クレンペラーが指揮し、フィルハーモニア管弦楽団が演奏を行い
スタジオでステレオ録音されたブラームスの交響曲の中では、
この第二番の録音が白眉であろう。
第一番も非常に良い出来映えだが、1~4番のスタジオ・ステレオ録音の
中でどれが一番か?と問われれば、やはり第二番だと言わざるを得ない。
テンポ、リズム感、各楽器のバランスや音色、そして旋律線の謳わせ方、
どこをとってもこの演奏は比類の無い美しさに満ちている。
終楽章の終結部付近でも、いかにも誰かがやりそうな、
アッチェレランドをかけてグイグイと追い込みをかけることなどせず、
いたってインテンポかつゆったり目なテンポでの運びなのだが、
それでいて、もの凄い高揚感が表出されている。
クレンペラーは、ベートーヴェンの第九1964年11月ライブの
終楽章の終結部分でも同様な(インテンポ&スロー目のテンポ)表現を見せているが、
そこでも途方も無いような圧巻の高揚感を表出して見せている。
このような(アッチェレランドに頼らないで巨大さや果てしない高揚感を生み出す芸風)
ことが出来る指揮者は、まさにクレンペラーのみがなし得ることであろう。
何百回聴いても聞き飽きない、まさに名演中の名演である。
皆さんにも強くお勧めしたい。