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2013年 09月 01日
シリアへの軍事介入をめぐる議論で残念に思っていたのは、私の調べ方が悪かったのかもしれないが、日本語で読める中東研究者・ジャーナリストのまともそうな発言が見当たらなかったことである。内藤正典の、この人研究者として大丈夫なのか、というツイッターの連投や、アジアプレスなどを見て、この種の類のものしかないのかと思っていたのである。
しかし、公益財団法人中東調査会が発行する「中東かわら版」第173号(2013年8月29日発行)に掲載されている、高岡豊研究員による「シリア:化学兵器使用問題と軍事攻撃の可能性」は、大変説得力の強いものであった。紹介しておきたい。以下、引用する(強調は引用者)。 「シリアの反体制派は、2011 年 3 月にいわゆる「アラブの春」の反政府抗議行動での扇動・動員の手法を模倣する形で反体制活動を開始して以来、一貫してアサド政権による「弾圧・虐殺」を大々的に宣伝し、それによって国際的な介入を招き寄せることによって政権打倒を図る戦術を採用してきたと思われる。このような戦術が採用された理由としては、チュニジアやエジプトなどの事例と異なり、反体制派が短期間に政権を圧倒するような動員を実現できなかったこと、宗派主義的な印象論によって「敵方」のレッテルを貼られたシリア軍や治安機関がアサド政権から本格的に離反する可能性が低かったことが挙げられる。実際、国際的な注目を惹起したり、調査や軍事行動を促したりする材料として虐殺や報道関係者への襲撃事件が大きく取り上げられた事例は、2012 年だけで少なくとも 4 件確認できる。また、2012 年 7 月 19 日には、『産経新聞』が自由シリア軍幹部の話として、化学兵器が使用された場合は欧米諸国が軍事介入し、アサド政権打倒につながるとの見通しを報じている(いずれも『別冊・中東研究データ編 (2012)』355-414 頁)。また、シリア国内での化学兵器についても、2012 年末からイスラーム過激派への流出の可能性や実際の使用の可能性についての報道が増加している(『中東かわら版』No.186(2012 年 12 月 11 日);No.48(2013 年 3 月 21 日);No.119(2013 年 6 月 17日))。」 「また、戦闘状況など、シリア危機の現場での推移を観察すると、アサド政権がこのタイミングで化学兵器を使用する合理性がまったくといっていいほど存在しない事実も指摘せざるを得ない。シリアでの戦況は、2013 年 6 月ごろからアサド政権の優位が確定的となり、米国のオバマ大統領が「状況悪化」に懸念を表明するほどになっていた。反体制派武装闘争が後退を余儀なくされている原因は、一般に信じられているような「国際的支援の不足」や「レバノンのヒズブッラーの本格的参戦」ではない。より現実的な原因は、2013 年 1 月 15 日付『ハヤート』紙が報じたように、反体制派戦闘員が行う略奪や強姦が一般のシリア人に避難を余儀なくさせ、人心を失ったこと、戦闘の主役となったイスラーム過激派が、実はアル=カーイダの一部に過ぎないことを自ら表明するとともに、反体制派武装集団同士、あるいはクルド人などのアサド政権以外の当事者との戦闘に明け暮れるようになったことであろう(『中東かわら版』No.61(2013 年 4 月 9 日);No.66(2013 年 4 月 11 日);No.140(2013 年 7 月 16 日))。また、今般の化学兵器使用について報道・発表がされるのとほぼ同時期に、シリアでの化学兵器使用の有無を調査する国連の調査団がダマスカスに到着している。つまり、軍事的にも、政治的にも、アサド政権側に化学兵器を使用する利点がほとんどなく、化学兵器使用の真偽について落ち着いて検証すべき局面であるにもかかわらず、反体制派による宣伝や、一般には入手も検証も困難な根拠に基づきシリアへの軍事攻撃が既定路線と化してしまったのである。」 http://www.meij.or.jp/members/kawaraban/20130829144610000000.pdf 全文は上のリンク先を見ていただきたい。
by kollwitz2000
| 2013-09-01 00:00
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