては例えば1話のしゃれこうべは眼球の垂れた生首くらいにして欲しい。
また、怨みを晴らされた側も現世で罪を償わせるべき。
こんな事ばかり言ってもそういう作品なので仕方が無いが。
只、8話から本格的に登場し始めた柴田親子により作品に対する考えが若干変わった。地獄少女は自分の正義により依頼を受けているわけでなく(依頼の拒否は出来る)、誰でも良いから地獄送りにしているようで、それに対し柴田親子が間違いを正すべく活躍するという話に傾倒していった。この点は非常に評価できる。

怨みは怨みの連鎖を呼び、留まることを知らない。人の世が続く限り怨みは消えない。只、人を怨むことは楽しいことではないので、進んで行うことはない。よって余程の事が無い限り人を怨むことは無いのだ。本作は遊び感覚で地獄通信にアクセスする描写があるがこれはとんでもないことだ。
例え怨みを晴らしたとしても、傷ついた心が癒えることや、無くなったものがかえってくることは無い。そのことが分かっていながらも溜飲を下げるために、遣る瀬無い気持ちを鎮めるために、人は人を怨むのである。

人を呪わば穴二つ
一つ目の穴は「自責の念」。人を殺したという強い認識は死ぬまで付きまとい身を蝕んでゆく。怨みの元と成った傷が癒えることがあっても、この認識が消えることはない。
二つ目の穴は「怨んだ者の周囲の念」。自分が怨んだ相手が、誰に対しても腐れ外道であることはほぼ無く、相手にも家族が居て、信頼している仲間がいるのだ。その人たちの怨みも消えることは無い。

因みに本当の語源は依頼者と対象者二人とも地獄(穴)行きという意味。

本作はしかも怨みを晴らすことを他人まかせにし、自分では一切手を出さないという汚い手で怨みを晴らす。代償として死後地獄に送られるが、これでは安いものだ。他力本願は時に罪なことである(私は浄土真宗(笑))。
特に本作の場合
①自ら怨む相手を殺害することにより殺人の実感を得る。
(他人に依頼する場合、金銭で埋め合わせが必要。)
②殺人の罪に問われるまでは、逮捕に怯えること、
捕まってからは罪刑法定主義に則った裁きを受ける(刑事面の裁き)
③殺人者の家族、親類は必ずと言って良いほど世間で差別・迫害され、縁者への迷惑など社会的責任を負う(民事面の裁き)
④殺人者は死後、極楽浄土(キリシタンの場合、天国)へ行けず、地獄へ落ちる。

これらの①~④の項目の内、地獄少女に依頼する事により、①~③から免れることが出来るのである。しかも、地獄少女への依頼は、「積年の怨み」のような重い怨嗟でなく、「気に入らない」「嫌い」「邪魔」などの軽い憎悪でも簡単に行うことが出来ることも安易な依頼へ拍車をかけている。


終盤の地獄少女の過去に纏わる話は面白かった。
中盤から柴田一家は完全に地獄少女に目を付けられ、終盤では酷いことになっている。柴田一とつぐみの親子の絆も感じられた。恐らく、柴田一家が登場しなければ視聴を中断していただろう。

・地獄少女の過去について
{netabare}
閻魔あいは安土桃山時代に村のためと称して「七つ送り」の人柱にされた少女、あいである。
家族の意志で密かに人柱を免れ、幼馴染の仙太郎の協力により、山の祠で生きながらえた。しかし、作物の不作を不審に思った村人達によりあいの生存が暴かれ、罰として両親共に地中へ埋められて人柱とされる。その際、仙太郎が村人に強要されてあいへ土を被せてしまったことから、自らは仙太郎と村人達への強い恨みを抱きながら一旦は力尽きるが、その後に蘇って故郷・六道郷(むつみごう)へ火を放って村民を虐殺するという大罪を犯す。この罪はあまりにも重すぎて地獄でも償いきれず、罰として地獄少女として働く責務を課せられる。

柴田一は仙太郎の家系の末裔で、そのことから、娘の柴田つぐみに地獄少女の精神がリンクした。
{/netabare}


本作は観ていて余りに不快だった為、各話毎に私の主観によるコメントと評価を付けた。
{netabare}
あくまで"主観"であるので、一切のクレームには応じない。
また、視聴後で無いと全く理解出来ないので悪しからず。

依頼人=被疑者=疑とする
対象人=被害者=害とする
得点は善:悪とする
話数の脇にある(18)は依頼人が18歳未満の意

1話(18)
疑:橋本真由美 害:黒田亜矢 40:60
金の管理はしっかりすべき。担任の教師や親に相談すべき。
2話(18)
疑:鷹村涼子 害:如月 100:0
この被害者は腐れ外道なのでOK。殺される寸前だったのでこうするより仕方ない。
3話(18)
疑:岩下大輔 害:花笠守 80:20
この被害者も腐れ外道だが、放っておいても警察に捕まった。無駄骨。
4話(18)
疑:菅野純子 害:本條義之 40:60
この被害者も腐れ外道だが、犬が処置が遅れて病死した程度で人を殺すのはいかがなものかと。その医者を選んだ責任もある。助手もわざわざ客にそんなことを教える必要は無い。墓場まで持っていくべき。
5話(18)
疑:田村美沙里 害:海部美穂 70:30
この被害者も腐れ外道だが、こんな簡単に企業経営出来るなら皆やってるよ。ストーリーが稚拙過ぎ。
6話(18)
疑:安田遥 害:戸高奈美子 80:20
この被害者も腐れ外道だが、子供が哀れ。
7話
疑:来島薫子 害:紅彩花 70:30
この被害者も腐れ外道。養子は選べということだ。被害者が哀れ。
8話
疑:田沼千恵 害:石津吾郎 50:50
よくあること。
9話(18)
疑:春日由香 害:森崎伸也 40:60
発表前の菓子をライバル店の店長に見せるな。信用しすぎ。
但し被害者がまたまた腐れ外道。
10話(18)
疑:渋谷みなみ 害:赤坂詩織 10:90
あの程度で人を怨むとは恐ろしい。逆恨み甚だしい。
最終的に怨みでもなんでも無かった。介入すべきでない。
11話
疑:片岡雅也 害:稲垣隆史 40:60
この被害者も腐れ外道。しかし親父の贈賄は事実なので逆恨み?
12話(18)
疑:沢井茜 害:深沢芳樹 0:100
意味が分からない。この程度で受理するのか?先生が哀れ。終盤は説明不足。先生も死にたければ自殺すれば良い。
13話
疑:福本 害:大河内 100:0
こういう完璧なのは良い。
14話(18)
疑:桐野沙樹 害:楠木亮造 10:90
逆恨みだが、町長も部下の管理が甘かった。
15話
疑:湊三奈 害:湊藤江 80:20
関与すべきでなかった。駆け落ちしろよ。
16話(18)
疑:マミ 害:マキ 90:10
これは父親が悪い。父親が虐待する前に精査すべきだった。監督不行き届き。
18話(18)
疑:上川美紀 害:下野芽衣子 90:10
この被害者も腐れ外道。しかし法で裁けた。犬の躾はしかっりしとけ。また判断が稚拙。調べたり相談したりしろよ。
19話(18)
疑:氏家祈里 害:氏家鏡月 90:10
バアさん暫くしたら死ぬのでは?警察に相談しろよ。
20話
疑:エスパー☆ワタナベ 害:ジル・ドゥ・ロンフェール 10:90
ジルは地獄少女に会いたかっただけだろ。
21話(18)
疑:村井優子 害:関根良介 60:40
これは警察に相談のコース。
22話
疑:末次吾郎 害:林紀子 20:80
女を見る目が無かっただけだろ。
23話
疑:男 害:桜木加奈子 0:100
心中したかった気持ちの悪い男。可愛そうに。

26話
関係無いけど七童寺の住職が地獄少女に焼殺された。哀れ。
{/netabare}

観ていると不快になること間違いなし。しかし何処か引き込まれている自分が居る。鬱アニメと言うが私は鬱要素は全然無いと考える。胸糞悪いだけ。良くも悪くも人間は元来業の深い生き物だということだ。複雑な思いが交錯し、綺麗事で終わっていないのが救いである。愛情と怨嗟は表裏一体。
四苦八苦の内、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦が象徴的に現れていた。
2期、3期もあるので是非観てみようと思う。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27
ネタバレ

くあれ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

一度は聞いたことがあるあのセリフ…「いっぺん○んでみる?」でお馴染みのミステリーホラー作品

あらすじはあにこれを参照。

一話一話メインとなるキャラが変わるので自由な展開が出来ていて退屈しなかった。内容のほとんどは不条理で胸糞悪いと思った。作画や音楽に関しては普通。

【第一話 夕闇の彼方より】
{netabare} 大人気作ということで知ってる人も多いからなのか、いきなり各話のメインとなるキャラの話が始まって理解が追いつかなかった。地獄少女について少し説明が欲しかったかも。作画は普通で音楽は地獄少女と正式に契約した後の終盤のBGMが恐怖感というより騒々しく感じた。 {/netabare}
【第二話 魅入られた少女】
{netabare} 序盤の進め方を観た時に話の結末が分かってしまい、案の定その通りだった。真に迫るとストーカーが誰なのかが分かった。登場キャラも限定的だったなので余計に。 {/netabare}
【第三話 汚れたマウンド】
{netabare} まだ三話目だったけど、一番胸糞悪かった。人を殺してその罪を他人に押し付けて自首してと言われたら何故?と開き直る。コイツは地獄に落ちた方がいいと思った。地獄少女(あいちゃん)ナイス。 {/netabare}
【第四話 聞こえぬ叫び声】
{netabare} 私も犬を飼っていたので自分と話のメインとなる少女(純子)を重ねてしまい、気分が悪くなった。
少女の場合は、実の親子も失っているので、私よりも辛い境遇だと思い、今後は頑張って強く生きてほしいと思った。 {/netabare}
【第五話 高い塔の女】
{netabare} 何故社長にまで上り詰めたのか理解できない。客観的に観ていたらただ無能としか思えない。人の弱みを握って自分の手は汚さない。完璧な悪役の立ち位置。 {/netabare}
【第六話 昼下がりの窓】
{netabare} 奥様の中でもスクールカーストのようなものがあるとテレビで観たことがある。夫が一流企業に勤めている奥様から取り巻き奥様が出来て中小企業に勤めている夫の奥様が下に見られるみたいな。本当に胸糞悪い。夫を支えるのが妻と聞くけど、妻を支えるのは?すごく困っていて今にも病みそうな姿見ていたら頭痛くなってきた。 {/netabare}
【第七話 ひびわれた仮面】
{netabare} あまり響かなかった話だけど養母のやり方は気に入らない。二人の少女がメインで人形も二人が持つという新しいパターン。一人の少女が圧倒的に悪役っぽかったから地獄に落ちる方は予想しやすく、やはりその通りとなった。 {/netabare}
【第八話 静寂の交わり】
{netabare} この話が一期の終盤にも大きく関わっている気がする。二人の親子がね。地獄少女(あいちゃん)の洗礼してるシーンがあって興奮。毎話欲しいね。 {/netabare}
【第九話 甘い罠】
あんまり覚えてないので、機会があったら観直す。
【第十話 トモダチ】
{netabare} サブタイみて思った。「私たち友達だよね?」こういう作品にありがちなセリフだから絶対言うと思ったら本当に言ってたからシリアスなシーンなのに少し笑ってしまった。 {/netabare}
【第十一話 ちぎれた糸】
あんまり覚えてないので、機会があったら観直す。
【第十二話 零れたカケラ達】
{netabare} 担任の先生が心配して家に来るのって普通なのか?私も不登校の時期に先生が家に来てくれたことがあった。この作品の場合は少しやり過ぎ感あったけど、部屋の扉強く叩いて不登校の少女(茜)を呼び出してた。流石に母親も「もうやめてください」って言ってたし。 あんなことされたら余計出たくなくなるよね{/netabare}
【第十三話 煉獄少女】
{netabare} 地獄少女(あいちゃん)の仲間きたこれと思ったら、ただの古本屋の本の作品名だったよ。少し残念。まぁ私は地獄少女(あいちゃん)一筋だけどね。 {/netabare}
【第十四話 袋小路の向こう】
{netabare} メインのキャラの進行と同時に八話から関わっている柴田家が前回に続き登場。地獄少女(あいちゃん)を探していて、理由が地獄に送るのはよくないからやめさせるらしい。けど、それだけ?なにか内に秘めてそう {/netabare}
【第十五話 島の女】
{netabare} 禁断の恋というものだね。恋の力って凄いよね。境遇にもよるけど地獄少女(あいちゃん)を頼るほどだからね。終盤では序盤から絡んでた柴田家が人形の糸を解かないように促してたけど、あえなく失敗。ハッピーエンドいけそうだと思ったんだけどなぁ。 {/netabare}
【第十六話 旅芸人の夜】
{netabare} 観てる中で不自然な動きがあったから引っ掛かってたんだけど、分からなかったなぁ。二人いますパターンだったか。私が表で輝いて私が影で生きる的なの。 {/netabare}
【第十七話 硝子ノ風景】
{netabare} 霧の中の館ほど怖いものはない。
しかもそこに少女(ニナ)がいる。怖いわ。
結論から言うと少女はニナではなくて、ニナが大切にしていた人形だったっていう。なんかありがちな展開だけど、予想出来なかったな。地獄少女(あいちゃん)が「あなたはニナじゃない」って言った時驚いたし。 {/netabare}
【第十八話 縛られた少女】
{netabare} 犬が関わるとこの作品碌な生き方しないから嫌だな。予想通り犬死んじゃったし。少女(美紀)が親か警察に相談してれば丸く収まったと思う。犬が人質みたいに囚われてたけど、芽衣子っていうおばさんが遺産目当てで家族を殺したことを美紀に知られたと思ったみたい。 {/netabare}
【第十九話 花嫁人形】
{netabare} こいつ人間か?と人間性を疑うほどに酷いことしてて胸糞悪い。この話にも柴田家が関わってる。というかほとんどの話に今のところ絡んできてる {/netabare}
【第二十話 地獄少女 対 地獄少年】
{netabare} 後半が進むにつれて地獄少女(あいちゃん)の心情が少しずつ変化しているように思える。
地獄少年についてだけど、地獄少女(あいちゃん)のライバルになるのか?と思ったらあっけなく地獄に流されてた。地獄に行くの2回目みたいだけど、正直なんとも思わなかった {/netabare}
【第二十一話 優しい隣人】
{netabare} 柴田家が大きく絡んでくる話、隣人というのは柴田家の隣人という意味。まさかの人形使わず終わるという珍しい展開。さすがの地獄少女(あいちゃん)の仲間たちも、このままでは邪魔になると意識を改めたみたい。 {/netabare}
【第二十二話 懺根の雨】
{netabare} ようやくたどり着いた。柴田家が地獄少女に関わる理由。母(あゆみ)が他界していて命日なので御墓参りに行くという話。回想が多めの話だったけど、回想がとても胸に刺さる。一生後悔が残ると思えるような内容。でも終盤では救われた気がしなくもない。 {/netabare}
【第二十三話 病棟の光】
{netabare} 納得いかない。すごくいい人だったのにモブキャラっぽいのに地獄送りされて、地獄少女(あいちゃん)と契約した本人は自殺。終盤でまたも胸糞悪いのぶっ込んできたよ。三途の川渡る時に地獄少女(あいちゃん)が少し揺らいでた気がした。 {/netabare}
【第二十四話 夕暮れの里】
{netabare} 柴田親子と地獄少女(あいちゃん)が立ち並ぶのは初めてじゃないか?お互いの因縁も明かされてもう話も終わりそう。 {/netabare}
【第二十五話 地獄少女】
{netabare} 回想みて思ったことは他作品の【黄昏乙女アムネジア】の回想思い出したってこと。村人から生贄にされて怨み、憎しみが生まれるって展開が似てる。本当に悲しい。こういうのって支えてくれていた人が裏切った時がより一層辛くなる。 {/netabare}
【第二十六話 かりぬい】
{netabare} 柴田親子が離れ離れになって地獄少女(あいちゃん)は昔の感情が再び芽生え覚醒して激おこ。能力も惜しみなく発動してて完全に我を失ってると思った。二十二話での回想を引っ張り出してきたな。ここで柴田親子は吹っ切れたみたい。地獄少女(あいちゃん)も間近で柴田親子の様子を見てなにか感じ取って正気に戻ったみたい。柴田親子は救われたみたいだけど、地獄少女(あいちゃん)はどうなんだろう。契約なしで地獄に送ると自身も地獄に行くらしくて、一度そうなりかけたはずだけどね… {/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 3
ネタバレ

石川頼経 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

素直に名作と言える作品群です。

*別のところにも書いた文章ですが、なんだか、地獄少女を最近、四期の影響で見始めた人たちに「長い」とかいう批判が出てきたので反論と考察を長文でつらつらと書きます。

10年近く前のアニメたる地獄少女は三期までは一期につき「2クール×2=26話」が三期(計78話)続いたわけですが、それを今更、自分たちの基準で文句を言うのはどうかと思います。
この作品に限った事ではなく、最近のアニメ全体についてですが、「最近、アニメに対してせっかちな人が多すぎる」と思います。
最近のアニメは季節ごとの1クール作品主流ですが、たかだかそんな短い話しでも「展開が遅い」だの「中だるみする」だの文句を言う人が多すぎます。
そして2クール作品だと「長すぎる、1クールにまとめるべき」みたいな意見が出ます。
昔のアニメは基本的には4クール(一年)でしたし、ヒット作品や原作が長い作品だと二年以上(100話以上)やるなんてザラでした。
最近のアニメ視聴はたかだか一話や二話。たわいない話しや息抜き回があったくらいで騒ぎになり批判の嵐で「切る」とか言い出す人がいますよね?

なんだか、最近は「1クールアニメが基本」になってる人も多いようで、それを前提に批評している人も多すぎですね。
私は好きなキャラや作品が少しでも長く続くのは好きなので、長期アニメ肯定派です。
それに長期アニメなら多少、出来の駄作・凡作回、遊び回があっても、それはそれで「まあ、こんな回があっても良いか」と許容できる利点もありますしね。

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さて、作品の論評です。

個人的にはテレビシリーズのアニメとしては最高峰ともいえますし、
一部の作品は何度でも繰り返して見られます。
能登麻美子をはじめとした声優さんたちの怪演も良かったです。

強いて難を挙げると全ての回が傑作というわけではなく
「イマイチな回」が幾分あったというのが欠点ですか

まあ、それも2クール×3期という長丁場なので
イマイチ回があるのは仕方ないと言えない事もないです。

一期で個人的ベストは「硝子の風景」ですね。ただしいつもの地獄少女の構成を崩した異色回です。そういうのに良い話しがあるってのは実は結構よくある事だったりします。
他に「高い塔の女」「トモダチ」「袋小路の向こう」「縛られた少女」「病棟の光」なども好きです。
逆に一番、つまらないと思った話しは「優しい隣人」です。今更の盛り上がらない話しでしたね。

個人的には四期以降も作って欲しいですが、
それは難しいですね。と思ったら2017年7月から新シリーズが放映されるようです。

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特報です。
>「アニメ小冊子つき 地獄少女 傑作選 ~花鳥風月~
2017年7月より『地獄少女』新アニメシリーズが放送スタート!この新アニ>メの設定資料が入った小冊子を付け、『地獄少女』コミカライズシリーズの>人気ストーリーを集めたオムニバスを刊行。」

いやー、実に八年ぶりに新シリーズ実現とは・・・・
能登さんの声も大分変っただろうけど(悪く言えば劣化(?))、
幸い、閻魔あいはキャビキャピしたキャラではないので
能登さんが40になろうと50になろうと比較的。問題は少ないかもです

公式サイトでも発表されました。
http://www.jigokushoujo.com/

ただし、我々が期待していたようなものとはちょっと違っていて、
既成作の総集編六話+新作六話の一クールという事で、新作部分はわずか六話の短編ですね・・・
うーん、これでは早くも五期期待ですね。
とはいえ、これを応援しないと「本格的な地獄少女シリーズ」も始まらないので応援したいです。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

蛇足の考察
{netabare}「異色回ですが、そういうのに良い話しがある」について

全く関係ない知識披露ですが、
そうなんですよね。例えば推理小説などでシリーズ探偵が出てこない話しが代表作と言われるのはよくあるケースなんですよ(もしくは処女作=最高傑作になるケース)。
例えば探偵ポワロや老婦人探偵ミスマープルで有名なアガサ・クリスティですが、最高傑作はこの二人が出てこない「そして誰もいなかった」だったりします。
エラリ・クイーンも一番多く書いた「エラリー・クイーン探偵もの」ではなく四作しか出さなかったYの悲劇など悲劇シリーズが有名になってしまった。
ディクスン・カーもクロフツも同じ、シリーズ探偵ものが代表作とはならなかった。
名探偵シャーロック・ホームズで有名なコナン・ドイルは推理小説自体を「文学とも言えない低次の娯楽作品」とみなして、自分が「シャーロック・ホームズもので有名な推理小説家」と言われるのを非常に嫌ってた。
江戸川乱歩の場合、肝心の本格推理小説はあまり評価されず、子供向きに書いた「二十面相もの」が一番有名になってしまったという皮肉ぶり。
こういうケースって結構多いのです。
一生をかけた探求してきたものよりもちょっと目先を変えた番外的なものが評価されるのは作り手としてはさぞや不本意な気がします。
原因を考察すると「ノンシリーズものは構成に縛られず話しが自由に作れる」からかもしれません。{/netabare}

余談
普通、声優のキャスティングはオーディションで決めますが、閻魔あい役に関しては原案者のわたなべひろしさんが「この役は能登麻美子さん以外、考えられない」とオファーを出したそうです」

投稿 : 2025/01/04
♥ : 23

74.3 14 不気味アニメランキング14位
亜人(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (919)
5010人が棚に入れました
高校生、永井圭。トラックによる追突死の直後、謎の蘇生。これにより国内3例目の不死の新人類・亜人であることが判明した。警察および亜人管理委員会により捕獲作戦、開始。同刻、管理下にあった2例目の亜人が何者かの幇助により逃走。この者らは直ちにテロ活動を展開し人類への復讐を開始した。
永井圭の動向を注視せよ。繰り返す・・・

声優・キャラクター
宮野真守、細谷佳正、大塚芳忠、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、福山潤、木下浩之
ネタバレ

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

もう少し違った方向性を期待したんだけど…

CG屋のポリゴン・ピクチュアズがシドニアの騎士以来に制作する漫画原作作品。
同時期に映画が公開され、映画の方は3部構成になっているらしい。

5月から第2部公開のようだが、アニメで描かれている部分と共通している部分があり、
第2部でアニメで描かれた部分の後までやるのか、またアニメに2期があるのか、
その辺りの事情が今のところよく分からない。


☆物語☆

17年前のアフリカの戦場で初めて不死の亜人が確認された、という背景があり、
舞台は現在の日本、主人公永井がある日トラックに轢かれたことで、
自身が亜人であることが判り逃亡するが、捕まり人体実験の対象となる。
帽子と呼ばれる他の亜人佐藤が救出に来るが決別、研究所を脱走し田舎に隠れる。
佐藤はネットで他の亜人を集め、実験に加担した製薬会社を破壊、
最後には自らが国を統治する、と宣言し政府組織、警察と戦う...


まぁ大体こんな感じのストーリーなんだけど...

まず、何故「亜人になる」のか自体謎で解らないんだから、
とりあえず捕まえて人体実験、しかも殺してばっかりっていうのは、ちょっと安易過ぎる気がする。
遺伝的に亜人が生まれる、のでないとすれば、何かしらのウイルスとかの感染症とか考えられるのに、
厚生省は何を考えてるのやら。。

亜人か亜人じゃないか、死ななければわからないんだから、一体どれだけの亜人が居るかわからないのに、
ちょっと亜人に対する人間側の描き方が単純過ぎる展開だなと。。

また、気になるのは警察含めた権力側の無能さ。
戸崎に関しては、終始無能だし。。

いくら佐藤が戦闘力があるからって。。
{netabare}麻酔銃で眠らせて捕獲、っていうのはまだ分かるけど
ひたすら銃で殺し続けるって、ちょっと子供じみた発想で笑ってしまった。。{/netabare}
もっと捕獲ネットやら、催涙弾とか粘着剤やら、撃った後に拘束具とか手錠掛けるなり色々考えられる方法あるだろうと。。

また、{netabare}永井が研究所脱走した時、なんですぐに捕まえられないのか、というのも疑問で、
やすやすと逃げられすぎだろ。。{/netabare}。

亜人側、佐藤の行動にも疑問。
{netabare}ネットで世間に権力側の悪事を知らしめるというのは良いと思うんだけど、
結局国を統治するとか言い出して、{/netabare}どうも安直過ぎる行動に感じる。
まぁ只の戦闘狂らしいから、結局大して考えて行動してない、ってことなんだろうけど。。

亜人の金の作り方に関しては上手く考えたな、と思った。
けど、人間じゃなかったら使い物にならんのじゃないのか?という疑問もあるけど。


☆声優☆

人気&実力のあるキャストが揃っていて演技自体に不満はなく、概ね満足。
注目は山中(婆ちゃん)演じる大ベテランの久保田 民絵さんですかね。
去年は幸福グラフィティ、一昨年はWIXOSSなどにも出られてましたが、今回もナイスな婆ちゃん役(笑)


☆キャラ☆

出てくる主要なキャラの行動が安易というか、場当たり的過ぎる感がある。
主人公永井の性格がクズなのは、別に好き嫌いで評価する訳じゃないからいいんだけど、
頭脳明晰、合理主義的な考え方なのに、田舎に逃げてからの行動がしっくり来ない。
結局 {netabare}最終話には佐藤を止めに行くって...{/netabare}

先に書いた通り佐藤の行動も安直過ぎる気がするが、それに賛同する亜人も頭悪すぎ。。
て言うか、別の亜人達は永井同様、一回死んだから自分が亜人だと気付いたはずだと思うけど、
人が死ぬような場面って、そんなに人目に触れないもんだろうか。。
年寄りは居ないし、みんな人目に付かないようなところで自殺を計った人ばっかり?殺された?
どうもその辺の事情がよく分からない。

キャラで良かったのは戸崎の部下の下村がなかなかCGにしては可愛かった笑
最初の永井を助けた海斗がどうなったのか、その後出てこんし。。


☆作画☆

やっぱり見どころは作画(CG)ですかね。
視聴者がシドニアの騎士を観てれば、だいぶCGにも慣れてきていると思うけど、
本作では戸崎の部下の下村も可愛いと感じた人は、自分だけじゃないと思う。。
フルCGじゃまだまだ「萌え」を期待するのは難しいと思ってたけど、
意外と遠からず、違和感なしに観れるようになるかもしれない。

コマ数が多くシームレスなCGだから、より人間の動きに近い自然なヌルヌルした動きを描くことが可能なんだけど、
それが観る側が違和感を感じる、っていうのは、如何に普段コマ数の少ない作画作品を観てるかってことで、
次第に慣れてくると思う。(ディズニー映画を観て気持ち悪い、という人はあまり聞いたことがない)

ただ、今期の「ブブキブランキ」が同じCGアニメでも作画を合わせて使ったり、コマ数を意図的に減らしたりして、
より作画アニメに近い、違和感の少ない仕上げに拘ってたのは、本作とは違うところですね。

CGならではで良かった点は、IBMの描き方。
作画でやるとなるとかなりしんどい部分だと思うし、同様に戦闘部分動きのある所は良い。。
あと背景との馴染みが抜群で、輪郭線や色彩もいい感じにボカしてほとんど違和感がなく同化しているのは、
これは通常の作画アニメだとなかなか難しい部分だと思う。
CGの違和感ばかり言うんじゃなくて、こういうCGならではの良さ、という面も見るべきじゃないかと。
どうせこれからどんどんCGアニメは増える一方だし。。


☆音楽☆

OPは人気バンドのタイアップ曲だが、歌詞はちゃんと作品にリンクした内容になっている点は評価できる。
EDはアニメーションが結構インパクトあったかな。曲自体はどちらもなかなか良いと思う。
作中BGMはここぞという場面で緊迫感がよく伝わってくるもので、演出上効果的でなかなか良かったと思う。


まとめ

結局亜人VS人間(国家権力)ってのを描きたいんだなっていうのは分かるけど、
東京喰種とかと同じような展開で、題材が興味深かっただけに、期待してたような方向へ行かなかったのが少々残念。

まだ東京喰種は人間を喰わないと生きていけない、主人公が喰種になる過程も描かれてて深みがあったけど、
こちらはまだこれからどうなるか分からないけど(寄生獣とかの方向へ持って行きたいのかな?)
どうも今の段階ではキャラの行動や設定が浅い気がする。

色々と疑問や気になるところはあるものの、なんだかんだ1クール退屈すること無くそこそこ面白く観れた。
映像に関しては見応えがあるので、今後の展開次第という感じ。
ただ、続きがあればいいけど、劇場版だけで終了、だとするとちょっと寂しい感じはするかな。。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

かさい さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

この上ない満足感

ポリゴン・ピクチュアズ制作のフルCGアニメ。
挑戦的な試みと、文句のつけようがないクオリティ、原作をリスペクトしたシナリオと構成。
何より、他のアニメでは味わえないフルCGならではの表現も見事だった。

スタッフ陣は瀬下総監督率いるシドニアの騎士制作陣。
この作品は安藤監督中心で制作している模様。

【総合】
4.81/5

【物語】4.8
【構成】4.9
とにかく純粋に面白かった。同時期に放送されているどの作品よりも楽しんでいたかもしれない。

・原作準拠の内容と巧みなオリジナル展開
ネタバレを避けるため、内容に触れたレビューは避けるが、この作品は内容も魅力的だったことには間違いない。
主に原作のシナリオどおりに話は運ぶが、オリジナルでアニメ版として消化している部分もある。基本設定やキャラをブレさせず、しっかりとアニメ版としての展開を用意しているシナリオには感服。

・1話構成、引きとタメ
1話の構成はシドニアよろしくなスピーディーかつ緊張感のある仕上がりになっており、リズムやテンポも途切れない。またCMやEDまでの引きが物凄く上手い。
原作ものとしては、1話でどのくらいの内容を消化するかは非常に作品によってはネックになる要素ではあるが、この作品はそれさえも武器にしてしまった。また、焦らし方、セリフのタメ方も非常に良い。アバンで前回のあらすじを挿入するが、その構成も上手いとしか言えない。セリフとカットのチョイス、構成が素晴らしい。前回の興奮が蘇った状態で最新話を迎える事ができる。
こうした要素が重なって、話数単位での満足度はずば抜けて高い。


【CG】4.85
この作品では、CGならではの表現や、カメラワーク、撮影処理が施されていて、緊迫感や臨場感も他のアニメでは味わえない別のものになっていた。

・人間らしさ
この作品ではまず、収録方法にプレスコを用いている。
そのため、喋るキャラクターはまさにリアルタイムで話しているかのような生々しい芝居になっている。表情や動作に関しても、人間らしさを随所で感じるモーションになっている。
細かいリアクションや仕草などにも力が入っており目線の調整も非常に細かい。この表現は手描きでは厳しいだろうなと見ていて感じる映像だ。

・IBMアクション
形が定まっていない常にエフェクトを出し続けている人の形をした何かを手描きで表現するのは至難の業だと思う。この作品では、フルCGを存分に活かし、際どいアングル、レイアウトでの戦闘を容赦なくやる。
IBMからは常時エフェクトが出続けており、接触した際のエフェクトなんかは気持ちよさすらある。SEも迫力を全面に押し出し、IBMアクションは臨場感と迫力を兼ね備えた映像だった。


【美術】4.75


【声優】4.8
・ハズレのないキャスティング
主人公役の宮野さん中心に実力派が揃うこの作品は、個人的には原作でもっていたイメージ通りの見事なキャスティングになっていた。
佐藤に至っては大塚さんしかいないだろうと思える入り込みぶり。

・プレスコで強まる生々しさ
宮野さんや大塚さんには持って来いな収録方法。
キャラに入り込める人ほどプレスコの効果は向上する気がする。
また、キャラ強化面だけでないく人間的描写の生々しさも増す。
CGの芝居もリアル、キャスト陣の芝居もリアル。この生々しさがたまらない。

【音楽】4.8
凄く良い。
勿論、作品の世界観にはマッチしているがSE的な音使いとフィルムスコアリング的なタイミングが絶妙。
パターンとシチュエーションが上手く噛み合っている成功例とも言えるレベル。

【演出】4.85
・日常を切り取ったフィックス
気づけば長尺のフィックスになっていたりする。
フルショットだったり、フカンであったり、隠しカメラ的な位置にカメラを置き、動かさないでひたすらキャラに芝居をさせるという手法。
個人的にはかなり好きな日常描写ではあるが賛否は分かれそう。
カメラが動かない、カットが切り替わらないということは、画面上に大きな変化は無いが、それだけ落ち着いてキャラを見せることが出来るということでもある。日常描写には拘りを感じた。

・的確な空間表現
日常描写に必須のレイアウト、これも素晴らしかった。
どのキャラがどこにいても、必ずそこには空間があり明確な場所になっている。その中で、芝居やアクションをキャラがこなす。正直たまらん。

・CGならではの演出
多数のモブを同時に動かす演出。
病院で、車が入ってくる瞬間に多数の報道記者が駆け寄るカットや、特殊部隊が連動した動きをフカンで同時に見せるなど。
報道記者のカットはゾロゾロ感が気持ちよく、またものすごく自然な動きになっている。
特殊部隊は、一人ひとりが厳重な装備を施した衣装を着て、警戒しながら連携するモーションは正にCGだった。

狭い空間で動くキャラ
どんな空間でも自在に動かせるのが強みだと再確認。

・的確に明確に捉える
キャラに関してもものに関しても。
カット構成も見事だったが、いつ、どのタイミングで、何を映すかが徹底されているように感じた。
そのタイミングも素晴らしいが、焦らし方もなんとも言えない。


【OP&ED】4.8
ポリピクお得意の新規映像がほぼ(ない)構成だが、カット割りや構成、撮影処理が絶妙。楽曲との相性もドンピシャ。
EDも映像って感じ。好きですね。


【キャラ】4.8
・踏み込みきらないキャラ描写
特に主人公。
もう少し踏み込んだ心情描写ができるはずだが、キャストの演技やキャラの芝居に任せている印象。余計な描写はとことん省かれている。その必要性を感じない。

・スポットライトの浴びせ方
もう敵味方は分からない。ただ、両サイド全てのキャラに思考があり、それを元に行動しているのが分かる。
偏りのないスポットライトの浴びせ方としては非常にバランスが取れているなと感じる。

・視聴者は誰視点で見るのか
自由が効いていると思う。
警察側、亜人側、主人公側、どのサイドにも魅力的なキャラはいて、程よく描写されている。場面転換も非常に効果的。第三者視点で見るのもありか。


佐藤さんたまりません。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ポリゴン・ピクチュアズさん渾身の一作・・・

この作品の原作は未読ですが、劇場版が先行上映されたので作品の存在自体は知っていましたし、劇場版を見た友人から良い評価を聞いていたのでTVアニメ版の視聴は決めていました。
でも、視聴を決定付けたのがアニメーションの制作がポリゴン・ピクチュアズさんだと知った事です。

ポリゴン・ピクチュアズさんと聞いて最初に頭に思い浮かぶのは「シドニアの騎士」です。
フル3DCGに手書きを併用した作品で・・・谷風 長道を中心につむぎ、イザナ、ゆはたらと日常、戦闘時における高いクオリティを思う存分堪能できる作品でしたので今回の作品にも期待していました。

この物語では、決して死なない新生物の存在が確認され、その新生物は「亜人」と名付けられました。
見た目は普通の人間と一緒なのですが、違いは不死であることだけ・・・

不死・・・個人的にあまり憧れはありませんが、今でも不死を願っている人達は存在するのでしょう・・・その様な人たちにとって亜人の解明は人類の不死への一歩になる訳です。
そもそも何をしても死なないという事は、何をしても殺人罪には問われない事の裏返し・・・
不死に対する妬みも手伝ったのか、亜人に対する仕打ちは正直目を覆いたくなるくらい残酷なモノだったと思うと共に、人間って罪に問われないとこんな事まで出来ちゃうんだ・・・と少し怖くなったのを覚えています。

亜人の存在は世界中で数例・・・これは天文学的確率で対岸の火事と認識してしまう程の極めて稀な事例・・・自分の身の回りの日常には何の関わりもない・・・と思ってしまうのが人間の心情だと思います。
これに「そもそも他人の事なんて・・・」という利己的な考えを付加したのが主人公永井圭の人物像です。

人との間に壁を作る・・・確かに人間にパーソナルスペースは必要だと思います。
けれど、必要以上の壁は相手が見えなくなるだけじゃなく、実際自分が助けて欲しい場面に遭遇した時相手に声が届かない・・・若しくは気付いて貰えなくなる要因にもなり得るように思えるのです。
でもきっと・・・知らず知らずのうちにたくさんの壁を作ってしまっているようにも思えますけれど・・・^^;

とある夏の下校中・・・永井 圭がトラックに轢かれてしまうという正に青天の霹靂と言えるべき出来事が発生してしまいます。
この後の展開として考えられるのは、①駆けつけた救急隊の懸命の救助によって一命を取り留める、②そのまま亡くなり物語はそこで完結する。
魔法少女展開など作風に合わない可能性を排除すると、考えられるのはこの2つくらいだと思います。
でも、永井には第3の選択肢・・・③亜人の能力で生き返る、を持っていたんです。

自分を取りまく環境が一瞬にして変わるのが分かります・・・いま彼を襲っているのは「自分とは違う生命体」であるという視線、「化け物」として永井を捉える目線、そして日常から恐怖のどん底に落ちていく周囲の空気・・・
亜人になりたくてなった訳じゃない・・・
そもそも今の今まで自分が亜人である事さえ知らなかったのに・・・
それでも今現実に起こっている事実は変えられません・・・
こうして「亜人 永井圭」の物語が動いて行きます。

「死なない」と「死ねない」
最終的な結果は同じですが、その言葉の持つ意味の過程に違うがあると思います・・・
「亜人」はどっちなのか・・・と考えると答えは難しいです。一人ひとりがこれまで背負ってきた人生に違いがあるから一概には言えないと思います。
けれど、結果だけ見ると「不死」である事がどういう事なのか・・・この問いにはこの作品が一つの答えを出していると思います。
少なくても私にとって「不死」は常軌を逸脱した状態である事は間違いありませんでした。
「亜人」は人間なんです・・・ゾンビなんかとは違うんです。
人間が致命傷を負って・・・何事も無かった様に起き上がる様は、やはり違和感を感じてしまいます。
きっとそれは無意識のうちに亜人を否定しているからかもしれませんが・・・^^;

亜人も人間に無抵抗の存在であり続けるか・・・と言うと決してそんな事はありません。
私達だって嫌なことやして欲しくない事を執拗に繰り返されると怒りだってこみ上げてきます。
「怒る」は人間が人間らしくあるため必要な感情なのですから・・・
だから亜人だって怒るのも当然ですし、それは人間がやり過ぎた結果が招いているというのに・・・

「集団的心理」と「数の暴力」
絶対的少数の亜人は人間にとって「忌むべき者」と認識されたら亜人はどうすれば良いんだろう・・・と考えてしまいます。
人間は亜人にはけ口を求めました・・・けれど亜人にはそのはけ口がないんです。
だから・・・亜人は固まらざるを得なかったんだと思います。
一人ひとりは弱いから・・・死なない痛みを繰り返されるのは嫌だから・・・

これまでの平穏な生活を守るため・・・?
亜人をもっと人々に正しく理解して貰うため・・・?
様々な思惑を胸に一部の異端者を除く亜人は立ち上がります・・・
ただ一つ分かっている事・・・それは亜人が必死だという事です。
この事の顛末は是非本編でご確認下さい。
迫力とスリル・・・そして痛みを伴う物語だったと思います。

オープニングは、flumpoolさんの「夜は眠れるかい?」
エンディングは、宮野真守さんの「HOW CLOSE YOU ARE」

1クール計13話の物語でした。劇場版は3部作である事が公表されていて、今回のTVシリーズは劇場版の第1部に相当する事から物語としてはまだまだ序盤です。
今後、物語がどの様に展開されていくかが楽しみなのですが・・・劇場版の2部,3部はTVシリーズで放送する予定は無いのでしょうか^^;?
それとも物語自体にTVシリーズで放送するだけの尺が無いのでしょうか^^;?
何れにしろ、今後発信される情報に期待しています^^

投稿 : 2025/01/04
♥ : 22

65.0 15 不気味アニメランキング15位
惡の華(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (1147)
4515人が棚に入れました
中学編 クラスの美少女・佐伯奈々子に密かに想いを寄せる春日高男。ある日の放課後、出来心により彼女の体操着を盗んでしまうが、その様子は嫌われ者の女子・仲村佐和に目撃されていた。窮地に陥り、仲村からの無茶な要求に翻弄される中、意外なきっかけから佐伯とつきあうことになり、春日は恋心と背徳の自己矛盾に苛まれる。そんな彼に呼応するかの如く、佐伯も内に秘めた意思を徐々に示すようになるが・・・。
現実社会の閉塞感に自己認識を見出せず、遣る瀬無い自我を抱える3人の中学生のアイデンティティは互いに交錯し、儚い逸脱へと向かっていく。
高校編 中学校編から3年後、春日高男は中学時代を過ごした群馬県から引っ越し、埼玉県で高校生活を送っていた。ある騒動以降仲村と離れ離れになりながらも春日は仲村への思いを捨て切れず、そして抜け殻のように毎日を過ごしていた。そんな春日はあるきっかけから男子の憧れの的である常磐と交流を深め、常磐の中に仲村の影を感じていく。

声優・キャラクター
植田慎一郎、伊瀬茉莉也、日笠陽子、松崎克俊、浜添伸也、上村彩子、原紗友里

らしたー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

好きの反対は嫌いじゃなくて無関心

*視聴完了(7/1更新)

仲村役の伊瀬茉莉也の演技力に支えられてた部分が大きかったなあ。
ますます売れっ子になるんじゃないかしら。(声優点を上方修正)

どなたかが、これこそ「中二病でも恋がしたい! 」である、とおっしゃっていたが
またうまいこと言うなと。たしかにそうだよね。

--更新ここまで--


なんていうか、ここまで「アリかナシか」で盛り上がるのも久しい気がする。もはや共和党か民主党かってなもんで、『惡の華』を話題にするときは阪神ファンしかいない飲み屋に入って原の采配やら江川のストレートについて語るくらいの心構えちゅーか、場合によっちゃ友人ひとりなくすくらいの覚悟が必要に思う、ってのは言い過ぎとしてもですよ、たとえば作画の評点だけをざっくり眺めても明らかにクオリティではなく「好き嫌い」が支配しているのは興味深いよね。

そのことをもってあにこれというサイトについてどうこう思うことはまったくもってナイのだけれど、問題作とはかくあるべし、てのを久々に目の当たりにした一種独特の高揚感とでもいうか、「好きの反対は嫌いじゃなくて無関心」という格言の示すところをまざまざと体現してくれたよなあと個人的に妙な感動を覚えてしまうのです。

まあ、たしかに尖り具合が尋常じゃない。

リアルタイムでアニメを観ながらニコニコ実況の様子を眺めると実に面白くて、CM中に原作コミックスの宣伝が流れるやコメント画面が「この絵で」弾幕で埋め尽くされるのである。そんな様子をみて、それはそれで商業的に正解かもなあと思いつつも、この人たち文句たれつつちゃんと観てるんだよな…と感心したりもするわけで。

原作者の押見修造と長濱監督の対談で、「とにかく消費者に刺さるものを作りたい」という文脈があったと記憶していますが、その点では間違いなく成功してると思う。てかあんだけ尖ってたら刺さることは刺さるよな、誰にでも、うん。


作品内容にまったく触れていないけどいいよね、これ。惡の華、アリですよ。

原作は原作で好きなんですが、アニメの気色悪さは正直クセになる。好きか嫌いかという軸ではなくて、無視できない、てのが感想として真っ先にきた。いきなり違う土俵で試合が始まっていて、ちょ待って!ってのが言ってみればつかみ。そこで展開されるのは、とてつもなくリアルな舞台で行われる、すごくアンリアルな青春ストーリ。

仲村みたいなのは、やたら権力のある生徒会とか美人ツンデレ風紀委員とかとアイテム的には同列で、リアリティのある舞台に放り込まれたアンリアル側の刺客ですよ。性質としてあの手のアタシ世界を内側に抱えちゃう人間はたしかにいるんだけれど、それを全開で他者に、それも異性に接続してくるってのはなかなかない。突き抜けた個性が根暗少年とクラスのマドンナを巻き込んでグロテスクな三角関係を構成するという点まで含めて極めてアンリアル。だから面白いんだけども。

てのはいいとして、このハードパンチャー仲村のエキセントリックな言動をぜんぶノーガードで受け止めてしまう春日も春日でね、まあ春日がそうであるがゆえに物語が成立してるわけでもあるのですが、もうフルボッコで見るに忍びない、でも無視できない。見ちゃう。笑っちゃう。

春日のボードレールへの傾倒も静かに気に入ってて、この街でボードレール読んでる人が何人いるのだろう?みたいなあのこじらせ方はちょっとグサリとくる、てか手足バタバタもんで、自分も中3くらいのときに夢野久作にハマってて、隣でジャンプ読んでる同級生を内心見下してたりもして。

すごい昔に観たNHK教育の番組で、周囲にうまく馴染めない中学生の少女が「周りはみんなラルクとか聴いてるけどワタシはアジカンしか聴かないから」などと、むしろ誇らしげにインタビューに答える場面があって、昔の自分を見ているようで恥ずかしくも微笑ましい気持ちになったことがあった。

ほんとにある種の思春期の子供って、大人から見ればどうでもいいようなことを媒介に自己の優位性・特別性を見出そうとするのですよ。アジカンとボードレールではその水準においてだいぶ開きがあるとは思うけれど、本質的には変わらない。

自分にとっても(おそろしいことに)完全な過去形じゃなく、そもそもこんなアニメ見て何かしら語りたがっちゃうとこなんか、まさにそーいう、春日にとってのボードレール的なものの残滓みたいなものがまだこびりついてるんだろーな、とか、そんな現在進行形の自己言及もあったり。

こういうね、あんまり触れられたくない部分を自覚的に鷲掴みにしてくる押見修造みたいな才能は大事にすべきだと思いますです、はい。描ける人は描けるし描けない人には一生かかっても描けないと思うのです。


●「楽しめる範囲での生々しさ」に対するカウンター

ちと外野的視点でうがった見方をすると、この作品って、最近の青春コンテンツ全般に対する強力なカウンターという気がしなくもない。甘酸っぱい思い出の想起、あるいは「こうであったら良かったのに」という遡及的な代償行為としての青春が小説やアニメのフォーマットとして大量に消費されている潮流にあって、「いやいや思春期ってそれはそれで大変だったじゃん?」という、考えてみれば割と素直に頷ける真実を鋭く突きつけてくるカウンター。

大人が青春時代に戻りたいと願うのは、懐かしさと同時に今だったらこうやり直すのに…的な後悔の念がそうさせる場合がほとんどで、であるがゆえに青春てのが魅惑的なノスタルジーのキーワードたり得るわけでもあるのですが、同じくらいのエネルギーでもって子供は大人に憧れてたりするわけで。はやく社会に出たい、子供は子供で大変だよ、と。

そういうカウンターってたぶん未来永劫有り続けるわけだのに、都合のよい青春イメージだけを生産し消費し続けるのはどうなのかしらっていう。そんな観点からも、いいパンチもらったなあ、てのが印象としてはあったりします。

部分社会の息苦しさだとか、そこからの逃げ道のなさだとか、将来への不安だとか、油断すると押しつぶされそうな何かしらが思春期の子供の周りにはけっこううようよしていて、逆に言えば、それらを避けて「楽しめる範囲の生々しさ」にフォーカスしているのが最近の学園日常系とか、そのあたりなんじゃないかと思う。そら楽しいし、安心できるわな、、なんて逆説的な見地から日常系の需要を再確認してみたりも。



以下、レビューとは関係ない話です。

結局自分の視聴スタイルって、「表現したいことは何で」「それに対してブレがなかったか」しか最終的には見ないです。

表現したいことってのはテーマがあるならそのテーマ、あるいはこういう雰囲気のアニメを目指す、とかでも全然いいし。それに対する個人的な好き嫌いや主義の食い違いは必ず出てくるのですが、それについての感想は、レビューにはなるべく残したいけれども評価には影響しません。ましてやテーマの高尚さだとか社会的倫理性なんかはほんとどーでもいい。イカ娘なんてテーマもへったくれもないアニメですが、あれ、表現したい雰囲気を出すための手法にブレがないでしょう。だから好き。

でもって、目的に向かって「ブレがないか」てのは、有り体に言えば技術です。一義的にはディレクションの成否に集約され、それを支えるところの脚本・演出、さらにそれを最大効果化するための美術・音響てとこまで落とし込まれていくわけですが、とにかく然るべきプロの技術がきちんと表現したい何かに向かって発揮されているか、ということです。

アニメ『惡の華』は胸をえぐるような生々しい思春期を描きたいわけでしょう。観る者を不快にするほどに。それを表現するためにロストスコープという技法が最適とジャッジした。結果、実に気持ち悪く生々しい世界を作り上げた。その一連のクリエイティビティの発揮には素直に拍手を送りたいわけです。もうね、女子クラスメートの木下の造形とか生々しすぎて軽く吐き気を催すくらい。

本作が成功なのか失敗なのかは割とどーでもいいと思ってて、ただひとつ願うとすれば、これを観たアニメクリエイターには歯ぎしりして悔しがってほしいってこと。少しくらいは「やられた」と思ってほしい。もちろんロストスコープという技法の話じゃなくて、表現したいことに向かって突き詰めて物を考える姿勢の話、ですが。

ただそれだけのことで、我々が駄作をつかまされる確率はずいぶんと下がるんじゃないかしら、と思ったりもするわけです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 28
ネタバレ

