こんにちは。オリーブです。
だいぶ間が空いて、執筆陣の中での肩身が狭くなってきちゃった(ノω・)テヘ
今日は前回の「保守・運営」について考える | WP-Dに引き続きまして、考えるシリーズです。制作者人生について考えます。
この記事の対象となる人
フリーになって、仕事をもらえるようになり、よいよい食べれるようになってきたフリーのWEB制作者がどんなことを考えているのかをご紹介します。
自身の経験を振り返れば、半ば事故のような理由でフリーになることを選び、しかもWEBでいこうと思い、周囲に相談すれば「考えが甘いよ」と言われて、本当に食べていけるのか不安な中でやってきました。
ですので、次のような方々の参考にしていただければと思います。
- 今、そういう道にいってみようかと考えている方
- その道を歩き始めたけどまだまだ安定できずにもがいている方
- なんか友達が「俺、フリーになるぜキラリ」と言い始めていて心配している方
ここで、お話ししてみたいのは、食べれるようにはなった時、つまり上記のような方々にとってはある意味目標の一つが達成されている状態の人が、そうなった時に何を考え始めるか、ということです。今すぐには役に立たなくても、こういうのを読んでみると、現在地を確認したり先の見通しを立てたりすることができるかもしれませんね。
それと、もっと長い間やってこられた方々にも色々コメントとかしてほしいです。アマちゃんだなぁ、とか、俺にもこういう時代があったぜとか、ぜひ聞かせてください。
ではお手柔らかにお願いします。
「今食べれてる人」がもつ、「次の悩み」?
食べれるならいいじゃないか、立派であるよ、何を思い悩む事があるのだよ、と思われるかもしれないですが、そういうことでもないのであります。
- この仕事自体、あと何年あるのだろ。
- 働くのをやめた途端、お金なくなっちゃう><。
- 単価をあげるのにも限界があって、つまり収入の上限も見えてきちゃった。しかも足りないんだけど。
僕もまさにそういう不安に苛まれて、ちょっと色々考えちゃうわけです。以下に見ていきましょう。
人を入れるなど、制作の体制を見なおそうかなぁ!
人数を増やすことを考える。すべての作業を自分で行う必要は本当はないはずで、簡単だけれでも時間のかかることは誰かにお願いできると嬉しいわけです。打ち合わせに出ている時、すべての作業が止まっている、というのも大きな問題です。
外注さんとかプロジェクトチーム制というのもあり、それは僕も実際に行なっておりますが、毎回見積り、リモートでの説明が必要になります。また、仕事として発注するほどではないけどサポートしてもらいたい業務、というものはやはり残ってしまうのであります。平行していくつもの仕事が走っているわけなので、それらに一緒に取り組みたいのです。
人を雇うには、お金がすごくかかるようになります。具体的には雇っている方のお給料、社会保障費、現在自宅などで作業をしているため従業員が通ってこられるような事務所費、などです。最初は事務所なくてもいいかもしれませんが、そばに居てほしい、見えるところで作業の進捗を見て細かく相談したりされたりしながら進めたいとなると場所がいります。
二人になったらこなせる作業が2倍になるわけではなく、従って売上も2倍になるわけではないのも難しいところ。また、来てくれた方の教育や教育した暁にその方が独立される、ということも考えるとなかなか難しいな、と思います。この点、同じスキルレベルにある人と、チームで会社を作るという方法だと、少し安心なのかもしれませんね。
こういうことを考え始めると、「僕って制作会社の社長になりたいんだったっけ?」という問に触れることになります。
仕事の流入元を考えよう
色々な仕事の相談を頂けるようになると、昔だったら予算が少なくて大変そうだけれども、少し無理してでもやっていた仕事について、お断りしたいケースが出てきます。あるいは忙しい時期でそもそも無理であるとか。
僕は、お断りするのはかなり苦手です。また、この辺りは予算が少なくてもいつも一緒にやっている方からの仕事であれば、やりとりもスムーズだし、認識ズレで揉める長引くなどの問題が起きにくいことがわかっている、などの場合には僕は結構やらせていただいたりしています。
そう、この選べるようになる、という状態は、効率が悪いもの、足元を見られている状態のものをやらないで済む、ということなのですね。
新しい方からのお話で、あまり予算がなくサイトの目的や仕様や運営体制や戦略が決まっていなくてとりあえずやりたいんです、というのが一番危険で、これは極端かもしれませんが、そういう意味での危なっかしさにピンと来た時に避けられる、ということでもあります。
