漫画の「王道」を学びたい人は必読の一冊『荒木飛呂彦の漫画術』

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荒木飛呂彦の漫画術

「企業秘密を公にするのですから、僕にとっては、正直、不利益な本なのです」

という帯に込められたメッセージに一寸の嘘偽りない一冊。

単なるマンガの教則本とか、売れるマンガの秘訣を書いている本とは一線を画する、「ジョジョ」シリーズを生み出し、今なお活躍し続けている荒木飛呂彦先生の「漫画の描き方」を集約した一冊です。

「漫画の描き方」に留まらない、濃密な一冊。

この本には荒木先生のマンガの書き方、ストーリーの組み立て方、読者を惹き込み、読ませるためのノウハウを惜しみなく書かれています。

なぜ、漫画家にとって企業秘密とも言えるヒット作を生み出すための「漫画の描き方」を本に書いて出したのか。荒木先生は以下のように答えています。

2015年4月。僕が18歳のころに集英社の『週刊少年ジャンプ』編集部へ漫画原稿を持ち込んだときに出会った――初代の担当編集者が、定年退職を迎えました。感謝の気持ちを示すためには、「種明かし」もいいかな……というか……いや……今まで経験し、学ばせてもらった「漫画の描き方」の「王道」を書いておく必要があると強く思ったのです。

「キャラクター」、「ストーリー」、「絵」、「世界観」、「テーマ」という、マンガを描くために必要不可欠な要素について、荒木先生が培ってきたすべてを注ぎ込み、漫画を書くための「王道」を教えてくれています。

「最初の1ページをめくらせろ」
「主人公は「常にプラス」」
「徹底的にリサーチする」
「キャラクターを約60の項目で肉づけする」

など、実用性の高い、漫画の描き方を述べている章だけでなく、

「ゆでたまご先生と自分の違い」
「表現はヘミングウェイに学べ!」
「永遠の一瞬を封じ込める」
「漫画の神様が降りてくる」

など、そのまま学ぶ所が多い上に、荒木先生の作品を読み込んだ上に読むとさらに深くうなずける内容まで、濃密な内容になっています。

また、この本について、

「王道漫画」を描くための「黄金の道」

と記しながら、

この『漫画術』に書いてある通りに漫画を描いてはいけないのです。

とも記されています。

その本意は、『さらに発展していって欲しい』、『「自分はどこへ行くのか?」を探す』ということを荒木先生が求めているからに他なりません。

漫画を描き、漫画で生きていこうという人は必読なのはもちろん、売れる記事、売れる企画を出していきたいという人にとっても、ぜひ読んで欲しい一冊です。

「王道」でありながら、「更に発展する」ための一冊。ぜひ、ジョジョシリーズを読み込んだ上で、読んでみてください。

あと、

いつかの機会に、デビュー当時から外見がまったく変わらない秘訣について、ぜひ公開していただきたいものです。

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