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

切欠づくり。

今季ボロ糞に叩かれている作品。
ある意味、花が咲きましたw

それだけ良し悪しに関わらず注目度はあったことは確かです。
ロトスコープによる実写トレースで描かれるキャラが気持ち悪い。 リアリティありすぎてお世辞にも可愛いとは言えないが手間暇かかる製作らしい。また、観る者に「傷跡を残す」コンセプトとのこと。

最初から狙ってやっていることで原作ファン・アニメのみの視聴者を振るいにかけ監督や原作者のニヤ顔が思い浮かんだりしましたがw それもボードレールの悪の華や自身の原作コミックとのギャップを狙った切欠が目的になればとコミックナタリーのインタビュー記事でも言及されていました。

確かに観終わった感想として、キャラデザの気持ち悪さ・ストーリー上における行動原理による気持ち悪さ・不協和音なBGMと拘った創りで徹底ぶりは一貫していた。

スローテンポなストーリー展開と演出によって作品の異質は増してゆく。序盤3話辺りから慣れが生まれてくると同時に物語も加速しどう転び落ちるのか先が気になって仕方なかった。

内容に至っては、ボードレルに心酔する中学2年生の主人公の成長譚を描いている。思春期特有の苦悩・葛藤といった周りとは違う何か特別な存在・自己の確立を内包し言葉にできない閉塞的な世界観から見せている。

変態と呼ばれる切欠も好きな人を知りたいという誰もが抱く気持ちが誇張されただけで、根は普通だけど誰が観ても変態になるんだよね。弁護するとタイミングが悪かったw
その行為もあって春日の悲壮感と思春期特有の持ち合わせる考え方が混在するところが見所であると想う。

変態行為により仲村に翻弄され、佐伯さんと関わり複雑な心境に陥ってゆく。7話まで佐伯さんと仲村の心情描写の意図がわからず困惑し春日の痛々しい姿で笑っていたが、2人の思春期特有の考え方に疑問に感じる部分も中学生頃を振り返ると色々と思い当たる節もあって感慨深い作品だった。

部分的なシーンで説明すると、{netabare}佐伯さんが変態と分かっても春日を受け入れ付き合う理由。中学生ぐらいだと無条件で好きと言われると自分を受け入れてくれる人を安易に許してしまう心境の表れで確かに当時なら私もそうだったと、つい納得してしまった。 
仲村は、不気味だけど本質的に春日と同じで仲間を見つけた喜び、コイツと一緒なら変われるかもと一目惚れとも解釈できる。春日が変態でもないと自覚し本当の天使は仲村だったと気づく展開も見応えあった。{/netabare}

3人の考え方それこそ不安定な気持ちの揺れ幅とアンリアルさが物語の深みになっていた。

結構楽しんで観ていましたが、最終話の構成の解釈が難しいですね。手抜きとも言えるし2期への期待をほのめかす結末だが、手間暇かかる演出している製作サイドがあえて狙った締めではないかと想う。
その方が何かしっくり来る。他の人のレビューでストーリー展開として中学生編の途中らしいと書いていたことを考慮すると詰め込んで駆け足な展開では凡作になるだけで、あのシーンが節目として最適だったように感じる。

お勧めする気はないけど、観る者に演出・原作へ促す目的には賛否両論あるが成功している。



以下 視聴時レビュー 

1話{netabare}
視聴した方ならわかると思いますが外、街中に居る時は
聴覚を促すような耳鳴りのような、ざわつき不安を掻き立てる音
ゆっくり流れピアノの音が不思議なリアリティが心地良いですね。
何かの前触れなのか、と観ている側をゆさぶる雰囲気が好印象。
あらすじを読むと1話では大した進展ありませんが、日常の中の非日常的な作品になるのかな 
と主人公・春日高男の心の表れが悪の花なのかな と想像したり、ストーリーが気になります!
どこにでも居る男子高校生で読書が好きな春日高男が
佐伯 奈々子に1年前から片思いをしていた。
仲村という女子の暗い雰囲気と凄みあるキャラが、どう動いてゆくのかわからない流れですね。

ただ、この作品は背景がとても現実的な絵が素敵ですね。
同時にキャラも現実的な為、可愛げはないですw
そこでまず一線ひかれるかな と制作側ZEXCSは、視聴者に振るいをかけられることを承知で作った意気込みは良いですね。

またOPが斬新なことに登場キャラ一人もでてこない、強いて言うなら花の芽のイラストだけである、主題歌が少しPOPが強いサウンドで作風とミスマッチかな と想ったが、これがいづれ良かったと思えるのかな と考えたりしますね。

EDはインパクトありますね、あの声が毎週流れるのかと考えるとHappy EDなど始めるからなく、救われない気持ちになる;
来週も楽しみな1本です。{/netabare}

2話{netabare}
随所で観られる、春日の葛藤において揺れる心がリアリティあって、不協和音とゆっくり見せる絵がマッチしていますね。
もう後戻り出来なくなる日がこれから始まり、仲村との契約。
キューベイかよ と言いたくなりましたw
後は、山田、彼の台詞の言い回しはグサッときますね。
何より春日の動揺・挙動の動きは細かく描かれていて申し分なしです。
この平坦なキャラデザインが無常に観えるから仲村の顔が、また憎らしくて本当に素敵だね。
陰鬱な展開がおもしろ過ぎる・・・どうやって堕ちてゆくのか見物ですね・・・クソムシがw{/netabare}

3話{netabare}
罪の意識から逃げたい行動から体操着を捨てる描写は、人の視線、日常の些細なことが彼を疑心暗鬼へ陥れる心情と悲壮感。1・2話と観てゆくと確実にテンポが早くやや余韻に欠ける気持ちになる、演出は良いが観る側の耐性がついてきたのだろう。
仲村の行動がまた狂う波乱の展開が見物。「この世界全部、私のモヤモヤの中でクソムシになればいいと想う。」、春日の理性に抑制が効かなくなると仲村と同類を漂わせる雰囲気。
そして仲村の給食費容疑を否定する春日の内心は保身からの行動が仇となる。同時に華が咲いたよBGMが流れ相乗効果となる自らドツボにはまる春日から目が離せない。{/netabare}

4話{netabare}
佐伯さんの優しい一言に有頂天な彼の罪悪感も薄れたのもつかの間、仲村のクズ罵声連呼の変態思想に染まられる。 救いがない春日は真性の変態になるだろうが、今後どういう要素を彼に課すのかわからない。 一方的に仲村の言いなりとなり染められるだけでは大きな波がないですね。来週は、恥辱の体操服デートから佐伯に軽蔑されるのか、もしくは仲村に抗う展開が少しはあるのか楽しみです。 {/netabare}

5話{netabare}
まさかのデートから告白して成功! 春日の前にまさに天使が舞い降りた~と浮かれたのも一瞬、奈落へ落とす仲村が頭に水をかけるw もう、ドッキリのオチですねw
このシリアス一色アニメで笑えるとは想わなかったですね。そしてこの水をかけるシーンはスロモも使われカメラアングルも細かく見せ描写に力が入ったが、もう仲村の行動はネタにしか思えないから残念w
春日のアタフタする行動・言動は仲村を逆撫でするだけとそろそろ察しないと、佐伯さんとの関係も仲村に遊び道具とされるだけだね。仲村によって真性の変態に侵されてゆく光明ない日々との葛藤が悪の華の持ち味なのか疑問に感じる。原作のボードレール悪の華を読まないと作品の本質が楽しめないのかもしれない。{/netabare}

6話{netabare}
佐伯さんは、お嬢様育ちにしては積極的な性格もあるがクラスに交際をばらし仲村と友達になり、全て仲村の思惑通りに事が運ぶ。友達として最後まで応援(邪魔)するよ と言葉の裏しかないねw 春日は、仲村と佐伯さんの接触を警戒し神経が磨り減ってゆく日々に耐えれるのかと想った矢先に、仲村と春日が二人で居合わす場面を観た彼女は木下に泣き事を伝え翌日休む。彼女の心情として嫉妬を含んだ騙された想いを持つのだろう。次回、展開に大きな動きがありそうで楽しみ。{/netabare}

7話{netabare}
人が内包的にある感情に揺さぶりをかける鬱屈に抗い弾ける衝動として非日常への展開はやりすぎているように感じるが・・・気持ち悪さより翻弄させられているバカな姿が笑える。 自己の確立といった大衆とは違う何か特別な存在意義などを求める思春期特有の気持ちが一線の引け目となる部分を押し出したものとなっている。結局、仲村も春日と本質的には一緒とわかるが、仲村は春日を利用しているだけで不気味な生徒ぐらいにしか感じられないな。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 57
ネタバレ

ostrich さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

必要になったら、勝手に観なよ。

本作の監督である長濱博史の監督デビュー作「蟲師」は、私にとってテレビアニメ作品のマスターピースであり、本作も監督名からたどり着いた。

彼はどちらかと言えば、職人的な監督だと思ってたので、原作の内容といい、ロトスコープといい、これほど挑戦的なことをするのは意外だったが、嬉しい誤算でもあった。
私は作家性のある監督のほうが好きだ。視聴者の顔色を窺うようなことはビジネスマンがやればいいのであって、そんなことに拘泥するクリエイターはクソムシだ。そんな輩はクソムシの海に沈めばいい。

いや、うそです。ごめんなさい。言ってみたかっただけです。すいません。

ただ、この原作ならば、やっぱり、挑戦的な姿勢は必要だったと思う。すべての作品が視聴者の顔色を窺ったようなものになるならば、アニメ業界全体がクソムシの海と化すだろう。
クソムシの海の中で、退屈し、苛立ちを抱え、「つまらない」と叫び続けている原作に対し、本作のアプローチは絶対に正しいと私は思う。絵柄を似せれば原作に忠実になるわけではない。

■ロトスコープ、および、作画

ロトスコープを用いたことで、思春期男子の重心の不安定さや、思春期女子の尻の重たい感じが表現された。ここが、個人的にはとてもよかった。
建物のシミまで描きこむ背景とあいまって、私は私の思春期を、さらに、段ボールに入れて、ガムテープでぐるぐるにまいて仕舞いこまれた体操服のような、当時の性衝動までもを思い出した。
まあ、思い出したいものばかりでもなかったのだが、こればっかりは仕方がない。「ドロドロをバーンと」解き放つ作品なのだ。このトリガーのおかげで(せいで)、仲村に詰め寄られる春日のように、作品から目が離せなくなる。

「実写でもいいじゃないか」という意見も当然あるだろう。
では、実写で上記のようなものを表現している作品がいくつあるだろうか?
実写だって、普通は役者に美男美女を使う。そうでない登場人物が出るときは、さらに記号化された特徴の役者を使う。もちろん実写でも表現可能なのだけど、実写なら必然的に表現できるというものでもないのだ。
少なくとも、私にここまで生々しい思春期の感触を思い起こさせた実写作品は寡聞にしてない。おそらく、本作の作り手の意思と技法による異化効果が、私の内なる体操服を段ボールから解き放ったのだ。

※もちろん、そのすべてがロコスコープを用いたことによる効果だと言うつもりもない。おそらく、原作者と監督と私が世代的に比較的近いことによる面も大いにある。
ただ、本作の風景は、ほんの20年程前にも関わらず、現代日本からあらかた失われていて、それをまざまざと蘇らせたり、作品に定着させたりすることができるのも、アニメーションの特色である。この方向性は、宮崎駿や高畑勲、最近なら「この世界の片隅に」の片渕須直監督に通じるものがある。まあ、ロトスコープは、若干、チート的かもしれないが。

■本作と華倫変と「花」

本作を視聴し強烈に思い出したのが、華倫変だ。
本作の原作者と同じくヤングマガジンでデビューして、28歳で夭折したマンガ家である。彼の作風をwikipediaから引用してみる。

「フェチズムな性をモチーフにすることが多く、怠惰な日常描写を得意とする」

本作と通じる作風であるのが、この一行から読み取れるだろう。
2000年代の初めに単行本が出て、当時の私は結構熱心に読んでいたのが、同時期によく聴いていたのが、本作のEDに使用されている「花」だった。だから、私は、華倫変と「花」を強く結び付けて、記憶している。
※私は本作の原作者は知らなかったのだが、どうやら華倫変の単行本発売と同時期にデビューしているようだ。

そういう個人的な経緯があったので、本作のEDで「花」が流れたときは、冷静ではいられなかった。
この曲により、私は、思春期だけでなく、華倫変を読んでいた時期も思い出すことになったからだ。

実はその時期の私は、思春期以上に精神的に危うい状態──しかも、精神的に危うい人と付き合っているために、自らも精神的に危うくなるという、まさに本作そのもののような状態──だったから、「そこも引きずり出すのか!」となったわけだ。

ただ、これらのことは、まったくの偶然でもない気がする。。
おそらく、本作は精神的に安定している時期には、あまりピンと来ないんじゃないかと思うのだが、逆に、不安定な時期に、寄り添ってくれるコンテンツというものがある。本作も華倫変も「花」も、さらに、ボードレールの「悪の華」も、そういうものなのだ。

まあ、そんな状態にはならないに越したことはないとは思うが、一生に一度もそういう状態になったことがないというのも、それはそれで何かが欠落している気はする。
だから、仮に本作のような作品を必要な精神状態になったとしても、それは、その人がクソムシではなく、まぎれもない人間だからだと私は思う。だからこそ、本作のような作品は、多くは必要とされていないかもしれないが、強い必然性があって生まれてくるのだ。

※使用楽曲「花」について

本作で使用されている「花」にはいくつかバージョンがあり、ひとつを除いて本作用(ED用)のバージョンなのだが、ここぞというシーン(たとえば、{netabare} 本作のひとつのピークである#7の教室で大暴れするシーン{/netabare} )では、思いっきり、オリジナルバージョンが流れる。
これは、オリジナルバージョンを聴き込んでいる私には悶絶ものだった。

ちなみに、「花」が映像作品で使用されるのは、本作が初めてではなく、町田康原作の実写映画「けものがれ、俺らの猿と」で使用されている。
また、演奏するASA-CHANG&巡礼(ユニット名)のASA-CHANG(個人名)は、元東京スカパラダイスオーケストラのリーダーかつ、発起人。曲中でポエトリーリーディングをしているのは元SUPERCARのフルカワミキ。

などと書きながら、漂うサブカル臭が気になってきたところだが、本作はまあ、間違いなく、そういう筋の作品ではある。

オリジナルバージョンを知っている人で、「花」が使用されているアニメがあること知っている人は多くないと思うが、知れば腕まくりで視聴し始めると思うので、近くにそういう人がいたら(あまりいないだろうが)、本作を教えてあげてほしい。
そもそも、私自身、あにこれで「花」について書くとは全然思っていなかった。

※「月光の囁き」

先に本作と華倫変の共通点について触れたが、より直接的な影響を与えた(と思われる)作品として「月光の囁き」を挙げておく。喜国雅彦によるマンガ作品で実写映画化もされているが、どちらにも熱狂的なファンがいる。本作の佐伯のキャラクター像は「月光」のヒロインが原型だろう。おそらく、華倫変にも影響を与えていると思う。

■彼が彼女を選んだ理由

あにこれのレビューではないが、本作についてネットで調べるうちに、「{netabare} 原作で春日が佐伯ではなく仲村を選ぶのは、仲村が佐伯と比べて容姿に遜色がないから{/netabare} 」という意見を読んだ。「{netabare} ところが、本作の場合は佐伯のほうが容姿がいいのに、仲村を選ぶから違和感がある{/netabare} 」のだそうだ。
この意見に、ちょっと、思うところがあったので下記させていただく。

{netabare}
ざけんな、クソムシ。
その程度の眼しか持ってねえから、おまえはクソムシなんだよ。

いいか、春日が仲村を選ぶのは、佐伯より仲村のほうがより切実に春日を必要としているからだ。セリフでも言ってんだろうが。
春日は、自分がより必要とされる方を選んだんだよ。その方がからっぽな自分が埋まるからだ。必要とされることで初めて、自分の存在が証明されるからだ。
こういうのは、容姿ごときじゃ絶対に埋らねえんだよ。そいつの有り様の問題なんだ。

このあたりがわからねえヤツは、本作に入るな、クソムシ!
{/netabare}

最後にお耳汚し、失礼。ただ、本項で思うところに偽りはない。

まあ、そもそも、本作は人に勧めるような作品でもない。不謹慎だからとか、人を選ぶとか、そんな理由じゃない。必要な人が必要な時に勝手に観る、そういう作品だ。
そして、私はそういう作品がとても愛おしい。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13

69.7 16 不気味アニメランキング16位
selector infected WIXOSS(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (899)
4468人が棚に入れました
都会に引っ越してきてから、友人もなくただ日々を特に不満もなく過ごしていた女子中学生「小湊るう子」。そんなるう子を気遣う祖母をみかねて、兄がるう子に買い与えたものは、中高生の男女を中心に人気のWIXOSS(ウィクロス)というカードゲームであった。渡されたカードゲームを開け、中に入っていたある1枚のカードを見ると、カードの中に描かれた少女が突然動き出した。不思議に思うるう子をよそに、その少女はるう子にバトルがしたいと言い続ける。その少女の事をタマと名付けつつ、不思議な事態に困惑している彼女の前に、るう子の事をセレクターと呼ぶ、同級生の紅林遊月からカードバトルを挑まれる。タマは一体何者なのか?セレクターとは?希望、願望、欲望。それぞれの想いを胸に少女たちは危険なゲームの渦に飲み込まれていく──

声優・キャラクター
加隈亜衣、久野美咲、佐倉綾音、茅野愛衣、赤﨑千夏、瀬戸麻沙美、小林裕介、川澄綾子、釘宮理恵
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

止まらない止められない、ジェットコースター鬱ストーリー

2014年4月放送。(分割2クール放送の1クール目です。)
全12話。


【前置き】

[Selector infected WIXOSS](セレクター・インフェクテッド・ウィクロス)。

本作は、タカラトミーから発売された【WIXOSS(ウィクロス)】と呼ばれるトレーディングカードゲームの、販売促進の為に制作された商業目的の色濃いオリジナルアニメ。
………と、当初は誰もが誤解していたかもしれませんね。

しかし、その内容はおよそ低年齢向けの、カードのゲームメイクを取り入れたゲームセンスを競うシナリオとは全く違い、

『少女達がカードを通して、願いを代償に陰鬱なゲームに巻き込まれていく』

という、一度動き出したら止められないジェットコースターストーリーだったのでした。


方向性としては、「魔法少女まどか☆マギカ」に似ていますね。
はい、大好きです、こういうの。

シリーズ構成の岡田麿里さんは、「true tears」「あの花」「凪のあすから」等、どちらかと言えば恋愛要素が強いシナリオを描く印象の強い方ですが、本作はまた違ったテイストで存分に魅せてくれました。



【あらすじ】

女子中高生の間で人気のカードゲーム【WIXOSS(ウィクロス)】。

転校してきてまだ友人がいない主人公るう子は、友達付き合いのきっかけにと、兄からWIXOSSのスターターキットを貰うのですが、るう子がプレイヤーカードを手にした時、描かれたキャラが声を発し動き出したのでした。

実はWIXOSSでは、この特別なカードを持つ者は「セレクター」と呼ばれ、普通の人間には気付かれないフィールドでカードバトルを繰り広げていたのです。
そのバトルに勝ち続ければ、自身の願いを叶えることが出来る『無限少女』になれるという……。

るう子は「タマ」と名づけたカードとともに、その意志とは裏腹にセレクターとして、代償も知らされないままにゲームに巻き込まれていくのでした……。



【論じてみる】
(※作品の特色上、ネタバレ無しでいきます。本作を見ていない方もご興味があれば是非。)

願いという餌に釣られた少女達が、その代償を知らされぬまま、ドンドンと陰鬱な状況に立たされていく展開。
前置きでも述べましたが、方向性はとても「魔法少女まどか☆マギカ」と似ていますね。

ただ、まどマギのような壮大な騙し演出がされているワケではなく、「屍鬼」を彷彿させるようなオープニング最後の静止画や、終始全体的に黒みがかった作画は、先の展開を少なからず想定させます。
キャラクターデザインを務めた坂井久太さんの作品の中では、「ひぐらしのなく頃に」に近いデザインでしたね。
………だから余計かな?


カードゲームのルールに関してですが、デッキや戦術については尽く説明を排除した内容で、私は最後まで見てもルールはほとんど理解していませんでした。
これは、ヘビーユーザー向けという点を考慮し、ルールやプレイングを掘り下げた販促的なシナリオではなく、「WIXOSSというゲームを軸にどういうドラマを展開するか」という点を重視した結果だそうです。
(その補足として、ストーリー上で展開されたWIXOSSバトルの内容は、カード紹介も兼ねてタカラトミーの公式サイトのコラムに詳しく掲載されています。)

こういう点は、トレーディングカードゲームをしていない多くの人向けとしても、非常に好感が持てました。
私もカードゲームはしない人間ですが、しないまでも「一度カードを実際に手に持って見てみたい」という気持ちには、少なくともさせられましたね。



登場するセレクターの少女達は皆(主人公を除いて)、何かしらの願いを叶えたいと思っています。
それは、些細なものから……人には決して言えない願いも…。

セレクターそれぞれが持つカードキャラクターにも個性があるので、総じて登場キャラクターは多彩です。
ですが、大人しい子から活発な子…中にはピーキーな女の子まで、それぞれ役割がしっかり与えられているので、、オリジナルながら緻密に練られたキャラクター構成のように思えました。

声に関しても、茅野愛衣さんや佐倉綾音さん、大御所の釘宮理恵さんと、皆さん特徴を上手く捉えてられて好演をされておりましたね。
中でもタマ役の久野美咲さんは、この方でしかタマは成立し得ないとさえ思わせてくれました。
この方は、その声色故に演じられるキャラクターの幅がどうしても限定的になってしまうと思うのですが、毎回その声色に合ったキャラクターを演じられるので、いつも好印象です。



シナリオ展開にしても、情報を小出しにしてどんな展開と代償が待ち受けているのかと想像を掻き立てる見せ方なので、徐々にこのゲームの虜になっていく主人公を見て「やめとけ!!」と思う気持ちの反面、その先の展開を待ち望んでしまい退屈させません。
後半の衝撃展開の後は説明に尺をとり過ぎている節があって、少~し退屈に感じる面もありましたが、それでも最終話はキッチリと魅せてくれました。

次回は3ヶ月後となりますが、この作品は毎週少しずつ見るより、撮り溜めて一気見する方が精神衛生上も良い気がしますね。
でも…、まぁ我慢出来ずに毎週見てしまうんだろうなぁ…。



後、個人的に本作で推したいのは、オープニング曲の「killy killy JOKER」(分島花音さん)ですね。
メロディーラインや声色がダークファンタジーな本作に非常にマッチしており、キャラクターとカードキャラをそれぞれクローズアップした映像も見応え抜群です。

特にサビの部分への導入から、以降の盛り上がりが良いですね。
そこで挟まれるシーン、バトルフィールドでカードから飛び出したタマが飛び蹴りをかまし、可愛くもニヒルな微笑を見せるトコが、またメチャ格好良いんです。
今期1番のアニメソングでした。
iTunesを見たら、もう再生回数70回を越えてました…ハハハ。
{netabare}(最終話のオープニングは効果音付きになっていて鳥肌がたちました。見ながら勝手に音を想像していたのでww もぅ最っ高の演出でした。){/netabare}



さて、以降はネタバレありで、個人的に好きで魅入ってしまった1名のキャラクターについて、語りたいと思います。

【アキラッキー❤】
{netabare}
作中でも圧倒的なキャラ立ちをしていたと個人的に感じたのが、蒼井 晶(あおい あきら)ですね。

主人公がカードのルールを知ってきた頃に現れる、シナリオを大きく揺さぶるキャラクター。
まどマギで言うと「佐倉杏子」のポジションに近いかな。
もっとも、杏子っぽぃのは始めだけですけど……。。。

読者モデルであり、傍目にはフランクで且つ

「アキラ ラッキー アキラッキー❤」

「さぁバトルだよ、2人でアキランデブーだよ❤」

と、自分の名前をもじった圧倒的なワードセンスでも他の追随を許さない、まさにアイドル的雰囲気を見せる彼女。

しかしその実、自分より格下相手を執拗に狙いバトルを挑んだり、自身の目的の為に他者を平気で利用したりと、陰湿かつ偏狭的な内面を持っているキャラクターなのでした。
その性格は彼女のゲーム展開にも色濃く反映されており、他者の願いを見通し罵倒することで、冷静な判断力を乱す戦法?を得意としています。

オープニングでは、可愛らしくピョンピョン飛び跳ねながら登場しますが、最後に一瞬不敵な笑み見せ水たまりを弾くシーンは、彼女のキャラクター性を上手く捉えたワンシーンでしたね。


ただ、自我が非常に強い故に情緒不安定でもある為、逆境に脆くすぐにキレたり言葉遣いも乱暴になるので、彼女の一挙手一投足は毎度シナリオ展開を非常に盛り上げてくれました。

なんと申し上げますか……好きなんですよねぇ、こういうキャラクター。
特に主人公やその周囲は基本的に倫理を弁えて善悪に左右されますので、そういう要素で一切ブレーキがかからないキャラクターは映えますしね。


後半にかけては、作中の彼女の台詞を引用すると

「うへへ……、へへ……。。。

 …………ねぇ…、笑えよおおおおぉぉっ!!!!!!!!!!!

 超絶可愛いアキラッキーがさぁ、こんな最終フェイスになっちまったんだよぉ!!

 見ろよほら、哀れだろうがよぉ…!?」

という因果応報な展開になってしまい、以降は噛ませ犬だったかのように登場を減らしましたが、次回では彼女の再起を願わずにいられません。

ですが、幸せになってほしいとか、杏子みたいに良い所を見せてほしいとかは全く思いません。
ただただブレずに、このままの【アキラッキー】でいてほしいです。


そういえば、放送終了時の提供での一枚で、よく見るとモブキャラの背に、アキラッキーが心霊写真の如く写り込んでいるものがありましたね。
あのモブキャラは、きっとその日はアキランデブー❤だったんでしょうね。
{/netabare}


【総評】

オリジナルアニメながら、非常に惹きつけるシナリオ展開を見せる作品でした。

ただ、オマージュですらなく「魔法少女まどか☆マギカのパクリだ」という見方になる方も、少なからずいるかもしれないですね。
どこかで拝見しましたが、ホント「ボクとWIXOSSして、無限少女になってよ。」っていうお話なので。

ですが、そのキャラクターやシナリオ構成はとても緻密に練られており、カードゲームには全く興味が無くてもストーリーにドップリとハマってしまうように作られている点は高評価。
見始めたら先が気になって止まらない、この吸引力は見事なものです。

加えて私はこのような鬱展開が好みな人間ですので、総じて楽しませてもらえ3ヶ月後も楽しみも増え、総じて見て良かったと思える作品でした。
まどマギを、キャラクター性ではなくシナリオとして好きな人には、是非ともオススメしたい一作です。

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『蒼井 晶』声 - 赤﨑千夏さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『タマ』声 - 久野美咲さん


以下、どーでもいい願望なので〆ます。
{netabare}
さて、カード内の可愛らしいキャラクターが実際に動いて喋り、触れられないまでも交流が出来るという設定。

作品の内容とは裏腹に、こういう要素は実に夢がありますね。


私も是非、セレクターとなり「タマ」のカードを手に入れて、お友達になりたいものです。


……まさか、卑猥なことなぞ私は致しませんよ。

万が一そのような気持ちになったとしても、そもそも触れられないのですから。


いやっ…、でも触れることは出来ないまでも、見せることは出来るワケで………。。。


ふっ、今夜も眠れないぜ。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 52
ネタバレ

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

カードアニメですか?いいえ鬱アニメです!

あらすじ

巷ではカードゲーム「WIXOSS」が
女子中高生の間で人気となっていた。

しかし、実はその中でも特別な「ルリグカード」を持つ者は
「セレクター」と呼ばれ、普通の人間には気づかれないフィールドで
カードバトルを繰り広げている。
そのバトルに勝ち続ければその胸に秘めた願いを叶えることが出来る
「夢限少女」になれるという都市伝説が信じられていた。

転校して以降、なかなか友達ができなかった中学生・小湊るう子は
友達作りのきっかけにしようと
「WIXOSS」のカードデッキを兄からもらうが、
その中にあったカードの中のルリグが動き、
声を発したことに彼女は驚く。

直後、るう子は同期生の紅林遊月から
いきなりセレクターバトルを挑まれる。
るう子は「タマ」と名づけたルリグとともに、
セレクターとして戦いに身を投じることになる



感想

僕は最初友達にカードの方を
薦められて買って遊んでから
アニメを見始めました。

最初はカードアニメだと思い
見始めたんですが
どうやら違うようですw

カードでバトルするシーンは
ほぼカットでダイジェストでお送りされますしね


最初の方から
なんか怖い雰囲気出してましたが
途中から鬱展開来ましたね
どこか、まどマギみたいな雰囲気ですね

謎の核心に近づくにつれ
どんどん暗くなっていきますね・・・
ネタバレになるんで詳しく書きませんが
どんどん鬱になっていく・・・
しかし回を重ねる毎にシリアス展開になって面白い。
ストーリー展開は予想外の連続で、久しぶりに続きが気になる。

でもマジでこの戦いは
何の救いも無いですよね・・・
やるメリットが何も無いですし

そして可愛いキャラがどんどん
黒い方向へ進んでいくのも個人的には好み。
OPを見ればわかる通り、カードバトルの作画は悪くないし、
そこで行われる心理的な揺さぶりも楽しい。

今後半に入ってるが、
ラストに向けて期待は高まる一方。
分割2クールって聞きましたが
もう終わりそうだし
どうなるのか期待したいと思います

ストーリー・キャラ・作画・声優、どれも文句の付けようがない。
(特に敵役のイカれた女の子とか、佐倉綾音のキャラは良かった)
内容が内容だけにマイナー作品で終わりそうだが・・・
僕は個人的には好みですね!



そして最終話まで見ましたが
なんていう終わり方ですか!
ちょっと続きが気になりますよ!

分割2クールって聞いていたので
決着つかないかもと思ってたんですが
あんなことになるとは…

早く2期を見てみたいですね
予告ではあきらっきーも
映っていたみたいなので
出番に期待したいです
楽しみです

これからどうゆう風に
展開していくのか楽しみですね

でもこれは2期と
1セットっぽいですから
ちょっと評価しずらいですね・・・
まぁこれ単体でも充分面白かったので
良かったです




ここからは本編のアニメでは
まったく紹介されていない
WIXOSSのゲームルールを
説明してみようと思います

隠しておくので
見たい人だけ見てください

{netabare}
ルールを簡単にいうと
デュエルマスターズ7割と
ヴァンガード3割といった感じかな?
詳しくは下に記してあります

【WIXOSSの一番の特長】
カードの裏面が2種類!これが一番の特長ですね。


白い背面を持つのは【ルリグデッキ】
⇒ルリグ、またはアーツです。
 枠も白いです。

黒い背面を持つのは【メインデッキ】
⇒シグニ、またはスペルです。
 枠も黒いです。

 ルリグデッキは最大10枚で構築されます。
 デッキとは呼んでいますがこちらはドローをするものではなく、
「相手に見せず、自分だけがいつでも見ることができるカード」です。

メインデッキは丁度40枚
(うちライフバーストは必ず20枚)で
構築されます。
「ランダムでドローしていくデッキ」です。
ルリグデッキによる自由度と、メインデッキによる運要素を使いこなし、
勝利を目指しましょう。

【勝利条件】
相手のライフクロス7枚を削り、とどめをさせば勝利!

簡単に言うと、8回攻撃を通せば勝利ということですね。
ルリグやシグニで攻撃していく度に、ライフクロスは削られていきます。
無防備になったルリグに、直接攻撃を与えれば勝利となります。
削られた(クラッシュされた)ライフクロスのカードは
一度チェックゾーンでチェックし、
エナゾーンに置かれるのもポイントです。
チェックゾーンに置かれたカードにバーストマークがあれば、
その効果を発揮することができます。逆転要素がここに!



【ターンの進行でのポイント】
詳しいターンの流れは、クイックスタートガイドをぜひ見てください!
ここではポイントを絞ってご紹介いたします!

<アップフェイズ>
カードをすべて縦にします!WIXOSSではカードの縦をアップ、
横をダウンと呼びます。

<エナフェイズ>
カードを表向きにして、“手札”か“場に居るシグニ”をエナゾーンに置きます。 スキップすることも出来ます。



<グロウフェイズ>
このフェイズが、WIXOSSならではのフェイズです!
自分のルリグデッキから、次のレベルのルリグに重ねることが出来ます。
ただし、レベルが大きくなるにつれ、
グロウにはグロウコストと呼ばれるコストが必要になってきます。
ここで必要なのが先ほど置いたエナですね!
コストは対応する色のカードをエナから
トラッシュに置くことで支払えます。
現状ルリグはレベル4までを用意しています。


<メインフェイズ>
いろんなことが出来ます!特殊な動作を除けば基本は、
「シグニの配置(いわゆる召喚)」「スペル使用」「アーツ使用」です。

■シグニの配置
シグニ配置にはコストは要りません。
ルリグのレベル以下であれば色も関係なく3体まで場に出せます。
ただし、場のレベル上限がルリグのレベル下に書かれている
”リミット“以下でなくてはいけません!

レベル4のルリグでも、リミットは11なので、
最大4、4、3という出し方しか出来ないということですね。
ルリグ自身の能力が強いほど、リミットが低くなっています。

■スペル使用
手札からスペルを唱えられます。スペルは使い切りの呪文で、
書いてある通りの効果を実行できます。
コストは左上に記されており、払い方はグロウと同じです。

■アーツ使用
ルリグデッキから“メインフェイズ”と
書かれたアーツを使用することができます。
こちらも使いきりで、コストの支払い方もスペルと同様です。
アーツには現状3種のタイミング“メインフェイズ”と
“アタックフェイズ”と、“スペルカットイン”があります。
メインフェイズは自分のメインフェイズのみ、
アタックフェイズ、スペルカットインは
相手のターンにも使えるタイミングがあります。

ルリグとアーツが合計最大10枚なので、
グロウ先とアーツの組み合わせが重要となってきますね。
戦略によっては、ルリグはレベル2までにし、
アーツを7枚入れるなども可能です!


<アタックフェイズ>
このフェイズはシグニ、ルリグのアタックができます。
順番はシグニ(最大3体)、その後ルリグです。
なので、4回のアタックが基本可能ということです!
WIXOSSにおいて、アタックに損はありません!
(※プレイングによります!)

■シグニのアタック
シグニのアタックはルリグに対して行います。
目の前に相手のシグニが居なければ、
ダメージを与えられます(クラッシュ)。

相手のシグニがいた場合、そのシグニにアタックをします。
その際、パワーが相手以上なら勝利し、
相手をバニッシュ(エナゾーンに送る)できます。
パワーが低くても、自身がバニッシュされることはありません。
破壊じゃないですよ、バニッシュ(エナゾーンに送る)です!


■ルリグのアタック
ルリグのアタックは、相手のシグニの有無にかかわらず通ります。
ただし、その際アタックされた側が手札から“ガード”と書かれたカードをトラッシュにおけば、そのアタックを無効化されます。
シグニのアタックはガードで無効化できないので注意です!



■クラッシュについて(ライフクロスへのダメージ)
シグニの直接アタックや、ルリグからのアタックが
ガードが出来なかったらライフクロスがクラッシュされますが、
それらはチェックゾーンを経てエナゾーンに置かれます。

チェックゾーンに置いたときに先ほど説明していた
“ライフバースト”があれば、
そのバーストのテキストを使うことが出来ます!


エナゾーンに山札から1枚置く効果や
カードを引いたり、相手シグニをダウンしたり、
手札に戻させたりするものもあります!逆転要素もたっぷりです。
バニッシュされたシグニや、クラッシュされたライフクロスによって、
エナがどんどんたまっていきます!

<ターンエンド>
アタックフェイズで勝利条件である、
ライフクロス0の状態でのアタックを通すことがなければ、
相手のターンに移ります。

以上がWIXOSSのルールの概要です!
どのグロウ先を用意すればよいのか、アーツの使い方や、
どんなライフバーストを入れるのか、何枚ガードを入れればよいのか。
多色にするならどんな構築がよいのか。
 
WIXOSSには無限のデッキの組み方とプレイングが存在しますが、
まだ始まったばかりでカードもそこまで出ていない
(というか基本人気で売ってないです)のでこれから
是非、自分のお気に入りのルリグやシグニを見つけて
楽しんでもらえれば幸いです!
~ {/netabare}

どうですか?
これを読んでWIXOSSに
興味を持ってくれる人が
増えてくれると嬉しいのですが

僕はカードの方を先に知り
アニメを見始めましたが
カードもアニメもどちらも面白いと思います♪

片方しか知らないとしたら
もう片方にも興味を持っていただきたいですね!
カードもアニメもどちらも
もっと有名になってほしいですね~!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 98
ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「さぁ、闇のゲームの始まりだぜ!」+「女の子を曇らせる話」についての雑感

岡田磨里シリーズ構成、願いと破滅を天秤にかける暗黒カードバトルアニメ。
10月から2期が始まるので、今更ながら。
未完なので物語評価はつけてませんが、なんだかんだ好きでした。


【良い点】
①陰鬱な雰囲気
②キャラデザ
③OP
④アキラッキー赤崎

【少し残念な点】
①カードゲームのルール説明完全省略

【悪い点】
①設定の杜撰な扱い方


■本作の感想

設定の自己放棄を気にしさえしなければ、ダークファンタジーとしては比較的良くできていると思います。
特に、陰鬱な雰囲気の演出にかけては、同じ系統のまどマギよりも上手じゃないかと。

まず、マリー脚本の十八番、女の子のドロドロ描写。
香月の女友達連中の遊月への態度とか、膿んだ傷口のじくじく感みたいな陰湿さは、やっぱうまいなと感じます。
小説などで悪意の描写を中心にされるとストレス溜まって、だから湊かなえとか苦手なんですが、なぜか岡田さんのこういう路線はtrue tearsの頃から好きなんですよね……。
2次元だから生々しさが減衰するのか、それとも書き込みが甘いor意図的に甘くしてるのか、ぎりぎり耐えられてゾクゾクさせてくれる感じ。

続いて、作画の効果や背景、BGMによる雰囲気作り。
画面にノイズを乗せたり、劇伴とも言いづらいような重低音を流したりと、徹底して重苦しい方向に作品を持っていきます。
バトル空間が暗いのはもちろん、現実世界の行動範囲も高架下とか路地裏とか廃ビルとか、青空が見えた記憶がほとんどない……。
不協和音を派手に重ねたりはしないけど、終始どんより暗い、質量すら感じる陰鬱さでした。

そして何より、展開の救いのなさ。
自力では叶えづらい願い(遊月)はもちろんですが、ちょっとした妬み(晶)や努力すれば何とかなる願望(一衣)といった、些細な欲もゲームへの入り口になっているのが、とてもダークです。
まどマギみたいに大上段に構えた願いじゃないんですけどね。
日々のふとした情動のすぐ横に破滅が口を開けて待ってるというのは、なかなかのスリルと皮肉。
しかもキャラはアクが強いし、情報を小出しにして視聴意欲を繋いでくる。
結果、どんどん少女たちが負のスパイラルに取り込まれていく様を、こちらもハラハラしながら追い続ける羽目に。
その決着としての1期の最終回は、サイコサスペンス的な驚きもあり個人的には楽しめました。
最終的な評価は2クール目の結末によりますが、不合理と不条理が行き過ぎなければ、娯楽としては結構「あり」だという感想に落ち着きそう。
ただ、やっぱりハッピーエンドが好きなので、救いがあってほしいなぁ。


あとは細かいところをいくつか。
キャラデザ、非常に好みです。
るう子には、その消極的な性格もあって、情けない表情を見せられるたびに嗜虐的な劣情を掻き立てられました。
正直めっちゃ虐めてみたい←
新垣あやせ教信者にここまで言わせるのだからすごいよ!

OPもとてもかっこよく、久々にカラオケで歌いたい衝動に駆られました。
実際は難しいし高いしで歌えなかったんですけど……。
チェロの響き、歌声の震え、焦燥感を醸すメロディーと、OP映像・本編のシンクロも素晴らしい。

最後に、本作のアイドル?、アキラッキーの存在。
タッパー赤﨑、もとい、赤﨑千夏さんの熱演により、見事なゲスカワキャラになっていました。
終盤若干間延びしたのもアイドル不在のせいじゃないのかな。
提供でスタッフのおもちゃになるのもいいですが、2期は作中でも大暴れしてほしいものです。
さもなければ私のオモチャになってもらいまs(自主検閲)


■「女の子を曇らせる話」についての雑感
(まどマギ系?の作風についての、ほぼ個人的なメモ)

{netabare}
以下、はてブ界隈にかぶれた小賢しさがする上、長いくせに結論なんて出るはずない話です。
基本的には妄想乙で済まされるやつ。
それでもよくてお時間が余ってる方は、読んで感想など頂けると個人的にとても楽しいです。

{netabare}
作品自体の評価は別として、まどマギがここ数年を代表する作品であることは確実。
で、主観的には、WIXOSSはかなりまどマギっぽい。
WIXOSSはまどマギのパクリだとか言う気はないです、まどマギもきっと何かの「パクリ」だし。
けれど、まどマギ熱の残る2014年に世に出たことについては、少なくともその共時性、同時代性的なものは認められるべきだと思う。
「女の子を曇らせる話」が、エヴァ後のセカイ系みたいなムーブメントになっていくのか、アニメ史(なんてものが存在していいなら)的にもホットトピックたりうるかも。

といってもまどマギっぽいアニメって、WIXOSSと幻影ヲ駆ケル太陽ぐらいしか思いつかない。
しかもWIXOSS終わってないし、ヲケルは3話切りしてろくに覚えてすらないという。
やっぱ資料がそもそも足りない、チラ裏未満の自己満メモで終わりますねコレ。
まぁでもとりあえず、まどかとWIXOSSの共通点をてきとうに列挙。
 ①不幸の連続
 ②不幸に襲われるのが美少女
 ③不幸の原因は、外部的・潜在的なシステム
 ④でも原因との接触段階において、美少女側にも「自己責任」あり
 ⑤主人公が求めるのはシステムの刷新(WIXOSSについては、1期段階でのはなし)
 ⑥願いの獲得=自己の確立
あとアニメの作り方として、
 ⑦中盤で明かされる驚愕の真実
 ⑧考察の出来る作り
 ⑨ただし設定は意外とゆるゆる、もしくは勢いで乗り越えるタイプ

①鬱展開となるとリヴァイアス、そこ僕、ぼくらのとかあるし、エヴァなんかキャラを追い詰める展開の筆頭だし、不幸の連続自体が革新的なわけじゃない。
ただ、次々に新たな試練が降りかかるというよりは、最初にシステムに組み込まれてしまった時点から芋づる式に不幸が連鎖するという、アリジゴク的な容赦のなさは先達との違いではあると思う。
印象論としては、「負のご都合主義」と呼ばれかねないくらい主人公たちへの攻撃性が設定に備わっているように感じる。

②登場人物が美少女ってのは、解釈しづらい。
美少女動物園とか百合ものが増えてる流れの上にあるのか?
美少女を傷つけると喜ぶ、(主に)男性の嗜虐性を刺激するため?
そもそも魔法少女ジャンルの派生形だから?

③ディストピアもの的な発想、なのでしょうか?
構造主義とか脱構築とかポストモダンな匂いもするんだけど、詳しくないからわからない。
でもこういうの、アニメだと発祥はどこなんだろう?

④「自己責任」はキーワードだと思ってます。
鬱アニメの先駆者たちは、不幸に陥るキャラへの共感とか同情を引き起こして、そこから救われるカタルシスを狙いにしてる部分がある。
でもQBさんとか、言ってることは合理的で、契約内容を確かめなかった魔法少女たちにも責任はある。
夢限少女たちも、暗い感情とか自己の努力不足を発端とした願いでもあって、なおかつ契約書読まずにホイホイ契約しちゃってるし。
悲劇のヒロインに感情移入したくても理性が邪魔をして、客観的にその行く末を見守るしかない、みたいな焦燥感も、ある種の魅力かもしれません。
自己責任論=個人主義のイメージなので、ワンピース的マイルドヤンキー的な仲間意識と対極をなしてるように思えて、かなり興味深い。

⑤不条理なシステムの破壊はSF的にはもはや古典だし、そもそも抵抗権の発想。
ただまどマギの場合、自己犠牲でシステム自体は存続するけど、その性質を変えるというのは若干異質だったのかも(元ネタの有無は知らない)。
そこにセンスオブワンダーを感じるか否か、自己犠牲を良しとするか否かで、作品の好みも左右されそう。
一旦はそれがキャンセルされたWIXOSSの着地点はどこなのか、私気になります。
キャンセルの要因が個人間の不信ってのも、考察のネタとしては面白いかも。

⑥エヴァ的なアイデンティティ論はやり尽されてるとは思うけど、やっぱり願いの獲得が自己の確立に思えてしょうがないです。

⑦は、アニメとか漫画のヒットの必要条件として確立されてきた感がある。
キャラを記号的にして掘り下げを薄くしてでも、ショッキングな展開を優先して視聴者を確保する方法論。
⑧も、ついたお客を離さないために必要な要素。
両方とも、2chとかtwitterとかニコ動の出現で重要性を増した面はあるはず。

⑨各話のインパクト重視、引きが重要なタイプなので、設定や整合性重視の人には粗が目立つ作りに見える。
勢いと緻密さはトレードオフではない気もするけど、そこまで求めるのは野暮なのかもしれません。
WIXOSSに関してはマリーさんのせいという説も濃厚。
あの人、かなり行き当たりばったりで設定考えてるんじゃ……?
{/netabare}

長々牽強付会に書いたけど、やはり結論なんてものはないです。
勝手にラベリングした「女の子を曇らせる話」、要はまどマギフォロワー的な作品が今後増えるのか消えるのか、そのあたりも含めて、WIXOSSの二期を楽しみにしています、ということで。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 21

73.6 17 不気味アニメランキング17位
蟲師 続章(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (728)
4009人が棚に入れました
およそ遠しとされしもの──下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達。それら異形の一群を、ヒトは古くから畏れを含み、いつしか総じて“蟲"と呼んだ。時に蟲はヒトに妖しき現象をもたらし、そしてヒトは初めてその幽玄なる存在を知る。ヒトと蟲との世を繋ぐ者──それが“蟲師"。すべての生命は、他を脅かすために在るのではない。みな、ただそれぞれが、在るように在るだけ──。

声優・キャラクター
中野裕斗、土井美加
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

毎週見れることが、とても贅沢に思える作品

第1期は2005年放送。全26話。
2014年1月、特別篇「日蝕む翳」放送。
同年4月より、本作2期放送(夏を跨いだ分割2クール)。前半は全10話。
(New)本年度8月下旬に再び、特別篇「棘のみち」を放送予定。(日程は放送局により異なります。)


【前置き】

オダギリジョー主演『実写映画版 蟲師』を最初に見た私は、当初「蟲師」という作品に対し、良い印象を持ってはおりませんでした。

ですが、アニメ版にてその悪印象は見事に払拭され、それからはこの世界観が織り成す独特の雰囲気に酔いしれたものです。
(その実写版は、後に黒歴史と呼ばれる。)

本作は、その根強い人気に後押しをされ、およそ9年振りに放送された2期の前半となります。

突然の発表で当時は驚きましたが、監督の長濱博史さんが直前に久々に担当した「惡の華」の不評のすぐ後に発表されたタイミングからも、その不評を昔の杵柄で早々に払拭したかったのかな?と、勘繰ってみたりも。
私は好きなんですけどね…、「惡の華」も。

と、皮肉交じりの前置きになっちゃいましたが、本作を毎週見れるのは素直にメチャクチャ嬉しかったです。



【あらすじ】

時代背景は、作者曰く「鎖国を続けた日本」もしくは「江戸期と明治期の間にある架空の時代」。

人には見えない異形のもの「蟲」を主軸とし、それら蟲に対する知識を活かして生業とする「蟲師」である「ギンコ」の、日々の道程が一話完結で描かれています。



【年齢層が高めの「日本昔ばなし」】

こう称すると、しっくりくる気がします。

前作同様、尾を引くようなヒキを見せて続きが見たくなるような演出は一切無く、ただただ毎話一話完結を貫きこの世界観を渾身の作画で描き切る、という製作陣の職人魂は見事でした。
シナリオの中には少々後味が悪いものもありますが、総じて視聴後は見応えがある20数分を過ごせた気分になりました。

ギンコ役を務めた中野裕斗さんも、前作ではキャリアの浅さ故に少~しぎこちなく感じましたが、今作ではもうバッチリでしたし。

ただ、基本的に無駄なシーンが一つもないので、1~2分でも別のことを考えて物語に集中していなければ、置いてけぼりをくらう場面もしばしば。
中身が濃い故の弊害ですが、気楽に余所見しながらでも見れる日常系が好きな方にはオススメ出来ません。


本作は前作同様、台詞や背景に至り原作をこの上無く忠実に再現されているですが、これは「原作を完全な形でアニメに変換する」という意思表示だそうですね。
加えて、前作から年月が経ったことにより作画クオリティは更に向上されたので、ギンコの所作一つても映画のような作画枚数を思わせる細かな動きを見せ、なんとも贅沢な気持ちにさせてくれました。

世界観の説明を排した作り故に絵からの情報が重要な本作において、作画は作品の出来にも直結します。
監督曰く、CGの導入で「前回に比べ良い意味でズルが出来るようにはなり、異常なレベルの作画枚数を少し低減出来た」という旨の発言もしておりましたが、それでも手書きの部分も多く、総じて渾身と呼ぶに相応しい出来栄えだったと思います。

音響に関しても、まるで自分がその風景にいると錯覚させるような、草木のせせらぎ、波の音、鳥のさえずり等、細かな演出は見事でした。



一つだけ残念に思えたことと言えば(前作でも噂がありましたが)、作画制作が追いついていないのか、間に急遽取り繕ったかのような座談会の総集編を幾度も挟んだり、あげくその総集編を再放送した局もあったことですね。
これには、少々面くらいましたね。
特に「好評につき、総集編を再放送致します。」と、まるで視聴者の声に応えたかのような振る舞いは、いかがなものでしょう。
これでは「視聴者は、本編より一度見た総集編をもう一度見たがっている。」と言われている気がしました。

個人的には裏話ありの総集編は実際見応えもありましたし、作画が完成されていない状態で放送されるよりは、よっぽど良いのですけどね。
おかげで、分割の間に、(その放送されなかった?)新作が放送されることも決定しましたし。

……でも、放送枠とかスポンサーとか、そういうのは大丈夫だったのでしょうかね。



【第6話『花惑い』について】
(一話完結の内の一本だけを紹介します。未視聴の方も、もし「蟲師」のストーリーにご興味があれば、読んでみて下さい。)
{netabare}

作中で、特に印象に残った一本。(ナレーション役の、土井美加さんと同じですね。)
第6話【花惑い】について、ご紹介したいと思います。


この話で登場する、ピンク色の泡状の蟲「こだま」は、動物に憑くことで長寿となるも五識のいずれかを麻痺させる症状を出します。


花の無い立派な桜の樹の下でギンコは、その蟲「こだま」に憑かれ八十年もの間、若さを保っているという美しい女性に出会います。
蟲の影響から視覚と聴覚の大部分を失ったこの美しい女性を、ギンコは治療出来ないものかと、代々女性の世話をしているという庭師の男性に話を聞くのですが……。


この女性「佐保」は、赤子の時に桜の樹の下に捨てられていたそうで、既にその時に樹液のように、蟲「こだま」を啜ってしまっていました。
それからも、「こだま」だけを日々啜って生きてきたのです。

長寿の影響からとても成長が遅い佐保は、この庭師の家系の家族愛すら越えた愛情を代々受け取り、大切に育てられて今に至るのでした。

「こだま」を取り除けば五識を取り戻すことは出来るが、その時…佐保の寿命が保つ保証はない。
この庭師の男性は、どのような答えを出すのか…。


しかし真実は、そのような二択の範疇を、とうに超えていたのです。
ギンコは、その庭師の書物を見ることで、その真実に辿り着きます。


『まさか……、接ぎ木するように首を挿げ替えて

 女を生き長らえさせてきたのか?

