Words & Sounds

Best Songs of 2018 - 鈴木正義

W&Sでは日本のヒップホップ/ラップミュージックに絞ってレビューをアップしていますが、今回はその縛りを外し、2018年リリースの曲からジャンルをまたいで10曲選んでみました。

01. Tierra whack「Black Nails」
1曲1分という短さ、トラップとの距離感、トラック/ビート、ラップ、MV全てがツボ!アール・スウェットシャツとソランジュがレッドブルのラジオ番組で「Fruit Salad」をかけてふたりで楽しそうに聴いてたのも最高でした。EP通して聴いてもたったの15分で終わっちゃうので未聴の方はぜひ。

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Best Songs of 2018 - SHOCHANG (HIGHLIFE HEAVEN)

ガチなヒップホップの批評サイトに、こんなニッチなジャンルの年間チャート載っけて大丈夫かなーって心配しながら選んでみたら、意外と楽しくて取捨選択に困ってしまった。

2018年は振り返れば、ジャンル問わずたくさんの現場でDJをさせてもらったので、その中でよくお世話になった曲を、レコード音源の縛りでセレクトさせてもらった結果、1950年代から2018年までの曲が並ぶことになった。

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NEI & Ryo Kobayakawa / Words For Stars

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D.R.C.

二木信

7.5

 二十歳の、特に男性がマイクを握り、声を発し、ラップを始めようとしたとき、多くの場合、仲間、生い立ち、夢、また金や名声や力の獲得、あるいは肉欲について歌い出す。それはもちろん真っ当なことだ。ヒップホップは、欲望と深く結びついている。朝まで待てない、たったいま欲しいのだ、と。ありとあらゆる欲望がヒップホップを定義してきた。が、ここに、まず、「self control =自制」を曲名にして歌い出した弱冠二十歳のラッパーがいる。

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EVISBEATS / ムスヒ

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AMIDA STUDIO

二木信

8.0

 大量の情報やさまざまな主義・主張にあふれているいまの世の中で生きるのも楽じゃないわけだが、ノイズを“オトニカエル”ことができれば幸せに生きられる。きっとEVISBEATSはそんなことを考えてこの『ムスヒ』という、6年ぶり通算3枚目となるソロ・アルバムを作ったのではないか。ラッパー/ビートメイカーのLIBROがラップで参加した、その名も「オトニカエル」という曲で2人はふくよかなトラックに乗ってこうくり返す。

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WAQWADOM / MQW

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APOLLO-REC PRODUCTIONS

二木信

7.7

 WAQWADOMというヒップホップ・グループの『MQW』もまたフリースタイル文化から生まれたラップ作品と言えるだろう。2000年代初頭から中盤の頃のフリースタイルはいまのようにMCバトルに集約されなかった。もちろんその頃もアンダーグラウンドではMCバトルもサイファーも盛んだった。MCバトルが悪いわけでもない。いまもサイファーはある。だが、『MQW』が生まれた頃のフリースタイルにはいまと違う一つの大きな特徴があった。大いなる野望が根底にあった。

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CHAPAH  / Ⅱ

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VLUTENT RECORDS

原島宙芳

7.0

 VLUTENT RECORDSに所属するグループ、GAMEBOYSのCHAPAHが自身の誕生日前日、5/1に『Ⅱ』(ツウ)をフリーでリリースした。

 私、原島宙芳はPUNPEEとGAMEBOYSと仙人掌のバックDJをすることがあり、CHAPAHとは月に何度か酒を酌み交わす仲だ。身内みたいなものなので、アルバムというにはコンパクトで、EPというにはボリューミーでなんとも不思議な今作は、敢えてきつめに紹介させてもらう。

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tofubeats / FANTASY CLUB

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WARNER MUSIC JAPAN

荏開津広

8.8

 tofubeatsのアルバム『FANTASY CLUB』は、紛れもなく今年リリースされた最も優れたアルバムの1枚だ。21世紀の主流となった、ビートを中心に組み立てられたポップ・ミュージック、その日本でのありようとして欠点を探すのが難しい。そのうえでこのサイトでのレヴューゆえ、ヒップホップ特有の形式と美学を規範として聞いてみると、ヒップホップの“スタイル”との問題が表れてくる。それぞれのジャンルとtofubeatsの作る音楽との衝突がそこにはっきり響いている。