まあでも、「嫌なのをやらない」とか「リスクを避ける」といったこと、それだけではなくて、一歩引いてみると、これは自分の問題なのであります。
自分の体力と時間、心の余裕をどういう風に配分するのかというリソース配分についての指針が必要になるわけであります。その指針とは、効率化だったり自分の成長戦略だったり理想の働きかたのだったりします。
次以降、そういう話になります。
大きい仕事をガッツリやるのか、小さな仕事を積み重ねるのか
技術レベル、信用の度合い、紹介してくださる方々からの期待などによって、だんだんと制作物の規模が大きくなったり、仕様が複雑だったりして予算が大きい仕事の話が増えてくるかもしれません。僕の場合は数百万円で3ヶ月以上かかるというパターンが時々あります。一年かけて数千万といったようなウェブサイトの範疇を超えたシステム開発的な案件の話も、個人の立場(や一人会社)で受ける方もいますよね。
一方、WPの組み込みのみを担当するなど打ち合わせも基本的に要らないし顧客との折衝もなく、数日で済むけれど10万円〜20万円などの案件もあります。5万円でシンプルなプラグインを作るだけ、というのもあります。
こうした大型の仕事と小型の仕事、その中間。これらの組み合わせについても考え始めるようになりました。大きな仕事の一番のメリットは、金額が大きいので初期の打ち合わせや仕事が決まるまでの打ち合わせなどの営業的な活動がなくても一定の収入が見込めることです。一方のデメリットは、プロジェクトの進行によっては納期が延びる・仕様が変更されて作業量が爆発する・発注元が途中でいなくなる(爆)などになります。また、支払いのサイトが遠くなるので、黒字なのになぜかお金がないという悲しい気持ちを味わうこともあります。
その点、予算規模の小さな仕事は、仮に途中の失注や不可抗力的トラブルがあってポシャったり減額が発生したりしても損が小さいですし、正常に進み納品が済めばわりあいすぐにお金が入ってきます。案件の数も多いですし、たとえばあそこの会社さんはWPを全部僕にやらせてくれる、みたいなことになると少しずつ安定します。
「一発ドカン型」と「少ないものをコツコツと型」のバランスを考えて、リソースの配分を考えて効率をよくしていきたいものだよ。
自分のできることを増やす。役割を増やす。
仕事のことだけではなく、自分のことも考えます。常に勉強して新しい技術を取り入れる必要があるのは誰でも同じ。ですが、何をやるんだろう。どんな選択肢があるんだろうか、と。
作業フローで考える
あくまでも考えるためのモデルということで、ステレオタイプな仕事が生まれて完成するまでの流れと仕事を以下に。
- 営業:仕事をGETするための動きです。オンライン/オフラインを問わず、色々な場やイベントに顔を出すことから、飛び込み営業、ブログの執筆による露出などを含めて「自分に仕事が来る理由」作りが営業に含まれると思います。
- 提案:仕事が決まる前の時期に受注できるような形に整うのか、何がベストなのかお客さんと向き合う時間のことです。この時点で流れることも多いですよね。
- サイトの方向づけや仕様決め:仕事の第一ステージです。ディレクションの最初の仕事です。予算の把握からサイトの目的の決定、チームで仕事をするならキャスティング、複雑なら仕様書の作成、ワイヤー作りなどが含まれます。色々な経験が物をいいますね。
- デザインの作成:実際にデザインを作る部分
- コーディング:html/css/js部分
- 環境の構築:サーバの構築やメールなど。インフラ部分
- 組み込み:たとえばWPが動くようにする
- 保守/運用:サイトが出来た後にサイトを常に使いやすく安全に保つ作業。あるいは更新作業を請け負うこともあるでしょう。
- これらの全体のフローを全部見て、スケジュールを管理してお客さんとやり取りをしてつつがなく効率的に無事作業が進んでいくようにする仕事。
作業フローのなかで自分が担当しているところはどこか。増やせないか。
9番目は順番にそっているわけではありませんが、だいたいこのようなところでしょうか。これらのうち、あなたはどの部分をやっていますか?全部一人で?でも、それぞれが奥が深くて、勉強することは多いですよね。より詳しくレベルアップすれば、出来る仕事の幅は広まるし、収入もそれによって増えることになります。
なので、こういう流れの中の自分の立ち位置をまずは把握して、どこを取りにいくのかということを考えたいわけです。
デザイナーであれば、WEB技術へいくのか、提案・受注・ディレクションへ行くのか。前者なら最新の技術を身に着けて尖端にいることを価値にする感じです。レスポンシブの波が来たらすぐ対応できるように日々研究もしておくとか、そういうことです。後者であれば提案力や自分の存在感をどこかでUPさせることなどが必要になりますし、実際に優れたビジネススキルや人間の気持ちやチームの管理能力が必要になります。