 八十年どころじゃねえ、何百年も。』


「こだま」の長寿に耐えられなくなった佐保の身体の為に、この庭師の家系は代々、女性を攫っては首を切り落とし身体を佐保に付け直すことで、生き永らえさせていたのです。

それを可能にしてしまう「こだま」の特性は勿論、この庭師の家系が代々犯してきた過ちを想像すると、背筋が凍りました。
佐保の体調により、「こだま」が憑いた大桜は花を咲かせるかを左右していた点から鑑みるに、佐保はほぼ「こだま」と同化してしまい最早、植物的な存在に近かったのかもしれません。


新しく健康的な女性を騙し眠らせ、鎌を手にとっていた庭師を見つけたギンコは、咄嗟に灯籠を蹴り家を燃やすことで、その混乱の中眠った女性を助け出しました。

その火は、やがて家全体に燃え移り、「こだま」が巣食う桜の樹をも燃やしました。
それは、永らく長寿を保った佐保が本来の姿に戻る時でもありました。

白髪で皺苦茶になった佐保を覆うようにピンク色の「こだま」が大桜に溢れ出す光景は、まるで満開の桜のようでした。


『おかしいかもしれんな。

 三百年も草木のような女を、愛でてきた一族なんてのは……。』

佐保の美しさに魅了され、その視覚も聴覚も無い草木のような女性を愛し続ける為に人を殺め続けた、この一族。

しかし、佐保の本心は一体どうだったのでしょうか。
ギンコが割って入った時に、佐保が発した

「いやだ…、いやだ……」

という台詞は、本当に庭師が解釈したような、ただの命乞いだったのでしょうか。


『大桜は、全焼を免れたという。

 だが…、あの庭師と女の姿を、二度と見たものはないという。』

蟲師の中でも、非常に後味の悪い内容ではありますが、私的に強烈に印象に残った話でした。
{/netabare}



【総評】

毎週一本を期待していたので、総集編等で少し興を削がれた気分もありましたが、内容に関しては文句無しに、「蟲師」として期待に応えてくれた続編でした。

ストーリーや作画は勿論、音楽やギンコの演技一つ一つまで、どれも丁寧に仕上がっています。
気楽に見れる作品ではないですが、乱立する深夜アニメの中でも、とても贅沢な一本ではないでしょうか。

8月下旬の特別篇「棘のみち」、そして秋の2クール目まで、またゆっくりと楽しみに待ちたいと思います。

それでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『ギンコ』声 - 中野裕斗さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『ヤドカリドリ』

投稿 : 2025/01/04
♥ : 34
ネタバレ

雪だるま* さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

すべての生命は、他を脅かすために在るのではない。

◎放送時期:2014年4月~6月(全10話+スタッフ座談会2話)※1クール目
◎ジャンル:怪奇、ファンタジー

●原作:漆原友紀(講談社 月刊アフタヌーン) ●監督・シリーズ構成:長濱博史
●キャラクターデザイン:馬越嘉彦 ●アニメーション制作:ART LAND

■あらすじ■
「蟲(むし)」と呼ばれる世界や人に対して何らかの影響を与える
"謎に包まれた怪異な存在"の施術師「蟲師(むしし)」である
青年・ギンコが 各地を旅しながら蟲の祓いや、その謎について迫っていく。

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☆★感想★☆

原作:現在読み進め中(この間買いましたw)

1話完結ものなので 前作を観ていなくてもとくに困ることはないです。

ただ、前作に登場したキャラがちらっと出てきてたり、
前作のお話と対になっているお話もあったりします。

なので、その辺をより楽しみたいという方は 先に1期を観ておくか、
こちらを先に観てから1期を観るといいと思います\(^o^)/


今作もさすがの出来でした。
まるで1期からそのまま時間を空けずに放送しているかのようでした^^
スタッフも前作と全く同じだったのも良かったです。

作画・背景のクオリティは前作に引きつづき劣化を見せていません。
蟲の動きとかは滑らかになっていて 全体的に綺麗になっていたかな。
植物の葉の揺れ方だったりとか、ホントに1つ1つの描き込みが細かいです。


そして静かで落ち着きのある中に ちょっぴりホラーがある独特な雰囲気も健在^^
心温まるお話だけでなく、切なくてじゃっかん後味の悪いお話もあります。

わりと淡々としたテンポで進んではいくものの、間のとり方が良いので
退屈することはなく、むしろ『何が起こるんだろう?』とドキドキしました。


音響もかなりこだわりが見えました^^
わざわざ四国の山奥にまで行って録音してきたりするそうです。

生物たちの鳴き声、波の音、雨や雪の降りしきる音、足を踏み入れる音etc…
目を閉じていてもパッと情景が浮かぶかのようでした。


主人公のギンコは基本的な性格や雰囲気は変わってないんですが、
今作に関してはわりと傍観者的なポジションにいたような気がします。

でも、今回はギンコが敢えて見守ることで成り立つお話が多かったと
思うので、それで良かったのかなって思います^^

相変わらず彼は、蟲と人間の間に立つ「中立的な存在」でした。
蟲にも人間にも生き方を強制しない、なるべく生命の在るがまま、
自然のままにというスタイルを貫き通していて、さすがだなぁと思いました^^

CVをされている中野裕斗さんの声も変わらず良いです。


【個人的に好きなエピソード BEST3】
○1位:第3話「雪の下」
{netabare}トキが失った体温と一緒に凍り付かせて忘れていた妹の死んだ記憶。
妙の体温に触れてそれらを取り戻した時、必死に冷覚に耐えながら妙をおぶって
ギンコの元に走って向かうシーンは涙でした><{/netabare}

○2位:第7話「日照る雨」
{netabare}ナガレモノのお話。『不幸の巡り会わせが起きただけだ』
というギンコの言葉がとても心に響きました。
過去の苦しみを乗り越えて 蟲と共存の術を見出した照の明るい表情の
ラストが印象的。{/netabare}

○3位:第6話「花惑い」
{netabare}首の継ぎ接ぎは衝撃でした(;゚Д゚)美しいものは人を魅了し、
そして時に人を狂わせてしまうこともあるんだなぁ~と。
最後は切なかったけれど、あれで佐保が蟲の呪縛から逃れられたのかなぁと
考えれば救いのあるお話だったのかなと思いました。{/netabare}


とはいえ、全体のエピソードとかキャラ的には前作の方が好みだったかな。

放送的にも 制作がギリギリだったために、間に座談会が3回(1回は再放送)
入って、全12話の予定が全10話になってしまったのも少し残念だったかな^^;

でも、クオリティを下げてまで早く届けて欲しいなんてことはないので、
私はいくらでも待ちますw

劇場レベルのクオリティで毎週やるわけですしね^^;
本編を観ると1、2週遅る理由も頷けます。

長浜監督をはじめ制作陣の方々、本当に毎回 お疲れ様ですm(__)m

8月の特別編「棘のみち」と
秋からの2クール目も楽しみに待ちたいと思います。


●OP:「SHIVER」/Lucy Rose
前作に引き続き、洋楽のしっとり落ち着いたテイストの曲。
心地よい曲ですが、心地よすぎて夜中に聴くと眠気が…ww


■好きなキャラ■
シリーズ通すなら化野先生なんですが…

今回好きだったっていうか印象的だったのは、5話「鏡が淵」に出てきた真澄です。
ああいう恋愛に積極的な女の子って蟲師では珍しかったかも?
お転婆なところも可愛いなと思いました^^

投稿 : 2025/01/04
♥ : 30

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「この世にいてはならない場所など誰にもないのだ。この世のすべてが、お前のいるべき場所なんだ。」

蟲師の2期です。

1話完結タイプなので、2期からの視聴も可能ですが、
1期から楽しむことをおすすめします。

1期のギンコを見てきたからこそ考えさせられることもあるので。

2期は全20話です。
(+特別編が2話分あります。)


● ストーリー
「およそ遠しとされしもの──下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達。それら異形の一群を、ヒトは古くから畏れを含み、いつしか総じて“蟲(むし)”と呼んだ。」(冒頭ナレーションより)

そんな蟲たちと人をつなぐ存在が、蟲師。

蟲師のギンコは、蟲たちが引き起こす奇怪な出来事を解明したり、
困っている人たちに助言したりしながら、あらゆる場所へ赴いていた。


蟲とは、私たちのそばにあって、
生き物とそうでないものの狭間のもの。

見える人と見えない人がいる。
そういう意味では妖にも近い。

妖と違うのは、彼らが生きているということ。
他を脅かすために存在しているのではなく、ただ生きている。

しかし、その生が時として人の生活に困った影響を及ぼすこともある。

その謎を解明し、困った人に手を差し伸べ、解決に導くのがギンコ。

蟲師は、お医者さんみたいでもありますね。
虫の特性を理解しているから、対処法もわかる。

どんな蟲が、人のどのような行動を要因として現象を起こしているのか、
それを解き明かす様は、探偵のようにも見えます。


人によくない現象を与えるからと言って、
決して蟲を悪い者扱いしない。

一緒にこの世に生きているものとしての敬意や、
蟲に対する愛情のようなものがギンコの言葉からは感じられます。

あらゆる生命と共存できるかどうかは、
人次第なのかもしれない。

人が恐れすぎたり、拒絶しすぎたりするから、
悪いものとして映ってしまうだけで、

捉え方次第で、共存できる道は確かにあるのだ。


これまではそれなりにハッピーエンドで、
救いを感じられる話が多かったのですが、

2期ではうまくいかなくて、
ずーんと暗い気持ちになる話も多かったです。

人がその結果を引き起こした話もあるし、
どうしようもなかった話もある。

蟲と共に生きるというのは、
いつでもうまくいくわけではないということなのかしら。

それでもギンコは、
人と蟲がうまく共存できるように手を差し出し続ける。

その人の抱える事情には深入りしすぎず、
それでも今起こっている問題を解決しようと力を尽くす。

その距離感や優しさがたまらないわ。
ギンコいい男(*´∀`*)

そうして、一見不幸に見える中でも力強くあり続け、信じられると思えるもの。そういうものの存在に救われる気持ちになります。


≪ 日本の原風景 ≫

いつの時代の話かはわかりませんが、ギンコが訪れる場所は、山に囲まれていて、集落という形で人々が支え合っている。

そんな自然あふれる場所の風景が、とても美しい。

人、自然、蟲。

その三者の交わる場所が、これほど美しく描かれている作画を味わえるだけでも、うっとりします。

実写映画の映像もちらっと見たのですが、
私はあまり好きになれませんでした。
(ちらっと見ただけだからかもしれませんが。)

アニメだからこそ味わえる、緻密で繊細に描かれた自然の魅力。
そういうの、好きなんだなあ^^

人々の暮らしは豊かではありませんが、
ひっそりと、確かな喜びがある。それで幸せじゃないですか。

幸せは難しいことじゃない。人と比べるものでもない。
そこにある喜びを抱きしめればいいだけ。

この作品は1話完結のオムニバス形式のため、
いろんな人たちが登場します。

登場した人の数だけ、人生がある。
一生懸命生きている今がある。幸せがある。喜びがある。

全話を見て振り返ると、
どれもかけがえのないものだと感慨深くなります。


● 音楽
静かで、ゆったりとしたBGMが多いです。

だけど、蟲師の世界観には欠かせない音楽たち。

雰囲気にぴったりな曲ばかりで、素晴らしい!

自然をながめながら、ただぼーっと、この音楽を聴き続けていたいです。


● まとめ
やっぱりこの作品の雰囲気が大好きです。
2期を見て、これまで以上にそう感じました。

ホラーっぽいと言われればそうかもしれませんが、
怖いだけで終わらない優しさと力強さがこの作品にはあります。

古き良き日本の原風景。
その中で蟲との共存のために歩み続け、人の助けとなる。

自然と共存することは確かに難しいけれど、
理解すればなんとかなることもある。

それは蟲も同じで、確かに厄介で恐ろしい相手ではあるけれど、
理解すれば、きっとなんとかなる。

蟲と人間、その架け橋がギンコ。
彼の旅をこれからもずっと見守っていたいなあ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 23

77.0 18 不気味アニメランキング18位
シリアルエクスペリメンツ・レイン[serial experiments lain](TVアニメ動画)

1998年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (884)
3921人が棚に入れました
コミュニケーション用コンピュータネットワーク端末「NAVI」(ナビ)が普及した現代、中学生の岩倉玲音は、死んだはずの四方田千砂からのメールを受け取る。その日以来、玲音は見えないはずのものを見るようになる。四方田千砂のメールの言葉に興味を持ち、大型の「NAVI」を手に入れるが、それ以来更に奇怪な事件に巻き込まれていく。物理世界(リアルワールド)と電脳世界(ワイヤード)、二つの世界・二人の玲音(lain)が混濁し錯綜する果てにあるものは? 「人は誰しも“繋がれて”いる」「私は遍在する」

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

観るものを究極に選ぶ作風の前衛カルト作品 

視聴後これは何か書かないといけないという使命感に駆られた本作ですが...
一体何から書けばいいんでしょうね。。
この作品に関して自分ができるネタバレ無しのレビューを書くという事は、
非常に表面的で浅い駄文になってしまうとは思いますが、
今更この作品に関しての新たな考察、など自身の見解を書くことに意味は無いだろうと感じるので、
本作を観たことが無い人、興味はあるが観てない人、にどんな作品かが伝わるように、
率直な感想を書いてみようかと。


色々なところで「難解アニメ」の代表ともいうべき扱いをされている本作ですが...
あにこれの成分タグでも「難解」ランキング1位。
確かに言われている通り難解だと思います。

自分は視聴前にある程度そういう情報を得て視聴に臨んだので、
講義を受ける要領でメモを取りながらの視聴となりましたが、
(視聴間隔が空くと難解なものはより訳が分からなくなるので)
正直一度目の視聴では物語のごく表面的な部分のあらすじをたどるくらいで、
本作の本質やメッセージには辿り着いておらず、なんとなく解った気になっていたつもり、で居ました。。

その後やっぱり気になって、本作に関する考察のサイトを読んだりして、
なんとなく解っていた、と思った部分も言葉で説明されることによって、
より具体的に頭を整理することができました。
(今思えば止めときゃ良かったなと思います。というのも、どうしても観る時に意識しなくても、
他人の考えや意見に左右される面があるので。この作品は特に自分で考え想像し、
頭を悩ませる事自体が醍醐味だと感じるので)

そして、2回目の視聴。
この時も1回目の視聴で足りなかったと思う部分のメモ書きを追加しながらの視聴となりましたが、
1回目の視聴では最終話観ても「ふ~ん」って感じであまり感じるものがなかったんですが、
2回目の視聴では全く異なった印象で、感慨深く観終えることが出来ました。
まぁそれでも最後までぶつ切りで観るものを感動させるようなベタな演出は一切無しなんですが笑
この辺りが本当にカルト的であり、万人受けなんか全く狙っていないというのが逆に清々しく思えます。


本作がなぜ難解なのか?と言うと、まぁ1話観ればすぐ解るとは思うんですが、
殆ど具体的な説明という説明がなく(後半に矢継ぎ早に唐突に説明されるものが一般人にはおよそ馴染みのない、
シューマン共鳴やら、ザナドゥ計画、ロズウェル事件などのカルト的なものだったりする)
設定自体もかなりマニアック、表現が抽象的であらゆる出来事が唐突に感じ、
現実なのか幻覚、幻想なのかさえも判らないような描写や台詞だったり...
場面場面の切り替わりや各話の引きも毎回ぶつ切り、
終始まぁそんな感じで展開するんですよね。。

なぜそんな描き方をするのか、作品をある程度理解すればそれなりには納得できるんですが、
普段放送されてるような作品とは全く異質なものと言えるでしょうし、
そりゃ1回観て理解しろ、という方が土台無理な話。。
今ならこんな作品を作ったら大目玉食らいそうですが、当時は今ほど円盤売上至上主義の風潮がなく、
ある程度自由な製作環境だからこそ作れたのかもしれません。
いやはや、こんな作品が世に出てきたというのはある意味奇跡的とも思えますね。


で、まだこれから観るという人へのアドバイスとしては...
本作を理解するためには、とにかくまずはシンプルに何が起こってどうなったのか、だけ、
細かい部分はあまり気にせずに観ていくのがいいでしょう。

もっと言うと、結局主人公レインとは一体どういう存在なのか?レインは何をやったのか?
もう一人の重要人物である英利政美はどういう存在で、何をやろうとしたのか?
この辺りだけに集中して観ていけば良いのでは、と思います。
それを踏まえたうえで、一体本作が何を言いたかったのか?ここを考えれば良いのではないでしょうか。
人によっては解釈が異なる事もあるかと思いますが、
本作の醍醐味はテーマ&メッセージの意味を自分なりに解釈することにあるんだと思います。

でもまぁ正直言うと、自分はこの作品を観るのはかなりしんどかったですね笑
混乱する頭を整理し、想像力で補いながら毎話観ていかないといけないし、
終始どんよりとして陰鬱な雰囲気に包まれているんですから。

ハッキリ言ってしまうと、観ていて全く楽しくはないですね笑
それでも、惹きつけられる魅力があり...また観たくなる。。
自分はこの作品の「物語」に関する評価としては、
今まで観たアニメの中でも最高評価に値する作品の一つであると思っています。

よく言われていることですが、やはり当時まだインターネットが今ほど普及していない90年台後半に、
(自分がパソコンを初めて購入してネットにダイヤルアップ回線で接続していた頃)
SNSが普及し世界中のあらゆる人同士が繋がり合うようになった現在のインターネット世界を見据えた、
先見性のある内容は特筆すべき点であり、またさらにその先をSFで描いた内容は、
時代を先取りしすぎている、とはまさにその通りかと思います。

恐らく放送当時観た人はなんのこっちゃ?という印象しか持たなかった人が多かっただろうと推測しますが、
時代が本作で描かれている内容に追い付いてくるにしたがって、
どんどん評価が高まってくる、こういった作品は本当に珍しいと言えるでしょうね。

昨今ではインターネットを題材にしたような作品も物珍しくはなく、
大抵はネットゲームの世界に入ってどうのこうの、といった内容ばかりで正直オリジナリティに欠ける印象を持ちますが、
本作はワイヤード(今で言うインターネット、ネットワーク)と現実世界、
2つの世界に於ける「情報」や「記憶」「存在」「繋がり」、
などといったある意味概念的な側面に焦点を当てて描かれており、
カルトな作風含め、唯一無二のオリジナリティを持った物語として、
観る者の好き嫌いは別にして高く評価されるべき作品だと思います。


☆声優☆

レインの声優さんに関しては客観的にみれば演技が上手いとは思いません。
というのも、演じている清水香里さんは当時現役中学生でこの作品がデビュー作なんですよね。
制作側が敢えて「不安定」な存在であるレインを演じさせるためにオーディションでかなりの人数の中から抜擢した、
というのを制作秘話として何かで読んだことが有ります。
収録はかなり大変だったようですが...制作側の意図が解ると納得できるキャスティングだと思います。

その他、速水奨さんや中田譲治さんのようなベテラン実力派も起用してバランスを取ってますが、
子役の演技には少々難があるように思います。


☆キャラ☆

この部分の客観的な評価は難しいですね。
キャラそのものが物語、と言っても過言ではないような気もしますし。。
極端な話、観方によっては1点か5点どちらでも間違いはないようにも思います。
レインに関しては、こんな登場人物の描かれ方をした作品は自分の知る限りは思いつかないので、
敢えてそこを評価して5点としたいと思います。


☆作画☆

セル画アニメの晩年期にあたる作品ですが、
自分の観たものは恐らくOPに関しては色彩が鮮やかで、後に?デジタル化されたものなんじゃないかなと思います。
作中は如何にもセル画な絵柄ではありますが、ところどころ実写映像を挟んだり、
ちょこちょこと実験的な試みがなされているように思います。 

人物の描き方(特に引きの画)などは、やはり現在のものと比べると劣ります。
背景に関しては独特の暗さ、陰鬱さをよく伝えるもので、
張り巡らされた電線など、個人的には好きですが、結構同じ場面を使い回したりもしてますね。
(OP後のシルエットと自動車の場面、たぶん敢えてやってるんでしょうけどね)
恐らく当時としても予算的にはたぶんそこまで掛けれなかったのかもしれません。


☆音楽☆

OPのインパクトは数あるアニメの中でも上位に来るものだと思います。
歌詞も抽象的でありながら、レインを歌ったものであるというのは、OPアニメーションからも明らか。
ていうか、あのPlesent Day,Plesent Time Hahahaha...ってのが頭から離れませんね笑

これに対するEDは、個人的にはなんで?と思う選曲。。
制作側の好みが濃く反映されてそうなブルース系の曲。
渋いけど歌詞含めてどうもあまり作品には合ってなさそうな気も...

作中BGMはハウリングのような電気的なノイズ、ギターのノイズなど、映像と相まって暗さと陰鬱さをより助長してますね。
まぁこの辺も低予算なんだろうな~と思いますが、如何にもなカルト臭がしますね。


純粋なクオリティー面は高い作品ではありませんが、
逆に言うとあまり綺麗でゴージャスに作っても、このカルト的でイッちゃってる作風には合わないような気もします。

オススメかと言われると、「すべての人にオススメ」とは到底言えません。。
今敏監督や幾原邦彦監督作品のような難解系のものが好物の人にオススメしたいですが、
有名な作品ですし、まぁそういう人は既に観ている人が殆どでしょう。。

色々な作品を観て、王道的なアニメは展開が読めるし飽きたなぁ、くらいに思ってる人が観た方が良いでしょうね笑
しかしながら、観るならある意味本気で理解しようと思って観ないと、ハッキリ言って時間の無駄です。
一切笑いもないし、楽しくもありません。終始暗く陰鬱です。
ギャグも萌えもありません。
大多数の人にとっては面白く無いでしょう。

でも、面白く無いからといって、つまらない作品であるとは思いません。
今まで観てきた作品の中でもただ単に「感動した」、とか「泣ける」、とかいう類のものじゃなく、
心から「これは凄い」と思える数少ない作品の中の一つですね。
(成分タグの最多が「鬱」となっていますが、観方によっては感動的な物語、とも受け取れると思います)
日本より海外のコアなアニメファンには非常に高く評価されている作品ですが、
人によっては人生最良の一作になりうる、そんな魅力が詰まっていると思います。

ある意味究極に観る者を選ぶ作風なので、名作とは言えませんが90年代を代表する傑作だと言えるでしょう。
因みに本作は「文化庁メディア芸術祭 優秀賞」(1998年度)を受賞しています。

※追記※

ずっとどっかで似たような雰囲気のものを味わったことがあるなぁ、と思ってましたが、ようやく思い出しました。
つげ義春の「ネジ式」「ゲンセンカン主人」辺りの前衛的な漫画ですね。
(絶対製作陣は影響受けてると思う笑)
たぶんつげ義春の世界観にハマれる人なら、本作を観て損はないでしょう。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 14

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

問題意識は、攻殻S.A.Cにほぼ引き継がれているのでは

 2004年ぐらいになってから、人から「見ておいたほうがいいよ」と言われて視聴。

 うーん。
 「難しい」っつーか、文脈の提示の仕方が全体にフリーダムだな、っていう印象。
 だから、まあぶっちゃけ、筋を解説されないとさっぱりよくわかんなかったんだけれども、まあ、この手法の問題はさておき。確かに、けっこうグネグネとした問題意識も背景にはありそうなんだけれども。…

(注:下記、読み手に対して、非常に不親切なテキストになっております。)

 ただ当時、思ったのは「うーん、ヘーゲルとサイバーパンクが好きな人とかがつくったのかな。ヘーゲル的世界観によって、サイバースペースの到来を、予見しなおすとこんな感じになるのかしら」みたいな感じ。あとから、小中 千昭さんは、クトゥルフ好きでもあるということ聞いて、なんか納得。そうですか、と。
 他の方も書いているように98年でこういう想像力をもちえていたのは、確かにすごいのだと思います。

---------------------------

 で、下記、作品の演出とかそういう問題はぜんぶすっとばして、単に思想的評価だけのはなしですけれども、
 わたしの見立て=「特殊なヘーゲル的世界観によるサイバースペースの未来予見」という感想をベースに強引に考えをすすめてしまうと、基本的には、この作品で描かれようとしていた問題設定は、『攻殻S.A.C』のほうで、ほぼ見事に発展的に描写されおえている、と言ってしまって問題ないんじゃないでしょうか。
 一言で言ってしまうと「ベースとなる概念がちょっと古いんじゃないの?それ」ということを思ったということです。サイバーパンクとか、SF的世界観は新しいところを衝いていたとは思うけど、仮にヘーゲルが下敷きだとすると、それはちょっとなぁ…みたいな。

 も少し、長く言うと「インターネットだとかの情報システムによって、社会の構成が変化する」とか「様々な人が、<なぜか>同一の行動をとりはじめる」ということを説明するためのモデルに、ヘーゲルの想像力をベースに使うか、複雑系とかの想像力をベースに使うか、というところで。
 lainは、(たぶん。たぶんだけれども)200年前のえらい哲学者であるヘーゲルあたりが下敷きで。
 攻殻S.A.Cは、(これも、たぶんだけど)比較的あたらしい複雑系とか、サイバーカスケードの議論とかを一定程度踏まえている感触。

 わたし、古典をきちんと読んでない人なので、古典をきちんと読んでるようなスーパー教養人だと、古いものをベースとすることの意味まで含めて味わったりできるのかもしれないけれど、わたしはそこまで舌が肥えてないので。
 えー、うーん、古くしか見えないわぁ…みたいな。

 まあ、あと、ヘーゲルっぽいけど、ヘーゲルそのものでもないだろうというのも、あって。そこらへんが、まあ、こういうもの評価するときに、こういう話もちだすとめんどくさいところもいろいろあるんだけれども…
 

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下記、もうちょっとだけ、詳しいコメント
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 たぶん、この作品の問題意識を「古い」と感じるかどうか、というのは、おそらくヘーゲル的歴史観を古いと感じるかどうか、みたいな論争と、おそらく一緒なんじゃないか、と思っています。
 わたしは、そこらへんの論争の非常に込み入った話は、正直ものすごく遠巻きにしかわかってないので、けっこう表層的な理解かもしれないけれど、わたしの理解の範囲で、キーワード散りばめる程度に、少し書いておきます。



 ヘーゲル大先生は、200年以上も前に「時代精神」とか「世界精神」って言っていたわけです。
(ここらへんは、興味ある人は、「ツァイトガイスト」とか「ヴェルトガイスト」とかでググッてみて、よくわからんと思ったら、ヘーゲルの入門書を図書館で手にとってください。わたしもあまりわかってませんので)

 で、ヘーゲルのそういう話って、ある種の歴史記述とか、巨大な「世界史」みたいな運動記述としては、確かに200年前の時点だと「イイわ、コレ」みたいなところがあったとは思うのですよ。今みても、さすが、ヘーゲル先生するどい!みたいなところは、あるとは思うんだけど。200年前は、資本主義経済とか、出版文化とか、その手のテクノロジーや制度の変化によって社会メカニズムが高速に変わっていくことを説明する概念がなかったので、その時はすごくよかったんだと思うんだけど…。
 でも、それって要するに現代の理論的にはいえば、進化ゲーム理論とか、生態論のメタファーあたりをコアにして議論されている、カスケード・メカニズムの話とか、文化の生態論的な発展プロセス記述とか、そういうもので代替可能な議論になっちゃっているんじゃないのかしら?素朴に。もう、ヘーゲル的な歴史記述とか、世界把握の仕方は限界含みな感じがありありと出てきてしまっているのでは?と、わたしは思っているわけです。…わたしは思っている…というよりか、まあ、別にそう思ってる人はわたしだけじゃなくて、ものすごくたくさんいるとは思うけど…。



 ただ、この手の議論の難しいのは、Вистерияさんが書いているリチャード・ドーキンスの「ミーム」みたいな話を持ちだされると、ミームの話って、ある種ヘーゲル的な発想を、現代の比較的新しい理論と接続しているような印象があるので、わたしが先述したような、「古い理論 vs 新しい理論」みたいな対立構造は難しくなっていて、すごく評価に困るんだけれども。
 まあ、ミームの話もわたしは話半分ぐらいしかよくわかってなくて、「ミーム」という説明形式を採用することによって見えてくるものもあるとは思うんだけど、なんか「ミーム」って概念としての使い方が、まだなんかちょっと難しいつーか、提唱してる人たちは細かいロジックを構築してるとは思うんだけど。なんか、細部の概念の彫琢の仕方がよくわかんないです。



 わたしも、この手の社会/文化生成プロセスの説明理論についてガチで興味あるわけでもないので、ヘーゲルと、アクセルロッドと、ドーキンスが全部好きです!(+サイバーパンクも好き)みたいな人がいたら…というか、それはもはや、何かの専門家みたいな人だと思うけど。そういう人にlain見せたら、なんか、面白いコメントしてくれたりするのかも?
 まあ、わたしも、これ書きながらヘーゲルとか、ひさびさに勉強しなおしてみようかな、みたいな気分にはなった。

 lain好きの人は、まあとにかくそこらへんの論争フォローしてみると、たぶん、面白いと思います。


追記:
・適当に、「serial experiments lain」「ヘーゲル」でググってみたところ
 あんま、ヘーゲルと絡めて書いてる人だれもいないのね…わたしの見方が偏ってたんだろうか…うーん

・「『攻殻機動隊 Ghost in the shell』の話のほうこそ、ヘーゲルのガイストの話じゃんか」と書いてらっしゃる方がいて、ああ、そういう見方もあるのね、と思った。
 まあ実際『攻殻機動隊 Ghost in the shell』のゴースト概念はけっこう適当なので、『lain』の批判対象として機能するのは『攻殻S.A.C』のほうだと思います。

・あと、lainの命名の由来は『引き裂かれた自己』のロナルド・デイヴィット・レインなのか…。じゃあ、何、基本的には精神分析系のメタファーでこれ作ってんのか?いや、でもサイバースペース全般の話かいてるんだから、やっぱり、精神分析=個体の話がベースなので、社会的なメカニズムの話にメタファーひろげると、それはやっぱりヘーゲルに見える…のはそんなに変じゃないと思うんだけどな…。

・あと、アンサイクロペディアの解説が一番おもしろかった。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

LAIN Complete Review: The meaning of existance

非常に難しい作品です。多分、満足いく理解など一生得られないのでしょう。
シーンが所々なんの因果関係も無くぶっ飛んだり、訳の分からんセリフを放ったりと、もうなんのこっちゃ。
またストーリー自体突然の神の出現で一気に世界観が歪みますし。

そんな難解な作品なんですが、メッセージ性は非常に強いです。
一番注目するべきはこの作品が面白いか、理解できるものかではなく自分なりに作品のメッセージを把握して実生活に生かすことだと思います。


☆物語
簡単な物語の説明をしましょう。
レイン(またはlain、玲音)は人間の自立進化を成し遂げる為に作られた実験用プログラムです。ワイヤード(現代でいうインターネット)上に完全なる自意識を具現化することができれば、我々は肉体という原始的障害を乗り越え全人類で共感という総合的意識で束ねることができるのではないか?というのが現代の自立進化です。

自立→肉体からの解放です。

レインは自我を持たないワイヤード上に存在する普遍的存在でした。それをどこかの科学者が肉体を構築し、そこに玲音という自我を入れた。

レインはワイヤード上の普遍的存在(作品上の定義では「神」となっていた)で、玲音はリアルワールド(現実世界)に存在する一個人です。

実験では玲音にワイヤードの接触させ、玲音がレインと同一化した時に起こる自我の形成という点を研究したかったのだと思われます。

しかし、本編で実際の起こったのは完全なる「神」の出現でした。

現実世界にある筈の自我の意識というものをワイヤード上に完璧に具現化できるようになると、情報操作どころか人間、歴史の改竄ができてしまうということでした。


これの理由はシューマン共鳴とミームにあります。シューマン共鳴(共振)とは地球の地表と電離層の間に存在する電磁波みたいなものです。
本編ではこの共振を電線が常に微量の音を発するということで表現していました。

ミームとは自己複製子の可能性としてかの有名なドーキンス氏が定義した一種の理論上だけで存在する総合意識のようなものです。遺伝子とは似て非なるものです。
ミームは人間の進化に関わってきたとされるもので、自然淘汰から生まれる遺伝子の適応性(ダーウィンの進化論)以外にも人間の総合的に左右する無意識下での伝達があるのではないか?という仮説から生まれました。

簡単な例を「ジーパンを履く」という風習を使って説明しましょう。有る時期に人がジーパンを履くようになった。これをミームを使って説明すると以下の様になります。

『1840年代後半のアメリカで「ジーパンを履く」というミームが突然変異により発生し、以後このミームは口コミ、商店でのディスプレイ、メディアなどを通して世界中の人々の脳あるいは心に数多くの自己「情報」の複製を送り込むことに成功した。』

この人間の無意識下で影響を及ぼすミームというものがシューマン共鳴によって引き起こされていると考えるとどうでしょうか。
そしてワイヤードというインターネットが己の自意識を具現化できるようになるというのはネット上にミームを展開できるということです。

そして、ミームはシューマン共鳴で繫がっている。つまり、自分の脳内でネットの接続できるということです。
レインが最終的に本編でしていたことは自我というものを全人類の中に偏在化させ、情報操作をするということです。
これが、レインは神だと言われる所以です。


この作品が理解しにくい理由として「世界観」というものが挙げられます。
レイン(主人公)が特別な存在であった為見る側にもその変な世界観がダイレクトに伝わってきます。

一つ簡単そうで簡単じゃない本編に関係する思考を提示してみましょう。
「あなたたちすべてが私の自己だ」
これはユングが彼の生徒に自己の概念の説明に使った言葉です。
己の自我というのは自分に服するものであり、それ以外の何ものでもないと考えるのが普通かも知れませんが、ユングは自己などという意識を超えた存在を仮定しました。

あなたは、自分の意識、意思を自分のものだとどう証明しますか?

自分が自分がここにいるなんて普段考えませんが、ちょっと考えてみると意外と面白いものです。一つの考え方として存在は「認識」によって生まれるという説があります。

例えばあなたの目の前に「机」があったとする。あなたはそれを「認識」して、机だと判断する訳なんですが、この机をもし透明にしたらあなたはそこに机が存在すると分かりませんよね?透明ってのは物理的には存在してるんですけど、人間に五感では感じられないという意味で言っています。

別の例を出しましょう。ある誰もいない森の中で松ぼっくりが落ちたとする。しかし、それを誰も見てもいなかったし、音も聞いていなかったとする。では、松ぼっくりが落ちたというのは事実なんでしょうか?「認識」されなければそれがたとえ本当に落ちたとしても「現実」という世界の中では表現されないんですね。

つまり、人間が「認識」したものが個人の世界である。そして、その「認識」されたものを人間の総合的な意志として集約させたものが「現実」です。

これは科学的には裏づけされている話でもあります。粒子力学の世界ではアトムより小さい単位を研究するにあたってある現象を観測しています。トンネル現象もその一つで、物理的に通るはずの壁をその極小の単位がすり抜けることです。他にもその単位が急に消えたり観測できなくなったりと、「認識」による観測だけでしか仮定できない現象が起こります。
有る意味「認識」によって物体の存在が肯定されるというのは間違いではないんですね。

で、このセオリーがどうこの作品と関連付けられるのかというと、色々あり過ぎてちょっと説明できないかもです・・・汗
神の存在は認識から肯定できるのか?だったり意識を具現化したときに「認識」の定義はどうなるのか?など、この作品自体オカ
ルトなので様々な方向に広げていくことができそうです。

そこら辺は視聴者の皆さんにお任せしますねw

難しくて理解出来ない作品ですが、私にとってアニメの可能性というものを教えて貰った作品でもあります。やはり、こういう実験作みたいなものを表現する媒体としてはアニメが一番優れていますね。

皆さんも一度、レインの世界に浸かっては如何でしょうか。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

62.8 19 不気味アニメランキング19位
迷家-マヨイガ-(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★☆☆ 3.0 (925)
3519人が棚に入れました
興味本位で参加した胡散臭いバスツアーで合流した若き30人の男女。
ツアーの目的地は納鳴村(ななきむら)と呼ばれる存在が定かではない幻の村。
『納鳴村』では現世でのシガラミに縛られないユートピアの様な暮らしができる……と都市伝説のように囁かれていた。
現実の世界に絶望している…退屈な日常を抜け出したい…人生をやり直したい…。
それぞれの思惑や心の傷を抱えた30人を乗せ、バスは山奥深くへと導かれてゆく……。
そして30人が行き着いたのは、朽ちつつも微かに生活の匂いが残る無人の集落だった。
30人につきつけられる『納鳴村』の真実とは?
1話たりとも見逃せない!
謎が謎を呼ぶスリリングな展開!
閉鎖された村での人間模様と主人公の心の葛藤を描く、前代未聞の群像アニメが幕を開ける!

公式サイト
http://mayoiga.tv/

公式twitter
https://twitter.com/mayoiga_project

声優・キャラクター
酒井広大、相坂優歌、八代拓、佐倉薫、鈴木達央、五十嵐裕美、清水彩香、加隈亜衣、多田このみ、長谷川芳明、三好晃祐
ネタバレ

HmFDB75691 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

第3話のレビューで、このアニメの全体像が見えたと書いたけど、間違いでもなかった

三十人という人数は、三十人もいれば変な奴がいてもおかしくないと言いたいためじゃないか。さすがに能力者は出てこないだろうが。


第1話
{netabare}
ストーリーは進んでいないので、今後の展開について考えてみる。

・リトルバスターズ
この人たち生きてるの、というやつ。バスにも乗ってるし。
パクリって言われそうだし、ガイドもいるから、これはなさそう。

・そしてだれもいなくなった
どんどん人がいなくなる展開。
これはありそう。三十人という人数は多すぎるし、声優も使いまわし。複数キャラ担当している声優さんの負担を減らすという意味でも。
モブ同然のキャラにも名前があるのは、「○○がいないぞ」と言わせるためかもしれない。
ただ、ミステリー作家のような作品をアニメの制作者が作れるか疑問。
リアルなミステリーでアニメで成功した例があるのだろうか。

・ファンタジックなミステリー
一番ありそうなのが、これ。
舞台はファンタジーで、そのなかでミステリーな出来事が起こる。アニメの得意分野。
次回は霧が出てきそうなので、携帯やスマホも使えず、外部との連絡がとれなくなるとか。
でも、ドラマや映画でもすでに作られているから新鮮味が出せるかどうか。
{/netabare}

第2話
{netabare}
ファンタジーにもミステリーにもなりそうで、はっきりしない。
とりあえず、消えそうなキャラは、菓子食ってるデブ、リア充の男女、中二病に、女にちょっかい出す男。
熊の線はなさそう。くまみこのようなしゃべる熊が出てきたら、それはそれで面白いけど。

ありそうなのが、以前にもこの村にきたことがある人が混じってるとか。
消えていく展開なら序盤でいなくなる人はあやしんだほうがいい。探偵役も疑ったほうがいい。

三十人以上いれば、一人くらい身内が心配するんじゃないかな。外部の人間も描かないとリアル感がなく、ファンタジー色が強くなる気がする。
特にバスの運転手。客乗せたバスと連絡つかなければ会社が慌てるんじゃないか。

ときおり影のようなものがサッと動く場面があったけど、あれは敵というより、村人かな。「この村に近寄っちゃいけねえ」とかいうキャラ。

村に病気が蔓延とか、事件があったとか、いろいろ話してたけど、ミスリードさせる発言にしか聞こえない。
宇宙人の狩場とかでもなさそうだな。

視聴者の思惑を外そうとするので、突飛な発想でないと展開が読めないと思う。
希望としては、アメリカのCIAがからんでくるような話にしてほしい。
監視衛星でずっと見張っているけど、この村の謎は解けないみたいな。
{/netabare}

第3話を観て、このアニメの全体像が見えた……かもしれない
{netabare}
まず、こはるんは、あやしい。

こはるんチェックで納鳴村と証言したわけだが、彼女以外は本当かどうかわからない。
ネットで流れる納鳴村の噂を利用し、ツアー客をほかの村に案内することも可能。
あらかじめ用意された場所なら、野菜が収穫できたり、カビてない布団があったりと、ご都合主義なのも、説明がつく。

こはるんの目的は、大学の研究。
罪を犯しそうな切羽詰まった人たちを一ヵ所に集めたら、どのような行動をとるか、心理学の研究。
主催者のダーハラも協力しているが、こはるんに惚れてるところから、利用されているだけ。

偶然牢屋を見つけたけど、牢屋がある村を選んだ。争いが起こるのはわかっていたから。
熊が出るという演出も、心理的に追い詰めるため。なにも起こらないと研究にならないので。

ケンカする程度の争いと思っていたが、とんでもない事件へと発展してしまった。そんな展開を予想しておく。


最後でよっつんらしき男が川を流れていた。まだわからないが、このキャラの声優は、ほかにも担当しているので、やられた可能性は高い。
ちなみに、よっつんが見たのはダーハラと予想。隠れてもらうよう協力してもらった。熊と同じで心理的に追い込むため。でも、隠れているときに、女がやってきてちょっかいを出した。

犯人は、らぶぽんと推理している。
らぶぽんは男を川に突き落とす女だし、性格にも男を嫌悪する含みがある。
ツアー客はちょっとしたことで、犯罪に手を染める者ばかりなので、今後、事件が起きても、犯人は一人とは限らない。


まとめ
・黒幕はこはるん
・目的は心理学の研究
・ユートピアの納鳴村ではく、あらかじめ用意された村
・よっつんをやったのは、らぶぽん
・今後も事件が続いても、そのつど犯人は違う
{/netabare}

第4話で、前回指摘したことをセリフで言われてちょっと驚いた
{netabare}
こはるんがあやしいと視聴者から思われるのも織り込み済みなんだろう。
そう考えると、ミスリードさせられているかも。

【現時点での予想】
こはるんは黒幕ではあるが、舞台を用意しただけ。ツアー客は次々消えていくが、事故や事件で、アニメファンが期待するような不思議はない。

モヤモヤする感じや、文学にヒントを得ているところとか、グラスリップを思い出す。今期のワーストアニメにならなければいいが……。

今回気になったところを、独自に解釈してみる。
よっつんが消えたのはダーハラの指示と考えている(理由は前回述べたので省略)。
ダーハラが慌てた様子でないところからも、そんな気がする。
ただ、川流れまで含まれていない。
体が浮いているので演技かもしれないが、らぶぽんが犯人という推理も捨てがたい。

ジャックは牢屋を自分で開けたよりも、開けてもらったほうが話は面白くなる。
鍵を持っていたのは、ヴァルカナ? 開けてやる代わりに下山したやつらを見てこいとか。

獣のような声はタイマーセットしたスピーカー。置き場所はボロボロな小屋。
用意したのは、もちろん、こはるん。

こはるんが地図を渡したのは、線路を見つけさせるため。
こはるんは村のことを調べていたので、その土地についてもわかっているはず。
素人が歩けばどうなることも織り込み済みで地図を渡した。

運転手の娘がどう関わってくるのかわからない。
ツアー客のなかに娘が紛れていて復讐するとか、ミステリーではよくあるが、このアニメは群像劇なのでひとつのエピソードととらえたほうがいいかも。

トンネルのなかのデカい光宗?について考えてみる。
まず、「これって、光宗に似てない、きゃはは」みたいな物ではない。
トンネルではなく、運搬してきたものを格納した場所ではないか。それが山積みになって光宗の顔に見えた……。村で忌まわしきことが起きていたら、骨だろう。

次回、ユウナ、ユウネ、ユウノの三人になにか起きそう。
被害者になりそうなのが、ユウネ。このキャラの声優が、ほかのキャラも担当しているから。


まとめ
・川流れは演技?
・獣の咆哮はスピーカー、置き場所はボロボロな小屋
・地図を渡したのは、線路に誘導し、そのさきにあるものを見せるため
・運転手の娘はミスリードか、ひとつのエピソードなのか、不明
・デカい光宗ではなく、山積みになった骨
・次回、ユウネがあぶない
{/netabare}

第5話の最後のシーンは、それなりに説明できる
{netabare}
今回も迷推理を披露してみる。
まずは、不可思議なものを見たキャラについて。

・運転手……娘
・光宗……人の顔と鳥が合体したようなもの?
・マイマイ……デカい光宗?

彼らが見たのは、失ったもの、ではなかろうか。
ただし、見るときにはきっかけのようなものがある。

運転手がわかりやすい。
運転手はまず祠のようなものを見ている。祠が過去の事故とつながるもので、そこから娘を連想した。

光宗は、煙。過去に火事があり、煙が失ったものを連想させた。鳥と人の顔にも見えるので、両方かもしれない。(ちなみに、真咲は見えてないはず)

この解釈だと、マイマイは光宗を失ったことになる。キャラ説明を考慮すれば、失恋だろう。光宗がマイマイを振ったようには見えないので、光宗の兄か弟。

以上のことをまとめると、

・運転手……祠→娘
・光宗……煙→人の顔と鳥が合体したようなもの(兄か弟&ペットの鳥?)
・マイマイ……トンネルにあったもの(不明)→デカい光宗(失恋した相手、光宗の兄か弟?)

ファンタジーでなければ、幻覚を起こすガスが村や周辺に漂っていると考えられる。村人がいない理由にもなる。ただ、オチとしては面白くない。


黒幕はいると思う。
ただし、畑の手入れをしたり、お布団を干したりする黒幕だ。
ダーハラは納鳴村を用意してこはるんを喜ばすという動機もあるが、主催者が黒幕だと、ひねりがない。それに、缶詰や寝袋を置いてそう。
ほかの男子も似たりよったりなので、黒幕は女性が有力。候補を三人挙げてみた。

・こはるん
最有力だが、ときおり、納鳴村を疑う表情も見せている。
メールの有無で白黒が決まるが、なぜプリントアウトしなかったのかという疑問は残る。

・真咲
光宗を助けるとき、牢屋に燃え移らないように火をつけた、と言ってる。女子高生がそんなことできるか? と疑問に思った。どこに火をつければ、どこに煙が流れるかわかっていたのではないか。
さらに、こんな推理もできる。

下山を止めたのは、漂っているガスにそれとなく気づいたから。
光宗にこれを伝えたかった。でも、光宗も正気でないため、話せずに終わる。

・なぁな
野菜畑を最初に見つけた。光宗に鍬を渡したのは、鍬で襲われた人がいたら容疑を光宗に向けるため。(ちょっとムリクリだけど……)

あとは、お風呂に入りたーい、という女性キャラがいないのは不自然。


まとめ
・過去に事故や事件で、なにかを失っている(エピソードを披露する尺がないので全員ではないだろう)
・あることがきっかけで、過去の記憶をよみがえらせ、巨大な○○という形で見ている
・マイマイは光宗の兄か弟に告白していた
・幻覚を見ているのは、あたりに漂うガスのせい
・黒幕は女性が有力
・お風呂は入ったほうがいい
{/netabare}

第6話の最後のあれで、あのキャラの過去を考えてみた
{netabare}
まず、幻覚を見たのは、地下牢にいた連中だとわかる。
幻覚の大きさは場所によって変わり、心に抱えている事柄の大きさとは関係ないと言えそう。

影響度:場所(幻覚の種類)
大:地下牢、トンネル(巨大な物体)
中:祠の周辺、よっつんが真咲を連れていった所(人)
小:村、村の周辺(獣の咆哮?)