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SALU / 県央厚木IC feat. だるま aka ₩ . ¥

 今年の10月にフリーダウンロードとアップルミュージックでの配信という形でリリースされたSALUのミックステープ『BIS3』から、「県央厚木IC feat. だるま aka ₩ . ¥」のMVが12月1日にアップされた。

 今年のSALUは凄かった。4thアルバム『INDIGO』に加え、フリーダウンロードシリーズ最新作『BIS 3』のリリース。

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dodo / La sir. E

 dodoが帰って来た!dodo完全復活!って感じの名曲がアップされたのに、1ヶ月経ってもまだ再生回数2000回程度…、嘘でしょ?これはもっと多くの方に知ってもらわねば!聴いてもらわねば!ってことで「Pick Up」で取り上げます。dodoって誰?って方も、Black Fileでのサイファー「Black File Cypher 2013 rev3.11 VER.」、高校生ラップ選手権への出場、映画『TOKYO TRIBE』のオーディション動画、サイプレス上野とのビーフ、粗悪ビーツとの共作『FAKE』など、ここ数年の活動を並べると点で見えてたdodoが一直線に繋がったでしょうか?

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I-DeA / SWEET HELL

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VYBE MUSIC

宮本至

8.1

 “スティル=STILL”はヒップホップを愛する者にとっては避けて通れない言葉だろう。それは何らかのスタイルという様式に基づいて制作することを続ける限り、必ず立ちはだかる壁なのだ。

 例えばあるラッパーがそれまでのスタイルを捨てて名声を上げ、ヒットしたとする。それによって新しいリスナーとファンを獲得したとしても、新しいスタイルへの急激な移行が古くからのリスナーにとっては“セルアウト”と受け取られかねない。

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PARKGOLF / REO

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2.5D PRODUCTION

7.4

 〈Maltine Records〉や〈Day Tripper Records〉といった先鋭的なエレクトロニック・ミュージックを多数リリースしてきたレーベルから作品を発表してきた、北海道出身のビート・メイカー/コンポーザー、PARKGOLF。そんな彼のセカンド・アルバムだ。

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GOODMOODGOKU / 24時間

 これはロマンチックでエロティックじゃないですか。GOKU GREENがGOODMOODGOKUと改名、ビートメイカーの荒井優作(ex.あらべぇ/彼はTHE OTOGIBANASHI'Sの実質的なデビュー曲「Pool」のビートを作ったことでも知られる)と組んで『色』という作品を完成させた。すでにiTunes, Apple music, Spotifyでは6曲入りで配信が開始され、8月30日には7曲入りのCD盤がリリースされる。フィジカル盤には、エクスクルーシヴやリミックスやインストが追加、歌詞カードなども付く。そしてこのトロトロの映像は、その作品に収録されている「24時間」のMVというわけだ。

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YOUNG JUJU / juzzy 92'

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P-VINE
PCD-28031

8.1

音楽は希望
Oh, you know? You know? You know?
「Worldpeace」

 tofubeatsや清水翔太へのフィーチャリング、G-SHOCKとのタイアップ曲。ソニーと契約するという話や、次のアルバムも期待されるなか、なんかもう昔話みたいな感覚もするけれど、いま一度KANDYTOWNのファースト・アルバムと並行して制作された『juzzy 92’』について書いてみたい。

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Qiezi Mabo / Star Beach Love {OFFICIAL VISUAL}

 これは一体何でしょうか!? LowPassのメンバーであり、映像ディレクターとしてはOMSBやGOODMOODGOKU (ex. GOKU GREEN) のMVの制作などでも知られるGiorgio Givvnがサウンドをプロデュースした謎のラッパー(!)、Qiezi Mabo(チェズマボ)の新曲とMVがすごいです。

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