コーディングをメインにしているのであれば、CMS技術へ向かうのか、JS的な動的サイト・アプリ方面へ向かうのか。フロントエンドに行くのかバックエンドに行くのかとも言い換えられるかもしれません。両方もありだし。
WP構築をメインにしている、あるいはPHPなどのプログラミング技術があるのであれば、インフラ・低レイヤー層構築の力を蓄えることで、大きな案件の時に環境構築部分で外注費が無くなります。というか、案件が大きくなってくれば、インフラ問題は避けて通れないですよね。自分ではできなくても理解は必要というか。ところで、個人的な印象ですが、インフラとその上のプログラムの両方がわかる人というのは少ないけれど重宝されているポジションであるように思います。僕の周囲だけかしらん。さらにフロントエンドもガンガンやれるよ、となると制作者・職人として無敵感が漂ってまいりますね。
8番の保守運用であれば、アクセス解析のデータを分析してコツコツ改善するなどのサイト改善の提案能力や、今その組織に必要なキャンペーンを見出して仕事化する力、常にひとつの組織やサイトと向き合い続けることができる能力と根気が必要になりますよね。
どんな分野に進むにせよ、分業されている部分(=自分には外注してもらえていない部分、自分からは外注していた部分)を自分ができるようになると嬉しいです。
また、自分のドメインが増えることで、リスクも減ります。WordPressを使う仕事が減ったとしてもPHPの技術で続けられる、ホームページ制作という概念が無くなったとしてもJSでアプリが作れる、インフラはやっぱりいつの時代も無くならなかったので大丈夫だった、などです。
やみくもに増やしていいのか?
とはいえこの辺りは、器用貧乏 VS スペシャリストという文脈に置き直すとメリットばかりではなくなりますので、そのあたりも合わせて考えたいところです。特化することで自分の価値を上げる、というのはもちろんありますよね。
請負以外の収入源を作る
請負というのは
自転車コギコギ汗かきモデル
であります。
つまり、常に案件を獲得して、常に(その仕事で)働き、常に請求書を発行し続けないとお金が入ってこないのです。そのデメリットは、
- 止まれば倒れること
- 業界・業態が無くなったらオシマイなこと
- スケールしないということ
が上げられます。ひっくり返してみましょう。
- 全力で走っていなくても自動的にお金が入ってくる仕組みを作る
- 全然違う(あるいはとなりの)業界・業態にも進出する
- スケールするビジネスモデルを模索する
ということになります。上記のデメリットを反転したリストをひとつずつみてみましょう。
1. 全力で走っていなくても自動的にお金が入ってくる仕組みを作る
たくさんサイトを作ってきたその能力があればできることがあるかもしれません。
もっとも思いつきやすいのはアフィリエイトでしょうか。メンテナンスは必要ですが、一度作って成功したらしばらくは、お金が入ってきますよね。成功させるためには、儲かる分野を発見する能力、その分野のユーザに訴えるサイトを作る能力、売れるコンテンツを作る能力、SEOやアクセス解析の知識と経験が役に立つことでしょう。
あるいはウェブサービス的なものかもしれません。ものすごく難しいものではなくてもいいのです。シンプルだけど便利な機能がひとつしかない1ページだけの優れたアイディアを持つページを作ってそこに広告を貼る、とか。思いつく力、制作できる力、SEOの力が必要になるでしょう。
目の付け所によっては掲示板を設置することでユーザがコンテンツを増やし続けてくれるモデルも、まだまだ有効です。僕はそうやって稼いでいる会社を知っています。技術は新しくはないし、ずっとあった仕組みだけど、分野を絞れば大丈夫、というパターンはありますよね。
また、ホスティングはいかがでしょう? お客さんのサイトを自分のところのサーバに置いて、管理してあげる仕事です。メールもやりましょう。うまく仕組み化することで、サイト制作業務のお客さんが常にお金を払ってくれます。積み上がっていきます。インフラに関する知識、代理店を挟まない仕事を得る能力、信頼などが必要になります。
2. 全然違う(あるいはとなりの)業界・業態にも進出する
特化すればするほど高まるリスクがあるのであれば、違うところに進出してリスクヘッジであります。実例を見てみましょう。
CRM導入の仕事