例えば、マイマイが祠の近くにいたら、デカい光宗ではなく、標準サイズの光宗を見るだろう。

まえに、服をボロボロにさせた真咲の場面があったが、あれは坂を転げるほど驚いた人物を見たからだと思う。それはいるはずのない人――。

山で行方不明になった少女、あいだまさき。

あいだまさきを真咲の友人と想定して、真咲の過去エピソードを考えてみた。タイトルは、崖下暗し。

不思議ちゃんの真咲は、友人を誘って、納鳴村の噂がある村に向かった。
だが、途中でこわくなり、下山組が通った坂道を駆け降りる。"地図にない崖"のまえで友人は止まったが真咲は勢いがつきすぎて、ドンッ……。

さらにこんな予想もできる。
過去を知られた真咲は、よっつんもおまえがやったんだろ、と追求され村を飛び出す。崖から落ちそうになり、あとを追いかけた光宗に助けられる……OPと同じシーンが展開。「手を伸ばすんだ、真咲さーん」といったセリフもあるだろう。

過失としても、真咲が救われない気がするから、真咲の思い込みで落ち着くかな。それに気づくのが光宗。光宗は、自分が光宗と思い込んでいる時宗と予想しているから。
真咲もあいだまさきと思い込んでいるのかも。それなら二人に共通点ができる。

理由はわからないが、野菜畑や布団も真咲だろう。ちょくちょくきていたから、幻覚も見ていたはず。
幻覚を見続けた真咲は、自分が真咲なのかあいだまさきなのかわからなくなった……。
OPの蝶は、胡蝶の夢だろうから、じゅうぶん考えられる。


まとめ
・幻覚は場所によって見える大きさが違う(原因はガスなのかわからないが、食べ物は否定された)
・あいだまさきは真咲の友人で、友人の名前をハンドルネームにしている
・友人を突き落としたと、真咲は思い込んでいる? もしくは、自分をあいだまさきと思い込んでいる
・光宗の正体は、自分を光宗と思い込んでいる時宗
・黒幕は真咲が有力だが、動機は不明
・いまの真咲は、あいだまさき?
{/netabare}

迷推理番外編 こはるんをチェックしてみる(第1話~第6話まで)
{netabare}
今回は、メールについて考えてみる。
なぜ、メールをプリントアウトして持ってきていないのか?
「PCが使えないから」と言い訳しているが、そもそもこの言い訳もおかしい。メール一通にPCは必要ない。

アニメだからこの程度のことはスルーするのだろう。そう思って、深くは追求しなかった。
だが、第6話において、こはるんは分厚い資料を持参している。
絶対おかしいだろッ。

分厚い資料は持ってきてるのに、メール一通持ってこれないなんて。納鳴村の情報が書かれたメールなら、プリントアウトして、その資料に挟み込むはず。
一度なら許したが、二度目となると見逃せない。
だから、こう結論づけた。

こはるんは、メールを受け取っていない。

このアニメの始まりともいえるメールを否定することで、違う角度から考えることもできるだろう。

さて、メールがなければ、情報の出所は、こはるん自身となる。
なぜ、偽ってまで、納鳴村にくる必要があったのか。それは、新聞記事から推理できる。

行方不明になった妹、あいだまさきを探すため。

あいだまさきは、納鳴村に行くと言って行方不明になった。こはるんが納鳴村を調べるようになったのも、妹を探すためだった……。

こはるんの途中参加の謎も解けた。こはるんの実家が近くにあるから。謎でもなんでもなかった(笑)

ただ、ツアー客を募る必要はない。ダーハラが一枚かんでいるのだろうか。納鳴村に興味を持っている連中なので、妹のことを知る者がいるかもしれないから、「妹探しツアーをしよう」とか提案したか?


今回のまとめ

・こはるんはメールを受け取っていない
・目的は妹、あいだまさきを探すため
・途中参加は、実家が近くにあるから
・たぶん、こはるんの名前は、あいだこはる
{/netabare}

番外編 野菜畑、布団について迷推理してみた
{netabare}
なぜ、納鳴村の入り口に、立ち入り禁止の札がないのか?

幻覚が原因で村人がいなくなった可能性は高い。そんな危険な村なら、立ち入り禁止にするはず。
しかし、危険と言われても、入るやつは入る。だから、熊の仕掛けを施した。

熊の足跡、爪痕、咆哮は、立ち入り禁止の札代わりではなかろうか。
熊が出ると思わせれば、近づく人はいない。
その一方で、ちょくちょく村に入って、畑を耕す人もいる。
どちらも、元村人とみるのが妥当。この元村人をAとしておく。

もし、Aがツアーを知ったら村を心配するはず。Aはツアー客に対して好意を持たず、一人でいることが多い。
該当しそうなのが、リオン、ジャック、運転手。
野菜畑、布団、熊の仕掛けをセットで考えた場合、男が妥当。

よっつんを探すとき、川にいなかったのが、よっつん、ジャック、運転手。よっつんは行方不明として、ジャックは牢屋のなか。獣の咆哮がスピーカーからの音声なら、運転手しかできない。

さらに、ほかの人の目を気にせずに牢屋の鍵をあけるなら、この時期しかない。
ジャックが自分であけてなければ、運転手になる。
下山組が聞いた咆哮は、ジャックがしたものだろう。運転手から話を聞いて協力した。ジャックが戻ってきたら性格が丸くなっていると思う。

畑を耕し、布団を干し、熊の仕掛けを施した元村人Aは、運転手と考えられる。娘と過ごした村なら、ちょくちょく訪れるだろうし、荒らされないようにするはず。幻覚の原因も知っている可能性が高い。
そして、村を訪れる一番の理由は、娘に会えるから。娘の幻を見たときさほど驚いていないのも、初めてではないから。
{/netabare}


第7話で、なぜ、あの子があそこを通れるのか、考えてみた
{netabare}
1.これまでの推理
・光宗は、自分を光宗と思い込んでいる時宗
・真咲は、あいだまさきを崖から落とした(と思い込んでいる?)、自分をあいだまさきと思い込んでいる
・あいだまさきは、こはるんの妹


2.これからの展開
光宗が自分を時宗と認め、同じ境遇の真咲を救う。ラストは崖の上でこはるんが真咲を追求し、崖から落ちそうになった真咲を時宗が救う、と予想している。


3.光宗について
光宗は時宗という推理は苦しくなってきたが、それでも説明はできる。

時宗が振り返ったのは、光宗が塀を昇ったからではないか?
ぬいぐるみは光宗を意味する。光宗が光宗の幻覚を見るわけがない。
幻覚が殴ってきたのは、時宗と認めないからではないか?
颯人を殴ったのは、光宗より時宗の性格を表している。
颯人は幼いころから二人を知っていて、違いを見抜ける人物ではないか?

以上のことから、光宗が時宗である可能性は残っている。


4.幻覚について
幻覚を悪いものと決めつけないことだ。
見るのも嫌なものであるが、悪い一面が具現化しているだけ。
そういう悪い一面は戦うのではなく、受け入れるのがアニメとしては正しい。
向き合うのはいいが、戦ってはいけない。
つまり、真咲の言っていることは、誤り。
次回、なにを言っても、疑うべき。


5.トンネルで真咲が平気なわけ
真咲と光宗の境遇は似ていると思っている。

時宗は自分のせいで、光宗が塀から落ちたので、光宗になった。
真咲は自分のせいで、あいだまさきが崖から落ちたので、あいだまさきになった。

あいだまさきなら幻覚を見ない。重い過去を抱えているのは真咲で、あいだまさきではないから。


6.真咲について
真咲は転ぶたびに、真咲になったり、あいだまさきになったりする?

村に到着したときは、真咲(不思議ちゃん)だから影の幻覚を見た。
坂を転び、あいだまさきに変わる。
あいだまさきなので、幻覚を見ない。
木の根につまずき、真咲(不思議ちゃん)に戻る。
トンネルに入る。真咲だから幻覚を見る。でも転んで、あいだまさきになり、幻覚は消えた?


まとめ

・光宗は、やっぱり時宗
・真咲も、あいだまさき
・幻覚は悪い一面が具現化したもの
・次回、真咲がなにを言っても疑ったほうがいい
・真咲が幻覚を見ないのは、あいだまさきになりきっているから
・転ぶたびに、真咲になったり、あいだまさきになったりしている?
{/netabare}

迷推理の改訂版
{netabare}
なぜ、真咲はツアーに参加したのか?
推理した通りの悲劇があったなら、村に行きたくないはず。なのに、村にきて、光宗に屈託のない笑顔まで向けている。
この点で行き詰っていたが、答えが出た。

幻覚を見るような過去があいだまさきにはあり、真咲にはない。
これを前提として、あいだまさきが行方不明になった日を推理してみた。

あいだまさきには消し去りたい過去(たぶん失恋。失恋でも幻覚は見えるので。マイマイのあれは伏線だったかも)があり、それを友人の真咲に相談した。
不思議ちゃんの真咲は、「納鳴村のトンネルをくぐると、元の世界に戻れるんだよ」と教え、二人は納鳴村に行くことになった。

あいだまさきは、姉のこはるんに電話し、「これから納鳴村のトンネルに行く」と告げる。
農道で目撃されたのは、あいだまさき一人だけ、そのあと真咲と合流。
二人は納鳴村のトンネルに入る。

そこで、あいだまさきは巨大な幻覚を見て、トンネルを飛び出す。幻覚も追いかけてきたかも。幻覚を見ない真咲はあとを追いかける。あいだまさきは地図にない崖で立ち止まったが、勢いがついてしまった真咲はドン……。

目の前にいた友人が消え、混乱する真咲。このときの心理状態は、時宗と同じ。
そして、一人で下山。

なぜ、新聞記事に、真咲の証言が記されていないのか?
真咲のなかでは、あいだまさきは無事に下山しているから。

あいださまきが生きていると思い込んでいる限り、真咲は以前のままの真咲でいられる。
だから、幻は見ないし、ツアーにも参加し、屈託のない笑顔も向ける。光宗をトンネルに導いたのも、あいだまさきのときと同じ気持ちから。つまり、とてもいい子ってことになる。

だが、こはるんに真実を突き付けられた瞬間、真咲はすべてを思い出す。超巨大な幻覚が出現し、逃げる真咲、追いかける時宗。ふたたび崖で同じことが……。「手を伸ばすんだ、真咲(本名に変わってるかも)さーん」という、クライマックスになるのかな。

まえは真咲が何度もトンネルに入って、あいだまさきになりきるまでチャレンジしたと考えていた。
トンネルはミスリードかも。「元の世界……」と言っているのも、真咲の占いかもしれないので、真剣に考えないほうがいいかも。
ただ、真咲のなかにあいだまさきが存在するってのは、あるかな。

あと、黒い影は幻覚。真咲の記憶は完全には改ざんできず、ほころびがあるんだと思う。
{/netabare}

黒幕についての考察
{netabare}
黒幕はいない。
野菜畑、布団、熊の仕掛けは、運転手で、村を守るため。ジャックを逃がしたのも運転手。
たぶん、麦わら帽子をかぶった娘と一緒に畑の手入れをする回想シーンがあると思う。

メールは存在しない。
存在したとしても、ツアーが組まれるとはかぎらない。
つまり、メールの送り主=黒幕が成立しない。

ただし、ダーハラが送った可能性はある。専門が心理学で集団心理を研究していたとか。その場合でも、こはるんから相談を受けないとツアーは企画されないはず。
{/netabare}

トンネルについての考察
{netabare}
トンネルは完成しているが、線路は敷かれていない。地面がデコボコだった。線路を敷こうとしたら幻覚が現れ、工事は中止になったと考えられる。物理攻撃もあるので、ガス(とはかぎらないが)の濃度が、ほかとくらべて高いと言える。

影響度:場所(幻覚の種類)
最大:真咲トンネル(巨大な物体が攻撃してくる)
大:地下牢、下山組トンネル(巨大な物体が現れる)
中:祠の周辺、よっつんが真咲を連れていった所(人)
小:村、村の周辺(獣の咆哮? 聞く人によって異なる)


トンネルは試練の場所ではない。
真咲が言っている「元の世界……」は、「横断歩道の白いところを歩くと風邪ひかない」と同じで、真剣に考えないほうがいい。("謎に迫る"に書いたことは誤り)

不思議ちゃんだから光宗をトンネルに導いただけ。素直でいい子だから幻覚を見るような過去がない。真咲の性格がものの見事にあてはまる。

幻覚を消すのは、具現化したものを自分自身の一部と認めること。
村から出るには、元村人の運転手に聞くのが一番。

真咲のセリフとトンネルは、切り離して考えたほうがいい。

あと、光宗と真咲は月に向かって歩いていたが、トンネルに入るときは、影が前にきていた。つまり月は後ろ。どういう道順で歩いた? 伏線だとややこしいので、作画ミスとしておく。
{/netabare}

【第7話までの考察 まとめ】
{netabare}
・光宗……光宗になりきっている時宗
・真咲……真咲になったり、あいだまさきになったりする、OPの蝶(胡蝶の夢)そのもの。どちらでもない"間(あいだ)"にいる
 幻覚を見ないのは、生まれてからこれまでにひどい目にあったことがないから
 あいだまさきのことを思い出したとたん、幻覚を見る
・こはるん……行方不明の妹、あいだまさきを見つけるため、納鳴村を調べている
 途中参加したのは、妹の家(実家)が近くにあるから
・あいだまさき……真咲の友人でこはるんの妹
 地図にない崖で足を滑らせ落下。真咲は助けようとしたが手を離してしまった

・颯人……光宗が時宗と知っている。「おれの言う通りに……」は光宗が真実に気づかないよう誘導した
・ダーハラ……ツアー客を研究対象にして集団心理の実験をしている可能性はある
・運転手……元村人。幻でも娘に会えるので、村を頻繁に訪れている。村から出る方法も知っている
・ジャック……殴った運転手(大人)に牢屋から出してもらい、改心していると思われる

・メール……存在しない。こはるんの目的は妹探しで、行方不明になった場所も特定できている
・野菜畑、布団……運転手。むかし、娘と一緒に野菜を育てていた
・熊の仕掛け……運転手。村を守るため。立ち入り禁止の札代わり
・牢屋の鍵……運転手。時期はよっつんを探しに、みんなが出払ったとき
・納鳴村……十年前、トンネル工事の最中にガスが噴出
 ガスは幻覚を見せるもので、村にも広がっていった。村人は去っていき、一年前にはだれもいなくなった
・幻覚……自分の悪い部分が具現化されたものと認め、受け入れると消える。戦ってはダメ
・トンネル……試練の場所ではない。真咲は不思議ちゃんだから、「元の世界」に戻れると信じている
{/netabare}


第8話も、説明するのは可能だけど、最後のあれは読めなかったな(新たな仮説をたててみた)
{netabare}
真咲とあいだまさきは、二人で納鳴村に行き、あいだまさきは崖から足を滑らせて落下。その原因に真咲が関係している。

迷推理は、これを前提にしているので、また書いておく。

新たに仮説をたててみた。それは……。

不思議ちゃんは、あいだまさきのほうだった。

これなら、真咲の記憶の改ざんは二つで済む。
レイジと崖から落ちる真咲を、あいだまさきに変えれば、迷推理の前提と同じになる。

回想シーンが本当にあったならば、落下の原因は真咲にないと思われる。納鳴村に誘ったのも、あいだまさきのほうだろう。ただし、「嘘じゃね」とか言われる可能性はある。

あいだまさきの人物像を考えてみた。

・納鳴村に興味がある不思議ちゃん
・男っぽい性格で、活発な女の子
・幻覚を見るような過去がある。たぶん失恋で相手はレイジ。好きな人なので、真咲にいつも話していた

真咲の人物像も変わってくる。(回想シーンに出てくる真咲が本来の真咲)

・おとなしく控えめ
・弁当を作ってくるから、料理も得意
・裕福な家で育ち、あまり出かけたことがない(川辺の会話から推測)
・あいだまさきのような女の子にあこがれている(そんな気がした)
・成績優秀(光宗を牢屋から救ったところから)

あいだまさきが崖から落ちるのを目にして、真咲は混乱し、あいだまさきになりかわった。そうすることで、あいだまさきを無事に下山させたと記憶を改ざんさせる。
山で落とした資料は、のちに発見され、姉のこはるんに渡された。


ツアーに参加するまで一年の時が流れたとしたくなる。
だが、真咲は17歳、あいだまさきは16歳というだけで、行方不明から一年後というわけではない。

新聞記事のせいで、むかしのように思えるが、行方不明になってから、それほど時は経っていないのではないか。一、二週間といったところか。
短い期間なら、真咲があいだまさきとして暮らしても、それほど支障はないはず。

そして、真咲(あいだまさき)は、ツアーを知り、"納鳴村に興味があったから"申し込んだ。
"自分の名前"をハンドルネームにして、ツアーに参加した……。


まとめ

・不思議ちゃんは、あいだまさきのほうだった
・あいだまさきが崖から落ちた原因に、真咲はかかわっていない
・資料は山で落としたので、山で行方不明の記事になり、姉のこはるんに渡った
・行方不明からツアー募集までは、二週間程度
・真咲(あいだまさき)は、自分の名前をハンドルネームにしていた
{/netabare}

そのほかの考察
{netabare}
・なぜ、こはるんは、真咲を擁護するほうに変わった?
いとこのレイジの名前が出てきたから

・氷結の目的は?
有名なミステリーのパクリなので、深く考えないほうがいい。
ハンネが判事で、いなくなってから復活。ミステリーファンならすぐにわかる。黒幕はいない

・二冊の資料について
二人の行方不明者と同様に、資料が二冊あるのも不自然。
新聞記事には、農道で最後に目撃され、山で行方不明とある。

あいだまさきの私物(資料)が山に落ちていたから、このような記事になったと考えられる。

落ちていた資料は親族に渡された。
こはるんと同じものなら、あいだまさきはこはるんの妹と推理できる。
妹が行方不明のとき、のんびり納鳴村を探したりしない。
だから、ツアーの目的は、妹探しになる。

・真咲が、真咲になったり、あいだまさきになったりした時期
あいだまさきが崖から落ち、それが心の傷になり、真咲はあいだまさきになる。
あいだまさきになることで、心の傷も隠せた。

不思議ちゃんのあいだまさきでツアーを申し込む。ハンドルネームは自分の名前の真咲。

村でよっつんに連れていかれ、たぶん、よっつんが崖から落ちた。
心の傷に触れ、フラッシュバック。
あいだまさきから、レイジを探す真咲に変わる。

幻覚から逃げる光宗を見て、フラッシュバック。
真咲から、不思議ちゃんのあいだまさきに変わる。

トンネルを抜けたさきに、心の傷に触れるものがあった?
あいだまさきから、レイジを探す真咲に変わる。

リオンが「光宗、いる?」と訊いているとき、リオンの真後ろにいるのが真咲。
もし、まえにいたら、「真咲、いる?」と言われただろう。
{/netabare}

【第8話の考察 まとめ】
{netabare}
・真咲……おとなしく控えめで、料理は得意。裕福な家のお嬢様で成績優秀
・あいだまさき……男っぽい性格で活発な女の子、不思議ちゃんで、たぶん失恋中

・真咲の回想は記憶の改ざん。レイジはあいだまさきで、崖から落ちたのもあいだまさき
・崖から落ちたあいだまさきは、車の老人、神山に助けられ病院に運ばれた
・真咲の心の傷は、あいだまさきを助けられなかったこと
・真咲はあいだまさきを探しつづけ、トンネルを見つけた
・トンネルで自分自身と戦った真咲は、「元の世界」を手に入れた
・「元の世界」は、あいだまさきが無事な世界→自分自身があいだまさきになった

・光宗が崖から落ちたのは、真咲のフラッシュバック
・心の傷を思い出す場面(手を引っ張られて逃げる)にあうと、フラッシュバックは起きる
・フラッシュバックのたびに、真咲になったりあいだまさきになったりする(だから言うことも変わる)
・フラッシュバックは三回(よっつんのとき、光宗と逃げるとき、トンネルに入ったとき)あった

・資料は山で落とし、姉のこはるんに渡った
・こはるんチェックは、妹の資料を見ながら行われた
・行方不明から二週間後くらいにツアー募集がネットにのる
・ツアーは妹探しが目的
・レイジはこはるんのいとこ。彼の名前が出たので、真咲を信じるようになった

・氷結は有名なミステリーのパクリ
{/netabare}


第9話で、わかったこともあるけど、謎も増えた……辻褄合わせが面白いからいいけどさ
{netabare}
まず、重要なところから。

レイジは、レイジと思い込んでいるあいだまさき(男装女子)。

あいだまさきにとっての心の傷は、レイジに振られたことだろう。

あいだまさきに戻ったら、女性声優さんに変わる。
同じキャラクターで声優が変わるなどありそうにないが、”銃皇無尽のファフニール”で見たことがある。
このアニメを作っていたのが、ディオメディア。迷家-マヨイガ-を作っている会社だ。
だから、じゅうぶん可能性はある。


・トンネル
入り口は似ているので、真咲がダメと言ったトンネルだろう。
途中から舗装されているので、納鳴村に向かって工事をしていたのを、やめたことになる。

村は平屋ばかりだったので、労働者の一時的な住居か。
霧が濃度の高いガスなら、発生源があるのかも。
ただ、外よりも、トンネルのなかのほうが危険な気がする。


・岩に書かれた文字
ナナキの"キ"が鏡文字になっている。左利きが書いたと考えられる。
左手でジャックを殴っていたので、レイジ(あいだまさき)で間違いなさそう。

真咲の回想になかったシーンを考えてみた。
帰宅する途中、トンネルを見つけ、あいだまさきは、真咲にこう言った。

「トンネルを抜けると元の世界に戻れる」と。

そして、今度来たときのために、自分あてのメッセージを岩に残した……。

以上のことから、あいだまさきは、

「小学生かッ!」

と突っ込みたくなる女の子だとわかる。
岩に文字を書くのも、子供じみた遊びだと言える。

光宗に教えた「元の世界……」は、あいだまさきの受け売り。
岩に書かれた「この先」はトンネルであって、村ではない。
真咲が向かったのは、レイジ(あいだまさき)と行ったところではなかろうか。

真咲が三度目のフラッシュバックを起こしたのは、岩のメッセージを見たから。
不思議ちゃんから、レイジを探す真咲に変わり、現在に至る。
たぶん、メッセージを書いたあと、あいだまさきは崖から落ちたのだろう。


【まとめ】
・レイジは、レイジになりきっているあいだまさき(男装女子)
・ナナキの"キ"は鏡文字なので、書いた人物は左利き
・岩に文字を書いたのは、あいだまさき
・「元の世界」について教えたのも、あいだまさき
・あいだまさきは、子供じみた遊びが好きな女の子
・岩のメッセージで、真咲に三度目のフラッシュバックが起きた
・岩に書いたあと、あいだまさきは崖から落ちた

・真咲、こはるん、レイジ(あいだまさき)が合流すれば、ほとんどの謎は解けると思う
{/netabare}

岩に文字を書いた人物についての考察
{netabare}
まず、真咲≠あいだまさきについて、あらためて考えてみる。
行方不明者がツアーに参加するのは無理がある。
行方不明なら警察にも顔写真が配られたはず。人口の少ない地域だから、すぐに見つかるはず。
よって、真咲は行方不明になっていない。

真咲は、あいだまさきではない。
岩のメッセージは、あいだまさきにあてて書かれたことになる。

真咲の回想ではレイジの顔が見えない、つまり、会ったことがない。話を聞いて知っている程度。
嘘をつくかどうかは、親しくならないとわからない。
あいだまさきの名前をハンネにしたのが偶然でなければ、真咲とあいだまさきは親しい間柄。

「レイジは嘘を言わない」は、「あいだまさきは嘘を言わない」に変わる。
岩に文字を書いたのも、あいだまさきになる。

岩のメッセージは、あいだまさきが自分自身にあてて書いたことになる。

あいだまさきをレイジに変えたのは、真咲に心の傷があり、記憶の改ざんが起きたから。
心の傷は、あいだまさきが崖から落ちたこと。

レイジは、あいだまさきのいとこで、彼女の好きな人だった。だから、真咲によく話していた。
何度も聞かされて、真咲も興味を持った。会ったこともないが、真咲にとっても特別な人になり、回想のなかに出てきた。
{/netabare}

涙のわけ
{netabare}
女性が"まさき"という名前だったら、男性に間違われたり、馬鹿にされたりもしただろう。
だから、

あいだまさきは、自分の名前にコンプレックスを持っていた。

真咲はその名前を褒めた。
そして、あいだまさきから、「まさきって名前が似合ってるって……」と、光宗と同じことを言われた。
だから、涙が出た。

ただし、いまは本来の真咲ではないので、無意識に出た涙かもしれない。
{/netabare}

髪飾りについての考察
{netabare}
髪飾り(リボン)が落ちたのは、幻覚に驚いて逃げたから。

封じ込めた記憶(あいだまさきが崖から落ちた)がよみがえれば、真咲も幻覚を見ると推理している。
光宗が髪飾りを見つけ、真咲の向かったさきに行くと崖があった。

そこが、あいだまさきが落ちた崖で、真咲はすべてを思い出した。

真咲のまえに巨大な幻覚が現れ、驚いて引き返す。
幻覚は真咲を追いかけてきただろう。そして、髪飾りを落とした(たぶん、ころんだ)。

光宗と合流しなかったのは、光宗に"悪い人ではない"と思われているから。

行かないほうがいいと言ったのも、記憶がよみがえるのを無意識に感じたから。
だけど、レイジと訪れた場所(真咲が探していた場所)を見つけたので、行ってしまった。


ヒロインにしては、地味な髪飾りだと思わなかっただろうか。
髪飾りは蝶(胡蝶の夢)を表し、それが外れた。
つまり、真咲であったり、あいだまさきであったりする状態から、本来の真咲に戻ったことを意味している。
{/netabare}

真咲とあいだまさきについての考察(ツアーに参加する前)
{netabare}
・真咲……おとなしく控えめで、料理は得意。裕福な家のお嬢様で成績優秀
・あいだまさき……男っぽい性格で人が争っていると割って入る。左利きで不思議ちゃん

真咲とあいだまさきは二人で納鳴村を探しに行った。
誘ったのはあいだまさきで、目的はいとこのレイジに振られたことを忘れるため。
真咲の回想のレイジは、あいだまさきに置き換える。

真咲が帰宅を促したあと、二人はトンネルにたどり着く。
あいだまさきはトンネルを知っていて、真咲に「元の世界」について教えた。
トンネルには入らずに、今度来たときのために、自分あてのメッセージを岩に残した。

帰宅途中、あいだまさきが幻覚を見て(失恋が心の傷)、真咲の手をつかんで逃げる。
光宗がペンギンを追った崖に向かう。

あいだまさきは崖の前でとまり、勢いがついた真咲は彼女の背中をドン(もちろん過失)……。
これが、真咲の心の傷。

真咲の回想で手を伸ばすシーンがあった。あのようになるには、二人が近くにいないといけない。
だから、ぶつかった真咲があわてて手を伸ばしたことになる。

背中ドンは真咲が事情聴取を受けるので退けたが、いまはレイジ、あいだまさきがいる。
あいだまさきが抱きしめれば、真咲が救われる百合展開にもなる。


崖から落ちたあとの二人の行動を推理してみる。
高さはあまりなく、光宗も簡単に降りられた。真咲にも可能だろう。
だけど、霧が立ち込めて崖下が見えなかった。
真咲にとっては、底が見えないほどの崖に思えた。そして、自分のしたことに恐怖する。

友人を放って下山するわけがないので、真咲に記憶の改ざんが起きたと考えられる。
時期は、二通り考えられる。

1.その場で一瞬にして
2.崖下に降りる方法を探しているとき

1の場合、混乱が頂点に達し、自分自身をあいだまさきと思い込む。
光宗が塀から落ちたときの時宗(推理)の心理と似ているので、二人に共通点ができる。

2の場合、真咲はトンネルにたどり着き、あいだまさきから教えてもらった「元の世界」を思い出す。
このときの真咲は藁にもすがる思いなので、入っていった。
心の傷があるので、幻覚を見る。だけど、「元の世界(あいだまさきが無事な世界)」に戻りたいので、何度もチャレンジする。そして、自分自身を消し去り、あいだまさきになりきる。

どちらの場合でも、あいだまさきになりきることで、無事に下山したと記憶を改ざんする。
あいだまさきは、車の老人、神山に助けてもらった可能性が高い。
{/netabare}

真咲とこはるんについての考察(ツアー参加中)
{netabare}
こはるん……独り暮らしをして彼氏はいない。あいだまさきは妹で、レイジはいとこ

あいだまさきが崖から落ちて数日後、行方不明の記事が出る。
こはるんは妹を見つけるため、納鳴村についての情報をかき集める。
ダーハラにツアーを企画させたのも、妹を探すため。

あいだまさきとして暮らしていた真咲は、納鳴村のツアーを知り、興味があるから自分の名前をハンドルネームにして参加。

実家に戻っていたこはるんは、山で見つかった妹の資料を持って、ツアー客と合流する。
ツアー客のなかに妹と同じ名前の真咲がいて、彼女を疑う。
村にたどり着き、妹の資料を見ながらこはるんチェック。納鳴村だと宣言する。
メールは存在しない。目的は妹探しで、最後に目撃された場所もわかっているから。

真咲はよっつんに手を引っ張られ、ツアー客と離れる。
たぶん、よっつんが崖から落ちるのを目撃した。

心の傷に触れ、最初のフラッシュバックが起きる。
本来の真咲に戻る。ただし、行方不明になったレイジを探していると記憶は改ざんされている。
服がボロボロになったのは、崖下に降りて助けようとしたためか。

牢屋に閉じ込められた光宗を機転を利かせて助け出す。
幻覚を見て逃げる光宗に手を引っ張られる。

真咲にデジャブが起こる。以前にも、似たようなことがあったと……。
二度目のフラッシュバックが起きて、不思議ちゃんのあいだまさきになる。

光宗の過去を知り、彼を救ってやりたくて、トンネルに導いた。
真咲は記憶を封じ込めているので、幻覚は見ない。

トンネルを抜けたさきに、岩のメッセージを見て、三度目のフラッシュバック。
ふたたび、レイジを探す真咲に戻る。
トンネルのさきにはあいだまさきが落ちた崖がある。
記憶がよみがえるのを感じて、真咲は引き返した。

こはるんが"真咲退治"に賛同したのは、真咲から妹の情報を得られると思ったから。
いとこのレイジの名前が出てきて、こはるんは真咲を信じるようになる。

以降は、”髪飾りについての考察”に記した。
{/netabare}

【第9話の考察 まとめ】
{netabare}
・レイジは、レイジになりきっているあいだまさき(男装女子)
・あいだまさきは、レイジに振られた
・あいだまさきは、男っぽい名前にコンプレックスを持っていた。
 その名前を褒めたのが真咲→涙のわけ

・岩に書かれたナナキの"キ"は鏡文字なので、書いた人物は左利き
・岩に文字を書いたのは、あいだまさき
・「元の世界」について教えたのも、あいだまさき
・「この先」はトンネルであって、村ではない
・岩に書いたあと、あいだまさきは崖から落ちた
・岩のメッセージで、真咲に三度目のフラッシュバックが起きた

・"あの人"は、運転手(土地勘があり、牢屋のカギをあける機会があった)

・真咲が離れたのは、レイジと訪れた場所(探していた場所)を見つけたから
・光宗が降りていった崖が、あいだまさきが落ちた崖
・崖を見て、真咲はすべてを思い出し、幻覚が現れた
・髪飾り(リボン)が落ちたのは、幻覚を見て驚いたから
・髪飾りは蝶(胡蝶の夢)を表し、それが外れた→本来の真咲に戻ったことを意味する
{/netabare}


第10話は、いままでの推理で、それなりに説明できる
{netabare}
残り数話ですべての謎を解き明かせるのか? って思った。
最終回だけ見ればわかるアニメってたまにあるけど、これもそんな感じになってきたな。

それでは迷推理、というか推理するところも少なくなってきた。

ほかのキャラが急にモブ化してきた印象。ガス(と決まってないが)の影響と、メインキャラに集中させるためだろう。
謎解きに必要なのは、真咲、こはるん、レイジ(あいだまさき)、光宗、運転手の五人だと思う。


・光宗について
病院のシーンはどこまで信じていいのやら。
"あの人"と言って紙を渡すところが、すごく胡散臭い。
光宗がいたのは、納鳴村から少し離れた場所だろう。
あいだまさきも崖から落ちて、ここに運び込まれた可能性がある。
運ぶには、車が必要だったはず。
運転手だと思うけど、神山も車を持っていたな……。


・よっつんについて
指定した時刻がすごく気になる。午前二時って、あきらかにあやしいだろ。
本当によっつん生きてる?
露骨すぎてミスリードの気もする。
結論は日が昇ってよっつんがいるかどうかで決める。

よっつんは崖から落ちたと、第8話のレビューで推理した。
これで三つのピース(よっつんのとき、光宗と逃げるとき、トンネルに入ったとき)が集まった。
真咲がフラッシュバックを起こすたびに、真咲になったりあいだまさきになったりする可能性も高くなった。


・レイジについて
終盤にきて、住める場所があったとかやめてほしい。
でも、レイジはあいだまさきと思っているので、行方不明にはちょうどいいか。
こんなところにいたら見つからない。

あいだまさきが重要なキャラなのに、片鱗も見せないのは、すでに登場していると考えるべき。
マイマイからレイジくんと訊かれて、肯定も否定もしなかった。
だから、レイジはあいだまさき。白いシルエットも髪を切れば似ている?
でも、16歳の少女には見えない……。

レイジが言っている"マサキ"は、あいだまさき。"真咲"はハンネだから、真咲のはずない。
一方的に好きだったのも、あいだまさきがレイジに振られたという推理に合致してくる。
一緒に住んでいたのは、記憶の改ざん。この症状は真咲と同じ。

レイジが言った「何も考えていない」は、モブたちの状態を意味している。
そのうちレイジみたいに別の誰かに成り代わる。ダーハラがこはるんになったりするかも。


・神山について
神山は、神山になりきっている別の人物。老けたわけではない。
あんな名前だけの名刺はありえない。偽物だとすぐにわかった。
写真の人物が本物の神山。たぶん、息子で、学会を追われたのも息子なのだろう。

神山が現れた道路が、真咲が言っていた県道。
つまり、真咲の回想の説明でもあった。真咲も瞬間移動?したことになる。

ナナキについては次項で。
{/netabare}

ナナキについての考察
{netabare}
真咲は、真咲になったりあいだまさきになったりしている。
レイジは、レイジになりきっているあいだまさき。
さらに、神山まで追加された。

推理上だけど、三人もいるので、信憑性も出てきた。
自分自身を消し去り、ほかのだれか(生きていてほしい人や憧れていた人か?)になると村から解放される。
ただし、それはもう自分ではなくなることでもある。

村から脱出するのは、バスに乗って移動すればいいだけ。
トンネルのなかで衝撃があったけど、あれは地面がデコボコだから。それに合わせて幻覚が動いた。
真咲や神山が県道に現れたのも、車に乗っていたから。
村に縛られているのは心理的なこと。

心理面で脱出する方法は、二つある。
1.ナナキ(心の傷)を自分の一部として受け入れる
2.ナナキ(心の傷)を切り離す(消し去る)→ほかの誰かに成り代わる→記憶の喪失と改ざんか

大切な人を失ったことが心の傷なら、その人になればいい。生き返るわけだから心の傷は消える。その代償として、自分自身ではなくなってしまう。
ナナキを切り離すとはそういうことだと解釈している。

2の方法で脱出したのは、真咲、レイジ、神山、そして光宗。それぞれの名前は成り代わった人物になる。

真咲のハンネを使う少女→あいだまさきになることで脱出(県道に出る)
あいだまさき→レイジになることで脱出(病院か?)
老人→神山になることで脱出(県道)
時宗→光宗になることで脱出(病院)

あいだまさき(レイジ)と老人(神山)は、完全にナナキを切り離して別の人(括弧のなかの人物)になってしまった。

真咲には、まだナナキが残っていて、真咲(心の傷を持った本来の自分)と、あいだまさき(ナナキを切り離したときになる人)の間で揺れている。

同様に、光宗も、時宗(心の傷を持った本来の自分)と、光宗(ナナキを切り離したときになる人)の間で揺れている。

光宗(じっさいは時宗)には二つの心の傷がある。だから、幻覚が合体していた。
・時宗になることを強要された
・子供のころ、ぬいぐるみを取って、光宗が塀から落ちた原因を作った
{/netabare}


第11話、第12話
{netabare}
結局、謎だったのは、こはるんだけだった気がする。
あとは見たまんま。謎でもなんでもない。

第3話のレビューで「このアニメの全体像が見えた」なんて書いたけど、ある程度当たっている。
動機は妹探しと書いたが、こはるんと神山の関係が最終話までわからないのだから、身内と推理できれば上出来だろう。

幻覚は出てくるけど、メンタル面がテーマのリアルなストーリーと思っていた。
だけど、11話から急にファンタジーになってしまった。そこが残念。
幻覚がお茶を淹れるという発想は、さすがに出てこない。

気になる点はあるので、そのうち検討してみたいとは思う。
とくに、真咲が村にきたのは初めてなのか二度目なのか、考えてみるとけっこう面白い。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11
ネタバレ

円卓の騎士 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

期待しているが…

制作スタッフが豪華で結構期待度が高く、今期トップクラスの作品になる予定…であったが、あまり面白くないというかパンチが薄いような感じではある。今後の進展次第では面白くはなりそうだが、anotherの二番煎じ感がするのは僕だけだろうか。
OP・EDはなかなかいい(曲がではある)。
OP「幻想ドライブ」 和島あみ
ED「結露」 石崎光
あらすじは、「第一回人生やり直しツアー」に参加した30人の男女が行方不明者となり人生をやり直すため、バスに乗り込み、都市伝説として語られる「納鳴村(ななきむら)」に向かうという感じ。

一話 鉄橋を叩いて渡る
{netabare}場面はバスの中から始まり、SSDなるサイトを発見した人がこのバスツアーに参加している様だ。
エンジェルだのノアの箱舟だのスーパー創世記だのとなんだか意味不明な発言が目立つ主催者こと
ダ―ハラ(SSD代表)。このバスツアーは「第一回 人生やりなおしツアー」と銘打ったものら
しい。そして淡々と自己紹介である(自称であり、また本名でもない)。◎がついている人は主催者側あるいは雇われている人間。
001「SSD代表」 ダ―ハラ(男)◎
002「商社マン、エリート 人生の既定路線に嫌気」 美影(男)
003「人生はサバイバル」 地獄の業火(男)
004「新しい場所で自分らしく」 ソイラテ(女) 
005「絶賛借金踏み倒し中」 鳥安(男)
006「ラッパー?」 よっつん(男)
007「病気持ち」 わんこ(男)
008「厨二」 氷結のジャッジネス(男)
009「東京砂漠でからっから」なぁな(女)
010「ジャック…だけ&目つきが…」ジャック(男)
011「土左衛門な日々から生還したい」ドザえもん(男)
012「真に女性のための新世界の創造を」 ユウナ(女)
013「私もユウナだよ」 ユウナ→ユウネ(女)
014「競争社会は嫌、私もユウナ」 ユウナ→ユウノ(女)
015「今からガッツリと」トシボーイ(男)
016・017「駆け落ち」 まんべ(男)・ぴーたん(女)
018「名(迷)?探偵」 ナンコ(女)
019「いろいろ面倒になった」 マイマイ(女)
020「アダム募集」 プゥ子(女)
021「銃火器好き」 ニャンタ(女)
022「こんにちはしか言えない今作の主人公?」 光宗(男)
023「納鳴村(ななきむら)に興味」 颯人ことスピードスター(男)
024「ストーカーからの逃避行」 熱帯夜(女)
025「フード被り」リオン(女)
026「いきなり仕切り出す熱いやつ」 ヴァルカナ(男)
027「親の介護が終わり、抜け殻状態に」 ピンクゴッテス改め内山(男)
028「一応メインヒロイン?」 真咲(女)
029「自分のアイデンティティを守る」 らぶぽん(女)
030まあ一応運転手(男)◎
+α031 こはるん(女)◎ ※まあ後程登場しますが一応
の計31人(内訳は男:16 女:15)。数が多すぎて覚えられるか。という感じで自己紹介が終わり、
いよいよ目的地納鳴村の事に。何でも行方不明者が多数で現代の神隠しと呼ばれる都市伝説の村で実際に警察とかが辿り着くことが出来なかった(詳しくは自分の考察にて)。そこはある意味のユートピアが存在し独自のコミュニティを形成しているらしい。その場所にある人の助け(めっちゃ胡散臭い)で行くそうだ。そして自分たちが行方不明者となって人生をやり直そうという魂胆らしい。 
~OP~
『妙だよな…警察に発見されない村なんてあるのか』byスピードスターまあその通りではあるな。光宗とかが持論を展開していたがイマイチ…なんていう話をしてたらなんか歌い出したぞ。運の悪いヒポポタマス(なんか不気味な歌だなあ)だそうです。ポンキッキでやってたらしいですが古すぎで憶えてませんよ。なんてしてたらサービスエリアに(そこそこ雨が降ってる様子)。スピードスターの本名は颯人のようであるがその名前で呼ぶなと光宗に釘を射した模様。まあスピードスターこと颯人はこんなオカルティックなものは信じておらず、今回のバスツアーを自意識過剰なメンヘラ共の友達作りの場と称している(ならばなぜ来た颯人よ)。うわー光宗の母親怖いわー(でも塾には行こうね)。マイマイとかいうやつが光宗にロックオン…(怖いです)。不思議ちゃんすぎる真咲さん。でも自覚はあるのね。そして気分悪そうだな、あ、ふーん(察し)。てか光宗君一人語り長いし惚れっぽいのね。でリオンの蹴り。『ここにいるメンバーで共食いし合う結果にならないと良いけど』はどんなフラグかな(すっとぼけ)。でもそれ以上に光宗の『どんなに仲良くなっても、結局は他人』というのがすごく心の引っかかった。でAパート終了。
Bパートしょっぱなから山手線ゲームでお題が拷問とかもう少しなかったのか。遺書用意しなくてはいけないだと、しかも読み上げとか(まあ光宗は用意し忘れてた模様)とかすごいことするな。不謹慎すぎると止めに入る運転手さん唯一普通の人みたいでそれだけでなんかほっとする。ヴァルカナと一触即発状態に。そんな中光宗はというと、いきなりの回想シーン。2人の光宗?母は違う方の光宗に抱き着いてる。そしてバスケットボールが、え弾、カウントがゼロになって爆発…ってさっきのシーンも回想というより夢を見ていたのかな(きっと疲れているんだよ)。運転手さんめっちゃ舌打ちしまくり(気持ちを察すると致し方なくなるな)。てもスピード出しすぎ(まさか嫌な予感しか)、ジャック謎の行動力からの真咲さん運転手さんにぶっかけ。そしてなんだかんだ光宗と真咲さんの仲が縮まる(光宗という名前を褒められて何故か涙)。そしたらいきなり音楽が…しかも歌いながら謎の女性登場(こはるん)。もう少しで目的地到着ということは何か起きるのかな(期待)。ってところで終了。
結構一人二役が目立つのでそれも何か裏があるのか、ただ単にセリフが少ないからなのかは分からんが、とりあえず人が多すぎる。まあなんだかんだ期待。{/netabare}

二話 一寸先は霧
{netabare}みんな何かしらの思い(例えば不安、まあこれが一番だと思うが)を抱えて橋を渡る。
~OP~
凄い山道を登ってますわ(てか道あるんやな)。ヴァルカナさんがめっちゃ仕切ってる(いや張り切ってるのか・怯えているのか)。すごい霧にさっきまでの雨、こんな山道とか絶対に崖の下に転がり落ちる未来しかないやんけ(絶望)。そして真咲さん再チャージ完了しそうです。とその時、察するわけですよ。そして案の定落ちる。でもそんなに落差無くバスは無事ではあるものの使い物にならなくなり徒歩で目指すことに。それにしてもクソな男性陣と(まあ仮面を被っているにしろ)良いことを言う女性陣の対立。そして可哀想な運転手(ま一応手切れ金として皆の財布を貰ったわけだが…)。まあ一応の解決をみて目的地納鳴村へ出立(歩いていける距離だそうだが…)。そして運転手は一人バスに。そして嘆いているとき窓を叩くものが、めっちゃ運転手さんにフラグが建っちまってますやんけ。
運転手以外の者たちはひたすら山道を登る(バカップルうぜー)。光宗とスピードスターの痴話喧嘩…A(察し)。なんて話していると草陰に蠢くものが、く、熊だとー。熊?の足跡がある、まさか襲われるのか。というより光宗女性耐性なさすぎる。そして暁を過ぎて薄明るくなってきたとき村に到着。そしていきなりのこはるんチェック。そしてOK頂きましたー。
改めて納鳴村到着。てかめっちゃぼろいやん。そしてなぜかバス停が…(うちの実家がある所のバス停なんて屋根付き・ベンチ付きなんてなかったぞ羨ましいぞ)。あいさつ回り行きますとか言っても人いるのか。まあ案の定人っ子一人居ないわけですが、一年ほどしか空期間がないのか。なぜいないのかの考察してますね(全員死亡説・処刑した結果誰もいなくなった説etc)。まあ調べるために村を回ることになるのだが、光宗ここにきてのハーレム?バカップルいい加減黙れ。あと穴顎氷結と切り裂きジャックみたいな名前のジャック君の軋轢が…。やる気なしよっつんが真咲さんを誘ってどこかへ。そして光宗に戻りマイマイの誘いが苛烈を深める(気をしっかり持つんだぞ光宗)。でも光宗ドギマギしない(いけるやん、でもポロリと口から洩れすぎやで)。あーあマイマイに嫌われたな光宗(まあある意味良かったのか)。とそのとき草むらがガサガサ(やばい)、と思ったら運転手さんでした(てか生きとったんかい)。そして大人として監視するなんて言い出したが何があったんやろうな。そして名探偵ナンコの推理が…こはるんさんそんな得体も知れないメールを頼りにここまできたのか、ますます胡散臭いことに。なんて言ってたらヴァルカナさんたち(ここちょっと(二名ほど)消えてますね)があわてて帰ってきた。やばいまさかのメインヒロイン候補とラッパーが…まあ何事もなくいましたよだと思うのだが…。
なんていう感じで今回は締めたわけだがこれから続々といなくなるのかな。次回もなんだかんだ楽しみだ。{/netabare}

三話 傍若無人
{netabare}まずは状況確認からのスタート。まあ男と女が二人っきりで何事も起きないはずがなく…なんて。光宗完璧に真咲さんの事を…、マイマイさん乙です。取り敢えずみんなで探すことになったわけだが、捜索途中木になんかの引っ掻き傷と血のような赤いものが。やべーよやべーよ、どーすっかなみたいな中での獣の声がこだまする。光宗なんかに見られ取るぞ、わーってなってたら坂を転げ落ちる。そしたら真咲さんがそこに(あれよっつんは、てかボロボロやな)。
~OP~
ハーブティーでいっぱい(なぜハーブティー)。そして取り調べ。真咲氏によると
【よっつんに誘われ(もとい引っ張られ)、人気のないところに。そしたらいきなり草むらの方に向かって「なんでお前がいる」みたいなことを言って草藪に入っていく(真咲氏はその人物を見たのかははっきりしない)。でなかなか帰ってこないから見に行ったら光宗みたく転げ落ちたということらしい。そして動けなくなった。】
まあ何というか引っかかる所もちらほらあるわけだし、真咲氏が完璧な白なんて言えないな(というより黒に近いグレーという感じ)。真咲さんが責められているところに光宗登場。
まあでもみんなが神経質になるのも仕方がないよな(生死が係ってるんだから)。というかこんなところでマジで新生活を始めようとしてんだからな。さっさと帰った方がいいわな。てかこの期に及んでまだ続けようとするダ―ハラさんなんか怪しい。そして運転手さんは一人でも残るなら自分も残るなんて言っているけれど何かあるのかな(もしかしてよっつんをやったのは…)。ヴァルカナさん仕切っちゃってるけど確かに山道の方が…あんまり変わらんやろ。てか熱すぎやろ、まあ仲間思いで責任感が恐ろしいほどに高いのはよくわかった。そして媚びるやつ。
取り敢えず3人抜きでグループ決め。グッとパーで別れましょってこんなにバリエーションあるんやな(俺のも地方ルールの奴なのかな)。いやはや光宗は真咲さんに執心やな。一話のバスの中でどんだけ仲良くなっても結局他人とか言いながらこの業やからな。そして「お前は俺の言う通りにしていればいいんだ」byスピードスターて言う何とも言えない縛り(でもこれじゃ光宗の母親とそう大差なくね)。
結局グループも無事決まり、飯にすることに。そしてなんとさあどうぞ取ってくださいと言わんばかりに畑に生える野菜たち(あれ何で一年以上放棄されてるのに…)。それを収穫収穫、そして調理班はとせっせとやってますね(井戸の水大丈夫なのか)。てかガスは通っているのか(まあプロパンかもしれんが)、それにレンジや冷蔵庫のようなものもあるし電気も来てるのかな。ますます怪しい。そしてみんなでお天道様の元飯を食べる(マイマイさん光宗にちょっとだけしかよそわないとか可哀想だぞ)。
そのころまだヴァルカナたちはよっつんを探してるみたいでこはるんが呼びに。ヴァルカナさんイライラ。Aパート終了
Bパート目は、各自割り振られた部屋からスタート。布団もカビてなかったら障子も何もかも綺麗ってやはり怪しすぎるだろ。てか氷結潔癖なのか。てか氷結くんでいいだろ、めっちゃ怒るし厨二だし。そしたらジャック君部屋を出て行った。と思ったら鍬持って襲ってるよ(マジやんけ)。まあ何とか抑えて止めたわけだが、なんだか雲行きが怪しいぞ。ジャック君は縛り上げられ、なんだか裁判でもやろうとしているような雰囲気に。そしてマイマイが止めに一発、何とジャックこと佐々木君は事件を起こして少年院送りになっていた。あこれは…というとき光宗が助け船(まーた余計なことをしてしまった感があるが)。そしてなぜか地下牢が(まあ古い家には地下牢見たいのがあったみたいなことは聞いたことがあるが)、そしてそこにぶち込まれるジャック(めっちゃ可哀想だな)。
そしてヴァルカナの過去について触れられるが、めっちゃ可哀想だな、本当に社会に殺されたという感じで本当に哀れだとおもった。てかめっちゃこはるんヴァルカナを煽ってる。
寝付けない光宗、ふらふら徘徊し、村の入り口にかかってる橋まで来たところでマイマイさんと遭遇。マイマイさんジャック君の事気に掛けてる(まあ言い出さなかったらあんなことになってないからな)し、光宗にデレてる。そしたらそこに処刑好きらぶぽん登場。ジャック君を処刑しようなんて言い出すし、光宗・マイマイが庇っているといきなり切れだして光宗を処刑?しようとするありさまだし。とその時上流からどんぶらかどんぶらこと流れてきている。桃か、いいえ違います。ま、まさかよっつん。
謎が謎を呼ぶ中終了。とうとう犠牲者が出てしまった展開になったわけだが次はどうなるのか期待です。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

