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はてブで爆釣れする見積書の作り方

2013.07.05 | 制作あるある
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1週間ぶりに登場のWP-D Blueです。いやー、思ったよりバズりましたね。ウェブ制作の見積書です。

/2013/06/27/4852/

このエントリーでは、あの見積書に様々に仕掛けたトラップについて解説したいと思います。まだ前記事を読まれていない方は、短い記事ですので、先に目を通しておいていただければと思います。

まず、WP-D読者の方に謝っておきましょう。クリアさんが「リアルな工数と見積もりの話」を書きました。私は「見積もりを金額付きで晒してやろうじゃないか」と言いました。「リアルな見積書を金額付きで晒してやろうじゃないか」とは言っていません。あ、石が飛んできそうな予感がしてきました。

すいません狙ってました

リアルな見積もりとは言ってないもんね!

実際のところ、クリアさんの記事「WordPressのリアルな工数と見積もりの話をしようじゃないか!」ではかなり細かく作業内容と工数が記載されていましたね。デザインがトップ及び下層ページで丸まってる点はちょっとどうかなと思ったのですが、案件の規模としても大きくなさそうだったので、デザインは何パターンかから選ばせるパッケージに近いソリューションを用意しておられるのかなと思いました。

ともあれ、金額こそ書いてないものの、自分なりに単価を当てはめればかなり具体的な金額まで想像できる見積もりが紹介されていたのではないかと思います。それなのに、はてブやソーシャルで「金額出せ」というコメントが思いのほか多かった。なので、リアルじゃないけど金額が出てる見積もりを出したらどう反応すんの?というイジワル根性が発端で記事を書き始めたわけです。

結果として、色々冷静なツッコミがあったものの、炎上するでもなく、リアルな見積もりとして好意的に見た方が多かったんじゃないかなと思います。もう少し、そりゃねーだろってものにすれば良かったかなと思いました。

はてブで爆釣れする見積書の作り方 = 金額さえ書いていればOK

…さて。

あの見積もりがリアルじゃないポイント

で、でたーwウェブ業界特有の人日で見積もり奴〜www

クリアさんの記事ではかなり細かい項目出しをしていましたので、あえてほぼ全てを人日でまとめるという荒業に出てみました。設計関連の項目が3つありますが、分け方にも根拠が感じられないですよね。コーディング6人日っていうのも、う〜ん怖い。項目間のバランスも不安な感じです。

この辺りの工数の算出に対する疑問は、かなり指摘される方がいらっしゃいました。ご指摘ありがとうございました。素晴らしいのはこちらの記事だと思います。とても勉強になりました。

「Web制作のリアルな工数と見積もりの話」の話をしようじゃないか! – 乱れなよ、そして召されなよ

ただ、CMSのインストールでそんなに取る?という反応もあり、こちらはちょっと意外でした。CMSのインストールは私個人はこのくらいの金額をご請求しています。簡単インストールが設定されている格安サーバーだとやることはないですが、ミドルウェアのインストールから全部やろうと思うとここは技術とノウハウを要するポイントです。まあ、2人日とは書かないですけど。

営業管理費って何ですか。文句言ったら取り下げるんですか。はっきりしてください

個人的な経験なんですが、前職でまさに言われたんですよ。

「営業管理費は会社の利益。とりあえず見積もりの総額に必ず10%乗せておけ

似たような経験をしている人が多いんじゃないかなぁと思って書いてみましたが、どうでしょうか。あまり言及される方がなかったので、出来の悪い釣り針でした。

○○管理費をどう計上するかというのはウェブ制作のフリーランスが見積もりを作るときにも常に話題に上ります。専門外なので、どなたか分かりやすく解説していただけないかなぁと思っているところですが、進行管理費と言えばその名の通り、複数のスタッフのスケジュール管理にかかる人件費、営業管理費と言えば実作業には当てはまらないものの、営業で動く人件費と諸経費を指すと思っていいのではないかと思います。したがって、当然仕事の規模によって変わってきます。きちんとクライアントにご説明できる実際の費用を書きたいものですね。

納期と瑕疵担保期間

この2点がないと判断できないというコメントもいただきました。こちらは意図して省いたんじゃないのですが、もっともだと思いました。クライアントや代理店の引いた希望的観測によるスケジュールに無条件に乗っかると、事故のもとです。

しかし、必ずしも正確なウォーターフォール型のスケジュールが引けるプロジェクトばかりでもないですよね。細かいサイクルでスケジュールの再設定を繰り返せる方法があれば良いのですが…。WP-Dメンバーの誰かが記事を書いてくれることを期待!

瑕疵担保期間はみなさんどうしてますか?
こちらもいずれ取り上げたいポイントですね。とりあえず、責任範囲を明確にしておかないとマジ危険です(経験あり)。

ほかにもドキュメントそれだけかよとか色々ポイントはあると思いますが、このくらいにしておきますね。

あの見積もりでリアルなポイント

金額さえ出ていればいいんだろ!ということで甘めの見積もりを作ったわけですが、一方リアルなポイントもあります。

総額

プロジェクト総額200〜250万。250ぴったりにしたのはブログ記事的なわかりやすさのためですが、そんなもんだ、高い、安い、いろんな反応が出ました。しかし、こういうコンサルから入る制作案件としては、かなりリアルなゾーンではないかと思います。少なくとも、自分の経験ではこのゾーンの案件をCMS案件としては多く手がけてきました。