知人の例ですが、CRMの代理店業務やGoogleAppsの導入支援をしている方がいらっしゃいます。詳しく知らないのですが、イニシャルとサポート費用をもらっていたりすると収益源が増えるのと、また、導入する企業のビジネスに入り込むことになり、そこから別のウェブサイトやシステムの受注に繋がることもあり、うーむ素敵なとなりの業態だなぁ、と思いました。
コワーキングスペース
ライムさんが、「Twitter Bootstrapを使って短時間でWordPressテーマを作る。」という記事を書いておられてて、その中にコワーキングスペースのサイトがサンプルとして出ていますが、最初に話を聞いた時には「あなた、どこいくのよw!?」という感想を持ちました。
蓋を開けてみれば初月から黒字で2ヶ月目なのにもうアルバイトが入るとのこと。よくよく聞いてみますと、スペースのオープンまでに蓄積された技術に関する勉強会を開いたり、それまでに築かれた人や会社との繋がりから業務提携を行うなど、うわ!すごいですね!ってなりました。「ここ数年買い続けた技術書や会社経営に関する本が数千冊あって図書館になりましたわw」という話を聞いた時には、「この人、コワーキングスペースを開くためにここ数年があったんじゃないのか(゚ー゚)y-.。o○」という気持ちにさせられました。ヒトリシナジー効果と呼びたいですが、こういうのはすごいですよね。
ボードゲームwww
株式会社人狼という会社がありまして、ピチカートデザインなるウェブデザインの会社だと思って拝見しておりますと、コワーキングスペースを運営しつつそこで盛り上がるボードゲームのうち、人狼というゲームのカードを作って売ってるし、というか別会社が・・・。
デザインができる人々が、面白い企画を含めて商品企画から物販まで広げた例ですね。
3. スケールするビジネスモデルを模索する
これは、新しいビジネスやろうよ、ということです。大きなテーマなので、次のセクションに回します。
自分のビジネスを考える
思うのですが、数年間、色々なウェブサイトを作って経験を積み色々それなりに見聞きしていろんな仲間も出来ていて、日々が食べられているのであれば、何か事業が作れるような気がしてきちゃいます。
じゃあやってみろよって?はい、まだできてません頑張りたいですすいません。でもあの、夢見てるんじゃないよ、と仰る前に、考えてみましょうよ。
ウェブサービスというと、スタートアップだ起業だと少し派手な感覚で捉えられてしまうことも多いですが、僕たちが日々仕事をしているお客さんたちの仕事も、誰かが無いところに作った仕事ですよね。中小企業のサイトなんかも作っていると思いますが、他では聞かない業態のものもあったのではないでしょうか。そこの社長さんが作ったビジネスかもしれません。請負の案件をたくさんたくさん経験することで見えてくるものがありますよね。色んなビジネスモデルがあるんだなぁ(こんな儲け方があるとは><!)、こういう業界も面白いなぁ(こういうことにお金を使う人がいるのかいな><!)、この人賢すぎるなぁ(目の付け所というのはこういうことを言うのか><!)などなど。そういう人たちのことを思い出してみていかがでしょう。派手ではなく、でも収益をあげる。BtoCで最新技術バリバリでアプリがあってリリースしたらTech系メディアに取り上げられてTwitterでバズってみたいなことではない、粛々としたなんらかのサービス、スモールビジネスって呼んだらいいのですかね、可能なのではないかなぁ、と思う次第。もちろん、スモールじゃないビジネスするのだって大いに大有りですよね!ウェブ制作をフリーでやる時だって反対されましたもん(´・_・`)
もちろんこれも甘くなくて、きちんと流行って儲かるようになる仕組み。需要を見込む力、告知する力、そしてもちろん売上に繋がるように作る力が必要です。人のために使っていた技術を、自分の事業のために使うというわけですが、それが役に立つのかどうか問われているようなものとも言えますね。
長くなりましたのでまとめです
長くなってしまいました。今、自分の頭の中にあることをダラダラと書いてしまいましたね。役に立てれば幸いです。ではまとめです。
- 食べられるようになったらなったで、次の課題があるよね
- 次のリスク、継続や発展への不安というものです
- 制作体制について考えたよ
- 仕事の頂き方、仕事の予算についての考え方について考えたよ。ひと言で言うとバランスですね
- 次の得意分野を増やすことについて考えたよ。明日はどっちでしょうか
- 請負以外の収入源について、3つ考えたよ
- 自動的にお金が入るといいよね
- 業界・業態をシフトできるといいかも。実例も3つ見てみました
- 新しいビジネスモデルについて考えたいよ
- 自分の技術で自分の事業を作れたらいいよね
以上です。
みんながんばろうゼイ!
著者情報
- WordPress が好きすぎて困る。