これはヒドい。なんかもう登場人物全員頭悪い

 バッサリ言いますけど、これはダメですね。
 ヤフーニュースかなにかで「最近人気のオリジナルアニメがあるよ!」みたいな感じで紹介されてた気がしますが、プロパガンダにもほどがありまっせ(汗)
 迷走する会議室で作られたアニメって感じ。もしくは中二病患者が自分なりの「論理的な思考」を披露しているのを無理やり聞かされているような。ジャンルを分けるなら「視聴者パニックもの」かな。

 第1話~。
 {netabare} ダメな匂い以外なにもしないです。でもここはまだいいんです。このあとどうなるかです。「屍鬼」だって前半はこんな感じでしたし。まあ私は「屍鬼」あんま好きじゃないけど。
 のちに知るのですが、この時のよっつんのラップがこのアニメの最高潮でした。
 あと、納鳴村の場所は間違いないって言い張る途中参加の女の人(名前なんだっけ)。その「間違いない理由」が一番大事なのに、なんで言わないの?なんで誰も指摘しないの? {/netabare}

 4~5話まで視聴。
 {netabare} みんな恐れおののいて集団は瓦解状態。「みんなおちつけー!」「この村はいったいなんなんだ!」みたいなこと言ってかなり緊迫してますが、お前ら本当に落ち着け。
 まだなにも事件おきてないだろ。
 起きたことと言えば、「幻の村」に住人がいなかったことと、2,3人行方不明になったこと。クマっぽいのがいたこと。
 どれも正直なんのインパクトもないし、それを怖がってるならそれの対処をしろよって感じです。むしろ「幻の村」の住人頼りにしてたのかよ。行方不明者は探せばいいし、クマはほっときゃいいし。
 なんで「この村はおかしい」まで飛躍するのか。そもそもこの村のことを「自意識の具現化(?)」とか「政府に隠匿された村」とか言ってたくせに何をいまさら言ってるんでしょうかこいつら。むしろどんなとこだと思ってたんだ。村人が和気藹々と暮らしててそこに混ぜてもらうつもりだったのか?だったら普通にIターンして農業はじめろ。
 「このトンネルを抜ければ山を下りられる?」→「巨大なみつむねが……!」→「何を言ってるんだ!?まあいい。一旦村に戻ろう」
 なんでやねん!確認せーや!
{/netabare}

 と思ったら6話。
 {netabare} 一気にがっつり裏設定ばらし始めました。恐怖の具現化でお化けが見える。ああ、あるある。まあでもこれで終わりじゃないんでしょ?さすがにこれだけじゃあ予算下りないでしょう。
 そして登場、意味深な歌詞。お、これはなかなかいいですね。と思ったら「わるいまなこおぬいてやろ」=「心の内面を引きずり出す」。……だからなんでやねん!
 これでマサキの遺体を見つけて「日の当たるところに埋めてやろうエンド」とかだったら評価1にしてやる! {/netabare}

 7話。
 {netabare} 恐怖(笑)に突き動かされて冷静さを失い、か弱い少女を火あぶりにする群衆。そこに主人公登場「なにやってんだお前ら!」激怒して少女を救おうとする主人公。わー、かっこいー。
 話は変わりますけど私このタイプの主人公が苦手なんですよね……。女の子苦手とか言ってこいつ結局女の子としか絡みませんし。パシられ設定加えとけば共感するとでも思ってんのかコラ。なんかこいつだけ一人生き残る(もしくはこいつだけ死ぬ?)フラグが立ってた気がするんですが、どうなるんですかね。
……く、鑑賞状況「途中で断念したい」があればそこに分類するんだが……。観るしかないのか。このアニメが納得する結末を迎えるという1%にも満たない可能性にかけてみるしかないのか……。 {/netabare}

 そして8話。
 {netabare} もう何が何やらです。全員ラリってるのかな?因果関係が一つも繋がっていない。会話のキャッチボールができてないです。細かく「ここが間違ってる」って言ってあげたいんですが、一言一句すべて間違っているので訂正しようがないです。超重要人物が連れ去られた後、それガン無視で、河原で石投げながら談笑する名探偵とか……。 {/netabare}

 そして挫折。
 多分ラストは結構すごいんだと思います。それこそ想像できない斬新な、もしくは複雑なラストなんだろうなあ、と思います。そうじゃないとほんとにこのアニメを作った会社を信じられなくなりそうです。
 でも登場人物の思考、行動についてもう少し考えてね……。っていうか、一瞬でもそれを考えてくれたらこんなアニメにはなってないかと。登場人物が情報を小出しにするための装置に成り下がってます。人間じゃないです。……あ、もしかしてそういうラストか?(笑)

 正直どうでもいいですが、ラスト予想してみました!
 ……というかダメアニメ過ぎて結構心奪われてますね私。これが制作サイドの作戦なのだとしたらなんという策士……(笑)
{netabare} 私の推理は「このアニメが納得する終わり方をするとしたら?」から始まりました。ちょっと近年稀に見るダメアニメです。製作者サイドの目を曇らせるほど秀逸なラストなのか、もしくは製作者サイドがラストを隠すことにとらわれ過ぎてダメになったのか。となるとラストはどういうものか。
 私が思うに、この物語は最終的に「実はファンタジー要素はゼロでした。すべて人間の手で再現可能です」というオチになるのではないかと思います。このアニメがファンタジー方面に帰結したら、クソアニメの汚名を晴らすことは不可能に思います。
 いや、いまさら何をしてもダメなもんはダメなんですが。
 となると、現時点での問題はあの「化け物」でしょう。あれがファンタジー要素ではなく「現実的にありうるなにか」なのだとしたら、「幻覚」以外には説明がつきません。「現実的」で「幻覚を見る」要素。そうなると今度は「麻薬」という単語が思い浮かびます。
 そういえば映像として化け物が現れたのは煙で燻し出された人々でした。
 あの煙に麻薬の要素があったのか?
 となると、この村はなにか麻薬の原料となる草花が増生しているのかもしれません。それが村の秘密なのかな?それを戦前は政府の管理下で栽培していた、とかいう話になるとちょっと面白くなってきます。……まあそういうことにしときましょう。
 もっと面白くするとしたら、「登場人物は既に全員紹介されている。この中に犯人がいる」というものです。

 つまり
・これはミステリーであり、非現実的な現象は起きない
・最初に紹介された30人(+運転手)の中に犯人がいる

 もしこのアニメが許されるとしたら、この終わり方しかないです。
 でもまだ誰もちゃんと死んでないよね……。謎とかせたいなら事件を起こせってば……。死んだ人がいないから容疑者も31人から変わりません。というか殺人事件おきてないのになんの容疑者なんだ……。 {/netabare} 
 ああ、なんか考え始めたら負けな気がしてきました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27

85.6 20 不気味アニメランキング20位
呪術廻戦(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (867)
3456人が棚に入れました
少年は戦う――「正しい死」を求めて。辛酸・後悔・恥辱。人間が生む負の感情は呪いと化し日常に潜む。呪いは世に蔓延る禍源であり、最悪の場合、人間を死へと導く。そして、呪いは呪いでしか祓えない。驚異的な身体能力を持つ、少年・虎杖悠仁はごく普通の高校生活を送っていたが、ある日“呪い"に襲われた仲間を救うため、特級呪物“両面宿儺の指"を喰らい、己の魂に呪いを宿してしまう。呪いである“両面宿儺"と肉体を共有することとなった虎杖は、最強の呪術師である五条悟の案内で、対呪い専門機関である「東京都立呪術高等専門学校」へと編入することになり……。呪いを祓うべく呪いとなった少年の後戻りのできない、壮絶な物語が廻りだす――。

声優・キャラクター
榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、小松未可子、内山昂輝、関智一、津田健次郎、中村悠一、諏訪部順一

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

呪術ぱいせん

ハリーポッター風に例えるとヴォルデモートのような存在の指を食べるはめになってしまった少年の話らしいと聞いて
普通、指食べようとはならんだろ。

よくある身体能力お化けなのに、運動部入らないマン。
よくある少年漫画的な作品という感じだけど、そういうシンプルなものが意外と良いもの。完全懲悪みたいなところもある。ショッカーと戦う初代仮面ライダー的な?
ただ、凄く流行る作品でもないような。どう?
強くなって自分の力も制御していくんでしょうね。仲間の力も借りて。
五条悟だけ規格外すぎんか。なんぞ?
タッパとケツのでかい女好きに対する想いは笑う。勝手に同じ中学卒業扱いて笑。


OP
廻廻奇譚 Eve
VIVID VICE Who-ya Extended
ED
LOST IN PARADISE feat. AKLO ALI
give it back Cö shu Nie
挿入歌
REMEMBER Masato
前半クールのOP・EDが好きだった。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
少年は戦う--「正しい死」を求めて 辛酸・後悔・恥辱 人間が生む負の感情は呪いと化し日常に潜む 呪いは世に蔓延る禍源であり、最悪の場合、人間を死へと導くそして、呪いは呪いでしか祓えない 驚異的な身体能力を持つ、少年・虎杖悠仁はごく普通の高校生活を送っていたが、ある日“呪い”に襲われた学友を救うため、特級呪物“両面宿儺の指”を喰らい、己の魂に呪いを宿してしまう 呪いである“両面宿儺”と肉体を共有することとなった虎杖は、最強の呪術師である五条 悟の案内で、対呪い専門機関である「東京都立呪術高等専門学校」へと編入することになり..... 呪いを祓うべく呪いを宿した少年の後戻りのできない、壮絶な物語が廻りだす- 


1. 両面宿儺
並みはずれた身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁。祖父が死んだ夜に呪術高専一年の伏黒 恵と出会う。彼は、虎杖の持つ“呪物”を回収しに来たというが、ちょうどその“呪物”は虎杖の先輩らによって封印が解かれていた。“呪物”が引き寄せた、呪いの化け物に襲われる先輩たち。そこに虎杖と伏黒が駆けつける。

2. 自分のために
見知らぬ部屋で目を覚ます虎杖は、目の前にいた呪術高専の教師・五条 悟から自分の“秘匿死刑”が決定したと告げられる。五条は、虎杖に二つの選択肢を示す。今すぐ死刑になるか、『両面宿儺の指』20本を探し出し、すべて取り込んだのちに死ぬか--。

3. 鉄骨娘
3人目の一年生、釘崎野薔薇を迎えに行く虎杖と伏黒、五条。そのままとある廃ビルへ向かい、五条は虎杖と釘崎に、廃ビル内に潜む呪霊を祓ってくるよう課題を与える。ビル内、二手に分かれて呪霊を探し始める虎杖と釘崎は、子どもを人質にとる狡猾な呪霊と対峙する。

4. 呪胎戴天
少年院で起きた緊急事態に、虎杖、伏黒、釘崎が派遣される。任務は、いずれ特級呪霊に成り得る呪胎とともに取り残された生存者の確認と救出。乗り込んだ虎杖たちは、無慈悲な現実に直面する。直後釘崎の姿が消え、残された虎杖と伏黒の隣には、特級呪霊の姿があった。

5. 呪胎戴天-弐-
少年院の外に退避した伏黒は、特級呪霊の死に気付く。次の瞬間、横に両面宿儺が現れ、虎杖の体から心臓を抜き取り、人質にする。このままでは虎杖の意識が戻っても死んでしまうと戦い始める伏黒だったが、格の違いを痛感する。

6. 雨後
虎杖の死に悔しさをかみしめる五条。仲間の死に沈み込む伏黒・野薔薇は強くなるために2年生達と特訓を始める。一方、夏油達も動き出す。そんな中、死んだはずの虎杖は--。

7. 急襲
移動中だった五条は、特級呪霊・漏瑚の奇襲を受ける。攻撃を重ねても決して当たらない--漏瑚は、すぐに五条の強さを目の当たりにする。一瞬で高専に戻り、修行中の虎杖まで連れてくる余裕の五条に、漏瑚は怒りを爆発させ、ある手段に出るが、対して五条は--。

8. 退屈
交流会に向けた特訓の合間。釘崎と伏黒の前に、呪術高専京都校二年の禪院真依と東堂が現れ、二人にケンカを吹っ掛ける。伏黒を腕っぷしで押していく東堂。一方、真依の言葉に嫌悪を抱き、釘崎は真依を挑発するが--。

9. 幼魚と逆罰
高校をサボり映画館に来た吉野順平は、自分をいじめていた同級生が顔を変形させられ、死んでいるところを目撃する。“犯人”を追い、声をかける吉野。その後、事件現場の映画館に乗り込んだ虎杖と脱サラ一級呪術師の七海建人は、2体の呪霊に遭遇する。

10. 無為転変
吉野の調査を任された虎杖は、補助監督の伊地知に作戦を聞く。低級の呪いに吉野を襲わせ、反応を確かめるというが作戦は失敗し、虎杖は吉野に直球で声をかける。結果的に嫌悪する担任教師を追い払ってくれた虎杖を見て、吉野は話を聞く気になる。一方、真人のアジトを突き止めた七海は地下水路で真人と相まみえるのだった。

11. 固陋蠢愚
真人に追い詰められた七海は呪力の制限を解除、十劃呪法『瓦落瓦落』で地下水路の壁を破壊し、がれきの雨を降らせる。一方、吉野と接触した虎杖は、映画の話で意気投合する。吉野の母とも会い、家に招かれるとさらに打ち解けるのだったが...。

12. いつかの君へ
真人に心酔していた吉野は、上手く利用され虎杖と戦うように仕向けられていた。復讐に走り暴走する吉野に対し、虎杖は拳を重ねながらも動機を聞き出し説得しようと図るが、吉野の口から残酷な事実を知ることになる。そんな二人のそばに真人が忍び寄り--。

13. また明日
間一髪で真人の一撃を防ぎ虎杖を救った七海。ここで確実に真人を祓うため虎杖と七海は息の合った攻撃を重ねる。真人は改造人間を使い虎杖を精神的にも追い詰めようとするが、虎杖はそれを乗り越える。畳み込まれる攻撃に追い込まれた真人は「死」を感じ--。

14. 京都姉妹校交流会-団体戦⓪-
虎杖たちから逃れた真人は、夏油らと合流し、あるプランを進めようとする。一方、呪術高専では“京都姉妹校交流会”が行われようとしていた。伏黒と釘崎、二年の真希、棘、パンダが集合するが、そこに東堂ら京都校の面々も到着。早速一触即発な空気の中、さらに遅れて五条が駆けつけあるサプライズを行う--。

15. 京都姉妹校交流会-団体戦①-
京都姉妹校交流会の団体戦が始まった。東京校のメンバーに、京都校の東堂が襲い掛かるが、足止め役を任されていた虎杖が相対する。東堂のパワーに圧倒される虎杖だが、突然東堂から女の趣味を尋ねられ--。

16. 京都姉妹校交流会-団体戦②-
東堂は、虎杖の“逕庭拳”が特級には通じない技だと指摘する。助言を素直に受け取る虎杖に対し、東堂は全力で相手をし、導いていく。一方、京都校の西宮に、釘崎はケンカを吹っ掛ける。その横にいたパンダに、陰から攻撃を仕掛けるメカ丸。釘崎と西宮、パンダとメカ丸の戦いが始まる。

17. 京都姉妹校交流会-団体戦③-
交流会団体戦は続く--。対峙する真希と三輪。三輪は真希の等級には表れない圧倒的強さに驚きを隠せない。同じ頃、箒で空中を飛び回る西宮を追う釘崎。真依の苦労、女性呪術師として生きていく意味を語る西宮をバッサリ切り捨て、一気に反撃に出る。そして姿が見えない真依は--。

18. 賢者
各所で勝敗が見え始めた交流会1日目。伏黒は御三家の嫡男・加茂と対峙していた。自身の血を操る「赤血操術」を使う加茂に、伏黒は式神と体術で対抗する。同じ頃、狗巻 の言霊の増幅・強制術式である「呪言」を生かして場を進めていく。その狗巻が突如感じた不穏な気配に振り返るとそこには--。想定外の事が起こり始める交流会。戦いの行方は--。

19. 黒閃
交流会に突如乱入し、襲い掛かる特級呪霊・花御。対峙する伏黒と狗巻、加茂は花御の攻撃を防ぎながら、帳の外に向かって走る。追い詰められる3人だったが、そこに真希が参戦し、伏黒との連携で攻め立てる。しかしそれでもなお、特級呪霊である花御の圧倒的な戦闘力を前に窮地に立たされてしまうが--。

20. 規格外
花御との戦いに参戦した虎杖と東堂。虎杖が黒閃を決め、東堂との連携プレーで攻め立てていく中、さらに自身の術式を解禁する東堂。超親友となった虎杖と共に、東堂はトリッキーな術式と(自称)IQ53万の脳内CPUを持つそのクレバーさで花御を翻弄していくが--。

21. 呪術甲子園
圧倒的な強さで五条は花御を退けた。瀕死の花御と合流した真人は、「両面宿儺の指」と特級呪物「呪胎九相図1番~3番」を強奪。着実に10月31日に決行する五条悟封印の準備を進めていた。一方、高専サイドは真人らの目的を明らかにできない。被害を鑑み、そのまま交流会も中止、となりかけるが、何故か野球で決着をつけることに。姉妹交流会・2日目野球戦、プレイボール--。

22. 起首雷同
呪霊により3人の男が似た状況で死亡する事件が発生。被害者たちは同じ中学校に在籍していたことが判明し、虎杖、伏黒、釘崎はその調査に派遣される。現地に着いてみると、その中学校は伏黒の母校であった。被害者らは地元の心霊スポット「八十八橋」の下で揃って倒れていたことがあったと聞く。さらに伏黒の姉・津美紀も事件に巻き込まれていたと分かり--。

23. 起首雷同-弐-
八十八橋の呪いに加え特級呪物「呪胎九相図」の1体・血塗(けちず)と対峙する虎杖・伏黒・釘崎。八十八橋の呪いの結界内にいる伏黒たちだが、突如釘崎が腕を引かれ、結界外に消える。それを追い、出ていったもう一体の血塗と虎杖も外へ。残った伏黒は早々に八十八橋の呪いを片付けるが--衝撃の光景を目の前にする。一方、釘崎は「呪胎九相図」の1体・壊相(えそう)と対峙。そこに血塗(けちず)と、追ってきた虎杖も加わり--。

24. 共犯
「呪胎九相図」兄弟の壊相・血塗に対する虎杖と釘崎だったが、壊相・血塗の血を浴びてしまい体内から腐食が始まる。窮地に立たされるも釘崎は自らに釘を刺し、「共鳴り」を発動。兄弟との我慢比べが始まる。虎杖も止まらず血塗を攻め立てていくが--。「両面宿儺の指」に端を発した今回の任務。果たして虎杖・釘崎・伏黒は無事高専へ帰還できるのか--。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

呪いから守るために、自らに呪いを宿す。

週刊少年ジャンプで連載中の漫画が原作のアニメ。

まだ鬼滅の刃人気が高い中放送が始まったこの作品、
とある小学1年生の女の子に
「私は鬼滅の刃より呪術廻戦が好きなの!」とゴリ押しされ、

放送が終わったら一気に見てみようかなーと思ってたら、

会うたびに「呪術廻戦見た!?」「絶対観てすぐに観て」とプッシュされ続けたので、観念して放送中から見始めました。笑

その後どんどん人気が高まって、
今や鬼滅の刃にとって代わる人気となり、
時代を先取る嗅覚の鋭さすごいなと感心しておりますw

全24話です。


● ストーリー
高校生の虎杖悠仁(いたどり ゆうじ)。
オカルト研究会に所属する彼は、学校で怪しい箱を拾う。

オカルト研究会の先輩が箱の箱の中身を確認しようとするが、
それは強い呪いが込められた“呪物(じゅぶつ)”であり、
呪物の封印が解けたことで、人を襲う“呪霊(じゅれい)”が現れ、
先輩たちが襲われてしまう。

呪物の回収に来ていた呪術師の伏黒恵(ふしぐろ めぐみ)と共に先輩たちを救おうとするもピンチになり、

悠二は呪物「宿儺(すくな)の指」を食べ、
呪いに対抗できる力を得る。

しかしそれはあまりにも危険な力のため、
先輩たちを救うことができた後、悠二には死刑が宣告される。

死刑を延ばす代わりに、
そして世に溢れる呪いによって誰かが苦しまないように、

残りの「宿儺の指」を集める使命を果たすため、
都立呪術高専に転校し、呪術師として生きることを決意する。


長いあらすじとなりました。

ざっくりまとめると、つまり、
呪術師として呪いと戦う話です。

呪いの見た目は気持ち悪い。

死体も出てくるし体も切断されるしで、
なかなかグロさもあります。

現代日本が舞台なのに、
呪いという異形と戦うことで非日常感が強い。

でも学生同士で仲良くしてたり、
普通の高校生っぽい一面もあるし、
不思議な世界観です。


ストーリーは、進んでいるような流れているような。

いきなり新しい展開が始まっている。
そしてもやもやっとそのシリーズが終わる。笑

強すぎる敵を追いつめはするんだけど、
逃げられてしまったりで、いつも倒すわけではないのがその原因かな。

この作品はなぜ人気が高いのか、
その理由をうまく言葉で説明できない。

ストーリーは、波があったものの、
全体的に面白かったです。

毎回30分があっという間に終わるし。

アクションシーンの作画もかっこよかった。

キャラもそれなりに魅力があって個性的。
女子ウケ抜群な五条先生という最強キャラもいる。

でも、呪いの見た目は不気味だし、
必殺技も真似したいものとか真似しやすいものではないし、
血みどろの戦いで見た目はよくないし、

呪いとか人の心の闇とか、暗い雰囲気で、
人の心は醜く描かれてるところもあるし大事な人も死んでしまうし、
メンタルやられるところも多い。

ここが人気なポイント!と語るのが非常に難しい。笑

呪術師たちは元々強いけど、
その強さを十分に描けていないのか、
それともこれから強い敵とぶつけていくうちにその強さが描かれることになるのか、

全力出しきった感がないんだよなー。
いや当人たちは全力出してるんだろうけど。

それでも十分かっこよくはある。
これからもっと強くかっこよく見せてくれるのかなというわくわくもある。

24話見たけれど、
どうやら私はまだこの作品を掴み切れていないのです。

そもそもグロい系の作品が苦手なのもあるかもしれないけど^^;

少年ジャンプの作品だけど、
少年以上に青年や大人に好かれそうなタイプの作品だと思いました。


● キャラクター
全体的に大人から好かれそうな、
かっこいいキャラが多かったように感じました。

観終わってみると、
好きなキャラが多かったなー。

順位はつけられませんが、私のお気に入りは
・釘崎 野薔薇(くぎさき のばら)
・五条 悟(ごじょう さとる)
・七海 建人(ななみ けんと)
の3人ですね^^

釘崎は最終話のかっこよさで好きになりました。

クールでかっこいい女の子キャラならよくいるけれど、
釘崎のようなタイプのかっこよさは珍しいなと思いました。

自分に自信があり、女であることを忘れず、
相手が誰だろうと怯んだり屈したりしない。

認めた相手は慕うし、大切にも思う。

敵に対しては容赦しない非情さも好き。
なんなら、笑ってるもんなw
最終話はどちらが悪役なのかわからなくなったよw


五条先生はつかみどころがないけど、
その分、普段のふざけた人柄と真面目なときのギャップがやばい。

圧倒的過ぎる強さ、かっこいいです。

そしてcv.中村悠一さんなんだからもう大勝利です。笑


● 音楽
【 OP1「廻廻奇譚」/ Eve 】
【 ED1「LOST IN PARADISE feat. AKLO」/ ALI 】

この作品と言えば、やっぱり「廻廻奇譚」が強いですね。
この曲の圧倒的かっこよさよ…!

そして作品の雰囲気とぴったり。
というか、この曲が雰囲気を作ったと言ってもいいぐらい。

アニメーションにもいろいろと伏線やら秘密が隠されているようです。
細かな変化もたくさんあったし、とても凝られていました。

EDは英語の歌詞でのポップな曲調だけど、
こちらも別のかっこよさがありました。

アニメーションもおしゃれでした^^


【 OP2「VIVID VICE」/ Who-ya Extended 】
【 ED2「give it back」/ Cö shu Nie 】

この後半OPもまたかっこよくて好きだなあ。

「廻廻奇譚」と雰囲気は似ていなくもないけど、
別物のかっこよさです。

アニメーションはこちらもかっこよかったです。
じっくり見れば見るほどかっこいい!

というか、「廻廻奇譚」だけでも十分なかっこよさと人気だったのに、そのハードルを越えてきたこのOPによって、次のOPはさらにハードルが上がりますね。笑

EDはしっとり感動系。

映像とのマッチングによって、より沁みます。


どの曲も当たりで、
音楽の選曲もアニメーションも最高でした。


● まとめ
面白かったです。

よく理解できていない部分も多いものの、
楽しめたのは事実です。

好きな作品かと問われると微妙なところなのが、
自分では不思議な感覚なんですけど。

これからもっと強い敵と遭遇するのだろうし、
それに伴って彼らの活躍もよりかっこよく、
見どころのあるものとなっていくのでしょう。

話としてはまだまだ途中だし、
24話の最後に「続」と出てたから、きっと2期もあるでしょう^^

2021年には「東京都立呪術高等専門学校」の劇場版アニメの公開が予定されています。

これは「呪術廻戦」がジャンプで連載される前の、
呪術高専のお話のようですね。

まずはこちらを楽しみに待ちたいと思います^^

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

呪いは生き方を主張し、少年は正しい死を模索する

人間の負の感情から発生し暗躍する“呪霊”と“呪術師”との戦いを描いた
同名コミック(未読)のアニメ化作品。

【物語 4.0点】
理詰めのバトル中に披露される各々の人生哲学。
育成学校のイベントには裏の駆け引きがある。

お馴染みの枠組みをグロく装飾したバトル物だろう。
と気軽に入っていくと、人を虫とも思わぬ呪霊たちがもたらす容赦ない死の描写と、
抉り出された人の心のドロドロした部分を目撃し、引き込まれる感じ。


虎杖(いたどり)悠二も一見、典型的な熱血少年主人公だが、
若くして“正しい死に方”を選ぶ決意を固める。
{netabare}特級呪物を呑み込む{/netabare}体質的にも、人間的にも器の大きさ、異様さを有する。

他の呪術師たちにしても、いくら骨を断つためとはいえ、
その肉の切らせ方は尋常じゃないという戦い方を平然とする。
凡そ死という物への感覚が麻痺している感。

さらに、汚い陰謀を巡らせる呪術師界・上層部と、
上を見限り慇懃(いんぎん)じゃない無礼を働きw
教育からの変革を企てる五条先生との確執。


こうした描写に触れる内、己の本能に忠実に生きる呪いの方が、
むしろ人間的なのではないか?との倒錯した感情すら抱きます。

第五話の特級呪霊・漏瑚(じょうご)によるファミレスでの主張。
{netabare}人間の正の感情は嘘、偽りだらけ。真実の負の感情から生まれた呪いこそが取って変わるべき。{/netabare}
否定しきれないのが辛いですw

呪いを祓うだけが正解なのか?
根本的な問いが、五条の変革や、虎杖の存在と今後どう関わって来るのか。
深いテーマ性への期待が牽引力。


【作画 4.5点】
バトルアニメの楽しさを思い出させてくれる。

人物も呪いも画面を目一杯使って実に良く動く。
構図、アングルもダイナミックで、視聴者を常識外に拉致。
MAPPAはグロい物体をクールに動かすのがホントに上手いですw

背景美術も“領域展開”の再現など良好。
背景の動きも、時に地面と遠景で異なるスクロールを組み合わせるなど、
撮影もカメラを静止させることなく、映像が単調にならぬよう尽力。
バトル空間の広さを体感させ、戦闘のスケール感を伝達。


【キャラ 4.5点】
五条先生の格好良さは特級品として、教師では七海先生も印象的。
{netabare}実業より虚業が栄える人間社会に疑問を抱いた{/netabare}呪術師転身前の過去。
共感度が高くて哀しいですwあと、{netabare}時間外労働{/netabare}お疲れさまですw


主人公・虎杖(いたどり)と東堂の“親友”関係もバトル馬鹿ならではで楽しい。


ヒロインズが逞しい(おっかないw)のも特徴的。
そう言えば、虎杖の顔面が一番ひしゃげたのは、
{netabare}荷物持ち・虎杖が釘崎の買い物を落したことに対する制裁だったようなw{/netabare}


【声優 4.0点】
主役の榎木 淳弥さん。熱血の裏に何かがありそうな懐の深い演技で謎多き主人公を再現。
最近の、えのじゅんとのエンカウント率の高さも納得の充実度。

呪い側の最強キャラ・宿儺(すくな)役・諏訪部 順一さん。
人間側の最強キャラ・五条悟役の中村 悠一さんと共に、
落ち着いたボイスが、圧倒的な能力と対照的で背筋が寒くなる、底を見せない好演。

強者に対するリアクションボイスにも熱演が揃う。
特に{netabare}五条に軽くのされる漏瑚(じょうご)役の大ベテラン・千葉 繁さん。
相手をした中村さんが申し訳なくなる位の大噴火ボイスで五条最強を証明w{/netabare}


異例だったのは原作者の要望によりナレーションが除去されたこと。
没入度はアップしたが、専門用語、超常現象に解説が付かないのはスパルタw
モノローグは充実しているので、付いては行けますが……。


【音楽 4.5点】
劇伴はバンド音楽をベースに、興が乗るとラップも挿入し、滾(たぎ)るバトルシーンを演出。
coldrainのボーカル・MASATOさんによるバトル挿入歌「REMENBER」もアドレナリン全開♪


OPは前期がEve「廻廻奇譚」、後期がWho-ya Extended「VIVID VICE」
共にヒットアニメのタイアップを引けばもっと来る!と思っていた男性アーティスト。
ついに大吉を引きましたね。おめでとうございます♪


前期EDはALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」
スタイリッシュなジャズ&男性ボーカルで東京を喰らう。
EDアニメ含めて、どんな展開後でも呑み込む独自の世界観を持つ。

後期EDはCö shu Nie「give it back」
ハイトーンな女性ボーカルで、哀しい過去を抱えた呪術師たちの心情を炙り出す。
どんな展開後にもマッチする透度の高い良作バラード。


【余談】
「廻廻奇譚」について。

放送前、先に楽曲だけ発表された時、
ネット上ではイマイチ?との評も見られました。
ですが、Eveを、あにこれの「僕らはまだアンダーグラウンド」のMVレビューで知り、
アニメーションとの融合度を信頼していた私は、
OPアニメ見て度肝抜かすなよと、世間の反応の変化にほくそ笑んでいましたw

あにこれやってて良かったですw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 39

71.7 21 不気味アニメランキング21位
東京喰種:re(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (473)
2370人が棚に入れました
群衆に紛れ、ヒトの肉を食らう。
ヒトの形をしながら、
ヒトとは異なる存在・・・“喰種”。

“喰種”を駆逐・研究する〔CCG〕は、
あるひとつの命題を果たすため、
実験体集団を新設。

その名は「クインクス」。

「まともな人間」ではない彼らと、
佐々木琲世(ささきはいせ)一等捜査官が、
“東京”で向き合うものとは!?

「東京喰種√A」の2年後を描く新章「東京喰種:re」いよいよ始動。

声優・キャラクター
花江夏樹、石川界人、内田雄馬、藤原夏海、佐倉綾音、宮野真守、小林ゆう
ネタバレ

Karisu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

稀に見るクソアニメ。

漫画の良さを緊張感を全て台無しにしている。3話まで見てみたがこれはひどい。まるで子供向けに作っているかのようなアニメーションの雑さとグロさの規制。こんなにも制作会社に恵まれないアニメがあっただろうか。漫画はとても面白く進撃の巨人に引けを取らない物語の壮大さで作画も素晴らしく次々に巻き起こる展開がドラマティックだ。主人公の成長もグロさにおける緊張感もたまらない。しかしその良さをこのアニメに携わっている制作会社が気持ちいいほど全て殺しているのだ。「制作スタッフも頑張っているのに可哀想。」とかいう偽善者が湧きそうだから言うが、アニメを作る会社は視聴者から金を儲けるために原作者にお金を出してアニメを作るんだ。決して視聴者の思いに応えて作り始めることなんてことはない。視聴者はお気に入りの漫画が動くという感動を期待し漫画を買い何年もアニメ化を待ってきている。制作会社はそれに見合った対価をアニメの質で返さなければならないだろう。だがこいつらはまるで原作を読まずに自分たちの好き勝手に作っているようなクソみたいな作画と物語構成を繰り出した。やってくれたな。√Aから東京喰種は終わっている。…どう表現すればいいだろうか、まるでヴァイオレットエヴァーガーデン並みに綺麗な作画で作るべきアニメをイナズマイレブンみたいな作画でアニメ化してるのと同じくらいの酷いぞ。監督と脚本は何も考えてないんじゃないか。もうお前らは老害だよ。視聴者を考えず自惚れて自己満で終わってるカス野郎。なぜ原作者や関係者は何も言わない。東京喰種は脚本の才能がないやつが脚本の練習をする作品じゃないんだよ。練習するならスポンジボブの脚本でもやってろ。まあ前半クソ作画にしておいて後半で作画を良くして大きな戦闘を際立たせる方法を取っているのかもしれないが初手で興味を惹けなかった時点でどのみち期待外れだ。EDとOPは個性的でその部分では成功している。しかしアニメがメインではなく中堅バンドを有名にするための材料にしているようにしか感じない。声優と音楽及びOSTは申し分ないのに上の人間が無能だと全てを台無しにする。

{netabare}
追記:5話目を見ました。
色々お粗末な点が目立つようだ...
・ガギグゲの死亡シーン、あれは子供向けか?
・基本的に強いはずのグールがクソ弱い。まったく脅威に感じない。
・「さすがは鈴屋、早すぎるな..」ど、どこがでしょう?
・ビッグマダムが瓜江を加えてるシーン、作画一枚。
・幕の引き方も「次回!さっさんvsオウル!」みたいな引き方。

オウル目当てで最後の期待をして見たみたけど...やはりこれはひどい。どうしてしまったんだ東京喰種は...東京喰種ファンの方々は√Aのとき作画と物語構成のひどさに落胆したでしょう。しかし:Reがアニメ化することが分かり何年も待ち期待を寄せたはずです。アニメ放映前のPVの雰囲気もとても素晴らしく「あの失敗からしっかり切り替えて良いものを作ってくれるはずだ...!」と誰もが信じて楽しみに待っていたでしょう。しかしこれだ。√Aで作画がひどい回は何度かあったがそれが毎回繰り返されているような劣化度合い。まるでこんな素晴らしい漫画を新人社員の絵の練習に使っているかのようなクオリティ。一秒間の作画枚数もボブネミミッミと大差ないと思ってしまうようなてきとうっぷり。一枚一枚の絵はとても綺麗なのに頑張って絵を描いている作画班が可哀そうだ。脚本を作画を規制をもっと本気で取り組んで作っていたら来週が待ち遠しくなるような本当に緊張感ありの世界観抜群の素敵なアニメになったと思う。予算がなくて十分な人材を雇えないなら無理に作らない方がいい...悲しくなるだけだ。前回の√Aから有馬とエトのところだけ作画枚数増やせばいいやみたいなノリが垣間見えてるぞ。これはあれだな、「アニメ化アニメ化うるさいから仕方なくしてやるよ。言っとくけどリゼロやけいおんみたいに円盤売れてねえんだよ。ひどいクオリティのものが出来てもお前らのせいだぞ?まあアニメ作る目的は漫画買ってもらうためだから低予算でアニメ作って興味だけ引いて漫画の売り上げゲットして採算とるねん。とりま見ろや。あと金木人気で女子層が増えてきてるからちょっとグロいのは良くないかなーって感じですわぁ。まあ名言はちゃんと入れといてやるから我慢しろや。グロは無しやけどな」と喧嘩を売っているようにしか見えない。どんどん予算が無くなってきてるのかねぇ…闇が深いよこのアニメは。今までアニメのみで追ってきた人はぜひ漫画で読んでみてください。もし宜しければReからでなく東京喰種7巻からの閲読をお勧めします。と私みたいな人間に言わせて漫画に誘導するようにわざと低クオリティのものを作ったのか...まあ深読みしてても仕方ないw とにかく漫画の方は目が飛び出るほど物語も絵も素晴らしいのでぜひ目を通していただければ幸いです。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「東京喰種√A」の2年後を描く新章がこちら…

この物語は「東京喰種」の3期に相当する作品です。
この段階で、2018年の10月から第4期の放送が決まっているので、本シリーズを「起承転結」になぞらえると3期の本作は「転」に該当する訳ですが…
今回の物語は、これまでに比べると相当ぶっ飛んでいたのではないでしょうか。

まずビックリするのは主人公…
これまでの主人公は「金木 研」でしたが、今期の主人公は「佐々木 琲世」という人物なんです。
しかも、天ちゃん演じる霧嶋董香が居ない…
加えて「あんていく」時代の馴染の顔も殆ど出てこないし…
唯一思い出したのは、残虐非道なまでに喰種を駆逐した真戸呉緒の一人娘の真戸暁くらい…

この物語は「東京喰種√A」の2年後を描いた作品になっているそうですが、実際に「東京喰種√A」が放送されたのは2015年の冬アニメ…つまり3年以上も経過している訳です。
それだけ間が空くと記憶も曖昧になります。
だから、今回は過去を思い出しながらの視聴となりました。

この物語の主人公は佐々木 琲世…
彼は喰種捜査官…そして喰種の能力を持った「クインクス」と呼ばれる4人組の班を統率しています。
だから、喰種だった金木とは立場が真逆な存在…ということになります。

喰種捜査官はずっと敵だと思っていました。
だから正直最初は違和感がありましたけどね…

ですが、佐々木 琲世自身に潜む影と、彼が率いるクインクスの4人組が良い味出していたと思います。
以下に紹介します。

瓜江 久生(CV:石川界人さん):出世意欲が最も高いのが特徴。まぁ、それにもちゃんと理由があるんですけどね。普段、あまり口の良い方ではありませんが実は仲間思いの良いヤツだったり…

不知 吟士(CV:内田雄馬さん):ギザギザの歯が特徴。見た目とは裏腹に仲間意識が強く、仲間の安全を最優先にする格好良いヤツです。大切な身内が罹患した難病を治すべく、治療費をセッセと稼いでいます。

六月 透(CV:藤原夏海さん):褐色の肌と右眼の眼帯が特徴。普段から物静か…でも、喰種捜査官としての能力は、この4人の中で一番向上したのではないでしょうか。

米林 才子(CV:あやねる):クインクスの紅一点であり、本作の中で一番愛らしかった存在です。普段から半分ニートみたいな引きこもり生活を送っているのですが、当然捜査官としての任も全うします。CVがあやねるだったから…だと思っているのですが、登場した時の存在感が半端ありませんでした。

佐々木 琲世自身に潜む影…については、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
物語の核心に触れる部分だと思いますので。

繰り広げられるのは、人間と喰種の戦い…
視点を真逆に変えても、この部分だけは微塵の揺らぎもありませんでした。
相変わらず人間は喰種の事が大嫌いで、事あるごとに殲滅を企てる…
そして喰種は生きるため…普段はひっそりと暮らしていたとしても、喰種である本能には逆らえないから…
だから彼らは生きる居場所を求めて戦っています。
まぁ、人間側も喰種側も一枚岩じゃないんですけどね…

喰種が怯える事無く安心して生活できる日は来るのでしょうか?
今回も血を欲しているのは、どう考えても人間側にしか見えませんでした。
人間は自分が生きるために他人の血は必要ない筈なんですけどね…

初めから次期を意識して作られた作品なので、次期への布石もしっかり打たれていましたよ。
チラッと董香の姿を見る事ができました。
「物語もいよいよ大詰め」って感じが伝わってくるようです。

オープニングテーマは、Cö shu Nieさんの「asphyxia」
エンディングテーマは、女王蜂さんの「HALF」
個人的にはオープニングが好みでした、前奏のピアノの旋律がとても印象的です。

1クール全12話の物語でした。
役者が揃いつつあります。
これからの物語の展開が楽しみです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人も喰種も哀しみを抱えているんだよね

2018.06.24記


原作既読 1期2期は視聴済
原作「東京喰種:re」1巻からだいたい5巻くらいまでを1クールでまとめました。

※以下、無印(1期2期)のネタバレは隠してませんのでご注意を。

主人公はカネキくんから佐々木排世にスイッチしてます。
そのへんの事情は1期2期または原作の無印版をおさらいしときましょう。いきなり:reから入る方はいないと思われますが、前を知らないとよくわからないと思います。

:reはこれまでの喰種側の視点の物語展開から一転して人間側からの視点で進行します。
東京喰種は何が善で何が悪かの問いかけをぐいぐい観る者に迫ってくる良作だと私は思ってますが、その意味でこの視点の変更は必然だったのかもしれません。

そんなこんなで主にCCG視点で話は進むのですが、たまに登場するあんていくの面々が、これまでより魅力的だったりします。やはりああいうことがあって、生き残ったメンツそれぞれが哀しみや憂いを纏っております。例えるなら、北斗神拳の究極奥義・無想転生発動中のケンシロウといえば、おっさんにはわかるでしょう。
とりわけトーカさんが艶っぽくなっており、1期の序盤のイライラ娘っぷりを知ってる私たちにとっては隔世の感があります。すっかり大人の女性です。


全話観終わって、、、
続編ありきの構成だと原作のどこらへんで区切るか?というところがポイントではありました。無印1期の終わり{netabare}(白カネキ覚醒シーンまで){/netabare}を彷彿させるような終わらせ方だったのは良かったのでは?これは好感です。
それと前作と比較してもバトルシーンが多かったような。

悪くはないんですが、もう少し感情描写や内面の葛藤を深掘りしてほしかったような気がします。排世の葛藤シーンもあるにはありましたがすっと入ってこない。{netabare}ここで決めろよ的なキラーチューンw「unravel」の挿入も空振りした印象{/netabare}

そんな中で印象に残っているシーンは

{netabare}■トーカが開いた喫茶店で排世(カネキ)と再会するシーン。月並みですが、ちょー美しかった。
■7話あたり、ヒナミのカネキへの想いがなんともけなげで泣ける。{/netabare}


3か月ほど間を開けて最終章をやるのでそこでスパートかけるものと期待します。登場人物も増えてぐちゃぐちゃになって面白くなってくるはずなので2クール分くらい尺とってしっかり作りこんでほしいですね。

これはそのための準備運動みたいな位置づけかと。



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2018.11.11追記
《配点を修正》

この前原作をやっとこ完走しました。
無印か2期√aのどっちかのレビューでも言及してたかと思いますが、私アニメも原作も両方好きで、:re1クール終了時点でもそれは変わらずです。
巷では1期をピークに失速した評が多いように見えますが、私は最後まで付いていきますよ。


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2019.07.01追記

視聴時期:2018年春クール(リアタイ視聴)

CCGに新規キャラわんさか登場してくるため、アニメオンリーだとキャラの名前を覚えるのがたいへんなのは事実。まさに原作推奨なのですが、本シリーズに限らず「原作読め」はよく言われることなので、それ以前にアニメだけで理解を促す努力が制作陣には求められてたと思います。続く4期最終章では名前にテロップを出すなど改善が見られたので、それをここでもきちんとやっておけばと悔やまれる結果に。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 32

67.9 22 不気味アニメランキング22位
ゴーストハント(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (437)
2311人が棚に入れました
舞台は、主人公・谷山麻衣が通う都内の高校。
旧校舎で心霊現象が発生し、渋谷サイキックリサーチという心霊現象の調査事務所が調査にやってくる。事故で助手に怪我を負わせ、高価な機材を壊してしまった麻衣は、弁償する代わりに所長・渋谷一也の助手の代理をすることになるのだが…。

声優・キャラクター
名塚佳織、泰勇気、成田剣、浜田賢二、釘宮理恵、岡本信彦、鈴木真仁、岡野浩介

ほるん吹き さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

本格的なミステリーホラー

主人公の麻衣は、「渋谷サイキック・リサーチ(SPR)」という事務所でバイトをしている女子高生。所長は麻衣と同じくらいの年の少年・ナル。SPRでは依頼のあった心霊現象による様々な事件を、霊能者らと協力しながら調査している。

物語は全25話、大きく分けて8つの話があります。心霊現象による事件の内容はポルターガイストや呪い、祟り、超能力にまつわる話などなど。

この作品は、単に「心霊現象コワイ」といった恐怖の演出があるだけではありません。
この事件を起こしている亡霊の正体は○○だ!と確信して徐霊に踏み出すも、全く見当違いで逆に返り討ちに合うなどと、事件の真相には裏があったりして推理物の要素も強いです。さながら「心霊探偵」といったところ。犯人を亡霊に置き換えた「金田一少年の事件簿」のようでした(例えが若干古いですがw)。

心霊現象を調べていく手段として、高感度カメラや集音マイクといった精密機械を使って、科学的に分析していくのは斬新でした。怪現象が起きるとノイズやカメラの映像の乱れ、温度の急激な変化などがおこり、データとして記録されるので妙な説得力があります。それをもとに類似の例や過去の事件などと照らし合わせ、調査を進めていきます。

でもいざ亡霊に襲われた時や、徐霊・浄霊するときに活躍するのはやっぱり霊能者たち。その仲間たちは坊主、巫女、エクソシストなど様々。肩書きだけ聞くと何だか堅苦しいイメージの人々ですが、実際はもっとくだけた人たちです。



せっかくなので、簡単に主要キャラの紹介もしておきます。


谷山麻衣:
元気いっぱいの明るい性格で、困ってる人を放っておけない、まさに主人公気質の女の子。

ナル:
イケメンな所長。クールでナルシスト。プライドが高く毒舌だけど、心霊現象に関する知識は豊富。

リン:
ナルの片腕的存在。何考えてるか分からない長身で寡黙な中国人。中国呪術を使います。

滝川法生:
長身長髪で陽気なぼーさん。見た目はチャラいけどいざというときはすごく頼りになるみんなの兄貴分。お札や念仏などの法力で徐霊します。

松崎綾子:
ド派手な衣装と化粧をしてる、色々と騒がしいおばさ…お姉さんの巫女。いまいち能力を発揮できないけど、条件さえ揃えばその力は絶大。

ジョン・ブラウン:
悪魔祓いが得意なエクソシスト。なぜか怪しい関西弁をしゃべる、綺麗な顔した外人さん。温厚な性格。聖書や聖水などを使います。

原真砂子:
プライドの高いクールな着物少女。霊を自分に憑依させる、口寄せが出来る霊媒師。


ナルとリンさんはちょっと冷たい感じですが、普段は基本的にみんな仲が良く、キャラクター同士のやりとりもおもしろいです。
麻衣と真砂子はナルを巡って恋のライバル(?)といった関係で最初は仲が悪いですが、様々な事件でピンチの際に助け合ったり、互いの苦悩を理解しあったりしていくうちに仲良くなっていきます。デレた真砂子可愛い!
ちなみに、麻衣とナルは霊能力がないように見えて、実は色々あるんですがネタバレになりそうなのでここでは伏せておきます。



作中では多くの心霊現象や霊能術が出てきます。専門用語とか出てきてちょっと混乱しそうですが、ナルをはじめ専門家の方々が素人である麻衣に説明がてら、視聴者にも詳しく解説してくれるのでその点は心配ないと思います。色々盛りだくさんなので、ホラー好きの方はぜひチェックしてみて下さい!


長々と駄文を書き綴ってしまいました…。ここまで読んで下さった方々、ありがとうございましたm(_ _)m

投稿 : 2025/01/04
♥ : 18

斎 美織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

夏になり…

アニメから入りました。
夏になり、ホラー系の物が見たいなぁと思い探して見つけました。
原作は小野不由美さん作の『悪霊シリーズ』と言うものです。
後私は学生時代これを視聴したので学校の図書室で
メディアファクトリーから出版された小説と
講談社X文庫ホワイトハートから出版された『悪夢の棲む家』を読みました。

なかよしで漫画化されていたりと、
どちらかと言えば女性向けアニメだと思います。

主人公は女子高生ひょんなことから
自分の通っている学校に幽霊が居るかどうか
調査に来た霊能者たちと関わっていき心霊体験をするというもの。

主な要素はホラー、ギャグ、恋愛です。
心霊体験をしつつ高まる恋心!
けれどその恋も一筋縄じゃ行かないんですよね…
詳しくはネタバレになるので書きませんが
主人公が想い人だと思ってた人は本当は…!
という展開です。

そんなに怖くないだろうと思っていましたが
アニメ18~21話の『血塗られた迷宮』はホラー苦手な人なら
軽くトラウマものかも…というくらいには怖いです。
けれどすっごく怖いのが見たい!って人は
かなり物足りないかも知れません。

ですが、内容は興味深く
心霊現象を機械を使い調査するなんて場面が出てきて
幽霊なんか居ない呪い何て存在しない超能力者は嘘つきだなど
否定するのかな?と思いきや、逆に
科学的に確かに変化が存在し説明しえない何かがある!
と証明して肯定しているのが新鮮でした。
実際主要メンバーの中には特殊な力を持っている人が多数存在します。
そして調査の末怪奇現象の原因は霊の所為だけではなかった!
なんて時も。

キャラクターは個性的で素敵な人が多く
作画も声優さんも申し分ないかと。
物語が進むにつれ出てくる謎、あの人の過去…等々。
キャラクターを好きになれば気になって
続きが見たくなると思われます。
個人的にはとても良作で夏になると何度も見返しています。

個人的な推しメンはリン(本名:林興徐)です!
クールで堅物だと思っていた彼の笑顔や戸惑った顔がたまらない!!!
って人はきっとこの人好きになると思いますよ。

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以下原作宣伝的な書き込みなので興味ない人は読まなくてOKです!