この規模の案件で最も大変なのが人間と人間の調整。開発工数よりも資料作成と会議の方が大変なこともしょっちゅうではないでしょうか。たくさんの人が動き、それを管理するには、相応の費用がかかってきます。

あくまでサイトの規模が大きくない想定で250万と設定しましたので、複数の事業を持つ大きな企業のサイトであれば、桁が1つ2つ上がっていくことと思います。

人日単価

1人日5万円。こちらも、コメントで一般的にはそんなものだというコメントをいただきました。制作スタッフを動かすのに必要な経費が含まれていますので、こちらも企業の規模によって変わってくると思います。制作会社は4〜5万円で人日計算するところが多いと思います。

また、企業ほど経費がかからないので、フリーランスだと人日は安くなることと思います。見積もり項目としても、進行管理は自分一人だから不要だし、企画設計のところは省いて実作業だけ降ってくるわけですから、この規模の案件がフリーランスに降ってくる頃には、桁が1つは確実に減っていると思います。

出精値引き

ここから出精値引きが入るのでは、というコメントもありまして、そういう読まれ方は意図してなかったのですが、過去の記憶が蘇ってうわあと思いました。ええ、やってました。すごく。

根拠のよく分からない値引きって、これまたウェブ業界にはたくさんあるんじゃないでしょうか…。信頼される業界になるには、根拠なしに見積額が大きく変わるのはあまりやりたくないですね。

リアルなポイントでさえも、今後はどうなるのか分からない

色々と述べて来ましたが、じゃあウェブ制作の費用についてどう考えているのかというのを最後に書いておきたいと思います。

工数計算の限界

やっぱり、こういう作業の工数で見積もりする手法には限界があるんじゃないかと思います。クライアントにとって何が必要なのかとは関係なく、作業すればするだけ費用がかかる。しかし、ウェブサイトって、何のために、どういうサイトを作るべきなのか、本当に一概には言えないのです。それが言えるのは、上場企業のコーポレートサイトくらいです。

250万の案件なんてそんなにあります?

上場企業のコーポレートサイトだとすれば、ウェブサイトを作るのに250万というのは、5年前くらいの話だと思うのです。いまスマートフォンに対応するリニューアル案件としては発生しているかもしれませんが、ほとんどの企業はコーポレートサイト持ってますよね。

また、5年前とすると自社SNSの提案が流行った時期ではないでしょうか。これも大きな案件でしたけど、いまそんな提案する人あまりいませんよね。

となると、フリーランスが手がけるべきはこういう大きな案件の各項目をがんばって人件費安くやります、という方向ではないんじゃないでしょうか。

Web制作のリアルな工数と見積もりの話~フリーランス編~

ツールを使って本当に必要なコストに割り振れるのではないか

WordPressなどCMSを導入する案件の場合は、「お客さんが自分たちで更新できるのがメリット」という言い方をされることが多いと思います。つまり、作るところは100%制作側がやるので、お客さんは更新だけしてねということです。初期費用で大きなコストがかかり、制作費を請求したらあとは放置というパターン、多くないですか?

でも、CMSは「お客さんと一緒に作り、お客さんと一緒に運営維持していく」という用途にこそメリットがあると思っています。コンテンツのコンサルティングと設計部分までしっかりやってあげれば、ウェブサイトを作るのはクライアントと一緒にやるほうが、初期費用も抑えられますし、クライアントも試行錯誤した上での満足感があります。

また、ウェブ制作を効率化するツールは様々なものが花盛りです。GRUNT, YEOMAN, Sass, LESS, Bootstrap, Foundation, Hammer, Mixture… WordPressでもBizVektor, め組テーマなど、そのまま使えるビジネス用途のテーマもたくさんあります。

これらを活用すれば、まるごとイチから作る必要はないわけです。ツールを使いこなせる先進的なクリエイターほど時間をかけずにサイトが作れる。同じ工数計算をしていていいんでしょうか。

さらには、Wix, Squarespace, Jimdo, Zoho sites… ウェブサイトを持つための手段も様々なものが出てきています。プロに依頼するだけの価値がある、本当に必要なコストとは何か?それを考えるべき時が来ているのではないかと思います。

参考:
WordPressで作るほどでもないな…って時に
Webサイト制作にお金をかけた場合どこに差が出るの?

OJTで基礎技術を学ぶ場がなくなっていく?

先に上げたような様々な制作ツールが当たり前になると、今度はこれからウェブ業界に入ってくる人は大変じゃないかなぁと思います。必要な技術が増えていくと、入社後にSassやらWordPressやらを覚えるにしても、HTML5, CSS3は知ってて当然ということでしょうか。教育コストを誰が負担するのか、そしてこれからウェブ業界に入りたい人は何を学ぶべきか。これを見極めるのはますます至難の業になりそうです。

今後はどうなる?

250万の見積もりではダメだ、ということは感じていて、もっと今後はこうあるべきだ、という反応があるかなと期待してネットに投げてみました。しかし、結局、高い、安いの反応くらいしか得られず、こうして駄文を補足記事として書いているわけですが、この1週間改めて考えてみても、やはり結論が出ません。シリーズ化しそうです。あの見積もりに対する厳しいツッコミをお待ちしています。思ってたけど言えなかったという方、ぜひお願いします。

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おまけ

やっはろーがあまり食いつかれなかったなー。頭が悪そうな見積もり感を出したつもりだったんですが。いやガハマさんは普通に好きですよ。ていうか俺ガイル全然書店で売ってねぇわ。地方都市つらい。

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WPD-Blue
辛口トークでお馴染みの不健康男子です