連載
#241 #小山コータローの4コマ劇場
そっちの用法! 美容師さん、鏡越しの〝リクエスト〟に「すごい!」
あ、そっち側のそれではなくてね
美容室の思い出…僕は、今は黒髪ですが一時期金髪にしてた時があるんですよ。
それは、本業の現場仕事で左足の脛をパキッとキレイに骨折してしまった時です。
「骨折して現場出れないし、金髪にしよう」
そう思い立って行きつけの美容室に松葉杖をついて行きました。
「金髪にしてください」
ヤンキー漫画では、だいたい金髪の男が喧嘩で骨折するのですが僕の場合逆です。骨折の男が金髪にするというタイムパラドックス漫画です。
その時生まれて初めてブリーチをしたのですが、うっかり自分は肌が弱いことを忘れていました。美容師さんはブリーチ液をホットドッグにケチャップとマスタードをかける時の陽気みたいなやつで振りかけていきます。
次第に頭皮にジワジワと効いてきました。漢方だったら末端冷え性が治りそうだなと思いましたが、やがてそれは痛みに変わっていきました。
「キャーーー!!助けて!!」
頭皮がお姫様だったら、檻の中から叫んでいたことでしょう。頭姫(とうひめ)です。
しかし僕は耐え凌ぎました。金髪になるにはきっとみんなこうやって強くなっていったんでしょう。ヤンキーの禊的な意味もあるのかもしれません。
そして無事人生初めての金髪になり、僕はとてもウキウキでしたが頭姫はそうはいきません。ご立腹です。
翌日からフケが異常に出るようになりました。僕がカプセルホテルに泊まっていたとしたら、子どもが
「わーい!大きなスノードームだよママ!」
そう言って指を刺していたと思います。
「見ちゃダメよ!」
ママが正しいです。フケなので見ては行けません。
なので今では染めるときもインナーカラーだけにしたり、頭皮からは離して染めてもらうようにしてます。頭姫もよろこんでますね。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。初の書籍「デリシャス・サンド・ウィッチーズ」(扶桑社)発売中。Twitterアカウントは@MG_kotaro。
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