怖いのが見たいという人にはアニメよりも原作をお勧めします。
ただし、『悪霊シリーズ』は主人公視点で話が進んでおり
文章の所々に主人公の心の声などの描写が多くみられ、
好き嫌いの分かれる書き方になっているのでご注意です!
けれどアニメ化されていない部分も是非是非読んでほしいので
秘密などが明らかになる7巻は必見です!
『悪魔の棲む家』は『悪霊シリーズ』と文章の書き方が大幅に変わっており
此方は文章的には問題なく読めると思います。
そして、此方の方が怖いです。ちょっぴりグロ注意。

残念なのは続編が期待できない事です、
『悪魔の棲む家』を読んだファンから作者の方に
私達が思っていたのと違う!などの意見が多く寄せられ
ファンの望む物語は書けないとの事でシリーズが中断してしまいました。
私としてはリンというキャラが推しメンなのですが…
彼余り出番がないので、これから続けば出番が有るかも!
と思っていたのでとても残念です。

文句をいう人も居るみたいですが私としては
とても素敵で大好きな作品の一つです。
皆さんも宜しければご視聴ください!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 3

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

見逃してたら勿体ない!原作:小野不由美の本格的ミステリーホラー作品!

『十二国記』『屍鬼』で有名な小野不由美の小説原作。
原作未読。全25話。2006年放送。

心霊現象調査事務所「渋谷サイキック・リサーチ(SPR)」の仲間たちと、依頼人から持ち込まれた心霊現象を解明していく物語。

依頼事にFile分けされており、8つの事件を解明していきますが、後半に描かれる事件ほど段々にホラー度サスペンス度が増していきます。File7「血塗られた迷宮」とFile8「呪われた家」は本格的に怖かった。夜中に見ると本気でゾッとします。
12話以降のストーリーは特に続きが気になる展開が多く、夢中になって視聴しました。とっても面白かったです。

ゴーストハンターというタイトルですが、イメージ的に子供向けの妖怪退治の話かなーと思ってたけど、これは子供が見たらトラウマになるレベルのホラーさです。
怨念、祟り、呪い等、日本ならではの薄気味悪さ、じっとりとした怖さを見事に表現していて、ご都合主義ハッピーエンドではなく、後味が悪く謎が残ったままなのもTheジャパニーズホラーって感じで非常に良かった。
お坊さん、巫女さん、エクソシスト、霊能者などが出てきますが、日本の伝承や退魔法、霊的な現象に対する科学的な話までひろーく知識をつけてくれるような解説シーンがちゃんとあるのも楽しめたポイントでした。面白かった。

この作品の魅力は音楽にもあります。OPとEDも独特の恐怖感を煽るような曲、そして作中の怖さを倍増させるBGM、効果音。絶妙で怖かった。より作品に没頭する音楽でした。素晴らしい。

キャラについて、ヒロインはちょっとウザったい時もあったけど、頼りになるかっこいいお坊さんがいたので全部チャラになりました。ぼーさんかっこよすぎた。後半に出てくる安原くんも頼りなるし頭がいい立ち回りするからとっても好き。
作中で1番顔がいいと言われてモテてたナルの良さはイマイチ分からなかったな。

2006年放送の古い作品ですが、今見ても見劣りしなき紛うことなき名作でした。とっても面白かった。前半軌道に乗るまでちょっと時間かかりますが、後半からの物語はとってもオススメです。ホラー作品サスペンス作品好きな方にはぜひ見て欲しい。ジャパニーズホラー好きな方オススメです!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12

66.7 23 不気味アニメランキング23位
地獄少女 二籠 -ふたこもり(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (375)
2190人が棚に入れました
最近、巷に或る都市伝説めいた噂が流れていた…。深夜0時にだけアクセスできる「地獄通信」に怨みを書き込めば、どこからともなく「地獄少女」が現れて、憎い相手を地獄に堕としてくれる。地獄少女は全てを見通すかの様な涼やかな瞳を相手に向け、ただ一言告げる。「あとは、あなたが決める事よ」と…。掟に殉じて地獄流しを続ける地獄少女――だが、彼女の前世での出来事と相まって、いつしか少しずつ心境に変化が起こり始める。そして物語の終わりは誰も想像できない出来事だった…。
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

浮世は地獄 胸糞悪さ Level up!

本作はスタジオディーンが3期に亙って手掛けた「地獄送り」をテーマとした作品の2期目である。
本作からの視聴でも差し支えないが、出来れば1期からの視聴をお勧めする。
1期は6話から話の進展があったが、今回は22話まで殆どパターンアニメと同等の作りである。新たな登場人物「きくり」の登場や、1話ずつ三藁の過去に纏わる話が用意されている。
1期の視聴で慣れた所為か、憤りを覚える(理不尽なという意味ではない)展開が減少し、胸糞悪さが向上した。この点は非常に評価したい。シュールな演出も増えてよかった。
ただ、「きくり」が小生意気で小癪な子供で鬱陶しく感じた。



基本的なコンセプトは『必殺シリーズ』を元に「法で裁けぬ、晴らせぬ怨みを依頼者から引き受け成敗する」というものである。
依頼方法は『ゲゲゲの鬼太郎』を彷彿させるもので、ネット上に深夜0時に怨みを持ったもののみアクセス出来る「地獄通信」に依頼者がアクセスし、
怨んでいる相手の名前を入力すると、即座に地獄少女が現れ、首に赤い糸が結ばれた「藁人形」を渡し、地獄送りの手順を説明するというものである。
本作はただ怨みを晴らして(相手を地獄送りにして)お仕舞いという安易なものでなく、
「依頼人自身も命に匹敵する代償を支払う」という本作独自の設定がある。
そうした作風について、制作側は「“人を呪わば穴二つ”の言葉の様に、依頼者の人の命を奪うという願いには、それ相応のリスクが必要である」と語っている。地獄流しに出来る相手は1人のみで、一生に一回しか使えない。

地獄流しの手順

①怨みを持つ依頼人が地獄通信へアクセス、名前を入力
②地獄少女が現れ「首に赤い糸が結ばれた黒い藁人形」を渡す
③相手は即座に地獄送りにされるが、依頼者も死後地獄へ行く旨を依頼者に伝え、依頼者の判断に任せる
④依頼者が糸を引いた場合、場合により対象者は三藁にパラレルワールドで仕打ちを受け、罪を認めるように促す。
(認めても認めなくても地獄には流される)
⑤対象者は舟で三途の川を越え、地獄へ流される


怨みは怨みの連鎖を呼び、留まることを知らない。人の世が続く限り怨みは消えない。只、人を怨むことは楽しいことではないので、進んで行うことはない。よって余程の事が無い限り人を怨むことは無いのだ。本作は遊び感覚で地獄通信にアクセスする描写があるがこれはとんでもないことだ。
例え怨みを晴らしたとしても、傷ついた心が癒えることや、無くなったものがかえってくることは無い。そのことが分かっていながらも溜飲を下げるために、遣る瀬無い気持ちを鎮めるために、人は人を怨むのである。

人を呪わば穴二つ
一つ目の穴は「自責の念」。人を殺したという強い認識は死ぬまで付きまとい身を蝕んでゆく。怨みの元と成った傷が癒えることがあっても、この認識が消えることはない。
二つ目の穴は「怨んだ者の周囲の念」。自分が怨んだ相手が、誰に対しても腐れ外道であることはほぼ無く、相手にも家族が居て、信頼している仲間がいるのだ。その人たちの怨みも消えることは無い。

因みに本当の語源は依頼者と対象者二人とも地獄(穴)行きという意味。


本作はしかも怨みを晴らすことを他人まかせにし、自分では一切手を出さないという汚い手で怨みを晴らす。代償として死後地獄に送られるが、これでは安いものだ。他力本願は時に罪なことである(私は浄土真宗(笑))。
特に本作の場合
①自ら怨む相手を殺害することにより殺人の実感を得る。
(他人に依頼する場合、金銭で埋め合わせが必要。)
②殺人の罪に問われるまでは、逮捕に怯えること、
捕まってからは罪刑法定主義に則った裁きを受ける(刑事面の裁き)
③殺人者の家族、親類は必ずと言って良いほど世間で差別・迫害され、縁者への迷惑など社会的責任を負う(民事面の裁き)
④殺人者は死後、極楽浄土(キリシタンの場合、天国)へ行けず、地獄へ落ちる。

これらの①~④の項目の内、地獄少女に依頼する事により、①~③から免れることが出来るのである。しかも、地獄少女への依頼は、「積年の怨み」のような重い怨嗟でなく、「気に入らない」「嫌い」「邪魔」などの軽い憎悪でも簡単に行うことが出来ることも安易な依頼へ拍車をかけている。

・「悪魔の子」事件について
{netabare}
「あれれー可笑しいぞー?」な展開。今まで依頼人の精査と言って依頼人の素性を調査し、その怨みを引き受けるか否か、一々丁寧に考えて仕事を引き受けていたのに、流れ作業の如くガンガン依頼を受け入れていて、可笑しく感じたのは私だけではないだろう。以前にも増して「怨み」とは程遠い理由から地獄送りにする街の人々。「腐ってやがる」としか言いようが無い。何故失踪事件と「悪魔の子」を繋げようとするのか。
地獄送りは全て「悪魔の子」の所為にし、自分は安穏と暮らす(死後地獄行きなんですねどね)。「悪魔の子」という依り代の元、日頃の鬱憤が爆発し地獄通信に依頼が殺到した。自警団の組織も「悪魔の子」というブランドの保持の為。
我慢ならないのは、何故
蓮江保晴→飯合誠一
飯合蛍→紅林拓真
の怨みが成立するのか。全く怨んでなどいなかったろ。
ラストは飯合誠一は死亡。自警団は逃走し、蛍は植物状態というBAD ENDだった。蛍は自業自得かな。
集団真理の恐ろしさを描こうとしたのだろうけど、少々稚拙感が拭えなかった。

最期の地獄少女の決断には感動した。400年経ってやっと理解出来たようである。拓真がかつての自分とリンクして、ジレンマに苛まれたのも理解できる。
拓真に「人を怨んではいけない」ということを諭し、自らは虐げられている彼女は、村人を虐殺したころとは別人である。

柴田一の書籍の登場と、柴田つぐみの登場は嬉しかった。
つぐみの年齢から推測して、1期から少なくとも15年以上は経過している。

人間、些細なストレスに晒されることは当然なのだ。ストレスの捌け口として趣味を作ったり、旨い物を食べたり、酒を飲んだり、旅行に行ったりと楽しいことをする。
人生に於ける幸福と不幸の割合は、天寿を全うした場合、等しく分配されているのだ。今、不幸な人は近い将来、必ず幸福が待っている。今、幸福な人は近い将来、不幸が待っているかもしれない。人生を懸命に生きていれば至極当然の摂理であるのだ。会社の上司が憎い、姑が憎い、自分の気持ちを受け入れて呉れないあの人が憎いなどといっても、自分が憎んでいる対象が腐れ外道なことなど殆ど無く、その人も昔は憎い上司が居たり、憎い姑が居たり、自分の気持ちを受け入れて呉れない人が居たりしたはずなのだ。
あの程度の事で地獄送りに出来るのであれば、私も100回以上流されているのではないかと思ったりした(笑)。
{/netabare}

・地獄少女について
{netabare}
1期2期と視聴して、地獄少女が何故、この様な仕事をさせられているのかは大体理解出来た。人間誰しも自分が一番可愛い。自分の肉親を思うのも自分の遺伝子を守る為の愛情である(なんて言うと大袈裟なので取り消す)。地獄少女の憎悪は正に他人の不幸を知らなかった為に、「何故自分だけがこんな酷い仕打ちを受けなければならないのだ」という感情から生まれたものだ。「十二国記」でも出てきたが、自分が一番不幸であると妄信し、他人に否定されるとこの上なく憤るのである。「こんなに不幸な自分をこれ以上虐げるか」と思うのである。不幸であると思うことは幸福であると思うことと同じくらい気持ちのよいものだ。他人の不幸を知れば、自ずと自分との対比が出来る様になる。閻魔あいを地獄少女にした意図はここにあるのではないか。
{/netabare}




本作は観ていて余りに不快だった為、各話毎に私の主観によるコメントと評価を付けた。
{netabare}
あくまで"主観"であるので、一切のクレームには応じない。
また、視聴後で無いと全く理解出来ないので悪しからず。

依頼人=被疑者=疑とする
対象人=被害者=害とする
得点は善:悪とする
話数の脇にある(18)は依頼人が18歳未満の意

1話(18)
疑:恩田麻紀 害:神代瑛子 70:30
精神的に追い詰められただろうけど、親や教育委員会に相談出来たはず。理科準備室に入ってからは、もうしょうがない。塩酸掛けられちゃああする他無い。被害者は腐れ外道。
あの友達も・・・
2話(18)
疑:倉吉弥生 害:男 100:0
妹は何故犯人ではなく姉を怨んだのか。自分を守って呉れなかったからか。一緒に居てもどの道死んでたと思うが。
この娘もいつまでも両親に淡い希望を抱かせて無駄な時間を浪費させずに警察に通報して水死体揚げたらどうか。
3話(18)
疑:坂入多恵 害:花村弓枝 60:40
この依頼者の女の子は変わった愛のカタチを持っていた。
しかし、被害者の女も、向こうから惚れてきたのだから、そこまで酷い女でもないと思うが。
4話
疑:八木沢修一 害:翔貴 70:30
まず病室代が工面出来ないのなら素直に諦めるべきだった。別に病気を治す金が必要な訳では無かったのだから、犯罪に手を染めなくても良いだろ。被害者も腐れ外道だったが、犯行を提案している時点で気づけ。奥さん哀れな最期。
5話(18)
疑:山田麗音 害:橋爪力也 50:50
最近流行のDQNネーム。「名は体を表す」とはよく言ったもので、名の通りのDQN君だった。馬鹿なので憎めない?(それはないか)ところがあった(最期に犬を避けたこととか)。
女性を物扱いし、先輩を地獄送りにしたところまでは良いが・・・
最期のキクリの、死体に彼岸花撒いて「ウハハハハウヒヒヒヒ」という場面は不覚にも笑ってしまった。
6話(18)
疑:新田紀和子 害:杉田宏久 80:20
この被害者も腐れ外道。
ストーカーの細野颯太君が自分で怨みを晴らしにいったのは、大変評価している。やはり自らの手で晴らすのが一番道理に則っている。
7話(18)
疑:茂木恵美 害:茂木和子 70:30
被害者が腐れ外道で無いだけに胸糞悪い。
あの母親も哀れな人だが、あの息子も娘も哀れだった。
最終的に可愛そうなのは親父。地蔵の首接着しとくよーに。
8話
疑:馬場翔子 害:栗山真美 90:10
被害者腐れ外道。割と良い話だった。
9話(18)
疑:須崎真帆 害:須崎幹夫 60:40
これも割りと良い話。愛のカタチを間違えた兄妹の末路。
やっぱり兄妹ラヴコメのようにはいかんのだね。
10話
疑:豊田八六 害:根来哲郎 30:70
あの程度のことで流すな。哲ちゃんの周りに居た女性の方がよっぽど怨みを持っていて可笑しくないはずだったが、
哲ちゃんの人間性から怨まれることは無かった。
11話
疑:天城志津子 害:立花今日子 70:30
ネコステロ→ネコカエセにしていたら変わったかもしれない。
12話
疑:伊藤道郎 害:亀岡一人
今まで観てきた中で一番感動した。事故の要因はジイさんじゃなくて道路の方だろ。
13話
疑:久住喜八 害:牧村達彦 60:40
野次馬にハラが立つのは仕方が無い。死体を平気で写メにする様な腐った日本人が増えてしまった。これは戦後教育が影響し(ry(語ると1万字軽く越えるので)。犯行に串を使うのは足がつくから止めておいたほうが良いだろう。最期に娘の目が覚めるという展開は良かった。キクリNice!
14話
疑:吉原さやか 害:柿沼敏也 70:30
キクリ「怨んでるの?ギタギタにしたいの?流しちゃえ!流しちゃえ!」

「悪魔の子」事件の発端。柿沼のオッサンは只の僻み根性で友達を気取っていたのだ。自分で売り込んで仕事獲れよ。
あの性格じゃ怨まれるのは当然。逆恨みは止めなさいといいたいね。しかし、「悪魔の子」事件はあの男があのタイミングで消えたことが原因だから、あの男の責任は重い。
15話
疑:菅野春美 害:菅野郁志 80:20
この親父も腐れ外道。選挙の後援もいいけど仕事しろや。
あの奥さんもよく辛抱した。
16話
疑:辺見蘭 害:上月マツ 80:20
因果応報。男は選ばないとね。犯罪に手を染めた時点で負け。共犯者の目の前で「自首します」なんて言ったらああなるでしょ。
17話
疑:千脇穂波 害:千脇平太郎 90:10
親父がDVじゃ、流してもOKでしょ。しかし、娘に真実を話さなかったことは痛手に出た(まあまだ話すできではないが)。
母親として、あそこで死んだら娘が可愛そう。
18話
疑:武田公平 害:武田美千代 40:60
これは良い話だった。皆苦しんでいた。正解は無い。
19話(18)
疑:たみ 害:嘉平 90:10
疑:湯元百合江 害:藍田伊智子 80:20
悪いことは出来ないということだ。
20話(18)
疑:森内樹里 害:藤巻真理 50:50
愛情と憎悪は表裏一体。でも一緒に地獄に行くことを選択するとは。地獄ってそんなに生易しいもんじゃないはずなんだけどなぁ。
21話
疑:来生洋子 害:都丸誠 90:10
これは納得。
22話
疑:蓮江美鈴 害:水谷せり 40:60
悪いことは出来ないということだPart2。
{/netabare}

観ていると不快になること間違いなし。しかし何処か引き込まれている自分が居る。鬱アニメと言うが私は鬱要素は全然無いと考える。胸糞悪いだけ。良くも悪くも人間は元来業の深い生き物だということだ。複雑な思いが交錯し、綺麗事で終わっていないのが救いである。愛情と怨嗟は表裏一体。
四苦八苦の内、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦が象徴的に現れていた。余計な話を作らないで「悪魔の子」事件にもっと話数を裂いていたら評価は格段に向上しただろう。
3期も是非観てみようと思う。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 21
ネタバレ

makkotty さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あとはあなたが決めること・・・。

 すごく理不尽で、悲しくて憤りを覚えたり、マイナスな感情を揺さぶる作品です。
 これを見ると・・・これを見ちゃうと自分に起こった不幸なんて些細なことで大したこと無いと思えてくるから不思議です。

 今、幸せな人にはこの作品はおすすめ出来ないです。
 もし、自分のことを不幸だと思うならこれを見て見ると良いかも知れないです。救われたような気がします。
 
 恨んでもいい・・・でも人を恨んでも良いことは無い。

 前向きに生きていきたい人には必要ないけど後ろ向きに生きてきた人にはおすすめな作品です。
 人生、四分の一ちょっとしか生きてないけどそんな格言めいた事を言ってみました。



以下はネタバレなメモです。
見た直後に憤ったこととかを書いたものになっています。
内容に触れているので・・・。
見た人だけ見ていただければ幸いです。
{netabare}

 なんであの時ああしなかったんだと・・・思うところが多い。
 何であのとき悪い奴をすぐに地獄へ流さなかったんだ・・・。そうすれば後の不幸は全部無かったのに・・・と思ったり。
何でちゃんと話し合わなかったんだ・・・そうすれば解決出来たはずなのに・・・。
何であのときその場にいた奴全員を殺さなかったんだ。
武器を持ってたのに・・・妹が殺されそうになったのになんでしなかった。だから自分が地獄に流されたんだ・・・。
 そうすれば殺されずに済んだのに・・・。妹が植物状態にならずに済んだのに・・・。
 妹に罪を背負わせずに済んだかもしれないのに・・・。
 その悲しみは無かったかもしれないのに・・・。
 正義感でそれをしないなんてどういうことだって思った。



―――ここからネタバレであらすじを語ります。
 覚えておきたいストーリーだったので・・・。
 読んで見るかどうか・・・あとはあなたが決めること・・・。


 例えばアパートの隣人と猫を巡る話。
 一人暮らしを始めた生活が寂しい若い女性の唯一の楽しみが割とかわいい野良猫にエサをあげたり世話したりすることだった。
 ペットを飼ってはいけないアパートだったのでそういうことに対して良くないと言う人もいるかもしれない・・・。
 隣人はこの若い女性が猫の世話をするようになってからこの 人に対して物凄い嫌がらせをする。お寿司とかピザなどの出前を大量発注したり通販で勝手に多くの注文をしたり。
 無言電話をかけたり・・・。
 まるで憎んでいるかのような仕打ちをする。
 その一つ一つが若い女性を精神的に追い詰めていく・・・。
 若い女性もそれほど収入が多い訳ではなく。すぐには引っ越せない。だからお金が貯まるのを待って猫を連れてここから出ていくから許して欲しいと訴える。
 そして隣人はこの猫を殺してその生肉を女性の部屋の前にビニール袋に入れて置いておく・・・。
 そのスーパーのビニール袋の絵の顔の笑顔がすごく不気味だった。


 ここまで読んでくれた人でまだ見てない人はきっとこんな隣人なんて流されて当然だと思うかも知れない。
 でもそうじゃなくて、隣人は孤独で猫だけが寂しさを紛らわせてくれる存在だったのです。
 その猫が自分から離れて若い女性のところへ行ってしまったことが切なかったので嫌がらせをしたのです。
 話せば友人になれたかも知れないのに・・・隣人はそれができない・・・そんな気持ち悪いおばさんでした。
 ちなみに11話です。


 近所から嫌がらせを受けている家に住む少年は『悪魔の子』と呼ばれ、周囲から人が消えていく事件は全てこの少年が地獄通信を使って人を殺しているからだと言われるようになる。

 嫌がらせ(ゴミを投げ入れたり誹謗中傷するようなビラを作って近所に配ったりする)をしていたのは向かいに住む少年の父親の仕事の元パートナー。
 少年は嫌がらせをしてくる人物が誰でどんな奴なのか知らず、自分の家に嫌がらせをして家族を精神的に追い詰める人物を地獄へ流すよう地獄少女に依頼するも契約はせず藁人形を返す。その人物を地獄へ流したりしなかった。
 少年は他人を恨んではいけないと思っているから絶対にそういうことはしない。

 それでもこのお向かいさんは陰険で矮小な人物で少年の父に対して、自分の能力が足りないから仕事がないのにそれを見捨てられたからだと逆恨みしていて、少年の一家が引っ越す事にすると計画通りにボーガンで少年の母を殺害し(喉笛に矢が突き刺さって死ぬ・・・あまりにもむごい)少年に罪をなすりつける。

 少年は証拠不十分ですぐに釈放されるも近所の目はこの少年を犯人だと思い込んでいる。
 母の葬式で真犯人を知り父に話すもこいつがそんなことするはずがないと、確かめに行くが父は向かいに住む男(真犯人)に殺害される・・・(いや、生きてるんだけどね。その場では死んだみたいに見えたし植物状態になる。)
 現場に居合わせた少年の目の前で父が殺害され、少年もこの
真犯人に殺されそうになる。
 その瞬間にお向かいさんの元彼女が藁人形の糸を引き、こいつが間の悪すぎるタイミングで地獄に送られる。
 人間のクズみたいな奴だっただけに恨みを持つ人間が他にもいた事には納得できる。
 しかし、少年は父親の殺人未遂の容疑でも逮捕される事になった・・・。これも証拠不十分ですぐに釈放されるがやっぱり近所の目はこの少年を犯人だと思っているし、お向いさんが作ったビラの内容が少年は『悪魔の子』だという宣伝文句も手伝って『悪魔の子』と呼ばれるようになる。

その後の展開は本気で不幸だった。
少年と仲が良くなった少年より少し年上の未成年の女の子が恨んでいる相手から大金を奪おうとして逆に恨みを買い地獄に流されたり・・・。これだけでもかなり悲しいのにそれがきっかけで少年の周りでは不審な事件がたくさん起きるといわれるようになる。
少年は事件が起きても警察から証拠不十分で釈放される。当然少年は事件を起こしていないし、地獄通信で地獄少女に依頼して契約して流される事件では絶対に犯行現場に証拠が残らないからだ。
そういう証拠不十分な事件がこの『新興住宅街、ラブリーヒルズ』で多数発生するようになる。
それで、地獄通信を使っている人たちはみんなその罪を自分で背負うことなく全て少年に罪を着せ、地獄通信を使って人を呪っても今なら少年の性に出来るからと次々に人を呪い殺すようになったり、少年と目が合うだけで地獄へ流されてしまうと信じる人もどうせ死ぬならと人を呪い殺すようになる。
中でも一番許せないのは自らの罪が発覚することを恐れて自警団を作った連中だった。この呪いの連鎖というかパンデミックを作り出した張本人たちだ。
この人たちがしたことは目も当てられないほどに酷い。
少年の家の前で見張ったりとか何かある度に土足で踏み込んできて少年に暴力を振るうなど・・・。
そして自分たちが罪を着せたくせにその発覚を恐れてこの少年と真実を知り少年を守ろうとする刑事とその妹を殺せば全てうまくいくと信じ、それを実行に移したり・・・。
殺そうとした方法も酷いもので、冬の冷たい湖の手こぎのボートの上に大きな石を少年と少女に縛りつけて乗せ、ボートに穴を開けて押し出す・・・という方法を使って殺そうとした。雪が降り積もる真冬に凍える寒さの中溺れ死ねということだ。
そこに警察官の兄が登場し拳銃を上空に向かって発砲し自警団を追い払い、二人は救出される。
警察官のお兄さんに発覚したため、自警団は罪が発覚することを恐れてお兄さんを地獄通信を使って消す・・・。
そして少女は精神的に追い詰められた末に少年を地獄に流し、後を追って凍てつく湖に投身自殺する・・・。

14話と22話以降のあらすじです。

実は、地獄少女とこの少年はほとんど同じ目にあっています。すべての不幸を一人で背負わされるということです。
地獄少女はそれと同じようにいわれもない理由で村人から迫害を受け、愛する人からも見捨てられ、殺されたことを恨み死霊となって村人を、愛する人以外を皆殺しにしました。その罪で地獄少女になったのです。

同じ境遇を受けた少年を地獄に流そうとしたとき、地獄少女は自分の仕事に答えを出します。その答えが何なのかは良くわからない。見ていた一視聴者の私の答えとしては「何があっても人を恨んで殺したりしたらいけない・・・。こんなことは間違っている。」ということか・・・と思いますが分らないです。続編もあるので・・・それはそれで内容がいいので悪くは言いません。
それが理由で地獄少女はその業から解放され、人間に戻るのです。

結局少年も意識不明だった少年の父親もちゃんと回復しましたが少年の無実を知って一緒に逃亡した少女(女子高生)は意識不明のままどうなったんだろうとも思ったのでちょっと考えました。
地獄少女の世界観て多分神も仏もいると思う。少年は結局誰かを恨みに思っても呪ったりしなかったから少年の父はちゃんと元気になれたのかもしれない。
少年の無実を証明しようとするも地獄通信のことを警察官のお兄さんに聞かれて動揺してそのまま何もせず帰ったあのクズを流した女性が突然の事故で亡くなったり、ジャイアンをもっとジャイアンにしたような不良が女子高生をレイプ魔のヤクザから守るために(理由は「俺の女だから・・・」違うのに。相手の気持ちを無視してそれじゃレイプ魔と変わらないや・・・。)地獄に流したあと、ジャイアンし続けて交通事故で死んだりとか・・・(5話)。
あとVの惨劇とかも・・・。Vの惨劇はミステリな要素も楽しめるのであえて内容は言いません。見返したときなるほど・・・と思います(13話)。
この少年に関しては地獄少女のおかげで契約が切れたのだから多分少女が地獄に送られることはないと思うけれど別の罰を受けて意識不明の状態のまま回復しないのかも知れない・・・と思った。
その罰が罪と釣り合うまでは意識が戻らないのかも・・・。例えばこの事件で生き残った人がみんな死ぬまでとか。
少年が本当に幸せを感じた瞬間とかに目覚めるのかな・・・と思います。

{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「ゆらりゆらりと業の影。哀れな掟め、迷い道。 憎み憎まれひび割れた、合わせ鑑の二籠。 時の交わる闇より来たりて、あなたの怨み・・・晴らします。」

この作品は、「地獄少女」1期の続編になります。
物語の展開上、基本的に1話完結型なので1期を未視聴でもこの作品を楽しめる事はできると思います。
ですが、所謂依頼を請け負って執行する「地獄流し」以外に登場人物のサイドストーリーが存在するのですが、このサイドストーリーは1期から視聴しないと話が通らないので、こちらも含めて堪能するなら1期からの視聴をお勧めします。

都市伝説として噂される地獄通信…夜12時にだけアクセスでき、そこに恨みの相手の名前を書き込めば自分の代わりに相手を地獄に送ってくれる…
でも、その代償として自分も死後地獄に行く事になるので、それを受け入れる事が地獄少女である閻魔あいとの契約の条件…

1期では、様々な地獄流しの中で執行者である閻魔あいが何故地獄少女になったのか…
その様な疑問に応えてくれる物語でした。

確かに1期は面白かったと思います。
オープニングテーマの「逆さまの蝶」も大好き…
ですが、2期を見てこっちの方が圧倒的に面白いと思いました。

地獄流しに至るまでに過程に幅ができ、「地獄少女に依頼=地獄流しの執行」という図式が成立しないこと…
地獄少女に依頼する動機が多様化したこと…
視聴者を飽きさせない工夫・配慮が随所に散りばめられていたと思いますが、一番印象深かったのが三藁の存在と言動でした。

三藁は閻魔あいの付き人で一目連、骨女、輪入道の3人の事を指します。
1期では三藁についてはあまり深掘りはされませんでしたが、2期ではしっかりと深掘りしてくれています。

閻魔あいの指示で執行を手伝うだけの存在…
決して自らの意志や思いを優先させる事は無く、あくまで閻魔あいの付き人に徹していた3人…
私の1期における三藁に対する印象です。

ですが、今期は少し路線が違っていて、三藁の思いや考えが前面に押し出されているんです。
依頼者をずっと見守ってきた3人は、何もかもを淡々とこなすほど、薄情なんかじゃありませんでした。
でも、それはごく普通の感情だと思います。
だって依頼者は閻魔あいとの契約に至るまで様々な葛藤に抗わないといけないんです。
今から自分が行う事は人の一生を左右すること…
藁人形を手にしている、という事は一度でも地獄送りにしたいと願った相手がいることの何よりの証拠…
でも、藁人形を手にすることと、正式に契約することとは雲泥の差があるんですよね。

きっと考えると思うんです…
その人の事は物凄く憎い…けれど、その人の家族まで憎いかというと、きっとそんな事は無いと思うんです。
その人が地獄に行ったら、その人の家族は絶対に悲しみます…
ややもすると、自分と同じ思いを持つ人を増殖させるだけの行為…と言っても過言では無いと思います。
同じ轍を踏むの…?
それともまた悲しみの連鎖を増やすの…?

そんな依頼者を三藁は傍らで見守っているんです。
中には思い入れのあったり、本気で契約して欲しくない…と思う依頼者がいても全然おかしくありません。
ですが依頼者に干渉できないという絶対の掟が三藁をがんじがらめにしている上、三藁がお互いを監視し合うという三竦み状態…

掟を破ったら、その先に何が待ち受けるのかは分かりません。
その殻を破って突き進んで欲しいと思った事も正直何度かありました。
そのくらい、2期は依頼者と三藁との関係がしっかり描かれていた訳ですけれど…

でも、この作品はそれだけじゃないんです…
閻魔あいと三藁との出会い…ここからしっかりと描かれているんです。
これはちょっと反則…なのかも?
確かに知りたい…いいえ、知っておくべき事だと思います。
それと同時に閻魔あいの足枷を感じ、忠実であり続ける必然性まで知る事になるのですけれど…

だから三藁は揺れるんだ…
無限ループで終わりが見えないこの禊の中で、胸を痛み続けてきたから…

無口を貫く閻魔あいの思いの行方…そこにはあっと驚く、という言葉では語り尽くせない程の展開が待ち受けていました。
きっと作品の根幹に関するくらいの衝撃を受けた気がしました。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、SNoWさんの「NightmaRe」
エンディングテーマは、能登麻美子さんの「あいぞめ」
今作はエンディングに軍配です。
どう転がってもハッピーエンドのあり得ない終幕…そこに能登さんの歌声が重なってくるんです。
物語の終幕からエンディングへの入りで何度も胸が締め付けられも、それは仕方の無い事だと納得していましたけれど…

2クール全26話に物語でした。
この作品から「きくり」という新キャラを擁したのも、物語の良いスパイスになっていたと思います。
1期から2期へと面白さは飛躍的に向上していましたし、時間を費やした分の見返りは十分過ぎる位でした。
こうなったら、3期にも期待せざるを得ません。
…という事で、これより3期を視聴したいと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

63.8 24 不気味アニメランキング24位
コープスパーティー Tortured Souls 暴虐された魂の呪叫(OVA)

2013年7月24日
★★★★☆ 3.4 (429)
2122人が棚に入れました
薄暗い廃校の中で目が覚めた直美と世以子。一体ここはどこなのか?先程まで一緒にいた仲間たちはどこへ行ったのか?何も分からないまま出口を求め歩き出す二人だったが、ふとした衝突で離れ離れになってしまい……呪われた天神小学校での絶望が幕を開ける――

ほーきんす♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

【ネタバレ有】 『ちょうどいいさじ加減の「グロホラー作品」!』

 

 アニメを観る前に、原作が何であるかや、どういった作品なのかは全く知らない、フラットな状態でアニメを観るように心がけているので、この作品も↑の画像のみの情報しかなかった…。

 そのため、観る前は、生徒たちが殺し合いをする、いわゆる「バトロワ(バトル・ロワイアル)」的要素の作品かと思っていた。

 しかし、実際は、閉鎖空間に閉じ込められた人たちが、霊によって無差別に殺される、(グロ)ホラー作品だった。
 

 これは、観た人それぞれがどう感じるかであるから、あまり口をはさむことではないかもしれないが…、このレビュー自体、個人的なものであるのだから書かせてもらう…。

 この手のアニメ作品は、“アニメ作品”であるがゆえに、どうしても作画をリアルすぎる描写にすることができず、作画のみで“グロい”と思うことは難しい…(例えば、“子供たちが縛られて、生きたまま舌を切られる”シーンなどは誰がどう考えてもグロいが、それは作画ではなく、話の展開や設定などの一連の流れによるグロさである)。

 なので、この作品のグロシーン(の画だけ)を観て、本当にグロかった、怖かったなどと思うような人は、良い意味では想像力豊かな人、悪く言うなら(現実においても)ぬるい甘ちゃん性質な人だと思う…(グロ要素で言えば、ハリウッド映画の「テキサス・チェーンソー」シリーズ、ホラー要素で言えば、「グレイヴ・エンカウンターズ」(ちなみに、ホラー映画マニアにまでなると、この作品を低評価する人たちをたまに見かけるが、そういう人たちは、売れた映画ではなく、マニアックな作品をつこうとする傾向がある…)などは、まともに観ることさえ出来ないだろう…)。


 まぁ、そんなことはさておき、この作品を他の作品と比べての純粋な評価をするなら、上記の“グロ要素”、“ホラー要素”、“話の展開”やホラー作品ならではの“落ち”など、どれをとっても「Another」の劣化版であった。

 「Another」は、視聴者が「どういう設定何だろう?」などと、その後の展開などを予想し、それが裏切られる、またその裏切られるタイミングで今までのかんじとは一気に180度切り替わる、ことによって、視聴者に恐怖感を与えることに成功していた。
 しかし、この作品にはそれがなく、キャラが振り返ったところに、急に霊の顔がある…などの怖さ(お化け屋敷的な怖がらせ方)しかなかった。


 (おそらくだが、)この作品の原作はコンピュータゲームであるが故に、ただ単にプレーヤーに恐怖感を与えるというのではなく、いろいろと情報を集めたり、進んでいくうちに物語が展開していく、RPG的要素を含んだ作品にしたのではないだろうか…。
 そのためか、アニメ作品内にも、“さっきまで開かなかったページが、ある出来事の後には開くことができる”など、ゲーム的要素をかんじるシーンがたびたびあった。


 少し批判が過ぎるようなレビューになってしまったので、良かったところをあげると、最後の生き残った3人が、元の世界に帰るためにおまじないをするシーンがあったが、あれはかなり怖かった…。

 というのも…、サトシだけが帰って来れず、サトシの腕だけが元の世界に帰って来たことに恐怖を感じたのではない。
 展開を予想しながら観ている人からすれば分かっていたと思うが、ナオミが紙(の切れ端)を無くしたそぶりを見せるあたりから(もっと言うなら、セイコが最初に「その紙トイレで無くしてしまったみたい」的なことを言うあたりから)、その切れ端が自分のである(実際は、一緒に来た人のならどれでもよい)ことに意味があって、そうでない場合は帰ることが出来ない、ということはおおかた予想できていた。
 
 なので、サトシが帰れなかったことに恐怖を感じたのではなく、(ここからはただの想像である…)もしサトシが、“自分たち以外の切れ端を使った場合死ぬ”ということを予想していて、それでもなお、一緒に  “帰るおまじない”を続けた、のであれば…、最愛の妹がいない元の世界など生きている価値などなく、自分もはじめから死ぬ気でいたのではないか…(おまじないをするかなり前から、サトシは霊の女の子に“自分達の切れ端以外を使った場合”のことを聞いている…)。
 
 もしそうだと考えるなら、ナオミ達に「俺はユカのがあるから大丈夫」などと笑顔で言っておきながら、ユカと同じ世界(=天国)に行こうとしていたことになり、ある意味では、モリシゲと同じように、すでに“壊れていた”のではないだろうか…、と考えてしまう(ちなみに、そのせい(自分の切れ端が他人のであり、おそらくは自分は戻れないだろうとナオミ達に言わなかったこと)でナオミは、腕だけのサトシを見て、結果的に“壊れてしまう”)。

 
 と、まぁ、ここまで深く考えてみたらかなり怖い作品だったなとも感じる(…が、あくまでこれは個人的な妄想である)。
 (それと改めて考えてみると、自分のために命を懸けて戻ってきたキシヌマに対するシノザキの反応や、立ち直りの早さにはある意味恐怖した…。)


 (あと余談だが…)ナオミの声が「佐藤利奈」、セイコの声が「新井里美」(ここまで言えば分かる人には分かるだろうが…)であったせいで、ちょっとしたことに恐怖を感じたり、セイコに当たったりするところが、御坂(とあるシリーズ)ならそんな(精神的に)弱くないだろ…と、考えてしまって、物語に入っていきにくかった(2人の関係も“とあるシリーズ”の関係に似ている…)。

 
 よって、結論としては、あまりグロい系、ホラー系が得意でない人には、ちょうどいいさじ加減の“グロこわ作品”だったのではないだろうか…。

 (終)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

オラこんなパーティ嫌だ(微調整)

30分の4つ。
ロマンホラー。
グロ注意報。

原作あるらしいがやったことは無い。

こっくりさんもどきのお呪いした生徒+αが異空間の小学校に飛ばされて元の空間に戻るため頑張る話し。
こう書くと割りとありふれた設定ではあるが30分×4という構成ということもあり非常にサクサク見れる上に意外と言えば失礼だが話的にも割りと纏まってる印象を受けた。

ストーリーもそれなりに練られてて先は気になるんで最後まで退屈はしなかったしストーリーも訳分からんということもなく比較的分かり易い。
割りと良作なのではないかと。ストーリー部分ね。

グロ描写も最初らへんは、ふーんってな感じで見てられたが中盤?~後半あたりになると、おええええってな感じになって行く。前もどこかで書いた気がするが割りとさわやかなグロはまだ平気だが見てて痛々しいグロは見るに耐えない。例を出すとアナザーとかあの辺。

なのでグロ嫌いならお勧めはしない。最初らへん大したことなくても後々きついかもしれないが人による。

キャラも地味に可愛い&無難なイケメン揃いである。
特に女キャラはあの超麻雀アニメ咲のモブキャラにいかにもいそうな感じで悪くない。一人を除いて。
名前忘れたけどクールなメガネ娘。あの子だけは見た目キャラ的に他とは一線を画していた。
ぶっちゃけタイプだ。出来ればこの子を主役にして欲しかった。
この手の萌えキャラ?の表情の劇的変化所謂顔芸や狂気の行動というギャップはひぐらしに通じるもんがあるが顔芸に限ればひぐらしほどふっきれたものは感じなかったが普通に考えればあちらが異常なだけかもしれん。

まぁそこそこキャラ立ちはしてたようには思う。
思うが、悲しいまでにキャラの格差があるのは構成上致し方ないのだろうか。
パンツ見せるだけに存在してたようなキャラやちょっと目を離した間にいつの間にかいなくなったキャラや結局なんだったのか今でも謎な危ないほうのお兄ちゃんとか主役クラスと思われるキャラ以外のキャラの扱いが多少軽い気がしなくもない。

ではグロなどの物理的恐怖ではない心理的恐怖の描写はどうだったのか。
心理的恐怖ってのは分かり易く言えば和風ホラー的な心霊タイプなやつで物理的なのが洋風ホラーに多いゾンビだの殺人鬼だのあっち系なやつね。
舞台が小学校なんで出てくる霊はやはり小学生が多い。襲い来る霊も例外なく小学生だ。
怨霊なんだから呪いとか念力的ななにかで攻撃してくるかと思いきや清々しいまでに物理攻撃である。
はさみやら首しめやら引きずりやら実に多彩な物理攻撃を見せてくれる。

そういうわけなんで霊的な恐怖というのはほとんど感じない。
むしろ感覚的には洋風ホラーのソレに近い。
色んなグロ描写で誤魔化してるあたりなんて特にそう。恐怖描写がほぼグロ頼りなのが惜しい。

んでは総括。
霊的な恐怖を味わいたいなら他当たったほうがいいがグロ含めての怖さを味わいたいなら満たしてくれそう。
話の流れも基本的に暗く重苦しいがクスッと笑えたりジワッと泣きかけるようなシーンもあって悪くないと思う。

そして最後の締め。ラストの展開も中々味なことをしてくれてる。
正直これは読めなかったのでしてやられたと素直に思う。
かつて欝の代名詞とも言われる洋画ダンサーインザダークのラストを見た時に誇張抜きで数秒思考停止したことがあったがそこまでではないにしても中々来るものがある。しかしこの終わり方は賛否別れるだろう。

期待しすぎずに怖いもん見たさで見るなら思わぬ拾い物になるかもしれない作品。
グロを心から憎むとかでなければ一応お勧め。

それとこれ見て原作気になってプレイ動画なるものを見てみたが結構面白そうだった。
これ見て興味沸いたらそっちも買うよろし。別に制作者の回し者とかじゃないんだからね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 35
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

昔懐かしい学園ホラーアニメ

1996年にフリーゲームとして発表されて以来、長い間愛され続けてきた同名ゲームのアニメ化。しかしこのOVAは後発のWindows版・PSP版辺りの設定をベースに作られているようです。

あらすじ↓
{netabare}
如月学園での文化祭が終わって後片付けをしている傍ら、怪談を楽しんでいた生徒たち。クラス委員長である篠崎あゆみは、怪談ついでに明日転校してしまうクラスメイト・鈴本繭のためにあるおまじないを提案する。

「幸せのサチコさん」というこのまじないは、あゆみがネット上で見つけた‘友達といつまでも一緒にいられる’願いが叶う代物であるらしい。

早速このまじないを試す一行だったが、突然地震が起こり気が付いたら離ればなれで見知らぬ校舎の中にいた。

一体ここは何処なのか、この校舎から出ることはできるのか。そして幸せのサチコさんのまじないに隠された秘密とは。
{/netabare}


導入部にあたる1話の緊迫感・恐怖感は真に迫るクオリティでした。
ここでの主人公・中嶋直美とその親友・篠原世以子の関係性やすれ違いを交えたホラー演出は、定番であり強烈でした。

しかし2話からは物語の核心に迫る謎解き要素が加わったこと・猟奇的な描写が増えたことで、前半のような身の毛のよだつ恐怖は薄れてしまった感があります。

段々とアクションホラー的・B級ホラー的な方向へ移行してしまって、グロテスクな映像にもかかわらず思わず笑ってしまうようなシュールさは少し残念でした(笑)

最後には今までのネガティブな感情を払しょくするような感動的な幕引き・・・と見せ掛けて落とす様はやはりどこかB級的です。


ストーリー的には全編ホラー満載とまでは行きませんでしたが、やはり『SHUFFLE!』や『未来日記』を制作したアスリードだけあって、恐怖感を煽る工夫が細部に凝らされていたと思います。

しんと静まった校舎の中で不安を感じるような不気味なBGM、恐怖にかられた瞬間心臓が爆発しそうになる緊迫したBGM、寂しげでどこか優しい感動的なBGM…それから猟奇的な場面で用いられる痛々しいSEの数々…。
BGM・SEに関して素晴らしかったです。

登場人物たちの死角を突いたアングルが多かったり、何もないはずの暗所を映したり、寄りと引きを頻繁に切り替えたり…。
あまり技術的な部分は詳しくないですが、カメラワークにホラー的手法が多く用いられていた気がします。

古ぼけた校舎の質感と雰囲気、視界を奪う暗がりの恐怖感、登場人物たちの恐怖や狂気を浮かべた表情など…。
作画面でも秀逸さを感じました。


OP「星屑のリング」もED「蛍火」も普通に聴く分には綺麗な曲ですが、このアニメと合わせて聴くことで悲しさとか寂しさが先に来ます。
OPは特に今井麻美さんが見事に歌い上げているので一度聴いてみてほしいです。


キャストは売れっ子を大量に起用していて原作の人気が窺えます。
今回は喜多村英梨さんと、この中ではベテランに当たる大谷育江さんのお二人の演技が見事でした。
二人の演じるキャラは幼い少女なのですが、普段の無邪気な子供らしい可愛らしさ、一転して極限状態に追い込まれた際の怖さの切り替わりに凄みを感じました。


設定や展開的にちょっと古さというかベタな感じは否めないですが、ただのグロアニメではなくホラーな気分を味あわせてくれたので概ね満足です。
学校の怪談とか好きな方は、一度見てみても損はしない・・・と思います(笑)

追記:書き忘れてましたが過激なグロ表現のためR-15指定となっていますので、視聴の際はご注意ください。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7

79.7 25 不気味アニメランキング25位
チェンソーマン(TVアニメ動画)

2022年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (666)
2021人が棚に入れました
『チェンソーの悪魔』ポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジ。親が遺した借金返済のため、ド底辺の日々を送る中、裏切りに遭合い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、悪魔の心臓を持つもの『チェンソーマン』として蘇る──。
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

死亡フラグにご用心

前評判がいい人気アニメ予備軍。
ジャンプ系アニメの特徴としてやはり作画は良いようであり、
ジャンプ系にしても作画系にしても、当方とは相性が悪いという法則は鉄板でありましたが
本作は案外大丈夫であった模様です。

※初回視聴の印象はスプラッターごり押しでくるような気がしましたが
意外にもごり押しと言うほどでもなく、設定もかなりしっかりしていることが判明したため
最終的に物語とキャラ評価を3.5に上方修正いたします。

●天使と悪魔の思想的シーソーゲーム
見逃そうかどうか迷った挙句、やはり{netabare}「天使の悪魔」に言及しないわけにはいかない
という結論に至り、この話をする次第にございます。

かくして芸能界の起源がヤクザにあったように、金融業の起源は【古代バビロン】にあり、
そして悪魔の起源は天使にあったわけです。

その詳しい事情については今回は割愛しますが、要は「天使」と「悪魔」の関係性を
把握すると色々と見えてくるものがあるという話であります。

①「Engage kiss」②「金装のヴェルメイユ」③「Angel Beats!」④「〇〇〇〇〇〇〇ム」
①と②はヒロインが悪魔という設定ですが、特に主人公にとっては「悪魔」どころか
むしろその真逆の「天使」のような存在として描かれています。

天使と悪魔とは相対的であり、そしてある時にはそれがひっくり返るというそういう相関関係があると示唆しているようにも思えるわけであります。

本作における「ポチ太」も主人公にとってはむしろ救いの存在でありました。
そうして悪魔のポチ太は主人公に心臓を提供することにより彼と融合するわけですが、
それは②の作品と同様の展開でもあり、①の作品では主人公は悪魔のヒロインと
同じ「記憶」を分かち合う関係となります。

③と④はタイトルの意味合いが同じもので、「心臓」や「命」更には生命の営みと
関係性があるものであると言えるのではないかと思います。

このような関連するであろう作品が暗示している「未来」と本作主人公の進むべき「未来」とは
リンクしており、主人公がこの先目指すであろう「天国」のような「楽園」の在り様や
そこに至るまでの【生存戦略!】を示唆するところ大いにあるように思えてきます。

「未来」や「融合」と言った {/netabare} 裏テーマが本作の続編でも重要な要素になり得るように思います。

●誰も知らない≪数字≫物語
狐先輩と両名はリベンジ達成を祝してのパーティーを開くため買出しに出かけます。
その途中で公園に立ち寄った時刻は{netabare}5時40分、時計の針は【5】と【8】を指します。
【5】+【8】=【13】

パーティーが始まった時刻は6時55分、時計の針は「7」と「11」を指します。
7+11=【18】

ビールを片手に持つ狐先輩を指差し相方Pが何か喋っている、その時刻は7時28分頃
時計の針は「7」と「5.5」付近を指します。
7+5+5 に 「1」本指の数を足し7+5+5+1=【18】

用意した食料を食べつくした時刻は19時57分
19+57=67 → 6+7=【13】

【18】は【666】でもある【土星】に由来する数字であります。

【8】【5】【13】は金星に由来する数字であります。
これら数字の意味するところは惑星の公転周期と関係しております。

「地球」が公転運動で【8】周回る間に金星は【13】周公転します。
その際に地球と金星が太陽に向かい一直線で重なる回数が【5】回ということであります。

周回運動の際の地球と金星が重なる点の5カ所を線で結んだ図形により
表されたものが【☆】=【五芒星】であります。

「星に願いを」という歌があるように「※願い」と言えば自然に【☆】が思い浮かび
だからこそ「※願い」と【☆】に関わる数字には必然的とも言えるほどの結びつきがあり
故に本作の様々なシーンにおいて【☆】に関する数字が示されていたものであると
考えられるわけであります。

【☆】はいたるところで見受けられます。
米国の星条旗や中国の国旗、特にベトナムの国旗は「【金星】紅旗」とも呼ばれていますが
名前の通り【金星】が由来ということになるのでありましょう。

「サッポロ☆ビール」の商品のロゴにもなっていますが、
同社の製品【ゴールドスター】もまさに【金星】由来であるわけであります。

【8芒星】は【金星】でもありますが、別の意味も持ち合わせています。

【金星】のことを【ヴィーナス】と呼ぶことがありますが、
【ヴィーナス】とは女神、美の女神を表す言葉であります。
ということで、【8芒星】には女神という意味合いも含まれているのであります。

以上のことを踏まえ考えてみますと
狐先輩の【金球】を【8】回蹴ったあの騒動には【8芒星】が示す「女神」の存在が
関係していたという予想が成り立つわけであります。

【☆】や【✡】に関する数字が何度も示され各シーンで機能していることと
米津氏が関わったOPソングにある「ビュティフォスター」という歌詞とは
完全にリンクしてることからしても、すべては偶然ではなく
意図的に仕組まれた必然であるという結論にいたるわけであります。

物語はいくつかの謎を残しつつ幕を閉じてしまいましたが
最後に裏設定的な【☆】に関わる数字を検証することにより
謎の解明につながるものが何かないか、確認していきたく思います。

狐先輩が契約した【未来】の悪魔には、他に契約した者が2名いるとのことであります。
未来の悪魔のいた部屋の番号は【108】ですから
【18】=【666】という数字に関係があるという予測が成り立ちます。

【666】は3人の契約者に関係する数字であるならば
それぞれは【6】によって示されるのではないかと考えられるわけであります。

狐先輩は【キツネサイン】で【6】を表していましたが
同じように【6】を表示していた人物を見つければいいということなのかもしれません。

コベニ後輩は「永遠の悪魔」の登場回でダブルピースのサインを表していました。
数字としては「4」で、あと「2」足りません。

そこで気になるのは彼女の赤い髪留めが相方Pの2本の角の形になんとなく似ていることであります。
ということで、4+2=【6】という計算式が成り立つという可能性も十分考えられます。

コベニ後輩の契約している悪魔について本編ではまだ明らかにされていないことも
気になるところでありますが、彼女は経済的な問題を抱えているらしく
よって拝金主義的な側面があると言えるのかもしれません。

拝金主義者は【666】のOKサインに一致する「銭ゲバサイン」と所縁が深く
よって【6】との結びつきはかなり強い有力候補であるということになるでしょう。

1つ気になることは、コベニ後輩には姉がいるという話でありまして
本編には登場していませんが、妹によく似ている例えば双子だったりするなら
実は姉が【6】の契約者であるということも考えられたりもします。

だとしても姉本命説の信憑性を確認しようにも現状では情報が全くないので
これについては続編を見ないことにはどうにもならない話であると言えます。

もう一人の【6】の候補はマキマであります。
彼女の執務室が【6】階にあるのにはやはり何かしらの意味合いがあるようであり
【土星】=【✡】を想起させる【リング】に関係する描写が多いことからしても
契約者の可能性はかなり高いように思います。

血の魔人(=相方P)は魔人故に悪魔と契約できないルールになっているとのことですが
彼女が魔人となる前に既に契約していたとか言う話ならば、
もしかしたら成り立つのかもしれません。

彼女もダブルピースと頭の2本の角で【6】を表していたシーンがありましたので
可能性は少ないながらも候補の一人と言えなくもないのかもしれません。

未来の悪魔との契約者以外にも、鼠の話ややたら「木」の描写が多いことなど
{/netabare}気になる点は色々ありますが詳しいことは続編に乞うご期待!というオチでございましょう。


☆学歴ないと言われても、「大【金星】」はたまにある
狐先輩のチャイニーズレストランでの回想シーンで、眼帯先輩は煙草を{netabare}「2」本の指で挟み差し出す
という【Vサイン】の様なハンドサインを示しました。
数字で考えると「2」になるかと思います。

狐先輩の行く手を阻む幽霊は、突如【5】本の指を開いて煙草を差し出します。
それは恐らく眼帯先輩の最後の「※願い」が幽霊に反映されたものでありましょう。
「ゴースト≪ハンド≫」の指の中の「1」本の煙草に「※願い」を込めたのであります。

数秘術を逆算的に考えるなら「※夢」や「※願い」は【5】か【8】に関係するだろう
という発想で行けば計算式は比較的容易に導き出せます。

幽霊を媒介とした眼帯先輩の「※願い」の数字の「公式」は
2+5+1=【8】となります。

次のコベニ後輩の「※願い」に関するシーンは「蛇使い女」との合わせ技であります。
何故か唐突に狐先輩は後輩に公安残留の理由を聞きます。
(彼女の「※願い」はボーナスであります)

刃物を持ったコベニ後輩の指は(眼帯先輩の煙草のシーンと同じく)「2」本の指を
立てた状態にあります。
そして「蛇使い女」は、①「蛇、丸呑み」②「蛇、尻尾」③「蛇、吐き出せ」の「3」回
の命令により爪が剥がれた指が「3」本という状態にありまして、
コベニ後輩の「2」本と蛇使い女の「3」本を合わせると指は【5】本になります。

【8】が出て次に【5】出たならその次はそれに関係する【13】が出るかもしれない
という見込みで今回も計算式を逆算的に導けばいいわけであります。

恐らくは死闘を繰り広げた成り行きの結果だと思われますが、
ゾンビの腕の部位がエレベーターの中の相方Pの腕にしがみついた状態で残留しております。
相方Pはそのゾンビの腕の「指」に対して「自分の指」を絡み合わせるような
(フィンガーtoフィンガー)形でゾンビの指をはがし腕を引き離し、これに齧りつきます。

肉欲的肉食行動は魔人である相方Pの潜在的「願望」の現れとも考えられますが
前述の合わせ技の発想で考えたらゾンビの腕の【5】本の指も関係
してくるような気がいたします。

相方Pは「7」階で降りて待ち受けるゾンビに猪突猛進していきます。
注目すべきはその際に「1」本指を立ていることでありまして
そして主人公に対して自分の雄姿を見せつけ
「PoweR最強伝説」を世に伝えるようにと声高に叫びます。

この行為には相方Pの「※望み」が現れておりまして
前に「侍剣士」の力に圧倒され敵前逃亡したのを主人公にディスられたことがありましたが
それの汚名返上のために、カッコいいところを見せようという意図が働いたものと推測できます。
ゾンビの指【5】+相方Pの指「1」+「7」階、すべて合わせて【13】になります。

方程式の「解」が【13】であることをまるで強調するかの如く
遂に主人公はラスボスが待ち受けるゴールの「階」にたどり着きます。

前回のエレベーターのシーンでは8階が最上階のように見えましたが
最上階まで行ける「当たり」のエレベーターは別にあったということなのかもしれません。

主人公とヤクザ孫が対峙するシーンでは、孫は主人公に謝罪を「望み」
両手を広げ5本×2の指を曝け出します。

その時ヤクザの子分2人の指はそれぞれ銃の引き金に
それに対して主人公はチェンソーのトリガーに指を掛けています。
広げた10本の指と3人の1本指、指の合計はやはり【13】であります。

ヤクザ孫が「望む」謝罪を突っぱねたことによりバトルが始まり
戦いの舞台は[急行 石井]の電車に移行します。

①急行=7+38+3+10+3=61 → 6+1=「7」(五十音図による数字変換)
②石井→1+4+1=「6」(「いしい」の発音を数字に語呂合わせ変換)

①+②=「7」+「6」=【13】

【13】という数字が「伏線」として機能しているならば
【8】+【5】の数式が意識されます。

勝敗が決した後、戦いの舞台であった電車はズームアウトするようにして
車両全体が映し出されます。全部で【8】両編成であります。

となると最後の仕上げは【5】でございます。

指あるいは「腕」が関係してくるのではないかという予想で
「腕」に注目するとそれぞれノコギリとソードがついているわけあります。

頭の装備を含めそれぞれ3本ずつで合計「6」本、
そして主人公は両手2本を切り落とされます。
6-2=4 ?計算が合わない??と思いきや
最後の切り札「1」本を脚に埋め込んで見事主人公は騙し討ちに成功というオチであります。
6-2+1=【5】

数秘術による伏線回収が完璧に決まりました。

そして最後には【13】日の【金】曜日が示すところの伏線回収で舞台に幕が下ります。
狐先輩の玉を【8】回蹴ったことが始まりであったなら
やはり【8】に戻るべきでありましょう。

主人公は玉蹴り大会の商品をハンドサインで表します。
【666】のOKサインは【18】でもあり【6】という風にも考えられます。

2人で1回ずつ蹴とばしたので【6】+「2」=【8】になるかと思います。

【8】とは何の数でしょうか?
それは【ゴールデンボール】の伏線が示す通り【金星】であります。
「ビュティフォ☆スター」とはこの☆のことを示していたというオチでございます。

そして物語の展開は【金玉】キック合戦の騒動の原因となったものに
収束していくのであろうという風に予想されるわけです。

【金星】{/netabare}に辿り着くまで予想外に手こずりましたがあともう少しで
ゴールに辿り着ける見込みであります。
もうしばらくお待ちください・・・


●その「目」、誰の「目」?
狐先輩と運命的出会いを果たした「【未来】{netabare}の悪魔」は【一つ目】小僧でもあり
【6】つの目を持つ存在でもあります。

【目】と言えば【土星】であり、【6】と言えば【土星】であります。
【土星】は「輪っか」を持つ天体ですが、「運命の輪」とは「現在・過去・未来」
を示すものでございます。

悪魔契約の条件は狐先輩の右目に住まう=巣くうということでありますが
狐先輩の右目を含む「目」の合計数は数は1+6+1=【8】となります。

「未来の悪魔」がいる部屋番号「【1】0【8】」即ち【18】とは
=【6+6+6】であり、つまり【666】を表すわけであります。
【666】というナンバーを厳密な意味で考えるとややこしいことになりますので
今はとりあえず一般的に認知されているところの「悪魔の数」であるということにしておきます。

アル中先生と主人公と相方Pの修行後のシーンに場面が切り替わりますが
先生はまたしても二人に「100」点をつけ、修行のペースを週一つまり「7」日に「1」回
でいいという風に言い渡します。
100+7+1=「【1】0【8】」

それに対して相方Pは地面に這いつくばりながらもダブルピースのハンドサインで喜びを表現しますが
ダブルピースの「4」と頭の「2」本の角を合わせた数は【6】であります。
「108」=【18】とは【6】からなる数だとここでも再び強調しているのが読み取れるわけです。

悪魔契約により狐先輩は「魔眼」の能力を身に着けますが、そもそもの【魔眼】のルーツとは
【土星】にあり、土星の第19衛星であるところの【プロメテウス】という名前
それが意味するのは「先見の明を持つもの」であります。

つまり「魔眼」とは【プロメテウスの目】であるわけです。
【プロメテウス】とは【ティターンズ】でありますがこの話については今回は割愛をいたします。

「未来の悪魔」の頭には「木の枝」のようなものが、他にも「つる」や
「根」のようなものが生えていますが、それらはOPで意味深に描かれていたことからして、
この悪魔はかなり重要な存在であると考えられるわけであります。

二人との修行後、場面はアル中先生とマキマとが密会をするための料亭的な所に移り変わりますが
その店の暖簾には「㊀」という文字が記されております。
「〇」の中に「一」の文字つまり「10」という数を示しているのだとしたら
その後に出てくる数は【8】であると容易に予想出来るわけであります。

案の定マキマは「4」課というワードを2回発し、合計でまたしても【18】という数が成立しますが
この時アル中先生の「右目」は盃に注いだ酒に映し出されるという形でクローズアップされます。

この「片目を強調する表現」はアニメに限らず至る所で繰り返されますが
「魔眼」即ち【プロメテウスの目】を表しているわけであります。
つまりここで【死亡フラグ】が「悪魔の数」と一緒に立ったということでございます。

そして「魔眼」は「先見の明」を表すわけですから、このシーンでアル中先生が「嘘つき」と
指さしたのも伏線であったという風に解釈できるわけであります。

次のシーンでは「侍剣士」と「蛇の女」が潜伏するビルの部屋の模様が映し出されますが
部屋の外には見張りが2名、部屋の中には例の2人と手下の6名、全部で10人
いるわけでありますからやはり【8】という数が意識されます。

ここでも予想通り、侍剣士が「4」課というワードに触れた後に
「蛇女」も「4」課というワードを口にします。

何が何でも【18】を作りに行ってる感が非常に強いような印象を受けます。

ということは、次の狐先輩と京都人の絡みのシーンでも【18】コンボを作りに行く
と考えられるわけですから車の搭乗者「3」名と関係するであろう数、
つまり「15」を探せばいいという話であります。

乗っていた車のナンバーは[東京 312 に 20-146]でありまして
「東京」を五十音図に従い数字変換しますと[20 3 7 40 3]
「に」は[22]になります。そしていつものお約束足し算であります。

[20+3+7+40+3]+312+[22]+20+146=573
→5+7+3=15
ここでも鮮やかに3+15=【18】の数字が示されるのであります。

次のマキマとヤクザ者のシーンはやや苦しいですが、一応やくざ者の総勢10名に
紙袋に入っていた「目」の数が約8個(実際は8個以上あったようですが)ほど
明示されていたということで概ね【18】的な感じでありました。

更にお次にはテロ実行犯が待ち受けている拠点のビルに対魔課のメンツが突入いたしますが
そのビルの階数は地下2階を含む8階建て、つまり全部で「10」階層ありますから
【8】を探せばいいということでありまして、狐先輩気の行く手を阻んだヤクザ者の総数が
6名、それに「蛇女」と吐き出した「幽霊」の合計で【8】コンボ達成ということでございます。

数字の話は特に計算式を導くプロセスがかなり面倒であまりに時間を消耗するのが
厄介であるため【18】の件はそろそろこの辺で差し控えようかと思いますが
京都からマキマが帰還した[4:45分]の時間にメッセージボードに表示されていた

(ひかり) 95(号) 17:55 広島(行き)
(停車駅)名古屋・京都・新大阪・岡山

これも数字転換して計算すると【18】になるという話でございます。

今回「数字解釈」の消耗戦に苦戦しつつも【プロメテウスの目】{/netabare}について言及できたのは
個人的には意義あるものと非常に自己満足しております。

●鬼教官アル中先生との「数字」遊戯
主人公と相方Pはアル中先生と出会い強くなるためジャンプお約束の過酷な修行が始まります。

アル中先生は2人に「3」つの質問をします。
質問の答えは2人×「3」つで合計6こになるはずですが
{netabare}1つは答えが同じなので答えの数は【5】ことなり
質問とその答えの合計数は3+【5】=【8】ことなります。
2人の答えを聞いた先生は≪素晴らしい「100」点だ≫と感激しますが
その数字が示すのは 8+100=【1】0【8】であります。

厳しい戦闘訓練により2人は負傷し出血を余儀なくされますが
アル中先生が持ってきた輸血用の血液充填により回復します。
その輸血用血液のパックに表示されていた文字は
[A 10-141-LR-2]であります。Lはアルファベット12番目、Rは18番目です。
よって数字変換すると
[A 10-141-1218-2]になりますがハイフォンで区切られているのでハイフォン内で足し算します。
[A 1+0/1+4+1/1+2+1+8/2]
[A 1/6/12/2]1桁の解を求めるためハイフォン内の数字中で2桁の「12」を更に足します。
[A 1/6/(1+2=)3/2]
[A 1-6-3-2]4つの数字を足して最後にアルファベット1番目のAも数字転換して足します。
[1+1+6+3+2]=[1+12]=【13】
足し算の解は【13】ですが[1+12]としたのは次のシーンとの関係性を示すためです。

日が沈み一帯は暗闇に包み込まれます。
過酷な戦闘訓練に消耗し横たわった主人公が突然発狂しだしますが、それを見た相方Pは
「また頭が故障しておる」と主人公の頭(もしくは顔面)を拳で何度も叩きつけます。

狐先輩と出会った時は「たま」を蹴りましたが、今度はあ「たま」を叩きました。
「たま」にしても、あ「たま」にしてもやり過ぎであまりに回数が多すぎるのです。
「たま」は【8】回、あ「たま」は「12」回?くらい叩きましたが
最後の1回は両手の拳で叩いていますので[12+1]回という風にも考えられます。

その後、主人公と相方Pのやり取りが続きますが、数字に関する言葉を抽出すると以下の通りです。
「『20』回以上じゃ」
「作戦『100』個思いついたぞ」
「『2』つの頭脳が合わさったら」
ということで数字を足し算します。
20+100+2=122=1+2+2=【5】これを[12+1]に足します。
5+12+1=【18】

日が明けて主人公の家を訪れたアル中先生でありましたが
待ち伏せをしていた二人による頭脳作戦の奇襲攻撃により戦闘は開始されます。
相方Pによる血の武器を使った攻撃回数は全部で1+7=【8】回
更に畳みかけるように主人公がとどめの1回を繰り出します。
それに対してアル中先生は血の武器を破壊するために1+6=7回
(その内1回は回し蹴りで血の武器を2本破壊しています)
主人公に対してカウンターの1回と油断した後に更にナイフで1回
全部で9回攻撃を行っています。
まとめると相方P=8、主人公=1、アル中先生=9
すべて足すと【18】になります。

これは更なる蛇足ですが、奇襲攻撃開始の時に主人公が口にした言葉は
「俺たちの日常を壊す奴は死(=『4』)だ」で
頭脳戦が失敗した後アル中先生が発した言葉は
「今回の敗因は『2』つ」であります。
4+2=【6】

【6】は京都の神社でマキマが術式のために身代として重犯罪者を2列に
【6】人ずつ(計12人)並べた数と一致します。

「【1】0【8】」の部屋には「未来の悪魔」が待ち受けています。
OPのボーリング場のシーンにいた隠れキャラと関係あるのでしょうか?
【リング】の貞子の目を彷彿とさせる【一つ目】小僧はやはり
【土星】との関係が強いように思います。

「※目は口程に物を言います。」
この悪魔と契約した者のうちの一人は両目を代償に差し出したようですが、
「デンジ君の目が見えなくなっても…覚えて…」{/netabare}というあの発言はこれと
繋がるのでありましょうか?

兎に角数字は「未来」を示し続けています。

(ひかり) 95(号) 17:55 広島(行き)
(停車駅)名古屋・京都・新大阪・岡山

ようやくここまでたどり着きましたが「数字」の話は時間がかかり過ぎて難航を極めております。
しかしこの話はまだまだ続きます。


●スマート機能搭載≪眼鏡キャラ≫の相方P、堂々伏線回収の巻
冒頭のTVのニュースで前回のテロ事件の一件が放送されていましたが
その時の時刻は、当然の如く{netabare} [7:10]分であります。

毎度毎度の話でありますが、「7」「1」「0」を足したら【8】になるというのは
もはやこのレビューの定例行事、お約束展開でございます。

そしてTVの横には狐先輩のお見舞いにと主人公が差し入れとして用意した【林檎】が
カゴの中に入った状態で置かれております。

我々が普段食べる【林檎】には当然、農薬や化学肥料が相応に使用され
それが体に悪くないかと言えば、まぁあまりいいとは言えませんが
それでもコンビニで売ってるパンとかに比べたら遥かにマシであると言えるでしょう。
それは兎も角、話を【林檎】に戻します。

カゴの中の【林檎】のうち1個は主人公が食べているらしく「ネット状の緩衝材」のカラが
残されているだけであり、(「ネット状の緩衝材」に包まれた)
中身のある【林檎】の数、映像で確認できるものについては全部で【5】個であります。

主人公が食べている分と残りを合わせると恐らく最初は【6】個あったようですが
少なくとも1個、もしくは更に2個目を食べて【林檎】の数は減り
つまみ食いをしている主人公に気が付いた相方Pは
大声をあげて怒りをあらわにします。

その時の相方Pが大声を発するシーンで病院の廊下の模様が映し出されますが
そこにいた人の合計人数は【5】人であります。
更に言うと廊下の天井付近に吊るされた案内板には
[← 【⑥】 救急受付]と表示されております。

偶然にしてはあまりに出来過ぎな【8】と【5】そして【6】の法則
今回も冒頭から完全コンプリート達成でおなか一杯感ありますが
「数字」の話はまだまだ終わりません。

次の展開で主人公と相方Pがつかみ合いの喧嘩を始めますが
その時に二人が座っていた椅子が供に「倒れ」ます。
椅子の足はそれぞれ「4」ですから4+4=【8】であります。

(「倒れた」椅子の後に)そして狐先輩が「4」課メンツの安否について聞くわけですが
「4」課が襲撃され生き残ったのは狐先輩、主人公、相方P、新人コベニと「眼鏡」の
【5】人ですが、「眼鏡」が辞めたので最終的には「4」人であり
4+4=8であります。

「4+4」については前回の話に遡ります。
・新幹線「4」号車での「死」(=4?)体の数「4」を足したら【8】
・「倒れた」椅子の数を足したら(「4+4」)【8】
・「4」課残存数「4」足したら(「4+4」)【8】

これはただの偶然ではなく狙ってやっているとしか思えませんよね???
(米津氏が関わったOPソングの歌詞に「4444」を意識したような表現があるのは偶然ですか?)

もしも本作において「4」という数が「死」を暗示する数だとしたら
狐先輩が「呪いの悪魔」にあと何年生きられるかと尋ねた答えの年数
即ち「2」年が関係するという解釈も成り立ち、これを足したら
4+2=【6】となるわけであります。

ただこの足し算よりも、その時描写されていたライターの火花と
そしてなによりその【炎】こそが重要な意味を持っていたものであると個人的には考えています。

その炎とは魂や命を象徴するものであり、狐先輩にとっての【灯火】を表しているのであります。

【灯火】とは「道」を「照らす明かり」でありますが
「希望」であり、「輝ける未来」であり、「望ましい理想」であったりします。
もしも米津氏だったら、別の表現でこれを表したかもしれません。


つまり「それ」をこう呼ぶわけです。「ビュティフォ☆【スター】」(=希望の【光】)と。
【灯火】は「希望の【光】」であります。

そのシーンでの狐先輩が一人涙する病室の床には漫画本が落ちております。
本のタイトルは「ゴンゴン」ですが、濁点が(中途半端に?)【☆】で表示されており
「表表紙」と「背表紙」にある【☆】の数を足すと(「2」+「2」=)「4」つになります。

「4」がもしも「死亡フラグ」を表すならば、主人公が回収できなかった「漫画本」が暗示する
結末の効力は【☆】に願う者の行く道に及ぶことを意味しているのかもしれません。

床に置き去りにされた漫画本の背景にはキャスター状のベッドの足が【5】本映し出されています。
【5】とは【☆】を示す数字であります。

ちなみに漫画本を回収しようと戻ってきた主人公が手に持っていたカゴにその時
入っていた【林檎】の数はなぜか【5】個であり、主人公が少なくとも2個食べて
狐先輩に1つあげたわけですから、最初にあったはずの【6】個から3個を引くならば
6-3=「3」となるはずでした。

しかしながら残った数【5】個が正しいとするとこれに「3」を足すことにより
最初にあった本当の数が判明するわけであります。
つまり【5】+3=【8】であります。
更に言うならば、その時カゴに【5】個入った【林檎】を持ちながら主人公は
4課のメンツが死んだようにマキマ死んだら自分は悲しむだろうかと自問自答しますが
「3」日後には立ち直っているだろうと自信満々に自分自身のポジティブさを確信する
シーンが描かれております。

「【5】+3」のリピートして強調する感じもなかなか凄いと言わざるを得ないわけであります。

そしていよいよその先にて、狐先輩、命がけの「※願い」を成就するために
彼が選ぶ「未来の道」はある数字によって暗示されるわけであります。
それは即ち「【1】0【8】」であります。

この数字が出てきたのは恐らく2度目?否、今回で2回出てきたので3度目になりますが
話は呪術使い☆マキマが京都からとんぼ返りを果たした[4:45]分の時のこと
新幹線の運行情報が示された案内板に遡ります。


●ファンタジー系の鉄板法則
ファンタジー系特にダークファンタジー作品において必ずと言っていい程作用する
法則は{netabare}「等価交換の原則」であります。
これは錬金術の法則であり、ベルセルクや烈日の黄金郷などありとあらゆる作品で確認できる
ある種の絶対的理論ということになるでしょう。

悪魔契約においてこの大原則が作用するのは周知の事実でありますが、更に重要なことは
「呪術」についてもこの大原則が当てはまることをシャーマニック・プリンセスであるところの
マキマ課長が見事に示したことは個人的には興味深く感じました。

そんな課長が京都から東京に戻ってきたのは、[4:45]分でありますが
4・4・5とは【8】と【5】という風にも考えられるわけであります。

そして、新幹線の運行表に示された数字などをまたしてもこれから足し算するのかと考えたら
いい加減やってる本人もウンザリしてきましたが、この足し算は要するに何なのかと言うと
「数秘術」というやつでありまして、例えば陰陽師や【✡】に関係する話であるわけです。

物語と連動しているであろう【☆】の話をする以上はこれを全く無視するわけにもいかないため
単調な話ですが、もう少しお付き合いしていただければ幸いに思います。{/netabare}


●呪術廻戦1話斬りの後悔・・・
謎の上司マキマは新幹線に乗り京都へと出張に赴くわけですが
ご覧の通り{netabare}銃撃テロを受けるのであります。

そして謎のチート能力を使い実行犯を返り討ちにしますが
乗っていた車両は「4」号車で、胸の辺りに穴が開いた実行犯の死体も「4」
4+4=【8】であります。

恐らくこの謎の上司には【8】と【6】が暗示する能力が備わっているものと推測できますが
詳しい描写がないために謎は深まるばかりであります。

ただ何故「京都」のシーンを描写する必要性があったのかということについては
恐らく【呪術】絡みの能力について示すことを意図していたからだというように感じました。

京都には所謂「パワースポット」と呼ばれる寺がありまして
「鞍馬寺」などがその代表例ですが、標高が高いという点においても
【☆】(厳密に言うと逆五芒星のペンタグラムでありますが)の領域で囲まれた
場所に位置するという点においても条件に一致します。

【☆】=五芒星=ペンタグラムとは「陰陽師」の術式で用いられるシンボルでありまして
陰陽師と言えば「【呪術】使い」の種族であります。

マキマが指定したのは「神社」であり「寺」ではないという突っ込みを受けそうですが
運営母体の違いはあれども、本質的には似たようなものであり
そもそも神道と道教とヒンズー教では同じ神や似たような神を祀っているのが実状であります。

かき集められた犯罪者、最後の晩餐がその辺のコンビニで買ってきたような
パンというのはなんとも残念過ぎるお話であります・・・
重犯罪者を【6】人づつを左右に身代として置き術式を発動させるその様は
まさに陰陽師を彷彿とさせますが、「呪術廻戦」を1話斬りしたような当方には
陰陽師や呪術に関しては理解しかねる要素が多分にあるというのが正直なところであります。

そして【呪術】の発動にはカラスが関係しているような描写があったことから
【八咫烏】を暗示しているように感じましたが、この
【八咫烏】も「【呪術】使い」の種族であります。{/netabare}


●シンメトリーの背後に浮かぶ影の正体
「シンメトリー」マニアと言えば「死神」の息子デス・ザ・キットでありますが
「死神」と{netabare}【土星】 {/netabare}には何かしらの関係性があるらしいです。

米津氏が関わったOPのボーリング場でのシーンで狐先輩がストライクを叩き出すと
モニターに≪PoweR≫という文字が表示されますが、{netabare}その文字の上の辺りに
隠れキャラのような存在が3体ほど映り込んでいます。

その正体はどうやら今回の戦いで狐先輩が切り札として使った「呪いの悪魔」?とかなんとか
いうものだったようです。

見た感じは「死神」のように見えないこともないような気がしました。

主人公をお持ち帰りした眼帯先輩の部屋にある照明器具の形が「八角形」だったのは
個人的には興味深いものを感じましたが、今は【6】について語るべきターンで
あるような気がいたしますので、【☆】よりも先に【✡】についての話をします。

【6】は【✡】でありますが、もしかしたら「チュッパチャップス」は【土星】を
暗示していたのかもしれません。

「正解するカド」にも登場した「ブラックキューブ」は、角を起点に直立させると
「【6】角形」に見えたりします。

この「6角形」、実は【土星】の北極に刻まれおり、ということで
【6】=【六芒星】は【土星】を意味していたというオチであります。

OPにも映っていた「貞子の井戸」は丸い「輪っか」状であり、
輪っかの中の貞子は「一つ目」小僧ですが、
実に【土星】も「輪っか」を持つ「一つ目」小僧なのであります。

【土星】には一般的にはあまり知られてない別名がありまして、その名も
【ロード・オブ・ザ・リング】と言います。

【土星】の中心には「台風の【目】」があり北極では6角形の中心にそれが位置し
南極では「台風の【目】」だけが不気味にギョロリとこちらを見ているような感じで
存在しています。

狐先輩が「キツネポーズ」で「輪っか」に「片目」を覗かせるのは【土星】の「一つ目」小僧を
表しているということになるのでしょう。

【ロード・オブ・ザ・リング】とは単純に「【リング】の主」という風にも考えられますが、
「ロード」には「統べるもの」という意味もあったりします。

今一度貞子との関係で考えると貞子の登場するホラー映画のタイトルは「リング」であり
「螺旋」でありますが、いつぞやのEDで【ブラックキューブ】が登場した時には
「螺旋」も一緒に描かれておりました。

「螺旋」とは【土星】の南極の「台風の【目】」を表しているような気がいたします。

そしてそしていかにも「サッポロ☆ビール」が好きそうなマキマが飲んでいたグラスには
見事なまでに「エンジェル【リング】」が残っていましたから、もしかしたら
【ロード・オブ・ザ・リング】を暗示する【土星】の力が発動されるターンが
やってきたのかもしれません。

【リング】を統べるものは、首につけた「輪っか」で人を操るだけにととまらず
あらゆるチート能力を兼ね備えているとも考えられます。

「輪っか」が「運命の輪」であるなら現在過去未来をあれしたり?
【土星】との関係から「時間」 {/netabare}をあれしたりする可能性もあるのかもしれません。


●チャイニーズ・レストラン・シンドローム
未だかつてここまで極端に設定をガチガチに固めてくる作品があったでしょうか?

ジャンプ系作品にしてはテンポが悪いような印象があった本作がついに急展開を迎えます。
結論はここにきて{netabare}「死亡フラグ」が機能しまくってきたということでありますが、
その死亡フラグとは何であったのか確認していこうかと思います。

まず京都に出張中のマキマは駅弁を購入しようということになりますが
今時の駅弁というのは食品添加物が確実に入っております。
駅弁にも色々の種類がありブランド牛や豚肉が入っているものもありますが
作ってから時間が経過しており、具材はすべて冷え切っております。

そんなわけですから、肉はもちろん野菜もご飯も美味いわけがありません。

ラーメン屋で昼食をとる主人公たちに、ヤクザの孫にあたる男が語りかけます。
「こんな惨い味のラーメンをよく食えるな?」と。

貧困層に属していた主人公の食生活の惨さについては、弁解の余地はありませんが
意外にも公安という勝ち組の職業に就き、経済的にはゆとりあるはずの
眼帯先輩と狐先輩の両名ともが、貧困層の主人公の味覚と大して変わらないというのは
とても皮肉な話のように思えてなりません。

そもそも人間というのは、生きるためにものを食べるはずであったのが
人体に有害な毒物入りの食べ物を習慣的に食べ、病となり死んでいく…
そしていつの間にか我々現代人は味の良し悪しもわからないバカ舌になっているのです。

現代日本人の食生活を見る限りにおいては、食生活の中に生はなく
むしろ緩やかな自殺を図っているようでもあり、生きることを放棄しているようでもあるため
「死亡フラグ」を快く受け入れ、死ぬべくして死んでいるという風に
見えて仕方ないのであります。

毎回の如く繰り広げられる本作の食レポ的な描写の意図するところ
それについては、ヤクザの孫が指摘したことで明確に記されたような気がいたします。

「チャイニーズ・フード」に次ぐ死亡フラグ2つ目は合わせ鏡です。
飲み会で酔っ払い主人公をお持ち帰りしてしまった眼帯先輩は
自宅の部屋にある三面鏡に自分の姿を映してしまいますが、ドッペルゲンガーを
暗示する合わせ鏡は死亡フラグである可能性が濃厚です。

死亡フラグその3は、朝食でサンドイッチを食べながら眼帯先輩と主人公が
同盟を結んだことであります。
将来の楽観的な出来事に関する約束はむしろ本人の意図しない結末を呼び寄せてしまうことが
往々にしてあり、そのような形でフラグが成就してしまったようであります。

しかしながら以上に挙げたフラグのどれよりも強力な死亡フラグは
【牛】と「ノーベル賞」であると個人的には見ています。

そして何と言っても鉄板の死亡フラグの法則は「悪魔との契約」でありますから
設定的にも裏設定的にも {/netabare}ガチガチなのは間違いないという結論であります。



●ビュティフォ☆ゲッチュ~
{netabare}書き忘れていた伏線について取り上げます。
1つ目は「ノーベル賞」に関するものですが、閉じ込められていた【8】階が突如傾き、従って【∞】になるわけでございます。

そして主人公は【∞】の悪魔に勝つための必勝法を閃くわけですが、その名も
【∞】に血を飲んで回復するという永久機関、本人曰くノーベル賞ものの
発明ということであります。

もう一つは、「ゲロチュ~」でありまして
デープキスの誘惑に翻弄されうっかっり異物を体内に取り込んでしまう主人公ですが
恐らくこのパターンは将来にも繰り返すであろうというものであります。 {/netabare}

●ビュティフォ☆OP
いよいよ米津氏が関わったOPに秘められた謎に迫って参ります。
個人的に一番重要だと思うのはボーリング場のシーンでありまして、その次が
映画館と最初の横断歩道のシーンでございます。
他にも恐らく伏線に関係するであろうと思われるものも何か所かあるようですが
すべてに言及するとキリがないので最初に示した3か所を中心に話を
進めていこうかと思います。

ボーリング場のシーンで球を磨く主人公がクローズアップされますが、その背後にあるレーン番号 {netabare}
と思われる数字は「24」と「26」、(なぜ「25」がないのかいささか不自然でありますが)
2桁の数字を足すと「24」は【6】、「26」は【8】になります。

そして6+8=14 これをまた足して 1+4=5
毎度毎度でありますが、【8】と【5】そして【6】のパターンです。

「24」と「26」以外に数字が出てきた箇所を探すと横断歩道のシーンで
車両通行止めの交通標識の上に[8-20]とあるのが見つかります。
8時から20時なので12時間を意味し、「12」という数字を「24」「26」に足します。
24+26+12=62 それをまた足せばやはり【8】になります。

これは蛇足みたいな話ですが、「62」に「9」を足すと「71」になりますが、
「71」もやはり【8】になります。
「9」とは何の数かと言いますと隠れキャラから導き出したものでありますが
それについては映画館のシーンの後に言及してみたいと思います。

ひとまずは、消えたレーン番号「25」の謎について解き明かしていこうかと思いますが
話の都合上、悪魔の女、相方Pについて触れていきます。

ボーリング場のシーンで相方Pは後ろの席に座って指をさしてゲラゲラ笑っているわけですが
誰のことを笑っているのかと言えば当然モニターに映し出される主人公であります。

このシーンは映画館のシーンから繋がっており、主人公が「一杯食わされた」挙句
ワンワン吠えてるような意味合いのあるものであると読み取れますが、
そのモニターにデカデカと映し出されたのは相方Pの「正式名称」
≪PoweR≫の文字であります。

よく見てみるとなにかおかしな表記になっていませんか?
もちろんそのようにしたのには理由がいくつかあるのでしょうが、今回は一番簡単な理由
についてのみ触れてみます。

≪PoweR≫という文字列にはシンメトリー=左右対称性があり、それが
ビュティフォであるという、そんな価値観が世の中にはありまして
例えば「ソールイーター」に登場する「デス・ザ・キット」も「左右対称性」に
極めて神経質なキャラでありますが、そんな彼は「死武専」校長である
「死神」の息子であります。
他にも「ブラック★スター」というキャラも登場しますが、
「死神」とは【土星】と密接な関係があり、実は「ブラック★スター」も
【土星】を暗示しているのではないかと個人的には考えています。

「シンメトリー」という視点を得た後なら消えたレーン番号「25」の謎が
解きやすくなりましたのでそれを見てみることにします。

【ゴールデンボール】が伏線であることについては多くの人が気付いている
ことだと思いますが、ボールに纏わる決定的なシーンはやはり何と言っても
狐先輩がボウリング場でボールを投げるシーンであります。

狐先輩が投げるボールと主人公が磨くボールと背後にあるボール
すべて合わせると「18」になります。

狐先輩がボールを投げ終えると1個減って全部で「17」だからそれを足せば【8】になる
と言いたいところですが、投げる瞬間には先輩の右腕に背後のボールが隠れてしまい
全部で「16」になってしまいます。

そこで発想を変えてひとまず消えたレーン番号「25」を探してみると同じシーンの背後に
天井に電球があり、数えてみると丁度「25」こあることが判明します。
更に重要なのが、狐先輩がボールを投げた辺りのところで右腕によって
背後の電球2こが隠れてしまうというものでございます。

ボールは18→16
電球☆は25→23

この数字の変化をどのように解釈しようか考えた時
強引と思われるかもしれませんが、「シンメトリー」的発想で解けるのでは
ないかということで斜めに2つの数字をそれぞれ足してみると
18+23=41
25+16=41

「41」の2つの数字を足すと毎度毎度の【5】になるわけであります。
このようなシンメトリックな解法と答えを見てビュティフォと思うのは
デス・ザ・キットと一部のマニアの人たちぐらいでありましょうが、
この【5】とは何であり【8】と【6】とは何であるのか?
それについては米津氏に聞いてみれば簡単にわかることなのかもしれません。

しかしながら話の都合それより先に映画館のシーンに軽く触れ「隠れキャラ」の存在について
明らかにしていきたいと思います。

映画館のシーンで4課のメンツが並んでいますが、何故か真ん中にいるのは
主人公ではなく狐先輩であります。

裏設定的な話になりますが、狐先輩の髪型には秘密があり髪型との関係において
あの位置でないとポジション的に巧くなかったということであります。

「アホ毛」キャラというのはよく見ますが、「チョンマゲ」キャラというのにも
隠された意味があります。
しかしながらいずれにしてもそれに触れると長くなりすぎるので今回は説明を割愛します。

一つだけ言うとすると背後にある「光」と「チョンマゲ」には関係性が
あるということであります。

そして映画館からボーリングのシーンに切り替わる直前に主人公がワンショットで
抜かれるわけですが、そこで「何を食わされた」のかはわからないものの
次の瞬間に謎の「隠れキャラ」が主人公の前を見切れていく姿が一瞬映し出されます。

あまりに一瞬のことで気づかない人も相応にいたのかもしれませんし、その一瞬で消えた
隠れキャラの正体を知るのは原作ファンだけなのかもしれませんが、個人的な見解では
その隠れキャラの形跡はボーリングのシーンでもはっきり残っていたため
それを数えてみたら「9」という数字が出てきたという話でございます。

それではいい加減この辺で【8】と【5】そして【6】について答えを示してまいります。
一番説明簡単なのは【5】次に簡単なのが【6】ですのでまずはその順番でいきますと
【5】=☆
【6】=✡
【8】=✴
☆は五芒星、✡は六芒星、✴は八芒星を表します。

米津氏がこのような裏設定についてどこまで知っていたのか定かではありませんが、
星にまつわる話はこれからが本質に迫るものであり、【8】と【5】そして【6】の法則も
ただの偶然では済まされない学術的な要素も絡んでくる類のものであると
確信するところでございます。

そして、ビュティフォな話はまだまだ続きます☆{/netabare}

●ビュティフォ☆パーリィ
現時点で「チャイニーズレストラン」が死{netabare}亡フラグなのかどうかは定かではありませんが、
何と言っても新人歓迎会の「居酒屋シーン」には刮目すべきでありましょう。

悪魔の女、相方Pは独占欲が強いため料理を独り占めしようとします。
基本的に刺身は体に良いものですが、から揚げは不健康な食べ物なので
悪魔以外の人には全くもってお勧めできません。

そしてやはりアルコール類は腸内環境を悪化させることもありますが
☆ビール(beer)は糖質が高いので、ストレス解消の効果はあるとしても
飲み過ぎには注意が必要であります。

ビールと言えばシュメール文明発祥の飲み物であり、その色は「黄【金】色」であります。
古代エジプト人もビールを好んで飲んだようですが、彼らがビールに酔いしれた理由は
味だけでなく、ビュティフォな「その☆色」にあったのかもしれません。

参考までに美味しい☆ビールを入れる方法について言及するならば
きめの細かい泡で旨味を封じ込めよということになるわけですが
そのようにして注がれたビールは{/netabare}飲み干した後のグラスに泡の跡が残ります。

それが恰も、何かの☆彡【リング】☆彡のように見えるというのは割と有名な話でございます。

飲み会という場には滅多に顔を見せないキャラであると思われる「マキマ」は
{netabare}かなりのビール好きなようで、ビールばかり飲んでいましたが
彼女の好きなビールの銘柄を推理するならば、恐らくは「サッポロ☆ビール」
ということになるような気がいたします。

上司がおごるタダ酒に酔いしれ{/netabare}気分は上々、場の空気が温まったところで
いよいよ繰り出されるのは「夢☆バトル」ならぬ「IQ☆バトル」であります。

毎度毎度の「計算」なので数字だけ抜粋して足します。
{netabare}
相方P「100」
女A 「100」
相方P「120」
100+100+120=320 → 3+2+0=5
やはり【5】という数字が出てきます。

男A 「134」
1+3+4=8
【8】は【5】と対になる数です。

相方P「500」
相方P「1000」
500+1000=1500 → 1+5+0+0=6
もう一つの数字は「キツネ∂サイン」の【6】であります。

前回の[8:18]のエンドレスシーンの補足になりますが
時計の針は「8時18分10秒」あたりで止まっておりました。
そして今回もお約束通り数字を足してみます。
8+18+10=36 → 3+6=9

「9」が答えのその止まった時間に出されたサインは「ダブルピース」でありますが
数字的には「4」ということになります。
「9」と「4」足せば【13】になるわけですが、「【13】日の【金】曜日」の
【13】とは【8】と【5】から構成される数字であるということにございます。

「8時18分10秒」もう一つの解釈は秒針が「2」の数字の辺りで止まっていたので
8+18+2=28 → 2+8=10 とするものでありますが
「10」にダブルピースの「4」足せば「14」
なので→1+4=5 やはり【5】という数字が出てくるわけあります。

【8】と【5】、そして【6】の数字が何を表すのか?
それについてより本質的に示されているのは米津氏が関わったOPでありますが
本丸に攻め込む前にまずは外堀から埋めていくことにいたします。

悪魔の女、相方Pの名前は「パワー」ということですが、実は厳密に言うと
「パワー」という表記は正確ではないということになるでしょう。

もしかしたら原作ファンでも知らないことかもしれませんが、
ユニクロが「UNIQLO」であり、かつ「ユニクロ」であり
ビールが「beer」であるように
「パワー」にも実は正しい表記があるのです。

そういう意味でも本作のOPには秘密がいくつも隠されているということになるでしょう。

最初に「ノーベル賞」について言及したのは悪魔の女、相方Pでありますが
彼女は血の悪魔であり、動物を殺し血を飲んでおりました。
その動物の中で特に印象的だったのが【牛】であります。

飲み会後に主人公をお持ち帰りしたのは【眼帯】先輩でありますが
ベッドの上で彼女の口から【牛】という言葉が出てきたのは只の偶然とも考えらます。

しかしその一方で某人気アニメに登場する「フォージャー家」の食卓に【牛】の置物が
さり気なく置かれていたことには、何かしらの関係性を感じずにはいられません。

【8】と【5】の法則、そして唐突に出てきた「ノーベル賞」と【牛】の関係性・・・
同じことは何度も繰り返され、やがて点と線はつながるでしょう。

さて、外堀固めはこの辺にしていよいよ本陣へ攻め込むターンが来たようであります。
恐らく【8】と【5】、そして【6】の{/netabare}話は、とても長くなりそうな気がいたします。


●悪魔の女
本作に限らずジャンプ系作品は設定がかなりガチガチに固められている傾向があるようです。
なので、ちょっとした些細なシーンでも注目が必要と言えるのかもしれません。

相方Pはノーベル賞 {netabare} を足掛かりに首相になると宣言していましたが
一見冗談のような話に聞こえても、ノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチー
その人はミャンマーの実質最高権力者の地位に見事に就任をするのであります。

ノーベル平和賞と言えばバラクオバマ元大統領も同じく受賞していましたが、
彼は近年で最も戦争に加担した大統領であり、平和のために行った実績など
皆無であると言ってもいいくらいのナマクラであります。

問題のアウンサンスーチー最高顧問とオバマ大統領は親交があり、なおかつ
WEFまたの名をダボス会議と呼ばれるグローバルエリートのメンバーが主催する
国際会議に招待されるような人物でありまして、人種こそミャンマー人でありますが
実際は英国人と結婚し、英国の名門大学を卒業した、英国に魂を売り渡したエージェント
であるというのが彼女の正体ということにございます。

血の悪魔である相方Pは嘘をつき人を騙すのが得意ですが「グローバルエリート」
と呼ばれる方々もそれに負けないくらい嘘がお上手で、例えば権威に弱い我らが
ニッポン人を「ノーベル賞」という名のフィクションで箔をつけ欺くことなど
朝飯前の人々であります。

相方Pのノーベル賞{/netabare}発言は単なる純粋なボケだったのか
皮肉を交えたブラックユーモアだったのか定かではありませんが、
悪魔の設定としては実に的確な表現であったことだけは間違いないように思います。

そして更にもう一つ興味深いシーンがありまして
【眼帯】先輩が殉職した{netabare}同僚の遺族からビンタを食らうというものでございます。
公安のエージェント対し一般人が怒りをぶつけるという対立軸が浮かび上がるわけですが
その場所がよりにもよって「薬局」の前というのは、意図的なものを感じます。

現代日本人の食生活は不健康故にかなりの高確率で生活習慣病を患い
病院にかかり薬を山ほど飲まされるという運命が確定してますが、
それによって患者に何かメリットがあるのでしょうか?

確かに薬を飲めば症状は一時的に緩和されますが、生活習慣病は生活習慣を
改善しない限り治ることはありません。

薬で騙し騙しやったところで行き着く先は病状悪化の最終局面、寝たきり状態
「リビングデッド」のオチであります。

公安ではありませんが、ある種のエージェントが現行の健康保険制度や医療制度を作り上げ
薬を気軽に消費しやすい体制ができたおかげで、病は治らずも薬の消費はうなぎ上り
製薬会社の株価もうなぎ上りであります。

日本経済のためにそんな粋な計らいを成した英雄たちが、仮に
患者の家族から仕返しの一撃を見舞われたとしても因果応報
というように見受けられました。

「薬局」の前で「チャイニーズレストランシンドローム」絡みの{/netabare}エージェント二人が
佇むシーンが映し出されたのなら、そういう解釈ももしかしたら成り立つ
と言えるのではないでしょうか?

●「サスティナブル☆デザイアー」のための行動目標
今回主人公の食事シーンこそなかったものの
明らかに体に悪い食べ物が当然のように出てくる「∞」ループを繰り返すのは
鉄板法則であるかのようにも思われます。

宿泊客が残した食料の中に{netabare}パッケージ化された「おにぎり」が見受けられましたが
コンビニ等でよく売っているこの商品には確実に食品添加物が入っております。

しかしながら資本主義経済で一攫千金を目指したい「ビュティフォ☆ドリーマー」のためなのか?
我が国の食品表示のルールには「キャリーオーバー」なる裏ワザがあり
例え食品添加物塗れの米でも「米」とだけ表示し他の原材料は省略できるという
欺瞞が当たり前のように通用するのですから、未来永劫ニッポン経済の回転率に
憂いはないと自信をもって断言できるでしょう。

食品添加物とよく似たもので我が国の外食やパッケージ化された食品によく入っている
ものとして「調味料アミノ酸等」がありますが、要するにこれは「グルタミン酸ナトリウム」
でありまして、これを摂ると「脳が☆彡スパーク☆彡」する神経毒にございます。

「ラーメン次郎」が提供する通称「豚の餌」がかつて一部でブームになりましたが、
「ジロリアン」と呼ばれるB級味覚のジャンキーどもがオプションで追加増量していたのが
「グルソー」と呼ばれるもので、脳が痺れる興奮性刺激作用をもたらし
その依存性故に病みつきとなるという究極の「麻薬」食材であります。

毎日ラーメン食べるのが日課だった某「ラーメン評論家」が
早すぎる生涯の幕引きを迎えたのも偶然ではなく必然であると考えるべきでしょう。

我が国の食品事情について言うなら、体が欲するよりも、「脳が喜ぶ」食品を
「美味しい」ものと定義しているかの如く、例え不健康でも脳が欲するまま
その欲望を満たしたいという衝動に身を委ねただただ追求するのが正義である
かのように思えてなりません。

「チャイニーズレストランシンドローム」(中華料理症候群)については諸説ありますが
それでもやはり「グルソー」の問題と、それに負けず劣らず重大なのが通称サラダ油と呼ばれる
植物性油脂というもので、この「オメガ6」系の油は採りすぎると体内に炎症を引き起こす
という要するに毒物であります。

「オメガ6」に比べて体に良い油は「オメガ3」と「オメガ9」でございますが、
「オメガ3」の魚から出る油にしても「オメガ9」のオリーブオイルにしても高温によって
成分が変化し酸化するならば「トランス脂肪酸」等の発がん性物質に変わってしまうという
問題が発生してしまいます。

よって揚げるにしても炒めるにしても高温調理によってできた食品は
体にはあまりよろしくないという話になり、そういう意味で「中華料理」には
相応のリスクが伴うのでたまに食べるなら兎も角、毎日のように食べる
べきではないというのが結論であります。

ニコチンも中華料理もストレスを発散するという意味では効能はありますが
そもそもストレスはどこから来るのかと言えば日常の生活にあるようにも思えます。

そういう意味ではこの「資本主義☆万歳」の社会にいる限りは、ストレスで病むか、
ニコチン中毒やグルソー中毒で病むかしか、我々庶民には選択肢がなく
そういう惨めな破滅の道を無邪気に突き進むのが{/netabare}
我らニッポン人のメビウスの運命であり、
我らニッポン人とは∞ループする運命の輪っかに未来永劫囚われた
囚人であるのかもしれません。

☆【8】時1【8】分の【∞】ループ
[8:18]のすべての数字を{netabare}足すと
8+1+8=17
1桁の数字の解を求めるために更に2つの数を足すと
1+7=8

答えはやはり【8】という【∞】ループの結果になりますが
更に興味深いことは【眼帯】の先輩が「赤い髪留め」の新人娘に
「ダブル【ピースサイン】で待て」と指示を出すというものであります。

この「ダブルピースサイン」を数字として見ると
2+2=4になりますが【8】にこの4を足すと12になります。

12は【6】+【6】に2分できますが、何故今回は「2分する」のかと言えば
「キツネサイン」を横から見たら「輪っか」のある【6】の形に見えたように(由緒正しい?)
【ピースサイン】の真の形は親指と薬指と小指で「輪っか」形成するものであり
従って横から見たら【6】の形を成さねばならないという裏設定があるようで
恐らく原作者は「由緒正しい」【ピースサイン】の形を熟知していたからこそ
「ダブル【ピースサイン】」のシーンを描いたように見えたため
ある意味こじ付け気味でも敢えて【6】を抽出したという話であります。

狐先輩に(大量消費の経済性をもたらす)喫煙の習慣を推奨したのは【眼帯】の先輩ですが
「チャイニーズレストラン」で【眼帯】の先輩が煙草を差し出した指の形も
同じような「輪っか」付きの【ハンドサイン】だったことは確信犯の証明であるように見えます。

【8】と【5】そして【6】に{/netabare}秘められた数字について語り出したらキリがありません。
確信めいた米津氏のOPに繋がる話までたどり着くにはもう少し時間がかかりそうであります。


●不思議の貞子が誘う秘密のうさぎの「入口」へ
今回のEDではついにあれが映し出されておりました。
裏設定的にはかなり重要な意味を持つあれであります。

それは{netabare}【ブラックキューブ】であります。
この【ブラックキューブ】は「正解するカド」にも登場しましたが
特に強調すべきは、斜めに傾き立方体のカドを起点に直立した形
そこにこそ本質的意味が隠されているという話であります。

【6】というナンバー、実は【ブラックキューブ】を示すものなのです。

今回お約束の【眼帯】キャラが満を持して登場し、秘密の能力発動しましたが
眼帯キャラの【目】にまつわるのルーツと狐先輩の「キツネサイン」の「輪っか」
を覗く 【目】のルーツは恐らく同一のものと推測できるでしょう。

「キツネサイン」の「輪っか」は【6】でもありますが
「【6】の部屋」のシーンで主人公の【左目】が、とある「輪っか」の中にあったのも
似たような意味合いがあったのだと言えるでしょう。

【ブラックキューブ】、「輪っか」他に注目すべきものは恐らく「絵画」{/netabare}であります。

裏設定の話はまだまだ尽きませんが、いよいよ米津氏が関わったOPに秘められた
謎に迫るワンダーランドの世界に参ることにいたしましょう。

●【大淫婦バビロン】は【獣】に乗ってやって来る
ジャンプアニメにはバトルシーンが付き物ですが、今回はバトルほぼ無しで
ミステリーの要素が強かったため、今まで一番興味をそそられる回でありました。

しかしながら主人公の朝食、パンではなくご飯に変わっただけマシにも思えますが
相変わらずベーコンにウィンナーなどの{netabare} 加工肉製品という悪魔の相方Pも喜んで食べるもの。
これには発がん性物質=亜硝酸ナトリウムなど有害食品添加物が入っており、
毎回毎回酷く不健康な食べ物という意味ではもはやお約束と言えましょう。

前回で狐先輩の「キツネサイン」に言及しましたが、このサインには色んな意味が含まれてます。
親指・中指・薬指で『輪っか』を形成しますが、これを横から見た時には【6】のシルエットが
浮かび上がるということを強調しておかなけばならないでしょう。

今回主人公は蝙蝠の悪魔を倒した際に発生した案件の始末書整理に追われますが
それが行われた場所はもしかしたら【6】階ではなかったかと推測します。

なぜならば狐先輩の【6】等分の【林檎】と「キツネサイン」の【6】、それと【6】階
(他にも米津氏のOPにもありますが)すべての【6】同じ意味で使われているように
見えるからであります。

そして今回のEDでは「それ」を示す「シンボル」がもろに描かれておりました。

そしてついにお約束の【眼帯】キャラが登場しますが、その彼女の【6】人目のバディが
狐先輩であり、今回先輩2人新人4人の計【6】人でチームを組んだのも
駄目押しと言わんばかりに【6】を強調したいからだと推測いたします。

相方Pの「76.1」=【5】を「3」モミーこなした後に【6】の数字が繰り返され
そして終盤においては【8】{/netabare}階の無限ループというオチであります。

しつこいくらいに繰り返される裏設定の話はまだまだ「☆ビュティフォ」に続きます。


●きつね「コント」?
敢えて見逃すべきかとも迷った末に、これを見逃したら突っ込む機会が
2度と来ないかもしないので敢えて言わせて頂きます。

蛭の悪魔をあと一歩のところまど追い詰めるも、しとめ切れずに力尽きる主人公
そこで救いにやってきた先輩が…{netabare}「コン」ですって!?

果たして狐先輩のあの動作、あのキツネポーズは必要だったのでしょうか?
5、6年前に「ベビーメタル」というアイドルユニットが「キツネ祭り」と称した
ライブ上でやってたキツネポーズ、そのまんまを公安の偉大なる大先輩が
恥じらいもなくやってしまっていいのでしょうか?

いえ、百歩譲って国内でそのポーズやるのはいいでしょう。
しかし海外の人に「コン」と鳴く「コント」みたいなキツネポーズは当然通用しません。
海外では別の意味の「ハンドサイン」になってしまいます。

その上狐先輩は片目をつぶってキツネの「輪っか」を覗いているではないですか?
「ブルーロック」でも似たようなことしてましたし、
海外のアーティスト {/netabare}もそんなポーズやってましたが?

それはつまり、また裏設定というオチですね??


●2度あることは「3」度ある
{netabare} 夢バトルの勝者となった主人公のもとに景品である相方Pがやってまいります。

悪魔は体に良い野菜が嫌いだったり、「血の悪魔」だから牛や熊などの血を好んで飲む
というような細かい設定については適切であるように思いますし
悪魔と吸血鬼とは厳密に言えば違うようでいて本質的には同じだということを示したことには
個人的には大いに評価したいところであります。

そして単に設定が細かいだけでなく裏設定もかなり細かいと言いますか
しつこいまでに繰り返されるわけでございます。

宗男揉む、それが主人公の「※願い」であり「夢」でありました。
当然すべての視聴者が見ているはずであり、見えているはずであります。
血の悪魔相方Pの胸の辺りを、彼女が来ている上着の胸の辺りを。
そこには何と書かれているでしょうか?

「76.1」←これが見えない「め●ら」はまさかいないはずですが
人間とは意味がわからないもの、あるいは概念がないものを認識できないという習性があり
「76.1」とあからさまに書いてあっても認識できない人は実際かなりいるものと推測されます。

要するに「蛭の悪魔」との夢バトルの時と全く同じなのであります。
相方Pは「3」度だけ宗男揉むことを許可しますが、何故「3」なのでしょうか?
もちろん「3」についての理由は説明されますが、丁度胸の辺りにある「76.1」はなんでしょうか?
と問われても多くの人が理解不能な事態に陥ることでしょう。

「76.1」の数字を全部足すと
7+6+1=14 一桁の数字の解を得るために更に2つの数字を足します。
1+4=5
「76.1」は【5】を暗示し【5】は「※願い」や「夢」を示す数字であります。

蛭の悪魔の夢語りのシーンでは制限速度「30」キロの標識が背景にありましたが
今回は「3モミー」という単位が提示されたわけです。

【5】+3=【8】
しつこいと言えばしつこいですが、【8】と【5】の法則
裏設定の{/netabare}話は本作でも他作品でもまだまだしつこいくらい続きます。

●ビュティフォ☆ドリーマー
{netabare}蝙蝠の悪魔志半ばで倒されるも相方である蛭の悪魔が登場し
「人間をすべて食べる」という崇高な夢について語り出せば
以て夢バトルの開幕であります。

その夢語りのシーンで背景にあったのは「制限速度{30}キロ」の道路標識ですが、
まず最初に突っ込むべきは何と言っても主人公の「食生活」でありましょう。

朝食にパンを食べ昼飯にカレーを食べる主人公の食生活があまりに惨過ぎて
怒り心頭、我慢の限界にございます。

もちろんスパイスを使った本格インド料理ならば有害どころか体に良いのでありますが
日本で市販されている「カレールゥ」とは小麦や砂糖類や乳製品、食品添加物に
発がん性物質など兎に角人体に有害なものだらけの毒物の集合体であり
食べれば食べるほど病のリスクは高まる一方ですので、日本のカレーには
注意すべきと言わざるを得ません。

カレーに比べたら主人公が病院?で食べていた【林檎】の方が健康的でありますが
兎に角本作で主人公が「食べるもの」には色んな意味で厳重警戒が必要であると考えるべきです。

先輩が【林檎】を「6等分」に切り、皮を剥いて「ウサギの形」にしていたのには
恐らく何かしらの意味があるものと予測しますが、【6】と言えば
マキマの執務室があったのも6階でしたから【6】というナンバーにも
やはり何かあるのだと思われます。

先輩が【狐】の悪魔と契約してること自体突っ込見所満載でありますが
先輩の言葉により「悪魔契約の本質」が明確に示されたからには
「エンキス」や「ヴェルメイユ」や「よふかしのうた」のようなラブコメ路線への退路は
大きく遠のき、シリアス路線に進むしか道がなくなります。
たとえ展開に意外性はなくとも一貫性があるという意味では良い傾向であるように思います。

シリアス路線が確定しているならばこそ裏設定の意味合いは強まり
それについての描写はしつこいくらいに何度も繰り返されるだろうと予測いたします。

結論から言えば「蛭の悪魔」が語る「夢」と蝙蝠の悪魔が語った「※願い事」とは
同じようなものであるということになるでしょう。
主人公と蛭の悪魔との夢バトルのシーンで列挙された夢は以下の通りです。

1.人間をすべて食べる
2.復讐を果たす
3.家族を守る
4.猫を救う
5.宗男揉む

「※願い」と同じく今回もカウントは【5】でありますが
「制限速度{30}キロ」の道路標識の「30」を【5】に足すと
5+30=35
3+5=8
このようにやはり【8】という数字に結びつくのには意図的なものを感じます。

更に言えば、蝙蝠の悪魔が潜んでいた家で主人公の大量の血痕が発見されたという経緯を
先輩がベッドの上の主人公に語り出した時の、その実況見分のシーンで映し出されていた
パトカーのバックナンバーは「69-526」であります。

ハイフォンの右辺は5+2+6=【5】+【8】=【13】
ハイフォンの左辺は6+9=15→1+5=【6】

【13】に意味があるのは【8】と【5】の関係から導かれるものですが
【6】という数字に {/netabare}意味があるというのはまた別の理由があるのだと思われます。

そのことについて「米津玄師」は知っていたかどうかは定かではありませんが、
裏設定の話はまだまだ続きます。

●ナンバーに込められた悪意
蝙蝠の悪魔との対決シーンで車が出て参りますが
{netabare}その車のナンバープレートに記されていたものを確認できたでしょうか?

西東京 457
お 793-35

このようにあまりにもあからさまにクローズアップされるにナンバーには
当然何かしらの意味が込められていると見るべきでありましょう。
前回の【金】的バトルでは【8】という数字が示されていましたので
恐らく今回もそれがあるのだろうという見込みでまずは【8】を探してみます。

するとハイフォンの後の「35」が見つかります。
3+5=8 です。

次に「457」の3つの数字を足してみます。
4+5+7=16 更に「16」の2つの数字を足します。
1+6=7 「7」という一桁の数字の解が得られます。

同じように「793」の3つの数字を足してみます。
7+9+3=19 同じように「19」の2つの数字を足します。
1+9=10 一桁の数字の解を得るために更に2つを足します。
1+0=1 「1」という一桁の数字の解が得られます。

ハイフォンで区切られた前の数字は繋がっているのではないかという見込みで
「7」と「1」を足せば【8】という数字が浮かび上がるわけであります。

更に「西東京」といういかにも怪しげな表記にはどのような意味が込められているのか
解いてまいりますが、「う」という表記がヒントになるのではないかというように思われます。

「あいうえお」の五十音図に照らし合わせると「う」は5番ですから
「う」=【5】であります。

同じように「西東京」をカナ転換して「にしとうきょう」それぞれのカナの番号を導き出します。

「に」=「22」
「し」=「12」
「と」=「20」
「う」=「3」
「き」=「7」
「よ」=「40」
「う」=「3」

それぞれの数字をすべて足します。
22+12+20+3+7+40+3=107 「107」の3つの数字を同じように足してみます。
1+0+7=8 やはりここでも【8】という数字が姿を表したようであります。

ナンバープレートに込められた【8】と【5】を足せば【13】になるというオチであります。

このような数字についてのミステリーもただの偶然やこじ付けと考えられそうではありますが、
【8】と【5】の法則は他作品でも確認できていることからして、逆にそんな偶然が
重なり過ぎている方がむしろ不自然ではないかと個人的には思う次第にございます。

最も大事なことはこのような数字に込められた「意味」でありますが
その意味こそがアニメの「謎」を解く鍵であると確信いたします。

「西東京」という表記を見てふと思い出したのは「バビロン」というマイナー作品にて
描かれた「新域」であります。

「新域」とは東京西部に新設された特区のようなものでありますが
もしも「バビロン」 {/netabare}を暗示しているのならすべては伏線ということになるでしょう。


●「脂肪」フラグにご用心?
ジュースが飲める生活が夢のようと言う主人公、そんな主人公が選んだ商品は
「ヨーグルウォーター」であります。(乳酸菌飲料?ですか・・・)

「うる星やつら」{netabare}の「ラム」みたいな相方の女と主人公の凸凹コンビが結成され
ドタバタ騒動は当然のように起こります。

相方の女は「魔人」という設定ですが、要するに悪魔の一種のようなものなのでしょう。
魔人の外見は人間と酷似しているようであり、悪魔と人間の中間的存在ということなら
主人公と同じような立ち位置になりますが、魔人化した人間はもはや人間の心を持ち合わせていない
らしく目的のためには手段を択ばない冷徹さが垣間見られ、人間の倫理観など
全く通用しないようであります。

自己主張が強い凸凹コンビの二人は当然の如く反発し合いますが{/netabare}
エロ心を満たしたいという「※願い」を抱く主人公と
{netabare}飼い猫を奪還したいという「※願い」を抱く相方の女とは、
悪魔退治という目的において利害が完全に一致するということで
ここで二人の取引は成立するのでございます。

しかしながら悪魔との取引、すなわち「悪魔との契約」は「死亡フラグ」でありますから
当然の成り行きの結果として、いつか見た「ヤクザの裏切り」のような
デッドエンド展開が待ち受けているというオチであります。

相方の女は理性が高いという特性があり、公安を裏切れば身の破滅を招くことを理解しているため
公安の犬として飼いならすこともできる反面、計算高く嘘も上手いという厄介な一面も持ち合わせ
ているため、純粋無垢なる煩悩エロ主人公をたぶらかすことも朝飯前のことでありました。 {/netabare}

ということで「嘘も裏切りも愛想のようなもんさ」とはまさに悪魔の囁きのような言葉であります。

{netabare}米国による悪魔の軍事利用という話などまるで「エンキス」のようでもあり
主人公が悪魔と仲良くなれると信じてる軽いノリとか「夜ふかしのうた」のようでもありますが
腐っても本作はラブコメ的な逃げ口上が通用しないシリアス路線を進むしか道がないからこそ
当然の如く「裏設定」は機能しまくるものと予測いたします。 {/netabare}

主人公が選んだ「ヨーグルウォーター」とは恐らく「乳酸菌飲料」だと思われますが、
{netabare}兎に角この主人公の食のセンスはあまりに惨いものがあります。
乳酸菌それ自体は腸内環境を改善する効果が期待されるという話ですが、
「乳酸菌飲料」となると話は全然違って、メリットよりもデメリットの方が遥かに多く
飲まないことに越したことはないと言えましょう。

砂糖・ぶどう糖果糖液糖、食品添加物などの有害物質にカゼインや乳糖など
アレルギー誘因物質により、腸内環境はむしろ悪化し習慣的に飲み続ければ
生活習慣病を患い「脂肪フラグ」は確定するというオチであります。

「腸内環境を改善する乳酸菌」という謳い文句で実質はむしろ病気になるような
成分てんこ盛りの清涼飲料水の類が怒涛のドブ洪水の如く溢れまくる我が国、
日本の資本主義経済とは恰も「嘘も裏切りも愛想のようなもんさ」と言わんばかりの
なんとも悪魔的なびゅてぃふぉスターでありましょうか。

そしてまた、相方の女は飼い猫に牛乳を飲ませてましたが
現在日本で一般に流通してる牛乳も腸内環境を悪化させ
乳ガン等の成人病リスクを高めるため習慣的に飲むことは避けるべきと思います。

問題は「高熱殺菌」処理によりカゼインが「変性カゼイン」化することのよって起こることが
大きいため、【牛】から搾りたての高温加熱処理がなされていない牛乳ならば有害リスクは
回避できるという話になります。
従いまして本作にあった通り相方の女が直で搾った牛乳ならば
かなりまともなものであるとは言えそうです 。

それにしましても猫のために【牛】一頭をわざわざ?敢えて?
登場させる飼い主と言いましょうか、原作者の意図とは何でありましょう??{/netabare}

●恒例の「カウント」シリーズ第二回目は {netabare} 「蝙蝠の悪魔」{/netabare}の「※願い事」です。
まず最初の願いは
{netabare}1.人間によって受けた傷を癒すための人間(の血)。
でしたが、その人間=主人公の血があまりに不味かったため
口直しの人間(の血)を欲し、更に以下のように「※願い事」を列挙します。

2.子供
3.生娘
4.肉付きがいい男
5.妊婦

全部で【5】。
前回のカウントで出てきた数は【8】です。
【8】と【5】を足すと【13】になりますが、
「チェーンソー」使いである「ジェイソン」が登場するタイトルが
「13日の金曜日」というのは偶然ではなく「裏設定」の仕込みであると確信するものでございます。{/netabare}

そして車のシーンでもさく裂しまくる裏設定の話はまだまだ続きます。




裏設定のネタばらしについてはもう少し先にしようかと思いましたが
この先アンチ故に四面楚歌状態にならないとも限りませんので触りだけでもご披露いたします。

戦いのゴングが鳴り響き男たちの死闘が繰り広げられるならば
ボクシングであれプロレスであれ「カウント」を取るべきでしょう!
その結果判明したのはカウント{netabare}【8】でした。

【8】つまり主人公が先輩の【●】玉蹴とばした回数が【8】でございます。
そして主人公は公安での初仕事、魔人狩りを終えてエロ本を回収しますが本の表紙あった数字は
「6」と「2」で、足したら【8】なります。
【金】的狙いにしてもエロ本にしても下ネタ絡みは【8】と結びつくというお話ですが
これかなり大掛かりな伏線の仕込みと捉えていいでしょう。

特に【金】的KOのシーンは「起承転結」の「結」であり「転承」と遡り「起」に繋がるという
逆算方式の伏線仕込みというのはかなり斬新であるかもしれません。

この伏線が回収される時には恐らく裏設定が発動しまくるような予感がいたします。 {/netabare}

{netabare}チェーンソーと言えば「ジェイソン」でありますが
ジェイソンと言えば【13】日の【●】曜日であります。
主人公のあの執拗な攻撃パターンの背景にはこのような意図があったというオチでございます。
そして裏設定 {/netabare}の話はまだまだ続きます。

まぁジャンプですから、基本若者ですよね。
若者が無意識的にエロ願望抱くのは自然と言えば自然ですが、
{netabare}いくら貧困層とは言え主人公の食い物が酷すぎであります。

うどん、パンという小麦製品にフランクフルトですかぁ・・・
パンにはジャムを塗りたくるという甘党感覚もある意味病的であります。
マーガリンよりはバターの方がまだマシなのかもしれませんが、
乳製品は発がん性のリスクがあるため、控え目にすべきでしょう。

ある意味悪魔的な食生活に満足する主人公がデビルハンターというのは皮肉な話であります。

公安のマキマなる上司に奴隷の象徴である「ネクタイ」を結ばれた主人公は
安い餌で飼いならされる犬に成り下がったということでありましょう。

そして相方の女?魔人は「ダーリンインザフランキス」のゼロツーみたな奴でありますが、
やはり「金装のヴェルメイユ」のパターンそのままでございます。

主人公のしつこいまでの「金的」攻撃などには裏設定みたいなものがありまして
兎に角ジャンプ系作品では裏設定の類が頻繁に繰り返されます。

マキマの名の由来が「デウスエクスマキナ」なのかは否かは現段階では定かではありませんが
マキマに関しての描写には裏設定が多いようなので、 {/netabare}ファンの皆さんはその辺の
細かい背景など是非とも見逃さないように心がけていただきたく思います。

時に「目」は口ほどにものを云いますので。



タイトルからもあまりに簡単に予想できた通り {netabare}スプラッター {/netabare}感満載の描写が
お約束のように繰り広げられますが、そこに芸術性でも感じろということなのでしょうか?

個人的に好感持てたシーンは主人公と{netabare}電のこ {/netabare}ペットの心温まる交流でしたが
主人公が覚醒した途端に全部吹っ飛んでどうでも良く思えてしまいました。

もしも本作最大の見せ場が{netabare}「スプラッターグロ展開」{/netabare}だとしたら、
この先見続けるのは至難の業のように思えます。

令和という今の時代にあって{netabare}「スプラッター」 {/netabare}がウケるとは謎すぎてついて行けません。
どう考えてもB級映画でしかない次元の世界をこれでもかと見せつけられて、
今更そこに何を感じろというのでありましょうか?

{netabare}主人公の {/netabare}死亡フラグは{netabare}悪魔と契約 {/netabare}したことにより成立しますが
これも鉄板法則で、「エンキス」「金装のベルメイユ」と同じ
{netabare}悪魔の心臓 {/netabare}も「金装のベルメイユ」と全く同じ再現であります。

結局のところダークファンタジー系の作品は鉄板法則に従うので展開を読むのは
意外と簡単なのかもしれません。

そしてもう一つの死亡フラグは {netabare}「パン」です。
何故パンが死亡フラグなのかと言いますと、パンには「グルテン」というものが含まれており
人体はこれを完全分解できません。
グルテンは腸や血管に炎症を引き起こし、腸壁に穴をあけ、開いた穴からフィルタリングされてない
有害物質が全身に巡り、体調不良や病(リーキーガット症候群)を引き起こします。

このことはパンに限らず小麦製品全般に言えることですが、特にアメリカ産やカナダ産の
輸入小麦は除草剤などの農薬が惨い状況にあり、毎日のように小麦製品食べてる人は
緩やかなる自殺を自ら試みていると言っても過言ではない程に
フラグを踏みに行っているようなものであります。

花粉症を患っている人は特に小麦製品には注意が必要です。

1日3食しっかり食べている人、朝食はパンに限るという人には死亡フラグが点灯してます。
現代日本の食品は農薬、化学肥料、食品添加物、生長ホルモン剤、遺伝子組み換え系等々
有害毒物だらけで体のデトックス機能が全く追いついておりません。
1日3食食べる人ほど毒物が体にたまりやすく生活習慣病にかかりやすいという孔明の計略、
死せる戦慄は五丈原を走らせます。

この世のすべては業者と株主のためにあり、例えがんなどの生活習慣病が日本で蔓延したとしても
製薬会社とその株主が儲かるなら経済は平穏無事に周り世の中は安泰です。

この世界の業者や株主の内面は本作以上に
「スプラッター」にまみれていると言えるのかもしれません。 {/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

契約の悪魔

著名作品のアニメ化には賛否両論がつきものだが、
本作をめぐっては制作陣が志向する映画的・写実的な表現コンセプトが
主に原作ファンからの批判に曝されているようだ。本稿を書くにあたり、
自分もアニメがカバーしている範囲を一読してみて、成程、と思った。

個人的な印象に過ぎないのだが、アニメでの主人公デンジは
設定とバトルシーンのインパクト以外、存在感が希薄なのではないかと感じた。
主人公でありながら、深い部分で物語と同期できていないような気がして、
むしろ早川アキたち公安のデビルハンターの側に力点をおいて観ると
自然にストーリーに入っていかれる感覚があった。

デンジのキャラクターは多分、原作のユニークな作風と不可分なのだろう。
そのため、デンジの生きた躍動感がアニメではあまり感じられず、
映画風のリアリズムとも相性は良くないようだった。その一方で、
アキたち公安サイドのシリアスなドラマを描いた部分に関しては
それなりに見応えがあった。この主観的な見地が本稿の出発点になる。

本作の物語にはデンジとアキ、二つの対立する極が内在している。
それが作品深部の、人間と悪魔の対立の構図に対応しているわけだが、
自分の印象では、主人公デンジが中心から退いて"周縁化"する力学が
作品の構造自体に内包されているように思われた。それを確かめようとしたのが
以下の、限りなく独り言に近い作業である。参考にはなりません。



Ⅰ 夢と動機

{netabare}主人公デンジの初期設定は、インパクトが強烈なだけに注意が必要になる。

"持たざる者"である彼の唯一の拠り所であり、アイデンティティでもある
「夢」が、「貧困」によって規定されている状況、そんな風に要約できるだろうか。
彼が夢見たのは、食パンにジャムを塗り、毎日風呂に入れるようなごく普通の生活。
そんなささやか過ぎる夢を、彼の最底辺の生活と結びつけて受け取ることで、
何かを理解した気分にさせられてしまう、そこが危うい。

一生を通じて、ただ見るだけで満足して終わるはずだった彼の「夢」。
それが現実にもなり得ることを知ったとき、彼の内部では革命が起こった。
「見つけたぜ…俺の本気!俺のゴール!それは…!・・・胸だ!!」
胸を揉みたい―。ただその一心で地獄のような死闘を繰り広げてみせる
第4話の"夢バトル"に、彼の「夢」の本質が表れている。

目的と手段とのあまりの落差に、いじましさを感じてしまうのは自然だが、
その時点で、デンジ本人の尺度を見落としてしまうことになる。
彼は、自分の「夢」を低俗な欲求として見下す連中に向かって
これまで虐げられてきた怒りを爆発させるのみならず、そこには
自明とされた価値の序列を力任せに覆そうとする獰猛な破壊衝動が発現している。

デンジの「夢」は多分、「動機」や「目的」とは異質なものだろう。
この生活を続けるために戦う、とは言うが、それは動機や目的とは呼べない。
「夢」を邪魔するものはぶった斬る。煎じ詰めればただそれだけのことだ。
いわば「動機」にまつわる人間的で高尚な"ストーリー"を
剥き出しの本能的な欲求によって相対化し、無効にする凶暴な"力"。
それがデンジの「夢」の本質である。

バトルの最中、彼は狂気のようにおのれの力に酔い痴れる。
精神的ないし心情的な理由付けなどとは無縁の、直接的な力の行使として
夢とバトルは一体であり、夢とは、バトルなのである。
生温いヒューマンな"ストーリー"を拒絶し"解体"する者。それがチェンソーマンだ。
デンジというキャラクターの本質はここにあると自分は考える。

shinoさんが最近提唱された「ポストヒーロー」という刺戟的な言葉を、
自分はポストモダンの文脈に絡めてこう理解したいと思う。
"大きな物語"に終焉をもたらした何物かを、ある"力"として客体化した時に
個々人の"ストーリー"="小さな物語"をも解体するほどに凶暴な存在が出現した。
ポストヒーローとは多分、善悪その他の相対的な価値づけを無効にすることで、
「正義」という曖昧な"ストーリー"を解体する、そのような絶対的な"力"である。
新しいヒーローとは、凶暴で剝き出しの、純粋な"力"そのものだ。

そしてそれは、彼の貧しく悲惨な生い立ちをめぐる"ストーリー"にも及ぶ。
その種の残像に浸りがちな我々の夢想もまた、解体されるべきなのだろうか。
メタレベルで"夢バトル"を挑まれているのは、私たちなのかも知れない。


デンジの「夢」について注意したいのは、それが更新される局面である。
マキマの飼い犬になった結果、人並みの生活をする夢は叶ったのだが、
第5話のマキマとの「契約」によって、この初期設定は更新される。

「もしもデンジ君が銃の悪魔を殺せたら、私がキミの願い事なんでも一つ叶えてあげる」。

本作の主要な登場人物は全員、何らかの契約を結んでいるのだが、
優越的な立場を利用して有利な条件を呑ませる点にマキマの本質が覗いている。
ヒエラルヒーを想定すれば、頂点に位置するのはマキマに違いない。
彼女から漂う不穏な気配はあたかも、"契約の悪魔"の存在を予感させるようだ。

この局面で重要な点はさらにもう一つ。
デンジの「夢」の対極には、殺された家族の復讐というアキの「動機」があるが、
この両者が、銃の悪魔という同じ目標を結節点として交差することである。
「俺はもう夢にゴールしちまってるからなあ。あいつはまだ追いかけてんだ…」
デンジのこの言葉が予告していたとおり、ここでデンジの「夢」は前景から後退し、
代わってアキを中心とした公安のデビルハンターたちの"動機の物語"がせり上がってくる。

物語全体を俯瞰すると、二つのフェーズが重なり合っているように見える。
仮にそれらを「人間圏」、「悪魔圏」と呼んでおくとすると、
デンジのドラマは「悪魔圏」に属しおり、デンジとマキマの間で潜在的に進行する。
一方、本作は公安サイドを中心に、ほぼ「人間圏」の枠組みの中で展開している。
要するに、本当の物語はまだ始まっていないのである。{/netabare}


Ⅱ 悪魔と人間

{netabare}デンジとマキマが新たに契約を交わす第5話には、
「人間圏」のドラマの出発点となる場面も含まれている。
こちら側のメインキャラである姫野とアキとの最初の出会い、そして
岸辺が初登場するシーンが、姫野の回想のかたちで挿入されている。

そのシチュエーションはとりわけ注意を引く。
そこは無数の十字架が果てもなく大地を覆い尽くす、広大な墓地の中だ。
悪魔との際限のない戦い。犠牲になった人々。殉職した仲間たち・・・。
そうした濃密な"意味"を凝縮させた、一種の「トポス」とも言える場所であり、
それぞれの「動機」と結びついた、彼らの心象風景をそこに重ねることもできる。

ドラマは主に姫野の視点で切り取られ、アキとの関係を軸に進行する。
メインのプロットに並行してやや間接的に、控えめに語られるそのスタイルを、
自分は「ミニマムな群像劇」、そんな捉え方ができると感じた。
こうした手法が可能なのはおそらく、キャラクターに共通する何らかの条件が
先行して物語の"磁場"を形成しているからで、それが「契約」なのではないかと思う。
それは抑制された心情を浮かび上がらせる、一種のフィルターのように機能する。


デビルハンターたちは悪魔と契約して悪魔と戦う。
力で劣る人間が必要に迫られて選択した、合理的な対抗手段であり、
契約の対価も「魂」ではなく、身体の部位を差し出すという現実的なものである。

「力を借りる代わりに、体の一部を狐に食わせる契約だ。今回は皮膚を食わせた。」
「公安でこいつと契約している人は二人。一人は寿命半分、
 もう一人は両眼と味覚、嗅覚を差し出しています。・・・」

何気なく語られる「契約」の非情な代償。そして、その非情さに麻痺した心。
「契約」は彼らの重い軛であり、自らの命を侵食するものですらある。
常識的には全く引き合わない職務であって、余程の覚悟がなければ遂行できないだろう。
だからこそ、彼らの内部にあるモチベーションは葛藤を孕みながら強く迫ってくる。
それが作品全体を貫く、どこか沈鬱なトーンとなっているように感じられる。

「契約」のフィルターをとおして見えてくるもの、それは、
自らの「動機」と死への恐怖との狭間で葛藤する、"普通の"人間たちの苦悩である。
岸辺の人格の破綻も、頭のネジをストイックに緩め続けた結果であって、
デンジたちに情が移り、それを言ってしまうあたりに彼の人間性は覗いている。
姫野のはっちゃけぶりも、絶望から目を逸らすために演じられたキャラであることは
遺された手紙からごく普通の、心優しい女性像が窺えることからも明らかだ。
第7話の墓地の場面では抑え切れずに、血を吐くような悲痛な叫びが漏らされる。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ・・・。」

一見クールな雰囲気を装いつつ、内面に潜むこうした痛切なドラマを掬い取り、
表現する手法としては、映画的なリアリズムは有効だったように思われる。


姫野の最期は二重の意味でドラマのクライマックスと呼べるものだろう。
自らの身体の全てを契約の対価に差し出し、死体すら残らない壮絶な死にざまは、
「契約」の極限的な帰結以外の何物でもない。まさに"契約のドラマ"の極致だ。
その死はまた、"動機の物語"の完結をも意味している。
彼女の「動機」はいつしか、アキという存在の中に集約されていた。
次々に先立って行ったバディたちの死が心に重くのしかかる彼女にとって、
アキの"普通さ"は絶望の中の救いであると同時に不安の種でもあった。

「アキ君は死なないでね・・・私が死んだ時さ・・・泣いてほしいから・・・」

アキを死なせないこと。その一念を貫き、敢えて引き受けた悲惨な最期によって、
彼女の「動機」は貫徹されたのである。

これに続く最終盤のバトルが本来のクライマックスなのだろうが、
姫野の"復讐"が果され、アキの「動機」の一部が成し遂げられたという意味では
姫野の"動機の物語"の延長戦と見ることができる。その点でこのアニメの結末は、
公安サイドのドラマの結着となっていると言っていいだろう。

その戦いの最中にアキが死の危機に瀕するが、その直後、
彼の前にゴーストの手が差し伸べられる。開かれた手のひらの上には一本のタバコ。
このとき差し出された"右手"は確かに、姫野自身の右手だったのだろう。
「私の右目を食べさせた代わりに、ゴーストの右手を使えるってわけ。」
彼女の「契約」は最後に、彼女の「動機」を助けたわけである。

 Easy revenge!(気楽に復讐を!)

このメッセージの意味は、ここまでの文脈に即して
姫野がアキの「動機」を肯定し、背中を押したもの、そのように解したい。


「人間圏」のドラマの中でデンジが周縁化するメカニズムも、
同じフィルター越しに説明できるのではないかと思う。

初期設定のデンジは「契約」の犠牲者とも言うべき存在である。
「腎臓が120万、右目が30万。キンタマ片方売って、いくらで売れたっけ・・・」
その彼が悪魔になることで、起死回生の大逆転劇が生じる。
死んでも元通りに生き返るのであるから、もはや身体の欠損など問題にならない。
自力で悪魔と戦える彼は公安の人間たちに対して圧倒的に優位な勝ち組である。
逆説的ではあるが、この特権性のゆえに彼は「人間圏」の中心から外れ、周縁に退く。
初期設定が解消された後のデンジの捉えにくさは、ここに起因するようだ。

結局のところ、デンジのキャラクターについては複雑なのか単純なのか、
現段階ではそもそも判別がつかないことになっている。
例えば、仲間が死んだことに涙を流すアキを見て、自分は泣けないと感じ、
「心臓だけじゃなく、人の心までなくなっちまったのか…?」と自問するシーン。
並みの主人公ならば、この葛藤がストーリーへと展開されるところだが、彼いわく、
「ま、シリアスな事は考えなくていっか!
 楽しくねえ事考えても楽しくねえだけだからな!」・・・これがデンジだ。{/netabare}



デンジのキャラクターは現段階では未分化の状態にある。
・・・これが相応に時間を費やした挙句の、結論らしからぬ結論である。

ただし、直観に過ぎないものだが、付け加えておきたいことが一つ。
Ⅰ章で指摘したとおり、彼は価値の序列の破壊者であり、かつ、その存在が
善悪、あるいは悪魔と人間の境界で、両義性と媒介性を体現している点で、
そこには「トリックスター」の本質がベクトルとして認められるのではないか?

特に示唆的だと思われるのは、本作ラストの{netabare}"キン蹴り"{/netabare}のエピソードだ。
この悪ふざけが彼一流のリベンジであることによって、
アキのシリアスな"復讐"をコミカルに反転させた戯画になっている点が、
秩序を撹乱するいたずら者であるトリックスターの要件に合致するのではないか。
何にしても今後の展開によって、彼の正確な像が定位するのを待つしかないのだが。

あるいは本作の演出の意図も、作品が孕む二極性を踏まえた上で、
第1部「公安編」を文字通りに、公安のデビルハンターたちの物語と捉える
ややイレギュラーな視角から作品にアプローチした結果なのではないだろうか?
・・・などと想像してみたが、これはおそらく考え過ぎだろう。

ところで本稿の作業中、参考のためにWikiを開いたところ、
いきなり強烈なネタバレを食らってしまった。・・・くれぐれも注意されたい。
お蔭でマキマさんの正体も含め、衝撃的な展開がこれから待っていること、
このアニメはいわば前座に過ぎず、本当の物語はこの先にあることが確認できた。
二期が制作されないうちは、トータルな評価は時期尚早と言うべきだろうか。


2023.1.20 投稿  2.6 補完

投稿 : 2025/01/04
♥ : 24
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

作品の評価はするが冗長で飽きました。3分の2の尺でやれば…

10話 一旦断念です。原作通りすぎだし、更に間延びが凄いです。

 もともと藤本タツキ氏の作品にしては、短編と比べて密度が薄い作品です。「スタイリッシュバトルもの」みたいな呪術廻戦などと同じカテゴリにくくられてしまいました。そのせいで人気は出たのかもしれませんが、感想としては原作時点でも冗長でした。

 それでも本作原作も、普通のジャンプ系の作品に比し、メッセージ性テーマ性の密度は全然違います。
 リビドーとタナトス。名前とおっぱい。資本主義と貧困。社会の犬。恋愛の難しさ。欲望、生存、衣食足りて礼節を知る、友情…そういう要素をバトルマンガにした才能はさすがだと思います。
 銃の悪魔は社会の共同意識、印象による価値付けみたいなテーマはいいですけど、これはちょっとチープなメタファだったかなあ。うまく使えてない気がします。
 そして、全体的にストーリーの進展が余りに遅いです。氏は大胆な省略ができるのがいいところだったのに。

 衝動、悪魔性の表現、破壊者としての脅威、絶望感などでバトルは必要だと思いますが、しかし、場面が多すぎだし、長いです。興味があるのはデンジの生存欲求が満たされ、贅沢や人間関係を得ることと同時に悪魔性が強くなってゆく描写です。

 ジャンプ連載なので間延びは仕方がないし、氏のキャリア形成にもなったでしょう。そもそもマンガ家としてこういう要素もやりたかったのかもしれません。楽しんでやれるならそれが一番です。ただ、それでも11巻は長すぎです。更に続いていますし。7巻くらいにまとめたほうが、濃い作品になったと思います。デビルマンになりそこなった作品だなあ、という感じです。

 その冗長な作品を丁寧なアニメ化といえば聞こえはいいですが、正直薄味の11巻を2クールにしようと思うと、こういう間延びになるのでしょう。
 演出とか構図とか、バトルシーンの出来とか、そういう批判の前に、尺が長すぎです。半分とは言いませんが、5分の3、無理なら3分の2くらいでやればよかったと思います。
 アニメで見たら、原作の間延び感が薄まるかなあと楽しみにしてましたが、かえってひどくなった印象です。

 原作と全く同じだし、見ていて飽きてきますので、一旦断念です。あとで確認するかもしれませんけど。

 評価点は高いですが、主観では57点という感じでした。




以下 視聴時の感想です。


1話 アニメは最高の出来。普通にエロと金と友達が欲しい男の物語

{netabare} ということで、本作。もう時代の気分そのままです。普通でいいから飯食いたい。女とエッチなことしたい。働いた分なんとかしてくれ。全部ぶっこわしてー、資本主義や大衆は悪魔だ、ですね。
 子犬を助けるという古典的なマンガのスタート、ジェイソンで殺戮の象徴となったチェーンソー。すべてのアナロジーは大変わかりやすいですね。その中で主人公がどういう選択をしていくのか?というストーリーになるかと思います。
 氏の作品は、選択と選択のIFを表現している場面が非常に多いので、本作の注目ポイントは主人公の選択が非常に低レベルの欲望でありながら…ということでしょう。つまり「逆世界系」です。

 アニメの出来は、マンガよりも内容が頭に入ってくる印象です。逆に良く出来過ぎて引っ掛かりがありませんけど。ですので、やはり両方見る、が正解なんでしょうね。

 アナロジーでいえば、もちろんデビルマンは想起します。 {/netabare}

2話 「男はパンのみにて生きるに非ず。オッパイのために生きる」ですね。そして、今日も男は女に翻弄される。

{netabare} 欲望は一つ満たされると膨らみます。「衣食足りて礼節を知る」ではなく「衣食足りて欲望に目覚める」です。「隴を得て蜀を望む」とも言いますけど。
 デンジは女を夢見ることからはじまって、女に近づくことができ、抱き締められる、エロ本を得て、おっぱいを求めるようになりました。そして、マキマに面白いように操られます。

 デンジの行動原理は単純で、主義主張も思想もなく、常に欲望を満たすように動く。それが破壊の規模と全く等価ではないのが面白いです。デンジ=リビドー、チェーンソーマン=タナトスのバランスと言い換えてもいいかもしれません。

 今のところ彼にとっておっぱいにアイデンティティは求めてないですね。これが面白いところです。おっぱいであれば、誰でもいい状態です。
 彼が唯一代替の効かない個として認め合ったのが「犬」でした。

 それに、女にも2種類いますよね。欲望のままやりたい放題する女、そして自分の欲望を満たすために人を操る女。

 コミックと違って展開が遅いので、いろいろ考えてしまいますが、それもまた面白いですね。{/netabare}

追記 そういえばコミックにないマキマがデンジのネクタイ締めるシーンがありましたね。 {netabare} ~「犬になれ」と対応して首輪が付けられたということでしょうね。コミック4話の絵扉の代わりにいれたのかもしれませんが。やっぱりアニメ版はわかりやすくしていると思います。あるいは制服と合わせて「社会の奴隷になった」アナロジーでしょう。{/netabare}

3話 名前のないおっぱいはただのおっぱい。

{netabare} デンジにとってパワーちゃんはパワーちゃんでなく、ただの名前のないおっぱいですね。自分の欲望の対象でしかありません。おっぱいへの憧れであって、パワーちゃんである必要がない置換可能なおっぱいです。
 つまり性愛を知らない童貞マインドですね。日本人の貧困童貞の象徴がデンジです。

 一方でニャーコが殺せない理由はニャーコだから。ポチタが大事なのはポチタと名付けたからでしょう。名前が無い人間は人間ではなく経済価値=欲望を満たすための物でしかないということ。
 名前がある=代替が効かないものの喪失を経験したデンジとパワーちゃんは分かり合える=名前で呼び合えるのか?

 有用性は「いいね」の数か?他人をどうみるかという話もありました。名前問題の逆ですね。イメージがすなわち力である。

 デンジくんの正義=破壊のモチベーションはなんでしょう。今のところ他人の痛みです。

 第3話でテーマがどんどん出そろってきました。今週はマンガだとセリフばっかりでサラリと流してしまうところを良く描けたと思います。面白くなってきました。「破壊」と「ライトでおしゃれなセリフ回し」だけではないところを見せつけてくれたと思います。 {/netabare}

4話 デンジと早川とコウモリの悪魔、対するパワーとマキマとヒルの悪魔は、男性とそれを操る女性を表しているのでしょう。

{netabare} パワーちゃんはデンジにおっぱいを揉ませると嘘をつく、マキマさんが早川くんを薄っぺらい言葉で手玉にとっていまう。
 デンジを批判する早川くんもマキマさんの色香に迷ってますから、同列に見えるのが面白いところ。
 わざわざ、ネクタイを直すシーンを男女両方に入れたのは、マキマさんが早川くんの思考と行動を読み取りつくしているという表現でしょう。

 これがコウモリの悪魔とヒルの悪魔が男女関係だったことから、この男女の対比ですね。コウモリの悪魔という個体が好きだったわけでなく、相手が必要だったと言い切っています。だから乗り換え可能になります。
 ヒルの悪魔の女性の性的なキャラデザからいって、女性がセクシャリティを使って男を操縦することに対する強烈な皮肉を感じます。

 この第4話の部分は女性はこんなものだというミソジニー(女性嫌悪)が出ていました。男の夢の価値の有る無しを懸命に解いている早川くんもコウモリ悪魔も、女性から見たら変わらないという風にみえました。

 性欲の対象でないニャーコへの愛情との対比でもあります。あと、善意に解釈するとパワーちゃんはちょっとデンジに心を開きつつあるかなあ。

 前半のバトルシーンも後半の早川くんの性格描写と日常の平穏からの混乱も尺が長くてくどかったかなあ。もうちょっとテンポが良くてもいいかもしれません。

 なお、鬼滅とか呪術なんかと同じ系統の作品だと評価している人も多そうですけど、2重構造なんでしょう。表面上はそういったバトル作品としても派手に楽しむこともできると思います。世間の本作の評判を見る限り、今のアニメとかマンガがどういう消費をされているのか確認するのが面白いです。
 バトルとか作画と声優の事ばっかりで、しかもエロ表現が余計だというのが支配的なんでしょうか。その見方は私は想像もしてなかった見方なので面白いなあと思います。{/netabare}


5話 男の私小説?マキマさんのうさん臭いエロさとは?それにしても出来が良すぎて飽きるかも。

{netabare}  誰にでも経験というのはありますが、この作者の初モミは不幸なものだったのかなあと想像してしまいます。要するにこの辺りの描写って、自分の経験が常識と勘違いすることが多いですから。私小説?赤裸々すぎる欲望の独白はヰタセクスアリス的でもあります。

 いい風にとればパワーちゃんはバディとして友達…現段階だと遊び友達になったので、エロスを感じなくなったとも取れます。少なくともニャーコの件で妙な信頼はあります。

 ただ、私小説というだけでなく気持ちのこもらない「揉み」では、おっぱいは単なる脂肪の塊ですから、マキマさんのセックスエデュケーションと合わせて、一般的な若い男の欲望ともいえます。マキマさんのエロさすごかったですけど、一方で胡散臭いところが良く表れていました。

 一方でデンジはディープキスには反応してしまいますので、欲望のエスカレートと結局は女性たちに性欲で操作される悲しい男の性なのかもしれません。

 銃の悪魔は…テロリズムで狂いだした何かの象徴なんでしょうね。

 さて、アニメですが素晴らしい出来だと思います。セリフの一つ一つが原作通りで、かつよく動きますし。
 しかし、原作通りすぎて意外性がないのも事実です。作品の性質上ストーリーが変えられないのはわかりますけど、何か工夫しないと原作読み返せばいいになってしまう気がします。特に今回のように動きが少ない回だとなおさらです。

 原作者が介入すればそりゃあ原作通りになってしまうでしょうが、しかし、化物語という稀有な例もあります。演出を工夫するとかコミックで表現できなかった動きのあるエロスとバトル。その辺の売りの部分でいい動きというだけでなく、何か感動が欲しいです。
 その辺がないといい出来すぎて飽きてくる気配も感じます。 {/netabare}



7話 閉じ込められる=閉塞感 チェンソーマンって何?

抜け出せないというのは日本の閉塞感でしょうね。
分けられる食べ物は少ししかない。貧困の象徴でしょう。
頭がぶっ飛んだ人間しか生きて行けない。まともな奴は死んでゆく。
デビルハンターは制服でネクタイというのも大事でしょう。つまり搾取される労働者・学生でしょう。新入生歓迎もしてますし、会社辞めちゃう問題もありました。
彼を殺された人間が姫野をひっぱたく。的外れな感情のぶつけ方。
コベニちゃんは兄の大学のために「デビルハンターか風俗」
コベニちゃんがウザくて私のせいじゃないと言う。面倒ではっきりものが言えない。
コベニちゃんは迷わず、自分が良ければ人は殺していいという判断をする。
キスについては、ある種の女性にとって、自分の肉体は男を操る道具。
コベニちゃんと姫野の描き方…他の女性キャラもそうですけど、作者のミソジニーでしょうね。あるいは女性嫌悪と性欲の二律背反でしょう。
あるいは大衆・概念としての女性の肉体の「経済性」と、個人としての女性の「代替の無さ、愛情」みたいな視点。
結果としてコベニちゃんは身勝手な女性の象徴でもあり、女性の生きづらさの象徴にもなっている感じです。
タバコより「ノーベル賞」という意味のないもの、「消費税」とか悪いもの…もっと他に辞めるべきものがあるだろう?
人間の集合体が悪魔として襲ってくる。そして最後はもう殺してくださいという。
契約は絶対。

 
 ゲロチューはなぜ、姫野先輩とのチューはゲロの味だったのかは、前回のおっぱいの比較の繰り返しかなあ。まあ、上に列挙した女性との関係性の矛盾が現れたということだと思いますけど。

 チェンソーマンって、バトルマンガとして見るとアニメ化は失敗なんでしょうかね。生きづらさ、閉塞感をどうやってデンジがぶっ壊して行くのかという視点で見ると、アニメ化にあたってクローズアップするところは正しいと思います。
 特にこの6,7話はチェンソーマンとは?をわかりやすく表現されていたと思います。

 原作からいってこの作者にしては、ジャンプ向けにちゃんとわかりやすく、かみ砕いていると思います。それにエンディングテーマで丁寧に視点を教えてくれているので、そこを拾って行くと面白いですね。今回はゲロチューです。

 それにしても原作準拠すぎでしょう。もうちょっと何かないんでしょうか?もうEDとエロシーンだけ見ればいいのかな?

投稿 : 2025/01/04
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